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【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】吉田 和正

【氏名】北井 浩昭

【要約】 【課題】機体の仕様などに応じて感度調節レバーの設置位置を任意に設定することができるとともに、使用条件に応じた好適なセンサ感度で苗植付け装置の昇降制御を行うことができ乗用田植機を提供する。

【解決手段】苗植付け装置昇降用の制御バルブ50を操作する昇降レバー54と、センサワイヤ43の基準状態を変更して、接地センサの基準姿勢を変更調整する感度調節レバー66を設けた乗用田植機において、制御バルブ50より機体後方箇所に、センサワイヤ43を支持するワイヤ支持アーム67を配備するとともに、このワイヤ支持アーム67と感度調節レバー66とをロッドなどの連係部材68を介して連動連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後方に昇降自在に連結した苗植付け装置に、接地圧の変動に応じて上下変位する接地センサを備えるとともに、前記苗植付け装置を昇降駆動する油圧シリンダの制御バルブを運転座席の横一側に配備し、前記接地センサと前記制御バルブとをセンサワイヤを介して連動連結し、前記接地センサの上下変位に基づいて前記制御バルブを作動させて、前記苗植付け装置の田面に対する高さを一定範囲に維持させる昇降制御装置を構成し、かつ、前記制御バルブを操作する昇降レバーと、前記センサワイヤの基準状態を変更して、前記接地センサの基準姿勢を変更調整する感度調節レバーを設けた乗用田植機において、前記制御バルブより機体後方箇所に、前記センサワイヤを支持するワイヤ支持アームを配備するとともに、このワイヤ支持アームと前記感度調節レバーとを連係部材を介して連動連結してあることを特徴とする乗用田植機。
【請求項2】 前記走行機体における前記運転座席の後方箇所に、前記ワイヤ支持アームの上方に位置させて、施肥装置の肥料供給部を備えてある請求項1ないし3のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項3】 前記ワイヤ支持アームと前記感度調節レバーとを連動連結する連係部材のワイヤ支持アームあるいは感度調節レバーに対する連結位置を調節可能に構成してある請求項1または2記載の乗用田植機。
【請求項4】 前記昇降レバーと前記感度調節レバーとを左右に並べて配置するとともに、昇降レバーの操作域と感度調節レバーの操作域を前後に重複させてある請求項1ないし3のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項5】 前記昇降レバーと前記感度調節レバーとを共通のレバーガイドから突設するとともに、レバーガイドに形成した各レバーの操作溝部分を互いに連通してある請求項1ないし4のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機体後部に連結した苗植付け装置を機械式に昇降制御するよう構成した乗用田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記乗用田植機としては、例えば特開平9‐107742号公報に開示されているように、走行機体の後方に昇降自在に連結した苗植付け装置に、接地圧の変動に応じて上下変位する接地センサを備えるとともに、苗植付け装置を昇降駆動する油圧シリンダの制御バルブを走行機体に備え、接地センサと制御バルブとをセンサワイヤを介して連動連結し、接地センサの上下変位に基づいて制御バルブを作動させて、苗植付け装置の田面に対する高さを一定範囲に維持させる昇降制御装置を構成し、かつ、走行機体の後部に備えた運転座席の一側脇に、制御バルブを操作する昇降レバーと、センサワイヤの基準状態を変更して、接地センサの基準姿勢を変更調整する感度調節レバーを設けた構造のものが知られており、感度調節レバーの下端でセンサワイヤにおけるアウターワイヤの前端を支持し、感度調節レバーの前後揺動によってアウターワイヤの前端位置を変更して、センサワイヤの基準状態を変更調節してセンサ感度を調節するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の上記構成の昇降制御装置においては、感度調節レバーの設置位置が昇降レバーの後方に限られており、機体の仕様によっては感度調節レバーが他の装置の配置の邪魔になったり、運転者が操作しにくくなる場合があった。
