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【発明の名称】 移動農機
【発明者】 【氏名】仲 弘和

【氏名】福村 善宏

【要約】 【課題】走行車体のヒッチに種々の作業装置を付け代えて用いるが、作業装置の一部でヒッチの上が被われていると、その着脱が容易でない。

【解決手段】走行車体1のヒッチ17に作業装置2が着脱自在に設けられ、その作業装置2はヒッチ17の上に来る部分(36、37など)が後や横などに移動し得るように設けられている移動農機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体1のヒッチ17に作業装置2が着脱自在に設けられ、その作業装置2はヒッチ17の上に来る部分(36、37など)が後や横などに移動し得るように設けられている移動農機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、走行車体のヒッチに種々の作業装置を付け代えて異った移動農機として用いるものに有効なものである。
【0002】
【従来の技術】走行車体のヒッチに、苗植装置や播種装置などの作業装置を付け代えて、苗植機や播種機などとして用いるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ヒッチの上方が作業装置の一部で被われて、ヒッチと作業装置の連結部が見づらく、両者の着脱操作が円滑にできないおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この発明は、走行車体1のヒッチ17に作業装置2が着脱自在に設けられ、その作業装置2はヒッチ17の上に来る部分(36、37など)が後や横などに移動し得るように設けられている移動農機とした。
【0005】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を説明する。走行車体1の後部に播種装置(作業装置)2と施肥装置3が装着されて、播種と同時に施肥が行なわれる湛水直播機となっている(図1、図2)。その走行車体1がつぎのように構成されている。フレーム4の前後に主歯車箱5と後輪歯車箱6が配置され、それぞれの外側に一対の前輪7と後輪8が設けられている。エンジン9がフレーム4の上に取付けられ、その動力がベルト10,11で主歯車箱5内に導入されたのち、その中の変速機で所望の回転数が選択されて前輪7と後輪8に伝わり、これらの回転で走行車体1が進行するように出来ている。
【0006】カバー12でエンジン9が被われ、その上に座席13が設けられている。ハンドルフレーム14が座席13の前に配置され、その上のステアリングホイル15を操作すると、前輪7が操縦されて走行車体1の進路が変わるようになっている。支柱16がフレーム4の後部から上に伸び、これと後のヒッチ17が平行なリンク18で連結されている。昇降シリンダ19の前部がフレーム4に取付けられ、これから斜後上に突出したピストンロッド20の突端が上のリンク18と一体のアーム21の下端に接続し、昇降弁の作動でポンプが吐出した油を昇降シリンダ19に供給すると、ピストンロッド20が突出してヒッチ17が同じ姿勢を保って上昇し、その油をタンクに戻すと、ヒッチ17が下降するように出来ている。なお、この昇降弁の作動は、座席17の右の昇降レバー22の操作で行なう。
【0007】播種装置2がつぎのように構成されている。取付枠23のピン23aがヒッチ17の上端のV字形の受部17aで受けられ、図示していないピンその他で止められて、取付枠23がヒッチ17に着脱自在に出来ている。横長のパイプフレーム24が取付枠23の後の下部に設けられ、これから4本の支持フレーム25が等間隔で後に伸びている。支持フレーム25の下に固定された横軸26からそれぞれの下腹部でアーム27が斜後下に伸び、その突端にフロート28の後部が軸29で揺動自在に取付けられている。
