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【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】木下 栄一郎

【氏名】青木 義勝

【氏名】村並 昌実

【要約】 【課題】苗移植機において、タ−ンテ−ブルで構成される苗供給部は作業者が該苗供給部に苗を供給しやすいような高さにすることが望ましい。同様に、苗載置台も前記苗供給部に作業者が苗を供給しやすいように前記苗供給部と略同等な高さにすることが望ましい。ところが、前述のように前記苗供給部及び前記苗載置台の高さを設定すると、機体の重心位置が高くなってしまい、機体の安定性が低下する恐れがある。

【解決手段】苗植付装置6が苗供給部7から供給される苗を圃場に植え付ける構成の苗移植機において、平面視で前記苗供給部7から近い位置に苗載置台40を設けると共に、平面視で前記苗載置台40より前記苗供給部7から離れた位置に前記苗載置台7より低い予備苗載置台43を設けた苗移植機とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗植付装置6が苗供給部7から供給される苗を圃場に植え付ける構成の苗移植機において、平面視で前記苗供給部7から近い位置に苗載置台40を設けると共に、平面視で前記苗載置台40より前記苗供給部7から離れた位置に前記苗載置台7より低い予備苗載置台43を設けた苗移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばターンテーブル等の苗供給部が設けられた苗移植機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、タ−ンテ−ブルから近い位置にある苗載置台上の苗を前記タ−ンテ−ブルが備える複数の苗供給カップに機体の走行と共に歩行する作業者が一株づつ供給することにより、前記苗供給カップからその下方にある植付カップ等の苗植付装置に苗を供給して圃場に苗を植え付けていくようにした苗移植機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の苗移植機において、上記タ−ンテ−ブルで構成される苗供給部は上記作業者が該苗供給部に苗を供給しやすいような高さにすることが望ましい。同様に、苗載置台も前記苗供給部に作業者が苗を供給しやすいように前記苗供給部と略同等な高さにすることが望ましい。
【0004】ところが、前述のように前記苗供給部及び前記苗載置台の高さを設定すると、機体の重心位置が高くなってしまい、機体の安定性が低下する恐れがある。そして、機外から前記苗載置台への苗の供給回数を少なくして苗植付の作業性を向上させるべく前記苗載置台を大きくして該苗載置台に多くの苗を載置できるように構成すると、苗載置台に多量の苗を載置した分機体の重心位置が高くなってしまい、機体の安定性の低下が顕著に表れる。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を解決すべく次の技術的手段を講じた。すなわち、苗植付装置6が苗供給部7から供給される苗を圃場に植え付ける構成の苗移植機において、平面視で前記苗供給部7から近い位置に苗載置台40を設けると共に、平面視で前記苗載置台40より前記苗供給部7から離れた位置に前記苗載置台7より低い予備苗載置台43を設けた苗移植機とした。
【0006】従って、上記の苗移植機は、作業者が平面視で苗供給部から近い位置の苗載置台から苗供給部へ苗を供給することにより、圃場に苗を植え付けていく。そして、前記苗載置台上の苗がなくなると、該苗載置台より前記苗供給部から離れた位置にある予備苗載置台上の苗を前記苗載置台上に載せ替えて、作業者が前記苗載置台から苗供給部へ苗を供給することができる。
【0007】
【発明の効果】よって、本発明の苗移植機は、上記予備苗載置台を設けているので、機外から苗移植機への苗の供給回数を少なくして苗植付の作業性を向上させることができる。また、前記苗載置台を作業者が苗供給部に苗を供給しやすい高さに設定することにより該苗載置台上の苗の重量により多少機体の重心位置が高くなるが、予備苗載置台が前記苗載置台より低いので、前記予備苗載置台を前記苗載置台と同等か該苗載置台より高い位置に設けるのと比較して、機体の重心位置を低く構成することができ、機体の安定性の向上を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1は、苗移植機の一例として歩行型のたばこ苗移植機1を示すものであり、この歩行型のたばこ苗移植機1は、主として前部にエンジン2及び主伝動ケ−ス3と走行車輪としての左右一対の前輪4,4及び後輪5,5と後部に苗植付装置6、苗供給部7及び操縦ハンドル8とを備えて構成される。この歩行型のたばこ苗移植機1は、機体が圃場内の畝をまたぐように前記前輪4,4及び後輪5,5が畝間を走行し、畝の上面の左右中央に前記苗植付装置6によりたばこ苗を植付けていくようになっている。