【0004】本発明は、このような点に着目してなされたものであって、機体の仕様などに応じて感度調節レバーの設置位置を任意に設定することができるとともに、使用条件に応じた好適なセンサ感度での昇降制御を行うことができるようにすることを主たる目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】(構成) 請求項1に係る発明は、走行機体の後方に昇降自在に連結した苗植付け装置に、接地圧の変動に応じて上下変位する接地センサを備えるとともに、前記苗植付け装置を昇降駆動する油圧シリンダの制御バルブを運転座席の横一側に配備し、前記接地センサと前記制御バルブとをセンサワイヤを介して連動連結し、前記接地センサの上下変位に基づいて前記制御バルブを作動させて、前記苗植付け装置の田面に対する高さを一定範囲に維持させる昇降制御装置を構成し、かつ、前記制御バルブを操作する昇降レバーと、前記センサワイヤの基準状態を変更して、前記接地センサの基準姿勢を変更調整する感度調節レバーを設けた乗用田植機において、前記制御バルブより機体後方箇所に、前記センサワイヤを支持するワイヤ支持アームを配備するとともに、このワイヤ支持アームと前記感度調節レバーとを連係部材を介して連動連結してあることを特徴とする。
【0007】(作用) 上記構成によると、ワイヤ支持アームの位置にかかわらず感度調節レバーを任意の位置に配置することができる。また、ワイヤ支持アームと感度調節レバーとの機械的な連係関係を変更することで、感度調節レバーの操作位置に対するセンサ感度を調整したり、感度調節レバーの全操作量に対する感度調整幅を変更することが可能となる。
【0008】(効果) 従って、請求項1に係る発明によれば、機体の仕様などに応じて感度調節レバーの設置位置を任意に設定したり、運転者が操作しやすい位置に設定することができ、使い勝手に優れた田植機を構成することが容易となった。また、感度調節レバーに対する感度調整状態を任意に調整することが容易となり、圃場の条件に応じた好適なセンサ感度での昇降制御を行うことが可能となった。
【0009】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0010】(構成) 請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記走行機体における前記運転座席の後方箇所に、前記ワイヤ支持アームの上方に位置させて、施肥装置の肥料供給部を備えてある。
【0011】(作用) 上記構成によると、感度調節レバーをワイヤ支持アームの上方から外れた位置(例えば前方など)に移動させて、その空いた箇所に施肥装置の肥料供給部を配備することになる。ここで、施肥装置の肥料供給部が機体後部に位置すると、苗植付け装置に施肥装置を備える場合に比較して機体の重量バランスを良好に保ちながら施肥装置を備えることができる。
【0012】(効果) 従って、請求項2に係る発明によれば、機体後部の運転座席とその後方の苗植付け装置との間に施肥装置の肥料供給部を配備することができながら、感度調節レバーを操作しやすい任意の位置に配備することができ、重量バランスが良好で、かつ、操作性に優れた施肥装置付きの乗用田植機を構成する上で有効となる。
【0013】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0014】(構成) 請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記ワイヤ支持アームと前記感度調節レバーとを連動連結する連係部材のワイヤ支持アームあるいは感度調節レバーに対する連結位置を調節可能に構成してある。
【0015】(作用・効果) 上記構成によると、ワイヤ支持アームと連係部材との連結位置、あるいは、連係部材と感度調節レバーとの連結位置を調節することで、ワイヤ支持アームを操作するレバー比を変更して、感度調節レバーの単位操作量に対する感度調整量を変更したり、感度調節レバーの全操作量に対する感度調整幅を変更することが可能となり、請求項1または2の発明の上記効果をもたらすとともに、圃場の条件に応じた好適なセンサ感度での昇降制御を行うことができるようになる。
