| 【発明の名称】 |
田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】土井 邦夫
【氏名】岡田 悟
【氏名】小山 実
【氏名】南石 俊樹
|
| 【要約】 |
【課題】苗継ぎによる植付装置の上昇量を少なくして、苗継ぎ能率を向上することができる田植機を提供する。
【解決手段】予備苗載台5には苗マットMを上下に所定の間隔を隔てて支持する複数のマット支持部51を上下に移動が可能に設け、植付装置2の上方への動きを検出する検出器Dが検出した結果に基づいて、植付装置2を苗載台21が予備苗載台5の最下段のマット支持部51に対応する苗継ぎ位置となるように上昇させ、この苗継ぎ位置でマット支持部51の苗マットMを苗載台21へ移行させるマット継ぎ板61を設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転席が設けられた走行機体の後部に、苗載台に支持された苗マットの苗を取り出して植付ける植付部が設けられた植付装置を昇降可能に支持してあり、前記苗載台に補給する苗マットが支持されているマット支持部を上下に所定の間隔を隔てて上下動が可能に設けてある予備苗載台を備えており、前記マット支持部に対応する苗継ぎ位置でマット支持部の苗マットを苗載台へ移行させるマット移行手段を備えている田植機において、前記植付装置を前記苗載台が最下段のマット支持部に対応する苗継ぎ位置となるように上昇させる苗継ぎ上昇手段を備えていることを特徴とする田植機。 【請求項2】 前記マット移行手段は、最下段のマット支持部に支持されている苗マットを受け継ぐマット継ぎ板及び該マット継ぎ板を苗載台へ向けて横送りさせるマット送り機構を備え、前記苗マットをマット継ぎ板へ移した後の空のマット支持部を前記マット継ぎ板を通り越して下側に回収する回収手段を備えている請求項1記載の田植機。 【請求項3】 前記苗載台及び予備苗載台は、走行機体の左右方向への横移動が可能であり、苗載台の横移動方向を検出する方向検出手段と、苗載台の横移動量を検出する位置検出器及び予備苗載台の横移動量を検出する位置検出器が設けてある請求項1又は2記載の田植機。 【請求項4】 前記苗載台及び予備苗載台と植付部とは複数の植付条に対応して複数個備えており、前記植付部の少なくとも一つを作動/非作動に制御するクラッチと、該クラッチにより作動となる植付部に対応する苗載台へ前記予備苗載台の苗マットを自動的に補給する苗マット補給手段を備えている請求項1又は2記載の田植機。 【請求項5】 前記苗載台は、前記植付部へ向けて複数の苗マットを直列状に支持することが可能なマット載せ部を備え、該マット載せ部の中間位置に苗マットの減少を検出する第1マット検出器が設けられている請求項1乃至4の何れかに記載の田植機。 【請求項6】 前記マット支持部の植付部側位置に苗マットの減少を検出する第2検出器を備え、第1及び第2検出器が動作したとき、予備苗載台の苗マットを苗載台へ向けて横送りするマット送り機構を備えている請求項5記載の田植機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は田植機、詳しくは、予備苗載台に支持されている苗マットを植付装置の苗載台へ自動的に補給することが可能とした田植機に関する。 【0002】 【従来の技術】苗載台へ苗マットを自動的に補給することが可能とした田植機は、例えば運転席が設けられた走行機体の後部に、苗マットが載せられる苗載台及び該苗載台に載せられた苗マットの苗を取り出して植え付ける植付部が設けられた植付装置と、該植付装置を昇降させる昇降装置とが支持してあり、前記苗載台に苗マットを補給する予備苗載台及び該予備苗載台に支持された苗マットを前記苗載台へ移行させる移行機構とが設けられている。 【0003】また、前記苗載台には、該苗載台に載せられた苗マットが一定量に減少したとき動作するマット検出器を設けて、該マット検出器の検出結果に基づいて前記昇降装置を動作させ、植付装置を予備苗載台の最上段のマット支持部に対応する最上段位置へ上昇させた後、前記移行機構を動作させて、予備苗載台に支持された苗マットを苗載台へ自動的に移行させて補給するように構成されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の田植え機は、植付装置を予備苗載台の最上段のマット支持部に対応する最上段位置へ上昇させた後、苗マットを補給するように構成されているため、マット検出器が動作したあと植付装置が前記最上段位置へ上昇するまでの間は苗マットの補給を行うことができないのであり、また、植付位置への下降時間も長くなり、全体として苗継ぎ能率が悪いという問題があった。 