| 【発明の名称】 |
水田作業機 |
| 【発明者】 |
【氏名】大内 久平
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| 【要約】 |
【課題】走行機体の後部が持ち上がる方向へのピッチング時にも苗植付装置を適正な対圃場面高さに維持し得る田植機を構成する。
【解決手段】接地フロート15の後部を苗植付装置に対して軸芯P周りでの揺動と、上下移動とを行えるよう支持すると共に、フロートセンサ37で計測される接地フロート15の揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう苗植付装置の昇降制御を行う制御装置45を備え、スイッチ25によって接地フロート15の後部の下方への変位を検出した際には昇降制御に優先して苗植付装置を強制的に下降させる制御を行うように制御装置45の制御動作を設定した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に対して昇降自在に対地作業装置を連結し、この対地作業装置に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に接地フロートの後部を支持し、この軸芯周りでの接地フロートの揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機であって、前記接地フロートの後部を対地作業装置に対して上下移動自在に支持すると共に、この接地フロートの後部の下方への移動を検出した際には接地フロートの姿勢に拘わらず対地作業装置の下降制御を行うよう前記制御装置の制御動作を設定してある水田作業機。 【請求項2】 前記接地フロートの揺動姿勢を検出するフロートセンサと、昇降制御の感度を設定する感度設定器とを備え、このフロートセンサからの検出信号と感度設定器とからの信号が合致する方向に対地作業装置の昇降を行うよう前記制御装置の制御動作を設定すると共に、前記接地フロートの後部が下方に変位したことを検出する検出手段を備え、この検出手段で接地フロートの後部の下方への変位を検出した際には、前記フロートセンサと感度設定器とからの信号に基づく昇降制御に優先して対地作業装置の下降を行うよう前記制御装置の制御動作が設定されている請求項1記載の水田作業機。 【請求項3】 前記対地作業装置に対して、接地フロートの後部位置を長手を上下方向に設定された長孔の融通を介して上下方向に相対変位自在に支持してある請求項1又は2記載の水田作業機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に対して昇降自在に対地作業装置を連結し、この対地作業装置に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に接地フロートの後部を支持し、この軸芯周りでの接地フロートの揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機に関する。 【0002】 【従来の技術】上記の構成の水田作業機として田植機を例に挙げると、対地作業装置としての苗植付装置を走行機体に対して油圧シリンダで昇降自在に支持してあり、この苗植付装置に備えた接地フロートの姿勢を目標姿勢に維持するよう苗植付装置の昇降を行う制御装置が備えられている。又、従来からの苗植付装置では接地フロートの姿勢が目標とする姿勢を基準に形成された不感帯の域内にある場合には昇降制御を行わず、例えば、この不感帯の域を越えて前下がり姿勢に達すると目標姿勢からの偏差が大きくなるほど油圧シリンダを制御する弁の開度を大きくして高速度で下降制御を行うよう制御形態が設定されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ここで、前述のように構成された田植機について考えるに、田植機は圃場面下の耕盤上を車輪で走行し、圃場面に対して植付爪等を介して苗の移植を行う作業形態となっている。しかし、圃場面が平坦な状態であっても耕盤に凹凸が存在することもあり、例えば、耕盤の凹部に前車輪が落ち込んだ場合や耕盤の凸部に後車輪が乗り上がった場合には、走行機体の後部の持ち上がりに伴って苗植付装置が持ち上げられる結果、苗の移植深さが極端に浅くなって浮き苗を発生させる不都合に繋がることもあり改善の余地があった。 【0004】この不都合は苗植付装置が持ち上げ方向へ変位した際には、この変位と下降制御の開始とにタイムラグが大きいことに起因するものである。具体的には、苗植付装置が持ち上げ方向へ位置が変化した際には、接地フロートが前下がり側に姿勢変化するものであるが、このように苗植付装置が持ち上げられて接地フロートが前下がり姿勢に切り換わるまで多少の時間を要するので下降制御が開始されるまでのタイムラグが必然的に大きくなっていたのである。 【0005】本発明の目的は、走行機体の後部が持ち上がる方向へのピッチング時にも作業装置を適正な対圃場面高さに維持し得る水田作業機を合理的に構成する点にある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は冒頭に記載したように、走行機体に対して昇降自在に対地作業装置を連結し、この対地作業装置に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に接地フロートの後部を支持し、この軸芯周りでの接地フロートの揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた水田作業機において、前記接地フロートの後部を対地作業装置に対して上下移動自在に支持すると共に、この接地フロートの後部の下方への移動を検出した際には接地フロートの姿勢に拘わらず対地作業装置の下降制御を行うよう前記制御装置の制御動作を設定してