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【発明の名称】 歩行型苗移植機
【発明者】 【氏名】鈴木 主幸

【氏名】渡部 伸

【氏名】木下 栄一郎

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後端部が機体後端に位置するようハンドルHを設けた歩行型苗移植機において、移植装置15を機体後部側に設けるとともに、該移植装置15により植付けられた苗の左右両側方の圃場面を鎮圧する鎮圧作用体20a・20aを、移植装置15による苗植付け位置より機体後方側に設け、該鎮圧作用体20a・20aによる鎮圧力を調節する鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpを、ハンドルHの後端部より機体前方側且つ下方側で鎮圧作用体20a・20a近傍に設けたことを特徴とする歩行型苗移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、畑地に苗を移植する歩行型苗移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、後端部が機体後端に位置するようハンドルを設けた歩行型苗移植機において、移植装置と、該移植装置により植付けられた苗の左右両側方の圃場面を鎮圧する鎮圧作用体とを設けた苗移植機があるが、鎮圧作用体による鎮圧力は一定のものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術は、土壌の硬軟により、鎮圧不足となったり鎮圧過大となったりして、土壌と苗の間に隙間が生じて苗の活着が悪くなったり、苗が埋もれてしまって生育が妨げられたりすることがあった。そこで、この発明は、そのような問題が生じないようにすることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を解決するために、後端部が機体後端に位置するようハンドルHを設けた歩行型苗移植機において、移植装置15を機体後部側に設けるとともに、該移植装置15により植付けられた苗の左右両側方の圃場面を鎮圧する鎮圧作用体20a・20aを、移植装置15による苗植付け位置より機体後方側に設け、該鎮圧作用体20a・20aによる鎮圧力を調節する鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpを、ハンドルHの後端部より機体前方側且つ下方側で鎮圧作用体20a・20a近傍に設けたことを特徴とする歩行型苗移植機としたものである。
【0005】
【作用】この歩行型苗移植機の操縦者は、機体後方にいてハンドルHを持って機体の前進と共に歩行しながら機体を操縦する。そして、機体の前進とともに移植装置15により苗が圃場に植付けられ、その植付けられた苗の左右両側方の圃場面は、移植装置15による苗植付け位置より機体後方側に設けられた鎮圧作用体20a・20aにより鎮圧されていく。鎮圧作用体20a・20aによる鎮圧力は、ハンドルHの後端部より機体前方側且つ下方側で鎮圧作用体20a・20a近傍に設けた鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpで調節操作される。
【0006】
【発明の効果】この発明は、後端部が機体後端に位置するようハンドルHを設けた歩行型苗移植機において、移植装置15を機体後部側に設けるとともに、該移植装置15により植付けられた苗の左右両側方の圃場面を鎮圧する鎮圧作用体20a・20aを、移植装置15による苗植付け位置より機体後方側に設けたものであるから、機体後方にいる操縦者は、移植装置15によって苗が植付けられ、そして、鎮圧作用体20a・20aにより圃場面が鎮圧された後の状況を機体を操縦しながら直ちに且つ容易に確認できる。
【0007】しかも、鎮圧作用体20a・20aによる鎮圧力を調節する鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpを、ハンドルHの後端部より機体前方側且つ下方側で鎮圧作用体20a・20a近傍に設けたものであるから、土壌の硬軟により適正な鎮圧が行われていないことを知ったとき、鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpを、機体を操縦しながら、しかも、鎮圧状況を見ながら適正に且つ容易に調節することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。まず、苗移植機の全体の構成を説明する(図1〜図3)。1は畑地で畝を跨いで走行しながら野菜苗を移植する歩行型の苗移植機である。
