| 【発明の名称】 |
乗用田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 誠
【氏名】中尾 敏夫
|
| 【要約】 |
【課題】低重心で転倒角の優れた乗用田植機を得ることを課題とする。
【解決手段】エンジンの下部を側面視で車体フレームより下方に突出させ、ミッションケースの前端部付近から前方の車体フレームを平面視で略ハ字状に拡開し、エンジンを載置する支持部材を車体フレームよりも下方に設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体前部に動力部を配設し、機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、エンジンの下部が側面視で車体フレームより下方に突出していることを特徴とする乗用田植機。 【請求項2】 ミッションケースの前端部付近から前方の車体フレームが平面視で略ハ字状に拡開していることを特徴とする請求項1に記載の乗用田植機。 【請求項3】 エンジンを載置する支持部材が車体フレームよりも下方に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗用田植機。 【請求項4】 エンジンを載置する支持部材の前部を上方に向けて湾曲させたことを特徴とする請求項3に記載の乗用田植機。 【請求項5】 エンジンを載置する支持部材に開口部が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の乗用田植機。 【請求項6】 エンジンの冷却風取入口を車体フレームより下方に露出させたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の乗用田植機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機のエンジン配設構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、山間部等の小規模の圃場においては、歩行型の田植機が用いられてきているが、最近、作業者の高齢化や作業者減少化等の農業事情により、歩行型の田植機は作業者への負担が大きく、作業時間が長くなることから、乗用型の田植機が望まれてきている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような乗用型の田植機においては、エンジンが車体フレームの上部に配置されるため、重心が高くなり、転倒角が不利になっている。そこで、本発明は、低重心で転倒角の優れた乗用田植機を得ることを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成するために、本発明は、次のような乗用田植機を提供するものである。すなわち、機体前部に動力部を配設し、機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、エンジンの下部が側面視で車体フレームより下方に突出していることを特徴とする乗用田植機である。そして、ミッションケースの前端部付近から前方の車体フレームが平面視で略ハ字状に拡開していることを特徴とするものである。また、エンジンを載置する支持部材が車体フレームよりも下方に設けられていることを特徴とするものであり、その支持部材の前部を上方に向けて湾曲させ、更には、その支持部材に開口部を設けたことを特徴とするものである。そして更に、エンジンの冷却風取入口を車体フレームより下方に露出させたことを特徴とするものである。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を基に説明する。図1は、本発明にかかる乗用田植機(A)の全体を示す概略側面図である。乗用田植機(A)は走行車両(1)と、走行車両(1)の後部に連結した植付部(9)とで構成されており、図1で示すように、走行車両(1)の前部及び後部にはそれぞれ前輪(2)と後輪(3)が懸架され、車体フレーム(4)の前部には動力部であるエンジン(5)が搭載されている。そして、エンジン(5)後方の車体フレーム(4)の左右略中央には前後に長く形成したミッションケース(6)が配置されており、ミッションケース(6)の前部に前輪(2)が支持され、後部に後輪(3)が支持されている。エンジン(5)を覆うボンネット(22)の両側には予備苗載台(90)が配設され、オペレーターが搭乗する車体カバー(20)によってミッションケース(6)等が覆われている。そして、車体カバー(20)の後上部に運転席(7)が設けられ、車体カバー(20)前部のボンネット(22)の後方に操向ハンドル(8)が配設されている。 【0006】植付部(9)は4条植えとした苗載台(91)や複数の植付爪(93)等から構成されており、前高後低に配設した苗載台(91)を下部レール(95)及びガイドレール(96)を介して植付伝動フレーム(92)に左右往復摺動自在に支持させるとともに、クランク機構によってクランク運動する植付爪(93)を植付伝動フレーム(92)の後部に配設している。したがって、前輪(2)及び後輪(3)を走行駆動して移動させるとともに、左右に往復摺動可能な苗載台(91)から1株分の苗を植付爪(93)によって取り出し、連続的に苗植え作業が行えるようになっている。 【0007】植付伝動フレーム(92)の前部にはローリング支点軸(176)を介してヒッチ(94)が設けられ、そのヒッチ(94)は、ヒッチ(94)の上部左右両側に枢支されているトップリンク(11)と、ヒッチ(94)の下部左右両側に枢支されているロワーリンク(12)とを含む昇降リンク機構(10)を介して走行車両(1)の後部に連結されている。ロワーリンク(12)の前端部内側面にはリフトアーム(13)の基部が固設されており、このリフトアーム(13)をロワーリンク(12)の配設方向に対して直交する上方向に突設している。そして、昇降リンク機構(10)を昇降駆動させる昇降シリンダー(15)がこのロワーリンク(12)に連結したリフトアーム(13)に連結している。 【0008】また、リフトアーム(13)の上端部とロワーリンク(12)の後端部との間には補強リンク(14)が連結されており、ロワーリンク(12)の剛性を高めるようにしている。また、トップリンク(11)及びロワーリンク(12)の前端部は、後述する後部連結フレーム(43)(44)間に横設された枢支ピンを介して枢支されており、この後部連結フレーム(43)(44)が昇降リンク機構(10)の支持部として兼用されて、植付部(9)の安定した昇降、部品点数の削減、構成のシンプル化が図られている。 【0009】また、運転席(7)等が設置される車体カバー(20)には主変速レバー(75)、苗継ぎレバー(76)、植付昇降レバー(77)、主クラッチペダル(74)、ブレーキペダル(73)などが配設され、植付部(9)の下部には植付部(9)を一定の高さに保持する均平用のセンターフロート(97)とサイドフロート(98)(99)が配設されている。センターフロート(97)は走行車両(1)の左右中心線上に配置され、センターフロート(97)の左右対称位置にサイドフロート(98)(99)が配設されて、植付部(9)の左右のバランスを良好に保ち、植え付け姿勢を安定させて、精確に植え付けができるようにしている。 【0010】車体フレーム(4)はパイプ体で構成され、図2、図3の平面視で示すように、両側が機体後方に向かって屈曲形成されて、拡開した略U字状をなすフロントフレーム(40)と、ミッションケース(6)が配置されたときに、ミッションケース(6)の前端部付近より後方はミッションケース(6)と平行で、ミッションケース(6)の前端部付近から前方は略ハ字状に拡開するように形成されている左右一対のサイドフレーム(41)(42)とから構成されている。そして、サイドフレーム(41)(42)のハ字状に拡開した前端部がフロントフレーム(40)の開放側後部に連結され、更に、図4で示すように、サイドフレーム(41)(42)の後部が上方に向かって屈曲形成されている。 【0011】フロントフレーム(40)の両側端部には、予備苗載台(90)の支柱(90a)が嵌入する保持部(28)がステー(29)を介して設けられており、予備苗載台(90)は保持部(28)から支柱(90a)を外すことにより、向きを180度変えられるようになっている。また、サイドフレーム(41)(42)の前側がハ字状に拡開しているため、広いエンジンスペースを確保することができ、サイドフレーム(41)(42)のミッションケース(6)の前端部付近より後方はそのミッションケース(6)と平行になっているので、後輪(3)や各種操作レバー等の設置スペースを確保することができ、これらの固定及び連結方法が簡素化できるようになっている。 【0012】また、図4の側面視で示すように、フロントフレーム(40)の中央部より後下方に向かって平板状の支持部材(50)が延設されており、エンジン(5)はこの支持部材(50)の上に載置される。支持部材(50)の前部はフロントフレーム(40)に向かって上方に湾曲するように形成され、その湾曲させた部分に長孔状の開口部(50a)が穿設されている。また、このエンジン支持部材(50)の後端部はサイドフレーム(41)(42)を連結する連結フレーム(45)に支持されており、この連結部分近傍にも長孔状の開口部(50b)が穿設されている。 【0013】支持部材(50)に穿設された開口部(50a)(50b)は、機体全体の軽量化を図るとともに、エンジン(5)の放熱効果を促進することができるようになっているものであり、これ以外にもエンジンドレーンの挿通孔として利用したり、メンテナンス等をする際にも利用することができる。また、この支持部材(50)は平板状であるため、エンジン(5)下部の保護カバーとして利用でき、別途保護カバーを設ける場合に比べ、コストダウンが図れるようになっている。そして、何よりもエンジン(5)の取付高さ位置を低い位置にすることができるので、機体全体の重心を低くすることができ、転倒角の優れた田植機を実現することができるようになっている。 