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【発明の名称】 苗移植機における苗供給装置
【発明者】 【氏名】石田 伊佐男

【氏名】木下 栄一郎

【氏名】勝野 志郎

【氏名】青木 義勝

【氏名】青木 勝行

【要約】 【課題】

【解決手段】畝Uを跨いで左右一対の走行装置が駆動される走行車体1の後部側に操縦ハンドル装置を装備し、この走行車体1の後部側の所定位置で前記畝上面に苗を移植する苗移植装置32を設け、この苗移植装置32に苗を供給するカップ移動式苗供給装置において、このカップ移動式苗供給装置が平面視で左右方向の少なくとも一方向に延びており該カップ移動式苗供給装置の苗投入カップ19が巡回して前記苗移植装置部分に巡回したときカップ内の苗を苗移植装置32へ受渡す構成を備え、このカップ移動式苗供給装置の当該カップ19へ苗を人為的に投入する投入位置が前記畝Uを跨いだ左右側に位置した2人の作業者によりカップ投入できるようカップ移動式苗供給装置を配備してなる苗移植機における苗供給装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 畝Uを跨いで左右一対の走行装置が駆動される走行車体1の後部側に操縦ハンドル装置を装備し、この走行車体1の後部側の所定位置で前記畝上面に苗を移植する苗移植装置32を設け、この苗移植装置32に苗を供給するカップ移動式苗供給装置において、このカップ移動式苗供給装置が平面視で左右方向の少なくとも一方向に延びており該カップ移動式苗供給装置の苗投入カップ19が巡回して前記苗移植装置部分に巡回したときカップ内の苗を苗移植装置32へ受渡す構成を備え、このカップ移動式苗供給装置の当該カップ19へ苗を人為的に投入する投入位置が前記畝Uを跨いだ左右側に位置した2人の作業者によりカップ投入できるようカップ移動式苗供給装置を配備してなる苗移植機における苗供給装置。
【請求項2】 カップ移動式苗供給装置を左右の横方向に変位した状態と前後方向の走行車体1の横幅内にセット可能に切換可能に構成した特許請求範囲第1項記載の移植機における苗供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、移植機における苗供給装置に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】従来、カップ移動式苗供給装置により苗移植装置に苗を受渡す構成の移植機における苗供給装置は公知であり、このカップ移動式苗供給装置の公知である構造はカップが円形移動軌跡を描く構造であった。したがって、各カップが真円回転軌跡をたどるために各カップ内に苗を投入するには、運転作業者のみで十分対応でき畝の片側溝内に運転作業者が位置すれば足り、2人作業の必要性がなかった。このために操縦者以外の作業者が畝を挾んでカップに苗を投入する高速移植作業ができなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】この発明は、前述の課題を解消するために次の技術的な手段を講じた。即ち、畝Uを跨いで左右一対の走行装置が駆動される走行車体1の後部側に操縦ハンドル装置を装備し、この走行車体1の後部側の所定位置で前記畝上面に苗を移植する苗移植装置32を設け、この苗移植装置32に苗を供給するカップ移動式苗供給装置において、このカップ移動式苗供給装置が平面視で左右方向の少なくとも一方向に延びており該カップ移動式苗供給装置の苗投入カップ19が巡回して前記苗移植装置部分に巡回したときカップ内の苗を苗移植装置32へ受渡す構成を備え、このカップ移動式苗供給装置の当該カップ19へ苗を人為的に投入する投入位置が前記畝Uを跨いだ左右側に位置した2人の作業者によりカップ投入できるようカップ移動式苗供給装置を配備してなる苗移植機における苗供給装置とした。
【0004】
【発明の実施の形態】この発明の一実施例について詳細に説明する。1は走行車体で次ぎの通り構成されている。エンジン2の左側面に薄型部分の前部ミッションケ−ス3aを一体型に取付け、該エンジン1の後部側に前記前部ミッションケ−ス3aと一体の左右側に突出する主体部分の後部ミッションケ−ス3bを設け、このミッションケ−ス3の後部に横方向に延びる横フレ−ム4を該ミッションケ−ス3に固着し、この横フレ−ム4の右側一側に前後方向に向かう車体フレ−ム5の前側基部を固着し、後方側を上方向けて振り上げた構成としている。この車体フレ−ム5は内部を中空としたパイプで構成して軽量化を図っている。
【0005】前記後部ミッションケ−ス3bには左右側に延びる推進駆動軸が内装された横筒ケ−ス3c,3cで包まれて突出され、適宜回転変速可能にミッションケ−ス内の変速部を介して駆動されるよう構成されている。この左右側の横ケ−ス3c,3c内周には、これに一部挿通された回動自在な筒体6を設け、この筒体6の外端部に推進車輪7を駆動する駆動ケ−ス8(実施例ではチエンケ−ス)を固着している。