【0008】従って、走行車体1が水田で前進すると、4個のフロート28が軸29の回りに揺動しながらその泥面を滑走する。一対の播種用作溝器30がそれぞれのフロート28に固定され、上記の滑走で泥面に8条の播種溝をほぼ等間隔に作るようになっている。アーム31の下端が軸32で取付枠23の上部に回動自在に取付けられ、その上部が、図1の実線と鎖線のように、前後に揺動するように出来ている。パイプ状のエアチャンバー33がその端に横長に固定され、これから8本の吐出管34が後に突出している(アーム31が図1の実線の位置)。送風機35がエアチャンバー33の右に設けられ、これが吹き込んだ空気がそれぞれの吐出管34から吹き出されるようになっている。種子タンク36が吐出管34の上に配置されている。種子タンク36は、横に並んだ8個の谷部を底に備え、それぞれの谷部が誘導筒37で下の吐出管34の中間部に連結されている。対応する吐出管34と播種用作溝器30が可撓性のチューブ38で連結されている。周知のように、筒面に繰出溝を有するロールがそれぞれの誘導筒37内に設けられ、これがエンジン9その他の動力で回転すると、その繰出溝が種子タンク36内の種もみを下に繰り出すようになっている。繰り出された種もみは、それぞれの吐出管34内に連続的に落下し、吐出管34から吹き出される空気で送られて、チューブ38内を通って播種用作溝器30に達し、前記の播種溝内に散布(条播)される。
【0009】施肥装置3がつぎのように構成されている。それぞれのフロート28に、播種用作溝器30の内側で一対の施肥用作溝器39が固定され、その滑走で泥面に8条の施肥溝を作るようになっている。パイプ状のエアチャンバー40が座席13の後で走行車体1に横長に固定され、8本の吐出管41がこれから後に突出し、その右に設けた送風機42が吹き込んだ空気が吹き出だされるようになっている。肥料タンク43が吐出管41の上に配置されている。この肥料タンク43は、横長に作られて底に横並びの8個の谷を備え、それぞれの谷が誘導筒44で下の吐出管41に連結されている。対応する吐出管41の後端と施肥用作溝器39の上端が可撓性のチューブ45で連結されている。なお、チューブ45と吐出管41は、着脱自在に出来ている。
【0010】周知のように、それぞれの誘導筒44内には、筒面に繰出溝を有するロールが設けられ、これがエンジン9の動力で回転すると、肥料タンク43内の粒状の肥料がその繰出溝で連続的に繰り出されて吐出管41内に落下する。落下した肥料は、吹き出される前記の空気でチューブ45内を送られて施肥用作溝器39に達し、上記の施肥溝内に散布される。
【0011】すなわち、この湛水直播機を代掻をした水田で運転すると、前輪7と後輪8がその耕盤上で回転して前進する。この前進にともなって4個のフロート28がその泥面を滑走してそれぞれ8条の播種溝と施肥溝を作る。種子タンク36と肥料タンク43内の種もみと肥料がそれぞれ播種溝と施肥溝内に散布される。なお、その溝は、フロート28の下面に設けた埋戻器で埋め戻される。
【0012】上記の播種作業が終了すると、昇降レバー22を「上げ」にしてヒッチ17および播種機2を上昇させる。そして、この湛水直播機を倉庫その他に移動させたのち、昇降レバー22を「下げ」にして播種装置2を地面上に下降させる。つづいて、チューブ45、伝動軸、ケーブルなどの走行車体1側との連結を解くとともに、アーム31を軸32の回りに後に回して種子タンク36や誘導筒37などを図1の鎖線の位置に移動させる。そののち、ヒッチ17と取付枠23を止めているピンその他を外し、昇降レバー22を「下げ」にしてヒッチ17を下降させる。すると、その受部17aが下ってピン23aから離れ、播種装置2が走行車体1から離れる。なお、離れている播種装置2を走行車体1に取付けるときには、上記の逆に行う。すると、ヒッチ17の上に来る種子タンク36や誘導筒37などが後に移動しているので、受部17aとピン23aがオペレータに良く見えて、その連結が容易に行なわれる。
【0013】また、図の構成によると、種子タンク36や誘導筒37などが後下に移動して全体がコンパクトになるので、収納が効果的に行なわれる。さらに、図の構成は、湛水直播機の後進を容易にする。すなわち、昇降レバー22を「上げ」にして播種装置2を上昇させる。すると、種子タンク36、誘導筒37、エアチャンバー33などが肥料タンク43よりも高く上る(図1の鎖線)。従って、座席13上のオペレータは、両者の間を通して湛水直播機の後を見ることが出来、その後進が容易に行なわれる。