【0009】2は前記苗移植機1の走行伝動ケ−スである。この前部にはエンジンEが直結に取付けられ、後部には左右フレ−ム3a・3bの前端が固着している。左フレーム3aの後端には植付部伝動ケース4が固着され、その後部に移植部伝動フレーム5が連結している。更に、その移植部伝動フレーム5の上部から後方に斜上する支持フレームが固着してそのフレーム上端部に歩行型用のハンドルHが連設されている。右フレーム3bの後端には、一端が右フレーム3aの後側面に固着した横フレーム3cに固着している。
【0010】6・6は前輪で、走行部伝動ケ−ス1の左右両側に取付けられた前輪伝動ケ−ス7・7の端部側に取付けられている。エンジンEからの動力が走行部伝動ケ−ス1内に伝動され、走行部伝動ケース1から左右の車輪伝動ケース7・7に伝動されて前輪6・6が駆動される。また、この前輪6・6は上下に位置調節することができるようになっている。即ち、前輪伝動ケース7・7に一体のボス7a・7aが走行部伝動ケース1の左右に突出する部分に回動可能に嵌合して取り付けられていて、その前輪伝動ケース7・7の回動部に油圧シリンダAvがロッド等を介して連結し、その油圧シリンダAvの作動により前輪伝動ケース7・7がスイングして、前輪6・6が機体に対して上下動するようになっている。このとき、後輪8・8を遊転支持する後輪支持アーム9・9がロッド等を介して連動して支軸10・10スイングするようになっていて、前輪6・6と後輪8・8の上下動によって機体が上下動したとき、機体の前後方向の水平が維持されるようになっている。
【0011】11は苗載台で、前側が走行部伝動ケース1上に固設された支持具12で左右摺動自在に支持され、後側が前記移植部伝動フレーム5上に固設された苗受レール13に左右摺動自在に支持されている。そして、植付部伝動ケース4に連設された左右往復機構が苗載台11に連結し、苗載台11が後述の移植装置21の作動のサイクルに合わせて左右に往復移動するようになっている。また、苗載台11の底部にはローラー14a・14bに巻掛けられて苗送りベルト14cが苗載面全面にわたって取り付けられていて、載置された苗の後端一列が移植される毎に一列分苗全体を送るように作動する。
【0012】15は移植装置で、移植部伝動フレーム5の内側に設けられていて、植付部伝動ケース4内に伝達された動力が移植部伝動フレーム5内のチェーン伝動機構を介して伝動されている。この移植装置15の苗植込部16は、その姿勢を変えることなく上下に長い楕円状軌跡を描くように動作する。また、苗植込部16には左右に板状の苗移植刃17・17とその内側に苗押出体18が設けられ、その苗移植刃17・17の先端部は苗載台11後端の苗受レール13の苗取口を通過して苗一株を分離保持し、下方に移動して畝面に達して苗押出体18で押し出されて移植される。
【0013】19は作溝装置で、移植装置15によって苗が植え付けられる箇所に所定の幅と深さの溝を事前につくるものである。この作溝装置19は、2枚の薄い円盤状の作溝ディスク19a・19aが平面視では後方に背面視では上方に開くように前後上下に傾斜した軸19b・19bに遊転自在に取り付けられている。その開いた作溝ディスク19a・19aの間に移植装置15の移植刃17・17の先端が入り込んで苗が植え付けられる。よって、作溝ディスク19a・19aで左右に土が押し広げられている間に苗が植付られるので、畝面の土壌が軟らかくて作られた溝が自然に埋め戻されるような状態の場合でも確実に苗が溝に植え付けられる。