【0014】また、エンジン(5)の上方はボンネット(22)でカバーされているが、エンジン(5)の下部が図1で示すように車体フレーム(4)より下方に突出しているため、空冷エンジン(5)の場合は、リコイルスターター近傍の冷却風取入口(5a)が車体フレーム(4)の下方から露出し、更には冷却風取入口(5a)の反対側に比較的高温になるマフラー(5b)の排気口を機体外方に向けて配設しているので、冷却風の吸気抵抗がなくて吸引ロスが少なくなるとともに、冷却風の温度を下げることができる。そして、エンジン(5)が露出している部分からも放熱ができるので、エンジン(5)のヒートバランスが良好になり、出力低下が生じない。したがって、ヒートバランスの優れた田植機を実現することができる。また、ボンネット(22)にも必要最小限のスリットや窓部を設けるだけでよくなるので、オペレーターに熱気がかからない位置に設けることができ、ボンネット(22)自体の高さも低くなるので、オペレーターの視界も良好となり、作業性を向上させることができる。 【0015】車体フレーム(4)の上には車体カバー(20)が設けられるが、車体カバー(20)はボンネット(22)とサブステップ(23)が合成樹脂によるブロー成形にて一体中空成形された前部カバー(21)と、オペレーターが搭乗する運転席(7)の設置部(31)とメインステップ(32)と乗降する際の補助ステップ(33)が合成樹脂によるブロー成形にて一体中空成形された後部カバー(30)とで構成されており、製造や組立を容易にするとともに、部品点数の減少によるコストダウンが図られている。後部カバー(30)は車体フレーム(4)にボルトなどの固定手段によって固定され、メインステップ(32)から後側が後上方に向かって膨出成形されて運転席(7)の設置部(31)を形成している。 【0016】後部カバー(30)に一体成形された補助ステップ(33)は、図1、図2、図5で示すように、メインステップ(32)の両側部から機体外下方に向かってやや傾斜した壁面(33a)と、側面視でそれぞれ前輪(2)及び後輪(3)に沿った形状をした側面(33b)(33c)とからなる連接部を介して連設されており、前輪(2)と後輪(3)の間に配置されている。連接部の側面(33b)(33c)はそれぞれ前輪(2)及び後輪(3)に沿った形状をしていることから、前輪(2)及び後輪(3)のカバーを兼用するようになっており、補助ステップ(33)から機体前後方向に足を滑らせても前輪(2)又は後輪(3)に足が干渉しないようになっている。また、補助ステップ(33)を前後方向の両側から支持するため、補助ステップ(33)の強度を有効に保つことができるようになっている。 【0017】また、連接部の壁面(33a)には補助ステップ(33)の前後方向の長さとほぼ同じ程度の長さの辺(33d)を有する略台形状の開孔部(33e)が穿設されており、足を補助ステップ(33)に乗せたとき、その開孔部(33e)に足の先端を入れることができるようになっている。したがって、奥行きの少ない補助ステップ(33)であっても安全に乗降することができ、かつ、補助ステップ(33)の機体左右方向の幅を可及的に小さくすることができるので、機体左右幅方向のコンパクト化が図れる。 【0018】また、図2、図5の平面視で示すように、メインステップ(32)の両側部で補助ステップ(33)が連設されている壁面(33a)部分には、機体内方側に向かって凹部(32a)が形成されており、機体から降りるときに、その凹部(32a)と傾斜した壁面(33a)によって補助ステップ(33)の位置が確認しやすいようになっている。したがって、補助ステップ(33)に足を乗せたときには、補助ステップ(33)の全面で確実に足を支えることができ、安全に乗降することができるようになっている。そして更に、その壁面(33a)がメインステップ(32)の凹部(32a)より機体外下方に向かってやや傾斜して連設されていることから、平面視で開孔部(33e)が見えるように、即ち開孔部(33e)の外端部の辺(33d)が平面視にてメインステップ(32)の凹部(32a)より外側に位置するようになっており、メインステップ(32)上の泥などは補助ステップ(33)上には落ちずに、開孔部(33e)から地上に落下するようになっている。 【0019】また、補助ステップ(33)の前部側近傍で、メインステップ(32)の下面近傍には、断面略凹字型の角柱型ステー(36)の上面がボルトなどの固定手段によって取り付けられており、そのステー(36)の下面は、図12で示すフロントアクスルケース(37)に取り付けられている。なお、フロントアクスルケース(37)は車体フレーム(4)の前部に連結部材(37a)を介して固定される。補助ステップ(33)の連接部における前輪(2)側の側面(33b)はフロントアクスルケース(37)の上面近傍に配置されており、フロントアクスルケース(37)とメインステップ(32)とをステー(36)によって連結して、メインステップ(32)や補助ステップ(33)の鉛直方向下向きにかかる荷重を支えるようにしている。 【0020】つまり、このステー(36)によって、機体乗降時にメインステップ(32)や補助ステップ(33)にかかる鉛直方向下向きの荷重によるステップの撓みを有効的に少なくし、撓みによる足の滑りなどを防止するようにしている。そして、それと同時に、作業中にフロントアクスルケース(37)にかかる前輪(2)から来る鉛直方向上向きの荷重をそのステー(36)でもって支え、互いに補強し合う関係、即ちステップステーとフロントアクスルケースステーをこのステー(36)で兼用して全体の部品点数を減らすようにし、軽量化及びコストダウンを図るようにしている。その他、メインステップ(32)の前部で左右のペダル用開口部(34a)(34b)には縁部(32b)を設けないようにし、メインステップ(32)のペダル下部分に溜まる泥や水などをその開口部(34a)(34b)から抜くことができるようにして、ペダル踏み込み時の滑りや誤操作等を防止して、安全性を高めるようにしている。 【0021】また、メインステップ(32)や前部カバー(21)のサブステップ(23)の上面には、図10、図11で示すように、凸状の突起の中央を凹ませた滑り止め部材(35)がそれらメインステップ(32)やサブステップ(23)と一体的に多数、しかも格子状に並んで突設されている。したがって、従来のようにステップクッション等を別途使わないで済むため、部品点数を減少させることができ、コストダウンや生産工程の削減が図れる。また、滑り止め部材(35)をこのような形状にすることにより滑り止め効果が高められ、機体前方での乗降や予備苗載台(90)から苗載台(91)への苗マット移送作業時の安全性が確保できる。そして、特に滑り止め部材(35)が格子状に配設されていると、排水・排泥効果が高く、滑り止め部材(35)間の泥詰まりを防ぐことができる。 【0022】一方、前部カバー(21)は、図6で示すように、エンジン(5)を被装する中央のボンネット(22)と、ボンネット(22)の両側に設けられて予備苗載台(90)への通路用となるサブステップ(23)を有している。そして、エンジン(5)の上方位置に燃料タンク(136)が配設できるように、ボンネット(22)の上部は開口している。この前部カバー(21)はペダル部分で後部カバー(30)と分割されるようになっており、車体フレーム(4)上で機体前後水平方向に前方よりスライド移動させることによって、脱着可能に構成されている。したがって、車体フレーム(4)が前部カバー(21)を脱着するときのいわゆるガイド部材になっており、前部カバー(21)の下面と車体フレーム(4)の上面とが略同一高さになっている。 【0023】このように、前部カバー(21)をペダル部分で後部カバー(30)と分割し、前方からスライド移動させて脱着するように構成すると、ペダル用開口部(34a)(34b)は少なくともブレーキペダルや主クラッチペダル等の支柱(73a)(74a)部分のスペースが確保されていればよくなり、その開口部(34a)(34b)の大きさを小さくすることができて、他のステップ部分などにおいて、デザインの自由度を向上させることができる。また、操向ハンドル(8)のステアリング等、ステップ上方に位置する部品に関係なく、前部カバー(21)の脱着が行えるようになるため、エンジン(5)などのメンテナンス性が向上し、そのような作業を容易に行うことができる。そして、車体フレーム(4)の上面が前部カバー(21)のガイドとなっているため、別途ガイド部材を設ける必要がなく、部品点数の減少によるコストダウンを図ることができる。 【0024】また、前部カバー(21)は図7、図8で示すように、ノブネジなどの把持部付締結具(25)によって車体フレーム(4)に固定されるようになっており、その締結具(25)の操作により簡単に脱着が行えるように構成されて、コストダウンが図られている。把持部付締結具(25)は車体フレーム(4)の下方から、車体フレーム(4)に設けられた固定部(24)に穿設された貫通孔(24a)を通して、前部カバー(21)のサブステップ(23)側下面に螺合するようになっており、サブステップ(23)上面に把持部付締結具(25)によるデザインの影響がないようにするとともに、乗降時や苗マット補給時などの作業時において、ボンネット(22)脇のサブステップ(23)を通るときに足等を引っかけることがないようにしている。 【0025】また、車体フレーム(4)の固定部(24)には、前部カバー(21)と車体フレーム(4)との取付位置に僅少な誤差があっても取り付けられるように融通機構が設けられている。この融通機構は、例えば固定部(24)に穿設する貫通孔(24a)を長孔状に形成するなどして構成されるもので、これら各部品の寸法に若干のばらつきがあっても、その融通機構によって調節ができるようになっており、確実に前部カバー(21)を取り付けることができるようになるとともに、前部カバー(21)の管理や品質の向上が図れるようになっている。なお、このときの貫通孔(24a)の形状は、図3、図7で示す前後方向に長いもの以外に、図9で示すように、機体幅方向に長いものや、前後及び機体幅方向に長い十字状に組み合わせたものでもよく、任意である。 