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0007】本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記接地フロートの揺動姿勢を検出するフロートセンサと、昇降制御の感度を設定する感度設定器とを備え、このフロートセンサからの検出信号と感度設定器とからの信号が合致する方向に対地作業装置の昇降を行うよう前記制御装置の制御動作を設定すると共に、前記接地フロートの後部が下方に変位したことを検出する検出手段を備え、この検出手段で接地フロートの後部の下方への変位を検出した際には、前記フロートセンサと感度設定器とからの信号に基づく昇降制御に優先して対地作業装置の下降を行うよう前記制御装置の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0008】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1又は2において、前記対地作業装置に対して、接地フロートの後部位置を長手を上下方向に設定された長孔の融通を介して上下方向に相対変位自在に支持してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0009】〔作用〕上記第1の特徴によると、走行機体が比較的平坦な耕盤を走行する場合には、横向き姿勢の軸芯周りでの接地フロートの揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう、制御装置が対地作業装置を昇降させることによって対地作業装置の圃場面に対する高さを維持できるものとなり、又、前車輪が耕盤の凹部に落ち込んだ場合のように走行機体の後部が持ち上がった際には、接地フロートの後部が即時に下方に移動することになり、この移動が検出されると制御装置が対地作業装置を下降させるので対地作業装置を圃場面から浮き上がらせることがない。 【0010】上記第2の特徴によると、走行機体が比較的平坦な耕盤を走行する場合には、横向き姿勢の軸芯周りでの接地フロートの揺動姿勢をフロートセンサが計測し、このフロートセンサからの信号と感度設定器からの信号とが合致するよう、制御装置が対地作業装置を昇降させることによって対地作業装置の圃場面に対する高さを維持できるものとなり、又、前車輪が耕盤の凹部に落ち込んだ場合のように走行機体の後部が持ち上がった際には、接地フロートの後部が即時に下方に移動し、この移動が検出手段で検出されると制御装置が、フロートセンサと感度設定器とからの信号に優先して対地作業装置を下降させるので対地作業装置を圃場面から浮き上がらせることがない。 【0011】上記第3の特徴によると、上下方向姿勢の長孔の融通を介して接地フロートが支持されるので、複雑な構造を採用することなく接地フロートの後部の前後方向への移動を阻止した状態での上下方向への容易な変位を許すものとなる。 【0012】〔発明の効果〕従って、走行機体の後部が持ち上がり方向へピッチングしても作業装置を迅速に下降させて対地作業装置を適正な対圃場面高さに維持し得る水田作業機が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、この走行機体の後部が持ち上がり方向へピッチングしても電気制御で作業装置を迅速に下降させて対地作業装置を適正な対圃場面高さに維持し得る水田作業機が機械式のものより簡単に構成できるものとなり(請求項2)、接地フロートを支持する部位の簡単な改良によって対地作業装置の浮き上がり方向への変位を検出して対地作業装置の圃場面に対する浮き上がりを阻止し得るものとなった(請求項3)。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の前部にエンジン4からの動力がベルト式の無段変速装置Vを介して伝えられるミッションケース5夫々を配置し、又、走行機体3の中央部にステアリングハンドル6と運転座席7とを配置し、走行機体3の後端部に対しリフトシリンダ8で駆動昇降操作される平行4連型のリンク機構9を介し対地作業装置としての苗植付装置Aを連結して水田作業機としての田植機を構成する。 【0014】苗植付装置Aは、走行機体3からの動力が伝えられる伝動ケース10と、この伝動ケース10からの動力が伝えられる複数のチェーンケース11と、夫々のチェーンケース11の後部に備えられたロータリケース12と、ロータリケース12夫々に一対ずつ備えられた植付アーム13とを備えると共に、マット状苗Wを載置する苗載せ台14と、接地フロートとしての複数の整地フロート15を備えて構成され、植付作動時には苗載せ台14に載置したマット状苗Wの下端から植付アーム13に備えた植付爪が苗を1株ずつ切り出して圃場面Sに植え付ける作動を行うよう構成されている。 【0015】運転座席7の右側部には苗植付装置Aの昇降と前記ミッションケース5に内蔵した植付クラッチ(図示せず)の入り切り操作とを行う昇降レバー16を備え、運転座席7の前部位置のメータパネルの左側方に前記無段変速装置Vの変速を行う主変速レバー17を備えている。 【0016】前記複数の整地フロート15のうち左右方向で中央位置のものを苗植付装置Aの圃場面Sに対する相対高さを計測する接地フロートとして構成してある。図2〜図5に示すように植付深さ調節軸21と一体揺動するアーム22の揺動端部に横向き姿勢の支軸23を備えてあり、整地フロート15の後部位置には、この支軸23が左右方向に貫通する縦長姿勢の長孔24aが形成されたブラケット24が備えられている。又、作業時に整地フロート15が圃場面Sに接地した状態では支軸23がブラケット24の長孔24aの下端に接触するので整地フロート15は支軸23の軸芯P周りで揺動自在となる。