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【発明の名称】 不耕起植付機の作溝装置
【発明者】 【氏名】芝田 哲男

【要約】 【課題】作溝具による植付用溝の作溝を円滑に行わせるための作溝装置を提供することを目的としている。

【解決手段】不耕起植付機における作溝軸24に回転駆動可能に支持せしめられた作溝具26の側方に外周側に凹凸部45を有する回転体40を自由回転可能に軸支し、凹凸部45の凸部45a先端にあさりを形成せしめた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体(4)に植付作業を行う植付装置(11)を連結し、該植付装置(11)の前方に横設された作溝軸(24)に、不耕起状態の圃場に植付け用の溝を形成する作溝具(26)を回転駆動可能に支持せしめ、該作溝具(26)の側方に外周側に凹凸部(45)を有する回転体(40)を自由回転可能に軸支した不耕起植付機において、上記凹凸部(45)の凸部(45a)先端にあさりを形成せしめた不耕起植付機の作溝装置。
【請求項2】 回転体(40)と作溝具(26)との間に、作溝具(26)による植付用溝の圃場への形成時に圃場における植付用溝の側方を鎮圧する鎮圧ローラ(42)を上記作溝具(26)の側面側に近接させて回転体(40)側に取り付けて設けた請求項1の不耕起植付機の作溝装置。
【請求項3】 鎮圧ローラ(42)の接地周面(42a)の外周側又は内周側に近接して位置し、前記接地周面(42a)と作溝具(26)との間隙(S)をシールするシール部材(47)を作溝具(26)側に取り付けて設けた請求項2の不耕起植付機の作溝装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は圃場を全面耕、砕土、代掻き作業せず、不耕起のまま苗等の植え付け作業を行う不耕起植付機の作溝装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来圃場を全面耕、砕土、代掻き作業せず、不耕起のまま苗等の植え付け作業を行う不耕起植付機の作溝装置として、走行機体に連結された植付装置の前方に作溝軸を横設し、該作溝軸に不耕起状態の圃場に植付け用の溝を形成する作溝具を回転駆動可能に、作溝具による植付用溝の圃場への形成時に圃場における植付用溝の側方を鎮圧する鎮圧ローラを該作溝具の側面側に近接させて自由回転可能にそれぞれ軸支したものが知られている。
【0003】そして上記鎮圧ローラとして接地周面の外周側に突出する凹凸部を前記作溝具の側方に所定間隔を介して鎮圧ローラに一体的に設けたものが知られているが、一般的に上記凹凸部の凸部先端がストレートな形状をなしているため、鎮圧ローラ(凸部)と圃場との抵抗が比較的小さく、機体走行時の鎮圧ローラの自転状態が比較的悪く(円滑に自転せず)、作溝具による植付用溝の作溝が円滑に行われないという欠点があった【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するための本発明の不耕機植付機の作耕装置は、走行機体4に植付作業を行う植付装置11を連結し、該植付装置11の前方に横設された作溝軸24に、不耕起状態の圃場に植付け用の溝を形成する作溝具26を回転駆動可能に支持せしめ、該作溝具26の側方に外周側に凹凸部45を有する回転体40を自由回転可能に軸支した不耕起植付機において、上記凹凸部45の凸部45a先端にあさりを形成せしめたことを第1の特徴としている。
【0005】また回転体40と作溝具26との間に、作溝具26による植付用溝の圃場への形成時に圃場における植付用溝の側方を鎮圧する鎮圧ローラ42を上記作溝具26の側面側に近接させて回転体40側に取り付けて設けたことを第2の特徴としている。
【0006】さらに鎮圧ローラ42の接地周面42aの外周側又は内周側に近接して位置し、前記接地周面42aと作溝具26との間隙Sをシールするシール部材47を作溝具26側に取り付けて設けたことを第3の特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】図面は本発明を応用した不耕起植付機である不耕起田植機の1実施形態を示す。図1に示されるように、前後輪1,2に支持された機体フレーム3上に走行機体4が構成されており、該走行機体4には座席6,操作パネル7等より構成される運転席8が設けられている。そして該運転席8の後方には苗載せ台9を斜設した植付装置11がアッパーリンク12a及びロアーリンク12b等から構成される昇降リンク12を介して昇降自在に、且つローリング可能に連結されている。
【0008】苗載せ台9は植付装置11のフレーム13側に取り付けられており、該フレーム13は苗載せ台9の正面側に少なくとも縦方向に左右2本設けられている支柱14と、該支柱14下方に位置するようにそれぞれの支柱14にブラケット16を介して固定され左右方向に横設される横フレームとを備えている。
