トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 移動農機の昇降制御装置
【発明者】 【氏名】石飛 芳夫

【氏名】塚原 譲

【氏名】松川 雅彦

【要約】 【課題】手動操作レバーの他、手元操作レバーの操作によっても植付部の昇降制御を可能とする。

【解決手段】乗用田植機1の昇降制御装置は、走行機体5に支持された植付部10を、油圧コントロールバルブ35を介して油圧シリンダ装置19により昇降制御自在としたものであり、このために、前記油圧コントロールバルブ35を操作し得る作動体40を設け、この作動体40はカム回動モータ41を有していて該カム回動モータ41を制御信号により操作することで、手動操作レバー17による操作の他に、手元操作レバー38の操作に基づく制御信号によりコントロールバルブ35を制御することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に支持された作業部を、コントロールバルブを介して流体圧アクチュエータにより昇降制御自在とした移動農機の昇降制御装置において、前記コントロールバルブを操作し得る作動体を設け、該作動体を制御信号により操作可能とした、ことを特徴とする移動農機の昇降制御装置。
【請求項2】 前記作動体が、電動アクチュエータを有する、ことを特徴とする請求項1記載の移動農機の昇降制御装置。
【請求項3】 前記作動体を、運転操作部に配置した手元操作手段の操作により制御可能とした、ことを特徴とする請求項1又は2記載の移動農機の昇降制御装置。
【請求項4】 前記電動アクチュエータを、前記コントロールバルブの近傍に配置した、ことを特徴とする請求項2記載の移動農機の昇降制御装置。
【請求項5】 前記作業部のリフト量を検出するリフト量検出センサを備え、該作業部のリフト量が所定値に達したときに、前記作動体を自動的に昇降制御の固定位置に復帰させるようにした、ことを特徴とする請求項1,2,3記載の移動農機の昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機等の移動農機の昇降制御装置に係り、詳しくは走行機体に支持した作業部を、制御信号に基づき流体圧アクチュエータにより昇降制御自在とした移動農機の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、乗用田植機に支持された植付部の昇降制御は、油圧により行われ、その油圧制御機構は、図7に示すように、座席シート7の側部に油圧・植付レバー17が設けられていて、該レバー17の手動操作にて植付部10を昇降制御すると共に、該レバー17を「下げ」ないし「植付」位置に操作すると、植付部10のフロート14に作用する土圧を感知して適正植付位置になるように植付部10が自動昇降制御される。
【0003】すなわち、前記油圧・植付レバー17をレバーガイド21に沿って「上げ」、「固定」、「下げ」、「植付」位置に夫々操作すると(図8参照)、平板カム30が支点軸31を中心として回動し、この回動量に応じて油圧コントロールバルブ35を作動させ、該油圧コントロールバルブ35により油圧シリンダ(図示せず)を制御して昇降リンク機構8に支持された植付部10を昇降制御していた。
【0004】詳しくは、図9(a)〜(d)に示すように、前記油圧・植付レバー17を「上げ」位置に操作することで植付部10が上昇し(図9(a))、「固定」位置に操作することで植付部10の昇降を停止して該植付部10が所定の高さ位置に維持され(図9(b))、「下げ」位置に操作すると植付部10が下降して油圧自動が作動し(図9(c))、更に「植付」位置に操作すると植付クラッチが入り、植付部10による植付けが開始されるように構成されていた(図9(d))。
【0005】このとき、植付部10が下降した油圧自動状態にあっては、フロート14に土圧が作用してその前部が持上がると、感知プレート22と揺動アーム27及び感知ロッド24を介して、レバーアーム15が支点23を中心として揺動し、プレート49等を介して油圧コントロールバルブ35を自動上げ位置に移動して植付部10を上昇させ、反対に、フロート14に作用する土圧が小さくその前部が下降すると、油圧コントロールバルブ35を自動下げ位置に移動して植付部10を下降させる。