更に、アーム22の後端位置には、ブラケット24に対してアーム22が上方に変位したことを検出する検出手段としてのスイッチ25をブラケット24に備えており、このスイッチ25は、図5(イ)に示すように長孔24aの下端に支軸23が位置する状態で被操作片25aが支軸23に押圧されてOFF状態となり、長孔24aの下端から支軸23が上方に浮き上がった際にスイッチ25の被操作片25aから支軸23が離間してON状態となるよう構成されている。 【0017】整地フロート15の前部にブラケット28が備えられ、このブラケット28と苗植付装置Aのフレーム29との間に屈伸作動するリンク機構30を介装することで、この整地フロート15の前部が上下変位自在に支持されている。又、前記植付深さ調節軸21を回動操作する植付深さ調節レバー31が備えられ、この植付深さ調節レバー31に備えた係止片31Aとの係合によって該レバー31の操作位置を保持するレバーガイド32が中間プレート33を介して苗植付装置Aのフレーム29に支持されている。又、中間プレート33の前面位置に平行四連型のリンク機構34を介して上下移動自在に支持プレート35が備えられ、植付深さ調節レバー31の基端部に備えたピン36とリンク機構34とを連係することで植付深さ調節レバー31の操作と連動する整地フロート15の上昇と連動して支持プレート35を上昇させ、逆に、整地フロート15の下降と連動して支持プレート35を下降させるよう連係関係が設定されている。又、支持プレート35に対してセンサ本体37Aと操作軸37Bとを備えて成るポテンショメータ型のフロートセンサ37を備えている。又、フロートセンサ37の操作軸37Bに連結する操作アーム38と前記ブラケット28との間に整地フロート15の上下作動をフロートセンサ37に伝える操作杆39を介装し、この操作アーム38と支持プレート35の上端位置との間に該操作アーム38を下方に付勢する圧縮コイル型の感知バネ40を備えている。 【0018】この田植機では支軸23の軸芯P周りでの整地フロート15の揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう苗植付装置Aの昇降を行う制御と、走行機体3の後部が持ち上がる側にピッチングした際に苗植付装置Aを強制下降させる制御とを行うことで苗植付装置Aの対圃場面高さを維持する制御装置45を備えている。つまり、制御装置45はマイクロプロセッサを備えて構成され、この制御装置45に対して前記昇降レバー16の操作位置を計測するレバーセンサ46、ダイヤル47で回動操作されるポテンショメータ型の感度設定器48、前記フロートセンサ37、前記スイッチ25夫々からの信号が入力する入力系が形成されると共に、前記リフトシリンダ8を制御する電磁操作型の制御弁49に信号を出力する出力系が形成されている。尚、制御弁49はソレノイドに対する電流値に対応した開度を得るよう構成され、制御装置45はデューティサイクルの変更でPWM式に制御弁49の電磁ソレノイドに対する電流値を制御して制御弁49の開度を調節し得るよう制御動作が設定されている。 【0019】そして、この制御装置45は予めセットされたプログラムに基づいて以下のように苗植付装置Aの昇降制御を行うものとなっている。つまり、図7のフローチャートに示すように、先ず、スイッチ25の状態を判別してOFFの状態にある場合には、図8(イ)に示す如く、前後車輪1,2が平坦な耕盤Gを走行することで整地フロート15が圃場面Sに接地していると判断できるので、感度設定器48からの信号を入力し、この入力信号に基づいて制御目標を設定し、この制御目標を基準に形成される不感帯とフロートセンサ37からの信号値とを比較し、フロートセンサ37からの信号が不感帯の域内にある場合には昇降制御を行わず、不感帯の域外にある場合にはフロートセンサ47からの信号と制御目標との偏差が大きいほど制御弁49の開度を大きく設定して制御弁49の制御を行って苗植付装置Aの昇降を行い(#101〜#106ステップ)、又、スイッチ25の状態を判別してON状態にあることを判別した際には、図8(ロ)に示すように耕盤Gの凹部に前車輪1が落ち込んだ場合のように走行機体3の後部が持ち上がる方向にピッチングを発生したと判断できるので、前述のフロートセンサ15からの信号に基づく昇降制御に優先して、制御弁49の開度を最大に設定して制御弁49を下降側に操作して苗植付装置Aを強制下降させるものとなっている(#107ステップ)。 【0020】このように、本発明の田植機では、圃場面Sに対して整地フロート15が適正に接地している状態では、感度設定器48で設定された目標姿勢に整地フロート15の姿勢を維持するよう苗植付装置Aの昇降を行うことで、苗植付装置Aの圃場面Sに対する高さを所定の値に維持できるものとなっており、前述したように耕盤Gの凹部に前車輪1が落ち込んだ場合、あるいは、耕盤Gの凸部に後車輪2が乗り上がった場合のように整地フロート15後部が持ち上がる側に走行機体3がピッチングした場合には、この状態をスイッチ25を介して即座に判別し、接地フロート15の姿勢が多少沈む形態となってもスイッチ25を介して接地フロート15の後部が接地したことを検出するまで苗植付装置を高速で下降させることにより苗植付装置Aの圃場面Sに対する追従性能を高めて、浮き苗の発生を抑制するものとなっている。 【0021】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態以外に、例えば、苗植付装置に対して接地フロートの後端を屈伸型のリンク機構等を介して上下変位自在に支持すると共に、苗植付装置が下方に変位したことを非接触型のセンサで検出して苗植付装置の強制的な下降を行うよう構成することも可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−266630 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−78814 |
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