【0014】20は鎮圧装置で、移植装置15によって植付られた苗の左右両側方の圃場面に作用して溝を覆土し鎮圧するものである。この鎮圧装置20は、鎮圧作用体として2つの円筒状の鎮圧筒20a・20aを、背面視で上方に開くような姿勢で、横軸回りに回動自在に設けた支持フレーム(支持体)20bに傾斜状態で固定した軸20c・20cに遊転自在に取り付けて構成している。また、鎮圧筒20a・20aの左右それぞれを、支持フレーム20bの移植装置15による苗植付け位置に対して左右方向両側方で前後方向に延びる左右の取付け部分a,aに取付けた構成であり、また、支持フレーム20bの横軸回りの回動取付け部bを、移植装置15による苗植付け位置より機体前方側に配置し、鎮圧筒20a・20aの軸20cを移植装置15による苗植付け位置より機体後方に配置した構成となっている。そして、移植装置15は、上側が左右に開いた鎮圧筒20a・20aの間で、しかも、その鎮圧筒20a・20aを取付けている支持フレーム20bの左右の取付け部分a,aの間に、移植装置15の回転ケース15a・15b及び苗植込部16が入り込むようになっていて、鎮圧筒20a・20aが移植装置15による苗植付け位置にできるだけ前後に近づけて配設される。よって、苗が植え付けられたら直ちに鎮圧筒20a・20aが溝及び苗に対して左右にずれることなく確実に覆土、鎮圧していく。
【0015】よって、この苗移植機1は、畝を跨いで走行しながら、作溝装置19の作溝ディスク19a・19aで植付溝を成形し、その植付溝内に移植装置15で苗を一株づつ植え付け、最後に鎮圧装置20の鎮圧筒20a・20aで覆土鎮圧していくとの一連の作業を為していくものとなる(図10)。尚、この苗移植機1の機体は、畝面に対して上下及び左右の高さを所定の高さに維持する機体姿勢制御装置が設けられている(図1〜図6)。以下にその構成を図中の符号に従って説明する。
【0016】Avは機体上下用のアクチュエータとなる油圧シリンダである。この油圧シリンダAvのシリンダ部21はフレ−ム3a・3b間に固着した支持プレート22に固設されている。また、油圧シリンダAvのピストンロッド23には、そのロッド基部側の段差までスプリング24を装備したスプリングケース24aが嵌合し、更にそのロッド先端側には左右方向に延びるピストンア−ム25がその中央部の係合孔に前後方向(ピストンの進退方向)に摺動可能に係合している。よって、ピストンロッド23の移動は、スプリング24を緩衝体として介してピストンアーム25に伝達される。ピストンアーム25は、その中央下部の係合孔に前記支持プレート22と横フレーム3c間に固設されたアーム摺動軸26が摺動自在に貫通しており、ピストンアーム25のピストンロッド23周りの回動が規制されている。また、ピストンア−ム25の左右両端部は、前輪6・6の前輪伝動ケ−ス7・7のボス7a、7aに一体の前輪スイングア−ム7b・7bの左右それぞれと連結している。その連結は、右側が直接ロッド27で連結し、左側がロ−リング用油圧シリンダArを介して連結している。左側の連結は、即ち、その油圧シリンダArのシリンダ部28が左側の前輪スイングアーム7bに連結し、ピストンロッド29がピストンアーム25の左端部に連結している。更に、ピストンアーム25の中央部上側には上下軸30に後輪揺動アーム31が回動可能に軸支され、そのアーム29の左右両端は連結ロッド32・32を介して後輪支持ア−ム9・9に一体の後輪スイングア−ム9a・9aに連結している。
【0017】以上により、機体上下用の油圧シリンダAvが作動してそのピストンロッド23が後方に向けて突出移動すると、前輪6・6、後輪8・8は共に下方に向かってスイングし機体が上昇する。逆に、ピストンロッド23が前方に向けて引退移動すると、前輪6・6、後輪8・8は共に上方に向かってスイングし機体が下降する。
【0018】また、機体が右に傾いたときにローリング用の油圧シリンダArが作動してそのピストンロッド29が後方に向けて突出移動しようとすると、シリンダ部28が前方に移動して左側前輪スイングアーム7bを回動させる。すると、左側前輪6が上方にスイングして、右への傾きが修正される。反対に、機体が左に傾いたときにローリング用の油圧シリンダArが作動してそのピストンロッド29が前方に向けて引退移動しようとすると、シリンダ部28が後方に移動して左側前輪スイングアーム7bを回動させる。すると、左側前輪6が下方にスイングして、左への傾きが修正される。尚、後輪8・8は、後輪揺動アーム31が上下軸30周りに揺動自在であるので、後輪8・8の左右それぞれが地面から受ける反力によってローリング自在となっている。