【0026】また、把持部付締結具(25)が作業中に振動で緩んで外れることがないように、締結具(25)の軸芯方向に略直交する水平方向から平頭ピンなどの規制具(26)を突出させて、把持部付締結具(25)の凹んだ把持部分に係合させ、締結具(25)の回転を規制するようにしている。なお、このとき、規制具(26)は車体フレーム(4)に設けられたステー(29)の孔に挿通されて前記水平方向に摺動自在になっているため、スナップピンなどの係脱自在位置決め具(27)によって、その摺動を抑制するようにしている。すなわち、例えば規制具(26)に複数の孔(26a)を所定間隔で設け、ステー(29)の両側に位置した孔にその位置決め具(27)を差し込んで、規制具(26)が摺動しないようにするのである。 【0027】このような構成によれば、規制具(26)が曲がるか、抜けるかしないと締結具(25)との係合は解除されないので、安全性は確保される。また、2つの係脱自在位置決め具(27)によって位置決め固定しているため、締結具(25)側の位置決め具のみを外すだけで、簡単に規制具(26)は摺動可能となり、締結具(25)に対する規制具(26)の係合が容易に解除できるようになっている。なお、このとき、規制具(26)には、もう一方の位置決め具が差し込まれたままになっているので、前部カバー(21)の取り外し操作時等において、規制具(26)が紛失するようなことはない。また、規制具(26)に対し、締結具(25)が回転する方向に力が加わっても位置決め具(27)には直接力が加わらないので、作業中に位置決め具(27)が外れるようなことはなく安全である。その他、前部カバー(21)の例えばペダル部分近傍を屈曲可能に形成して、ボンネット(22)が上方へ回動可能になるように構成してもよく、この場合はエンジン(5)などのメンテナンス時において、前部カバー(21)を取り外す作業をしなくてもよく、容易に作業を行うことができる。 【0028】また、後部カバー(30)の下方にはミッションケース(6)のほぼ全体が配置されるが、このとき、ミッションケース(6)の前部上面がメインステップ(32)の前部下面に当接しており、鉛直方向下向きの力が多くかかるメインステップ(32)をミッションケース(6)で好適に支えるようにしている。したがって、メインステップ(32)の強度を向上させることができるともに、車体フレーム(4)に別途ステップ支持部材を設ける必要がなくなり、部品点数を減少できてコストダウンが図れるようになっている。そして、この当接部分において次のように構成すると、ミッションケース(6)に対する後部カバー(30)の位置決め精度を向上させることができる。 【0029】すなわち、図12、図13で示すように、ミッションケース(6)の前部上面ほぼ中央に凸部(6a)を設け、メインステップ(32)の前部下面ほぼ中央に凹部(32c)を設けて、それらを互いに嵌合させることにより、両者を位置決めして当接させるようにする。なお、凸部(6a)及び凹部(32c)は円錐台などの形状のように、側面視で側面を傾斜させてテーパー状に形成することが望ましく、これによれば、その傾斜した側面がガイドになって後部カバー(30)の位置決め精度を更に向上させることができ、組立性を向上させることができる。なお、ミッションケース(6)に凹部を設け、後部カバー(30)に凸部を設けるようにしてもよい。 【0030】また、ミッションケース(6)は、後部がメインステップ(32)の下面から離れていくように、即ち、図4、図12で示すように、前低後高に形成された車体フレーム(4)の前後方向略中央下部より車体フレーム(4)の後端部の後下方まで延出された前後方向に長く形成されており、図1で示す側面視において前高後低に配置されている。したがって、ミッションケース(6)の後部上方に、植付部(9)へのPTO伝動軸(158)や植付部(9)を昇降させる昇降シリンダー(15)及び各種操作レバー関係などを配置できる有効なスペースが確保でき、機体全長を短くすることができるとともに、無駄のないシンプルな配置構成をとることができて、設計の自由度を向上させることができるようになっている。 【0031】このミッションケース(6)は車体フレーム(4)に対して、その最前部近傍と最後部近傍及び中間部近傍において固定されているが、ミッションケース(6)の最前部近傍は、エンジン(5)が載置される支持部材(50)に、支持部材(50)から斜め内側後下方に向かって延設されている取付部材(51)を介して固定されている。したがって、重量物であるエンジン(5)の荷重をミッションケース(6)でも支えることができるようになっており、その荷重はミッションケース(6)を圧縮する方向にかかるようになっている。したがって、エンジン(5)の振動を剛性のあるミッションケース(6)で抑制することができるようになるとともに、車体フレーム(4)自体を軽量化でき、そのコンパクト化が図れるようになっている。 【0032】また、車体フレーム(4)を構成するサイドフレーム(41)(42)は前後方向略中央部(41a)(42a)より上方に向かって屈曲するように形成されており、その屈曲し始める中央部(41a)(42a)付近の機体幅方向にセンターフレーム(46)が架設されている。そして、このセンターフレーム(46)の機体幅方向略中央に設けられた取付部材(47)に、ミッションケース(6)の中途部(6b)が連結されている。なお、この中途部(6b)は後方に向かって突出しているPTO軸(65)の直上部に位置している。そして、ミッションケース(6)の後部に一体的に設けられているリアアクスルケース(38)に取付プレート(39)を介して連結されている後部連結フレーム(43)(44)の上端部(43a)(44a)と、前記サイドフレーム(41)(42)の後端部(41b)(42b)とが一体的に連結され、サイドフレーム(41)(42)と後部連結フレーム(43)(44)とミッションケース(6)とで側面視略三角形状のフレームを構成するようになっている。 【0033】サイドフレーム(41)(42)の後端部(41b)(42b)と後部連結フレーム(43)(44)の上端部(43a)(44a)とが連結された部分、即ち略三角形状を構成する最上側の頂点部にはリアフレーム(48)が機体幅方向に架設され、そのリアフレーム(48)上に、後部カバー(30)の運転席設置部(31)の下面後側が載置固定されるとともに、連結部材を介して運転席(7)の後部支持部材(72)が連結されている。また、サイドフレーム(41)(42)の中央部(41a)(42a)と後端部(41b)(42b)の略中間に立設されて機体幅方向に架設されたパイプステーなどの支持部材(49)上に、設置部(31)の下面前側が載置固定されるとともに、連結部材を介して運転席(7)の前部支持部材(71)が連結されている。 【0034】このように略三角形状を構成するフレームの頂点部の丁度真上に運転席(7)の後部が来るように配置し、車体フレーム(4)の中央部(41a)(42a)と、車体フレーム(4)の後端部(41b)(42b)を支持する後部連結フレーム(43)(44)の後下端部(43b)(44b)とをミッションケース(6)で支持するように構成すると、運転席(7)にかかる鉛直方向のほとんどの荷重をその頂点部及びミッションケース(6)で強固に支持することができるようになるため、車体フレーム(4)自体にそれほどの剛性を要求しなくてもよくなり、車体フレーム(4)の軽量化が図れるとともに、部品点数の削減が図れる。そして、運転席(7)の前部も従来のように後部カバー(30)で支持するのではなく、車体フレーム(4)に立設したパイプステー(49)によって支持するため、後部カバー(30)が撓むような不具合は生じない。また、車体フレーム(4)を側面視三角形状に構成することにより、その内方側部分におけるスペースの有効利用を図ることができ、機体全体のコンパクト化が図れるようになっている。 【0035】また、前述したように、サイドフレーム(41)(42)の機体幅方向に架設する補強用センターフレーム(46)の平面視略中央には、ミッションケース(6)の中途部(6b)が連結される取付部材(47)が設けられており、その取付部材(47)の他端には、植付部(9)を昇降させる油圧式昇降シリンダー(15)の基部(15a)が連結されている。そして、ミッションケース中途部(6b)の連結点(47a)とセンターフレーム(46)の固定点(47b)と昇降シリンダー(15)の取付点(47c)が、側面視で昇降シリンダー(15)の力が加わる直線方向とほぼ同一直線上に位置するように、順に配設されている。 【0036】したがって、車輪からのミッションケース(6)にかかるねじれ力に対する強度を増大させることができるとともに、センターフレーム(46)には主に昇降シリンダー(15)による引張圧力しかかからないため、更に強度上有利となり、これによっても車体フレーム(4)自体の軽量化、コンパクト化が実現できて、コストダウンを図ることができる。以上、ここで述べてきたように、車体フレーム(4)にミッションケース(6)の前、後、中央を連結させるだけで、車体フレーム(4)の水平、垂直、ねじり方向の剛性及び強度を向上させることができる。そして、その少ない取り付け箇所にもかかわらず、ミッションケース(6)は車体フレーム(4)と共に有効な田植機の強度補強部材になっている。 【0037】その他、植付部(9)を昇降させる昇降シリンダー(15)には、植付部(9)の昇降駆動を自動的に停止させる昇降駆動解除機構が設けられている。この昇降駆動解除機構は、図14、図15で示すように、昇降シリンダー(15)の基部(15a)の先端に係合部材(16)を設けるとともに、その係合部材(16)に支点軸(17)を中心に回動可能となるアーム(18)を設け、そのアーム(18)の一端部(18a)をシリンダーロッド(15b)に当接させるとともに、他端部(18b)を植付昇降レバー(77)のデイテントプレート(155)に連結部材であるコイルバネ(154)を介して接続されているワイヤー(19)に連結して構成している。 