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【発明の名称】 乗用型田植機
【発明者】 【氏名】宮西 吉秀

【要約】 【課題】端数条植え数が異なっても、畦際クラッチの入り切りを単一の操作で行えるようにして操作の簡単化を図り、植付け作業能率を向上させる。

【解決手段】植付機構の2条分を停止可能な畦際クラッチ17を3個備えた6条植え用の乗用型田植機において、3個の畦際クラッチ17を、連係操作機構Cを介して1個のクラッチ操作具で入切り操作可能に構成する。連係操作機構Cを、クラッチ操作具に連係されて正逆移動可能な1個のカム部材33と、畦際クラッチ17の夫々に連係される3個のカムフォロア32とを、クラッチ操作具38の操作に伴って、6個の植付機構のうちの左右端のものの畦際クラッチ17から順次入り又は切り操作されるように連係配置して構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数条の植付機構のうちの一部を停止させる少数条植え用クラッチを複数備えた乗用型田植機であって、複数の前記少数条植え用クラッチを、連係操作機構を介して単一のクラッチ操作具で入り切り操作可能に構成し、前記連係操作機構を、前記クラッチ操作具に連係されて正逆移動可能な単一のカム部材と、前記少数条植え用クラッチの夫々に連係される複数のカムフォロアとを、前記クラッチ操作具の操作に伴って、複数の前記植付機構のうちの左右端のものの少数条植え用クラッチから順次入り又は切り操作されるように連係配置することによって構成してある乗用型田植機。
【請求項2】 複数の前記カムフォロアを前記カム部材の移動方向に交差する方向に位置ズレさせることにより、これらカム部材の隣合うものどうしを、前記カム部材の移動方向で互いに入り込む状態に配置してある請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】 前記カム部材が回動移動するロータリー式に構成されている請求項1又は2に記載の乗用型田植機。
【請求項4】 リセット操作具の操作により、前記カム部材とカムフォロアとの関係の如何に拘わらずに、複数の前記少数条植え用クラッチの全部を入り状態に戻すリセット機構を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗用型田植機。
【請求項5】 前記カム部材の移動開始から遅れて前記カムフォロアが動き始めるようにする融通部を、前記カム部材の正逆移動方向の双方に設けるとともに、前記融通部における前記カム部材の移動に伴って左右の線引きマーカーの選択操作が行われるように、前記カム部材と前記左右の線引きマーカーとを連係させてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数条の植付機構のうちの一部を停止させる少数条植え用クラッチを備えた乗用型田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】田植機を用いての植付け作業においは、畦際に沿った最後の植付け行程を全条で行うために、その一行程前の植付けを全条より少ない条数で行うことがある。例えば、6条植えの田植機を用いた場合、畦際まであと10条分の植付けを行う必要がある場合、最後の畦際植付け行程を全条(6条)で行うために、その前の植付け行程を4条で行う必要がある。このような場合に、少数条植え用クラッチが使用されるものであり、従来では、少数条植え用クラッチ毎にその操作レバーを設けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の田植機では、例えば、2箇所の少数条植え用クラッチを切る場合には、2個の操作レバーを切り操作するといった具合に、少数条植え用クラッチの数と同じ数の操作が必要となる面倒さがあり、迅速な操作が行い難い点で改善の余地が残されていた。
