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【発明の名称】 ミッドマウント型の施肥装置付き田植機
【発明者】 【氏名】高尾 裕

【氏名】園田 義昭

【氏名】中村 正一

【氏名】中川 善清

【氏名】松村 哲也

【氏名】坂野 倫祥

【要約】 【課題】ミッドマウント型の施肥装置付き田植機において、作業効率並びに機体の安定性の低下を招くことなく、苗植付装置の昇降操作の際に苗植付装置が施肥装置のホッパに接触する虞を解消できるようにしながらも、田植機としての小型軽量化及び製造コストの低減化を図れるようにする。

【解決手段】走行機体1の後部に昇降リンク機構2を介して苗植付装置3を昇降自在に連結するとともに、走行機体1における運転座席4の後方箇所に施肥装置5を搭載してあるミッドマウント型の施肥装置付き田植機において、施肥装置5における肥料貯留用のホッパ18を、その左右両側部18L,18Rが運転座席4の側方に回り込む形状に形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付装置を昇降自在に連結するとともに、前記走行機体における運転座席の後方箇所に施肥装置を搭載してあるミッドマウント型の施肥装置付き田植機であって、前記施肥装置における肥料貯留用のホッパを、その左右両側部が前記運転座席の側方に回り込む形状に形成してあるミッドマウント型の施肥装置付き田植機。
【請求項2】 前記運転座席と前記ホッパの左右両側部との間に操作レバー配設空間を設けてある請求項1記載のミッドマウント型の施肥装置付き田植機。
【請求項3】 前記ホッパを、前記運転座席の直後方に位置する中央の第一貯留部と、前記運転座席の直後方から外れた位置に位置する左右の第二貯留部とに区画形成するとともに、それら第一貯留部と第二貯留部の各容量が略同一になるように設定してある請求項1又は2記載のミッドマウント型の施肥装置付き田植機。
【請求項4】 前記左右の各第二貯留部は二条用の貯留空間を有するように形成し、かつ、前記中央の第一貯留部には一条用の貯留空間を有する左右の貯留部分を区画形成してある請求項3記載のミッドマウント型の施肥装置付き田植機。
【請求項5】 前記左右の各第二貯留部と、前記中央の第一貯留部における左右の貯留部分のそれぞれに、一条施肥仕様と二条施肥仕様とに仕様変更可能な繰出機構を連設してある請求項4記載のミッドマウント型の施肥装置付き田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付装置を昇降自在に連結するとともに、前記走行機体における運転座席の後方箇所に施肥装置を搭載してあるミッドマウント型の施肥装置付き田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなミッドマウント型の施肥装置付き田植機において、施肥装置の上部に配備されるホッパは、その容量を確保するために、走行機体における運転座席の後方箇所において前後幅が一律に広くなるように形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術のように運転座席の後方箇所においてホッパの前後幅を一律に広くすると、走行機体と昇降リンク機構の連結点を支点にした苗植付装置の昇降操作の際に、そのホッパに苗植付装置が接触する虞がある。そこで上述のようなミッドマウント型の施肥装置付き田植機においては、その虞を解消するために、昇降リンク機構として、運転座席の後方箇所に施肥装置を搭載しない他の田植機のものよりも長さの長いものを採用して、走行機体と苗植付装置の離間距離を大きくするようにしているのであるが、この場合、走行機体と苗植付装置の離間距離を大きくする分だけ、田植機全体としての前後長さが長くなって田植機の大型化を招くとともに、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダとして大型のものを採用する必要が生じることから、田植機の小型軽量化及び製造コストの低減化を図る上において改善の余地があった。
【0004】ちなみに、ホッパとして前後幅の狭いものを採用することによって、走行機体と苗植付装置の離間距離を大きくすることなく、苗植付装置の昇降操作の際に、苗植付装置が施肥装置のホッパに接触する虞を解消することも考えられるが、この場合には、ホッパの前後幅を狭くする分だけその容量も小さくなることから、植え付け作業中におけるホッパに対する肥料補給回数が多くなって作業効率の低下を招くようになる。又、作業効率の低下を回避するために、ホッパとして縦長のものを採用して容量の増大を図ることも考えられるが、この場合には、その分だけ機体の重心位置が高くなって機体の安定性が低下するようになる。しかも、その安定性の低下は、ホッパ内の肥料が満杯に近いほど顕著になる。
