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【発明の名称】 苗供給装置
【発明者】 【氏名】大内 久平

【要約】 【課題】苗供給装置に田植機を位置合わせするに起因した弊害(作業能率低下等)を改善すべく、搬出レール先端を田植機に位置合わせできるようにする。

【解決手段】複数の苗を貯留する苗貯留部3と、この苗貯留部3に貯留された苗を田植機等の苗供給対象箇所に向けて搬送可能な搬出レール4と、この搬送機構4先端部の位置を上下及び左右に移動させる位置調節機構28,Cとを備えるとともに、その位置調節機構28,Cを操作する補助操作部40を、田植機T近傍において操作可能となるように、搬出レール4の先端部近くに配備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の苗を貯留する苗貯留部と、この苗貯留部に貯留された苗を苗供給対象箇所に向けて搬送可能な搬送機構と、この搬送機構先端部の位置を上下及び左右に移動させる位置調節機構とを備えるとともに、その位置調節機構を操作する操作部を前記搬送機構の先端部近くに配備してある苗供給装置。
【請求項2】 前記苗貯留部を、苗を左右複数で上下複数段に貯留可能であり、かつ、それら苗を駆動昇降可能な苗昇降機構を備えて構成し、前記苗昇降機構を、苗端を載付け可能な支持部材を複数備えた左右一対の無端回動帯を備え、かつ、左右両端部夫々に苗端を載付け可能な載置部材を複数備えた昇降移動可能なワイヤ部材を、前記一対の無端回動帯の間に配置して構成するとともに、両前記支持部材と前記載置部材とが同調して昇降移動するように、両前記無端回動帯と前記ワイヤ部材とを駆動する駆動手段を備えてある請求項1に記載の苗供給装置。
【請求項3】 前記苗貯留部を、苗を左右複数列で貯留可能に構成するとともに、その苗貯留部の苗列と同数で、かつ、各苗列に対応した位置に配置される複数の苗入口と、これら苗入口から送られてくる苗を合流させて前記搬送機構の始端部に移送する単一の苗出口と、を備えた合流コンベヤを設けてある請求項1又は2に記載の苗供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、畦から圃場の田植機に苗を供給する装置に係り、詳しくは、苗貯留部から出される苗の移動先箇所を、田植機の位置に合わせて位置調節できるように、しかも、その調節操作を田植機側で行えるようにして便利に使えるようにした苗供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の苗供給装置としては、特開平9‐298916号公報に示されたもののように、畦に止めたトラック荷台に苗供給装置を搭載し、そこから延設した搬送レールの先端部を圃場の田植機に位置させることにより、畦から田植機に連続して苗を補給できるようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術による苗供給装置では、搬送レールによって離れた田植機まで苗を搬送できる便利なものであるが、その搬送レール先端位置は、トラック荷台を介して苗供給装置を畦に置いた時点で決まっており、苗補給時には田植機をレール先端位置に合わせて移動させる必要があった。そのため、苗補給時には、一旦苗植付作業における所定の走行ラインから外れる操作が必要になることが多く、作業効率上好ましくないとともに、元の位置に正確に戻れずに、植付け条がズレてしまうおそれもあり、苗供給装置としては改善の余地があった。
【0004】本発明の目的は、上記不都合が生じないように、田植機の位置に合わせて苗供給することができる苗供給装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、複数の苗を貯留する苗貯留部と、この苗貯留部に貯留された苗を苗供給対象箇所に向けて搬送可能な搬送機構と、この搬送機構先端部の位置を上下及び左右に移動させる位置調節機構とを備えるとともに、その位置調節機構を操作する操作部を搬送機構の先端部近くに配備して苗供給装置を構成したことを特徴とする。
