| 【発明の名称】 |
苗移植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡部 伸
【氏名】村並 昌実
【氏名】木下 栄一郎
【氏名】青木 義勝
【氏名】勝野 志郎
【氏名】青木 勝行
【氏名】竹本 雅浩
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| 【要約】 |
【課題】作業者が補助的に苗補給を行いながら苗植付装置に苗を供給する苗移植機における作業者の労力負担軽減。
【解決手段】苗を保持して無限軌道を移動し、該軌道の所定位置で保持している苗を苗植付装置5に供給する複数の移動苗供給体41,…と、該複数の移動苗供給体に対応させて固定位置に設けられ、人手により補給される苗を一時的に保持し、その苗を前記複数の移動苗供給体が無限軌道を一巡するごとにそれぞれ対応する移動苗供給体に一斉に供給する移動苗供給体と同数の固定苗供給体40,…とを具備する構成。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗を保持して無限軌道を移動し、該軌道の所定位置で保持している苗を苗植付装置に供給する複数の移動苗供給体と、該複数の移動苗供給体に対応させて固定位置に設けられ、人手により補給される苗を一時的に保持し、その苗を前記複数の移動苗供給体が無限軌道を一巡するごとにそれぞれ対応する移動苗供給体に一斉に供給する移動苗供給体と同数の固定苗供給体とを具備することを特徴とする苗移植機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、作業者が補助的に苗補給を行いながら苗植付装置に苗を供給する苗移植機に関する。 【0002】 【従来の技術】カップ状の苗供給体を円周上に複数個配置したターンテーブルが苗植付装置の上方に設けられ、上記ターンテーブルの回転により円軌道を移動する各苗供給体に、作業者がターンテーブルの近傍に位置する苗載せ枠に載置されている苗を一株づつ補給し、苗供給体が円軌道の所定位置に移動したとき、保持している苗を苗植付装置に落下供給するように構成した野菜用の苗移植機(以下、野菜移植機とする)がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の野菜移植機は、移動する苗供給体に苗を補給しなければならなかったので、苗補給作業が容易ではなく、作業者の負担が大きかった。特に、機体の操縦と苗補給を一人で行う場合、作業者の疲労度はかなりのものであった。また、苗補給作業に余裕がないため、苗の補給忘れや補給遅れが起きやすく、欠株を生じさせる原因となっていた。そこで本発明は、苗補給作業を容易に行えるようにし、作業者の負担を軽減させることを課題としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は次のように構成した、すなわち、本発明にかかる苗移植機は、苗を保持して無限軌道を移動し、該軌道の所定位置で保持している苗を苗植付装置に供給する複数の移動苗供給体と、該複数の移動苗供給体に対応させて固定位置に設けられ、人手により補給される苗を一時的に保持し、その苗を前記複数の移動苗供給体が無限軌道を一巡するごとにそれぞれ対応する移動苗供給体に一斉に供給する移動苗供給体と同数の固定苗供給体とを具備することを特徴としている。 【0005】作業者は、固定位置に設けられている固定苗供給体に苗を補給する。このため、苗補給を行いやすい。また、複数の移動苗供給体が無限軌道を一巡する間に、全ての固定苗供給体に苗を補給すればよいので、作業者自身でペース配分を考えながら苗補給作業を行うことができる。この苗補給の間、複数の移動苗供給体は、無限軌道を移動し、軌道の所定位置で保持している苗を苗植付装置に供給する。複数の移動苗供給体が無限軌道を一巡し、各移動苗供給体に保持されている苗が全て苗植付装置に供給されると、固定苗供給体に一時的に保管されていた苗が対応する移動苗供給体に一斉に供給される。 【0006】 【発明の実施の形態】図1〜図7は本発明を施した苗移植機の一例としての野菜移植機を表している。この野菜移植機1(1)は、走行車輪2,2,3,3によって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4によって供給される苗を苗植付装置5が畝Uの上面に植付け、さらに薬剤散布装置6によって植付けられた苗の近傍に薬剤散布を行う構成となっている。