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【発明の名称】 苗植付装置
【発明者】 【氏名】上田 吉弘

【氏名】大内 久平

【要約】 【課題】ロール苗を用いながらも、前述の苗取出し量が少なくなる不都合及び欠株の発生を抑制する。

【解決手段】繰り出しマット苗部分aを載置して苗取出し口12側に送る苗送り装置13と、ロール状に巻き取られたマット苗を一端側から前記苗送り装置13に繰り出し自在に保持する苗保持部とを、前記苗送り装置13の苗のせ部13Aの幅Lをもって前記苗取出し口12に対して苗幅方向に往復移動自在に設け、前記繰り出しマット苗部分aの幅L1を苗のせ部13Aの幅Lに修正する苗幅制御手段を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マット苗を載置して苗取出し口側に送る苗送り装置と、ロール状に巻き取られたマット苗を一端側から前記苗送り装置に繰り出し自在に保持する苗保持部とを、前記苗送り装置の苗のせ部の幅をもって前記苗取出し口に対して苗幅方向に往復移動自在に設けてある苗植付装置であって、前記マット苗の幅を制御する苗幅制御手段を設けてある苗植付装置。
【請求項2】 苗幅制御手段として、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したとき、苗取出し口での苗送り方向での苗取出し長さよりも大なるストロークをもって繰り出しマット苗部分を苗取出し口側に強制送りする苗幅修正手段を設けてある請求項1記載の苗植付装置。
【請求項3】 苗幅制御手段として、繰り出しマット苗部分に、幅を拡げる力を作用させる苗幅修正手段を設けてある請求項1記載の苗植付装置。
【請求項4】 苗幅制御手段として、苗のせ部に対する繰り出しマット苗部分の苗幅方向の移動を規制する苗幅規制手段を設けてある請求項1記載の苗植付装置。
【請求項5】 苗幅規制手段として、苗のせ部の上面に苗送り方向に沿った姿勢で形成した溝と、この溝内に繰り出しマット苗部分の床部を押し込む押し込み具とを備えた手段を設けてある請求項4記載の苗植付装置。
【請求項6】 苗送り装置として、繰り出しマット苗部分の下面に送り力を付与する下面送り手段と、繰り出しマット苗部分の上面に送り力を付与する上面送り手段とを備えたものを設けてある請求項1〜5のいずれか1項に記載の苗植付装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機などに装備される苗植付装置で、詳しくは、マット苗を載置して苗取出し口側に送る苗送り装置と、ロール状に巻き取られたマット苗を一端側から前記苗送り装置に繰り出し自在に保持する苗保持部とを、前記苗送り装置の苗のせ部の幅をもって前記苗取出し口に対して苗幅方向に往復移動自在に設けてあるものに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の苗植付装置では、マット苗として、ロール状に巻き取られたマット苗(以下ロール苗と称する。)を用いるから、ロール苗の長尺化が可能で、一つのロール苗で植え付けることができる面積を大きくでき、その結果、手間、時間の掛かる苗補給回数を少なくできるという利点がある。
【0003】そのような利点を有する苗植付装置として従来では、単純にロール苗を一端側から繰り出して苗取出し口側に供給するようにしたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技術によるときは、次のような欠点があった。すなわち、マット苗をロール状に巻き取ってロール苗を作成する際、マット苗が引っ張られることで苗幅が小さくなることがある。そして、そのような苗幅が小さくなったロール苗を用いると、苗取出し口側に繰り出し供給された際、繰り出しマット苗部分の幅が苗送り装置の苗のせ部の幅よりも自ずと小さなものとなり、繰り出しマット苗部分の幅方向端部と苗のせ部との間に隙間が発生する。そのため、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したときに苗取出し口に供給される苗の幅が小さく、苗取出し口からの苗植付爪による苗取出し量が少なくなるという好ましくない事態が発生する。特に、苗送り装置の往復移動などに伴い繰り出しマット苗が苗のせ部の幅方向一方側に片寄った場合、前記の隙間が大きくなって、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したとき、苗取出し口に苗が供給されないことで苗取出しを行えない事態、つまり、欠株を発生するおそれがある。