【0006】第2発明は、第1発明において、苗貯留部を、苗を左右複数で上下複数段に貯留可能であり、かつ、それら苗を駆動昇降可能な苗昇降機構を備えて構成し、苗昇降機構を、苗端を載付け可能な支持部材を複数備えた左右一対の無端回動帯を備え、かつ、左右両端部夫々に苗端を載付け可能な載置部材を複数備えた昇降移動可能なワイヤ部材を、一対の無端回動帯の間に配置して構成するとともに、両支持部材と載置部材とが同調して昇降移動するように、両無端回動帯とワイヤ部材とを駆動する駆動手段を備えてあることを特徴とする。
【0007】第3発明は、第1又は第2発明において、苗貯留部を、苗を左右複数列で貯留可能に構成するとともに、その苗貯留部の苗列と同数で、かつ、各苗列に対応した位置に配置される複数の苗入口と、これら苗入口から送られてくる苗を合流させて搬送機構の始端部に移送する単一の苗出口と、を備えた合流コンベヤを設けてあることを特徴とする。
【0008】〔作用〕請求項1の構成によれば、貯留部の苗を搬送する搬送機構先端部の位置を、上下及び左右に移動させる位置調節機構を備えてあるから、植付作業中における枕地或いはその近くの作業走行場所で田植機を止めれば、その田植機の位置に搬送機構の先端部を上下左右に位置調節して近づけることができるようになる。故に、田植機を所定の走行ラインから外れる操作が不要になるとともに、元の位置に正確に戻れずに、植付け条がズレてしまうおそれも解消されるようになる。
【0009】又、位置調節機構を操作する操作部を搬送機構の先端部近くに配備してあるから、田植機の操縦者が、田植機に搭乗したまま、或いは田植機からあまり離れることなくその操作部を操作して搬送機構先端部の位置を田植機に位置合わせすることが可能になり、いちいち、畦側にある苗貯留部に出向かなくて良いようになる。これにより、苗貯留部側に別の作業者を要することがなく、田植機側の操縦者1人で苗補給する作業を比較的容易に行えるようになる。
【0010】苗の貯留量を多くするための請求項2の構成によれば、次のような作用がある。すなわち、先に出願した特願平8‐195848号に(特に図4参照)おいて提案したように、苗昇降機構を、苗端を載付け可能な支持部材を複数備えた一対のベルトで構成した場合には、各列毎に一対のベルトが必要であってその幅が大きくなってしまう。
【0011】これに対して本請求項のものでは、一対の無端回動帯の間に、左右両端部夫々に苗端を載付け可能な載置部材を複数備えた昇降移動可能なワイヤ部材を配置し、かつ、両支持部材と載置部材とが同調して昇降移動するようにしてあるから、隣合う苗どうしの間にはワイヤ部材を通す程度の狭い空間が有れば良く、2個の支持部材及び2個のベルト巻回幅の合計長さが必要になる前述した提案構造のものに比べて、苗を並設するための必要スペースを小さくできるようになる。従って、苗列を複数化して貯留苗数を多くした割には苗貯留部の大型化を抑えることが可能である。
【0012】請求項3の構成によれば、各苗列に対応した位置に配置される複数の苗入口と、これら苗入口から送られてくる苗を合流させて搬送機構の始端部に移送する単一の苗出口とを備えた合流コンベヤを用いたので、苗列を複数化して貯留苗数を多くしても、その貯留苗を苗供給対象箇所に移送する搬送機構は単数で済むようになる。
【0013】〔効果〕請求項1〜3のいずれに記載の苗供給装置でも、その搬送機構先端部を田植機側における操作で上下左右に動かすことができ、田植機を圃場において必要以上に移動させることなく苗補給できるようになり、植付作業の妨げや能率低下を招くことがなく、又、少ない作業者で能率良く苗補給できるようになった。
【0014】請求項2に記載の苗供給装置では、苗の中間支持構造にワイヤー部材を用いて昇降させる工夫により、装置の大型化を抑制しながら、複数列かつ複数段搭載によって多くの苗を搭載できるようになり、10条用等の多条植え田植機にも十分に対応できるとか、苗供給装置への苗供給回数を減らせる等、苗補給作業の一層の効率化が可能となる利点がある。
【0015】請求項3に記載の苗供給装置では、入口が複数箇所で、出口が1箇所の合流コンベヤの採用により、苗列を複数化して苗貯留量を多くしながらも、単一の搬送機構で良いようになり、苗搬送対象箇所への搬送機構の位置合わせ操作が1回で済むので能率的な操作が行えるとともに、装置の大型化を抑制できるとか、コストダウンが可能になるといった効果も期待できるようになった。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4に示すように、苗掬い板や育苗箱等の苗受け具1の載置が可能な苗棚(支持部材の一例)2を上下複数段(10段)に備える苗貯留部3と、苗棚2を駆動昇降可能な昇降機構Aと、苗貯留部3の下方から苗受け具1を繰出し可能な搬出機構Bと、苗貯留部3が自走機体に搭載された状態において搬出機構Bによって繰出された苗受け具1を地面上に移送可能な搬出レール(請求項1の搬送機構の一例)4と、苗貯留部3を、これを支える受け台5に対して縦軸心回りで回動可能な旋回機構Cとを備えて苗供給装置を構成してある。尚、昇降機構Aと旋回機構Cとで請求項1の位置調節機構が構成されている。
