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【発明の名称】 堆肥散布機
【発明者】 【氏名】小野寺 紀之

【氏名】昆 明彦

【要約】 【課題】操作が簡単であり操作手順に注意を払わなくても、遮蔽板や押出板の破損を未然に防止することができるようにする。

【解決手段】牽引される機枠1上に設けられた荷箱と、この荷箱の後方に設けられた散布装置9と、散布装置9の前方で荷箱の後方に設けられた堆肥のこぼれ落ち防止用の遮蔽板24と、遮蔽板24を昇降させる昇降装置11(油圧シリンダ28)と、荷箱内の堆肥を後方に押し出すための押出板7と、この押出板7を後方に押出駆動する移動装置8(第1、第2、第3の油圧シリンダ39,40,42)とを備え、昇降装置11と移動装置8とを連動して駆動する連動駆動手段と、昇降装置11により遮蔽板24が上昇させられた状態を維持する維持手段と、押出板7が遮蔽板24の可動範囲に侵入している間において維持手段を作動させる切換手段とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トラクター等の牽引車により牽引される機枠上に設けられた荷箱と、この荷箱の後方に設けられた散布装置と、上記散布装置の前方で荷箱の後方に設けられた堆肥のこぼれ落ち防止用の遮蔽板と、遮蔽板を昇降させる昇降装置と、上記荷箱内の堆肥を後方に押し出すための押出板と、この押出板を後方に押出駆動する移動装置とを備えた堆肥散布機であって、上記昇降装置と上記移動装置とを連動して駆動する連動駆動手段と、上記昇降装置により上記遮蔽板が上昇させられた状態を維持する維持手段と、上記押出板が上記遮蔽板の可動範囲に侵入している間において上記維持手段を作動させる切換手段とを備えたことを特徴とする堆肥散布機。
【請求項2】 上記昇降装置が油圧シリンダを含み、上記移動装置が油圧シリンダを含み、上記連動駆動手段が上記各油圧シリンダを連通する油圧回路を含み、上記維持手段が上記昇降装置の油圧シリンダに連通する油圧回路に介装された開閉弁からなり、上記切換手段が、上記開閉弁の弁手段に連結され開閉弁を開閉するレバーと、上記押出板側に取り付けられ上記レバーに当接して上記開閉弁を閉じる方向に回動させる係合板とを有している請求項1記載の堆肥散布機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷箱内に積載された堆肥を圃場まで運搬し、圃場内で打ちほぐしながら均一に薄く散布する堆肥散布機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の堆肥散布機としては、実公平7−11号公報に記載されたものがある。
【0003】実公平7−11号公報に記載された堆肥散布機は、走行輪を有しトラクターにより牽引される機枠上に設けられた荷箱と、当該荷箱の床面に設置されたスラットコンベアと、当該スラットコンベアー及び荷箱の後方に設けられた散布装置と、散布装置から堆肥がこぼれ落ちることを防止するために設けられ、上記散布装置の前方で荷箱の後方に設けられた遮蔽板とを備えて概略構成されている。
【0004】このものにおいて、荷箱に積載された堆肥を圃場に散布する場合には上記遮蔽板を油圧シリンダを伸長させて上方に移動させトラクターの回転動力をPTO軸を介して散布装置に伝達し、散布装置を回転駆動し、次いでトラクターの回転動力をスラットコンベアーに伝達してスラットコンベアを走行駆動させ、スラットコンベアー上に積載された荷箱内の堆肥を散布装置側に搬送させ、散布装置により圃場に均一にかる薄く散布する。そして、荷箱内の堆肥がすべて散布し終えたら、上記油圧シリンダを縮退駆動して上記遮蔽板を下降させ、荷箱内に堆肥を積載可能な状態とする。
【0005】一方、本願出願人は、堆肥散布機に関し以下のような発明をなし、本願出願よりも前に特許出願している(特願平9−179610号参照)。
【0006】この特願平9−179610号に記載された堆肥散布機は、台車に設けられた荷箱と、荷箱の後端に設けれた散布装置と、上記荷箱の前端に設けられた堆肥押出装置(油圧シリンダー)と、この堆肥押出装置により移動駆動される押出板とを主たる構成とするものである。