【0038】したがって、昇降シリンダー(15)のシリンダーロッド(15b)が縮んでアーム(18)を図14、図15で示す矢印方向へ回動させると、ワイヤー(19)が図示の矢印方向へ引っ張られることになり、植付昇降レバー(77)を元の中立位置に自動復帰させる。このような構成によれば、ワイヤー(19)が短くて済むため、信頼性が向上するし、植付昇降レバー(77)のデイテントプレート(155)に昇降駆動解除機構用のワイヤー(19)を接続しているので、部品点数の削減を図ることができ、構造も非常に簡単になって軽量化が図れ、コストダウンを図ることができる。なお、昇降シリンダー(15)の作動油はミッションケース(6)内からサクション(156)及び油圧ポンプを介して供給されている。 【0039】次に、ミッションケース(6)の内部機構について図16乃至図20を基に説明をすると、ミッションケース(6)の前部には走行変速機構が内設される変速室(60)が形成され、変速室(60)の左右両側面にフロントアクスルケース(37)が一体的に固設されている。そして、フロントアクスルケース(37)の左右端部より下方に向かって車軸ケースが固設され、車軸ケースの下端部に前輪(2)を固設する前車輪軸(66)が軸支されている。ミッションケース(6)の後端部には軸芯を左右方向に持つ筒状のリアアクスルケース(38)が一体的に形成され、リアアクスルケース(38)内に後車輪駆動軸(69)が軸支されている。そして、後車輪駆動軸(69)の左右両端部に後輪(3)が固設され、従来のような伝動ケースを廃止した構成になっている。このように、フロントアクスルケース(37)とリアアクスルケース(38)をミッションケース(6)に一体的に設けると、ミッションケース(6)で各車輪(2)(3)を支持することができ、前述のように機体強度補強部材としてのフレームの一部を担うことができるので、車体フレーム(4)への負担を低減することができる。なお、ミッションケース(6)の内面には複数のリブ(6f)が形成されて断面係数が高められており、ミッションケース(6)は剛性のあるケースとなっている。 【0040】ミッションケース(6)の上下方向に膨出した前部には、前述のように、内部に変速機構やPTO軸(65)が配設される変速室(60)が形成されており、この上方に膨出させた変速室(60)の上後部には前後方向に軸芯を有するPTO軸(65)が軸支されている。このように、ミッションケース(6)は後側が変速室(60)の後部より一段低く、即ち変速室(60)の上後部はミッションケース(6)の後部側上面より上方に膨出した形状に形成され、その膨出した変速室(60)の後面より後方に向かってPTO軸(65)の後端部が突出している。また、ミッションケース(6)の後部が、前述のように斜め下方に向かって傾斜して配置されているので、PTO軸(65)に接続されるユニバーサルジョイント部(159)を有するPTO伝動軸(158)を通すスペースを広くとることができ、そのユニバーサルジョイント部(159)及びPTO伝動軸(158)等を余裕をもって配置することができる。そして、植付部(9)を昇降させたときにもそれらが干渉するようなことはなく、PTO軸(65)の動力を安定して植付部(9)へ伝達することができる。 【0041】ミッションケース(6)の変速室(60)の上部には、左右方向に入力軸(56)が軸支され、入力軸(56)の左端部が外側に突出されて従動プーリー(55)が固設され、エンジン(5)の左側面より側方に突出されている出力軸(52)に固設された駆動プーリー(53)からの動力が、ベルト(54)を介してミッションケース(6)内に入力されている。そして、このベルト(54)はテンションアーム(57)の先端に取り付けられたテンションローラー(58)によって緊張されるように構成されており、主クラッチペダル(74)の踏み込み操作や苗継ぎレバー(76)のシフト操作に連動して動力の断接が行われるようになっている。また、エンジン(5)側の駆動プーリー(53)とミッションケース(6)側の従動プーリー(56)に巻回されているベルト(54)と、ミッションケース(6)とは略直線上に配設されており、前輪(2)及び後輪(3)に動力を伝達する動力伝達経路が省スペースで効率のよい配置構成となっている。 【0042】入力軸(56)の前下方には主変速軸(61)が軸支され、主変速軸(61)の前下方には前車輪駆動軸(62)が軸支され、入力軸(56)に入力した動力が略前下方に伝達されるようになっている。そして、前輪(2)の前車輪軸(66)は前車輪駆動軸(62)の鉛直方向下方に配置されており、入力軸(56)の動力を直線状に鉛直方向下方へ伝達する動力伝達経路が構成されている。このため、動力伝達経路を短くすることができ、動力損失の少ないシンプルな構成にすることができるとともに、車軸ケースの上下方向の長さを短くすることができ、コストダウンを図ることができる。そして、入力軸(56)の前方で主変速軸(61)の上方には副変速軸(63)が軸支されており、入力軸(56)と主変速軸(61)は側面視において副変速軸(63)を頂点とする略二等辺三角形状に配置されており、ミッションケース(6)内の構成がシンプルになっている。また、後輪(3)を駆動する後車輪駆動軸(69)への駆動力は、入力軸(56)と前車輪駆動軸(62)との間の主変速軸(61)からチェーン(70)を介してミッションケース(6)後下方の後車軸駆動部に伝達されており、ミッションケース(6)の配設方向である前高後低方向に動力伝達経路が構成されている。 【0043】すなわち、このミッションケース(6)後部の後車軸駆動部にはミッションケース(6)の配設方向に沿った後下方向きに従動軸(67)、カウンター軸(68)、後車輪駆動軸(69)が順に配設されており、チェーン(70)が従動軸(67)に伝達され、カウンター軸(68)を介して後車輪駆動軸(69)に動力が伝達されて、後車輪駆動軸(69)への駆動伝達経路をミッションケース(6)の配設方向に合わせた前高後低の直線状に伝達し、シンプルかつ省スペースで効率のよい動力伝達経路の配置構成としている。また、この動力伝達経路は最短経路になるため、チェーン(70)の長さを短くすることができてコストダウンを図ることができ、更には後車輪駆動軸(69)の高さ位置が車体フレーム(4)よりも下方位置になるため、後輪(3)の車輪を小径とすることができ、走行車両の小型化が図れるようになっている。なお、ここでは後車軸駆動部に動力を伝達する構成としてチェーン(70)が用いられているが、動力を伝達する構成としてはチェーン(70)のような無端体に限定されるものではなく、伝動軸を用いることもできる。 【0044】ミッションケース(6)後部の後車軸駆動部には、動力断接機構と制動機構が配設されており、図17で示すように、従動軸(67)の左右中央部にはボス部(101)が固設され、ボス部(101)の外周面上にスプロケット(100)が固設されてチェーン(70)が巻回されている。ボス部(101)の左右両側の従動軸(67)には摺動ギア(102)がスプライン嵌合されており、摺動ギア(102)とサイドクラッチ(103)とが歯数を同じにして一体成形されて部品点数の削減が図られるとともに、組立がしやすいように構成されている。摺動ギア(102)にはカウンター軸(68)に枢支した内ギア(104)が噛合され、内ギア(104)に一体的に形成した外ギア(105)には後車輪駆動軸(69)に固設するギア(106)が噛合されている。 【0045】また、摺動ギア(102)にはミッションケース(6)下面に枢支した操作軸(107)に固設するフォークが嵌合され、操作軸(107)下部に固設するアーム(108)を回動操作することで、操作軸(107)が回動し、摺動ギア(102)が摺動される。摺動ギア(102)を内側に摺動させると、摺動ギア(102)内側がボス部(101)内に係合されて動力が伝達され、後車輪駆動軸(69)が駆動される。摺動ギア(102)を外側に摺動させると、ボス部(101)と摺動ギア(102)との係合が外れ、動力の伝達が離脱されると同時に、摺動ギア(102)の外側端部に形設したパットと挟持体によって構成されるブレーキ機構(130)が作動し、摺動ギア(102)の回動が制動されて後車輪駆動軸(69)の回動が停止される。 【0046】一方、入力軸(56)の後方にPTO入力軸(64)が軸支され、そのPTO入力軸(64)からベベルギア(64a)(65a)を介して前後方向に軸芯を有する伝達軸(65b)に動力を伝達し、PTOクラッチ(109)を介してPTO軸(65)に動力を伝達しており、入力軸(56)より水平方向後方に向けて動力を伝達し、後方の植付部(9)に動力を伝達するようにしている。また、PTO軸(65)への動力の断接を行うPTOクラッチ(109)にはギア式クラッチが用いられており、伝達軸(65b)には前後方向中央部に筒体(65c)が遊嵌され、筒体(65c)が遊嵌されていない伝達軸(65b)の前部にクラッチギア(110)が固設され、筒体(65c)の前部に摺動クラッチギア(111)がスプライン嵌合されている。 【0047】摺動クラッチギア(111)にはミッションケース(6)側面に軸支される操作軸(112)に固設するフォークが嵌合され、操作軸(112)が運転席(7)の近傍位置に配置されるPTOクラッチレバーを兼用する植付昇降レバー(77)に連動連結されており、植付昇降レバー(77)を操作してクラッチギア(110)と摺動クラッチギア(111)とが噛合され、伝達軸(65b)の動力が後方のPTO軸(65)に伝達されるようになっている。なお、筒体(65c)後部にはギア式クラッチの摺動クラッチギア(113)が摺動自在にスプライン嵌合され、圧縮バネ(114)によってPTO軸(65)の前部に固設するクラッチギア(115)に噛合する方向に付勢されており、PTO軸(65)に動力を伝達する安全クラッチ(116)が形成されている。この安全クラッチ(116)は植付部(9)側の動力伝達機構に負荷がかかった場合に、ミッションケース(6)側で動力伝達を離脱するようになっており、植付部(9)の構成がシンプルになるようにしている。 