作業者は、機体後方に設けたハンドル7,8で適宜機体を操向操作すると共に、植付作業時には機体側方を歩きながら苗載せ枠9の苗を苗供給装置4へ補給する。以下、各部の構成について説明する。 【0007】機体の前部に走行ミッションケース10があり、該走行ミッションケースから前方に突設されたエンジンフレーム11の上にエンジン12が搭載されている。エンジン12の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ13が設けられている。また、エンジン12の上側には燃料タンク14等が設けられ、その上側をボンネット15が覆っている。走行ミッションケース10の背面部には側面視長方形の左右に長い連結フレーム17が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部にメインフレーム18の前端部が固着連結されている。メインフレーム18は、機体の下部右側を通って後方に延び、途中で上側に湾曲し、そのまま斜め上向きに延びている。そして、その後端部にハンドル7,8が設けられている。 【0008】走行ミッションケース10の左右両側に走行伝動ケース20,20の筒状基部20a,20aが回動自在に取り付けられ、その走行伝動ケースの先端部に後輪2,2が軸支されている。後輪2,2は、走行ミッションケース10から走行伝動ケース20,20を介して伝達される動力で駆動回転する。また、エンジンフレーム11には前後方向のピボット軸21を中心に揺動自在な前輪支持フレーム22が設けられ、その左右両端部に高さ調節可能に取り付けられた前輪支持ロッド23,23の下端部に前輪3,3が転動自在に軸支されている。 【0009】走行ミッションケース10の上には、機体昇降用及び機体左右傾斜用のバルブを一体に組み付けた油圧バルブユニット25が設けられている。そして、この油圧バルブユニット25から後方に向けて昇降シリンダ26が設けられ、該シリンダのピストンロッドの先端部に天秤杆27が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が油圧バルブユニット25とメイフレーム14に取り付けた取付部材28とに支持されたガイド軸29に沿って摺動するようになっている。天秤杆27の左右両端部と、走行伝動ケースの筒状基部20a,20aに固着のスイングアーム30,30とが、連結ロッド31,31を介して連結されている。左側の連結ロッド31は、ローリングシリンダ32が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。 【0010】昇降シリンダ26及びローリングシリンダ32の作動は、油圧ポンプ13から供給される作動油を油圧バルブユニット25内のバルブで制御される。昇降シリンダ26を伸縮作動させると、左右の後輪2,2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ32を伸縮作動させると、左右の後輪2,2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。 【0011】前記連結フレーム17の上面右端部に、走行ミッションケース10から伝動される植付ミッションケース35の下端部が固着連結されている。植付ミッションケース35は、昇降シリンダ26と天秤杆27と右側の連結ロッド31で囲まれた空間部を通って、斜め後方上向きに延びている。また、その植付ミッションケース35の上端部左側面には、後下がりに傾斜した第一植付伝動ケース36の前端部が伝動パイプ36aを介して連結されている。さらに、該第一植付伝動ケースの前端部左側面には、水平状の第二植付伝動ケース37の前端部が伝動パイプ37aを介して連結されている。そして、第一植付伝動ケース36と第二植付伝動ケース37に、後述する苗植付装置5の作動機構が取り付けられている。また、植付ミッションケース35の上端部に苗供給装置支持フレーム38と苗載せ枠支持フレーム39の基部が固着して設けられ、これらに苗供給装置4と苗載せ枠9が支持されている。 【0012】苗供給装置4は、円周上に等間隔(ピッチp)で配置された複数の固定苗供給体40,…と、その下方に上記固定苗供給体と平面視同一円周上に同一間隔で設けられた同数の移動苗供給体41,…とを備えている。固定苗供給体40,…が取り付けられている固定テーブル42は、前記苗供給装置支持フレーム38に支持された上下方向の固定軸43の上端部に固定して設けられている。この固定軸43は、固定苗供給体40,…が配置されている円周の中心に位置している。