【0004】本発明の目的は、上記実情に鑑みることにより、少数条植え用クラッチの入り切りを、そのクラッチ操作数が種々に異なっても単一の操作で行えるようにして、少数条植え用クラッチ操作の簡単化を図り、作業能率を向上できるようにする点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、複数条の植付機構のうちの一部を停止させる少数条植え用クラッチを複数備えた乗用型田植機において、複数の少数条植え用クラッチを、連係操作機構を介して単一のクラッチ操作具で入り切り操作可能に構成し、連係操作機構を、クラッチ操作具に連係されて正逆移動可能な単一のカム部材と、少数条植え用クラッチの夫々に連係される複数のカムフォロアとを、クラッチ操作具の操作に伴って、複数の植付機構のうちの左右端のものの少数条植え用クラッチから順次入り又は切り操作されるように連係配置することによって構成してあることを特徴とする。
【0006】第2発明は、第1発明において、複数のカムフォロアをカム部材の移動方向に交差する方向に位置ズレさせることにより、これらカム部材の隣合うものどうしを、カム部材の移動方向で互いに入り込む状態に配置してあることを特徴とする。
【0007】第3発明は、第1及び第2発明において、カム部材が回動移動するロータリー式に構成されていることを特徴とする。
【0008】第4発明は、第1〜第3発明において、リセット操作具の操作により、カム部材とカムフォロアとの関係の如何に拘わらずに、複数の少数条植え用クラッチの全部を入り状態に戻すリセット機構を設けてあることを特徴とする。
【0009】第5発明は、第1〜第4発明において、カム部材の移動開始から遅れてカムフォロアが動き始めるようにする融通部を、カム部材の正逆移動方向の双方に設けるとともに、融通部におけるカム部材の移動に伴って左右の線引きマーカーの選択操作が行われるように、カム部材と左右の線引きマーカーとを連係させてあることを特徴とする。
【0010】〔作用〕請求項1の構成によれば、単一のクラッチ操作具で複数の少数条植え用クラッチを入切り操作できるようになるのであるが、その理由は次のようである。すなわち6条植えのもので説明すると、最後の植付け行程を6条で行うために、一行程前の植付けを全条より少ない条数、例えば4条で行う場合には、既植え側端の植付機構から4条分の少数条植え用クラッチを入りに、かつ、残りの2条分の少数条植え用クラッチを切りにするというように、必ず左右端のものから連続して植付機構を動かすようになる。
【0011】それは、中央4条分の植付機構だけを動かすようにすると、既植え側端の植付機構が既植え条の上を通過して植付け状態を乱す原因になるからである。但し、一行程前の植付け作業での田植機進行方向は、往路も復路もあり得るので、少数条植え用クラッチの入り切りは左右いずれの端からでも行えるようにする必要がある。
【0012】しかして、クラッチ操作具に連動されて正逆移動可能な単一のカム部材と、少数条植え用クラッチの夫々に連動される複数のカムフォロアとを、クラッチ操作具の操作に伴って、複数の植付機構のうちの左右端のものの少数条植え用クラッチから順次入り又は切り操作されるように連係配置されているから、左右端の植付機構から順に少数条植え用クラッチの入り切りが行え、かつ、その操作対象クラッチ数も任意に選択することができるようになる。例えば、右から4条分の植付機構のみを入りにするとか、左から2条分の植付機構のみ入りにするといった具合であり、実情に沿った端数条植え作業を、単一の少数条植え用クラッチ操作で現出させることができる。
【0013】請求項2の構成によれば、複数のカムフォロアをカム部材の移動方向に交差する方向に位置ズレさせ、隣合うものどうしをカム部材移動方向で互いに入り込ませてあるから、位置ズレさせない場合に比べて、複数のカムフォロアの並設幅を狭めることができるから、カム部材の正逆移動幅を少なくして連係操作機構としての幅寸法を小型化することが可能になる。
【0014】請求項3の構成によれば、カム部材が回動移動するロータリー式に構成してあるので、例えば6条植え田植機における4条の端数条植えを行うとすると、右から4条分の少数条植え用クラッチが入りの状態から、左から4条分の少数条植え用クラッチが入りの状態に変更するには、全ての少数条植え用クラッチが入りとなる全クラッチ入り状態を経る場合と、全ての少数条植え用クラッチが切りとなる全クラッチ切り状態を経る場合とのどちらも操作可能になり、操作自由度の大きいものになる。