【0016】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0017】(構成) 請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか一項の発明において、前記昇降レバーと前記感度調節レバーとを左右に並べて配置するとともに、昇降レバーの操作域と前記感度調節レバーの操作域を前後に重複させてある。
【0018】(作用・効果) 上記構成によると、感度調節レバーを機体前方に移動して設置することができるので、昇降レバーと感度調節レバーとの全体のレバー操作域を前後に短くすることができ、運転者にとって取扱いやすいものとなる。
【0019】〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕
【0020】(構成) 請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか一項の発明において、前記昇降レバーと前記感度調節レバーとを共通のレバーガイドから突設するとともに、レバーガイドに形成した各レバーの操作溝部分を互いに連通してある。
【0021】(作用) 上記構成によると、感度調節レバーに代えて感度設定器を用いるとともに、制御バルブを電磁制御バルブにして、昇降レバーの位置をポテンショメータなどで検出して昇降制御を行う電気制御仕様の田植機を構成した際に、レバーガイドに形成した感度調節レバーの操作溝部分を昇降レバーの操作域に一部とすることができ、ここを各種の自動制御を行う操作位置に設定することが可能となる。
【0022】(効果) 従って、請求項5に係る発明によれば、レバーガイドを機械式の昇降制御装置を備えた仕様の機種と、電気式昇降制御装置を備えた仕様の機種に兼用することができ、部品の共用化によるコスト低減に有効となる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1に、施肥装置付きに乗用田植機の全体側面が、また、図2にその全体平面図がそれぞれ示されている。この田植機は、4輪駆動型に構成された走行機体1の後方に、油圧シリンダ2で駆動される四連リンク機構3を介して6条植えの苗植え付け装置4が昇降自在に連結されるとともに、機体後部の上方箇所に施肥装置5が配備された構造となっている。
【0024】前記走行機体1の前部にはエンジン6が搭載されるとともに、操向前輪7を軸支したミッションケース8が備えられ、また、機体後部には運転座席9が設けられるとともに、後輪10を軸支した後部伝動ケース11が配備されており、エンジン動力がベルト式の無段変速装置12を介してミッションケース8に入力されて前輪7に伝達されるとともに、伝動軸12および後部伝動ケース11を介して後輪10に伝達されるようになっている。また、ミッションケース8に内装した植付けクラッチ13を介して分岐された作業用動力が伝動軸14を介して前記苗植え付け装置4に伝達されよう構成されている。
【0025】前記苗植え付け装置4は、前記伝動軸14から動力を受けるフィードケース16、横長の植付け部フレーム17、6条分の苗Fを載置して一定ストロークで横移動する苗のせ台18、左右に並列して植付け部フレーム17に後ろ向き片持ち状に取り付けられた3個の植付けケース19、各植付けケース19の後部左右に装着された回転式の植付け機構20、各条の植付け箇所を整地するよう左右に並列配備されたセンターフロート21および左右一対のサイドフロート22、等を備えて構成されている。
【0026】図3および図4に示すように、前記施肥装置5は、前記運転座席9と前記苗のせ台18との間に配置されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー23と、その下部から設定量づつ肥料を6条分の繰り出す回転式の繰出し機構24と、繰り出した肥料を空気搬送するブロワ25およびこれを駆動する電動モータ26とを備えており、空気搬送される肥料は、前記センターフロート21および左右一対のサイドフロート22に取り付けた作溝器27に供給ホース28を介して供給され、各条の植付け苗の横側方箇所に浅く埋設されるようになっている。なお、前記繰出し機構24は、苗植付け装置4への伝動系の介在した分岐ケース29から取り出した分岐動力で駆動されるようになっている。また、肥料ホッパー23に残った肥料を回収ホース30で集めて回収するようになっている。