【0005】本発明の目的は、ミッドマウント型の施肥装置付き田植機において、作業効率並びに機体の安定性の低下を招くことなく、苗植付装置の昇降操作の際に苗植付装置が施肥装置のホッパに接触する虞を解消できるようにしながらも、田植機としての小型軽量化及び製造コストの低減化を図れるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、走行機体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付装置を昇降自在に連結するとともに、前記走行機体における運転座席の後方箇所に施肥装置を搭載してあるミッドマウント型の施肥装置付き田植機において、前記施肥装置における肥料貯留用のホッパを、その左右両側部が前記運転座席の側方に回り込む形状に形成した。
【0007】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、肥料貯留用のホッパを、その左右両側部が運転座席の側方に回り込む形状に形成することによって、運転座席の直後方に位置するホッパ中央部の前後幅を狭くして、ホッパの全体を運転座席側に寄せるようにしながらも、その分、運転座席の左右両側後方に位置するホッパ左右両側部の前後幅を前方側に広くした状態にできるので、ホッパ全体としての容量を小さくすることなく、施肥装置を運転座席側に寄せた状態にすることができるようになる。これによって、昇降リンク機構として、走行機体における運転座席の後方箇所に施肥装置を搭載しない他の田植機のものよりも長さの長いものを採用しなくても、苗植付装置の昇降操作の際に苗植付装置が施肥装置のホッパに接触する虞を解消できることから、田植機全体としての前後長さや重量が大きくなることを回避できるようになり、又、昇降リンク機構として長さの長いものを採用する場合に比較して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダとして軽量で安価な小型のものを採用することができるようになり、もって、走行機体と苗植付装置の間に施肥装置が配備されるミッドマウント型のものでありながら、苗植付装置の昇降操作の際に苗植付装置が施肥装置のホッパに接触する虞を解消できる上に、田植機の小型軽量化並びに製造コストの低減化を図れるようになる。
【0008】しかも、ホッパを、その左右両側部が運転座席の側方に回り込む形状に形成して、その容量を確保するようにしていることによって、ホッパとして縦長のものを採用しなくても、植え付け作業中にホッパに対する肥料の補給回数が多くなることを回避できるので、ホッパに対する肥料の補給回数が多くなることに起因した作業効率の低下を阻止できるとともに、作業効率の低下を阻止するためにホッパとして縦長のものを採用した場合に生じる、機体の重心位置が高くなって機体の安定性が低下する、といった不都合も回避できるようになる。
【0009】〔効果〕従って、走行機体と苗植付装置の間に施肥装置が配備されるミッドマウント型の施肥装置付き田植機において、作業効率並びに機体の安定性の低下を招くことなく、苗植付装置の昇降操作の際に苗植付装置が施肥装置のホッパに接触する虞を解消できる上に、田植機としての小型軽量化及び製造コストの低減化を図れるようになった。
【0010】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記運転座席と前記ホッパの左右両側部との間に操作レバー配設空間を設けた。
【0011】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、運転座席とホッパの左右両側部との間に操作レバー配設空間を設けることによって、ホッパの左右両側部が、本来より運転座席の側方に配備されるようになっている操作レバーの配置や操作に支障を来すようになることを防止でき、これによって、操作レバーの配置に新たな工夫を凝らすといった手間や、操作レバーの操作が行い難くなるといった不都合が生じることを阻止できるので、製作及び操作性の面において有利にすることができるようになる。
【0012】〔効果〕従って、ミッドマウント型の施肥装置付き田植機としての小型軽量化及び製造コストの低減化を図れる上に、その製作及び操作レバーの操作性の面において有利にできるようになった。