【0006】また、前記横フレ−ム4には、後方側に延びる縦枠9を設け、この縦枠9の後方側を上方へ振り上げた構成としている。そして、この縦フレ−ム9の左側部に後部駆動ケ−ス10と更に左側に苗移植装置側を伝動する伝動ケ−ス10aとを取付けている。11は苗移植装置の駆動伝動ケ−スで、前記駆動ケ−ス10の左側に一体的に取り付けている。
【0007】12はカップ式苗供給装置のフレ−ムで、前記縦枠9の後端位置から後方へ延ばした支持枠13に固着した支持枠メタル13aで平面視の所定角度回動設定可能に軸受けさせたフレ−ムメタル12aを設け、このフレ−ムメタル12aに当該フレ−ム12を固着ならしめている。このフレ−ム12のメタル12aの左側に左支持軸14を回転自在に軸受させ、この軸14をフレ−ム12の上方へ突出している。15は右支持軸で、右側のフレ−ムメタル12aに回転自在に軸受けならしめている。そして、この左、右の支持軸14,15にチエンを巻きかけたスプロケット16、17を回転自在に取付け、この両スプロケット16、17に巻きかけたチエン18に苗投入用のカップ19を所定のピッチで取り付けている。したがって、左側の支持枠メタル13aとフレ−ムメタル12aとの嵌合部には、所定角度回動させて保持する回動角度保持機構20が設けられている。一例を説明すると、回動角度保持機構20は、支持枠メタル13a側にピン21を貫通する孔22を設け、該ピン21をコイルスプリング23で軸心側へ付勢し、フレ−ムメタル12a側の外周部に前記ピン21を嵌合係止する係止孔24を実施例では90度の間隔で設け、ピン21の係止によりフレ−ムメタル12aの回動を制限ならしめている。ピン21をスプリング23に抗して引き抜き係止孔24から外すとフレ−ムメタル12aは自由に回動できて所定の係止孔24に係止させて選択保持できる構成になっている。25はピン保持兼スプリングケ−スであり、支持枠メタル13aに取り付けられている。
【0008】26はラチェット機構で、前記支持軸14を間歇的に駆動する機構であり、該軸14の下端側にラチェット爪車27を固着し、このラチェット爪車27にスプリングで弾持係合する爪28を支持枠メタル13a側に回動自在に取付けて支持軸14の回動規制している。そして、前記ラチェット爪車27に往復駆動するロッド29を連繋して該爪車27を間歇的に押圧駆動するよう構成している。
【0009】30は操縦ハンドルで前記フレ−ム5の後端側に取付けられ、機体の左右中心位置から右側にずれていて圃場の畝間の谷部を運転者が通るようになっている。そして、このハンドル30の付け根部分に操縦パネル31を設け、クラッチレバ−等を設けている。32は苗移植装置で、前記駆動伝動ケ−ス11の前後側に設けたクランク33a,33bに揺動リンク34a,34bを取付け、この前側リンク34aには前記ラチェット機構26の駆動ロッド29を作動するア−ムが設けられている。また、後部揺動リンク34b側はダブルリンクになっていて、苗移植用筒35とその下部に前後に開閉できる2分割移植嘴36が装着されている。そして、この苗移植装置32の移植嘴36の下端側が側面視で上下に長い楕円状の移植軌跡(イ)が描かれるようになっていて、その上端位置における苗移植用筒35が、前記カップ式苗供給装置の支持軸14の前側に移動した苗投入用のカップ19の下位に位置するよう構成している。
【0010】37は苗投入用カップ19の底部に設けた底蓋19aを受けて投入苗の落下を防止するよう案内する底蓋ガイドで、前記フレ−ム12に取り付けられ、このガイド37が支持軸14の前側に回転移動したカップ19の底蓋19aをガイドせず、この部分で該底蓋19aが開口して内部の苗が前記苗移植用筒35内へ放出される構成になっている。
【0011】38は苗を移植する畝Uの上面を転動する土寄せロ−ラで、車体フレ−ム5に枢着された上下回動ア−ム39の後端側に取り付けられた上下調節枠40に枢着されて左右ロ−リング自在なU字枠41にブラケット及び支軸を介して回転自在に取り付けられている。前記上下調節枠40は前記ロ−リング支軸42の高さをレバ−43で調節可能になっている。このロ−ラ38は左右に離した状態で、土を内側に寄せて鎮圧するようになっている。即ち、移植された苗Nの根元側に土寄せ鎮圧するコ−ン状のロ−ラである。44は前記ア−ム39を吊り上げ可能で、且つ、旋回時には吊り上げた状態を維持できるようスプリング45に抗して吊り上げて係止できる吊棒であり、前記ハンドル30に吊り下げ係止できるよう構成している。
【0012】46は転動自在な前輪で、次ぎのように装着されている。エンジンベ−スの下側に取り付けられたブラケットに機体の左右中心部で前後方向軸を介して左右側が上下動自在に可動する横軸47を設け、この横軸47の左右端側に筒状ブラケット48を取付け、この筒状ブラケット48に上下調節設定可能な縦軸49を設け、この縦軸49に前輪支軸50を介して取り付けられている。
