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【発明の名称】 精密農法
【発明者】 【氏名】喜 多 毅

【氏名】藤 井 昌 之

【氏名】市 場 芳 隆

【要約】 【課題】施肥または防除効率の向上並びに収穫増量などを図ることができると共に、施肥量調節または防除量調節の自動制御化による制御機能の向上及び省力化などを図る。

【解決手段】土壌サンプル(26)の採集並びにサンプル採集位置の特定を自動的に行い、土壌サンプル(26)を分析した土壌データと採集位置を記録した土壌地図(51)を自動的に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土壌サンプルの採集並びにサンプル採集位置の特定を自動的に行い、土壌サンプルを分析した土壌データと採集位置を記録した土壌地図を自動的に形成することを特徴とする精密農法。
【請求項2】 土壌採集位置を特定したサンプルトレイに採集アームから土壌サンプルを自動的に投入させる請求項1に記載の精密農法。
【請求項3】 採集アームに付着する前回の土壌サンプル残留物を採集動作時に自動的に除去する請求項2に記載の精密農法。
【請求項4】 土壌地図に基づいて施肥及び防除量の少なくとも一方を自動的に局地対応制御することを特徴とする請求項1に記載の精密農法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば作物の苗を植付けるとき、または作物成育途中の圃場などに、施肥機または防除機を用いて肥料及び薬剤の散布を行う精密農法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、前回の収穫量または作物成育状況並びに圃場の取水及び排水などを参考にして施肥または防除作業を行っていたから、作業者の経験または記憶による不安定な条件で施肥または防除作業が行われ易く、施肥量調節または防除量調節を狭い範囲に限定して局地的に対応させて適正に行い得ず、施肥または防除が少な過ぎて施肥または防除効率の向上並びに収穫増量などを容易に図り得ず、また施肥または防除が多すぎて環境に悪影響を及ぼす等の問題がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】然るに、本発明は、土壌サンプルの採集並びにサンプル採集位置の特定を自動的に行い、土壌サンプルを分析した土壌データと採集位置を記録した土壌地図を自動的に形成するもので、採集位置を特定して測定される土壌データが土壌地図として記録されることにより、前記土壌地図に基づいて次回の施肥または防除などを行い得、施肥量または防除量の過不足を防止し得、施肥または防除効率の向上並びに収穫増量などを容易に図り得ると共に、施肥量調節または防除量調節の自動制御化による制御機能の向上及び省力化などを容易に図り得るものである。
【0004】また、土壌採集位置を特定したサンプルトレイに採集アームから土壌サンプルを自動的に投入させるもので、圃場での土壌採集と実際の土壌採集位置検出の誤差を少なくして土壌サンプル分析データの信頼性を容易に向上させ得るものである。
【0005】また、採集アームに付着する前回の土壌サンプル残留物を採集動作時に自動的に除去するもので、土壌サンプル分析精度向上並びに土壌サンプル分析データに基づく土壌地図の信頼性向上などを容易に図り得るものである。
【0006】また、土壌地図に基づいて施肥及び防除量の少なくとも一方を自動的に局地対応制御するもので、土壌地図のデータに基づいて狭い範囲に限定して施肥量調節または防除量調節を高精度で行い得、施肥または防除自動制御機能の向上などを容易に図り得るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はサンプル採集作業車の側面図であり、前後走行輪(1)(2)を装設させる走行車(3)上面に、運転席(4)及び操向ハンドル(5)と補助席(6)を配設させ、運転作業者及び補助作業者が各席(4)(6)に座乗して走行移動すると共に、前記走行車(3)後側にリンク機構(7)を介して採集機(8)を昇降自在に装設している。