【0048】入力軸(56)には走行用ギア(117)と後進用ギア(120)が固設され、副変速軸(63)には走行用の第1変速ギア(118)と第2変速ギア(119)が固設されている。また、PTO軸(65)への動力は、図18で示すように、入力軸(56)の動力が株間変速される変速機構を介して伝達されており、従来の植付ミッションケースが廃止されている。すなわち、入力軸(56)の端部にはミッションケース(6)側面より側方に突出して株間変速を行う第1減速ギア(121)が固設されるとともに、PTO入力軸(64)の端部にもミッションケース(6)の側面より側方に突出して株間変速を行う第2減速ギア(122)が固設され、第2減速ギア(122)と第1減速ギア(121)とを噛合させることで株間変速が行われ、PTO軸(65)への動力を伝達している。また、この株間変速を行う第1減速ギア(121)と第2減速ギア(122)の側面は着脱自在にカバー(123)で被装され、カバー(123)を外すことで容易に第1減速ギア(121)と第2減速ギア(122)を組み替えることができ、仕様に合わせた株間変速が行えるようになっている。このようにミッションケース内に植付部(9)の変速機構を配置すると、植付部(9)の構成をよりシンプルな構成にすることができる。 【0049】また、図18で示すように、入力軸(56)の前下方に配置した主変速軸(61)には軸芯方向に摺動される走行変速ギア(124)がスプライン嵌合されており、走行変速ギア(124)は大径ギア(125)と小径ギア(126)とを横方向に一体的に固設するギアで構成されるとともに、主変速レバー(75)の操作に連動して左右方向に摺動するフォークに嵌合されている。主変速軸(61)のミッションケース前後方向左側にはスプロケットとギアが一体となった動力分岐ギア(127)が固設されており、この動力分岐ギア(127)のギアには左右の前車輪駆動軸(62)を駆動するデフ機構(128)のリングギアが噛合され、動力分岐ギア(127)を用いて動力を2方向に分岐している。 【0050】デフ機構(128)の側部にはデフロック機構(129)が配置されており、主変速レバー(75)を中立位置より前方に回動させると、走行変速ギア(124)がミッションケース前後方向左側に摺動され、小径ギア(126)と副変速軸(63)上の第2変速ギア(119)とが噛合されて主変速軸(61)を高速回転させることにより、各車輪(2)(3)を高速で回動させる通常走行が行われる。また、主変速レバー(75)を中立位置より1段階後方に回動すると、走行変速ギア(124)がミッションケース前後方向右側に摺動されて、大径ギア(125)と副変速軸(63)上の第1変速ギア(118)とが噛合され、主変速軸(61)が低速回転されて各車輪(2)(3)を作業速度で駆動するとともに、前進側に2段階の変速が行われる。 【0051】また、主変速レバー(75)を後方に回動すると、走行変速ギア(124)がミッションケース前後方向右側に更に摺動され、入力軸(56)上の後進用ギア(120)が図示しない主変速軸(61)上のギアと噛合され、主変速軸(61)が逆転回動されて、各車輪(2)(3)を後進回動させている。このように、入力軸(56)を後進変速用のギアを有するカウンター軸として使用し、ミッションケース内の変速機構をPTO側への入力軸であるPTOカウンター軸を省いたシンプルな変速機構に構成しても、通常走行、作業走行、後進走行といった必要最小限の走行変速を行うことができるようになっている。 【0052】また、このような変速機構を有するミッションケース(6)において、図16、図17で示すように、油圧式昇降シリンダー(15)からの戻り油管(157)がミッションケース(6)の後部側ほぼ中央に設けられるとともに、ミッションケース(6)内の油を吸引するためのサクション(156)がミッションケース(6)前部の変速室(60)下部に設けられている。このように、戻り油管(157)がサクション(156)から離れて配設され、更にはサクション(156)と戻り油管(157)とがチェーン(70)を挟んで対向するように配設されていると、戻り油管(157)からミッションケース(6)内に戻される高温の油をチェーン(70)の駆動によって後下方へ送って撹拌することができるようになり、ミッションケース(6)内を対流する間に十分に冷却することができるようになる。したがって、高温の油が前方のサクション(156)側へすぐに移動することを防止でき、ミッションケース(6)内の油の温度をほぼ均一にすることができる。 【0053】また、ミッションケース(6)の前部下端部より内方側、即ち変速室(60)の下部でサクション(156)の前方には左右のブレーキロッド(131)を作動させるブレーキシャフト(132)を通す貫通孔(133)が穿設されており、ミッションケース(6)でブレーキ機構を支持するようになっている。したがって、別途支持部材を設ける必要がなく、その部分のスペースをコンパクトに設計できる。ブレーキ機構にはブレーキペダルが1本である1ブレーキ機構とブレーキペダルが2本である2ブレーキ機構があり、1ブレーキ機構の場合は、図24、図25で示すように、ブレーキペダル(73)を踏み込み操作すると、それに連動してブレーキシャフト(132)が回動し、ブレーキシャフト(132)に連動連結されているブレーキロッド(131)が両方同時に作動して、ブレーキロッド(131)後端部に連動連結されているアーム(108)が両方同時に回動し、摺動ギア(102)が左右両側に摺動して動力伝達が離脱されると同時に、両方のブレーキ機構(130)が作動して左右両後車輪駆動軸(69)が制動され、走行車両(1)を停止させるようになっている。 【0054】また、2ブレーキ機構の場合には、図22、図23で示すように、左右に分かれたブレーキペダル(73a)(73b)のどちらか一方を踏み込み操作すると、それに連動して2重の筒体で構成されたブレーキシャフト(132)のどちらか一方の筒体が回動するようになっており、それぞれの筒体に連動連結された左右のブレーキロッド(131)が別々に作動するようになって、左右別々にブレーキ機構(130)が作動するようになっており、1ブレーキ機構のように両方同時にブレーキをかけたいときには、左右のブレーキペダル(73)を連結する連結具(135)を用いるようになっている。 【0055】エンジン(5)の後方で、かつミッションケース(6)の前方には操向ハンドル(8)のステアリングシャフト(81)が配置されており、このステアリングシャフト(81)は直状に形成されている。そして、ステアリングシャフト(81)の下端に配設されているステアリング駆動部(80)がエンジン(5)の下方に位置するように配設され、側面視及び平面視においてエンジン(5)とオーバーラップしている。また、このステアリング駆動部(80)は、図25の側面視で示すように、車体フレーム(4)に取り付けられた前高後低型のミッションケース(6)の前部側最下面(6c)と後部側最下面(6d)を結ぶ接線(T)より上方側で、かつ機体前方側近傍に配置され、特にそのステアリング駆動部(80)の取付角度と前記ミッションケース(6)の最下面における接線(T)の角度とがほぼ同一の角度か、それ以上になるように配置されている。そして更に、図25の側面視で示すように、直状のステアリングシャフト(81)の傾斜角度と同角度に、即ちステアリングシャフト(81)と略平行になるようにミッションケース(6)の前上面(6e)が傾斜形成されており、ミッションケース(6)とステアリングシャフト(81)とが互いに干渉するのを回避できるようになっている。 【0056】このようにエンジン(5)とミッションケース(6)が前後に並んで配置され、その間に直状のステアリングシャフト(81)が配設可能に構成されていると、従来のようなステアリングギアケース等のジョイント部を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。したがって、ミッションケース(6)の簡素化や省スペース化が実現でき、その部分におけるスペースの有効利用を図ることができる。また、ステアリング駆動部(80)が平面視でエンジン(5)とオーバーラップしていると、従来に比べて機体全長を短くすることができ、かつ、エンジン(5)下方の空間部を有効利用できるので、ステアリング駆動部(80)の設計の自由度を向上させることができる。そして更に、エンジン(5)を車体フレーム(4)よりも下方に突出させて配置しているので、ステアリング駆動部(80)も下方側に配設されることになり、低重心で作業性のよい転倒角の優れた田植機を実現することができる。また、圃場などに出入りする際、特に後進時においてはミッションケース(6)の膨出した前下部が泥除けになって、ステアリング駆動部(80)に泥が付着するのを極力防止することができる。 【0057】また、図21、図24で示すように、ステアリング駆動部(80)のステアリングギア(82)は、操向ハンドル(8)のステアリングシャフト(81)の下端部に設けられているギア(83)と噛合しており、操向ハンドル(8)の回動操作によって回動軸(84)を中心に回動し、ステアリングギア(82)の前部両側に連結されている左右一対のステアリングロッド(85)を作動させて前輪(2)の向きを変えるように構成されている。なお、ステアリングギア(82)のほぼ中央には操作軸(86)が挿通される左右方向に長い開孔部(82a)が穿設されており、ステアリングギア(82)の回動範囲をその操作軸(86)で規制するようにしている。そして、前述の1ブレーキ機構の場合には、ブレーキロッド(131)から前方に向かって更に延設された左右のサブブレーキロッド(134)の前端部が、このステアリングギア(82)に長孔(134a)とブレーキアーム(87)を介して連動連結され、操向ハンドル(8)の回動操作によって左右どちらか一方のブレーキがかかるように構成されている。 