【0005】本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、植付装置を予備苗載台の最下段のマット支持部に対応する苗継ぎ位置へ上昇させることにより、苗継ぎによる植付装置の上昇量を少なくして、苗継ぎ能率を向上することができる田植機を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】第1発明に係る田植機は、運転席が設けられた走行機体の後部に、苗載台に支持された苗マットの苗を取り出して植付ける植付部が設けられた植付装置を昇降可能に支持してあり、前記苗載台に補給する苗マットが支持されているマット支持部を上下に所定の間隔を隔てて上下動が可能に設けてある予備苗載台を備えており、前記マット支持部に対応する苗継ぎ位置でマット支持部の苗マットを苗載台へ移行させるマット移行手段を備えている田植機において、前記植付装置を前記苗載台が最下段のマット支持部に対応する苗継ぎ位置となるように上昇させる苗継ぎ上昇手段を備えていることを特徴とする。 【0007】この第1発明にあっては、苗載台に支持されている苗マットが一定の長さに減少したとき、植付装置が上昇する。そして、この植付装置が圃場の水面に対し上側へ上昇したとき、即ち、苗載台の補給始端が予備苗載台の最下段のマット支持部に対応する苗継ぎ位置へ上昇したとき、植付装置の上昇を停止させる。この状態でマット移行手段が動作して予備苗載台の最下段の苗マットが苗載台の補給始端から苗載台へ自動的に補給される。このように、苗載台を昇降装置による昇降範囲の最上段位置へ上昇させることなく、苗マットを補給することができるから、苗継ぎによる植付装置の上昇量を少なくして、苗継ぎ能率を向上することができる。 【0008】第2発明に係る田植機は、前記マット移行手段は、最下段のマット支持部に支持されている苗マットを受け継ぐマット継ぎ板及び該マット継ぎ板を苗載台へ向けて横送りさせるマット送り機構を備え、前記マットをマット継ぎ板へ移した後の空のマット支持部を前記マット継ぎ板を通り越して下側に回収する回収手段を備えていることを特徴とする。 【0009】この第2発明にあっては、最下段となるマット支持部は、該マット支持部の下側に配置されたマット継ぎ板を通り越して回収することができるから、最下段となるマット支持部に支持された苗マットをマット継ぎ板へ良好に受け継ぎすることができ、さらにこの受け継ぎ苗マットを苗載台の補給始端へ向けて確実に移行させることができ、苗載台へ確実に補給することができる。 【0010】第3発明に係る田植機は、前記苗載台及び予備苗載台は、走行機体の左右方向への横移動が可能であり、苗載台の横移動方向を検出する方向検出手段と、苗載台の横移動量を検出する位置検出器及び予備苗載台の横移動量を検出する検出器が設けてあることを特徴とする。 【0011】この第3発明にあっては、苗載台の横移動及び植付部による植付動作に伴い苗載台へ苗マットを補給する必要が生じた場合、方向検出手段により苗載台の移動方向を自動的に検出することができ、この検出値に基づいて予備苗載台を苗補給が必要な位置へ移動させることができ、苗マットの補給を良好に行うことができる。 【0012】第4発明に係る田植機は、前記苗載台及び予備苗載台と植付部とは複数の植付条に対応して複数個備えており、前記植付部の少なくとも一つを作動/非作動に制御するクラッチと、該クラッチにより作動となる植付部に対応する苗載台へ前記予備苗載台の苗マットを自動的に補給する苗マット補給手段を備えていることを特徴とする。 【0013】この第4発明にあっては、クラッチにより作動となる植付部に対応する苗載台へは苗マットを補給することができ、また、クラッチにより非作動となる植付部に対応する苗載台へ苗マットが補給されるのを防止できる。従って、クラッチにより非作動となる植付部に対応する苗載台の苗マットが一定量以上に減少している場合でも、この苗載台に苗マットが補給されないから、一定量以上に減少している苗マットの苗が、補給された苗マットの重さによるマットの崩れ及び苗取り出し部からの食み出しを最小限に抑えることができ、植付を再開したときの植付制度を向上することができる。 【0014】第5発明に係る田植機は、前記苗載台は、前記植付部へ向けて複数の苗マットを直列状に支持することが可能なマット載せ部を備え、該マット載せ部の中間位置に苗マットの減少を検出する第1マット検出器が設けられていることを特徴とする。 【0015】この第5発明にあっては、マット載せ部の中間位置に設けた第1検出器の動作によりオペレータが苗補給のタイミング及び現在の苗マットの残量を把握し易いのである。 