【0008】また、前記走行車(3)のエンジン動力によって駆動するエンドレス採集チェン(9)と、該チェン(9)を張設支持させるセンターケース(10)と、前記チェン(9)に中間を支持させる採集アーム(11)と、採集アーム(11)に連結させて該アーム(11)先端の採集管(12)を採集姿勢とサンプル放出姿勢に変更させるクランクアーム(13)と、前記センターケース(10)及びクランクアーム(13)を取付けるメインフレーム(14)と、前記リンク機構(7)に連結させるメインフレーム(14)の対地高さを一定維持するゲージホイル(15)と、前記メインフレーム(14)を前後傾斜調節して採集管(12)の土中突入姿勢を調節するハンドル(16)と、前記採集管(12)を突入させる土面の藁及び雑草及び表層土を削取除去する除去ロータ(17)を、前記採集機(8)に備えると共に、前記採集管(12)によって採集した土壌サンプルを入れる採集位置特定可能なサンプルトレイ(18)を採集機(8)に搭載させる。また、図2のように、前記サンプルトレイ(18)は、軟質合成樹脂フィルムを成形加工して多数の採集ポット(19)…を縦横に一体的に連設して形成するもので、採集機(8)に装設させるトレイ載台(図示省略)にサンプルトレイ(18)を縦横に移動自在に装着させ、採集アーム(11)の採集動作と連動させてトレイ(18)を縦横に移動させ、トレイ(18)の各ポット(19)を採集管(12)のサンプル放出位置に自動的に移動させ、採集管(12)の土壌サンプルを採集位置別に各ポット(19)に投入保管させるように構成している。
【0009】さらに、図3に示す如く、前記採集チェン(9)に連結させる支軸(20)を採集アーム(11)に設け、採集アーム(11)の中空部に採集ソレノイド(21)を長孔(22)及び蝶ネジ(23)によって位置調節自在に取付け、採集アーム(11)に出入自在に内挿させる採集管(12)端部を前記ソレノイド(21)に一体固定させ、蝶ネジ(23)によって採集管(12)の土中突入採集深さを調節すると共に、前記ソレノイド(21)のプランジャ(24)に押出ピストン(25)を連結させ、前記ソレノイド(21)制御によって採集筒(12)先端内部で押出ピストン(25)を出入移動させるもので、採集筒(12)先端部が土中に突入したときにピストン(25)が後退して土壌サンプル(26)を取込み、採集筒(12)先端部がトレイ(18)の採集ポット(19)に対向したときにピストン(25)が進出して土壌サンプル(26)をポット(19)内部に投入させ、土壌サンプル(26)をトレイ(18)に自動的に採集するように構成している。
【0010】また、強制的に回転させるブラシ(27)と、送風機(28)から送られる圧縮空気を吹出すノズル(28)を設け、前記ブラシ(27)またはノズル(28)からの空気の一方または両方によって採集筒(12)先端部に付着している前回の採集サンプル残留土を除去すると共に、送水用のポンプ(30)及びバルブ(31)を設けてタンク(32)の水を前記ノズル(28)から吹出させ、採集筒(12)先端部に付着している前回の採集サンプル残留土を水洗除去するように構成している。
【0011】さらに、図4に示す如く、マイクロコンピュータで形成する採集コントローラ(33)を前記走行車(3)に搭載し、前記採集チェン(9)の駆動によって土壌サンプル(26)採集動作を検出する作業センサ(34)と、前記採集筒(12)が土壌サンプル(26)を投入する採集ポット(19)を他のポット(19)と区別するマーキング番号(またはバーコードまたはポット番地)を入力させる採集ポット読取り器(35)と、前記採集チェン(9)速度の変更によって採集筒(12)の土壌サンプル(26)採集間隔を変更させる無段変速制御用採集変速モータ(36)と、前記採集ソレノイド(21)を、前記採集コントローラ(33)に接続させ、採集ポット(19)を特定して採集筒(12)から土壌サンプル(26)を投入させる作業を自動的に連続して行わせるように構成している。