移動苗供給体41,…が取り付けられているターンテーブル44は、固定軸43を中心に一定方向に回転するように設けられている。 【0013】ターンテーブル44を回転させる機構は、次にように構成されている。すなわち、固定軸43に回転自在に嵌合するターンテーブルの筒部44aにラチェットホイール45が一体に取り付けられ、そのラチェットホイールの歯に噛み合う方向に図示しないトルクスプリングで付勢されたラチェット爪46が筒部44aに回転自在に嵌合するラチェットアーム47に取り付けられている。ラチェットアーム47は、苗供給駆動ロッド48を介して、後記前リンク支持アーム77Bと一体に作動する苗供給駆動アーム49に連結されている。苗供給駆動アーム49が揺動すると、ターンテーブル44が苗植付装置5の作動と同期して1ピッチpづつ間欠的に回転し、各移動苗供給体41,…が無限軌道である円軌道Aを図2及び図4の矢印方向に移動する。 【0014】固定苗供給体40,…は上下に開口するカップ状をし、その下側に固定苗供給体と同数の開口部51a,…を有する底板51が設けられている。この底板51は、固定軸43に回動自在に取り付けられ、該底板の外周部に形成された位置決め用凸部52と固定テーブル42の外周下面に固着された一対のストッパ53,54とで回動範囲が規制されている。その回動範囲は、固定苗供給体のピッチpの1/2となっている。底板51はリターンスプリング55によってターンテーブル44の回転方向と逆方向に付勢されており、常時は位置決め用凸部52とストッパ53が係合する位置に底板51が保持されている。このとき、固定苗供給体40,…と底板の開口部51a,…の平面位置がずれており、固定苗供給体40,…の底部が閉じた状態となっている。また、底板51の外周部に回動用凸部56が形成されていると共に、ターンテーブル44にはトルクスプリング57により起立状態側に付勢された突子58が設けられている。ターンテーブル44が所定位置まで回転すると、突子58が回動用凸部56を押してターンテーブル44と共に底板51が回動する。底板51が1/2ピッチだけ回動すると、位置決め用凸部52とストッパ54が係合し、底板51の回動が停止する。このとき、固定苗供給体40,…と底板の開口部51,aの平面位置が一致し、固定苗供給体40,…の底部が開いた状態となる。突子58が凸部56を乗り越えて通過すると、リターンスプリング55の張力により底板51は元の位置へ復帰する。 【0015】移動苗供給体41,…も、上下に開口するカップ状をしている。各移動苗供給体41,…の底部には、下側に開く一対の底蓋60,60がそれぞれ個別に取り付けられている。移動苗供給体41,…の下側には平面視C字形の開放規制具61が設けられており、前側やや左寄りの苗供給位置P以外の位置で底蓋60,60が開くのを規制している。また、苗供給位置Pには、底蓋60,60の下側を支える状態と支えない状態とに回動する底蓋ストッパ62,62が設けられている。両底蓋ストッパ62,62に連結した連動リンク63,63が、底蓋開閉ロッド64を介して、前記苗供給駆動アーム49と同様に前リンク支持アーム77Bと一体に作動する底蓋開閉アーム65に連結されている。これにより、移動苗供給体41,…が苗供給位置Pに移動してくるごとに、底蓋ストッパ62,62が底蓋の下側を支えない状態になり、底蓋60,60が間欠的に開く。 【0016】作業者は、苗載せ枠9に載置されている苗箱の苗を各固定苗供給体40,…に補給する。常態では、固定苗供給体40,…の底部が底板51によって塞がれているので、補給された苗はそのまま固定苗供給体40,…に保持される。ターンテーブル44が所定位置まで回転すると、底板51が回動して固定苗供給体40,…の底部が開き、保持されている苗が移動苗供給体41,…に落下供給される。ターンテーブル44の回転により、各移動苗供給体41,…円軌道Aを移動する。そして、移動苗供給体41が苗供給位置Pへくると、底蓋60,60が開き、苗が苗植付装置5の苗植付具70に落下供給される。底蓋60,60は両開きするので、苗が真っ直ぐな姿勢のまま苗植付具70に供給され、苗植付具70による苗植付けが良好に行われる。 【0017】上記苗補給作業は、作業者が左後輪2の後方かつターンテーブル44の左側の位置を機体の進行に合わせて歩きながら行う。固定位置にある固定苗供給体40,…に苗を補給するので、補給作業は容易である。また、ターンテーブル44が一巡する間に全ての固定苗供給体40,…に苗を補給し終えればよいので、作業者自らペース配分を行うことができ、時間的に余裕を持つことができる。 