【0016】第6発明に係る田植機は、前記マット支持部の植付部側位置に苗マットの減少を検出する第2検出器を備え、第1及び第2検出器が動作したとき、予備苗載台の苗マットを苗載台へ向けて横送りするマット送り機構を備えていることを特徴とする。 【0017】この第6発明にあっては、オペレータが苗補給のタイミング及び現在の苗マットの残量を把握したあと、苗マットを自動的に補給することが可能である。 【0018】 【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は本発明に係る田植機の側面図、図2はその平面図、図3は苗補給時の説明図、図4は予備苗載台のマット支持部の部分平面図、図5は制御ブロック図、図6は予備苗載台の台座への支持形態を示す斜視図、図7は予備苗載台を横移動させる機構の説明図、図8は苗載台の横移動方向及び横移動量を検出する部分の説明図である。 【0019】図1,図2に示した実施の形態の田植機は、運転席11及び操向ハンドル12等を有する走行機体10の左右に、エンジン13に連動する小径で幅の狭い前輪14,14と、同じくトランスミッション15を介してエンジン13に連動する大径で幅の広い後輪16,16とを有し、走行機体10の後部に、油圧シリンダ17と、これに連動する左右一対のロアリンク及びトップリンクを備えた平行リンク機構を用いてなる昇降装置18とを設け、該昇降装置18に複数の植付条に対応した大きさの苗載台21及び該苗載台21に支持された苗マットMの苗を取り出して植付る複数個の植付部22が設けられた植付装置2を支持して、昇降装置18の動作により植付装置2を昇降可能とした多条植用の乗用形田植機を示している。尚、前記植付装置2は前記トランスミッション15側から延びるPTO軸19に連動させている。 【0020】走行機体10における運転席11の近くには、図2に示す如く前記トランスミッション15の変速機構を「移動速度」段、「植付速度」段、「後速」段及び「苗継位置」に切換える主レバー3と、前記油圧シリンダ17を動作させて植付装置2を「上」位置及び「下」位置に切換え、さらにPTO軸19の動力取出しを入り/切りに切換える植付クラッチを作動させるための副レバー4とが設けられている。尚、前記主レバー3を「苗継位置」に操作することにより、前記植付クラッチが切れ、昇降装置18により植付装置2が自動的に上昇する。 【0021】図1に示す如く走行機体10の運転席11の後部であり、前記昇降装置18の前方側には台座10aを設けて、該台座10aに苗マットMを前記苗載台21に補給する予備苗載台5を走行機体10の左右方向への横移動が可能に取付けている。 【0022】この予備苗載台5は、苗マットMを上下に所定の間隔を隔てて支持する矩形状の板体を用いてなる複数のマット支持部51が下方へ向けて移動可能に設けられている。尚、マット支持部51は、植付条に対応して走行機体10の左右方向に一定の間隔を隔てて複数個設けられている。 【0023】各マット支持部51を上下に移動させる手段は、図4に示す如く例えば上下に所定の間隔を隔ててマット支持部51の左右に配置される回転輪52,53及びこれら回転輪52,53間に掛設される無端チェン54と、これら無端チェン54に所定の間隔を隔てて取付けられ、一方側の移動域では横向に起立し、他方側の移動域では下向きに倒伏が可能とした複数個のタイン55とを備えており、前記回転輪52,53の一つを前記走行機体10のPTO軸19に伝動機構を介して連動させる。そして、マット支持部51の左右位置で横向に起立するタイン55に前記マット支持部51の左右端部を支持した状態で回転輪52,53を回動させることにより、植付条に対応する各マット支持部51を下方側へ移動させるようにしている。 【0024】予備苗載台5の底部には、最下段のマット支持部51に支持されている苗マットMを苗載台21へ移行させるマット移行手段と、移行した後の空のマット支持部51を回収する回収空間7とを設けている。 【0025】マット移行手段は、図1に示す如く最下段のマット支持部51に支持されている苗マットMを受け継ぐ矩形状のマット継ぎ板61及び該マット継ぎ板61を後方の苗載台21へ向けて横送りさせるマット送り機構62を備えている。 【0026】マット継ぎ板61及び前記マット支持部51は、図4に示す如く矩形状の板体の一辺にマット回収手段を構成する複数個の割り溝51a,61aを設けて、マット支持部51が下方側へ移動したとき、マット支持部51の割り溝51a間の凸片51bが、マット継ぎ板61の割り溝61aを通り越してマット支持部51に支持されている苗マットMをマット継ぎ板61へ移すことができ、この移した後の空のマット支持部51をマット継ぎ板61の下側に設けられた回収空間7に回収することができるようにしている。