【0009】前記主伝動ケ−ス3の前部にエンジン載置台9を固着し、このエンジン載置台9に前記エンジン2を載置して取り付けた構成となっている。左右方向に設けた前記エンジン2の出力軸が前記主伝動ケ−ス3内に突入して、エンジン2の動力が主伝動ケ−ス3内に入力されるようになっている。主伝動ケ−ス3の左右端には該主伝動ケ−ス3に対して回動可能な走行エクステンションケ−ス10,10を左右それぞれ設け、前記左右の走行エクステンションケ−ス10,10のそれぞれの端部に走行チェ−ンケ−ス11,11を固着して設けている。従って、主伝動ケ−ス3内の動力を走行チェ−ンケ−ス11,11内に伝動する構成となっている。前記走行チェ−ンケ−ス11,11の回動先端部の左右内側には走行車輪である左右一対の後輪5,5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5,5の駆動により機体が走行するようになっている。従って、主伝動ケ−ス3は、走行車輪としての後輪5,5に伝動する伝動装置となっている。一方、エンジン載置台9の下部には左右方向に延びる前輪支持フレ−ム12を前後方向のロ−リング軸13回りに回動可能に設け、この前輪支持フレ−ム12の左右両端部に下方に延びる前輪取付部14,14を設け、前記前輪取付部14,14の下端部に前輪4,4を取り付け、左右一対の前記後輪5,5のそれぞれの前方に左右一対の前輪4,4が設けられた構成となっている。尚、前記前輪4,4は、遊転輪である。
【0010】図4に示すように、前記左右の走行エクステンションケ−ス10,10は、内側ケ−ス10a,10aと該内側ケ−ス10a,10aに対して回動しないように嵌合する外側ケ−ス10b,10bとにより構成され、該外側ケ−ス10b,10bが前記内側ケ−ス10a,10aに対して左右スライドすることにより後輪5,5のトレッド調節を行う構成となっている。また、主伝動ケ−ス3の後部に固着した左右フレ−ム15から左右それぞれ外方に延びる支持フレ−ム16,16の端部に軸受17,17を設け、該軸受17,17が前記内側ケ−ス10a,10aを外嵌して走行エクステンションケ−ス10,10を支持している。また、走行エクステンションケ−ス10,10内に突出する主伝動ケ−ス3の左右それぞれの出力軸3a,3aと一体回転するエクステンション軸18,18を設け、該エクステンション軸18,18と一体回転する走行チェ−ンケ−ス入力軸11a,11aの駆動により該軸11a,11aと一体回転する走行チェ−ンケ−ス11内の入力スプロケット11bを駆動する構成となっている。前記エクステンション軸18,18は、内側ケ−ス10a,10aに着脱可能に取り付けたストッパボルト19,19と該軸18,18に設けた溝18a,18aとを係合させることにより、前記出力軸3a,3aに対して一体回転可能且つ左右スライドしないように構成している。尚、前記走行チェ−ンケ−ス入力軸11a,11aは、前記エクステンション軸18,18に対して左右スライド可能に設けられている。
【0011】従って、走行エクステンションケ−ス10,10の外側ケ−ス10b,10bを内側ケ−ス10a,10aに対して左右スライドさせるのに伴って、走行チェ−ンケ−ス入力軸11a,11aがエクステンション軸18,18に対して左右スライドするので、簡単に後輪5,5のトレッド調節が行える。また、メンテナンス等で走行エクステンションケ−ス10,10を主伝動ケ−ス3から取り外すとき、走行エクステンションケ−ス10,10の外側から前記ストッパボルト19,19を操作して該ストッパボルト19,19とエクステンション軸18,18との係合を解除して前記エクステンション軸18,18を取り外すことができ、容易にメンテナンス等が行える。
【0012】また、前輪支持フレ−ム12は左右伸縮可能に設けられており、左右の前輪4,4のトレッド調節も行えるようになっている。前記左右フレ−ム15の後部には、右寄りの位置に延びる主フレ−ム20を設けている。該主フレ−ム20の後端部には操縦ハンドル8を設け、この操縦ハンドル8が主フレ−ム20を介して前記主伝動ケ−ス3に支持された構成となっている。