【0058】すなわち、図24、図25で示すように、ステアリングギア(82)の下部に操作軸(86)に枢支されたブレーキアーム(87)を設けるとともに、ブレーキアーム(87)の左右両端部に突設されたピン(88)をサブブレーキロッド(134)先端の長孔(134a)に挿通して取り付け、ステアリングギア(82)の開孔部(82a)後方の下面に突設された係合部(89)をステアリングギア(82)の回動によってブレーキアーム(87)に当接させて、そのブレーキアーム(87)を回動させるとともに、その回動範囲によっては長孔(134a)に挿通されているピン(88)を介して左右どちらかのサブブレーキロッド(134a)、つまりブレーキロッド(131)を作動させ、ブレーキロッド(131)に連動連結されているアーム(108)を介して、左右どちらか一方の摺動ギア(102)への動力の伝達を離脱して後車輪駆動軸(69)を制動するようになっている。このように、操向ハンドル(8)の回動操作によって左右どちらかのブレーキがかかるように構成されたり、2ブレーキ機構にしてそれぞれのブレーキを独立してかけられるように構成されているので、右旋回時又は左旋回時において旋回半径を小さくする急旋回が可能となっている。 【0059】燃料タンク(136)はボンネット(22)の上部開口から露出するエンジン(5)の上部に固設されたステー(137)に支持されて取り付けられており、図21、図26、図27で示すように、ステー(137)のタンク支持部(137a)をボンネット(22)よりも上方に位置するように突設し、そのタンク支持部(137a)の先端を燃料タンク(136)の側部に形成された取付部(136a)にボルトなどの固定手段によって取り付けて固定している。このような構成にすれば、ステーなどの燃料タンクの支持部材を簡素化でき、部品点数の削減を図れるるとともに、燃料タンク(136)を側部で支持するため、安定させて固定することができる。また、燃料タンク(136)の取り外しも容易に行えるので、メンテナンス性にも優れ、ボンネット(22)から露出しているエンジン(5)の上部に燃料タンク(136)が配設されるので、ボンネット(22)から露出する部分を最小にすることができ、外観が損なわれることもない。 【0060】また、燃料タンク(136)上面の給油口(138)近傍には、燃料こぼれ防止用の壁部(139)がステアリングシャフト(81)側を除いて略U字型の環状に一体的に突設されており、その燃料タンク(136)の後部がステアリングシャフト(81)に一部オーバーラップするように係合されて、燃料タンク(136)の位置決めがされるようになっている。そして、ステアリングシャフト(81)と燃料タンク(136)の後部及びステアリングシャフト(81)とボンネット(22)の後部には僅少な間隙が設けられており、燃料が給油口(138)からこぼれた場合には、ステアリングシャフト(81)部分に流出させるとともに、そのステアリングシャフト(81)を伝わって機体底部まで燃料が落下して排出されるように構成されている。したがって、比較的高温なエンジン(5)のマフラー(5b)部分に燃料がかかったり、ステップ上に燃料が流れ出るようなおそれはなく、このような簡単な構造で流出経路を確保することにより、安全性を高めることができるようになっている。 【0061】機体進行方向に向かって左側に配設される主クラッチペダル(74)の近傍には苗継ぎレバー(76)が設けられ、主クラッチペダル(74)や苗継ぎレバー(76)の操作により、エンジン(5)からミッションケース(6)内へ動力を伝達するベルト(54)のテンションを「切」状態にできるように構成されている。そして、それらの操作系において、一方の操作具を操作しても、他方の操作具には影響を与えないように、融通機構が設けられている。この融通機構は、例えば図19の側面視で示すように、苗継ぎレバー(76)の回動支軸(141)に設けられたブラケット(142)に枢支されている連動ロッド(140)に長孔(140a)を穿設して構成するもので、ベルトテンションを「入」・「切」するテンションアーム(57)に突設されたピンなどの嵌入部材(143)をその長孔(140a)に挿通して構成している。 【0062】したがって、苗継ぎレバー(76)を後方に向けて図19の矢印方向に回動操作すると、連動ロッド(140)が下方に向かって移動し、長孔(140a)に挿通された嵌入部材(143)を介してテンションアーム(57)を下方に回動して、テンションアーム(57)に取り付けられているテンションローラー(58)をベルト(54)から離し、ベルトテンションを「切」状態にするようになっている。一方、主クラッチペダル(74)を踏み込むと、図20で示すように、ペダル支柱(74a)に固設されたL字型ブラケット(144)に取り付けられたピンなどの押圧部材(145)が、テンションアーム(57)の回動軸(59)に固定されたカム(146)を押してテンションアーム(57)を下方に回動させるようになっており、これによってベルトテンションを「切」状態にするようになっている。このため、主クラッチペダル(74)を踏み込んでもテンションアーム(57)の嵌入部材(143)が連動ロッド(140)に穿設された長孔(140a)内を移動するだけで苗継ぎレバー(76)には何の影響も与えないし、苗継ぎレバー(76)を操作しても主クラッチペダル(74)に影響を与えないのは言うまでもない。 【0063】何れにしても、全動力を停止させる同一操作となる手動操作具である苗継ぎレバー(76)と足動操作具である主クラッチペダル(74)の2つを設けたので、機体に乗ったまま又は降りたままでもそれらの操作が可能となり、また、手動操作具であるレバーと足動操作具であるペダルなので、両者を識別して操作することが容易になって誤操作がない。そして更に、ベルトテンションを「切」状態にする機構にはワイヤー等を使用していないため、操作力が軽くて耐久性がよく、メンテナンスも容易にできる。その他、苗継ぎレバー(76)の「切」の位置にのみエンジン始動可能となる電気的なスイッチが設けられており、主クラッチペダル(74)を踏み込まなくてもリコイルスターター(153)を用いてエンジン(5)を始動させることができるようになっている。 【0064】また、テンションアーム(57)には、図19、図20で示すように、ミッションケース(6)側の従動プーリー(55)の回転を停止させるブレーキ部材(147)が固設されており、このブレーキ部材(147)は、テンションアーム(57)が下方に向かって回動することによって従動プーリー(55)を押圧するように構成されている。ブレーキ部材(147)の押圧部分は、バネ(148)などで従動プーリー(55)側に向けて付勢されたゴムなどの弾性体(149)で構成されており、押圧側より後退可能に構成されている。このように、ブレーキ部材(147)の弾性体(149)が従動プーリー(55)を押圧することによって回転を停止させ、機体全体にブレーキがかかるように構成すると、坂道でも走行車両(1)を停止させることができるようになって非常に安全になる。 【0065】なお、このブレーキ部材(147)は苗継ぎレバー(76)を操作してベルトテンションを「切」状態にしたときにのみ作用するもので、主クラッチペダル(74)の踏み込み操作では非作用状態となるように、それぞれの操作具を使用したときのテンションアーム(57)の回動範囲を考慮して設けられている。したがって、高速時において主クラッチペダル(74)を踏み込んでも急停止することがなく安全である。また、ブレーキ部材(147)の弾性体(149)はバネ(148)によって後退可能になっているため、苗継ぎレバー(76)の操作でも急激に停止することがなく安全である。また、弾性体(149)は摩耗したときのために交換可能に構成されており、メンテナンスが容易にできるようになっている。そして更に、その弾性体(149)を芯金に焼き付けすれば、耐久性を向上させることができる。 【0066】次に各種操作レバー類の配置等について説明をする。図26、図28乃至図30で示すように、各種レバー類は機体中央に位置している操向ハンドル(8)のステアリングコラム(150)、即ちステアリングシャフト(81)の下部側左右両側方に略対称に配設されており、機体前方に向かって平面視左側に走行操作系レバー類が集中配置され、右側にエンジン操作系レバー類が集中配置されている。なお、植付操作系レバー類は運転席(7)の右側方に集中配置されている。このように各機能を操作するレバー類がそれぞれの操作系において別々の箇所に集中配置されていると、各操作がわかりやすくなり、取り扱い性が向上して好ましいものとなる。なお、図示のものは左に走行操作系、右にエンジン操作系を配設してあるが、左右逆でも構わない。 【0067】更に具体的に説明すると、まず、走行操作系レバー類を配設する部分には側面視略水平となるレバーガイド部(150a)が形成されており、走行操作系のレバーである主変速レバー(75)と苗継ぎレバー(76)が前後方向への操作としてシフト移動可能に機体幅方向に並べて配置されるとともに、主変速レバー(75)が機体内方側に、苗継ぎレバー(76)が機体外方側にそれぞれ配置されている。このように、主変速レバー(75)と苗継ぎレバー(76)を配設するレバーガイド部(150a)が側面視略水平になっていると、レバーガイド部(150a)が傾斜起立しているものに比べて、同一ポジション位置、例えば主変速レバー(75)の場合、中立位置におけるレバーガイド面と平行なレバー断面積が小さくなり、したがって、各レバーのポジション位置が明確にわかるようになる。そして、使用頻度の高い主変速レバー(75)が運転席(7)に近い方に配設されていると、容易に変速操作が行える利点があるし、苗継ぎレバー(76)が外側に配設されていると、機体から降りて作業をする場合に操作がしやすくなる利点がある。つまり、機体側方から苗継ぎレバー(76)を用いて半クラッチによる速度調節やブレーキ操作を行うことができるので、圃場への出入や輸送車への積み下ろし等が容易にでき、また、機体から降りて植付位置を見ながら苗継ぎレバー(76)を操作できるため、畦越え寸前まで植え付けを行うことができ、最後に手植えを行う必要がなくなる。 【0068】一方、エンジン操作系レバー類を配設する部分には運転席(7)側に向かう起立面(150b)が形成され、機体内方側から順にキースイッチ(151)、チョーク(152)、リコイルスターター(153)の把持部(153a)が配設されて、その上方にアクセルレバー(78)の把持部が配設されている。