【0009】そして従来同様上記横フレーム両端に設けられているステーを介して横フレームの斜め下後方に伝動軸ケースが一体的に連結されて横設されているとともに、該伝動軸ケースの略中央上方に伝動ケース19が結合されており、上記伝動軸ケースに配設された複数のプランターケース21後端左右両側に取り付けられた植付部22に、伝動ケース19側から駆動力を得ている伝動軸ケース内の伝動軸を介して駆動力が伝動され、上記植付部22が苗載せ台9の下端より苗を掻き取って植付ける構造となっている。
【0010】一方前述の横フレーム両端のステーには、側面視において上方に山型に湾曲した支持アーム23の後端側がピン等で回動自在に取り付けられており、さらに該支持アーム23の前端には多角形断面の作溝軸24が回転自在に支持されている。また作溝軸24における、前述の植付部22の前方位置には、走行機体4の走行に伴って回転駆動されることで圃場に連続的な苗植え付け用の溝(植付用溝)を作溝する作溝具26が嵌合支持されている。
【0011】このとき図2,図3に示されるように作溝具26は円板状の作溝体の外周にあさり(歯振)を有する作溝刃26aが凹凸状に連続するディスク形状をなしており、走行機体4の走行に伴って回転駆動されることで、不耕起状態の圃場における作溝具26の接地している(作溝具26が挿入されている)部分を耕起させ、膨軟状態の植付用溝を形成(作溝)するものである。なお作溝具26は作溝軸24に外嵌するカラー27によってそれぞれ位置決めされている。また各作溝具の後方には施肥用のノズル25が各配設されている。
【0012】そして上記作溝軸24の左右略中央位置にはギヤケース28が取り付けられているとともに、上記ギヤケース28から突出する作溝PTO軸と走行機体4側のトランスミッション31の後方下部とは、ユニバーサルジョイント32とPTO連結軸33を介して連結されており、作溝軸24はトランスミッション31側から駆動力を伝動されたギヤケース28を介して回転駆動させられ、作溝軸24が回転することによって作溝具26が作溝軸24と一体回転して作溝を行う。
【0013】また上記左右の支柱14間には走行機体4前方に向かって操作レバー37が突設された回動軸が軸支されているとともに、該回動軸側と支持アーム23の山形の頂部との間にはロッド38が介設されており、操作レバー37を上下揺動させて回動軸を回動させることで作溝具26が上下移動する。なお上記操作レバー37は支柱14側に固設されたプレート状のレバーガイド39に挿通されており、該レバーガイド39に形成された複数段の係合用段部に係合させることにより、回動軸36の回転角度が調節設定され、作溝具26の植付装置11(植付部22)に対する位置(高さ)が設定される。
【0014】さらに上記伝動軸ケース側には植付装置11に対して上下調節自在に接地フロート41が付設されており、植付装置11は該接地フロート41によって圃場面に昇降調節自在に接地支持され、接地フロート41を上下させることで植付深さを調節する構造になっている。そして前記のように作溝具26の植付部22に対する高さを調節することで、植付深さに対応した深さで植付用溝を形成(作溝)することができる。
【0015】一方作溝具26の両側方又は片側方には中空円筒状のローラよりなる鎮圧ローラ42が作溝具26の側面側に近接して作溝軸24に後述するように自由回転自在に軸支されており、該鎮圧ローラ42は上記作溝具26の回転駆動による植付用溝形成時に圃場面上に接するとともに、作溝具26とは独立して作溝軸24を支点に自由回転し、圃場における植付用溝の側方を鎮圧する。
【0016】以上のように構成された本発明の不耕起田植機は、植付装置11を上昇させた状態で不耕起状態の圃場に走行機体4を乗り入れ、運転席8に着席した作業者が上記操作レバー37によって植付深さに対応した作溝具26の植付部22に対する高さを設定した後、運転席8に備えられた植付装置11の昇降用の油圧植付レバー(図示せず)を操作して植付装置11を接地フロート41が接地するように下降させる。
【0017】これによって作溝具26は圃場内に所定の深さで挿入され、走行機体4を走行させながら作溝具26を回転させることで、圃場に植え付け深さに対応した所定の深さ(耕起深さ)の連続的な植付用溝を植付部22の前方に形成する。このとき圃場における植付用溝の側方は上記自由回転する鎮圧ローラ42によって鎮圧され、また作溝具による作溝時には上記自由回転する鎮圧ローラ42側が圃場のわら等を押さえ込み、植え付け用溝が容易に作溝される。そして形成された上記植付用溝に植付部22によって苗載せ台9内のマット状苗を1株分ずつ掻き取って植え付けることで所定の植え付け深さで不耕起植え付け作業が行われる。
【0018】次に上記鎮圧ローラ42の支持構造について説明する。図3(a),(b)に示されるように鎮圧ローラ42は外周側に凹凸部45を有するディスク状の回転体40の側面に該回転体40と同一軸心をなすように一体的に固着されているが、該回転体40は後述するように作溝軸24に回転自在に軸支されており、鎮圧ローラ42は回転体40を介して作溝軸24に回転自在に軸支されている。