【0019】33は水平センサーである。これは、前記機体上下用の油圧シリンダAvに一体的に取り付けられていて、前後方向の軸34に左右揺動自在に支持されたおもり35aを有する振子35が、その揺動によってローリング用油圧シリンダArを作動させる油圧バルブ36のスプール36aを作動させるように連結して構成されている。よって、この水平センサー33は、機体が右に傾けば振子35が機体に対して右に振れてスプール36aを引っ張り、ローリング用油圧シリンダArのピストンロッド29を突出移動させるように圧油の流れを切り替えるよう作動する。反対に、機体が左に傾けば振子35が機体に対して左に振れてスプール36aを押し込み、ローリング用油圧シリンダArのピストンロッド29を引退移動させるように圧油の流れを切り替えるよう作動する。機体が水平状態の時は、振子35は機体に対して垂直に吊り下がってスプール36aは、油圧シリンダArへの圧油の流れをブロックする。
【0020】37は畝高さセンサ−で、センサー支軸39に回動可能に軸支された畝面接地体38が、畝の上面を滑走しながら機体に対する畝の高さ変動に従って上下に回動して畦高さを検出するようになっている。この畝面接地体38は、その前側上面に固着の支持部材38aを介してセンサ−支軸39に連結し、そのセンサー支軸39は左右フレーム3a・3bに固着のブラケット3a’・3b’で支持された植付深さレバー40で回動調節可能な調節軸41に固着の支持アーム42・42に支持されている。よって、植付深さレバー40の操作により、機体に対する畝面接地体38の基準位置を変更することができる。尚、畝面接地体38は、前後方向に湾曲した板状部材からなり、畝面に接地して畝面整地作用も施しながら滑走していく。
【0021】また、畝高さセンサ−37の支持部材38aにはバルブ操作ア−ム38bが一体となっていて、そのア−ム38bの先端部と機体上下用油圧バルブ43のスプール43aを作動する作動プレート43bとロッド44を介して連結している。また、そのバルブ操作アーム38bには、畝面接地体38の接地部が下方に回動する方向で引っ張るスプリング45が連結している。よって、畝面接地体38が畦高さに追従して回動すると、それに連動して機体上下用油圧バルブ43が操作され、機体上下用油圧シリンダAvが作動する。
【0022】即ち、機体に対して畦面が高くなると、畦面接地体38はその接地部が押し上げられてセンサ−支軸39周りに上方へ回動し、バルブ操作ア−ム38b、ロッド44、バルブ作動プレート43の連結によりスプール43aが作動し、機体上下用油圧シリンダAvのピストンロッド23が突出するように圧油の流れが切り替わる。これにより、左右の前輪6・6、後輪8・8が同時に下降して機体が上動する。その機体の上昇に伴い畦面接地体38はスプリング45により下方に向けて回動していき、スプール43aが機体上下用油圧シリンダAvへの圧油の流れをブロックする中立位置になったとき機体の上昇は停止する。反対に、機体に対して畦面が低くなったら、畦面接地体38はその接地部がスプリング45によってセンサ−支軸39周りに下方へ回動してスプール43aが機体上下用油圧シリンダAvのピストンロッド23が引退するように圧油の流れが切り替わる。これにより、左右の前輪6・6、後輪8・8が同時に上昇して機体が下動する。その機体の下降に伴い畦面接地体38は畝面に押し上げられて上方に向けて回動していき、スプール43aが機体上下用油圧シリンダAvへの圧油の流れをブロックする中立位置になったとき機体の下降は停止する。このようにして、畦面の高さが変動しても、畦面に対する機体の上下位置、即ち、畦面からの移植装置15の植付位置(例えば、植付作動軌跡の最下点)を所定の位置に維持することができるので、苗の植付深さを所定の深さに維持制御することができる。尚、機体上下用の油圧バルブ43のバルブ作動プレート43には機体上下レバーLと連結するワイヤー46が連結していて、そのレバーLにより手動で機体を任意の高さに上下動させることもできる。また、スプリング45の引っ張り力を調節すれば畝面の土壌の硬軟に対応した機体上下制御の感度調節をすることができる。スプリング45の一端をワイヤー45aで感度調節レバーLpと連結し、土壌が軟らかいときは、スプリング45をゆるめて引っ張り力を小さくし、土壌が硬いときはスプリング45を引っ張って引っ張り力を大きくするように操作すればよい。