したがって、主に運転席に座って行うそれらの操作が非常にしやすく、しかも機体内方側から操作力の少ない順番で配置されているため、各操作具の配置がわかりやすくなって操作性がきわめて向上し、作業性が非常によくなる。また、各操作具はエンジン(5)に近い位置に設けられているので、各操作具からエンジン(5)までの内部構造を簡略化することができる。 【0069】また、図31で示すように、苗継ぎレバー(76)の操作位置は機体前方より「入」、「切」となっており、主変速レバー(75)の操作位置は機体前方より「走行」、「中立」、「植付」、「後進」となっており、苗継ぎレバー(76)の「切」位置では機体内方側へレバー(76)を移動させるようにレバーガイド(76a)が略L字型に穿設され、主変速レバー(75)のレバーガイド(75a)も「植付」及び「後進」位置でレバー(75)が機体内方側へスライド移動するように穿設されている。そして、苗継ぎレバー(76)のレバーガイド(76a)の苗継ぎ(「切」)位置には、レバー(76)が機体前方に向かって極僅かに移動可能なように係止部(76b)が設けられており、苗継ぎレバー(76)を「切」位置、即ち全動力を停止させる苗継ぎ位置に移動させた際には、苗継ぎレバー(76)がバネの付勢力により前方に戻されて、その係止部(76b)に係止されるようになっている。そして、更にその「切」位置において、苗継ぎレバー(76)上端の把持部(76c)が図26で示す平面視で操向ハンドル(8)のステアリング外径より内方側に来るようになっているため、苗継ぎ作業時や乗降時等に、オペレーターが例えばサブステップ(23)上を通って移動しても苗継ぎレバー(76)に引っかかるようなことはなく、運転席(7)側より苗継ぎレバー(76)に不注意で接触したとしても、係止部(76b)より外れることがないので安全性が高い。なお、この安全機構はレバーガイド(76a)の形状を変えるだけなので実施が簡単であり、コストがかからない利点がある。 【0070】苗継ぎ時や植付時には、各レバー(75)(76)を機体進行方向と反対の方向、つまり手前側に引くように操作するようになっているため、オペレーターが力を入れやすく、特に苗継ぎレバー(76)の場合は苗継ぎ位置に入れやすくなって操作性が向上し、安全性において非常に優れたものとなっている。そして、植付作業中は主に主クラッチペダル(74)を踏んで主変速レバー(75)を操作するので、苗継ぎレバー(76)と主変速レバー(75)が2本並べられてあっても、苗継ぎレバー(76)は前方の「入」位置にあるため、主変速レバー(75)を使用頻度の高い「植付」又は「後進」位置にしても邪魔にならず、また、苗継ぎレバー(76)を「切」位置にして主変速レバー(75)を操作するときにも、「植付」や「後進」は機体内方側のポジションになるので支障がない。つまり、図21で示すように、主変速レバー(75)が「植付」又は「後進」にあり、かつ、苗継ぎレバー(76)が「入」のとき、側面視において、主変速レバー(75)と苗継ぎレバー(76)がオーバーラップしないように構成されているので、植え付け作業中に主変速レバー(75)を操作する際、苗継ぎレバー(76)が邪魔になるようなことは一切ない。なお、主変速レバー(75)上端の把持部(75b)も、図26で示すように、「植付」又は「後進」位置のときに、平面視で操向ハンドル(8)のステアリング外径より内方側に来るようになっているので、前述と同様に引っかかるおそれはなく、安全である。 【0071】また、運転席(7)の側方に配置した植付操作系の植付昇降レバー(77)をレバーガイド(77a)の前端位置にシフトしたとき、そのレバーガイド(77a)近傍において植付昇降レバー(77)を屈曲形成すると、図14で示すように、植付昇降レバー(77)をレバーガイド(77a)の後端位置にシフトさせたときに、直状のレバーよりも更に後方にレバー(77)の支点軸(77b)近傍を傾倒させることができる。すなわち、レバーガイド(77a)の位置に対して、植付昇降レバー(77)が前端側にシフトされているときには、植付昇降レバー(77)の屈曲部分がレバーガイド(77a)より上面にあり、後端側にシフトされているときには、植付昇降レバー(77)の屈曲部分がレバーガイド(77a)より下面にあるようにすると、植付昇降レバー(77)のストロークに対してレバーの回動範囲を広くとることができるようになり、したがって、小さなレバーガイド(77a)で済むようになるため、レバーガイド(77a)のコンパクト設計が可能となる。なお、植付昇降レバー(77)だけではなく、苗継ぎレバー(76)なども同様である。 【0072】最後に昇降自在な植付部(9)について説明をする。まず、植付部(9)を一定の高さに保持する均平用のセンターフロート(97)とサイドフロート(98)(99)との支持構成について説明すると、図1で示すように、植付部(9)の動力伝達部である植付伝動フレーム(92)の下部に支点軸(161)が左右のサイドフロート(98)(99)の幅に合わせて横設されるとともに、支点軸(161)の適所位置より後下方の各フロートの後部に向けて支持アーム(162)が突設され、各フロートの後部上に枢支されている。また、支点軸(161)より前方に操作アーム(163)が突出され、操作アーム(163)の後端部より上方に向かって植深さ設定レバー(79)が設けられている。このため、オペレーターが植深さ設定レバー(79)を操作しやすく、容易に調整することができるようになっている。 【0073】そして、この植深さ設定レバー(79)を操作すると、支持アーム(162)の後端が支点軸(161)を中心に上下動し、各フロートと支点軸(161)との上下間隔が調整されて、植付部(9)の高さが上下動され、植付爪(93)によって切り取った苗を一定の深さに植え付けることができるようになっている。また、植深さ設定レバー(79)と略左右対称の位置には植付本数調節レバーが配設されており、植深さ設定レバー(79)や植付本数調節レバーの中途部には上部支持フレーム(190)に固設されるレバーガイドが設けられ、各レバーがそのレバーガイド内を貫通するとともに、レバーガイドに形設されているラッチに係合されるようになっている。 【0074】図32で示す植付部は4条植用であるため、植付爪(93)が4本設けられており、植付爪(93)に駆動力を伝達する伝動パイプ(164)(165)が左右に1本ずつ配設されている。そして、その伝動パイプ(164)(165)の前部が連結パイプ(166)で連結され、平面視門型の植付伝動フレーム(92)が一体的に形成されるとともに、門型の開放側が後方に向けられて、左右の開放側端部の左右両側に植付爪(93)が配置されている。なお、この伝動パイプ(164)(165)と連結パイプ(166)の内部には伝動軸が軸支されている。このように植付伝動フレーム(92)が構成されていると、製造コストが低くて済み、剛性が高いわりには軽量化されるので植付部(9)全体の重量を低減することができ、昇降リンク機構(10)や車体フレーム(4)への負担を低減することができる。 【0075】また、植付伝動フレーム(92)の伝動パイプ(164)(165)と連結パイプ(166)は棒状のパイプ型で形成されており、伝動パイプ(164)(165)と連結パイプ(166)は平面視T字型形状のT型パイプ(167)(168)によって連結されており、T型パイプ(167)(168)は横パイプ(167a)(168a)と縦パイプ(167b)(168b)とで形成されている。伝動パイプ(164)(165)の後端部にはT型パイプ(169)(170)が連結され、前部に配置したT型パイプの内で一方の側(図示のものは右側)のT型パイプ(167)には横パイプ(167a)が前後方向に配置され、横パイプ(167a)内に伝動パイプ(164)前部が挿入されるとともに、縦パイプ(167b)内に連結パイプ(166)の一方の側が挿入されている。前部に配置されたT型パイプの内で他方の側(図示のものは左側)のT型パイプ(168)は連結パイプ(166)の軸心に横パイプ(168b)の軸心が一致しており、その横パイプ(168b)内に連結パイプ(166)が挿入されるとともに、縦パイプ(168a)内に伝動パイプ(165)前部が挿入されている。また、後部に配置したT型パイプ(169)(170)は、横パイプ(169b)(170b)の軸芯が左右方向に配置され、横パイプ(169b)(170b)の両側に配置するクランク機構(171)に動力を伝達するようになっている。 【0076】また、植付伝動フレーム(92)には駆動ケース(172)やクランク機構(171)、上部支持フレーム(190)を支持する支持部が固設されており、伝動パイプ(164)(165)の後部に配置したT型パイプ(169)(170)の後部には、後上方向きにクランク支持アーム(173)が突設され、左側伝動パイプ(165)の前部に配置するT型パイプ(168)の前部には、前上方向きにケース支持アーム(174)が突設されるとともに、連結パイプ(166)の右側前部より前上方向きに横軸支持アーム(175)がケース支持アーム(174)と平行に突設され、更に連結パイプ(166)の左右中央部より前方にローリング支点軸(176)を嵌合する筒体(177)が固設されている。また、植付伝動フレーム(92)の前部、即ち前側に配置したT型パイプ(167)(168)の前部に、上部支持フレーム(190)が固設されるブラケット(178)(179)が固設されている。したがって、パイプ体を連結したシンプルな構成であるとともに空間に余裕のある植付伝動フレーム(92)に、クランク機構(171)、駆動ケース(172)、横送り軸(180)の支持部が強固に固設され、振動や衝撃に強くて耐久性のある支持部が構成できる。 【0077】クランク支持アーム(173)の後部には、図32、図33で示すように枢支部(181)が形成されており、枢支部(181)にはクランク機構(171)のアーム基部を枢支するピン(182)が固設されている。