【0013】本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、前記ホッパを、前記運転座席の直後方に位置する中央の第一貯留部と、前記運転座席の直後方から外れた位置に位置する左右の第二貯留部とに区画形成するとともに、それら第一貯留部と第二貯留部の各容量が略同一になるように設定した。
【0014】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、ホッパを、中央の第一貯留部とそれよりも前後幅が大きくなる左右の第二貯留部とに区画形成しながらも、それら第一貯留部と第二貯留部の各容量を略同一にしていることによって、植え付け作業時に各貯留部から略同量ずつの肥料を圃場に供給するものにおいては、植え付け作業時における各貯留部からの肥料の減少率を略同じにすることができるので、各貯留部の肥料の減少にかかわらず、機体の左右バランスを安定状態に維持できるようになる。又、各貯留部に対する肥料補給タイミングを極力遅くした状態で略一致させることができ、これによって、肥料補給のための作業中断回数をより効果的に少なくすることができるので、作業効率の向上を図れるようになる。
【0015】〔効果〕従って、ミッドマウント型の施肥装置付き田植機としての小型軽量化及び製造コストの低減化を図れる上に、植え付け作業時における機体の安定性の向上、並びに、作業効率の向上を図れるようになった。
【0016】本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の発明において、前記左右の各第二貯留部は二条用の貯留空間を有するように形成し、かつ、前記中央の第一貯留部には一条用の貯留空間を有する左右の貯留部分を区画形成した。
【0017】〔作用〕上記請求項4記載の発明によると、中央の第一貯留部と左右の第二貯留部の各容量を略同一にする上において、左右の第二貯留部よりも前後幅が狭くなることによって左右の第二貯留部よりも左右幅が広くなる中央の第一貯留部は、その内部に一条用の貯留空間を有する左右の貯留部分を区画形成することによって、その左右幅を、その底部から肥料を円滑に流出させる上で好適な安息角を形成するのに適した寸法に分割することができるようになる。一方、中央の第一貯留部よりも前後幅が広くなる左右の第二貯留部は、それぞれ二条用の貯留空間を有するように形成することによって、その左右幅を、その底部から肥料を円滑に流出させる上で好適な安息角を形成するのに適した寸法にすることができるようになる。これらの点から、貯留部の左右幅が長くなり過ぎることによって、安息角を形成する際に貯留部の容量を確保することが難しくなるといった不都合が生じることを回避できるようになる。
【0018】〔効果〕従って、各貯留部に好適な安息角を形成しながらも各貯留部の容量を容易に確保することができる貯留面で優れた六条植え用のミッドマウント型の施肥装置付き田植機を提供し得るに至った。
【0019】本発明のうちの請求項5記載の発明では、上記請求項4記載の発明において、前記左右の第二貯留部と、前記中央の第一貯留部における左右の貯留部分のそれぞれに、一条施肥仕様と二条施肥仕様とに仕様変更可能な繰出機構を連設した。
【0020】〔作用〕上記請求項5記載の発明によると、二条用の貯留空間を有するように形成した左右の第二貯留部と、中央の第一貯留部において一条用の貯留空間を有するように形成した左右の貯留部分のそれぞれに対して、一条施肥仕様と二条施肥仕様とに仕様変更した同型の繰出機構を連設するようにしていることから、構成の大幅に異なる一条施肥専用の繰出機構と二条施肥専用の繰出機構とをそれぞれ用意する場合に比較して、製造コストの低減化を図れるようになる。
【0021】〔効果〕従って、前記請求項4記載の発明において得られた効果に加えて、製造コストの低減化を図れるようになった。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】図1にはミッドマウント型の施肥装置付き田植機の全体側面が、又、図2にはミッドマウント型の施肥装置付き田植機の全体平面がそれぞれ示されており、この田植機は、乗用型に構成された走行機体1の後部に昇降リンク機構2を介して苗植付装置3を昇降自在に連結するとともに、走行機体1における運転座席4の後方箇所に施肥装置5を搭載することによって構成されている。