【0007】このものにおいて、荷箱内に積載された堆肥を圃場に散布する場合にはトラクターの回転動力をPTO軸を介して上記散布装置に伝達し散布装置を回転駆動させ、次いでトラクターに搭載された油圧発生装置からの油圧を堆肥押出装置の油圧シリンダに供給し、これにより堆肥押出装置の一部である押出板を荷箱の前方から後方に向けて押出駆動し堆肥を押出し、上記散布装置により圃場に均一にかつ薄く散布する。そして、荷箱内の堆肥がすべて散布し終えたら、油圧発生装置の切換弁を操作して供給方向を反転して上記油圧シリンダを縮退駆動して、押出板を荷箱前方に引き戻すと、荷箱内に堆肥を積載可能な状態となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特願平9−179610号に記載された堆肥散布機に、実公平7−11のような堆肥のこぼれ落ち防止用の油圧駆動される遮蔽板を設けようとすると以下のような解決すべき課題が生ずる。
【0009】(1)トラクターに2系統の油圧取出口が装備されているものにおいては、1系統を堆肥押出装置の油圧シリンダに連結し、残りの1系統を遮蔽板の昇降用のシリンダに連結し、堆肥押出装置の連結系統に装備された切換弁を操作することにより堆肥押出装置の押出板を後方に向けて押し出したり、前方に引き戻したりすることができるとともに、遮蔽板の昇降装置の連結系に装備された切換弁を操作することにより遮蔽板を昇降させることができる。
【0010】しかしながら、遮蔽板を上昇させる前に堆肥押出装置の切換弁を操作すると、押出板により押し出される堆肥によって遮蔽板が後方に無理に押されて遮蔽板を破損してしまうおそれがある。
【0011】さらに、押出板が最も押し出された位置にあるときに遮蔽板の昇降装置の切換弁を操作して遮蔽板を下降させると、遮蔽板が押出板に衝突して、これらを破損するおそれがある。
【0012】このように、堆肥押出装置と遮蔽板の昇降装置とに設けられた2つの切換弁を操作する操作手順を適正に行わないと部品の破損事故につながるので、操作手順について注意を払わなければならないとともに、切換弁を操作する際に押出板及び遮蔽板の位置を確認する必要があり、切換弁の操作が繁雑になる。
【0013】(2)トラクタに1系統の油圧取出口が装備されているものにおいては、油圧取出口から堆肥押出装置と遮蔽板の昇降装置とに油圧を分配して供給することになるが、この場合、切換弁を操作すると堆肥押出装置及び遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダのいずれにも油圧が供給され、荷箱内の堆肥による抵抗が大きい堆肥押出装置が作動する前に、堆肥を押し出す作動力よりも小さな作動力で作動する遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダに向けて作動油が流れ、当該油圧シリンダが最大伸長状態となってから堆肥押出装置の油圧シリンダに作動油が供給されて押出板が後方に向けて押し出されることになる。
【0014】また、荷箱内の堆肥をすべて散布し押出板を引き戻すべく切換弁を操作すると堆肥による抵抗がなくなった押出板の操作力が遮蔽板の下降力よりも小さくなるので、押出板が遮蔽板の回動領域に入っているにもかかわらず、遮蔽板は下降し、押出板に当接して、これらを破損するおそれがある。
【0015】このような押出板と遮蔽板との当接を防止するためには、遮蔽板の昇降装置の油圧回路内に停止弁を介在させ、遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダが最大伸長状態に達した時点で停止弁を切換作動させて当該油圧シリンダへの油圧回路を閉塞し、これにより遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダをロックして遮蔽板の下降を防止する方法がある。このものでは押出板が散布装置に最も近接し堆肥散布が完了し時点で、堆肥押出装置の切換弁を操作して堆肥押出装置の油圧シリンダへの作動油の供給を反転切り換えて押出板を前方に引き戻し、引戻終了後に上記停止弁を操作して遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダへの油圧回路を開放し遮蔽板を下降させることとなる。
【0016】しかしながら、遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダが最も伸長した時点で当該油圧シリンダへの油圧回路を閉塞するように上記停止弁を操作することを忘れると、部品の破損事故を防止することができない。