【0017】先ず、この苗供給装置の使い方を説明すると、苗貯留部3に貯留した苗Wを硬化処理のために育苗施設の舗装されたヤードに並べるとか、補給用の予備苗として枕地に置いて行くといった地面上への地面供給作業が主であり、枕地から田植機に苗補給する苗補給作業も可能である。又、そのために、前もって苗Wの載置された苗受け具1を苗棚2に積込んで行く前処理作業もある。苗受け具1としては、育苗箱や苗掬い板等がある。
【0018】地面供給作業は、図1に示すように、苗供給装置を軽トラックKの荷台N等の別途用意した自走機体に載せた状態で行うものであり、搬出レール4先端を地面に接地させた状態で苗受け具1を排出駆動しながら低速走行することにより、苗受け具1を地面上に連続又は間欠的に置いてゆくことができる。
【0019】苗補給作業は、図2に示すように、軽トラックKを畦に停めて、苗貯留部3を旋回移動させて前後向きから横向きに変え、搬出レール4先端から田植機に苗補給するのである。又、搬出レール4を逆転駆動させるとか、非駆動タイプで搬出レール4を苗貯留部3側が低くなる傾斜として、外部から苗受け具1を苗貯留部3に搬入可能でもある。
【0020】以下に、各部の構造や機能について説明する。
【0021】苗貯留部3は、前後左右の4本の縦支柱6とこれら各縦支柱6どうしを連結する4箇所の横支柱7Aと直線状の連結支柱7Bとからなる枠フレーム7として構成され、各縦支柱6には苗棚2昇降用の昇降チェン8が装備されるとともに、その4箇所の昇降チェン8と、それらを同時駆動するための昇降電動モータ9等から成る昇降機構Aを苗貯留部3の底枠3a部位に配備してある。苗貯留部3の平面視における長手方向で隣合う昇降チェン8,8に亘って断面略L字形状のアングル材を架設することで一方の苗棚2を構成してあり、同構造の他方の苗棚2とに跨がって苗受け具1を、その長手方向両端でもって載置するようにしてある。つまり、6個の苗受け具1が載置できる苗棚2を10段設けてあり、苗貯留部3には合計60枚のマット苗Wを貯留することができる。
【0022】図8,図9に示すように、昇降チェン8のチェンリンク8aの突出折曲げ部分に、姿勢補助板10を介して苗棚2をボルト止めしてある。左右の苗棚2,2が向かい合う載置状態においては、姿勢補助板10が苗棚2より下方に延びることにより、苗受け具1の重みが作用しても苗棚2の載置面2aが傾かないようにしてある。
【0023】昇降機構Aの伝動系を説明する。図4,図5に示すように、昇降チェン8は上下のスプロケット11,12に巻回されており、左右夫々の前後の昇降チェン8,8の下側のスプロケット12,12に跨がる駆動軸13,13夫々にチェン連動機構14,14が装備されている。各チェン連動機構14に駆動スプロケット軸どうしに取付けられた同一のギヤ15,15を咬合させてあり、前後左右の昇降チェン8が同速度かつ同方向に同調駆動するようにしてあるとともに、一方にギヤ15と減速機付きの昇降電動モータ9とをチェン連動させてある。昇降電動モータ9は正逆転駆動可能であり、苗棚2の駆動上昇及び駆動下降が行える。
【0024】昇降電動モータ9の直ぐ上には、昇降機構Aで下降されてきた苗受け具1を受止めて苗棚2の長手方向に移送する搬出機構Bを備えている。すなわち、図10,図11に示すように、左右の支持フレーム16,16と中央の支持板17とによって、回転ローラ18を2列で多数並べて支持し、支持板17上を移動する駆動可能な突起付き搬送チェン19と一対のスプロケット19a,19bのうちの一方のスプロケット19aを駆動する搬出電動モータ20を設けて搬出機構Bを構成してある。つまり、適宜の間隔を空けて搬送チェン19に装備された突起19cが苗受け具1を後押しすることで強制搬送するものである。搬出電動モータ20は正逆転駆動可能であり、苗受け具1の苗貯留部3から外部への搬出、及び外部から苗貯留部3への搬入の双方が可能である。