回収した空のマット支持部51は、前記回収空間7内で積み重ねることができるようにしている。尚、予備苗載台5には最下段に苗マットMがあるか否かを検出するマット検出器を設けてもよい。 【0027】前記マット送り機構62は、予備苗載台5のフレーム50に設ける油圧シリンダ63を用いてなり、該油圧シリンダ63のピストンロッドを動作させることによりマット継ぎ板61を予備苗載台5から外側へ横送りさせることができるようにしている。尚、マット送り機構62は、循環移動が可能なチェン等の無端帯を用いて、該無端帯にマット継ぎ板61の一端部を掛止して、該無端帯の移動によりマット継ぎ板61を横移動させるように構成してもよい。 【0028】また、フレーム50の底板とマット継ぎ板61との間には、マット継ぎ板61を斜め後方へ向けて傾斜させるための油圧シリンダ64を設けて、前記横送りしたマット継ぎ板61を前記苗載台21へ向けて傾斜させることにより、苗マットMが苗載台21へ滑り落ちるようにしている。尚、マット支持部51、マット継ぎ板61、マット送り機構62、回収手段は、植付条に対応して複数個設けられており、植付条に対応するマット支持部51を個別に下降及び横移動させるようにしている。 【0029】前記植付装置2は、既知のとおり、自在軸継手を介して前記走行機体10のPTO軸19に連動する伝動機構を内装した植付ケース23と、この植付ケース23から走行機体10の左右方向へ延びるPTO横軸を介して植付条間隔を隔てて支持される6個の伝動ケース24と、これら伝動ケース23に支持され、前記伝動機構及びPTO横軸を介して連動する複数の植付爪を有する前記植付部22と、この植付部22の近傍位置から前方へ向かって斜め上方へ延びる前記苗載台21と、該苗載台21を走行機体10の左右方向へ往復移動させる往復動機構(図示せず)と、植付装置2をローリングさせるローリング機構(図示せず)とを備えている。 【0030】植付ケース23及び伝動ケース24の下方には、植深さに連動して上下するフロート25を配置し、植付ケース23及び伝動ケース24の保護及び均平効果を高めるようにする一方、揺動可能なフロート(図示せず)を配置して前記機体10における車輪の跡消しと泥寄せを減少させるようにしている。尚、前記主レバー3を「苗継位置」に切換えた場合、ローリング制御は走行機体10に対して一定の位置となる。 【0031】苗載台21は、前記植付部22へ向けて複数の苗マットM、通常は二つの苗マットMを上下に直列状に支持することが可能なマット載せ部21aを備え、図2に示す如く該マット載せ部21aの植付部側位置及び上下方向の中間位置であり、植付部側苗マットMの上端位置に苗マットMの一定量の減少を検出する第1マット検出器A及び第2マット検出器Bを設けて、これら第1マット検出器A及び第2マット検出器Bが動作して苗継ぎ指令が出されたとき、予備苗載台5を左右方向へ横移動させ、苗継ぎ指令が出されたマット載せ部21aに対応するマット支持部51の苗マットMを苗載台21の苗継ぎ指令が出されたマット載せ部21aへ向けて移動させるようにしている。 【0032】尚、図5に示す如くマイクロプロセッサを用いてなるコントローラ30の入力部に前記第1マット検出器A及び第2マット検出器Bを接続し、出力部にリレー31及び該リレー31の励磁によりオン動作するスイッチ32を介して後記する油圧シリンダ37を駆動する電磁切換弁33を接続し、さらに前記検出器Aの動作を報知する液晶等によるパネル表示器34a、ブザー34b、音声メッセージ器等の報知手段を接続して、苗載台21のマット載せ部21aに苗継ぎ指令が出ているのをオペレータに知らせることができるようにしている。また、予備苗載台5の最下段に苗マットMがあるか否かを検出する前記マット検出器Cを設ける場合、このマット検出器Cを前記入力部に接続する。 【0033】以上の如く構成された田植機には、苗載台21が最下段のマット支持部51に対応する苗継ぎ位置となるように前記植付装置2を上昇させる苗継ぎ上昇手段を備えている。 【0034】この苗継ぎ上昇手段は、図1に示す如く前記走行機体10に設ける上昇検出器Dと、前記フロート25の上下方向への動きを前記上昇検出器Dに伝達する伝達索8と、前記油圧シリンダ17の送油回路に介装しており、前記上昇検出器Dから出力されるパルス信号により動作する制御弁9とを備えている。そして、前記主レバー3を「苗継位置」に切換えて植付装置2を上昇させる場合、この植付装置2の上昇に伴い前記フロート25が最も垂れ下がったとき、前記上昇検出器Dをオン動作させ、該上昇検出器Dから出力されるパルス信号数に応じて制御弁9を動作させ、油圧シリンダ17により植付装置2を上昇させるのであって、前記フロート25が圃場の水面から離れたとき苗継ぎ位置となるようにして、植付装置2の上昇を停止させ、苗載台21の補給始端を予備苗載台5の最下段のマット支持部51に対応させる。