【0017】また、遮蔽板を下降させ荷箱内に堆肥を積載している状態で、停止弁が操作されて遮蔽板の昇降装置の油圧シリンダへの油圧回路が閉塞された状態において、堆肥押出装置の切換弁が操作されて堆肥押出装置の油圧シリンダにより押出板が押し出されると、押出力が積載された堆肥を介して遮蔽板に作用し、遮蔽板又は押出板を破損するおそれがある。
【0018】このように、上記停止弁や切換弁を操作する操作手順を適正に行わないと破損事故等につながるので、操作手順について注意を払わなければならないとともに、上記停止弁及び切換弁を操作する際に押出板及び遮蔽板の位置を確認する必要があり、切換弁の操作が繁雑になる。
【0019】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、操作が簡単であり操作手順に注意を払わなくても、遮蔽板や押出板の破損を未然に防止することができる堆肥散布機を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の堆肥散布機は、トラクター等の牽引車により牽引される機枠上に設けられた荷箱と、この荷箱の後方に設けられた散布装置と、上記散布装置の前方で荷箱の後方に設けられた堆肥のこぼれ落ち防止用の遮蔽板と、遮蔽板を昇降させる昇降装置と、上記荷箱内の堆肥を後方に押し出すための押出板と、この押出板を後方に押出駆動する移動装置とを備えた堆肥散布機であって、上記昇降装置と上記移動装置とを連動して駆動する連動駆動手段と、上記昇降装置により上記遮蔽板が上昇させられた状態を維持する維持手段と、上記押出板が上記遮蔽板の可動範囲に侵入している間において上記維持手段を作動させる切換手段とを備えた。
【0021】上記堆肥散布機において、上記昇降装置が油圧シリンダを含み、上記移動装置が油圧シリンダを含み、上記連動駆動手段が上記各油圧シリンダを連通する油圧回路を含み、上記維持手段が上記昇降装置の油圧シリンダに連通する油圧回路に介装された開閉弁からなり、上記切換手段が、上記開閉弁の弁手段に連結され開閉弁を開閉するレバーと、上記押出板側に取り付けられ上記レバーに当接して上記開閉弁を閉じる方向に回動させる係合板とを有しているものが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態にかかる堆肥散布機Tについて添付図面に基づいて説明する。
【0023】本堆肥散布機Tは、図1に示すように、機枠1と、この機枠1に固定された牽引杆2と、上記機枠1に回動自在に取り付けられた車軸受け部材3と、この車軸受部材3に取り付けられた車軸に支持される車輪4と、上記機枠1の両側に固定された側板5,6と、両側板5,6の内側に前方から後方に移動可能に取り付けられた押出板7と、この押出板7を側板5,6に沿って移動させる移動装置8と、両側板5,6の後端部付近に設けられた散布装置9と、この散布装置9の直前に昇降自在に取り付けられ昇降装置11を有する遮蔽装置10と、上記散布装置9を駆動する駆動装置(図示せず)とを備えて概略構成される。
【0024】上記機枠1は、図5に示すように、横枠12,13と、横枠12,13を連結する複数の横杆14とを備えている。横杆14の上面には床板15が載置状態で取り付けられている。左右の横枠12,13には上記側板5,6が取り付けられており、左右の側板5,6と上記押出板7とにより荷箱が形成されている。 図2に示すように、機枠1の下面であってその中央部よりも後方寄りに横部材16が固定され、この横部材16には支軸17が固定されており、この支軸17には揺動範囲を制限された上記車軸受部材3が取り付けられている。車軸受部材3の前方及び後方に突設された車軸に上記車輪4が支持されている。
【0025】上記散布装置9は、側板5,6の後端に固定された後部側板18と、この後部側板18に回転自在に支持された下方の散布軸20及び上方の散布補助軸19と、散布軸20に取り付けられた散布羽根21及び散布補助軸19に取り付けられた散布羽根(図示せず)とを備えている。上記散布軸20及び散布補助軸19は上記機枠1の下面に軸受部材(図示せず)に支持された入力軸(図示せず)に通常の伝達機構(図示せず)を介して連結されている。
【0026】上記遮蔽装置10は、側板5,6の外側に軸部材27を中心として揺動自在に取り付けられた左右のアーム部材22,23と、両アーム部材22,23の上端部間に固定された遮蔽板24とを備えている。具体的には、側板5,6には支柱25がボルト止めされており、この支柱25にはU字形のブラケット26が取り付けられ、このブラケット26に上記軸部材27が取り付けられている。