【0024】走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6、エンジン6からの動力が伝達される変速装置7、変速装置7を経由した動力が伝達される左右一対の前輪8と後輪9、前輪8に連係されたステアリングホイール10、及び、運転座席4、などによって構成されている。尚、図2に示す符号11は、走行機体1の前部左右に装備された予備苗載台12から苗植付装置3への苗補給や、施肥装置5に対する肥料補給を行い易くするために、走行機体1の左右両側部に連結装備されたワイドステップである。
【0025】苗植付装置3は、変速装置7を経由した変速後の動力が伝達されるギヤ式伝動機構(図示せず)を内装したフィードケース13、ギヤ式伝動機構を経由した動力が伝達されるチェーン式伝動機構(図示せず)を内装した三基の植付伝動ケース14、チェーン式伝動機構を経由した動力により植え付け作動を行うように各植付伝動ケース14の後部左右両側に軸支されたロータリ式の植付機構15、ギヤ式伝動機構からの動力により各植付機構15に対して所定のストロークで往復横移動する苗載台16、及び、各植付機構15による苗植え付け箇所に対して前もって整地作用を施す三基の整地フロート17、などによって構成されている。苗載台16は、六条分の苗載置面Aが左右方向に並列に区画形成されたものであり、各苗載置面16Aの下部には、苗載台16がストローク端に到達するごとに所定ピッチで載置苗を縦送りする縦送り機構16Bが、又、各苗載置面16Aの上部には、各苗載置面16Aを延長するための引き出し式の延長苗載台16Cが装備されている。
【0026】図1〜5に示すように、施肥装置5は、肥料貯留用のホッパ18、ホッパ18内の肥料を所定量ずつ繰り出す四基の繰出機構19、各整地フロート17の左右にそれぞれ装着された作溝器20、各繰出機構19と対応する作溝器20とを連通接続する供給ホース21、各繰出機構19から繰り出された肥料を各供給ホース21を介して各作溝器20に向けて圧送するブロワ22、及び、ブロワ22を駆動する電動モータ23、などによって構成されるとともに、走行機体1に装着された支持フレーム24によって支持されており、各繰出機構19とブロワ22を駆動させることによって施肥作動を行うようになっている。
【0027】ホッパ18は、一条用の貯留空間S1を有するように区画形成された二つの貯留部分18aを左右に連設してなる第一貯留部18Aの左右に、二条用の貯留空間S2を有するように区画形成された第二貯留部18Bを、それらの各後端位置を揃える状態で連設するとともに、それらの貯留部18A,18Bに亘る単一の蓋体18Cを、後支点X周りに開閉揺動自在に備えることによって構成されている。第一貯留部18Aは、第二貯留部18Bよりも前後幅が狭くなるように形成されている。つまり、ホッパ18は、その前部中央箇所が凹入する平面視コの字状に形成されており、これによって、走行機体1における運転座席4の後方箇所に、その左右両側部18L,18Rとなる第二貯留部18Bを運転座席4の側方に回り込ませた状態で配設することができるようになっている。
【0028】この構成から、走行機体1における運転座席4の後方箇所に施肥装置5を搭載する際には、運転座席4の直後方に位置する第一貯留部18Aの前後幅を狭くしていることによってホッパ18の全体を運転座席4側に寄せることができ、又、第一貯留部18Aの前後幅を狭くしている分、運転座席4の左右両側後方に位置する各第二貯留部18Bの前後幅を前方側に広くした状態にしているので、ホッパ18全体としての容量を小さくすることなく、施肥装置5を運転座席4側に寄せた状態にすることができるようになっている。これによって、昇降リンク機構2として長さの長いものを採用しなくても、苗植付装置3の昇降操作の際に苗植付装置3の苗載台16などが施肥装置5のホッパ18に接触する虞を解消できるようになっており、又、それによって、昇降リンク機構2として長さの長いものを採用する場合に比較して、苗植付装置3を昇降駆動する油圧シリンダ2Aとして小型のものを採用できるようになっており、もって、走行機体1と苗植付装置3の間に施肥装置5が配備されるミッドマウント型のものでありながら、苗植付装置3の昇降操作の際に苗植付装置3が施肥装置5のホッパ18に接触する虞を解消できる上に、田植機の小型軽量化並びに製造コストの低減化を図れるようになっている。