【0018】苗載せ枠9は、図5に示すように、苗載せ枠支持フレーム39よりも上に3個の苗箱67を、苗載せ枠支持フレーム39の左右両側に苗箱をそれぞれ1個づつ、計5個の苗箱を同時に載せられるようになっている。苗補給は上段にある苗箱の苗を使用し、上段の苗箱が空になったら、下段の苗箱を交換するとよい。このように、ストック用の苗箱を苗補給に使用する苗箱よりも下側に保持しておくように構成すると、機体の重心を低くすることができる。 【0019】苗植付装置5は、図6及び図7に示す構成で、下端が尖ったカップ状の苗植付具70を備えている。この苗植付具70は、前側部材70aと後側部材70bとからなっており、苗植付具70の後方に位置する前側部材回動軸71Aに回動自在に支持された前側部材取付アーム72A,72Aに前側部材70aが一体に取り付けられ、苗植付具70の前方に位置する後側部材回動軸71Bに回動自在に支持された後側部材取付アーム72B,72Bに後側部材70bが一体に取り付けられている。よって、回動軸71A,71Bを支点にして両部材70a,70bが回動すると、苗植付具70の下部が開閉する。前側部材取付アーム72Aと後側部材取付アーム72Bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン73によって、前側部材70aと後側部材70bは互いに連動して回動する。前側部材取付アーム72Aの脚部72aAと後側部材取付アーム72Bの脚部72aBとの間に、前側部材70a及び後側部材70bを閉じる側に付勢するスプリング74が張設されている。この苗植付具70は、下記の作動機構によって所定の動作を行う。 【0020】第二植付伝動ケース37から上方に突出する支持部37aに後リンク支持アーム77Aが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された後リンク78Aの後端に前側部材回動軸71Aが連結されている。後リンク78Aの中間部には、第二植付伝動ケース37の後端部に設けた後リンク駆動アーム79Aが連結されている。また、植付ミッションケース35に前リンク支持アーム77Bが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された前リンク78Bの後端に後側部材回動軸71Bが連結されている。前リンク78Bの中間部には、第一植付伝動ケース36の後端部に設けた前リンク駆動アーム79Bが連結されている。両駆動アーム79A,79Bが駆動回転すると、後リンク78A及び前リンク78Bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、苗植付具70が一定姿勢のまま上下動する。 【0021】後リンク78Aの基部には開閉アーム81が回動自在に取り付けられ、その開閉アーム81の先端部と前側部材取付アーム72Aとが開閉ロッド82で連結されている。また、後リンク78Aの中間部には後リンク駆動アーム79Aと一体に回転する開閉カム83が取り付けられている。この開閉カムのカムフォロアとしてのローラ84が開閉アーム81に設けられている。苗植付具70が下死点付近にある位置から上昇する行程で、開閉カム83がローラ84に係合するようになっている。開閉カム83がローラ84に係合すると、開閉ロッド82が引かれ、前側部材70aと後側部材70bが互いに連動して回動し、苗植付具70が開く。開閉カム83がローラ84に係合しない時は、スプリング74の張力によって苗植付具70が閉じている。 【0022】苗植付具70が上死点にある時に、苗供給装置4により苗が落下供給される。供給された苗は、前側部材回動軸71Aと後側部材回動軸71Bに取り付けられている筒状の苗ガイド86を通って苗植付具内に導かれる。苗を保持した苗植付具70が下降し、下死点では苗植付具70の下部が畝の表土部に突き刺さり、苗移植用穴を形成する。これとほぼ同期して苗植付具70が開き、保持していた苗を上記苗移植用穴の中に解放する。そのまま苗植付具70が上昇し、上死点付近まで上昇すると苗植付具70が閉じる。 【0023】図8に示すように、苗植付具の前側部材70aと後側部材70bの内側には、針金で形成された苗姿勢安定具87,87が設けられている。これにより、床土部が裁頭台形状をしている苗を使用する場合においても、苗Nが苗植付具70の内部で姿勢が乱れることがなく、圃場での苗の植付姿勢が安定する。 【0024】薬剤散布装置6は、薬剤を入れる薬剤タンク90と、該薬剤タンク内の薬剤を下方に繰り出す繰出部91と、該繰出部によって繰り出された薬剤を苗植付位置の近傍に導くホース92とで構成されている。