【0023】尚、上記油圧シリンダAv・Arの作動油圧回路は図6に示す通りである。ここで、46は油圧ポンプ、47は分流弁、48・49はリリーフバルブ、Tは油圧タンクである。以下、図7〜図10に示す構成について説明する。前記鎮圧装置20は、その支持フレーム20bの基部が図9に示される構成となっていて、機体に対して上下に揺動(ピッチング)及び左右に揺動(ローリング)可能に設けられている。即ち、機体の横フレーム3cの下側に固着のブラケット3c’に前後方向に軸芯が向いたローリング支持筒50が固着されていて、それに揺動連結具51のローリング連結軸部51aがローリング自在に係合している。また、揺動連結具51は前後方向のローリング連結軸部51aに左右方向に交叉するようにピッチング連結筒部51bが一体的に固着しており、そのピッチング連結筒51bにピッチング連結軸52が回動自在に係合している。ピッチング連結軸52の両端には連結筒53・53がスプリングピン53a・53aで一体的に連結されている。その連結筒53・53に鎮圧筒20a・20aを取付けている支持フレーム20bの左右の取付け部分a,aの基部が係合してボルト53b・53bで一体的に連結している。これによって、支持フレーム20bは上下に揺動、及び左右にローリング可能に支持される。一方、鎮圧筒20a・20aは、車輪状の幅広の筒体で、支持フレーム20bの左右に固着した支持部材54・54に固着の支軸54a・54aに遊転自在に支持されている。
【0024】また、鎮圧筒20a、20aの鎮圧力は、鎮圧筒20a・20aを取付けている支持フレーム20bの左右の取付け部分a,aの各後端部を互いに連結する連結部cの中央部を下方に弾発付勢する鎮圧スプリング55による。鎮圧スプリング55を支持しているスプリング支軸55aは、その上端部は移植部伝動フレーム5の後端部に固着のフレーム5aから支持された横軸55bに軸支され、下側は支持フレーム20bの中央部に固着のスプリング受部材20b’に遊動自在に貫通し、下端部には機体が上動したときに下方に回動する支持フレーム20bを所定の位置でその回動を規制するストッパー55cが取り付けられている。
【0025】また、鎮圧筒20a・20aの鎮圧力を調節する鎮圧力調節機構は、まず、主たる調節機構として、鎮圧スプリング55の上端部を受ける鎮圧力調節具55dのスプリング支軸55aに対する止め位置を上下に調節することで鎮圧力を調節する機構を設けている。Npは鎮圧力調節具55dをスプリング支軸55aに固定するためのボルトのノブであって、鎮圧力を調節操作する操作具である。更に、鎮圧力の微調節を行う機構として、前記ピッチング連結軸52に固着の鎮圧力調節アーム52aに連結した鎮圧力微調節スプリング56を調節することで鎮圧力を微調節する機構を設けている。この鎮圧力微調節スプリング56のバネ定数(弾性係数)は前記鎮圧スプリング55より小さく設定されている。また、鎮圧力微調節スプリング56は、ワイヤー56aを介して前記感度調節レバーLpに連結して、この感度調節レバーLpが、鎮圧力を微調節する操作具を兼ねるよう構成するとともに、畝面の土壌の硬軟に対応した機体上下制御の感度調節操作に連動して鎮圧装置20の鎮圧力調節を行うことができるよう構成している。従って、これにより、土壌が軟らかいときは鎮圧力微調節スプリング56がゆるめられ、土壌が硬いときは引っ張られるように操作されて、畝面を潰したり鎮圧不足になったりすることがなくなる。尚、鎮圧力調節アーム52aが固着したピッチング連結軸52をピッチング連結筒51bに係合するときは、ピッチング連結筒51bの下側の切りかき部51cにアーム52aを合わせて挿入し、アーム52aが連結筒51bの中央部まで挿入されたらピッチングガイド用切りかき部51dに沿って連結軸52を回動させることで係合できる。
【0026】以上のように、鎮圧装置20は、畝面に鎮圧筒20a・20aが弾発付勢されて接地しながら転動し、機体に対する畝面の上下位置が一時的に変わっても支持フレーム20bが上下に揺動して常に接地するようになっている。また、ローリング連結軸部51a周りに支持フレーム20bがローリング動するので、左右2つの鎮圧筒20a・20aが畝面に常に接地するようにもなっている。