また、左右の枢支部(181)の間は平面視門型の補強体(183)によって補強され、クランク機構(171)を強固に枢支することができるようになっている。なお、クランク支持アーム(173)の後部を2方向に分岐し、平面視略Y字型形状に形成して枢支部(181)を構成してもよい。また、筒体(177)は重心が安定するように、植付伝動フレーム(92)の左右中央位置に固設され、側面視U字型の固定部材の開放面内に連結パイプ(166)の中央部分が嵌合され、固定部材の開放側端部が前上方に向けて固定されて、固定部材の上部に前後方向に軸心を有する筒体(177)が固設され、筒体(177)前部下部と固定部材下部との間に補強体が固設されて、連結パイプ(166)の左右中央部上部に筒体(177)が強固に固設されている。したがって、ローリング支点軸(176)が強固に固設され、植付部(9)が安定して苗の植え付け精度を向上させることができる。 【0078】植付伝動フレーム(92)の各支持部には、図32で示すように、駆動ケース(172)等が固定されており、クランク支持アーム(173)の後端部の左右両側には、各々クランク機構(171)のリンク基部が枢支され、伝動パイプ(164)(165)後部のT型パイプ(169)(170)に軸支する駆動軸(184)の両端部にクランク機構(171)を構成する他のリンクが固設され、植付爪(93)をクランク運動させている。また、植付伝動フレーム(92)前部に、パイプ体を門型に屈曲して構成した上部支持フレーム(190)が配置され、上部支持フレーム(190)の左右の開放側端部がそれぞれブラケット(178)(179)に取り付けられている。上部支持フレーム(190)は、後述する横送り軸(180)の前方を通過して上方に延出し、上部支持フレーム(190)の上部を用いて前述したガイドレール(96)が支持され、植付伝動フレーム(92)と上部支持フレーム(190)とが一体的に連結されて、植付部(9)を支持する剛性の高いフレームを構成している。 【0079】また、ケース支持アーム(174)の外側面には駆動ケース(172)が固設され、ケース支持アーム(174)前部と横軸支持アーム(175)前部に横送り軸(180)が軸支されて、横送り軸(180)の左端部が駆動ケース(172)内に挿入されている。横送り軸(180)は連結パイプ(166)と平行状に配置され、側面視において、横送り軸(180)がローリング支点軸(176)の上方に配置されており、横送り軸(180)の支持構成がシンプルになって、効率のよい配置構成となっている。また、植付伝動フレーム(92)の内部には、図示するように、伝動軸が軸支されており、右側の伝動パイプ(164)には入力軸(185)が軸支され、左側の伝動パイプ(165)には伝動軸(186)が軸支されている。そして、連結パイプ(166)には伝動軸(187)が軸支され、左右の伝動パイプ(164)(165)後部のT型パイプ(169)(170)には駆動軸(184)が軸支されている。 【0080】入力軸(185)は、前右側のT型パイプ(167)の横パイプ(167b)より前方に突出し、ユニバーサルジョイント部(159)を介してPTO伝動軸(158)の一端が連結され、前述したPTO軸(65)の動力がPTO伝動軸(158)及びユニバーサルジョイント部(159)を介して伝達される。したがって、構造が簡略であり、部品点数の削減、コストダウンになっている。なお、このとき、ミッションケース(6)の上面には図1、図16で示すように、PTO伝動軸(158)を支持する支持部材(160)が設けられており、PTO伝動軸(158)の両端が同一のミッションケース(6)に支持されることになって、同心精度が容易に高められるようになっている。 【0081】入力軸(185)の後端部にはベベルギア(185a)が固設され、駆動軸(184)の中途部に固設するベベルギア(184a)に噛合されて駆動軸(184)を駆動している。また、入力軸(185)の前部側にはベベルギア(185b)が固設され、連結パイプ(166)の伝動軸(187)の端部に固設するベベルギア(187a)に噛合されて伝動軸(187)に動力を伝達している。伝動軸(187)の左側にはベベルギア(187b)が固設され、左側の伝動パイプ(165)内の伝動軸(186)の前部に固設するベベルギア(186a)に噛合されて伝動軸(186)に伝動され、伝動軸(186)の後端部に固設するベベルギア(186b)及びベベルギア(184a)を介して駆動軸(184)が駆動され、伝動パイプ(164)(165)の後部側方に配置するクランク機構(171)を駆動して植付爪(93)を図1で示す軌跡を描くように回転せしめて、苗の植え付けを行うようになっている。したがって、動力損失のない、効率のよいシンプルな動力伝達機構が実現できている。 【0082】また、植付伝動フレーム(92)内に配置する伝動軸の組み付け、取り外し機構について説明すると、伝動パイプ(164)内の入力軸(185)と後部に配置したT型パイプ(169)内の駆動軸(184)は、軸受けを外すことにより挿脱される。また、連結パイプ(166)内の伝動軸(187)は駆動ケース(172)を取り外すことで挿脱される。左側の伝動パイプ(165)内の伝動軸(186)は、伝動パイプ(165)後部のT型パイプ(170)内の駆動軸(184)を取り外し、連結パイプ(166)内の伝動軸(187)が取り外された状態で、伝動軸(187)に固設したベベルギア(187b)がT型パイプ(168)より取り出され、前方に固設したT型パイプ(168)の前面に開口された抜脱孔より、伝動軸(186)が抜脱される。 【0083】次に、横送り軸(180)等の苗載台駆動機構への動力伝達について説明すると、連結パイプ(166)内の伝動軸(187)の左端部はT型パイプ(168)より側方に突出され、駆動ケース(172)内に挿入されて、端部にギア(188)が固設されている。駆動ケース(172)に挿入された横送り軸(180)の左端部にもギア(189)が固設され、ギア(188)とギア(189)が噛み合うことにより、横送り軸(180)に動力を伝達する苗載台駆動機構が構成されている。また、横送り軸(180)には滑り子摺動用の溝(180a)が形設されており、横送り軸(180)の外周面上に滑り子受け(191)が遊嵌され、滑り子受け(191)内に付設されている滑り子(192)が溝(180a)に嵌入されて、横送り軸(180)の回動に伴われて溝(180a)内を摺動し、滑り子受け(191)が横送り軸(180)上を左右に往復動する。滑り子受け(191)後部には図示しない連結部を介して苗載台(91)が連結され、横送り軸(180)の回動によって苗載台(91)が精確に左右往復動される。 【0084】また、図33の側面視で示すように、横送り軸(180)の右側端部で入力軸(185)の上方位置には縦送りカム(193)が突設され、従来の縦送りカム(193)駆動用の縦送り軸をなくし、横送り軸(180)が縦送り軸として兼用されるようになっている。したがって、部品点数が削減され、コストダウンとなっている。縦送りカム(193)は苗載台(91)の下部に設けられている従動カムと当接可能に配設され、縦送りローラー(194)を間欠的に駆動するように構成されている。従動カムは左右に2本突設されており、従動カムの間隔は横送りによる移動距離と等しく構成され、苗載台(91)の横送り往復動の終端位置において、縦送りカム(193)と一方の従動カムとが当接され、縦送りベルト(195)が駆動して苗マットが精確に縦送りされる。 【0085】以上、何れにしても本発明の田植機は、車輪等の支持構造やミッションケース内における動力伝達構成等がシンプルであり、走行車両全体の構成も簡略化されているので、組立作業も容易であり、剛性を損なうことなく軽量化・小型化されているので、全体としてコストがかからず、安価に製造することができる。そして、エンジンの位置を低い位置にすることができるので、低重心で転倒角の優れた田植機を実現することができる。 【0086】 【発明の効果】本発明によれば、エンジンの下部が側面視で車体フレームより下方に突出しているので、エンジンを低い位置に配設することができるとともに放熱効果にも優れ、機体全体の重心を低くすることができて転倒角の優れた田植機を実現することができるとともに、ヒートバランスの優れた田植機を実現することができる。また、ミッションケースの前端部付近から前方の車体フレームが平面視で略ハ字状に拡開しているので、広いエンジンスペースを確保することができる。そして、エンジンを載置する支持部材が車体フレームよりも下方に設けられているので、エンジンの取付高さ位置を低い位置にすることができ、機体全体の重心を低くすることができて転倒角の優れた田植機を実現することができるとともに、エンジンを載置する支持部材の前部を上方に向けて湾曲させたので、この支持部材をエンジンの保護カバーとして利用でき、別途保護カバーを設ける場合に比べ、コストダウンが図れる。 【0087】また、エンジンを載置する支持部材に開口部が設けられているので、機体全体の軽量化が図れるとともに、エンジンの放熱効果を促進することができ、更にはエンジンドレーンの挿通孔として利用したり、メンテナンス等をする際にも利用することができる。また、エンジンの冷却風取入口を車体フレームより下方に露出させたので、冷却風の吸気抵抗がなくて吸引ロスが少なくなり、ヒートバランスが良好になって出力低下が生じない。したがって、ヒートバランスの優れた田植機を実現することができるとともに、ボンネットに必要最小限のスリットや窓部を設けるだけでよくなるので、オペレーターに熱気がかからない位置に設けることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月15日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 敏
|
| 【公開番号】 |
特開平11−318130 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月24日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−133124 |
|