前リンク支持アーム77Bと一体に作動する薬剤散布駆動アーム94の揺動を伝動ロッド95を介して連動アーム96に伝達し、その連動アーム96の揺動によりワンウェイクラッチを介して繰出部駆動軸98を一定方向に回転させるようにしている。このため、苗植付けのタイミングに合わせて繰出部91を駆動させることができる。薬剤がホース92を落下する時間を考慮して、繰出部91が繰出作用するタイミングを設定しておくとよい。 【0025】薬剤タンク90と繰出部91は、苗載せ枠支持フレーム39と一体の薬剤散布装置支持フレーム99に支持され、苗載せ枠9の左側方に配置されている。苗供給装置4は機体の左右中心より右側に設けられているため、薬剤散布装置6を装備しない状態では、機体の重心が左右中心より若干右側にある。そこで、オプションで装備される薬剤散布装置6を機体の左側方に設けることにより、重量バランスが左右一方に偏らなくすることができる。また、薬剤タンク90と繰出部91は、側面視で後輪2のほぼ真上の位置に配置されている。このため、旋回時等に前輪3,3を浮かせた場合においてもハンドル操作荷重の変動が少なく、操作性が良好となる。さらに、上記位置に薬剤タンク90と繰出部91を配置すると、前記繰出部への伝動機構の配設が容易であると共に、苗補給作業中の作業者が薬剤タンク90内の薬剤の残量を容易に確認することができる。 【0026】苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪100,100が設けられている。この鎮圧輪100,100は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、後記ロッド112に遊嵌させたスプリング101によって下向きに付勢されており、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。 【0027】鎮圧輪100,100が取り付けられた鎮圧輪フレーム102は、植付深さ調節ガイド枠103に上下に回動自在に支持されている。植付深さ調節ガイド枠103には複数の係合部104a,…を有するガイド溝104が形成されており、このガイド溝に鎮圧輪フレーム102と一体の植付深さ調節レバー105が摺動自在に嵌合している。植付深さ調節レバー105をガイド溝104の係合部104a,…に係合させると、鎮圧輪フレーム102が回動しないように固定される。よって、植付深さ調節レバー105の操作により、鎮圧輪100,100の取付高さを複数段階に設定できる。これにより、苗の植付深さが段階的に調節される。 【0028】また、上記植付深さ調節ガイド枠103は、メインフレーム18の前後中間部に固着した支持枠106に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム107の後端部に取り付けられている。畝面の凹凸に応じて鎮圧輪100,100が機体に対し上下動すると、その鎮圧輪の上下動による鎮圧輪フレーム102の揺動が、連動機構108を介して油圧バルブユニット25内の昇降用油圧バルブに伝えられ、揺動フレーム97の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ26を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御する。 【0029】更に、メインフレーム18の後部には鎮圧輪固定レバー110が回動自在に設けられ、該レバーと一体のアーム111がロッド112を介して揺動フレーム107に連結されている。鎮圧輪固定レバー110をレバーガイド113に動かないように係止すると、鎮圧輪100,100が機体に対し一定高さに固定され、上記昇降制御が機能しなくなる。機体を非作業位置へ上昇させた状態で苗植付装置5を作動させる場合や、運搬時に鎮圧輪100,100が動くのを防止するために、上記方法で鎮圧輪100,100を固定する。 【0030】なお、油圧バルブユニット25内のローリング用油圧バルブは左右傾斜検出用の振り子115の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ32が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。 【0031】操縦用のハンドルは、メインフレーム18の後端部に固着され、両端が後方に延びる平面視コ字形の主ハンドル7と、該主ハンドルに前方に転倒した状態(図1及び図2において実線で示す)と後方に転倒した状態(同図において鎖線で示す)に回動可能に取り付けた平面視コ字形の補助ハンドル8とからなる。