【0027】前記センターフロート21は、苗植付け装置を自動昇降制御するための接地センサSとして機能するものであり、その昇降制御機構は以下のように構成されている。
【0028】図5〜図7に示すように、前記各植付けケース19の基部下方にはフロート支点軸31が植付け深さ調節レバー32によって回動調節可能に横架され、このフロート支点軸31から後ろ向き片持ち状に延出されたフロート支持アーム33の後端に前記接地センサS(センターフロート21)が支点aを中心に上下揺動自在に連結されるとともに、その前部において屈伸リンク34を介して植付け部フレーム17に横振れ不能に支持されている。また、図示しないが、左右のサイドフロートも同様にフロート支点軸31から後ろ向き片持ち状に延出された左右のフロート支持アームの後端にそれぞれ連結支持されている。
【0029】フロート支点軸31を回動調節する前記植付け深さ調節レバー32は、植付け部フレーム17の前部に固着したレバーガイド35に貫通され、ガイド孔36に複数段の操作位置で係止可能に構成されており、この植付け深さ調節レバー32を任意の位置に揺動調節してフロート支持アーム33を上下に揺動調節することで、植付け機構20に対するフロート群の高さを変更して、植付け深さを調節するよう構成されている。
【0030】図6に示すように、前記レバーガイド35には、平行四連リンク機構37を介して平行に上下動可能にセンサブラケット38が装着されるとともに、植付け深さ調節レバー32に備えた係合ピン39が前記平行四連リンク機構37に係合されており、植付け深さ調節レバー32の揺動操作によって接地センサSの支点aが上下動されると、これに連動してセンサブラケット38が支点aの移動方向と同方向に同量だけ上下動されるようになっている。
【0031】そして、センサブラケット38には、支点b周りに天秤揺動可能なセンサアーム40が枢支連結されるとともに、このセンサアーム40の後端と接地センサSの前部とがロッド41で連係され、接地センサSの上下揺動がセンサアーム40の揺動として検出されるようになっている。なお、前記ロッド41の上端はセンサアーム40に対して上方に突出可能かつ下方に抜け出し不能に貫通されるとともに、初期圧縮荷重を与えた状態のコイルバネ42が外嵌装着されており、通常はロッド41の変位がそのままセンサアーム40に伝達されるが、センサアーム40の揺動限界以上にロッド41が突き上げられると、コイルバネ42が圧縮変形されてロッド41がセンサアーム40に対して突出変位し、ロッド41の過剰な突き上げストロークが吸収されるようになっている。
【0032】また、前記センサブラケット38の前端部には、レリーズワイヤを利用したセンサワイヤ43におけるアウターワイヤ43bの後端が連結されるとともに、そのインナーワイヤ43aの端部が前記センサアーム40の前端に連結されている。また、センサアーム40の後部から上方に向けてロッド44が延出されて、センサブラケット38から屈曲連設した支持部38aにスライド自在に貫通支持されるとともに、このロッド44に外嵌装着したセンサバネ45によってセンサアーム40の後部が下方に向けて押圧付勢されている。
【0033】運転座席9の右側下方には、前記油圧シリンダ2を作動制御する制御バルブ50が配備されている。この制御バルブ50は、手動により任意に操作できるとともに、前記接地センサSによっても自動作動されるようになっており、以下にそのバルブ操作構造について説明する。
【0034】図8に示すように、前記制御バルブ50には、回動操作によって内装したスプール(図示せず)をスライド操作する操作軸51が備えられ、この操作軸51の突出端に操作レバー52が固着されるとともに、感知レバー53が遊転自在に装着されている。ここで、前記内装スプールは油圧シリンダ2を伸長させて苗植付け装置4を下降作動させる方向に付勢されており、この付勢力によって操作軸51は常に図中反時計方向に回動付勢されている。また、制御バルブ50には、支点cを中心に前後揺動可能な昇降レバー54が備えられ、この昇降レバー54と一体揺動される操作アーム55の接当ピン56が前記操作レバー52に接当連係されている。