【0015】請求項4の構成によれば、複数の少数条植え用クラッチの全部を入り状態に戻すリセット機構を設けてあるので、最後の植付け行程の一行程前の端数条植え状態から、最後の全条植え状態に戻すには、リセット操作具を操作するだけで良いようになる。例えば、3個の少数条植え用クラッチのうちの1個を入りとした状態から、全条植え状態に戻すことをクラッチ操作具で行うには、全クラッチ入り、2クラッチ入り、1クラッチ入りといった複数の操作位置のうちの1箇所の操作位置(全クラッチ入り位置)に操作することになり、他の操作位置に間違えるおそれがある。これに対して、本請求項の構成では、単にリセット操作具を操作するだけであり、操作ミスが生じないとともに素早く操作できるようになる点で好ましい。
【0016】請求項5の構成によれば、カム部材の移動開始から遅れてカムフォロアが動き始めるようにする融通部をカム部材の正逆移動方向の双方に設け、融通部におけるカム部材の移動に伴って左右の線引きマーカーの選択操作が行われるようにしてあるから、少数条植え用クラッチのためのカム部材を、マーカー選択手段の構成要素として兼用できるようになる。つまり、カム部材の左右両側に融通部を形成する簡単な改造によって、マーカー選択機構の機能が備わるようになったので、マーカー選択用の専用の操作機構が省略でき、その分構造の簡素化やコストダウンが可能になる。
【0017】〔効果〕請求項1〜5のいずれに記載の乗用型田植機でも、実際の端数条植え状態を正確に把握することに基づいて、複数の少数条植え用クラッチを左右端のものから順次入り又は切り操作されるように構成することにより、少数条植え用クラッチ操作が単一のクラッチ操作具を操作するだけの簡単なもので良いようになり、作業能率を向上させることができた。
【0018】請求項2に記載の乗用型田植機では、上記効果を生じさせるための連係操作機構を、複数カムフォロアの配置工夫によってコンパクト化できる利点がある。
【0019】請求項3に記載の乗用型田植機では、ロータリー式に構成されたカム部材を備えた連係操作機構の採用により、少数条植え用クラッチの操作自由度が大きくなり、使い勝手に優れるようになった。
【0020】請求項4に記載の乗用型田植機では、端数条植え作業の終了に伴う全条植え状態への復帰は、そのときの端数条植えの条数如何に拘わらず、リセット操作具を操作する単一の操作で済み、正確で迅速に少数条植え用クラッチの全部を入り状態に戻せる利点がある。
【0021】請求項5に記載の乗用型田植機では、連係操作機構において左右の融通部を設ける簡単な工夫によって、マーカー選択機構の操作部の機能が兼用でき、装置の合理化が図れる利点がある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】図1〜図5に、本発明による実施形態が示されている。図1に、施肥装置付き乗用型田植機の側面図が示されており、この田植機は、機体前部にエンジン2を搭載した4輪駆動式の走行機体1の後方に、油圧シリンダ3によって駆動される昇降リンク機構4を介して6条植えの苗植付け装置Aを昇降自在に連結するとともに、走行機体1の後部に、粉粒状の肥料を各植付け条ごとに埋設してゆく施肥装置Bが搭載された構造となっている。そして、エンジン動力がミッションケース5を介して前・後輪6,7に伝達されるとともに、ミッションケース5内で分岐された動力がPTO伝動軸8を介して前記苗植付け装置Aに軸伝達され、かつ、PTO伝動軸8からクランク機構9を介して取り出した動力で施肥装置Aが駆動されるようになっている。
【0024】苗植付け装置Aには、昇降リンク機構4の後端に連結される伝動ケース10、横長の角パイプ状に構成された横フレーム11、一定ストロークで往復横移動する苗載台12、横フレーム11から後方に向けて片持ち条に延出された3個の植付けケース13、苗載台12に載置した苗Fをその下端から切り出して植付ける6組の回転式の植付機構14、載置した苗Fを苗載台12下端に向けて縦送りするベルト式の苗縦送り機構15、植付け田面を2条分ずつ整地する3個の整地フロート16、等が備えられており、各植付けケース13の後部左右に前記植付機構14が2組ずつ装備されている。
【0025】図3中に示すように、植付けケース13は、その基部において伝動ケース10から動力を受けて、各植付機構14を駆動するよう構成されるとともに、各植付けケース13の基部入力部には少数条植え用クラッチ17が装備され、この少数条植え用クラッチ17を入り切りすることで、2条単位で植付け作動をオン・オフすることができるようになっている。なお、図示しないが、各少数条植え用クラッチ17はクラッチ入り側にバネ付勢されている。
【0026】図1中に示すように、ベルト式苗縦送り機構15の下端駆動部には、2条単位でベルト駆動を停止する苗縦送りクラッチ18が、少数条植え用の苗縦送り停止手段として備えられており、これもクラッチ入り側にバネ付勢されている。