【0029】更に、ホッパ18を、その第一貯留部18Aの前後幅を狭くしてホッパ18の全体を運転座席4側に寄せる代わりに、その各第二貯留部18Bを運転座席4の側方に回り込む形状に拡張形成することによって、その容量を確保するようにしていることから、植え付け作業中にホッパ18に対する肥料の補給回数が多くなることを回避できるようになり、もって、ホッパ18に対する肥料の補給回数が多くなることに起因した作業効率の低下を阻止できるようになる。又、例えば、作業効率の低下を阻止するためにホッパ18として縦長のものを採用した場合に生じる、機体の重心位置が高くなって機体の安定性が低下する、といった不都合もを回避できるようになっている。
【0030】しかも、ホッパ18を、前後幅の狭い中央の第一貯留部18Aと、それよりも前後幅が広くなる左右の第二貯留部18Bとに区画形成しながらも、それら第一貯留部18Aと第二貯留部18Bの各容量を略同一(二条分の貯留量)にしていることによって、植え付け作業時に各貯留部18A,18Bから略同量(所定量×2)ずつの肥料を圃場に供給する上において、植え付け作業時における各貯留部18A,18Bからの肥料の減少率を略同じにすることができるので、各貯留部18A,18Bの肥料の減少にかかわらず、機体の左右バランスを安定状態に維持できるようになっている。又、各貯留部18A,18Bに対する肥料補給タイミングを極力遅くした状態で略一致させることができ、これによって、肥料補給のための作業中断回数をより効果的に少なくすることができるので、作業効率の向上を図れるようになっている。
【0031】その上、図2〜4に示すように、左右の第二貯留部18Bよりも前後幅が狭くなることによって左右の第二貯留部18Bよりも左右幅が広くなる中央の第一貯留部18Aには、その内部に一条用の貯留空間S1を有する左右の貯留部分18aを区画形成することによって、その左右幅を、その底部から肥料を円滑に流出させる上で好適な安息角を形成するのに適した寸法に分割することができ、又、中央の第一貯留部18Aよりも前後幅が広くなる左右の第二貯留部18Bのそれぞれは二条用の貯留空間S2を有するように形成することによって、その左右幅を、その底部から肥料を円滑に流出させる上で好適な安息角を形成するのに適した寸法にできることから、各貯留部18A,18Bの左右幅が長くなり過ぎることによって、安息角を形成する際に各貯留部18A,18Bの容量を確保することが難しくなるといった不都合が生じることを回避できるようになっている。
【0032】図2及び図4に示すように、運転座席4とホッパ18の左右両側部18L,18Rである各第二貯留部18Bとの間には操作レバー配設空間S3が設けられており、これによって、左右の各第二貯留部18Bが、運転座席4の側方に配備される各操作レバー25〜28の配置や操作に支障を来すようになることを防止できるようになっている。つまり、ホッパ18を、左右の各第二貯留部18Bが運転座席4の側方に回り込む形状に形成することによって、各操作レバー25〜28の配置に新たな工夫を凝らすといった手間や、各操作レバー25〜28の操作が行い難くなるといった不都合が生じることを阻止できるようになっている。
【0033】尚、運転座席4の側方に配備される各操作レバー25〜28のうち、運転座席4の右側方に配備される単一の操作レバー25は、苗植付装置3の昇降操作や、苗植付装置3の作動切り換え操作、及び、次工程の走行基準線を圃場泥面に形成する左右の線引きマーカ29(図2参照)の選択倒伏操作(左右いずれか一方の線引きマーカ29を選択して非作用姿勢から作用姿勢に切り換える操作)を行うためのもの(いわゆる植付クラッチレバー)であり、図示は省略するが、苗植付装置3を昇降駆動する油圧シリンダ2Aに対する作動油の流動状態を切り換える制御バルブ(図示せず)、苗植付装置3への伝動状態を切り換える植付クラッチ(図示せず)、及び、左右の線引きマーカ29の非作用姿勢(起立姿勢)での保持を解除する左右の保持解除操作具(図示せず)に連係されている。一方、運転座席4の左側方に配備される三本の操作レバー26〜28は、それぞれ、それらの操作位置を「入」位置と「切」位置とに切り換えることによって苗植付装置3による苗植え付け条数を二条単位で変更するためのもの(いわゆる各条クラッチレバー)であり、図示は省略するが、対応する植付伝動ケース14に内装された各条クラッチ(図示せず)、及び、苗載台16における対応する苗載置面16Aの縦送り機構16Bに制動作用する縦送り停止機構(図示せず)、などに連係されている。