【0006】なお、油圧・植付レバー17の近傍には、圃場の硬軟に応じて植付部10の上下作動の感度を調節する油圧感度調節レバー20が設けられている。また、植付クラッチの入・切は、前記油圧・植付レバー17により行われ、該油圧・植付レバー17の操作によりクラッチロッド47を介して植付クラッチが作動され、植付部10への動力の入・断が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来は、前記座席シート7の側部に配置されていた油圧・植付レバー17を手動操作することで、植付部10の昇降及び植付クラッチの入切を行っていたため、該レバー17の操作時にはオペレータはステアリングホイールから一方の手を離す必要があり、片手運転となるため、きめ細かな運転が困難となり操作性の向上が望まれていた。
【0008】本発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、従来構造の手動操作による昇降制御機構をことさら変更することなく、手元操作手段の操作により作業部の昇降制御を可能とすることができ、更に作業部のリフト量が所定値に達したときは所定高さに自動的に固定できるようにした移動農機の昇降制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、走行機体(5)に支持された作業部(10)を、コントロールバルブ(35)を介して流体圧アクチュエータ(19)により昇降制御自在とした移動農機(1)の昇降制御装置において、前記コントロールバルブ(35)を操作し得る作動体(40)を設け、該作動体(40)を制御信号により操作可能とした、ことを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、前記作動体(40)が、電動アクチュエータ(41)を有する、ことを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、前記作動体(40)を、運転操作部(13)に配置した手元操作手段(38)の操作により制御可能とした、ことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、前記電動アクチュエータ(41)を、前記コントロールバルブ(35)の近傍に配置した、ことを特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明は、前記作業部(10)のリフト量を検出するリフト量検出センサ(59)を備え、該作業部(10)のリフト量が所定値に達したときに、前記作動体(40)を自動的に昇降制御の固定位置に復帰させるようにした、ことを特徴とする。
[作用]以上の発明特定事項に基づき、移動農機(1)は、走行機体(5)に支持された作業部(10)を、コントロールバルブ(35)を介して流体圧アクチュエータ(19)により昇降制御自在としたものであり、このために、前記コントロールバルブ(35)を操作し得る作動体(40)を設け、この作動体(40)を制御信号により操作可能とすることで、従来のように手動操作レバーの操作に頼るのみでなく、制御信号を発生させるだけの簡単な操作で前記コントロールバルブ(35)を制御することが可能となる。
【0014】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明の構成を何ら限定するものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお、前述した従来例と同一または相当する部材には、同一の符号を付す。
【0016】図1に示すように、乗用田植機1は、前輪2及び後輪3により支持された走行機体5を有しており、該走行機体5にはその前輪前方部分のボンネット4内にエンジン6が搭載され、走行機体5の前後方向の中間部には座席シート7を有する運転席9が配設されている。この座席シート7の側方には、手動操作レバー17が設けられていて、この手動操作レバー17は、従来と同様にレバーガイド21に沿い「上げ」、「固定」、「下げ(自動)」、「植付(自動)」の各位置に操作可能となっている。
【0017】前記走行機体5の後方には、昇降リンク機構8を介して作業部としての植付部10が昇降自在に支持され、該植付部10には多数のプランタ、フロー卜14及びマット苗を縦方向に載置し得る苗載せ台12が備えられている。