【0027】図1及び図2に示すように、施肥装置Bは、肥料を貯留する肥料ホッパー21、各条ごとにホッパー下部から設定量ずつ肥料を繰り出す回転ロール式の繰り出し機構22、この繰り出し機構22によって繰り出された肥料を前記整地フロート16に備えた作溝器23にまでホース24を介してエアー搬送するブロワ25、これを駆動する電動モータ26、などを備えており、繰り出し機構22の駆動系には、ロール駆動を2条単位で断続して肥料繰り出しをオン・オフする施肥クラッチ27を、少数条植え用の肥料供給停止手段として備えてある。尚、この施肥クラッチ27もクラッチ入り側にバネ付勢されている。又、図2中の20は、肥料ホッパー21に残留した肥料を排出するための回収用ホースである。
【0028】少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27からは操作ワイヤ28,29,30がそれぞれ延出されて、苗載台12を支える支持フレーム19の上部位置等の苗植付け装置Aの適所に設置した連係操作機構Cに接続されている。尚、図1に仮想線で示すように、連係操作機構Cを、運転席31の下方空間等の走行機体1の適所に設置するようにしても良い。
【0029】図4,図6〜図8に示すように、連係操作機構Cは、操作ワイヤ28,29,30が連結された3個のカムフォロア32、このカムフォロア32を接当操作する単一のカム部材33、このカム部材33をネジ送りにより直線往復駆動する電動モータ34、カム部材33の位置を検出するべく枠体39に取付けられたポテンショメータ40等から構成されている。
【0030】3個のカムフォロア32は、互いに前後に位置ズレした左右向きの支点X回りで天秤揺動自在に枠体39に支承されたフォロア本体32aの先端に、前後向きの軸心Yで回転自在なベアリング32bを枢支して構成されている。カム部材33は、電動モータ34のネジ軸34aに咬合するとともに、凹入した中央1箇所のカム部35と、その左右両横の平面部35a,35aとを備えて略Y字状に形成されている。
【0031】そして、3個のカムフォロア32を、先端のベアリング32bをカム部材33の移動方向に交差する方向である前後方向に位置ズレさせることにより、3個のベアリング32bの隣合うものどうしを、カム部材33の移動方向である左右方向に互いに入り込む状態でカム部35に係入させて配置してある。これによって、3個のカムフォロア32の配置スペースにおける左右幅のコンパクト化に成功している。
【0032】各カムフォロア32がカム部35に係入している中立状態〔図5(イ)又は図7参照〕では、操作ワイヤ28,29,30が弛められて、対応する少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27がオンされ、全条の植付けが可能となる。又、いずれかのカムフォロア32がカム部35から平面部35aに乗り上げられると、操作ワイヤ28,29,30が引かれて、対応する少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27がオフされるようになっている。
【0033】そして、3個のベアリング32bの左右位置が互い異なることにより、カム部35と各カムフォロア32との相対位置関係が夫々異なっており、カム部材33の正逆の移動方向に応じてクラッチ切り順序が異なるようになっている。つまり、全てのカムフォロア32がカム部35に係入して少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27が全てオンされている中立状態では、図4に示すように、中央のカムフォロア32はカム部35の中央に位置し、左右のカムフォロア32はカム部35の左右に偏って係入されている。
【0034】そして、図5(ロ)に示すように、図5(イ)に示す中立状態からカム部材33を、例えば図中右方向に1ピッチ移動させると、右側のカムフォロア32のみがカム部35から平面部35aに乗り上がり、右側2条分の少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27だけがオフになる。カム部材33を図中右方向に更に1ピッチ移動させると、図5(ハ)に示すように、右側と中央のカムフォロア32がカム部35から平面部35aに乗り上がり、これによって、右側2条分と中央2条分の少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27がオフとなる。