【0025】図3,図4,図13に示すように、受け台5は、縦向きの支点P回りで苗貯留部3を旋回可能に支持するとともに、軽トラックKの荷台Nに安定載置できるように構成されている。すなわち、前後左右の計4個の支持ローラ22をその回転軸心が90度ずつ異なる状態で支点P回りに配置し、支点Pを有した回転軸23を受け台5と苗貯留部3とに亘って設けるとともに、苗貯留部3側の従動ギヤ37と受け台5に固定された電動モータ部21の駆動ギヤ38とを咬合させることによって旋回機構Cを構成してある。つまり、苗貯留部3を、電動モータ部21によって駆動旋回させることと、手で押しての人為操作によって旋回移動させることとの双方が可能に構成されている。
【0026】受け台5は移動できるようにキャスター輪24を備えており、又、荷台Nにしっかりと支持できるように、荷台Nの左右のあおり板a,a、後部の開閉扉(あおり板の一例)b、及び運転室との隔壁cに対して作用可能な突張り部材25を備えてある。突張り部材25の先端には、スプリング(図示せず)を介して接当ゴム25bを装着してある。つまり、軽トラック荷台Nに搭載するときには、各突張り部材25を延ばしてあおり板a等に密着又は付勢接当させることにより、受け台5を、すなわち苗供給装置を倒れることなく荷台Nに固定できるのである。
【0027】苗貯留部3は、あおり板a及び開閉扉bよりも高い位置で回動できるように、受け台5の高さを設定してあり、図2に示す苗補給作業時に、いちいちあおり板aや開閉扉bを下げ操作しなくても良く、作業能率を向上させてある。又、地面が多少傾斜していても、左右のあおり板aと開閉扉bによって受け台5の滑り移動が阻止され、苗供給装置をしっかりと荷台Nに係止維持した状態で作業できる利点がある。
【0028】図5,図6に示すように、搬出レール4は、左右の支持枠4a,4aを備えて支点Xで苗貯留部3に揺動昇降可能に枢支される本体レール4Aと、この本体レール4Aの先端部に支点Vで枢支される補助レール4Bとで構成されている。未使用時は、図3に示すように、補助レール4Bを本体レール4Aに重なるように揺動格納した状態で本体レール4Aを上昇揺動させて起立した格納状態としておく。使用時は、ウィンチDを作動させて本体レール4Aを揺動下降するとともに補助レール4Bを開き揺動して、図1や図2に示すように延びた作用状態とする。
【0029】補助レール4Bは回転自在なローラ46を複数備えており、苗受け具1は自重によって転動移動するが、レール先端が高くなる上り傾斜状態でも、搬出機構Bの動力で後押しさせて強制移動させることが可能である。そして、補助レール4Bを収納した状態として本体レール4Aのみでの苗移送もできるように、収納状態では本体レール4Aの転動ローラ26が補助レール4Bより上に位置するように設定してある。又、レール本体4Aは、搬出ベルト機構Fと搬出クラッチGとを支持している。
【0030】図6,図7に示すように、転動ローラ26は、左右の支持枠4a,4a夫々に自由回転するように片持ち支持された左右分離型に構成されている。搬出ベルト機構Fは、一対の回転軸61,62夫々に取付けられたスプロケット63,64にゴムベルト65を巻回して構成されるとともに、各回転軸61,62を、、左右一対の支持ステー66,67によって横向き支点Qで揺動可能に支持枠4a,4aに支承してある。そして、前後の支持ステー66,67を連動ロッド68で連結するとともに、一方の支持枠4aに枢支されたクラッチレバー69と、前支持ステー66とをワイヤー70連結してある。
【0031】さらに、駆動側スプロケット63が上昇移動する方向に前支持ステー66を付勢するバネ71を設けるとともに、前支持ステー66の揺動による昇降移動を規制する上下のストッパー72a,72bを設けてある。そして、前回転軸61に装着した従動プーリ73と、搬出機構Bにおける転動スプロケット19bの軸に装備された駆動プーリ74とにベルト75を巻回するとともに、前述したクラッチレバー69先端のテンションローラ69aでベルト75の緊張及び弛緩可能として、ベルトテンション式の搬出クラッチGを構成してある。