【0018】前記走行機体5には、昇降リンク機構8との間に油圧シリンダ装置19が配設されていて、前記手動操作レバー17の操作に基づき、座席シート7下部のリヤカバー26内に配置された制御部39を介して油圧コントロールバルブ35が制御され、更に該油圧コントロールバルブ35により前記油圧シリンダ装置19が伸縮制御されて、植付部10が昇降作動する。
【0019】なお、前記手動操作レバー17の操作位置は、レバー位置検出ポテンショメータ50により検出され、この検出値に応じて前記制御部39を介してカム回動モータ41の回動により後述する如く作動体40の作動で油圧コントロールバルブ35が制御される。
【0020】このように、本発明においては、前記コントロールバルブ35を操作し得る作動体40を設け、該作動体を制御信号によりカム回動モータ41の回動で操作可能としている。
【0021】図1に示すように、前記運転席9の前部には、ステアリングホイール13が設けられ、該ステアリングホイール13のステアリングシャフト13a上部には、手元操作手段としての手元操作レバー38が設けられている。
【0022】この手元操作レバー38は、図2に示すように、ステアリングシャフト13aに沿って上下に操作可能であると共に、図示しない弾発部材により、手を離すと基準位置に自動復帰するように付勢されている。そして、この手元操作レバー38は、基準位置としての固定位置と、この固定位置から上方に変位した上げ位置と、前記固定位置から下方に変位した下げ位置と、下降を開始した後再度手元操作レバー38を下方に変位した植付位置とに切換え操作自在となっている。
【0023】一方、この手元操作レバー38の操作は、前記植付部10の誤操作防止のため、前記手動操作レバー17が「植付」位置に操作されているときにのみ、手元操作レバー38による植付部10の昇降制御が可能となっている。
【0024】なお、前記手元操作レバー38は、基準位置に自動復帰するものについて説明したが、他の実施の形態として、例えば図3に示すように、ステアリングコラムに沿い「上げ」、「固定」、「下げ(自動)」、「植付」の各位置にスライド操作可能な構成とすることも考えられる。この場合は、前記制御部39にて手元操作レバー38の操作位置が検出され、この検出に基づきレバー操作位置に応じて植付部10が昇降制御されることになる。
【0025】次に、図4に示すように、座席シート7下部のリヤカバー26内には、前記油圧コントロールバルブ35と共に作動体40が配置され、この作動体40によって油圧コントロールバルブ35が操作される。前記作動体40は、油圧コントロールバルブ35の近傍に配置されたカム回動モータ41と、該カム回動モータ41のモータ軸と一体的に回転する小ギヤ42と、該小ギヤ42に噛合するギヤ部30aを有しかつ支点軸31を中心として回動可能な平板カム30とを有している。前記平板カム30の支点軸31には、該支点軸31の回転角を検出するカム位置ポテンショメータ43が取り付けられている。
【0026】前記油圧コントロールバルブ35の操作軸35aには、バルブ操作板36が固定されていて、該油圧コントロールバルブ35から、油圧ホース32,33が油圧シリンダ19及び図示しない油圧ポンプに連結されている。なお、前記平板カム30と油圧コントロールバルブ35及びバルブ操作板36は、側面視においてオーバラップするように配置されている。
【0027】図5に示すように、前記平板カム30は、カム周縁部に部分的に形成された前記ギヤ部30aと、大凹部a、小凸部b、ランド部c及び融通凹部fを有していて、前記大凹部aは、カムアーム44の先端に回転自在に支持されているローラ45に当接するカム面からなる。また、前記融通凹部fは、バルブ操作板36に植設されたピン36aを受け入れる凹部に形成され、該凹部f内にてピン36aの移動を許容して融通機構(自動範囲)を構成すると共に、該凹部fの一側面f1 にピン36aを当接して一体に移動する(手動操作)。
【0028】前記カムアーム44は、支軸46を中心として回転自在に支持されており、該カムアーム44の他端は、ロッド47を介して図示しない植付クラッチに連結されている。これにより、前記大凹部aは、植付クラッチの入切操作を行う。