【0035】又、図5(ニ)に示すように、中立状態からカム部材33を、図中左方向に1ピッチ移動させると、左側のカムフォロア32のみがカム部35から平面部35aに乗り上がり、左側2条分の少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27だけがオフになり、図5(ホ)に示すように、カム部材33を図中左方向に更に1ピッチ移動させると、左側と中央のカムフォロア32がカム部35から平面部35aに乗り上がり、これによって、左側2条分と中央2条分の少数条植え用クラッチ17、苗縦送りクラッチ18、及び、施肥クラッチ27がオフとなる。
【0036】図3に示すように、カム部材33を駆動する電動モータ34は制御装置36を介して作動制御されるようになっており、運転部の適所、例えば計器パネル37に備えたクラッチ操作具としての操作スイッチ38を右あるいは左に1回オン操作するたびに、カム部材33が所定の方向に1ピッチずつ移動される。このカム部材33をピッチ移動させる手段としては、前述したポテンショメータ40が採られている。
【0037】すなわち、カム部材33とポテンンショメータ40の回動子40aとをロッド連動してあり、各カムフォロア32がカム部35から平面部35aに乗り上がるときの回動子40aとポテンショメータ本体40bとの相対角度位置を予め測定して制御装置36に記憶しておき、その予め定められた角度位置を検出することにより、電動モータ34の駆動を停止するのである。尚、ポテンンショメータ40が各クラッチ切り作動の検出に伴い、計器パネル37に備えたランプ41を点灯して、少数条植え状態にあることを運転者に認識させるよう構成してある。
【0038】以上のように、連係操作機構Cは、操作スイッチ38に連係されて正逆移動可能な単一のカム部材33と、少数条植え用クラッチ17の夫々に連動される3個のカムフォロア32とを、操作スイッチ38の操作に伴って、3組の植付機構14,14のうちの左右端のものの少数条植え用クラッチ17から順次入り又は切り操作されるように連係配置することによって構成してある。
【0039】尚、少数条植え用クラッチ17をクラッチ入り状態に戻すときには電動モータ34の駆動速度を速めて、素早く全条クラッチ入り状態に戻すように制御すれば、苗の植付け跡で生じる圃場空間部分を少なくできて好都合である。
【0040】図9(イ),(ロ)に示すように、操作スイッチ38に代えてリセット機構Dを設けたものでも良い。ポテンショメータ42にロッド連動される回動式の操作ダイヤル(クラッチ操作具の一例)43と、これの中心位置に装備されるリセット操作具44とを設けてリセット機構Dを構成してあり、操作ダイヤル43が、3個の少数条植え用クラッチ17が入りとなる全条入り位置以外の位置にあるときに、リセット操作具44を押し操作すると、操作ダイヤル43が中心の全条入り位置に戻り、全ての少数条植え用クラッチ17を入り状態に戻すのである。
【0041】操作ダイヤル43は、引っ張りバネ49によって操作域中央の全条入り位置に復帰するように付勢された状態で、支持部46に支承されている。リセット操作具44の棒部44aにフランジ45を取付けるとともに、棒部44aを上下移動自在に支持する支持部46上面とフランジ45下面との間に圧縮バネ47を介装し、フランジ45を常時上方に押圧付勢する。フランジ45と操作ダイヤル43との上下間にボール48を挟むことにより、操作ダイヤル43を、引っ張りバネ49の付勢力に抗して、右4条入り位置、右2条入り位置、左4条入り位置、左2条入り位置の各位置、及び全条入り位置の5か所の角度位置に保持するデテント機構50を構成してある。尚、支持部46の一部との係合等により、フランジ45は、棒部44aに軸回り方向には回動不能に構成されている。
【0042】上記構造によるリセット機構Dによれば、操作ダイヤル43を全条入り位置以外の箇所に位置する状態のときにリセット操作具44を単純に押し込み操作すると、フランジ45が下がってデテント機構50が解除状態になり、引っ張りバネ49の復帰付勢力によって自動的に操作ダイヤル43は全条入り位置に戻るのである。