【0027】上記支柱25の後方には支柱30が配置され、当該支柱30は上記支柱25と同様に側板5,6にボルト止めされており、支柱30にはU字形のブラケット31が取り付けられている。このブラケット31には油圧シリンダ28のチューブ29がピンにより回動自在に取り付けられている。油圧シリンダ28のピストンロッド32は上記アーム部材22,23の中間部に固定された取付板33にピンにより回動自在に取り付けられている。なお、上記油圧シリンダ28は遮蔽装置10の遮蔽板24の昇降装置11として作用する。
【0028】上記押出板7は移動装置8によりトラクターの進行方向反対方向に移動可能に設けられている。上記移動装置8は、図1に示すように、上記床板15の上面に進行方向に向けて固定され、その先端が牽引杆2の近傍まで延出する断面H形の案内レール35(図5参照)と、この案内レール35を牽引杆2に固定する突部材34と、上記案内レール35に摺動自在に取り付けられた第1、第2及び第3の摺動部材36,37,38と、第1の摺動部材36及び第2の摺動部材37に固定された第1のアクチュエータとしての第1の油圧シリンダ39及び第2のアクチュエータとしての第2の油圧シリンダ40と、上記第1の油圧シリンダ39及び第2の油圧シリンダ40の間にこれらとほぼ平行に配置された第3のアクチュエータとしての第3の油圧シリンダ42と、第1及び第2の油圧シリンダ39,40のチューブの外周に摺動可能に接し、上記第3の油圧シリンダ42に固定された第4の摺動部材41とを備えている。
【0029】第1の油圧シリンダ39はそのピストンロッドを進行方向に向けた状態で配置され、ピストンロッドの先端が上記案内レール35の先端に突設された突片43に軸支され、チューブの先端側と中央部とが第1の摺動部材36及び第2の摺動部材37に固定されている。
【0030】第2の油圧シリンダ40はピストンロッドを進行方向とは逆方向に向けて配置され、チューブの基端部と中間部とが第1の摺動部材36及び第2の摺動部材37に固定され、そのピストンロッドの先端部が第3の油圧シリンダ42のチューブの先端側に固定された突片(図示せず)に軸支されている。
【0031】第3の油圧シリンダ42はピストンロッドを進行方向とは逆方向に向けて配置され、そのチューブの基端部には第1の油圧シリンダ39及び第2の油圧シリンダ40のチューブの外周に摺接する第4の摺動部材41が固定されている。第3の油圧シリンダ42のチューブの先端には、前述のとおり第2の油圧シリンダ40のピストンロッドの先端部を軸支する突片(図示せず)が固定され、第3の油圧シリンダ42のピストンロッドの先端は上記押出板7に軸支されている。
【0032】図6に示すように、第1の油圧シリンダ39、第2の油圧シリンダ40、第3の油圧シリンダ42は各チューブの基端部側の油室同士が連通され、第1の油圧シリンダ39の基端側の油室39A及び先端側の油室39Bが切換弁(図示せず)を介して油圧発生装置(図示せず)と連通させられている。
【0033】押出板7は、図5に示すように、左右の側板5,6との間に適宜の間隔が形成されるような幅寸法に形成され、その上方部には左右の側板の上端部からさらに上方に延出するとともに、左右の側板5,6の上端部との間に適宜の間隔を有して側方に延出する張出部44が形成されている。さらに、押出板7は、幅方向の中央部の下端に上記案内レール35との当接を回避するための切欠45を有する押板46と、押板46前側の裏面の中央近傍に上下方向に延びて固定される一対の平行な第1の補強板47と、第1の補強板47の下方で水平方向に延びて固定される第2の補強板48と、第2の補強板48の下端に隣接するとともに切欠45の側縁に沿って配置される左右一対のL字部材49と、このL字部材49の上記案内レール35に臨む側に締結され案内レール35の案内溝に摺動可能に挿入される第5の摺動部材50とを備えている。
【0034】図5に示すように、押板46の側面には、押板46と側板6,7内壁と間の隙間を塞ぐように、弾性体(例えばゴム板)81が取り付けられている。同様に押板46の下面には、押板46と底板15内壁と間の隙間を塞ぐように、弾性体(例えばゴム板)82が取り付けられている。