【0034】図3及び図5〜8に示すように、各繰出機構19は、ホッパ18に連設されるとともに支持フレーム24に支持される上部ケース30Aと上部ケース30Aに連設される下部ケース30Bとからなる繰出ケース30、繰出ケース30における上部ケース30Aと下部ケース30Bの接続箇所において横軸芯周りに回転自在に支持された駆動軸31、駆動軸31に一体回転可能かつ着脱自在に外嵌装着される繰出ロール32、上部ケース30Aの繰出ロール32上方箇所において抜き差し自在に装備されたシャッタ33、などによって構成されており、駆動軸31に、変速装置7からの変速後の動力が、植付クラッチよりも伝動下手側に配設された動力分配機構34、及び、動力分配機構34から駆動軸31に亘る伝動機構35を介して伝達されることによって、苗植付装置3の植え付け動作に連動して所定量ずつの肥料をホッパー18から繰り出すようになっている。
【0035】各繰出ケース30の上部ケース30Aには、その上部に連設されるホッパー18の第二貯留部18B内又は貯留部分18a内の余剰肥料を外部に排出する残肥排出ホース36が接続される単一の残肥排出用の第一排出口30aが形成されている。一方、各繰出ケース30の下部ケース30Bには、ブロワ22からの風を案内する給気パイプ37に接続される左右一対の導風口30b、及び、対応する供給ホース21が接続される左右一対の施肥用の第二排出口30cが形成されている。第一排出口30aには、第一排出口30aを閉塞する施肥状態と、第一排出口30aを開口する残肥排出状態とに切り換え可能な開閉弁30dが装備されている。尚、残肥排出時には、植付クラッチの切り状態が現出されることによって繰出機構19は苗植付装置3とともに作動を停止するようになっている。
【0036】図6〜8に示すように、各繰出ロール32は、駆動軸31にキー連結される三種類のロール体32A〜32Cを左右に並設することによって構成されている。各ロール体32A〜32Cには、各ロール体32A〜32Cによる肥料繰り出し量が異なるように容量設定された肥料繰り出し用の凹部32a〜32cが一定ピッチで複数形成されている。一方、各繰出ケース30は、二個の繰出ロール32を左右に並設可能に形成されるとともに、上部ケース30Aの下部には、二個の繰出ロール32が左右に並設された際に六個の各ロール体32A〜32Cに対応する状態となる六つの開口30eが形成されている。又、六つの開口30eは、それらに対応する各シャッタ33の抜き差し操作によって独立開閉自在となっている。そして、四基の繰出機構19のうち、左右の第二貯留部18Bに連設される左右の繰出機構19は、図7に示すように、各繰出ケース30内に二個の繰出ロール32(六個のロール体32A〜32C)が左右に並設されることによって、第二貯留部18B内の肥料を左右の各第二排出口30cに向けて左右二列に所定量ずつ繰り出すように設定されている。一方、中央の第一貯留部18Aの各貯留部分18aに連設される二個の繰出機構19は、図8に示すように、各繰出ケース30内に単一の繰出ロール32(三個のロール体32A〜32C)とスペーサ38が左右に並設されるとともに、スペーサ38の上方に位置する三つの開口30eが対応する各シャッタ33により閉塞されることによって、第二貯留部18B内の肥料を左右いずれか一方の第二排出口30cに向けて所定量ずつ繰り出すように設定されている。
【0037】つまり、各繰出機構19は、一条施肥仕様と二条施肥仕様とに仕様変更可能に構成されており、もって、構成の大幅に異なる一条施肥専用の繰出機構と二条施肥専用の繰出機構とをそれぞれ用意する場合に比較して、製造コストの低減化を図れるようになっている。又、製造コストの低減化を図りながらも、各繰出ロール32に対応する三つの開口30eの開閉状態をシャッタ33の抜き差し操作により変更することによって、肥料繰り出し量を調節できるようになっている。
【0038】尚、図7及び図8における符号39は、各繰出機構19の最右端に位置するロール体32A又は32Cの右側部に配設されることによって、最右端のロール体32A又は32Cに肥料繰り出し用の各凹部32a〜32cを形成するフランジである。又、スペーサ38及びフランジ39は、繰出機構19に装着された際に各ロール体32A〜32Cの左右方向へのガタ付きを阻止するように寸法設定されている。