【0032】搬出クラッチGの作用を説明すると、苗受け具1が強制搬送されるように搬出レール4を駆動搬送状態とするには、クラッチレバー69を図7において時計回り方向に操作し、テンションローラ69aでベルト75を緊張して伝動状態にする〔図7(イ)の状態〕。すると、ワイヤー70の弛みでバネ71が前支持ステー66を引張り、支持ステー66が上ストッパー72aと接当する迄一対のスプロケット63,64を連動させて支持枠4aに対して揺動上昇させる。この状態では、ゴムベルト65上面が転動ローラ26の頂部よりも僅かに上に突出しており、苗受け具1を、その底面との接触によって強制搬送する状態がもたらされる。
【0033】次に、苗受け具1が重力で自然に移動するように搬出レール4自然搬送状態とするには、クラッチレバー69を図7において反時計回り方向に操作し、テンションローラ69aを退避移動させてベルト75が弛んだ非伝動状態にする〔図7(ロ)の状態〕。すると、ワイヤー70を引張ってバネ71の付勢力に抗して前支持ステー66を下ストッパー72bに接当する迄引張り、一対のスプロケット63,64を連動して支持枠4aに対して揺動下降させる。この状態では、ゴムベルト65上面が転動ローラ26の頂部よりも下方に下がっており、苗受け具1との接触が断たれた状態となる。従って、苗受け具1は自由回転する転動ローラ26による転がりで移動するようになるのである。
【0034】又、転動スプロケット19bの軸には手動操作可能なハンドル76が装備してあり、人為操作で搬出機構Bと搬出ベルト機構Fとを駆動させて苗受け具1を搬出可能としてある。例えば、畦から田植機に苗補給する場合にその人為排出操作状態を用いることができる。
【0035】図1,図2に示すように、搬出レール4の先端に、地面に接触しての転動移動が可能なローラ33を備えてある。左右のローラ33は、支持枠4aに上下揺動可能に枢支され左右のステー34に支承してあり、枢支軸35に取付けた切換レバー36の操作により、ローラ33が搬出レール4よりも下方に位置する転動作用状態と、搬出レール4よりも上方に位置して苗受け具1の搬出レール4からの排出移動を阻止可能な突出作用状態とに切換可能に構成してある。つまり、図1に示すように、軽トラックKを走らせながら地面上に苗受け具1を置いて行く作業のときには、ローラ33を転動作用状態にして接地させる。そして、図2に示すように、圃場の田植機Tに苗補給するときには、ローラ33を突出作用状態にすれば、苗受け具1のストッパーとなる。
【0036】図3,図12に示すように、搬出機構Bによる苗受け具の排出方向下手側となる苗貯留部3の側面(以下、出口側面と略称する)の下部に設けた支点Xに支持枠4a,4aの一端を枢支させ、巻上げモータ部27による2本のワイヤロープ28,28を他端に取り付けてある。各ワイヤーロープ28,28は、出口側面の縦支柱6,6の上部に備えたガイドローラ29と、下部の2種の横向きガイド30a,30bとを用いて巻上げモータ部27に導いてあり、巻上げモータ部27の正逆駆動によって搬出レール4を揺動昇降させるウィンチDを構成する。
【0037】入口及び出口の各側面の横支柱7Aは平面視で略U字状に形成されて、下から2段目の苗棚2と3段目の苗棚との間、及び最上段の苗棚2の直下となる2箇所に取付けてあり、それら上下の横支柱7A,7Aどうしに亘って苗受け具1の落下防止用部材31を架設連結してある。又、入口側面における落下防止用部材31の下端部には、上部に設けた支点Yで揺動可能なドア32を設けてあり、垂下されて下から2段の苗棚2に対する苗受け具1の飛び出しを防止する作用姿勢と、その作用姿勢から約90度上昇揺動して苗受け具1の出し入れが可能となる退避姿勢とに切換え自在である。
【0038】つまり、図3に示すように、搬出レール4を前にして苗供給装置を荷台Nに搭載したような状態(搬出レール4は格納状態である)では、入口側面(荷台後方)のドア32の開閉によって苗受け具1の出し入れが可能である。又、図2に示すように、搬出レール4を作用状態にすれば、出口側面からの苗受け具1の出し入れも可能である。
【0039】ワイヤロープ28による吊り下げ状態では、フック37は、搬送レール4上で移送される苗受け具1を跨ぐように形状設定されている。ワイヤーロープ28は、出口側面の縦支柱6,6の上部に備えたガイドローラ29と、出口側面の反対側である入口側面がわに配置したガイドローラ30とを用いて巻上げモータ部27に導いてあり、巻上げモータ部27の正逆駆動によって搬出レール4を揺動昇降させるようにしてある。