【0012】さらに、GPS(全地球測位システム)衛星からの電波を受信するGPS受信機(37)を採集コントローラ(33)に接続させ、土壌サンプル(26)採集作業位置を高精度で認識すると共に、前記受信機(37)によって検出される採集作業位置、並びに前記読取り器(35)の採集ポット(19)識別入力に基づき、圃場の土壌採集状況を表す採集地図を形成する採集地図作成コントローラ(38)を設け、該コントローラ(38)を採集コントローラ(33)に接続させ、また互換自在な磁気ディスク(39)を装着して採集地図を記録させるもので、図5に示す如く、畦(40)で囲まれた圃場(41)の高位置側の水路(42)の水を取水口(43)から導入し、圃場(41)の水を低位置側の水路(44)に排水口(45)から排出させ、水稲を育成することにより、取水口(43)付近では肥料が不足して収穫する穀粒量が少なくなり易く、また圃場(41)中央部の水溜り部で肥料が多くなり、穀稈量が局部的に多くなったり、穀粒量が局部的に多くなるが、実際の圃場(41)形状に対応した土壌サンプル(26)の採集位置と採集ポット(19)認識の各データがディスク(39)に採集地図として記録されるように構成している。そして、前記土壌サンプル(26)を分析して含有肥料濃度または酸アルカリ度などを検出する土壌分析器を用い、前記トレイ(18)のポット(19)の土壌サンプル(26)を分析し、実際の圃場(41)形状に対応した土壌分析データが表示された図6に示す土壌地図(51)を形成して、前記ディスク(39)に記録させることにより、図6の土壌地図(51)を前記ディスク(39)から読取って次回の施肥または防除(除草など)を行い、圃場(41)全体の収穫増量を図り、かつ肥料または薬剤の無駄な使用を防ぎ、肥培管理を適正に行えるように構成している。
【0013】なお、前記土壌分析器を作業車(3)に搭載し、土壌サンプル(26)を採集し乍ら土壌地図(51)を同時に連続して形成できるが、土壌サンプル(26)採集と土壌サンプル(26)分析を各別に行うこともできる。
【0014】さらに、図7に示す如く、連続番号が付された分離自在な多数の採集ポット(19)…を採集筒(12)に装填させ、採集筒(12)の土中突入によって各ポット(19)に土壌サンプル(26)を直接詰込み、サンプル(26)が詰ったポット(19)をポット容器(52)に分離して取出すことも行えると共に、図1に示す構造に図7の採集筒(12)及び各ポット(19)を付設させ、トレイ(18)の土壌サンプル(26)を各ポット(19)に自動的に取出すことにより、トレイ(18)をエンドレス構造とし、トレイ(18)の交換などを省くことも容易に行える。
【0015】上記から明らかなように、土壌サンプル(26)の採集並びにサンプル採集位置の特定を自動的に行い、土壌サンプル(26)を分析した土壌データと採集位置を記録した土壌地図(51)を自動的に形成し、採集位置を特定して測定される土壌データが土壌地図(51)として記録されることにより、前記土壌地図(51)に基づいて次回の施肥または防除などを行え、施肥量または防除量の過不足を防止し、施肥または防除効率の向上並びに収穫増量などを図ると共に、施肥量調節または防除量調節の自動制御化による制御機能の向上及び省力化などを図るもので、土壌採集位置を特定したサンプルトレイ(18)に採集アーム(11)から土壌サンプル(26)を自動的に投入させ、圃場(41)での土壌採集と実際の土壌採集位置検出の誤差を少なくして土壌サンプル(26)分析データの信頼性を容易に向上させる共に、採集アーム(11)に付着する前回の土壌サンプル(26)残留物を採集動作時に自動的に除去し、土壌サンプル(26)分析精度向上並びに土壌サンプル(26)分析データに基づく土壌地図(51)の信頼性向上などを図り、さらに、サンプルトレイ(18)を土壌分析器(46)に供給して土壌サンプル(26)分析データを採集位置と対応させて自動的に記録させ、圃場の土壌分析精度向上並びに土壌地図(51)の信頼性向上などを図るように構成している。