【0029】前述した図4に示すように、前記油圧コントロールバルブ35の操作軸35aには、フロート14に連動する連動アーム48が回転自在に支持されており、該連動アーム48の先端は、プレート49及び扇形ギヤ52に連結されている。前記扇形ギヤ52は、支点23を中心として揺動可能とされ、該支点23には扇形ギヤ52の回動量を検出するポテンショメータ57が設けられていて、前記油圧コントロールバルブ35の回動量は、このポテンショメータ57によって検出される。また、前記扇形ギヤ52には、バルブ回動モータ55によって駆動される小ギヤ56が噛合しており、該扇形ギヤ52に連結された前記プレート49、更に連動アーム48とバルブ操作板36を介して油圧コントロールバルブ35が制御される。
【0030】一方、昇降リンク機構8の後部には、支点軸25を中心として回動可能な揺動アーム27が設けられていて、この揺動アーム27は感知プレート22を介してフロート14の前部に連結されている。前記揺動アーム27と感知プレート22とは、該感知プレート22の長孔22aに嵌入されたピン28を介して連結されている。そして、前記フロート14に作用する土圧変動に基づくフロート14の上下移動は、フロート位置ポテンショメータ58により検出され、この検出値に基づき後述するバルブ回動モータ55が回動し、前記油圧コントロールバルブ35が制御されて、前記油圧シリンダ装置19が伸縮するようになっている。
【0031】図5において、前記バルブ操作板36には、連係ピン36bが植設されており、該連係ピン36bは前記連動アーム48に当接し、該連動アーム48と共に連動し得るようになつている。そして、この連係ピン36bと、前記扇形ギヤ52に植設されたピン53との間にスプリング54が張設されていて、該スプリング54の張力は、連動アーム48の一側に当接しているピン36bを介してバルブ操作板36に伝達される。また、機体フレームと前記ピン53との間には、スプリング37が張設されていて、該スプリング37により油圧コントロールバルブ35を一方向に向けて押圧・付勢している。
【0032】なお、前記植付部10は、昇降リンク機構8の後端部のリンク支え枠64に設置されたローリング軸11により、左右方向ローリング自在に支持されており、また、前記油圧コントロールバルブ35には、走行時及び作業始めの苗補給時の植付部10の降下を防止する油圧固定レバー18が設けられている。
【0033】図6には、本実施の形態における制御ブロック図が示されており、同図において、前記制御部39には、手動操作レバー17の操作位置を検出するレバー位置検出ポテンショメータ50、手元操作レバー38の操作を検出する切換スイッチ51からの信号が入力されている他、フロート位置検出ポテンショメータ58、油圧コントロールバルブポテンショメータ57、油圧感知切換ボリューム60、スロットル位置ポテンショメータ61、平板カム位置ポテンショメータ43、リフタ角ポテンショメータ59、後進シフト検出スイッチ62、フロート連動スイッチ63からの信号が入力されている。
【0034】また、前記入力信号に基づき、前記制御部39を介してバルブ回動モータ55とカム回動モータ41が制御されるようになっている。
【0035】以上により、前記手元操作レバー38は、前記制御部39を介してカム回動モータ41と電気的に接続されていて、該手元操作レバー38を操作すると、その操作内容が切換スイッチ51により判別され、この切換スイッチ51からの制御信号で、前記カム回動モータ41により平板カム30が回動され、バルブ操作板36を介して前記油圧コントロールバルブ35が制御される。
【0036】すなわち、前記手元操作レバー38を操作すると、カム回動モータ41により前記平板カム30が駆動され、該平板カム30の支点軸31を中心とした回動量はポテンショメータ43により検出される。この平板カム30の回動により、ピン36aを介して油圧コントロールバルブ35が回動し、これにより油圧シリンダ装置19が伸縮されて植付部10が昇降制御される。
【0037】また、図3に示した手元操作レバー38の操作は、平板カム30が「植付」位置にあるときから、例えば手元操作レバー38を上げ操作したまま一定時間以上保持すると、平板カム30は「上げ」位置に至る。反対に、この平板カム30の「上げ」位置から、手元操作レバー38を下げ操作すると平板カム30は「固定」位置となり、もう一度下げ操作すると平板カム30は「下げ(自動)」位置となり、更にもう一度下げ操作すると平板カム30は「植付(自動)」位置となって植付クラッチが入になる。