例えば上昇検出器Dから1パルスの信号が出力されたとき、予測される圃場の水深よりも高くなる位置に植付装置2を上昇させ、この位置を苗継ぎ位置とするのである。 【0035】前記予備苗載台5は、前記台座10aに取付けられた一対の案内レール35,35及びこれら案内レール35,35に接触する転動ローラ36,36を介して走行機体10の左右方向への移動が可能としており、該予備苗載台5と前記台座10aとの間に油圧シリンダ37を設け、該油圧シリンダ37の動作により予備苗載台5を左右方向へ横移動させるようにしている。 【0036】苗載台21及び予備苗載台5の左側端部間又は苗載台21及び予備苗載台5の右側端部間には、図2に示す如く苗載台21の移動方向を検出する方向検出手段を設けている。この方向検出手段は、例えば、予備苗載台5の左側端部に設ける位置検出スイッチSW1と、苗載台21の左側端部に設けて前記位置検出スイッチSW1を左側位置及び右側位置に切換える切換片38とを用いてなり、図8(a)の如く苗載台21が左方へ移動した場合、前記切換片38が位置検出スイッチSW1と当接して、該位置検出スイッチSW1を左側位置に切換え、また、図8(b)の如く苗載台21が右方へ移動した場合、前記切換片38が位置検出スイッチSW1と当接して、該位置検出スイッチSW1を右側位置に切換え、これらの切換えにより苗載台21の移動方向を検出する。 【0037】以上の如く構成された実施の形態1の田植機は、植付装置2の苗載台21に植付条に対応した個数の苗マットMが上下に直列となるように例えば二つ載せられた状態で、昇降装置18により植付装置2を下降させ、植付部22を動作させて苗植え作業が行われる。この植付作業により例えば一つの植付条に対応するマット載せ部21aに載せられた苗マットMの一つ目がなくなり、上側の二つ目の苗マットMが下がったとき、第1マット検出器Aが動作して、一つ目の苗マットMがなくなったことをオペレータに知らせる。従って、オペレータは苗継ぎのタイミング及び現在の苗マットMの残量を容易に把握することができる。 【0038】植付け作業により一つの植付条に対応するマット載せ部21aに載せられた二つ目の苗マットMが減少して補給する必要が生じたとき、第2マット検出器Bが動作して、苗マットMの補給をオペレータに知らせる。ここでオペレータが主レバー3を「苗継位置」に操作することにより、走行機体10の移動が停止するとともに植付部22の動作が停止し、さらに、油圧シリンダ17が動作して、昇降装置18により植付装置2が上昇を開始する。 【0039】この植付装置2の上昇に伴いフロート25が最も垂れ下がったとき、上昇検出器Dをオン動作し、該上昇検出器Dから出力されるパルス信号数に応じて制御弁9が動作し、昇降装置18により植付装置2が上昇する。そして、前記フロート25が圃場の水面から所定の高さだけ離れたとき、換言すると前記パルス信号数が設定値に達したとき植付装置2は苗継ぎ位置で停止し、苗載台21の補給始端を予備苗載台5の最下段のマット支持部51、具体的には最下段のマット支持部51から苗マットMが移されているマット継ぎ板61に対応させることができる。また、植付装置2の苗継ぎ位置への上昇量を、圃場の水面高さを予め予測してパルス信号数により設定するから、苗載台21を苗継ぎ位置へ正確に上昇させることができる。 【0040】この植付装置2の上昇が停止したあと、マット送り機構62が動作して自動苗継ぎを行う。この自動苗継ぎは、マット送り機構62の油圧シリンダ63により前記マット継ぎ板61が苗載台21へ向けて横送りされ、さらにこのマット継ぎ板61が油圧シリンダ64により斜め後方へ向けて傾斜されことにより、マット継ぎ板61に載せられた苗マットMが補給始端から苗載台21へと滑り落ちて自動苗継ぎが完了する。このように植付装置2を、昇降装置18による昇降範囲の最上段位置へ上昇させることなく、苗載台21が予備苗載台5の最下段のマット支持部51に対応する苗継ぎ位置となるように上昇させて自動苗継ぎを行うから、苗継ぎによる植付装置2の上昇量を少なくして、苗継ぎ能率を向上することができる。 【0041】また、苗載台21が走行機体10の中央部に対し左右方向一方側へ移動している場合に苗マットMを補給する必要が生じたとき、方向検出手段の位置検出スイッチSW1により苗載台21の移動方向が検出され、この検出結果に基づいて油圧シリンダ37が動作し、予備苗載台5は案内レール35,35に沿って前記苗載台21の停止位置へ向けて横移動する。 