図8は、昇降レバー54が「中立」位置にある状態を示し、この「中立」位置の後方に「上昇」位置が、また、その前方に「下降」位置がそれぞれ設定されている。つまり、昇降レバー54を「中立」位置から「上昇」位置に操作すると、接当ピン56を介して操作レバー52が図中時計方向に接当回動されて、操作軸51が下降側への付勢力に抗して上昇側に回動され、その後、昇降レバー54を「中立」位置に戻せば、苗植付け装置4が任意の位置で固定される。また、昇降レバー54を「中立」位置から「下降」位置に操作すると、接当ピン56が上方に逃げることで操作レバー52および操作軸51が図中反時計方向に付勢回動されて下降状態がもたらされるようになっている。
【0035】また、前記昇降レバー54は、「下降」位置を前方に大きく越えた「植付け」位置にまで揺動操作可能に構成されるとともに、昇降レバー54と前記ミッションンケース8に内装した植付けクラッチ13の操作レバー57とが、湾曲リンク58、ストローク吸収バネ59、中継リンク60、および連係ロッド61を介して連動連結されており、昇降レバー54が「植付け」位置にある時のみ植付けクラッチ13が「入り」となり、他の操作位置では「切り」となるよう、昇降レバー54の操作位置と植付けクラッチ13との相関関係が設定されている。
【0036】また、前記昇降レバー54からは、牽制ロッド62が後方に向けて枢支延出されて、前記四連リンク機構3のロアーリンク3aに設けた回動ボス63に貫通支持されており、昇降レバー54が「上昇」位置に操作された際、苗植付け装置4が所定の上限位置にまで上昇されてくると、前記回動ボス63が牽制ロッド62に備えたストッパ64にバネ65を介して押圧して、牽制ロッド61を前方に移動させ、「上昇」位置にある昇降レバー54を「中立」位置に強制的に押し戻して自動的に上昇を停止させるよう構成されている。
【0037】前記昇降レバー54の後方で機体内側箇所には、昇降制御の感度を設定する感度調節レバー66が支点dを中心に前後揺動可能、かつ、任意の操作位置で固定可能に配備されるとともに、前記制御バルブ50の後方箇所には、支点e回りに回動可能なワイヤ支持アーム67が配備され、このワイヤ支持アーム67の上端部と前記感度調節レバー66とが連係部材としてのロッド68で連動連結され、感度調節レバー66を前後に揺動して任意の操作位置で固定することでワイヤ支持アーム67の固定姿勢が調節されるようになっている。そして、このワイヤ支持アーム67の下端部に前記センサワイヤ43におけるアウターワイヤ43bの前端部が支持されるとともに、ここから前方に延出されたインナーワイヤ43aの前端が前記感知レバー53の下端に連結されている。
【0038】また、前記ワイヤ支持アーム67の上半部には、制御バルブ50の感知レバー53の上端に連結した補助センサバネ69を引張する感度調節用レリーズワイヤ70のアウターワイヤ70bが連結されている。このレリーズワイヤ70が運転座席9の左側に配置した変速レバー71に連係されており、この変速レバー71によって前記無段変速装置12が高速側に操作されるに連れて前記補助センサバネ69がレリーズワイヤ70のインナーワイヤ70aによって引張されるようになっている。
【0039】苗植付け装置4の自動昇降制御は、昇降レバー54を「下降」位置あるいは「植付け」位置に操作して、操作アーム55の接当ピン56を操作レバー52から離反させた状態で実行され、この場合、制御バルブ50の感知レバー53がセンサワイヤ43によってのみ操作されるようになる。そして、「下降」位置では植付けクラッチ13が「切り」状態での自動昇降制御が、また、「植付け」位置では植付けクラッチ13が「入り」状態での自動昇降制御が以下のように行われることになる。
【0040】苗植付け装置4が田面から浮上している状態で昇降レバー54を「下降」位置に操作すると、この場合、接地センサSが自重で支点a周りに下方に揺動して、センサワイヤ43のインナーワイヤ43aが弛められるので、自由状態の操作レバー52はその付勢回動力によって図中反時計方向に回動し、制御バルブ50は下降状態に切り換えられて苗植付け装置4が下降を開始する。
【0041】図5において、苗植付け装置4が下降して接地センサSが田面に接地すると、その接地反力によって接地センサSが支点aを中心に上方に揺動し、ロッド41の突き上げによってセンサアーム40が支点b周りに反時計方向に揺動され、これによってセンサワイヤ43におけるインナーワイヤ43aの後端が引き出される。