主ハンドル7の基部には操作パネル116が取り付けられ、これに各種操作具が設けれている。補助ハンドル8は、主ハンドル7の内側かつ操作パネル116より外側に設けられている。 【0032】走行時や旋回時には、補助ハンドル8を後方に転倒した状態にしておき、作業者は機体の後方を歩きながら、主ハンドル7または補助ハンドル8を用いて操向操作を行う。植付作業時には、補助ハンドル8を前方に転倒した状態にしておき、作業者は機体の左側を歩きながら、苗供給装置4に苗補給を行うと共に、必要に応じ補助ハンドル8を用いて操向操作を行う。このとき、補助ハンドル8が作業者の近傍に位置しているので、操向操作を行ないやすい。植付作業中に、身体を支えるために補助ハンドル8を利用することもできる。また、作業者は機体の後方を歩行しているとき、補助ハンドル8を前方に転倒した状態にしておけば、上体を前方に乗り出して苗補給作業を行うこともできる。 【0033】以下、異なる実施の形態について説明する。図9及び図10は、本発明とは直接関係しないが、同じく欠株の発生防止と作業者の労力軽減を図ることを目的とした苗供給装置を表している。この苗供給装置4は、移動苗供給体に苗を直接補給する構成であって、ターンテーブルの自動回転機構とは別に、手動でターンテーブルを回転させる手動回転機構が設けられている。この手動回転機構は、手動アーム120に取り付けられた手動ラチェット爪121を備え、自動回転機構によりラチェットホイール45が回転するときは該ラチェットホイールの歯が手動ラチェット爪121を乗り越え、手動レバー122で手動アーム120を回動させると、手動ラチェット爪121がラチェットホイール45の歯に噛み合って当該ラチェットホイール45を回転させるようになっている。手動レバー122は、ターンテーブル44の左側方に突出させて設けられている。 【0034】また、苗供給位置Pの二つ手前にある移動苗供給体41に苗が入っているか否かを検出する苗センサ123が設けられている。図示の苗センサ123は、移動苗供給体41の底蓋60に一定以上の荷重がかかるとリミットスイッチのアクチュエータが駆動され、スイッチがON・OFF切り替わる構成となっている。苗センサはブザー等の警報器124に接続されており、苗が入っていない場合は警報器124が作動して作業者に知らせる。なお、図示のものは、1枚ものの底蓋が下側に開く構成であるが、前記実施の形態に示した如く、一対の底蓋がそれぞれ個別に下側に開く構成としてもよい。 【0035】苗の入っていない移動苗供給体41が発生した場合、苗供給位置Pの二つ手前で作業者に知らせるので、その移動苗供給体41が苗供給位置Pへ移動するまでの間に苗補給を行えばよい。苗供給位置Pの二つ手前という位置は、それから苗補給を行うのに充分に間に合う位置である。何らかの事情が作動しても苗補給が間に合わない場合は、苗の入っていない移動苗供給体41が苗供給位置Pへ移動してきたとき、手動レバー122を用いてターンテーブル44を1ピッチ回転させ、その移動苗供給体41を強制送りしてもよい。また、株数調整等のため、手動レバー122を用いて苗の入っている移動苗供給体41を強制送りすることもできる。 【0036】苗センサ123を苗供給装置4及び苗植付装置5への伝動を入・切する植付クラッチと連動させ、苗の入っていない移動苗供給体が発生した場合、苗供給装置4及び苗植付装置5の作動を自動的に停止させるように構成してもよい。 【0037】次に示す二つの実施の形態は、苗補給が行いやすいように苗載せ枠を工夫した野菜移植機を表している。図11及び図12に示す野菜移植機1(2)は、それぞれ複数個の苗箱を載置できる上下2段の苗載せ枠130,131を備え、下段の苗載せ枠130は苗供給装置4の前側に固定して設けられ、上段の苗載せ枠131はターンテーブル44の回動支点を中心にして、下段の苗載せ枠130の真上の位置(実線で示す)とターンテーブルの右側の位置(鎖線で示す)とに約90度回動させられるようになっている。上段の苗載せ枠131に載置されている苗箱から苗補給する時は、上段の苗載せ枠131を下段の苗載せ枠130の真上に位置させ、下段の苗載せ枠130に載置されている苗箱から苗補給する時は、上段の苗載せ枠131をターンテーブル44の右側に位置させる。このように構成すると、作業者から見て常に同じ方向から苗を取り出すことができるので、作業者が姿勢や視線の方向を大きく変える必要がなく、労力負担を軽減できる。 