【0042】この横移動に伴い位置検出スイッチSW1が苗載台21の切換片38と当接して、位置検出スイッチSW1が左側位置又は右側位置へ切換えられたとき、予備苗載台5の横移動が停止する。従って、この予備苗載台5を苗載台21と対応する位置に正確に停止させることができ、前記した自動苗継ぎを正確に行うことができる。また、予備苗載台5は、苗マットMを補給する必要が生じたときにのみ横移動させるから、重量のある予備苗載台5を苗載台21の移動に合わせて追従制御する必要がない。 【0043】また、以上の如く苗載台21へ苗継ぎしたあと、回転輪52,53を回動させることにより二段目以上のマット支持部51が下方側へ移動し、二段目のマット支持部51に支持されている苗マットMがマット継ぎ板61へ移されることになり、また、二段目のマット支持部51は回収空間7内で一段目のマット支持部51に積み重ねられる。 【0044】以上の如くマット支持部51は、予備苗載台5のフレーム内で上下に移動させるから、複数の植付条に対応して横方向に並設するマット支持部51を各条個別に昇降制御する場合においても、横方向のスペースを少なくすることができ、植付条の間隔を小さくすることができるのであり、また、マット支持部51を昇降させるための動力を少なくすることができる。さらにマット支持部51の苗マットMを、マット支持部51を下降させるだけでマット継ぎ板61に移すことができるから、苗マットMのマット継ぎ板61への特別な搬送が不要であり、さらにこの搬送するための前後方向へのスペースが不要である。 【0045】尚、以上説明した実施の形態では、苗載台21の横移動方向及び横移動位置を位置検出スイッチSW1を左側位置及び右側位置に切換える切換片38を備えた方向検出手段を設けたが、その他、例えば図9に示す如く苗載台21の左右方向への移動量を検出する位置検出器E及び予備苗載台5の左右方向への移動量を検出する位置検出器Fを用いてもよい。 【0046】図9に示した位置検出器Eは、植付装置2の植付フレーム20と苗載台21との間に、伸縮が自在のロッドを有するストロークセンサを設けてなり、また、図11に示した位置検出器Fは、予備苗載台5のフレームと前記案内レール35との間に、伸縮が自在のロッドを有するストロークセンサを設けてなり、位置検出器Eから出力される出力信号、詳しくは電圧信号に基づいて苗載台21の左右方向中央部に対する横移動方向及び横移動位置を検出し、さらに、位置検出器Fから出力される出力信号、詳しくは電圧信号に基づいて油圧シリンダ37を動作させる電磁切換弁33,33を位置検出器Eによる検出値と同じ電圧になるまで制御し、予備苗載台5を苗載台21と対応する位置に自動的に横移動させるようにしている。 【0047】図13に示した実施の形態では、マイクロプロセッサを用いてなるコントローラ30の入力部に、オペレータの切換操作により入り/切りの切換えを行う自動スイッチSW2、前記マット検出器A及び位置検出器E,Fをそれぞれ接続しており、出力部に前記油圧シリンダ37の電磁切換弁33,33を接続している。尚、前記マット検出器Aは、図2に示した如く苗載台21に設ける他、前記主レバー3が「苗継位置」に操作されたとき動作するようにしてもよいし、さらに、オペレータの操作により動作するようにしてもよい。 【0048】図9及び図11に示す如く構成することにより、苗載台21の横移動を直接検出することができるから、苗載台21の横移動量をより一層正確に検出することができ、さらに、予備苗載台5を苗載台21と対応する位置により一層正確に、自動的に横移動させることができる。また、苗載台21及び予備苗載台5の横移動の範囲はほぼ同じであるため、位置検出器E,Fとして同じ種類のものを使用することにより、検出特性を合わせ易いのである。 【0049】また、前記位置検出器Eは、図14に示す如く前記植付フレーム20にローリング軸26を介して左右方向への回動が可能に支持されるヒッチ27又は該ヒッチ27に取付けられた傾き制御用の油圧シリンダ28と、苗載台21との間に設けてもよい。 【0050】また、図15に示した実施の形態は、前記コントローラ30の入力部に前記マット検出器A、Bを接続し、出力部に主レバー3を「苗継位置」に操作したとき又は運転席の近くに設けられる走行用クラッチペダルの踏み込みによりオン動作するスイッチSW3及びオペレータが苗補給スイッチ又は苗補給レバーを操作することによりオン動作するスイッチSW4を直列に接続して、前記位置検出器A,Bが動作したあと、主レバー3が「苗継位置」へ操作されるか、又は走行用クラッチペダルが操作されてスイッチSW3がオン動作し、さらにオペレータが苗補給スイッチ又は苗補給レバーを操作してスイッチSW4がオン動作することによりリレー31及び該リレー31の励磁によりオン動作するスイッチ32を介して電磁切換弁33を動作させ、前記油圧シリンダ37を動作させて予備苗載台5を苗載台21と対応する位置に自動的に横移動させ、苗継ぎ指令が出されたマット載せ部21aに苗マットMを補給するようにしている。 