【0027】前記作溝装置19は、作溝ディスク19a・19aが支持フレーム20bに取り付けらた支持部材57・57に支軸56a・56aで遊転自在に軸支されている。これにより、作溝ディスク19a・19aは、鎮圧装置20の上下の揺動とともに上下動し、また、鎮圧装置20の左右のローリング動とともにもローリング動する。よって、畝面に対して常に作溝ディスク19a・19aと鎮圧筒20a・20aとが伴って上下動するから、作溝装置19による作溝深さと鎮圧装置による覆土量及び鎮圧力は比例して変化し、溝の深さの変化に追従して覆土量や鎮圧力が変化するようになる。尚、作溝ディスク19a・19aの支持部材57・57を鎮圧筒20a・20aの支持部材54・54に取り付けると作溝ディスク19a・19aの上下揺動量の差はより少なくなる。また、作溝装置19の作溝体は、作溝ディスク19a・19aのような構成に限定されない。
【0028】以上説明したように、この苗移植機は、後端部が機体後端に位置するようハンドルHを設けた歩行型苗移植機において、移植装置15を機体後部側に設けるとともに、該移植装置15により植付けられた苗の左右両側方の圃場面を鎮圧する鎮圧筒20a・20aを、移植装置15による苗植付け位置より機体後方側に設けたものであるから、機体後方にいる操縦者は、移植装置15によって苗が植付けられ、そして、鎮圧筒20a・20aにより圃場面が鎮圧された後の状況を機体を操縦しながら直ちに且つ容易に確認できる。
【0029】しかも、鎮圧筒20a・20aによる鎮圧力を調節する鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpを、ハンドルHの後端部より機体前方側且つ下方側で鎮圧筒20a・20a近傍に設けたものであるから、土壌の硬軟により適正な鎮圧が行われていないことを知ったとき、鎮圧力調節機構の操作具Np・Lpを、機体を操縦しながら、しかも、鎮圧状況を見ながら適正に且つ容易に調節することができる。
【0030】また、この苗移植機は、移植装置15により植付けられた苗の左右両側方の圃場面を転動して鎮圧する左右一対の鎮圧筒20a・20aを設けた苗移植機において、前記鎮圧筒20a・20aの左右それぞれを、横軸回りに回動自在に設けた支持体20bの移植装置15による苗植付け位置に対して左右方向両側方で前後方向に延びる左右の取付け部分a,aに取付けたものであるから、左右の鎮圧筒20a・20aの支持体20bが移植装置15の作動領域を遮らないよう容易に構成でき、よって、左右幅の狭いディスク式の移植装置でなくても、左右の鎮圧筒20a・20aを植付け位置に前後に接近させて配置して、苗の姿勢を乱すことなく良好に鎮圧できるように構成することが、また、機体の前後長を短くできるように構成することが容易となる。
【0031】更に、前記支持体20bの横軸回りの回動取付け部bを、移植装置15による苗植付け位置より機体前方側に配置し、鎮圧筒20a・20aの支軸20cを移植装置15による苗植付け位置より機体後方に配置したものであるから、請求項1記載の発明の効果に加え、鎮圧筒20a・20aを取付ける支持体20bの左右の取付け部分a,aが苗植付け位置の前後に延びるよう配置しても、その取付け部分a,a間で移植装置15が苗の植付け作動ができることになり、よって、左右の鎮圧筒20a・20aを植付け位置に更に前後に接近させて配置した構成に容易にできる。
【0032】また、前記支持体20bの左右の鎮圧筒20a・20aを取付ける左右の取付け部分a,aを互いに連結する連結部分cで、支持体20bが一定位置以下に下方に回動しないよう支持する構成としたものであるから、請求項1或は請求項2記載の発明の効果に加え、機体を上昇させることで左右の鎮圧筒20a・20aを浮上させた状態に支持する手段を、左右に二つの鎮圧筒20a・20aに対して一つの手段で構成でき、よって、構成の簡略化が図れる。
【0033】また、前記連結部分cに左右の鎮圧筒20a・20aによる鎮圧力を調節する鎮圧力調節機構を連結したものであるから、請求項1或は請求項2記載の発明の効果に加え、鎮圧筒20a・20aの左右それぞれの鎮圧力の調節手段を、左右に二つの鎮圧筒20a・20aに対して一つの手段で構成でき、よって、構成の簡略化が図れる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成3年(1991)4月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−318126
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平11−122619