【0039】図1,図3及び図5〜8に示すように、伝動機構35は、動力分配機構34における左右の出力軸34aに位相が異なる状態で一体回転可能となるように装着される左右一対の回転アーム40、各回転アーム40の遊端に一端が枢支連結される左右の連係ロッド41、各連係ロッド41の他端が連結される連結アーム42Aを備えた左右のワンウェイクラッチ42、左右のワンウェイクラッチ42が外嵌されるとともに各繰出機構19の繰出ケース30に横軸芯周りに回転可能に横架された伝動軸43、及び、伝動軸43と各繰出機構19の駆動軸31とに亘って設けられた四基の施肥クラッチ44、などによって構成されており、動力分配機構34において分配された変速装置7からの変速後の動力による回転アーム40の回転運動が、一旦、連係ロッド41を介して連結アーム42Aの揺動運動に変換された後、ワンウェイクラッチ42を介して伝動軸43の間歇回転運動に変換されることによって、伝動軸43に施肥クラッチ44を介して伝動連結される駆動軸31が間歇的に回転駆動され、もって、各繰出ロール32による肥料の繰り出しを間歇的に行えるようになっている。又、連係ロッド41と連結アーム42Aの連結位置を調節できるようになっており、この調節によって、連結アーム42Aの揺動操作角を変更することができ、もって、各繰出機構19による肥料繰り出し量の微調節を行えるようになっている。
【0040】図5,図7及び図8に示すように、各施肥クラッチ44は、各繰出機構19の駆動軸31に一体形成されたギヤ31Aに噛合するとともに伝動軸43に対して相対回転自在となるようにカラー45を介して伝動軸43に外嵌装着された噛合爪46A付きのクラッチギヤ46、伝動軸43に一体回転可能かつ相対摺動自在に外嵌装着された噛合爪47A付きのシフタ47、クラッチギヤ46の噛合爪46Aとシフタ47の噛合爪47Aとが噛合するようにシフタ47を付勢するコイルバネ48、などによって構成されるとともに、各シフタ47が、操作アーム49及び操作ワイヤ50を介して、運転座席4の左側方に配備される三本の操作レバー26〜28(図2及び図4参照)のうちの対応するものに連係されている。つまり、運転座席4の左側方に配備される三本の操作レバー26〜28のうち、左側の操作レバー26を「切」位置に操作することによって、苗植付装置3における左側二条分の植え付け作動を停止させることができるとともに、施肥装置5における左側二条分の施肥作動を停止させることができ、又、左側の操作レバー26とともに中央の操作レバー27を「切」位置に操作することによって、苗植付装置3における左側四条分の植え付け作動を停止させることができるとともに、施肥装置5における左側四条分の施肥作動を停止させることができるようになっている。一方、右側の操作レバー28を「切」位置に操作することによって、苗植付装置3における右側二条分の植え付け作動を停止させることができるとともに、施肥装置5における右側二条分の施肥作動を停止させることができ、又、右側の操作レバー28とともに中央の操作レバー27を「切」位置に操作することによって、苗植付装置3における右側四条分の植え付け作動を停止させることができるとともに、施肥装置5における右側四条分の施肥作動を停止させることができるようになっている。
【0041】尚、図3における符号51は、ホッパ18の第一貯留部18Aに連設される各繰出機構19の繰出ケース30に形成された施肥用の左右の第二排出口30cのうち、供給ホース21が接続されない側の第二排出口30cを閉塞するキャップである。
【0042】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ 施肥装置付き田植機としては、四条植え用の苗植付装置3と四条施肥用の施肥装置5とを備えた四条植え用のものや、五条植え用の苗植付装置3と五条施肥用の施肥装置5とを備えた五条植え用のもの、あるいは、八条植え用の苗植付装置3と八条施肥用の施肥装置5とを備えた八条植え用のもの、などであってもよい。
■ ホッパ18としては、第一貯留部18Aの各貯留部分18aと第二貯留部18Bとが一体的に区画形成された単一のケーシングで構成されたものや、第一貯留部18Aと第二貯留部18Bとが一体的に区画形成されたケーシングの第一貯留部18Aに仕切壁を設けて各貯留部分18aを形成するように構成されたもの、あるいは、独立形成された第一貯留部18Aと第二貯留部18Bとを連設するとともに、第一貯留部18Aに仕切壁を設けて各貯留部分18aを形成するように構成されたもの、などであってもよい。
■ ホッパ18としては、第一貯留部18Aと第二貯留部18Bの各容量が異なるように設定されたものであってもよい。
■ 第一貯留部18Aとしては、左右の貯留部分18aが区画形成されないものや、三つの貯留部分18aが区画形成されたもの、などであってもよい。
■ 第二貯留部18Bとしては、一条用の貯留空間S1を有するように区画形成されたものであってもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−243721
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−49395