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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】松 岡 秀 樹

【氏名】柏 村 康 彦

【氏名】塩 谷 和 久

【要約】 【課題】走行負荷に関係なく走行速度を常に一定維持させた植付作業を可能とさせる。

【解決手段】エンジン(2)の回転出力制御を行う電子ガバナ(82)を装備させた田植機において、走行負荷の大を検出するときエンジン(2)の回転を設定より増速させると共に、車速無段変速機構(65)の速比を設定より下げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの回転出力制御を行う電子ガバナを装備させた田植機において、走行負荷の大を検出するときエンジンの回転を設定より増速させると共に、車速無段変速機構の速比を設定より下げるように設けたことを特徴とする田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンの回転出力制御を行う電子ガバナを装備させた田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来エンジンの駆動負荷が増大すると、植付作業中の車速を無段変速する無段変速機構の速比を下げて、エンジンの異常駆動停止などを防止するようにした手段があるが、この場合車速が設定速度より遅くなって、作業能率が悪くなるという不都合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、エンジンの回転出力制御を行う電子ガバナを装備させた田植機において、走行負荷の大を検出するときエンジンの回転を設定より増速させると共に、車速無段変速機構の速比を設定より下げるように設けて、植付作業中に走行負荷が例え大きくなる場合でも、従来の如く走行速度を遅くすることなく設定速度を維持させての能率良好な作業を可能とさせるものである。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)前部上方に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0005】また、図中(15)は10条植え用の苗載台(16)並びに10条分の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側に支持フレーム(23)を設け、該フレーム(23)をヒッチフレーム(24)に連結させ、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含むリンク機構(27)後部にヒッチフレーム(24)を取付け、走行車(1)後側にリンク機構(27)を介して植付部(15)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0006】また、図中(29)は走行変速レバー、(30)は植付昇降兼作業走行変速用植付作業レバー、(31)は植付け感度調節レバー、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センターフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は10条用の側条施肥機である。
【0007】さらに、前記運転席(13)両側の車体カバー(12)両外側に左右補助デッキ(37)(37)を固定させ、該デッキ(37)(37)前部に前記乗降ステップ(11)(11)を固定させると共に、前記補助デッキ(37)(37)後部の機外側に左右サイドデッキ(38)(38)を起伏自在かつ脱着自在に連結させ、車体カバー(12)と補助デッキ(37)(37)とサイドデッキ(38)(38)とで、施肥機(36)及び苗載台(16)に肥料及び苗の補給などを行う作業用ステップを構成している。
【0008】さらに、6条用の中央施肥部(39)と、各2条用の左右施肥部(40)(40)とに、前記施肥機(36)を分割して構成し、右施肥部(40)機外側に送肥ブロワ(41)を配設させ、運転席(13)両側にレバー(29)(30)(31)取付け位置を隔てて左右施肥部(40)(40)を収納する一方、6条分の中央苗台(42)と各2条分の左右苗台(43)(43)とに苗載台(16)を分割して形成し、苗台支点軸(44)(44)回りに左右苗台(43)(43)を上昇させて中央苗台(42)上側に折畳み収納させ、また2条分の植付爪(17)…及びフロート(35)を備える左右植付ケース(20)(20)を中央苗台(42)後側にケース支点軸(45)回りに回動させて折畳み収納させるように構成している。
【0009】図4に示す如く、前記苗載台(16)の苗取出板(46)の最外側部をガードするサイドバンパー(47)に筋引マーカである左右サイドマーカ(48)のマーカアーム(49)を起伏自在に設けるもので、左右最外側の2条分の植付ケース(20)を伝動パイプ(50)の左右略中間のフランジ部(50a)で分割させ、前記支点軸(45)を中心として固定側の植付ケース(20)の後方に略対称に折畳むと共に、固定側の伝動パイプ(50)に立設させる苗台支持シュー(51)用の支柱(52)基端に、前記サイドバンパー(47)の基端フレーム(53)を固設させ、このフレーム(53)先端に回動支点軸(54)及び位置規制ピン(55)を介してサイドバンパー(47)を折畳み自在に連結させている。そして前記サイドバンパー(47)の先端側にマーカアーム(49)を介しサイドマーカ(48)を折畳み自在に連結させるもので、マーカアーム(49)基端の起伏板(56)を回動支点軸(57)を介し回動自在にサイドバンパー(47)に、またサイドマーカ(48)基端のマーカ取付板(58)を回動軸(59)を介し回動自在マーカアーム(49)先端に連結させると共に、マーカアーム(49)の起立動作時にはサイドマーカ(48)をアーム(49)の起立方向とは逆方向に折畳み、前記支柱(52)上端の取付板(52a)に設けるマーカ収納フック(60)にマーカアーム(49)を係合させて、サイドマーカ(48)を立設収納保持するように構成している。
【0010】また、前記収納フック(60)にはサイドマーカ(48)との係合を検出するマーカ収納スイッチ(61)を設けて、サイドマーカ(48)の収納をスイッチ(61)のオン動作で感知するように構成している。