【0005】また、ロール苗は、一般に、水耕栽培で不織布を用いて根を張らせることにより作成される。そのようなロール苗では、不織布を用いる関係上、床部が引っ張りに強い。従って、苗植付爪による苗取出し口からの苗取出し時、取り出される苗部分に連なる苗部分を苗取出し口側に引っ張り移動させて、繰り出しマット苗部分の幅方向での位置ずれが発生するおそれがある。このような位置ずれが発生すると、たとえロール苗の幅が苗のせ部の幅と同じであっても、繰り出しマット苗部分の幅方向端部と苗のせ部との間に前述したと同様な隙間が発生するおそれがある。
【0006】本発明の目的は、ロール苗を用いながらも、前述の苗取出し量が少なくなる不都合及び欠株の発生を抑制する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本第1発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0008】〔特徴〕マット苗を載置して苗取出し口側に送る苗送り装置と、ロール状に巻き取られたマット苗を一端側から前記苗送り装置に繰り出し自在に保持する苗保持部とを、前記苗送り装置の苗のせ部の幅をもって前記苗取出し口に対して苗幅方向に往復移動自在に設けてある苗植付装置であって、前記マット苗の幅を制御する苗幅制御手段を設けてある点にある。
【0009】〔作用〕本第1発明によるときは、苗幅制御手段を設けてマット苗の幅を制御するようにしてあるから、巻き取り時に引っ張りで幅が狭くなったロール苗を使用する場合であっても、また、苗取出し口からの苗植付爪による苗取り出しに伴い床部が幅方向に引っ張られる場合であっても、マット苗の幅方向端部と苗のせ部との間に隙間を形成させることがない、或いは、隙間を大きくすることがない。
【0010】〔効果〕従って、本第1発明によれば、ロール苗を使用しながらも、苗送り装置が往復移動端部に位置したときの苗取り出しにおいて、苗取出し量が少なくなることや欠株が発生することを抑制できるようになった。
【0011】請求項2に係る本第2発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0012】〔特徴〕上記本第1発明の特徴において、苗幅制御手段として、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したとき、苗取出し口での苗送り方向での苗取出し長さよりも大なるストロークをもって繰り出しマット苗部分を苗取出し口側に強制送りする苗幅修正手段を設けてある点にある。
【0013】〔作用〕本第2発明によるときは、苗幅制御手段として苗幅修正手段を設けることにより、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したとき、苗取出し口での苗送り方向での苗取出し長さよりも大なるストロークをもって繰り出しマット苗部分を苗取出し口側に強制送りするようにしてあるから、その強制送りにより繰り出しマット苗部分に苗送り方向の圧縮力を作用させて、幅方向への拡大力を発生させることができる。これにより、巻き取り時に幅狭となったロール苗を用いる場合であっても、繰り出しマット苗の幅方向端部と苗のせ部との間に隙間を形成させることがない、或いは、形成させるとしても隙間を小さくすることができる。
【0014】〔効果〕従って、本第2発明によれば、巻き取り時に幅狭となったロール苗を使用する場合であっても、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したときの苗取り出しにおいて、苗取出し量が少なくなることや欠株が発生することを抑制できるようになった。
【0015】請求項3に係る本第3発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0016】〔特徴〕上記本第1発明の特徴において、苗幅制御手段として、繰り出しマット苗部分に、幅を拡げる力を作用させる苗幅修正手段を設けてある点にある。