【0042】図8および図9において、インナーワイヤ43aが後方に引き出されることよって感知レバー53が時計方向に回動され、下降位置にあった操作レバー52が感知レバー53に備えたピン72との接当によって時計方向に回動され、やがて内装スプールが中立に至って苗植付け装置4の下降が停止される。この状態が昇降制御の中立基準状態であり、この時の接地センサSに上向きに働く接地反力と、センサバネ45と補助センサバネ69によって接地センサSを下方に押しつける力(センサ荷重)とが均衡している。
【0043】このように苗植付け装置4が下降接地された状態で昇降レバー54を「植付け」位置に操作することで、植付けクラッチ13が入れられて植付け作業が可能となる。
【0044】植付け走行中において、耕盤の凹凸等の影響で走行機体1が上下動あるいは前後に傾動することで苗植付け装置4が田面に対して浮上あるいは沈下しかかるが、これが接地センサSの上下変位としてで感知されて、以下のように苗植付け装置4が自動的に昇降制御される。
【0045】上記昇降制御の中立基準状態に安定している状態で、例えば、耕盤の浅い箇所に至って走行機体1全体が持ち上げられたり、耕盤の凹凸によって、走行機体1が後上がり傾斜したりして、苗植付け装置4が浮上しかかると、接地センサSに上向きに働く接地反力が接地センサSを下方に押しつけるセンサ荷重よりも小さくなり、接地センサSが下方に変位してセンサワイヤ43のインナーワイヤ43aが弛められ、図8および図9において、感知レバー53が自由回動状態となり、操作レバー52が反時計方向に付勢回動して下降制御が行われ、接地センサSに上向きに働く接地反力が増大してセンサ荷重と均衡すると再び元の中立基準状態に復帰し、ここで下降作動が停止する。
【0046】また、上記昇降制御の中立基準状態に安定している状態で、例えば、耕盤の深い箇所に至って走行機体1全体が沈み込んだり、耕盤の凹凸によって、走行機体1が後下がり傾斜したりして、苗植付け装置4が沈下しかかると、接地センサSに上向きに働く接地反力が接地センサSを下方に押しつけるセンサ荷重よりも大きくなり、接地センサSが上方に変位してセンサワイヤ43のインナーワイヤ43aが引張され、図8および図9において、インナーワイヤ43aの後方への引張によって感知レバー53が時計方向に回動され、操作レバー52がピン72を介して時計方向に強制回動されて上昇制御が行われ、接地センサSに上向きに働く接地反力が減少してセンサ荷重と均衡すると再び元の中立基準状態に復帰し、ここで上昇作動が停止する。
【0047】また、圃場の泥の硬軟に応じてセンサ感度を以下のように変更調節して、好適な感度による昇降制御を行う。例えば、圃場の泥が柔らかい場合には、感度調節レバー66を前方に調節して、図8において、ワイヤ支持アーム67を時計方向に回動調節する。これによってセンサワイヤ43におけるアウターワイヤ43bの前端位置が後方に変更され、中立基準状態の制御バルブ50に対して相対的にセンサワイヤ43のインナーワイヤ43aが前方に引張した状態に調整され、接地センサS側においては、インナーワイヤ43aが引き込まれた状態が基準状態となり、図5において、センサアーム40が調節前より時計方向に回動した状態で安定し、接地センサSの基準姿勢が調節前より前下がり方向に変更される。
【0048】接地センサSの基準姿勢が前下がり側に変更されると、接地センサSの田面に対する接地領域に中心が支点aから前方に移動し、田面からの接地反力を受けて上方揺動しやすくなる。また、センサアーム40が調節前より時計方向に回動した状態に変更されることで、センサバネ45が長くなって、このセンサバネ45による下向きのセンサ荷重が小さくなる。また、図8において、ワイヤ支持アーム67の時計方向への回動調節によって、レリーズワイヤ70におけるアウターワイヤ70bの前端位置が前方に変位され、補助センサバネ69によるセンサ荷重も小さくなり、全体として接地センサSの下向きに働くセンサ荷重が調節前より小さくなる。従って、感度調節レバー66を前方に調節することで、制御感度が敏感となって、小さな接地反力の変動によっても接地センサSが変位しやすくなり、柔らかい圃場でも接地センサSが田面に不当に深く沈下することなく確実に苗植付け装置4の沈下を検知することができるようになる。