【0011】図3に示す如く、変速シリンダ(62)の操作でもって巻付け径を変化させて変速比を無段階に変更する入出力プーリ(63a)(63b)及びVベルト(64)で構成するベルト式無段変速機構(65)をベルト変速ケース(66)に内設させ、自在伝達軸(67)を介してベルト変速ケース(66)の入力軸(68)前端を前記エンジン(2)の出力軸(69)に連結させ、クラッチペダル(32)によって断続操作する多板摩擦形乾式クラッチ(70)をクラッチケース(71)に内設させ、ベルト変速ケース(66)の出力軸(72)をミッションケース(4)の入力軸(73)に前記クラッチ(70)を介して連結させている。
【0012】また、前記入力軸(73)に走行変速ギヤ機構(74)を介して走行出力軸(75)を連結させ、前後輪(6)(8)に前後輪伝動軸(76)(77)を介して前記走行出力軸(75)を連結させ、前後輪(6)(8)を駆動すると共に、前記入力軸(73)にPTO変速ギヤ機構(78)を介してPTO軸(79)を連結させ、PTO軸(79)を介して植付部(15)を駆動し、また変速ケース(4)近くでPTO軸(79)出力をスプロケット(80)により分岐して施肥機(36)を駆動するように構成している。なお(81)は前記昇降シリンダ(28)を作動する油圧ポンプである。
【0013】そして図5にも示す如く、前記エンジン(2)には電子ガバナ(82)を搭載して、エンジン(2)の回転出力の制御を行うもので、エンジン(2)の出力をミッションケース(4)を介し前後輪(6)(8)に伝達して、アクセルレバーで設定されるエンジン回転数に電子ガバナ(82)でエンジン(2)の燃料噴射ポンプの燃料噴射ソレノイドであるラックアクチュエータ(83)を調節して、設定エンジン回転数を維持させながら走行を行うように構成している。
【0014】そして、電子ガバナ(82)のラック位置より燃料噴射量を検出するラック位置センサ(84)と、エンジン(2)の回転数を検出するピックアップ型回転センサ(85)と、作業者が操作するアクセルレバーの操作量を検出するポテンショメータ型アクセルセンサ(86)と、走行車(1)に設けて圃場の凹凸などで走行車(1)が上下方向に動くときの動作速度を検知する角速度センサ(87)とを電子ガバナコントローラ(88)に接続させると共に、電子ガバナコントローラ(88)に接続する植付作業コントローラ(89)に、前記作業レバー(30)による植付走行速度(副変速)位置を検出する副変速センサ(90)と、前記ミッションケース(4)の走行出力軸(75)などに設ける車速センサ(91)と、前記変速シリンダ(62)と、マーカ収納スイッチ(61)とを接続させて、エンジン(2)の回転出力制御などを行うように構成している。
【0015】而して図6のフローチャートに示す如く、通常の植付作業中においては、前記回転センサ(85)で入力されるエンジン回転数がアクセルセンサ(86)で設定されるエンジン回転数より以上或いは以下となるとき電子ガバナ(82)制御によって減速或いは増速されて設定回転数を維持する一方、車速センサ(91)などによって走行負荷の大を検出するとき、エンジン(2)の回転数を上昇させると同時に、無段変速機構(65)の速比を設定より下げて(減速)、植付走行速度を設定速度に保ったままでエンジン(2)を高出力とさせた作業を行うものである。
【0016】また図7のフローチャートに示すものは、植付作業中圃場の凹凸などで機体が上下方向に激しく動くような角速度の一定以上を角速度センサ(87)によって検出するときには、エンジン(2)の回転を減速制御して、車速や植付作業速度など低速とさせたステアリング操作や作業性良好な作業を可能とさせる構成を示すもので、耕盤の凹凸の変化の多い圃場で、機体の上下変動が激しくステアリング操作や植付部の昇降制御の追従性などが困難となる作業条件下にあっては、機体の上下変動を角速度センサ(87)によって素速く検出して、耕盤の凹凸に合わせたエンジン回転に制御して、植付精度の安定維持を図るものである。
【0017】さらに図8のフローチャートに示すものは、畦際などでの作業にあって左右筋引マーカ(48)のうち畦際側のマーカ(48)を収納保持状態とさせることによって、左右収納スイッチ(61)(61)のうち左右何れか一方のスイッチ(61)がオンとなるときにも、エンジン(2)の回転を自動的に減速制御して、車速や植付作業速度などを低速とさせた良好な作業を可能とさせて、作業性の向上を図るものである。
【0018】図9、図10はトラックなど運搬車に機体を搭載させるときの車速減速機構の構成例を示すもので、前記エンジン(2)の燃料噴射ポンプにアクセルワイヤ(92)を介し連結する可動支点軸(93)と、前記支点軸(93)に基端をそれぞれ揺動自在に逆八ノ字形に係合連結する積込及び変速アーム(94)(95)と、前記支点軸(93)をガイド溝(96)に沿って前後方向に移動案内する軸ガイド板(97)と、前記走行変速レバー(29)と変速アーム(95)先端間を連結する走行ワイヤ(98)と、前記変速レバー(29)近傍位置に設ける積込操作レバー(99)と前記積込アーム(94)間を連結する積込ワイヤ(100)とを備え、前記変速レバー(29)を植付前進位置より後進位置に切換操作するとき、図10仮想線に示す如く、走行ワイヤ(98)を引張って支点軸(93)を中心として変速アーム(95)のみを後方に揺動させて、積込アーム(94)基端面(94a)に変速アーム基端面(95a)を当接状態とさせ、次に積込操作レバー(99)を後進位置より積込速に切換操作するとき積込ワイヤ(100)を引張って、図11に示す如く支点軸(93)及び変速アーム(95)と一体に積込アーム(94)を後方に移動させ、この際支点軸(93)が移動することによってアクセルワイヤ(92)を引張ってエンジン(2)を微速に減速制御するもので、アクセルレバー位置に関係なくトラックなど運搬車積載時には微速後進で良好に作業が行われるように構成したものである。
【0019】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、エンジン(2)の回転出力制御を行う電子ガバナ(82)を装備させた田植機において、走行負荷の大を検出するときエンジン(2)の回転を設定より増速させると共に、車速無段変速機構(65)の速比を設定より下げるものであるから、植付作業中に走行負荷が例え大きくなる場合でも、従来の如く走行速度を遅くすることなく設定速度を維持させての能率良好な作業を可能とさせることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開平11−318139
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−155305