【0017】〔作用〕本第3発明によるときは、苗幅制御手段として苗幅修正手段を設けることにより、繰り出しマット苗部分に幅を拡げる力を作用させるようにしてあるから、巻き取り時に幅狭となったロール苗を用いる場合であっても、繰り出しマット苗の幅方向端部と苗のせ部との間に隙間を形成させることがない、或いは、形成させるとしても隙間を小さくすることができる。
【0018】〔効果〕従って、本第3発明によれば、巻き取り時に幅狭となったロール苗を使用する場合であっても、苗送り装置が往復移動経路の端部に位置したときの苗取り出しにおいて、苗取出し量が少なくなることや欠株が発生することを抑制できるようになった。
【0019】請求項4に係る本第4発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0020】〔特徴〕上記本第1発明の特徴において、苗幅制御手段として、苗のせ部に対する繰り出しマット苗部分の苗幅方向の移動を規制する苗幅規制手段を設けてある点にある。
【0021】〔作用〕本第4発明によるときは、苗幅制御手段として苗幅規制手段を設けることにより、苗のせ部に対する繰り出しマット苗部分の苗幅方向の移動を規制するようにしてあるから、巻き取り時に幅狭となったロール苗を使用する場合、繰り出しマット苗部分の幅方向一方側への片寄りを防止して、繰り出しマット苗部分の幅方向端部と苗のせ部との間に形成される隙間を大きくすることがなく、他方、苗植付爪で苗取出し口から苗を取り出す際に幅方向で苗取出し口側に引っ張られ易いロール苗を使用する場合、その取り出しに伴う繰り出しマット苗部分の移動を防止して、繰り出しマット苗部分の幅方向端部と苗のせ部との間に隙間が形成されることを防止したり、隙間が大きくなることを防止したりすることができる。
【0022】〔効果〕従って、本第4発明によれば、ロール苗を使用しながらも、苗送り装置が往復移動端部に位置したときの苗取り出しにおいて、苗取出し量が少なくなることや欠株が発生することを抑制できるようになった。
【0023】請求項5に係る本第5発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0024】〔特徴〕上記本第4発明の特徴において、苗幅規制手段として、苗のせ部の上面に苗送り方向に沿った姿勢で形成した溝と、この溝内に繰り出しマット苗部分の床部を押し込む押し込み具とを備えた手段を設けてある点にある。
【0025】〔作用〕本第5発明によるときは、苗のせ部の上面に苗送り方向に沿った姿勢で形成した溝内に押し込み具により繰り出しマット苗部分の床部を押し込むようにしてあるから、溝とこの溝に押し込まれた床部分との係合により、より一層、繰り出しマット苗部分の移動規制を確実に行える。
【0026】〔効果〕従って、本第5発明によれば、巻き取り時に幅狭となったロール苗を使用する場合の繰り出しマット苗部分の幅方向一方側への片寄りの防止や、苗植付爪で苗取出し口から苗を取り出す際に幅方向で苗取出し口側に引っ張られ易いロール苗を使用する場合のその取り出しに伴う繰り出しマット苗部分の移動の防止をより一層確実に行えるようになった。
【0027】請求項6に係る本第6発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0028】〔特徴〕上記本第1発明や本第2発明、本第3発明、本第4発明、本第5発明の特徴において、苗送り装置として、繰り出しマット苗部分の下面に送り力を付与する下面送り手段と、繰り出しマット苗部分の上面に送り力を付与する上面送り手段とを備えたものを設けてある点にある。
【0029】〔作用〕本第6発明によるときは、繰り出しマット苗部分の下面と上面とに送り力を付与して繰り出しマット苗部分を送るから、繰り出しマット苗部分の送りを確実化、安定化できる。
【0030】〔効果〕従って、本第6発明によれば、繰り出しマット苗部分の送り性能を向上できるようになった。
【0031】
【発明の実施の形態】乗用型田植機は、図1に示すように、自走機体1の後部にリンク機構2及び油圧シリンダ利用の昇降シリンダ3を介して苗植付装置4を昇降操作自在に連結し、施肥装置を設けて構成されている。