【0014】前記のように、誘導筒37内には、エンジン9で駆動されるロールが設けられ、その筒面にブラシの毛先が接触し、繰出溝から溢れている種もみを掻き落してその繰出量を均一にするようになっている。これを長時間使用すると、ブラシにほこりが付いて機能が低下するおそれがある。上記のように、種子タンク36や誘導筒37などが肥料タンク43よりも高く上ると、そのブラシを取り外して行う掃除が容易になる。なお、その上昇には、ねじや油圧シリンダを用いることもできる。
【0015】図1、図2のように、播種装置2に発電機46を設け、これが発生した電力を送風機35のモータその他に供給するように構成すると、播種装置2を走行車体1に着脱するときにハーネスの着脱が不要になる。つぎのように構成すると、複数のフロート28に設けた播種用作溝器30による播種溝の深さが均一化する。
【0016】その1.前記のフロート28の一又は二がメインフロート28A(図2)となって、その先端の上下動をメインセンサ(図示していない)が検出して制御装置(図示していない)に入力している。昇降レバー22の位置をレバーセンサ(図示していない)が制御装置に入力している。それぞれの入力により、制御装置が昇降弁に出力して播種装置2を以下のように昇降する(これは田植機で周知)。
(1)昇降レバー22を「上げ」にすると、ピストンロッド20が昇降シリンダ19から突出してヒッチ17および播種装置2が上昇する。なお、播種装置2が地面から上昇すると、メインフロート28Aの先が下ってメインセンサからの入力が変化するが、このとき制御装置はその入力では出力しない。
(2)昇降レバー22を「下げ」にすると、ピストンロッド20が引き戻されて播種装置2が下降する。この下降でメインフロート28Aの下面が泥面に当り、水平な姿勢になると、メインセンサからの入力で制御装置が下降を止める。
(3)走行車体1の前進でメインフロート28Aが泥面を滑走する。そして、走行車体1が耕盤の浅い所に来ると、軸29が泥面から上ってその先が下る。
【0017】すると、メインセンサからの入力で制御装置が昇降弁に出力し、播種装置2が下降する。その下降で、軸29が一定の高さに下ると、上記の下降が止まる。これとは逆に、耕盤が深い所に来ると、軸29が泥面に近寄り、メインフロート28Aの先が泥土で押し上げられる。すると、播種装置2が上昇するこのように、耕盤の凹凸に応じて播種装置2が自動的に昇降し、泥面に対するメインフロート28Aの圧力が均一に保たれる。
【0018】残りのフロート28がサブフロート28Bとなって、図3のように構成されている。アーム27Bと一体のパイプ47が横軸26に回動自在に取付けられ、その先に軸29Bでサブフロート28Bの後部が回動自在に取付けられている。モータ48が横軸26(これと一体の取付板)に取付けられ、その歯車48aがパイプ47と一体の扇形歯車49に咬み、制御装置からの出力でモータ48が歯車48aを回わすとアーム27Bが揺動してサブフロート28Bの後部が昇降するように出来ている。パイプフレーム24と一体の板24aと、支持板50が上下で平行な一対のリンク51で連結され、支持板50が同じ姿勢を保って昇降するようになっている。上のリンク51と一体の後軸51aにアーム52が下向きに固定され、パイプ47にアーム53が上向きに固定され、両者がロッド54で連結されて、サブフロート28Bの後部が昇降すると、支持板50が同方向にほぼ同じ量昇降するようになっている。揺動杆55の中間が上のリンク51の前軸51bに取付けられ、サブフロート28Bの前部とその後部がリンク56で連結されている。ポテンションメータで構成されたサブセンサ57が支持板50に固定され、そのアーム57aと揺動杆55の前部がリンク58で連結されて、サブフロート28Bが軸29Bの回わりに揺動すると、サブセンサ57の検出値が変化するようになっている。制御装置は、その検出値でモータ48をつぎのように作動する。
(4)サブフロート28Bが滑走している泥面が、メインフロート28Aが滑走している泥面よりも低いと、サブフロート28Bが軸29Bの回りに揺動して前下りに傾斜する。すると、サブセンサ57からの入力でモータ48が作動し、その歯車48aがアーム27Bの時計方向に回わし、軸29Bが下る。この下降でサブフロート28Bの後部が下り、その姿勢が標準に戻るとモータ48が止まる。