【0043】図10に示すように、カム部材33を、回動移動するロータリー式に構成しても良い。すなわち、平面部35aとカム部35とが交互に3箇所ずつ形成された円盤状にカム部材33を形成してあり、電動モータ34によって正逆いずれの方向にもカム部材33を回転できるようにして連係操作機構Cを構成してある。
【0044】図11〜図14に示すように、カム部材33の移動開始から遅れてカムフォロア32が動き始めるようにする融通部51を、カム部材33の正逆移動方向の双方に設けるとともに、融通部51におけるカム部材33の移動に伴って左右の線引きマーカー52L,52Rの選択操作が行われるように、カム部材33と左右の線引きマーカー52L,52Rとを連係するマーカー選択装置Eを構成すれば好都合である。
【0045】図14に示すように、苗植付け装置Aの左右夫々に、下降揺動して圃場に突入する作用姿勢と、上昇揺動して起立した収納姿勢との切換えが自在に線引きマーカー52L,52Rを装備してあり、苗植付け装置Aの上昇に伴って左右の線引きマーカー52L,52Rを強制的に収納姿勢に姿勢切換えるとともに、運転席31の操縦ハンドル19近傍に設けた軸心Zでの揺動式の選択レバー53の操作により、次に苗植付け装置Aを下降させたときに作用姿勢に切換える線引きマーカー52L又は52Rの選択を行うように構成してある。
【0046】巻きバネ55で下降付勢される各線引きマーカー52L,52Rには操作ワイヤー54L,54Rが連動されるとともに、昇降リンク機構4の付け根付近において左右軸心P5で揺動自在な左右一対の被操作アーム56L,56Rを走行機体1に枢支し、昇降リンク機構4を上昇させると、油圧シリンダ3に形成された作用部3aが各被操作アーム56L,56Rを押圧揺動させることにより、強制的に両線引きマーカー52L,52Rを収納姿勢に切換える。
【0047】そして、線引きマーカー52L,52Rが収納姿勢にあるときに被操作アーム56L,56Rの夫々をその位置で保持するロック具57L,57Rを設けてある。ロック具57L,57Rは上下向きの軸心PL,PRで揺動自在であり、被操作アーム56L,56Rに係合可能なローラ58を備えるとともに、バネ59によって各ロック具57L,57Rを係合側に付勢してある。つまり、苗植付け装置Aの上昇に伴って揺動する被操作アーム56L,56Rがバネ59に抗してロック具57L,57Rを押し退けてローラ58を乗り越えるようになり、そのローラ58によって被操作アーム56L,56Rがロックされる状態が自動的に現出される構造である。
【0048】図11に示すように、ロック具57L,57Rにワイヤ60L,60Rで連動連結された受動アーム61L,61Rを設けるとともに、カム部材33の融通部51に相当する部分の側面にカム突起62L,62Rを夫々形成し、各受動アーム61L,61R先端のローラ61を、カム部材33が全条入りとなる中立状態に位置するときのカム突起62L,62Rの外側(カム部材33移動方向の外側)近傍に位置させて連係操作機構Cを構成してある。そして、電動モータ34と選択レバー53とを制御装置63を介して接続してあり、以上によってマーカー選択装置Eが構成されている。
【0049】例えば、選択レバー53を左位置に操作すると、カム部材33が左側の融通部51分だけ図11中で左方に動くように、ポテンショメータ40の情報を使って電動モータ34の回転方向及び駆動時間が制御され、左ロック具57Lをバネ59の付勢力に抗して解除側に揺動させ、左被操作アーム56Lのロックを解くことによって左線引きマーカー52Lが作用姿勢に切換わるのである。
【0050】なお、本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
(1)カム部材33を直線移動させる手段としては、上記のようにネジ送り機構を用いる他に、ラック・ピニオンによるギヤ送り手段を用いることもできる。
(2)カム部材33を正逆に移動させる手段としては、電動モータを利用する他に、油圧シリンダ、電動シリンダ等どを利用しても良い。
(3)カム部材33に設けるカム部35としては、上記した外形カムの他に、溝カムを利用することもでき、溝カムの場合には正逆の双方向に強制操作力をカムフォロア32に与えることが可能である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−266626
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−77296