【0038】図13及び図14に示す野菜移植機1(3)も、それぞれ複数個の苗箱を載置できる上下2段の苗載せ枠132,133を備え、下段の苗載せ枠132は苗供給装置4の前側に固定して設けられ、上段の苗載せ枠133は下段の苗載せ枠132の真上の位置(実線で示す)と、さらにその前方の位置(鎖線で示す)とに移動させられるようになっている。上段の苗載せ枠133に載置されている苗箱から苗補給する時は、上段の苗載せ枠133を下段の苗載せ枠132の真上に位置させ、下段の苗載せ枠132に載置されている苗箱から苗補給する時は、上段の苗載せ枠133を下段の苗載せ枠132の前方に移動させる。この構成も、上記実施の形態と同様に、作業者の労力負担を軽減できる。 【0039】図15及び図16は、液状の薬剤を植付け前の苗の床土に直接散布するように構成した野菜移植機を表している。この野菜移植機1(4)の苗供給装置4は、固定苗供給体は設けられておらず、苗供給位置Pにある移動苗供給体41,…の上方に薬剤タンク140とその滴下ノズル141が設けられている。この構成とすると、(1)苗の床土に薬剤が直接散布されるので薬剤の効きが良い、(2)ホースが不要である、(3)薬剤を散布するタイミングを合わせやすい、(4)薬剤散布装置が機体の左右中心に配置されているので、左右の重量バランスが良好である等の効果がある。 【0040】図17は灌水装置を装備した野菜移植機1(5)を表している。エンジンフレーム11と植付ミッションケース35に支持された水タンクフレーム150の上に、水タンク151がボンネット15と苗載せ枠9の間に位置するように設けられている。水タンク151の左側方に設けられたプランジャポンプ152によって水タンク151内の水を吸引し、それをホース153で苗植付具70の中に導き、植付け前の苗に灌水を施すようになっている。プランジャポンプ152は、前リンク支持アーム77Bと一体に作動する灌水駆動アーム154に取り付けたローラ155によって、苗植付具70に苗が供給されるタイミングに合わせて駆動される。苗植付具作動機構の前方にプランジャポンプ152が位置しているため、その動力取出の機構を簡略に構成することができる。また、水タンク151を上記位置に配置すると、該水タンクの重心が機体リフト時の支点である後輪2の接地部に対し側面視で比較的近いので、機体リフト時における野菜移植機全体の重心移動が少なく、機体の操縦性、直進性が良好である。 【0041】図18は異なる灌水装置を装備した野菜移植機1(6)を表している。この野菜移植機の水タンク151は、水タンクフレーム150に取り付けられたレール160に沿って前後に移動可能に設けられている。また、苗載せ枠9は、軸161を支点に前端側が上下に回動自在に設けられている。そして、走行伝動ケース20に固着したアーム162と苗載せ枠9の前部がロッド163を介して連結されている。さらに、ロッド163の中間部には第一水タンクスライドアーム164が連結され、該第一水タンクスライドアームと一体に回動する第二水タンクスライドアーム165がリンク166を介して水タンク151と連結されている。これにより、機体をリフトすると、苗載せ枠の前端側が上に回動すると共に、水タンク151が後方へ移動して苗載せ枠9の下側に位置するようになる。このように、機体の昇降に応じて水タンク151が前後移動するので、機体旋回時等のように機体を高くリフトするほど重心が側面視で後輪2の接地部に近づき、機体の操縦性、直進性が良好となる。 【0042】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にかかる苗移植機は、固定位置に設けられている固定苗供給体に苗を補給すればよく、しかも移動苗供給体が無限軌道を一巡する間に作業者自らのペースで固定苗供給体に苗を補給すればよいので、苗補給作業が容易になり、作業者の労力負担が軽減されるようになった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月19日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】菅原 弘志
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| 【公開番号】 |
特開平11−318123 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月24日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−155155 |
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