(5)上記の泥面が高いと、サブフロート28Bの前部が泥土で押し上げられて前上りに傾斜する。すると、モータ48がアーム27Bを反時計方向に回わす。これでサブフロート28Bの後部が引き上げられてその姿勢が標準に戻ると、モータ48が止まる。
【0019】以上のように、メインフロート28Aは、昇降シリンダ19による昇降で常に標準姿勢を保ってその下面の泥との圧力が均一に保たれ、サブフロート28Bは、モータ48による昇降で常に標準姿勢を保ってその下面の泥との圧力が均一に保たれるので、すべての播種用作溝器30(および施肥用作溝器39)が均一な深さの播種溝(施肥溝)を作る。
【0020】その2.複数のフロート28のうち、1又は2個がメインフロート28Y(図4)となり、残りがサブフロート28Z(図5)となっている。横軸26にアーム27Yが固定され、その後端に軸29Yでメインフロート28Yの後部が回動自在に取付けられている。播種用作溝器30の下端がそれぞれのフロート28Y・Zの下面から下に突出している。板26Yが横軸26に固定され、これと一体の支持板59にポテンションメータで出来たメインセンサ60が取付けられている。そして、走行車体1の前進でメインフロート28Yが泥面を滑走すると、播種用作溝器30が播種溝を作り、メインセンサ60のアーム60aの先のローラ61がその底を転動して深さを検出するようになっている。なお、播種溝の浅深は、主として、泥土の硬軟にもとづく、土崩れの大小で発生する。制御装置は、その入力で昇降弁を作動し、昇降シリンダ19が播種装置2を昇降してメインフロート28Yの播種用作溝器30による播種溝の深さが一定に保たれるようになっている。チューブ38の後端が播種溝の上に配置され、種子タンク36内から繰り出された種もみがその中に散布される。
【0021】アーム27Zと一体のパイプ62が横軸26に回動自在に取付けられ、その先に軸29Zでサブフロート28Zの後部が回動自在に取付けられている(図5)。モータ63が横軸26と一体の支持板64に取付けられ、その歯車63aが、パイプ62と一体の扇形歯車65に咬み、モータ63が歯車63aを回わすと、アーム27Zが揺動してサブフロート28Zの後部が昇降するように出来ている。支持板64とその後の取付板66が上下で平行な一対のリンク67で連結されて、同じ姿勢で上下するようになっている。アーム68が下のリンク67の前軸67aから上に伸び、アーム69がパイプ62から上に伸び、両者がリンク70で連結されて、サブフロート28Zの後部が昇降すると、取付板66が同方向にほぼ同じ量昇降するようになっている。ポテンションメータで作られたサブセンサ71が取付板66に固定され、そのアーム71aの先のローラ72が播種用作溝器30の後に配置され、これが作った播種溝内で転動するようになっている。
【0022】サブセンサ71からの入力で制御装置がモータ63に出力し、サブフロート28Zがつぎのように昇降する。播種溝が浅い(泥土が軟く、土崩れで浅くなるようなとき)と、アーム71aが反時計方向に揺動してサブセンサ71からの入力が変化する。すると、モータ63がアーム27Zを時計方向に回わし、サブフロート28Zの後部を押し下げ、その播種溝を深くする。
【0023】これとは逆に、播種溝が深い(泥土が硬く、土崩れがほとんどない)と、アーム71aが時計方向に揺動してサブセンサ71からの入力が変化する。すると、モータ63がアーム27Zを反時計方向に回わし、サブフロート28Zの後部を若干引き上げ、その播種溝を浅くする。以上のように、この構成によると、それぞれのフロート28Y・Zごとの播種溝の浅深に応じて播種溝の深さが均一化されるから、播種精度が著しく向上する。
【0024】
【効果】以上のように、この発明による、作業装置2は、走行車体1のヒッチ17の上に来る部分(種子タンク36、誘導筒37など)が後や横などに移動するように設けられているので、走行車体1と作業装置2の着脱が、目で見ながら安全かつ容易に行なわれる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月14日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−318120
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−132172