【0051】この実施の形態においては、植付作業を行う場合、図16のフローチャートに示す如く苗載台21のマット載せ部21aに載せられた苗マットMの一つ目がなくなり、上側の二つ目の苗マットMが下がってマット検出器Aが動作したあと(S1)、スイッチSW3がオン動作しているか否かが判別され(S2)、スイッチSW3がオン動作している場合は、スイッチSW4がオン動作しているか否かが判別され(S3)、スイッチSW4がオン動作している場合は、油圧シリンダ37用の電磁切換弁33を動作させるようにしている(S4)。 【0052】また、以上説明した実施の形態では、予備苗載台5を横移動させて苗継ぎを行うように構成したが、その他、例えば図17に示す如く予備苗載台5と苗載台21との間に、苗マットMを走行機体10の左右方向へ横送りする搬送ベルト40を設け、予備苗載台5のマット支持部51に支持された苗マットMを搬送ベルト40に移したあと、苗載台21の横移動量に対応して搬送ベルト40を移動させ、該搬送ベルト40により苗マットMを横送りするように構成してもよい。 【0053】搬送ベルト40は、走行機体10の左右方向に所定間隔を隔てて回転が可能に設けられたロール41,42間に掛設したもので、全長を苗載台21の横移動域よりも長く形成している。そして、一方のロール41を電動モータ43などの駆動手段により駆動して搬送ベルト40を移動させることにより、該搬送ベルト40に載せられた苗マットMを横送りするようにしている。また、搬送ベルト40は、苗載台21及び予備苗載台5の植付条に対応するマット載せ部40aが突条により形成されている。 【0054】この実施の形態においては、図19に示す如くマイクロプロセッサを用いてなるコントローラ30の入力部に、オペレータの切換操作により入り/切りの切換えを行う自動スイッチSW2、前記マット検出器A、位置検出器E,Fをそれぞれ接続しており、出力部にリレー回路39を介して電動モータ43を接続している。この場合においても、図15に示したものと同様、前記マット検出器Aは、苗載台21に設ける他、前記主レバー3が「苗継位置」に操作されたとき動作するようにしてもよいし、さらに、オペレータの操作により動作するようにしてもよい。 【0055】図20、図21に示した実施の形態は、植付条に対応して設けられる植付部22を個別に駆動/停止制御するためのクラッチ、詳しくはユニットクラッチ(図示せず)を設けて、植付条数をオペレータが選択でき、この選択した植付条数におけるマット載せ部21aに予備苗載台5から自動的に苗継ぎすることができて、さらに、選択しない植付条に対応するマット載せ部21aには、苗マットMが一定量に減少しているときにおいても苗補給を行わないように構成したもので、基本的には図1〜図8のものと同じであるため、その詳細な説明及び作用を省略する。 【0056】この実施の形態においては、植付け作業を行う場合、図21のフローチャートに示す如く植付条の何条目かを表すIをI=0とする(S1)。植付条Iが1条目である場合、I=0であるから、I←I+1をI←0+1とし、2条目である場合I←0+2とする(S2)。植付条Iが全条数MAXに対し多いか否かが判別され(S3)、植付条Iの数が全条数MAXに対し少ない場合は、1条目のユニットクラッチが切れているか否かが判別され(S4)、ユニットクラッチが入っている場合は、マット検出器Aがオフ動作しているか否かが判別され(S5)、マット検出器Aがオフ動作していて苗マットMがある場合は、マット検出器Bがオフ動作しているか否かが判別され(S6)、マット検出器Bがオフ動作していて苗マットMがある場合は、(S2)に戻って2条目に対応するマット載せ部21aの苗マットMの有無を検索する。(S4)において1条目のユニットクラッチが切れている場合は、マット載せ部21aへの苗補給の必要がないため、(S2)に戻って2条目に対応するマット載せ部21aの苗マットMの有無を検索する。(S5)においてマット検出器Aがオン動作していて苗マットMがない場合、予備苗載台5から自動的に苗補給が行われる(S7)。また、(S6)においてマット検出器Bがオン動作していて苗マットMがない場合、予備苗載台5から自動的に苗補給が行われる(S8)。また、(S3)において植付条Iの数が全条数MAXに対し多い場合はリターンする。 