【0035】図6に基づいて、上記遮蔽装置10の昇降装置11を構成する油圧シリンダ28と、押出板7の移動装置8の油圧シリンダ39,40,41とを作動させる油圧回路について説明する。
【0036】昇降装置の左右の油圧シリンダ28の基端部側の油室28Aは油圧ホース51により連通され、この油圧ホース51はストップバルブ52、パイロットチェック弁53、クイックカプラ54を介してトラクタ(図示せず)に設けられた切換弁(図示せず)に接続されている。先端側の油室28Bは油圧ホース62により連通され、この油圧ホース62はクイックカプラ63を介して上記切換弁(図示せず)の接続されている。
【0037】一方、移動装置8を構成する第1の油圧シリンダ39、第2の油圧シリンダ40、第3の油圧シリンダ42のチューブの基端側の油室39A,40A,42Aは油圧ホース55,56によりそれぞれ連通されている。また、第1の油圧シリンダ39Aのチューブの基端側の油室39Aは別の1本の油圧ホース58により流量制御弁57、パイロットチェック弁53、クイックカプラ54A,54Bを介して切換弁(図示せず)に接続されている。
【0038】第1の油圧シリンダ39、第2の油圧シリンダ40、第3の油圧シリンダ42のチューブの先端側の油室39B,40B,42Bは油圧ホース59、油圧ホース60によりそれぞれ連通させられている。第1の油圧シリンダ39の先端側の油室39Bは別の油圧ホース61によりクイックカプラ63A,63Bを介して上記切換弁(図示せず)に接続されている。
【0039】上記ストップバルブ52を作動する作動装置について説明する。
【0040】図3、図4に示すように、上記支柱25と支柱30との間に位置し、側板6の側方側に突出した張出部64に取り付けられた支持部材に65に、上記ストップバルブ52が固定されている。上記支持部材65は底板65Aと、前方側折曲部65Bと、側方折曲65Cとを有し、前方折曲部65Bには貫通孔が貫通形成され、この貫通孔内には、中央に油を通過させる貫通孔が貫通形成され、外周にネジ部が形成された金具66が挿入され、上記前方折曲部65Bを挟んでねじ込まれた2個のナット66Aにより上記支持部材65に上記金具66が締結されている。上記金具66の後方側に突出したネジ部にはストップバルブ52の一端がねじ込まれて固定され、前方側に突出したネジ部には油圧ホースの金具がねじ込まれて固定されている。
【0041】上記側方折曲部65Cには後述するブラケット67の軸受ボス69との当接を回避するためのU字形の溝(図示せず)が形成されるとともに、上記ブラケット67を締め付けて取り付けるためのボルト挿通孔が貫通形成されている。
【0042】上記ブラケット67は、板状部68と、板状部68に貫通形成された貫通孔に挿通されて係止された軸受ボス69とを備え、上記側方折曲部65Cにボルトにより固定されている。
【0043】ストップバルブ52の矩形の切換軸70は、上記側方折曲部65Cに向けて突出し、回動レバー(本発明のレバーに相当する。)71を固定する軸部材72に挿通されている。この軸部材72は、ブラケット67に固定された軸受ボス69に回動自在に挿通される回動軸部72Aと、回動軸部72Aのストップバルブ52側に位置するとともにストップバルブ52側の端部の軸心にキリ穴が形成された大径軸部72Bと、中心部に形成された矩形孔の中心が上記大径軸部72Bのキリ穴の中心と一致するように上記大径軸部72Bの端部に固定された円板73と、回動軸部の72Aの外側に形成された係止軸部72Cと、この係止軸部72Cの外側に形成されたネジ軸部72Dとを備えている。そして、上記軸部材72の回動軸部72Aを軸受ボス69に挿通し、係止軸部72Cに後述する回動レバー71を挿通し、ナット74をネジ軸部72Dにねじ込んで上記回動レバー71を固定し、ブラケット67に回動自在に支持された軸部材72の円板73の矩形孔にストップバルブ52の切換軸70を挿通し、上記ブラケット67を支持部材65の側方折曲部65Cにボルト締めして固定してストップバルブ52の切換軸70と軸部材72とを連結する。
【0044】上記回動レバー71は、図4に示すように、ほぼT字形に形成され、T字の交点には軸部材72の係止軸部72Cが挿通される係止孔が形成されている。回動レバー71の第1長辺71Aと第2長辺71Bとは同一長さとなっており、上記係止孔の中心から同一距離にそれぞれ第1支軸75及び第2支軸76が固定され、第1支軸75、第2支軸76には第1ローラ77、第2ローラ78が回転自在に取り付けられている。