【0040】次に、苗供給装置の操作構造について説明する。苗供給装置で苗供給させるには、前述した4箇所の駆動部、すなわち、昇降機構Aの昇降電動モータ9、搬出機構Bの搬出電動モータ20、旋回機構Cの電動モータ部21、及びウィンチDの巻上げモータ部27を、苗貯留部3の枠フレーム7に取付けた本体操作部39と、搬出レール4の先端部に装備された補助操作部40との夫々で操作自在に構成してある。
【0041】図14に示すように、各モータ及びモータ部9,20,27,21、及び各操作部39,40を制御装置41に接続するとともに、各操作部39,40には、昇降電動モータ9用の第1スイッチ42,42a、搬出電動モータ20用の第2スイッチ43,43a、電動モータ部21用の第3スイッチ44,44a、並びに巻上げモータ部27用の第5スイッチ45,45aが備えてある。補助操作部40は、ワイヤハーネス40aを介して補助レール4B先端部に着脱自在に支持してある。
【0042】実際の苗補給操作としては、本体操作部39の第3スイッチ44と第4スイッチ45を操作して、補助レール4B先端を圃場にて止めた田植機Tに近づけてから、第1スイッチ42や第2スイッチ43を操作して、苗受け具1に搭載された苗Wを順次田植機に向けて繰出すようになる。
【0043】このとき、補助操作部40を設けたことにより、図2に示すように、作業者が補助操作部40を持ってその第3スイッチ44aと第4スイッチ45aを操作して巻上げモータ部27や電動モータ部21を動かして、田植機側に居ながらにして補助レール4B先端を田植機T近傍箇所に位置合わせする操作が行える(図15参照)のである。又、補助操作部40の第1及び第2スイッチ42a,43aを操作して、田植機側に居ながら、補給苗Wの苗貯留部3からの繰出し及び停止操作を行うことも可能である。
【0044】〔別実施形態〕図16〜図19に示すように、苗Wを左右2列で貯留できるようにした苗供給装置でも良い。この場合には、左右両側夫々に苗端を載付け可能な載置部材47を10段備えた昇降移動可能なワイヤ部材48を、一対の昇降チェン(無端回動帯の一例)8,8の間に配置して昇降機構Eを構成するとともに、両苗棚2,2と載置部材47とが同調して昇降移動するように、ワイヤ部材48の巻取り用電動モータ49と昇降電動モータ9とを駆動する同調駆動手段50を制御装置41に備えてある。
【0045】載置部材47は、ワイヤ部材48に均等間隔でカシメや溶接等の手段で取付けられたコマ部材48aに乗ることで持ち上げられるものであり、自由状態では上下のコマ部材48a,48a間でワイヤ部材48に対して移動自在である。従って、苗W(苗受け具1)の載置されない載置部材47は、図17に示すように、ワイヤ部材48が弛むことで下部に溜まっており、比較的上下高さの小さいコンパクトなものとしながら載置部材47を10段装備することに成功している。又、この2列貯留構造では、搬出レール4も工夫してある。
【0046】すなわち、図16に示すように、各苗列に対応した位置に配置される2箇所の苗入口51,51と、これら苗入口51,51から送られてくる苗Wを合流させて搬出レール4の始端部に移送する単一の苗出口52とを備えた合流コンベヤ53を設けてある。つまり、搬出レール4が配置される左苗列に対応した左コンベヤ部53Lは転動ローラ54を直線配置し、右苗列に対応した右コンベヤ部53Rは、転動ローラ55を円弧状に配列するとともに、直線配置の転動ローラを部分的に長いローラ54aとすることにより、左右いずれの苗列の苗Wも単一の搬出レール4で搬送できるようにしてある。苗列が3列以上の苗貯留部3を構成することも可能である。
【0047】又、図20に示すように、苗貯留部3は受け台5に位置固定とし、搬出レール4を縦軸心Zで左右揺動可能に苗貯留部3に支承させた構成としても良い。この場合には、旋回用の電動モータ部21に代えて、左右揺動用モータ(図示せず)を操作するのである。つまり、本体レール4Aを支点Xで支持する基部4Cを、縦軸心Zで枠フレーム7に支承してある。
【0048】補助操作部40としては、搬出レール4側の受信機と手動操作される送信機とから成るリモコン式のもの(エアコンやTV等のリモコンスイッチのような構造)でも良く、送信機をホールドする収納部を搬出レール4の先端部近くに設けておくのである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−266615
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−73977