【0038】このように、手元操作レバー38を操作すると、カム回動モータ41により平板カム30が回動され、バルブ操作板36を介して油圧コントロールバルブ35が作動し、油圧シリンダ装置19により植付部10の昇降と植付クラッチの入切が行われる。なお、油圧自動感知は、フロート14の動きを昇降リンク機構8の後部に設けられたフロート位置検出ポテンショメータ58により検出し、バルブ回動モータ55により油圧コントロールバルブ35を操作して、圃場条件に対応し植付部10を適正な位置に保持し、植付深さ及び植付姿勢を自動制御する。
【0039】ところで、手元操作レバー38の操作により、植付部10が「下げ」位置にあるとき、植付部10が田面に接地する前に手元操作レバー38を更にもう一度下げ操作すると、空中で植付部10が回転し苗放出をしてしまうおそれがある。
【0040】そこで、本実施の形態では、手元操作レバー38によって植付部10を「植付」位置に操作するための条件として、植付部10が「下げ」位置にあり、かつフロート14が接地状態にあることを条件としている。
【0041】また、前述のように、手元操作レバー38の操作により、植付クラッチを入操作するために、フロート14が接地していることを条件とすると、整備等で植付部10を空中に位置固定したまま植付部10を作動させることができない。
【0042】そこで、本実施の形態では、手元操作レバー38の操作により、植付クラッチを入操作するための前記条件から、フロート14が接地していることの条件を解除することのできるフロート連動スイッチ63を設け、このフロート連動スイッチ63がオンのときは、フロート14が接地していなくても、手元操作レバー38の操作で植付クラッチを入操作できるようにしている。
【0043】一方、フロート14の上下移動は、フロート位置ポテンショメータ58により検出され、この検出値に応じてバルブ回動モータ55が駆動され、更にこのバルブ回動モータ55により小ギヤ56と扇形ギヤ52を介して油圧コントロールバルブ35が制御される。こうして、フロート14の上下移動をポテンショメータ58により検出し、該フロート位置に対応した位置になるように、油圧コントロールバルブ35を回動して植付部10の昇降制御が行われる。このように、フロート14の上下移動をポテンショメータ58にて検出することにより、フロート14の接地圧を下げることができ、超軟弱田においても対応することが可能となる。
【0044】また、本実施の形態において、図1に示すように、昇降リンク機構8のリンク基部に、該昇降リンク機構8のリフタ角を検出するポテンショメータ59を設け、このリフタ角が上限値若しくは設定される所定の高さに達したら、前記平板カム30を自動的に昇降制御の固定位置に復帰させるようにしている。
【0045】すなわち、例えばオペレータが、手元操作レバー38の上げ操作に基づき植付部10が上限値に達した場合、平板カム30の位置を強制的に「固定」位置に戻す操作をしないと油圧コントロールバルブ35が上昇し続けるというのでは、操作性の点で課題が残る(例えばリリーフバルブが作動するに至る)。
【0046】そこで、手元操作レバー38を上げ操作して植付部10を上昇させているとき、前記ポテンショメータ59にて昇降リンク機構8のリフタ角を検出し、該リフタ角が上限値を検出したときには、前記カム回動モータ41を強制的に回動させて平板カム30を自動的に固定位置に戻り動作させ(オートリターン)、植付部10の上昇をストップさせるようにした。
【0047】更に、運転操作部には、フロート14の上下位置に対する油圧コントロールバルブ35の位置関係を変える油圧感知切換ボリウム60が設けられている。この油圧感知切換ボリウム60は、圃場の硬度変化に対する油圧感知点の変更を行うものであり、圃場の硬度による植付け深さの影響を抑える役目をなす。
【0048】例えば、フロート14の位置を検出するポテンショメータ58と、油圧コントロールバルブ35の位置を検出するポテンショメータ57とのデータの関係は、DV =a×DF +b(但し、DV は油圧コントロールバルブ35の位置データ、aは係数、DF はフロート位置検出用のポテンショメータ58のデータである)にて求められるが、この場合、圃場の硬度変化に対応した調整機構がないため、圃場硬度が硬い圃場では浅植えとなり、軟らかい圃場では深植えとなる。