【0019】このとき上記回転体40は凹凸部45が鎮圧ローラ42の周面(接地周面)42aの外周側に突出しているとともに、中心にボス44が設けられているが、前述のカラー27は上記ボス44の端部で外径が小さくなった段付きのものとなっており、上記ボス44がカラー27における外径が小さくなった部分に外嵌してカラー27の段部と作溝具26とに挟持されることで、回転体40が作溝具26の両側方に、凹凸部45が作溝具26から所定距離T離れた位置に配置され、回転体40と作溝具26との間に鎮圧ローラ42が位置するように位置決めされている。
【0020】このときボス44の内周面(カラー27との接触面)にはラジアルベアリングとして機能するブッシュ46が設けられており、つまりボス44はブッシュ46を介してカラー27に外嵌しており、上記回転体40はボス44と一体的にカラー27に対して自由回転し、これによって鎮圧ローラ42が作溝軸24に対して自由回転可能に軸支されている。
【0021】なお上記回転体40外周における凹凸部45の凸部45a先端にはあさり(歯振)が形成されており、上記凸部45aは連続的に軸心方向に振られている。一方作溝具26側には鎮圧ローラ42の接地周面42aの内側に鎮圧ローラ42(回転体40)側に向かって中空円筒形状をなすシール部材47が突設されており、該シール部材47により鎮圧ローラ42の端部(接地周面42a)と作溝具26との間隙Sがシールされている。
【0022】そして作溝具26による植付用溝作溝時に自由回転する鎮圧ローラ42の接地面(周面42a)が作溝具26に近接した側方で圃場に接するとともに、回転体40の凹凸部45が圃場内に挿入されるが、凹凸部45の圃場への挿入時に上記あさりにより圃場と回転体40との間に比較的大きな抵抗が与えられ、機体の走行に伴って回転体40及び鎮圧ローラ42(回転体40と一体であるため)が良好に自転(自由回転)する。
【0023】このため作溝具26による作溝時に圃場面上に存在する(残る)わら屑等(稲わらや草等)が比較的短い場合は回転体40(凹凸部45)のあさりにより稲わらが押さえ込まれ、また稲わらが比較的長い場合は回転体40が作溝具26による稲わら等の両脇を押さえ込みながら作溝具26で短く切断されるため、作溝時(溝切り時)の回転体40によるわら等の押さえ込みが良好となり、作溝具26による植付用溝の作溝が円滑に行われ、さらに鎮圧ローラ42による植付溝側方の鎮圧が良好に行われる。
【0024】このため作溝具26が植付用溝の作溝のために回転しても、わらや草等は凹凸部45によって押さえ込まれ回転する作溝具26に巻き付くことはなく、より容易に作溝がなされる。特に上記のように凸部45aに形成されたあさりによって回転体40の圃場に対する抵抗が比較的大きいため、比較的柔らかい圃場やわら等が比較的多い圃場での作業においても回転体40及び鎮圧ローラ42の自転が良好に行われ、わら等の押さえ込み及び鎮圧性能が低下することはなく、作溝具26による作溝が良好に行われる。
【0025】またシール部材47により作溝具26と鎮圧ローラ42の接地周面42aとの間隙Sがシールされるため、上記間隙Sへのわらや草等の侵入が防止され、わら等の掻き込みが減少し、鎮圧ローラ42(回転体40)の自転がより円滑に行われ、わら等の掻き込みに起因した回転体40及び鎮圧ローラ42の自転不良によるわら等の押さえ込み及び鎮圧性能の低下が防止される。
【0026】なお上記回転体40及び回転体40と一体的な鎮圧ローラ42を、前述のようなディスク形状以外の作溝具、例えば作溝爪等の両側方に設けることもでき、この場合も上記同様の作用を行わせることが可能である。またシール部材47を鎮圧ローラ42の外周側に設けシール部材47の周面を接地周面とするように構成してもよい。
【0027】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、回転体にあさりを設けたことにより、作溝時に圃場に残る稲わら等が比較的短い場合はあさりにより稲わらが押さえ込まれ、また稲わらが比較的長い場合は回転体が作溝具による稲わら等の両脇を押さえ込みながら作溝具で短く切断されるため、作溝時(溝切り時)の回転体によるわら等の押さえ込みが良好となり、作溝具による植付用溝の作溝が円滑に行われるという効果がある。
【0028】また回転体のあさりにより鎮圧ローラ側(回転体)と圃場との抵抗が比較的大きく機体走行時に鎮圧ローラの自転が良好となり、またシール部材により作溝具と鎮圧ローラの接地周面との間隙がシールされるため、上記間隙へのわらや草等の侵入が防止され、鎮圧ローラの自転がより円滑に行われるという利点もある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開平11−266633
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−92606