【0013】また、主伝動ケ−ス3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ21を設けている。この油圧昇降シリンダ21は、主伝動ケース3に固着された油圧切替バルブ部22に固着して設けられ、主伝動ケ−ス3に固着された油圧ポンプ23からの油圧を切り替える前記油圧切替バルブ部22に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動するようになっている。前記油圧昇降シリンダ21のシリンダロッド端には左右に延びる横杆24を設け、この横杆24の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド25,26を枢着し該ロッド25,26の他端をそれぞれの走行エクステンションケ−ス10,10に固着された上側ア−ム10c,10cに枢着して、前記横杆24と走行エクステンションケ−ス10,10とが連結された構成となっている。従って、前記油圧昇降シリンダ21の伸縮により前記横杆24、前記後輪昇降ロッド25,26を介して主伝動ケ−ス3の左右の出力軸3a,3a回りに走行チェ−ンケ−ス11,11が回動され、該走行チェ−ンケ−ス11,11の回動により後輪5,5が上下して機体が昇降する構成となっている。
【0014】また、左側の前記後輪昇降ロッド25が伸縮するように該ロッド25の中途部に油圧ポンプ23からの油圧により作動する水平用油圧シリンダ27を設けており、該水平用油圧シリンダ27の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持できるようになっている。尚、主伝動ケ−ス3の右側には振り子式の左右傾斜センサ28が設けられて、この左右傾斜センサ28の検出により油圧切替バルブ部22に備えられた水平操作バルブを介して前記水平用油圧シリンダ27を作動させ機体を左右水平に維持する構成となっている。
【0015】前記苗植付装置6は、一株の苗を圃場に植付けるべく主伝動ケ−ス3内からの動力が前記主伝動ケ−ス3の後側に設けた植付伝動ケ−ス30及び前記植付伝動ケ−ス30に固着した苗植付装置駆動ケ−ス31を介して伝達され作動するようになっている。前記苗植付装置6は、植付カップ32と該植付カップ32を昇降させるべく作動する苗植付具作動機構34とで構成される。
【0016】また、前記苗供給部7は、前記苗植付装置6の上側に設けられ、一株の苗を前記苗植付装置6に順次供給する苗供給回転台35を備えて構成されている。前記苗供給回転台35は、前記植付伝動ケ−ス30からの伝動により前後に往復作動するクランクロッド36、一方向クラッチ機構37を介して上下方向の回転軸35a回りに回転駆動するようになっている。また、苗供給回転台35は、前記回転軸35aを中心とする円周に沿って所定間隔毎に複数の苗供給カップ38…が設けられた構成となっている。該苗供給カップ38…は該カップ38…の底面38a…が開閉可能に設けられると共に、苗供給カップ38…の下方には苗供給回転台35の回転により苗供給カップ38…が所定の位置に来たときのみ該カップ38…の底面が開くように設けられた苗供給カップ開閉ガイド39が機体側に固着して設けられている。従って、苗供給回転台35の回転により苗供給カップ38…が所定の位置Aに来ると、苗供給カップ38…の底面38a…が開いて苗供給カップ38…内のポット苗を下方の植付カップ32に落下供給し、更に苗供給回転台35が回転し苗供給カップ38…が前記所定の位置Aから外れると苗供給カップ38…の底面38a…が閉じるようになっている。
【0017】苗供給回転台35の前側には、セルトレイSに育苗されたたばこ苗をセルトレイAごと載置する苗載置台40を設けている。この苗載置台40は、植付伝動ケ−ス30から上方に延びる左右の苗載置台支持フレ−ム41,41に取り付けられ、前記苗供給カップ38…の上端より若干高くなるように設けられている。そして、図3に示すように、苗供給回転台35の左側から作業者が前記苗載置台40上のポット苗を一株づつ前記苗供給カップ38…内に供給するようになっている。
【0018】また、前記苗載置台40より下側のボンネットカバ−42の上方には、予備苗載置台43を設けている。この予備苗載置台43は、エンジン載置台9から上方に延び前記左右の苗載置台支持フレ−ム41,41とそれぞれ連結される左右の予備苗載置台支持フレ−ム44,44に取り付けられている。尚、前記苗載置台40と前記予備苗載置台43とは、平面視で一部が重複するように設けられており、機体の前後長を不必要に長くしないように構成している。