【0049】そこで、本実施の形態では、DV =a×(DF +DD )+b(但し、DV は油圧コントロールバルブ35の位置データ、aは係数、DF はフロート位置検出用のポテンショメータ58のデータ、DD は油圧感知切換ボリウム60の位置データである)として位置データを求めることができる。
【0050】更に、ボンネット4内には、スロットル開度(エンジン回転数)を検出するポテンショメータ61が配置されている。そして、フロート14の位置と油圧コントロールバルブ35の関係を変えることで、油圧ポンプの吐出圧の変化によるフロート14の位置と油圧コントロールバルブ35との関係を補正し、油圧昇降のハンチングを抑制するようにしている。
【0051】すなわち、スロットル開度(エンジン回転数)を大きくすると、油圧ポンプの吐出量が増加し、フロート14の位置と油圧コントロールバルブ35の位置との整合性がとれなくなり、ハンチングを起こすおそれがある。
【0052】そこで、本実施の形態においては、DV =a×(DF +DD +DT )+b(但し、DV は油圧コントロールバルブ35の位置データ、aは係数、DF はフロート位置検出用のポテンショメータ58のデータ、DD は油圧感知切換ボリウム60の位置データ、DT はスロットル開度の検出用ポテンショメータ61のデータより求めた補正値である)から位置データを求め、油圧コントロールバルブ35の位置を補正するようにしている。
【0053】また、ステアリングホイール13の近傍には主変速レバー(図示せず)が配置されていて、ステアリングホイール13の下方のステップ面には、主変速レバーが後進にシフトされたことを検出する検出スイッチ62が設けられている。そして、前記フロート14が接地され、かつ植付部10が「下げ」位置、又は「植付」位置にあるときに、前記検出スイッチ62がオンされると、植付部10を強制的に上限位置まで上昇させる。
【0054】すなわち、例えば植付作業時に、畦際にて後退してから回向するときに、植付部10を上昇させなければならないが、主変速レバーが後進にシフトされると自動的に上限位置まで上昇させることで作業性の向上を図ったものである。なお、この植付部10の上昇量は、昇降リンク機構8のリフタ角を検出する前記ポテンショメータ59にて検出される。
【0055】次いで、本実施の形態の作用について説明する。
【0056】乗用田植機1を操作するには、オペレータは座席シート7に座った状態で手動操作レバー17を植付位置に操作すると、植付け作業が可能であり、この状態では制御部39を介してカム回動モータ41が回動し、平板カム30が植付位置に移動する。このとき、図5に示すように、平板カム30はクラッチ操作部30bにカムアーム44のローラ45が嵌入すると共に、融通機構を構成する融通凹部f内にバルブ操作板36のピン36aが位置する。すると、カムアーム44はクラッチロッド47を介して図示しないスプリングを緩める方向に回動し、植付クラッチがその内蔵スプリングにより接続する。
【0057】この場合、前記ピン36aは融通凹部fの両側面に当接しない融通位置にあって、バルブ操作板36は平板カム30に拘束されることなく自由に回動し得る。この状態にあっては、フロート14の土圧感知に基づく上下動が、揺動アーム27を介して、フロート位置ポテンショメータ58により検出され、該検出値に応じてバルブ回動モータ55を回動させる。これにより、モータの回転力が小ギヤ56、扇形ギヤ52、及びプレート49を介して連動アーム48に伝動され、更にスプリング54に基づき該アーム48の一側に当接しているピン36bを介してバルブ操作板36に伝達される。
【0058】従って、走行機体5が沈下してフロート14に作用する土圧が高まり、フロート14の前部が上方に移動すると、バルブ回動モータ55によりバルブ操作板36を介して油圧コントロールバルブ35をアンダーラップ領域において上げ操作し、油圧シリンダ装置19に油圧を供給して植付部10を上昇させる。また反対に、フロート14の前部が下方に移動すると、バルブ回動モータ55によりバルブ操作板36を介して油圧コントロールバルブ35をアンダーラップ領域において下げ操作し、油圧シリンダ装置19の油圧をドレーンして植付部10を下降する。