【0032】前記自走機体1は、左右一対の操舵用の駆動前輪5と左右一対の駆動後輪6とを備えた機体フレーム7に、原動部8と搭乗運転部9とを搭載して構成されており、駆動前輪5は、走行・植付ミッションケース10を介して機体フレーム7に支持されており、駆動後輪6は、車軸ケース11を介して機体フレーム7に支持されている。
【0033】前記苗植付装置4は、図2、図3にも示すように、6条植え式のものであって、左右方向に設定間隔を隔てて形成した6つの苗取出し口12側に対応するマット苗Aを載置して送る苗送り装置13と、ロール状に巻き取ったマット苗Aを一端側から苗送り装置13に繰り出し自在にかつ苗送り装置13上に載置させる状態に保持する苗保持部14とを、前記苗送り装置13の苗のせ部13Aの幅L(図5参照)をもって前記苗取出し口12に対して苗幅方向(左右方向)に往復移動自在に設け、苗のせ部13Aの移動に連動して各苗取出し口12と植付予定箇所との間で苗植付爪15を循環作動させることにより苗取出し口12から植付単位量のマット苗部分を取り出して植付予定箇所に植え付ける回転式の植付機構16を設け、走行に伴い泥面上を滑走して植付予定箇所を整地する接地フロート17を設けて構成されている。前記苗送り装置13は、往復駆動移動されるものである。
【0034】前記苗取出し口12は、リンク機構2を介して自走機体1に昇降自在に連結させた植付フレーム18に固着されていて苗送り装置13を介して繰り出し供給されてくる繰り出しマット苗部分aの下端部を左右方向に摺動自在に支持する摺動レール19に形成されている。
【0035】前記苗送り装置13は、前記各マット苗A及び繰り出しマット苗部分aを載置支持する後ろ下がり姿勢の前記苗のせ部13Aを左右に並べて形成する苗のせ台20を左右方向に往復移動自在に植付フレーム18に取り付け、図4にも示すように、各苗のせ部13Aに、苗のせ面の一部を形成するとともに苗のせ部13Aが往復移動経路の端部に位置する毎に駆動されてマット苗Aからの苗繰り出しと繰り出しマット苗部分aの送りとを行う苗送りベルト21を一対ずつ設けて構成されている。前記苗送りベルト21は、図2に示すように、下部の駆動輪体22と、傾斜上方にスプリング(図示せず)を介して移動付勢されたテンション輪体23とにわたって巻き掛けられている。また、この苗送りベルト21を駆動する手段は、常時回転軸24を設け、この常時回転軸24の両端部のそれぞれに操作アーム25を一体回転状態に取り付け、駆動輪体22を駆動するための軸22Aの両端に、苗のせ部13Aが往復移動経路の端部に位置したとき前記操作アーム25に押圧されて付勢に抗して待機位置から設定量揺動操作される作動アーム26を、その付勢に抗した揺動力を前記軸22Aに一方向クラッチ(図示せず)を介して伝達する状態に設けることにより、苗のせ部13Aが往復移動経路の端部に位置する毎に、操作アーム25で作動アーム26を揺動させて駆動輪体22を設定量送り方向に回転させるように構成されている。
【0036】前記苗保持部14は、各マット苗Aを繰り出し自在に支持するアーム14Aを苗のせ台20に左右向き軸芯P周りに揺動自在に取り付けて構成されている。つまり、マット苗Aの重量でアーム14Aを下方に揺動付勢して、マット苗Aを自重で苗のせ部13Aに載置させるようになっている。なお、アーム14Aの長さは、マット苗Aを苗送りベルト21上に載置させる長さに設定されている。
【0037】前記施肥装置は、図1に示すように、自走機体1に装備させた繰り出し装置付きの肥料ホッパー50と、苗植付装置4に装着されて走行に伴い施肥用の溝を圃場面に形成するとともに供給されてくる肥料を溝内に投入する作溝器51と、肥料ホッパー50から繰り出された肥料をホース52を介して作溝器51に送る気流を発生させる供給ファン53と、この供給ファン53を駆動する電動モータ54とを備えている。
【0038】そして、苗植付装置4は、図5に示すように、巻き取り時の引っ張り力で幅L1が苗のせ部13Aの幅Lよりも小さくなったマット苗Aを植付対象とするものであって、マット苗Aの幅L1を制御する苗幅制御手段を備えている。