【0016】さらに、図8は例えば施肥機及び防除機に搭載する散布制御回路図であり、上記ディスク(39)に記録している土壌地図(51)データを入力させる土壌地図読取り機(53)と、圃場(41)内の施肥または防除作業位置を測定入力させるGPS受信機(37)を、マイクロコンピュータで構成する散布コントローラ(54)に接続させる。また、施肥または防除作業を行う粒剤・粉剤散布機(55)の散布モータ(56)を前記コントローラ(54)にドライバ(57)を介して接続させ、GPS受信機(37)入力によって圃場(41)内の施肥または防除作業位置を認識させ、読取り機(53)の土壌地図(51)データに基づき散布モータ(56)の回転数をパルス制御などによって変更し、肥料残量が少ない地点での施肥量を自動的に多くし、肥料残量が多い地点での施肥量を自動的に少なくすると共に、肥料残量が多い地点で、雑草が多くなるから除草剤散布量を多くし、また害虫が多く発生し易いから殺虫剤散布量を多くする一方、肥料残量が少ない地点では前記と逆に除草剤散布量を少なくしたり殺虫剤散布量を少なくする制御などを自動的に行い、粒剤・粉剤を用いた施肥または防除を効率良く行えるように構成している。
【0017】また、液剤タンク(58)の液肥または薬液を薬剤モータ(59)から散布ノズル(60)に送給させる散布バルブ(61)の開閉制御を行うバルブモータ(62)を前記コントローラ(54)にドライバ(63)を介して接続させ、GPS受信機(37)入力によって圃場(41)内の施肥または防除作業位置を認識させ、読取り機(53)の土壌地図(51)データに基づきバルブモータ(62)を正逆転制御して散布バルブ(61)の開閉度を変更し、肥料残量が少ない地点での液肥散布量を自動的に多くし、肥料残量が多い地点での液肥散布量を自動的に少なくすると共に、肥料残量が多い地点で、雑草が多くなるから除草液散布量を多くし、また害虫が多く発生し易いから殺虫液散布量を多くする一方、肥料残量が少ない地点では前記と逆に除草液散布量を少なくしたり殺虫液散布量を少なくする制御などを自動的に行い、液肥または薬液を用いた施肥または防除を効率良く行えるように構成している。
【0018】上記から明らかなように、土壌地図(51)に基づいて施肥及び防除量を自動的に局地対応制御するもので、収穫地図(87)のデータに基づいて狭い範囲に限定して施肥量調節または防除量調節を高精度で行え、施肥または防除自動制御機能の向上などを図れるように構成している。
【0019】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、土壌サンプル(26)の採集並びにサンプル採集位置の特定を自動的に行い、土壌サンプル(26)を分析した土壌データと採集位置を記録した土壌地図(51)を自動的に形成するもので、採集位置を特定して測定される土壌データが土壌地図(51)として記録されることにより、前記土壌地図(51)に基づいて次回の施肥または防除などを行うことができ、施肥量または防除量の過不足を防止でき、施肥または防除効率の向上並びに収穫増量などを容易に図ることができると共に、施肥量調節または防除量調節の自動制御化による制御機能の向上及び省力化などを容易に図ることができるものである。
【0020】また、土壌採集位置を特定したサンプルトレイ(18)に採集アーム(11)から土壌サンプル(26)を自動的に投入させるもので、圃場(41)での土壌採集と実際の土壌採集位置検出の誤差を少なくして土壌サンプル(26)分析データの信頼性を容易に向上させることができるものである。
【0021】また、採集アーム(11)に付着する前回の土壌サンプル(26)残留物を採集動作時に自動的に除去するもので、土壌サンプル(26)分析精度向上並びに土壌サンプル(26)分析データに基づく土壌地図(51)の信頼性向上などを容易に図ることができるものである。
【0022】また、土壌地図(51)に基づいて施肥及び防除量の少なくとも一方を自動的に局地対応制御するもので、土壌地図(51)のデータに基づいて狭い範囲に限定して施肥量調節または防除量調節を高精度で行うことができ、施肥または防除自動制御機能の向上などを容易に図ることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開平11−262310
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−89408