【0045】回動レバー71の短辺71Cには小径の孔が貫通形成され、この小径の孔とブラケット67の板状部68に貫通形成された小径の孔とにはねじりコイルバネ79の端部が挿通されている。
【0046】ストップバルブ52は通常用いられるロータリタイプのものであり、切換軸70は、ストッパ(図示せず)により90゜の範囲でのみ回動ができるように回転角度が規制されている。上記切換軸70に軸部材72を介して連結されている回動レバー71の回動角度も同様に90゜の範囲で回転が可能となっている。
【0047】したがって、ブラケット67の板状部68と回動レバー71の短辺71Cにその端部を挿通して係止したねじりコイルバネ79により、上記回動レバー71はその長辺71Aが垂直又は水平状態となるように付勢されている。長辺71Aが垂直方向にあるときはストップバルブ52は全開状態となり、水平方向にあるときには全閉状態となっている。
【0048】上記押出板46の右側に張出部44の側面には下方に向けた状態で係合板80がボルト止めされている。係合板80の下端部は鋭角に形成されており、押出板7を後方に押出移動させた際に、その鋭角部の傾斜面80A,80Bが上記回動レバー71のいずれかの長辺71A又は71Bが垂直になっている状態で、当該長辺71A又は71Bの第1支軸75又は第2支軸76に支持された第1ローラ77又は第2ローラ78の周面に当接するような位置関係で係合板80が取り付けられている。
【0049】上記回動レバー71の第2長辺71Bが水平方向に付勢された時点では押出板7は遮蔽板24の回動軌跡を越えて前方に移動しているように上記ストップバルブ52及び回動レバー71が取り付けられている。
【0050】なお、本実施の形態の堆肥散布機Tでは、係止軸部72Cに回動レバー71を挿通しナット74の締付力でこれらを相互に係止しているが、係止軸部72Cと回動レバー71とをスプライン嵌合等の嵌合手段を用いるようにすれば、係止状態をナット74の締付力に依存する必要はない。
【0051】次に、上記実施の一形態にかかる堆肥散布機Tの作用について説明する。
【0052】堆肥を散布する場合には、トラクタの連結部に堆肥散布機Tの牽引杆2の先端部を連結し、堆肥散布機T側のクイックカプラ54A,63Aをトラクタ側のクイックカプラ54B,63Bに接続する。次いで、側板5,6と押出板7とにより形成される荷箱内に堆肥を積載し、堆肥散布機Tを堆肥を散布する圃場にトラクタを牽引して移動させる。圃場に到着したら、トラクタのPTOクラッチを接続し堆肥散布機Tの散布装置9に回転動力を伝達して散布装置9を駆動する。
【0053】次に、トラクタ側の油圧切換弁を操作して遮蔽装置10の昇降装置11の油圧シリンダ28の基端部側の油室28Aに作動油を供給するとともに、押出板7の移動装置8の第1、第2及び第3の油圧シリンダ39,40,42の基端部側の油室39A,40A,42Aに作動油を供給する。この際、パイロットチェック弁53の作用により低圧状態においては遮蔽装置10の昇降装置11の油圧シリンダ28の基端部側の油室28Aに作動油が供給され遮蔽板24が上昇する。
【0054】遮蔽板24が最上位まで上昇すると、油圧回路内の油圧が高圧状態となり、所定の高圧状態になった時点でパイロットチェック弁53の作用により作動油は上記第1、第2及び第3の油圧シリンダ39,40,42の基端部側の油室39A,40A,42Aに供給され、第1、第2及び第3の油圧シリンダ39,40,42が伸長する。
【0055】これにより、ピストンロッドの先端が牽引杆2に固定された第1の油圧シリンダ39のチューブ側が後方に移動する。第1の油圧シリンダ39のチューブと第2の油圧シリンダ40のチューブとが連結されているので、第1の油圧シリンダ39の伸長に伴ない第2の油圧シリンダ40の全体が後方に移動する。
【0056】第1の油圧シリンダ39とチューブ同士が連結されている第2の油圧シリンダ40はピストンロッドが後方に向けて伸長し、ピストンロッドの伸長に伴ない第2の油圧シリンダ40のピストンロッドにチューブが連結されている第3の油圧シリンダ42の全体が後方に移動する。第2の油圧シリンダ40のピストンロッドにチューブが連結されている第3の油圧シリンダ42はそのピストンロッドが後方に向けて伸長する。
【0057】すなわち、第1、第2及び第3の油圧シリンダ39,40,42のすべてが伸長すると、その伸長の総和の距離分押出板7が後方に向けて移動し、その移動に伴ない堆肥が後方に移送され、散布装置9により圃場に散布される。