【0049】また、逆に、圃場の泥が硬い場合には、感度調節レバー66を後方に調節して、図8において、ワイヤ支持アーム67を反時計方向に回動調節する。これによってセンサワイヤ43におけるアウターワイヤ43bの前端位置が前方に変更され、中立基準状態の制御バルブ50に対して相対的にセンサワイヤ43のインナーワイヤ43aが弛み側に調整され、接地センサS側においては、インナーワイヤ43aが伸出した状態が基準状態となり、図5において、センサアーム40が調節前より反時計方向に回動した状態で安定し、接地センサSの基準姿勢が調節前より前上がり方向に変更される。
【0050】接地センサSの基準姿勢が前上がり側に変更されると、接地センサSの田面に対する接地領域に中心が支点a側に近づき、田面からの接地反力を受けて上方揺動し難くなる。また、図5において、センサアーム40が調節前より反時計方向に回動した状態に変更されることで、センサバネ45が圧縮変形されて、このセンサバネ45による下向きのセンサ荷重が大きくなる。また、図8において、ワイヤ支持アーム67の反時計方向への回動調節によって、レリーズワイヤ70におけるアウターワイヤ70bの前端位置が後方に変位され、補助センサバネ69によるセンサ荷重も大きくなり、全体として接地センサSの下向きに働くセンサ荷重が調節前より大きくなる。従って、感度調節レバー66を後方に調節することで、制御感度が鈍感となって、多少の接地圧変動によっても接地センサSが変位しない状態となり、田面の多少の凹凸などにも不当に感応することなく安定した接地状態が維持される。
【0051】なお、走行機体1の走行速度が速くなるほど、接地センサSに前方から作用する泥押し反力によって見かけ上の接地反力が大きくなり、上昇制御が行われて植え付け深さが目標深さよりも浅くなってしまうが、変速レバー71が高速側に調節される程、補助センサバネ69が引張されてセンサ荷重が大きくなるよう連係してあるので、高速走行によって不当な上昇制御が行われることはなく、走行速度に関係なく安定した植付け深さが維持される。
【0052】前記昇降レバー54と前記感度調節レバー66は、運転座席9の下方周囲に配置された樹脂製のフェンダイド75の左側部に一体形成したレバーガイド76、および、その下側に沿って配置された金属板からなるガイドプレート77を貫通して配備されるとともに、両レバー54,66それぞれが中間支点f,gを介して横折れ操作可能に構成されている。ここで、図11に示すように、レバーガイド76に形成されたレバー案内溝78は、昇降レバー54の操作溝部分78aと、これより運転座席側に偏位した感度調節レバー66の操作溝部分78bとを有しており、かつ、両操作溝部分78a,78bが前後にラップされるとともに、このラップ箇所において両操作溝部分78a,78bが互いに連通された形状に設定されている。
【0053】これに対して、ガイドプレート77には、昇降レバー54を「上昇」位置から「植付け」位置までの範囲で作動可能な段違い状の操作溝79と、感度調節レバー66を案内するとともに、任意の操作位置で係止固定するノッチ付きの操作溝80とが形成されている。
【0054】なお、前記ワイヤ支持アーム67を枢支連結するブラケット81は、機体フレーム82の後部に立設された縦フレーム83の後端に横水平に架設したパイプ製の横フレーム84に備えられ、この横フレーム84に前記フェンダイド75の後端が支持されるとともに、横フレーム84の左右両端部に、苗のせ台18への苗補給時に乗り上がるための補助ステップ85がフェンダ75の左右横外側に位置するよう取付けられている。
【0055】また、図8に示すように、前記ワイヤ支持アーム67の上端部にはロッド68との連結孔86がアーム長手方向に複数個設けられており、ワイヤ支持アーム67へのロッド連結位置を選択してレバー比を変更することで、感度調節レバー66の全操作量に対するセンサ荷重の調節量の割合を変更調節することができるようになっている。
【0056】また、前記ロッド68は、ネジ伸縮部87によってその長さを調節可能に構成されており、このロッド68の長さ調節によって、感度調節レバー66の全操作量に対するセンサ荷重の調節範囲を変更することができるようになっている。また、このロッド68の上方箇所には、フェンダ75から後方に向けて片持ち状に延出されたカバー88が設けられており、施肥装置からこぼれ落ちた肥料がロッド68やワイヤ支持アーム67に降りかかって付着するのが防止され、肥料の付着によってこれら部材に錆が発生しやすくなるのを回避している。