【0059】そして、フロート14が所定の接地姿勢になると、油圧コントロールバルブ35はアンダーラップ領域において、植付部10をその位置に保持する。従って、乗用田植機1は、植付部10が田面に接地され、かつフロート14に作用する土圧に基づき所定作業位置に自動制御される状態において、植付クラッチが接続して植付部10が駆動し、苗載せ台12が左右往復動すると共にプランタが回動して、苗が一定深さにて田面に植付けられる。
【0060】ところで、本実施の形態では、前記手動操作レバー17が植付位置に操作されている状態(平板カム30が植付位置)にあるときのみ、手元操作レバー38による操作が可能となり、このとき図2に示す手元操作レバー38を、一回上方に操作すると平板カム30は植付クラッチを切操作した「下げ(自動)」位置になり、もう一回上方に操作すると平板カム30は「上げ」位置になる。
【0061】このため、以下、手動操作レバー17を「植付」位置に操作した状態のまま、図2に示す手元操作レバー38により植付部10を操作する場合について説明する。
【0062】手元操作レバー38を一回上方に操作して、平板カム30を「下げ(自動)」位置に操作した状態では、カムアーム44のローラ45は小凸部bを乗り越えて該小凸部bの近傍のランド部cに位置し、またバルブ操作板36のピン36aは依然として融通凹部f内に位置している。すると、カムアーム44は時計方向に回転して、クラッチロッド47を介して植付クラッチを切作動する。また、バルブ操作板36は、「植付」位置にあるときと同様に、自由に動き得る位置にあり、植付部10はフロート14が田面に着地している下降位置にある。
【0063】次に、手元操作レバー38をもう一回上方に操作して、平板カム30を「上げ」位置に操作した状態では、平板カム30の凹部c2 にローラ45が嵌入すると共に、スプリング54に基づき凹部fの一側面f1 にピン36aが当接した状態にあって、平板カム30と一体にバルブ操作板36を回動して、油圧コントロールバルブ35を「上げ」位置に回動・操作する。従って、油圧コントロールバルブ35は圧油を油圧シリンダ装置19に供給して植付部10を上昇する。またこの際、カムアーム44はローラ45が凹部c2 に嵌入して植付クラッチを切位置に維持する。
【0064】そして、植付部10の上昇に伴い昇降リンク機構8が所定量上方向に回動して、そのリフタ角が所定値に達すると該リフタ角がポテンショメータ59により検出され、カム回動モータ41が強制的に回動されて平板カム30が自動的に固定位置に戻される。これにより、例えば圃場において乗用田植機1が枕地に至り、オペレータが手元操作レバー38により平板カム30を上げ位置に操作して、植付部10を上昇させると、植付部10が所定量上昇した状態で、上述したオートリターン装置が機能して、平板カム30は固定位置に自動的に戻されて保持される。
【0065】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、コントロールバルブを操作し得る作動体を制御信号により操作可能としたことにより、該制御信号を発生させるだけの簡単な操作で前記コントロールバルブを制御することができる。
【0066】請求項2記載の発明によれば、前記作動体が電動アクチュエータを有することにより、制御信号を発すると該電動アクチュエータが駆動制御されることとなり、この電動アクチュエータによってコントロールバルブを自動的に制御することができる。
【0067】請求項3記載の発明によれば、前記作動体を手元操作手段の操作により制御可能としたことにより、運転操作部に配置した手元操作手段を操作することで作業部が昇降制御され、操作性の向上を図ることができる。
【0068】請求項4記載の発明によれば、電動アクチュエータをコントロールバルブの近傍に配置したことにより、該電動アクチュエータとコントロールバルブとの間の係合関係の遊びがなくなり制御精度を高めることができる。
【0069】請求項5記載の発明によれば、作業部のリフト量が所定値に達したときは前記作動体を自動的に昇降制御の固定位置に復帰させるようにしたことにより、作業部を予め定められた位置に自動的に停止することができ、作業部を昇降制御するときの操作性を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開平11−266627
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−77958