【0058】ここで、押出板7が後方に移動し押出板7の張出部44に固定されている係合板80の傾斜面80Aが起立状態にある回動レバー71の長辺71Aに支持された第1ローラ77に当接すると、回動レバー71がねじりコイルばね79の付勢力に抗して反時計方向に回動させられる。そして、ねじりコイルバネ79の回動レバー71への係止部が回動レバー71の係止孔の中心とブラケット67側のねじりコイルばね79の係止部とを結ぶ直線上を越えると、回動レバー71はねじりコイルばね79の付勢力により反時計方向に付勢され、長辺71Aがストップバルブ52の切換軸70の回動範囲の限界である90゜回動した位置(長辺71Aがほぼ水平位置)で停止する。
【0059】この状態で、ストップバルブ52内の回路は閉塞される。上記遮蔽板24は第1、第2及び第3のシリンダ39,40,42が最大まで伸長するまで、上方に移動させられた状態が維持され、荷箱内の堆肥が散布装置9によりすべて散布される。
【0060】そして、堆肥の散布が完了したら、トラクタの切換弁を切り換えて昇降装置11の油圧シリンダ28及び移動装置8の油圧シリンダ39,40,42の先端側の油室28B,39B,40B,42Bに向けて作動油を供給する。
【0061】この時は上記したようにストップバルブ52内の回路は閉塞されているので、作動油は、油圧シリンダ28の先端側の油室28Bには供給されず、移動装置8の油圧シリンダ39,40,42のチューブの先端側の油室39B,40B,42Bにのみに供給され、第1、第2及び第3の油圧シリンダ39,40,42が縮退し、縮退に伴なって押出板7が前方に引き戻される。
【0062】上記押出板7が前方に引き戻されると、押出板7の張出部44に取り付けられた係合板80の傾斜部80Bが回動レバー71の第2長辺71Bに支持される第2ローラ78に当接し、回動レバー71が時計方向に回動される。そして、ねじりコイルばね79の回動レバー71への係止部が、回動レバー71の係止孔の中心とブラケット68側のねじりコイルばね79の係止部とを結ぶ直線上を越えると、回動レバー71はねじりコイルばね79の付勢力により時計方向に付勢され、長辺71Bがストップバルブ52の切換軸70の回動範囲の限界である90゜回動した位置(長辺71Aがほぼ水平位置)で停止する。これにより回動レバー71の回動によりストッパバルブ52の回路が開放され、油圧シリンダ28の油室28Bに作動油が供給され、これにより遮蔽板24の下降が開始される。
【0063】回動レバー71の第2長辺71Bが水平方向に付勢された時点では押出板7は遮蔽板24の回動軌跡を越えて前方に移動しているように上記ストップバルブ52及び回動レバー71が取り付けられているので、遮蔽板24を下降させても遮蔽板24が押出板24に当接することなく遮蔽板24は漸次最下降位置に向け下降する。同時に、押出板7も最先端位置に向けて前進する。
【0064】遮蔽板24が最下降位置に到達する到達するとともに、押出板7が最前方位置に到達した時点でトラクタの切換弁を中立位置に操作すると、堆肥を積載できる状態となる。
【0065】なお、上記実施の形態では、ストップバルブ52と回動レバー71とを支柱25と支柱30との間に設けたが、ストップバルブ52の取付位置はストップバルブ52の切換軸70に取り付けられた回動レバー71が、後方に移動する係合板80により回動させられストップバルブ52の回路が閉塞された時点、及び、回動レバー71が、前方に移動する係合板80により回動されストップバルブ52の回路が開放された時点のいずれの時点においても、押出板7が遮蔽板24の回動軌跡より前方に位置していればよく、上記実施の形態に限定されることはなく、例えば支柱25よりも前方に設けるようにしてもよい。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の堆肥散布機では、操作が簡単であり操作手順に注意を払わなくても、遮蔽板や押出板の破損を未然に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000107653
【氏名又は名称】スター農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開平11−239404
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−45686