【0039】前記苗幅制御手段は、図5に示すように、繰り出しマット苗部分aの幅L1を苗のせ部13Aの幅Lに拡大修正する苗幅修正手段であって、具体的には、苗送り装置13が往復移動経路の端部に位置したとき、前記苗取出し口12での苗送り方向での苗取出し長さLaよりも大なるストロークをもって繰り出しマット苗部分aを苗取出し口12側に強制送りする手段である。つまり、苗送りベルト21を大なるストロークで回動させる手段である。27は苗の浮き上がりを防止するステーである。
【0040】上記の構成によれば、苗送り装置13が往復移動経路の端部に位置したとき、大なるストロークで苗取出し口12側に強制送りされるから、その強制送りされた繰り出しマット苗部分aが送り方向で圧縮力を受けて幅方向に拡がることで、繰り出しマット苗部分aの幅L1が、苗のせ部13の幅L又はそれに近い値に修正される。その結果、強制送りされた繰り出しマット苗部分aの幅方向両端と苗のせ部13との間には隙間が形成されない、或いは、形成されるとしても小さな隙間で済み、その結果、苗送り装置13が往復移動経路の端部に位置したときの苗植付爪15による苗取出し口12からの苗取出し量が減少することをなくす、或いは、少なくすることができる。
【0041】〔別実施形態〕マット苗Aとしては、水耕栽培により不織布に根絡みさせて作成したものがあり、このマット苗Aは引っ張りに強くて、苗植付爪15で苗取出し口12から繰り出しマット苗部分aを取り出す際、その取り出す繰り出しマット苗部分aに幅方向で連なる部分が苗取出し口12側に引っ張られる。
【0042】上記の点に着目して、苗幅制御手段として、苗のせ部13Aに対する繰り出しマット苗部分aの苗幅方向の移動を規制する苗幅規制手段を設けたものであり、苗幅規制手段の具体例としては、次の〔イ〕〔ロ〕を挙げることができる。
【0043】〔イ〕図6の(イ)(ロ)(ハ)に示すように、左右向き軸芯P1周りでの一体揺動により、繰り出しマット苗部分aの床部上面を押さえつけて繰り出しマット苗部分aの苗のせ部13Aに対する幅方向移動を阻止する作用姿勢と、押さえつけを解除して繰り出しマット苗部分aの送りを許容する解除姿勢とに切り換え自在でスプリング28により作用姿勢に揺動付勢された複数の押さえステー29を苗のせ台20に取り付け、苗のせ部13Aが往復移動経路の端部に位置して苗送りベルト21が回動するとき、つまり、苗送りが行われるとき、前記押さえステー29を解除姿勢に切り換えるとともに他のときは作用姿勢に切り換え保持するカム機構30を設けたものである。カム機構30は、上下に揺動することにより押さえステー29を姿勢切り換えする作動アーム31を設け、苗送り装置13の苗送りに連動して1回転することにより作動アーム31を1往復揺動させるように駆動輪体22の軸22Aにギヤ対32L,32Sを介して連動するカム33を設けて構成されている。
【0044】〔ロ〕図7の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示すように、苗のせ部13Aの上面に苗送り方向に沿った姿勢の複数の溝34を左右方向に間隔を隔てて形成し、左右向き軸芯P2周りに上下揺動自在でスプリング35を介して下方に揺動付勢されることにより繰り出しマット苗部分aの床部上面を押さえつけて前記溝34内に床部を押し込む押し込み具36を設けて構成したものである。前記押し込み具36は、苗送りに伴い回転する回転ディスクである。また、前記溝34は、(ハ)に示すように底のないスリットであっても良く、(ニ)に示すように底のある凹部であっても良い。
【0045】このように苗幅制御手段として苗幅規制手段を設けた場合には、苗植付爪15による苗取出し口12からの苗取出しに伴い繰り出しマット苗部分aが苗取出し口12側に引っ張られようとするが、それが阻止されるため、繰り出しマット苗部分aの幅方向両端と苗のせ部13Aとの間の隙間が大きくなることが防止される。また、苗のせ部13Aの往復移動に伴う繰り出しマット苗部分aの苗のせ部13Aに対する幅方向移動も阻止されるため、繰り出しマット苗部分aが一端側に片寄って繰り出しマット苗部分aの幅方向他端と苗のせ部13Aとの間の隙間が大きくなることが防止され、その結果、苗送り装置13が往復移動経路の端部に位置したときの苗植付爪15による苗取出し口12からの苗取出し量が減少することをなくす、或いは、少なくすることができる。