【0019】前記植付カップ32は、前後方向に2分割して下部を開閉する構成となっており、苗供給回転台35の苗供給カップ38…から受け継いだ一株のポット苗を収容した状態で下降し、苗植付位置Cで下部を前後に開いて圃場に植付穴を形成すると共に該植付穴に苗を供給して植え付けるようになっている。前記植付カップ32の外面32aは、下端部において前後の傾斜が緩くなっており植付カップ32が開いた状態で前記下端部が鉛直に近くなるようにして、植付苗が供給される穴の側壁を略鉛直にし、苗の植付姿勢を安定させるようにしている。これに対して、前記植付カップ32の内面32bは、上部から下端部にかけてストレ−トな形状に構成し、植付カップ32が開くことにより苗が植付カップ32の内面32aに沿って下降するときに前記内面32aに苗がひっかかって植付姿勢が悪化するのを抑制した構成となっている。
【0020】また、前記植付カップ32の前方には圃場面感知プレ−ト45を設けている。該圃場面感知プレ−ト45は左右方向の回動支点軸45a回りに回動可能に設けられ、接地することによる該プレ−ト45の回動に伴って苗植付装置6により所定の植付深さとなるように後輪5,5を昇降するようになっている。前記操縦ハンドル8の前側で苗供給部7の後側には、操作パネル46を設けている。この操作パネル46には、後輪5,5及び苗植付装置6並びに苗供給部7の駆動を共に入切可能な主クラッチレバ−47と、油圧昇降シリンダ21による機体の昇降操作及び苗植付装置6並びに苗供給部7の駆動の入切のみが行える植付・昇降レバ−48とを設けている。
【0021】また、操縦ハンドル8の左右それぞれの把持部8a,8aの下方にはサイドクラッチレバ−49,49を設け、このサイドクラッチレバ−68,68の操作により左右一対の後輪5,5の左右一方の駆動を断つようになっている。そして、オペレ−タが操縦ハンドル8を押し下げ前輪4,4を宙に浮かせた状態で左右一方のサイドクラッチレバ−49を操作して左右一方の後輪5の駆動を断ち、該後輪5を中心に機体を旋回させるようになっている。
【0022】以上により、この歩行型のたばこ苗移植機1は、平面視で前記苗供給部7の直前に苗載置台40を設けると共に、平面視で前記苗載置台40より前記苗供給部7から離れた前方に前記苗載置台40より低い予備苗載置台43を設けた構成となっている。従って、この苗移植機1は、作業者が平面視で苗供給部7から近い位置の苗載置台40から苗供給部7へ苗を供給して植付作業を行う。そして、前記苗載置台40上の苗がなくなると、前記予備苗載置台43上の苗を前記苗載置台40上に載せ替えて、作業者が前記苗載置台40から苗供給部7へ苗を供給することができる。
【0023】よって、この苗移植機1は、前記予備苗載置台43を設けているので、機外から苗移植機1への苗の供給回数を少なくして苗植付の作業性を向上させることができる。また、作業者が苗を供給しやすいように苗供給カップ38…の上端より若干高く前記苗載置台40を設けているので該苗載置台40上の苗の重量により多少機体の重心位置が高くなるが、予備苗載置台43が前記苗載置台40より低いので、前記予備苗載置台43を前記苗載置台40と同等か該苗載置台40より高い位置に設けるのと比較して、機体の重心位置を低く構成することができ、機体や機体の走行の安定性の向上を図ることができ、ひいては苗の植付の安定を図ることができる。
【0024】また、前記苗載置台40及び前記予備苗載置台43を機体の左右中央に設けているので、苗の搭載量により機体の左右バランスが異なって機体が不安定になることを防止した構成となっている。また、苗載置台40より前側の予備苗載置台43をボンネットカバ−42の直上の低い位置に設けているので、苗供給部7の左方又は操縦ハンドル8近傍にいる作業者の前方視界を妨げるのを抑制した構成となっている。
【0025】ところで、苗植付装置6の植付カップ32は、図6、図7のような構成とすることができる。すなわち、植付カップ32の下端部を内部に空間を構成しないように外面32aの前後を鉛直な形状とし、植付カップ32の下降時に該植付カップ32が土壌内の深くまで入り込むようになっている。この構成により、たばこ苗を栽培するにあたり、苗全体が入るように深い植付穴を開けて苗を植え付けて該苗の上方をマルチフィルム等の保温用の被覆材により覆って苗の周辺を外界と隔離して保温効果を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月1日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−285305
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平10−88877