【0057】なお、前記レバーガイド76は、昇降制御や無段変速装置12を電気制御する仕様の機種のレバーガイドに共用されるものであり、その仕様での制御系の概略が図12に示されている。
【0058】すなわち、この仕様では油圧シリンダ2を作動させる制御バルブとして電磁制御バルブ90が使用されるとともに、昇降レバー54はポテンショメータ91によってその操作位置が連続的に検出されるようになっており、上記した機械式の昇降制御装置と同様に、昇降レバー54の「中立」位置では電磁制御バルブ90が中立状態に、「上昇」位置では電磁制御バルブ90が上昇状態にそれぞれ切り換えられ、また、「下降」位置と「植付け」位置では電磁制御バルブ90が、接地センサSの上下変位を検出するポテンショメータ92からの検出信号に基づいて自動昇降制御が行われる。この自動昇降制御は、ポテンショメータ92からの検出信号が予め設定された目標値になるように電磁制御バルブ90を制御装置93を介して作動制御するものであり、ダイヤル式に操作されるポテンショメータ利用の感度調節器94によって前記目標値を変更することで、接地センサSの中立基準姿勢を変更して制御感度を調節するように構成されている。
【0059】また、植え付けクラッチ13が電動モータ95で入り切り駆動され、機械式の場合と同様に、「植付け」位置でのみ植え付けクラッチ13が入り作動可能となっている。また、無段変速装置12がフィードバック用のストロークセンサ96を備えた電動シリンダ97で作動されるとともに、これをポテンショメータ利用の速度設定器98によって作動指令するようになっている。
【0060】また、この仕様においては、図13に示すように、レバーガイド76の下側に配備されるガイドプレート77には、レバーガイド76のレバー案内溝78と同様な形状に一連の操作溝99が形成され、昇降レバー54を、昇降用の操作溝部分から分岐された操作溝部分に端部に設定された「自動」位置にも操作することが可能となっている。昇降レバーを「自動」位置に操作しておくと、操縦ハンドル100の横側などに配置した昇降スイッチレバー101によって、苗植え付け装置4を昇降させたり、植付けクラッチ13を入り切りしたりすることができる。
【0061】すなわち、昇降スイッチレバー101は上下に揺動可能かつ中立に復帰可能に構成されており、一行程の植付け走行が終了して畦際に到達した際に、昇降スイッチレバー101を上方にワンショット操作すると、自動昇降制御モードが強制上昇モードに切り換わって苗植付け装置4が上限まで自動的に上昇制御されるとともに、植付けクラッチ13も自動的に切り操作され、かつ、無段変速装置12は最低速まで自動減速される。畦際で走行機体1をUターン旋回させた後、昇降スイッチレバー101を下方にワンショット操作すると、自動昇降制御モードに復帰して、苗植付け装置4は田面に接地するまで自動下降する。この時、植付けクラッチ13は入れられることはなく、苗植付け装置4の接地を確認して再度昇降スイッチレバー101を下方にワンショット操作することで、植付けクラッチ13が入り制御されて、再び植付け走行可能な状態に戻されるのである。
【0062】本発明は、以下のような形態に変形して実施することもできる。
■ 感度調節レバー66とワイヤ支持アーム67とをロッド68で連動連結するに、ロッド68と感度調節レバー66との連結位置をレバー長手方向に変更可能に構成して、ワイヤ支持アーム67を操作するレバー比を変更することも可能である。
■ 感度調節レバー66とワイヤ支持アーム67とを連動連結する連係部材としてプッシュプルワイヤを利用することもでき、これによると感度調節レバー66を昇降レバー54の配置に関係なく任意の位置に設置することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)4月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−313515
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−120952