【0046】上記実施の形態では、苗幅修正手段として、苗送り装置13による送りのストロークを大きくすることにより繰り出しマット苗部分aを送り方向で圧縮して、繰り出しマット苗部分aの幅を拡げるようにする手段を示したが、苗幅修正手段としては、次の〔ハ〕〔ニ〕で述べるものであっても良い。
【0047】〔ハ〕上記実施の形態において、図8の(イ)(ロ)に示すように、ステー27を左右向き軸芯P3周りでの上下揺動により下方の押さえ姿勢と上方の解除姿勢とに切り換わるように設け、上記別実施形態の〔イ〕で示したカム機構30及びスプリング(図示せず)を設けて、苗のせ部13Aが往復移動経路の端部に位置して苗送りベルト21が回動するとき、つまり、苗送りが行われるとき、前記ステー27を解除姿勢に切り換えるとともに他のときは押さえ姿勢に切り換え保持するように構成し、ステー27に、解除姿勢から押さえ姿勢への切り換え揺動に伴い繰り出しマット苗部分aの床部を押さえつける状態で弾性変形しつつ左右両側に拡がることにより繰り出しマット苗部分aに幅を拡げる力を作用させるスプリング利用の左右対の拡幅具37を設け、もって、苗送り装置13が往復移動経路の端部に位置したときの苗送りを許容する状態で繰り出しマット苗部分aの幅を拡げるようにしたものである。
【0048】〔ニ〕上記別実施形態において、図9に示すように、拡幅具37に代えて、ステー27の解除姿勢から押さえ姿勢への切り換え揺動に伴い繰り出しマット苗部分aの床部を押さえつける状態でステー27周りにつるまきバネ38の付勢力に抗して左右外方に揺動することにより繰り出しマット苗部分aに幅を拡げる力を作用させる拡幅カム39を設け、もって、苗送り装置13が往復移動経路の端部に位置したときの苗送りを許容する状態で繰り出しマット苗部分aの幅を拡げるようにしたものである。
【0049】上記実施の形態では、苗送り装置13として、繰り出しマット苗部分aの下面に送り力を付与することで苗送りを行う下面送り手段としての苗送りベルト21のみによって繰り出しマット苗部分aを送るようにしたが、図10の(イ)(ロ)に示すように、繰り出しマット苗部分aの床部上面にスプリング40の弾性力で押しつけられた状態で回転することにより繰り出しマット苗部分aの上面に送り力を付与する上面送り手段の一例である左右複数の送りディスク41を併設して、苗送りを行うようにしても良い。前記送りディスク41を駆動する手段は、前記苗送りベルト21に対するテンション輪体23の回転力を取り出す一対のギヤ42a,42bを設け、取り出した動力を中間伝動軸43に伝達する第1巻き掛け伝動体44を設け、中間伝動軸43の回転力を送りディスク41の駆動軸45に伝達する第2巻き掛け伝動体46を設けて、送りディスク41を苗送りベルト21と同期駆動するように構成されている。第1巻き掛け伝動体44及び第2巻き掛け伝動体46は伝動チェーンや伝動ベルトである。この場合、左右に並置する複数の送りディスク41が繰り出しマット苗部分aの床部の上面を押しつけるから、これら送りディスク41が前述した苗幅規制手段としても機能する。
【0050】上記実施の形態では、一つの苗のせ部13Aに対して一つの苗保持部14を設けて実施したが、図11に示すように、一つの苗のせ部13Aに対して複数の苗保持部14を苗送り方向に併設して実施しても良い。
【0051】上記実施の形態では、一つの苗保持部14に一つのマット苗Aを保持させるようにして実施したが、図12に示すように、一つの苗保持部14に複数のマット苗Aを苗送り方向に並ぶ状態に保持させるようにして実施しても良い。
【0052】上記実施の形態では、下面送り手段21として、繰り出しマット苗部分aを載置して送る苗送りベルトを示したが、下面送り手段21としては、繰り出しマット苗部分aの床部の下面に係止して回転することで繰り出しマット苗部分aを送る回転体であっても良い。
【0053】上記実施の形態では6条植え式の苗植付装置4を示したが、本発明は各種植付け条の苗植付装置4に適用することができる。
【0054】苗幅修正手段や苗幅規制手段の構造は適宜変更可能である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−243729
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−52179