【0057】斯く構成することにより、ユニットクラッチが切れている条においては、苗マットMが一定量以上に減少している場合においても苗補給が行われないため、マット載せ部21aに残っている少ない苗マットMが、補給された苗マットMにより崩れたり、又は苗取り出し口からの食み出しを少なくすることができ、ユニットクラッチを切って植付作業を再開した際の植付精度を向上することができる。以上説明した実施の形態では、苗継ぎ上昇手段として、パルス数に応じて植付装置2を上昇させるように構成したが、その他、例えば光電スイッチなどをも用いて植付装置2の圃場の水面に対する高さを検出するようにしてもよい。 【0058】また、以上説明した実施の形態では、予備苗載台5のマット支持部51を上下に移動させる手段として、無端チェン54にタイン55を設けてなる移動手段を用いたが、その他、図22又は図23に示す如く構成してもよい。 【0059】図22に示したものは各植付条におけるマット支持部51の左右両側位置に略X字状に交叉する一対のリンク56を設け、これらリンク56を油圧シリンダなどの駆動手段により起伏動作させて、その倒伏時にマット支持部51を下方側へ移動させ、苗マットMをマット継ぎ板61に受け継ぐように構成している。 【0060】また、図23に示したものは、フレーム5におけるマット支持部51の左右両側位置に、マット支持部51の左右端部に沿って前後方向へスライドが可能な一対のガイド板57,57を設け、これらガイド板57,57に上側から下側へ向けて波形に湾曲するガイド溝58,58を設け、さらにマット支持部51の前部及び後部の左右両端部に、前記ガイド板57,57の各ガイド溝58,58に嵌り込んで係合する突起59・・・を設けて、図示していない油圧シリンダなどの駆動手段により各ガイド板57,57を前後方向へスライドさせ、これらガイド板57,57の間隔を変えることにより前記各突起59・・・の各ガイド溝58,58との係合位置を変え、マット支持部51を下方へ移動させ、そして、各ガイド板57,57を復帰移動させることにより上段のマット支持部51の支持状態を維持することができるように構成している。 【0061】 【発明の効果】第1発明に係る田植機によれば、植付装置を予備苗載台の最下段のマット支持部に対応する苗継ぎ位置となるように上昇させて、苗継ぎを行うから、苗載台を昇降装置による昇降範囲の最上段位置へ上昇させることなく、苗マットを補給することができ、苗継ぎによる植付装置の上昇量を少なくして、苗継ぎ能率を向上することができる。 【0062】第2発明に係る田植機によれば、予備苗載台の最下段となるマット支持部は、該マット支持部の下側に配置されたマット継ぎ板を通り越して回収することができるから、最下段となるマット支持部に支持された苗マットをマット継ぎ板へ良好に受け継ぎすることができ、さらにこの受け継ぎ苗マットを苗載台の補給始端へ向けて確実に移行させることができ、苗載台へ確実に補給することができる。 【0063】第3発明に係る田植機によれば、苗載台の横移動及び植付部による植付動作に伴い苗載台へ苗マットを補給する必要が生じたとき、方向検出手段により苗載台の移動方向を自動的に検出することができ、この検出値に基づいて予備苗載台を苗補給が必要な位置へ移動させることができ、苗マットの苗載台への補給を良好に行うことができる。 【0064】第4発明に係る田植機によれば、ユニットクラッチにより作動となる植付部に対応する苗載台へは苗マットを補給することができ、さらに、ユニットクラッチにより非作動となる植付部に対応する苗載台へ苗マットが補給されるのを防止できるから、ユニットクラッチにより非作動となる植付部に対応する苗載台の苗マットが一定量に減少している場合でも、この苗載台に苗マットが補給されるのを防ぐことができる。従って、一定量に減少している苗マットの苗が、補給された苗マットの重さによるマットの崩れ及び苗取り出し部からの食み出しを最小限に抑えることができ、植付を再開したときの植付制度を向上することができる。 【0065】第5発明に係る田植機によれば、苗載台のマット載せ部の中間位置に設けた第1検出器の動作によりオペレータが苗補給のタイミング及び現在の苗マットの残量を把握し易いのである。 【0066】第6発明に係る田植機によれば、オペレータが苗補給のタイミング及び現在の苗マットの残量を把握したあと、苗マットを自動的に補給することが可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】河野 登夫
|
| 【公開番号】 |
特開平11−266635 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−74567 |
|