【0013】車体ピッチング機構P及び車体ロ−リング機構Rを説明すると、前記横フレ−ム4の左右中央部に前側基部が固着されて後方側に延びるピッチング機構P用のメイン油圧シリンダ−51を設け、この後端から油圧ピストン51pが出入り突出するよう構成し、この油圧ピストン51pの後端側に上下方向のピン52で揺動自在に左右中間部が支えれれる揺動枠53を設け、この揺動枠53の右側端と前記左側の筒体6に基部を固着して突出ならしめたア−ム54Rとの間にロッド55Rを設けて互いに連繋し、揺動枠53の左側端と前記右側の筒体6に基部を固着して突出ならしめたア−ム54Lとの間にロッド55Lを設け、このロッド55Lの途中にロ−リング機構R用の油圧シリンダ−機構56を介装している。即ち、ロ−リング油圧シリンダ−56と、その油圧ピストン56Pが設けられている。
【0014】即ち、メイン油圧シリンダ−51による油圧ピストン51pの作動により揺動枠53を介して左右側のロッド55L,55R(ロ−リング機構Rを無視した場合)で左右側のチエンケ−ス8,8が上下同一方向に回動して推進車輪7,7を上下作動して走行機体を上下ピッチング作動させることとなり、ロ−リング機構Rの油圧ピストン56Pが作動すれば揺動枠53が揺動して左右推進車輪7,7の高さが変更して機体がロ−リング作動することになる。
【0015】前記ピッチング機構P及びロ−リング機構Rの制御回路は、第5図で示した通りであり、油圧ポンプ57から分流弁58を介して2分して送られた作動油の一方は油圧切換弁59により前記メイン油圧シリンダ−51側へ送られ、他方は油圧切換弁60によりロ−リング油圧シリンダ−56側へ送られることになる。そして、前記ピッチング機構P側の油圧切換弁59の切換えは手動操作レバ−61で実施可能なことは勿論であるが、作業中においては苗移植畝U上面を滑走する畝均橇62の上下作動により自動的に切り換えられる構成になっている。即ち、畝Uの高さが高くなると機体を上昇させ、低くなると機体を下降させるよう構成し、また、その感度は、感度調節レバ−63で張力が変えられるスプリング64により数段に変更できるよう構成されている。即ち、この感度調節レバ−63で移植深さ調節ができる。
【0016】ロ−リング機構R側の油圧切換弁60は、機体が左右に傾いたことに起因して左右にスイングする振子センサ−65により切り換えられ、前記油圧ピストン56Pの作動で揺動枠53の傾きを変更して左右推進車輪7,7の上下高さを変え、機体を左右水平状態側に自動制御するよう構成されている。この振子センサ−65の傾き作動抵抗を変更調節するのがロ−リング感度調節レバ−66である。
【0017】尚、図中符号67は予備苗載置台を示し、車体フレ−ム5に基部側を取り付けた支持ア−ム68に回動設定可能な可動ア−ム69で支持し車体横幅内の前方に折り畳み可能に構成している。この発明の実施例によれば、圃場の畝Uと畝Uとの溝に前輪46と後輪7とを位置させてエンジン2からの動力を各回転部に伝動し、走行車体1を推進する。このとき、畝Uの高さが畝均橇62によって検出され、この検出信号でピッチング機構Pの切換弁59が切り換えられてメイン油圧シリンダ−51が作動され、左右側の後輪7,7が同時に上下動して畝Uの上面からの車体高さが略一定の範囲内に保持される。また、車体1が左右側に一定範囲以上に傾むくと、振子センサ−65がこれを検出してロ−リング機構Rの切換弁60を切換え油圧シリンダ−56を作動して揺動枠53の傾きを変更して左右の後輪7,7を天秤状に動かし車体1を水平状に保持する。
【0018】このようにして、走行車体1が推進され、移植作業時には第2図の通りカップ式苗供給装置を右方向側へ展開回動させておく。そして、苗移植装置32のクランク作動に基づいた作動に連動されるロッド29の前後動によりラチェツト機構26で軸14を間歇的に駆動回転させ、この軸14と右端側の軸15とに設けたスプロケット16,17に巻きかけたチエン18を回転する。したがって、前記チエン18に取り付けられた苗投入用のカップ19が回動し、その底蓋19aが底蓋ガイド37で受けられて閉じた状態で移送される。
【0019】このカップ移送中に作業者が該カップ19内へ苗を投入し、投入された苗入りカップ19が走行車体1の左右中心部前側に至ったとき、このカップ19の底蓋19aを受けるガイド37が欠如してあるから、底蓋19aが開いて内部の苗が放出される。この放出苗が、下部側の苗移植装置32の苗移植用筒35内へ落下し、その下部に位置した移植嘴36へ滑り落ちて保持される。
【0020】この移植嘴36はダブルクランクにより側面視で上下に長い楕円状の移植軌跡(イ)を描いて畝Uの左右中央位置表面に突入し、この突入と同時に移植嘴36が前後に開き、内部に保持した苗を移植する。その後、土寄せロ−ラ38が移植された苗の根元側へ土を寄せて鎮圧し苗移植が完了する。然るに、カップ移送中に作業者が該カップ19内へ苗を投入する作業において、走行車体1の左端側に操縦者が畝溝に立ち、反対側の左側に補助者が車輪7の通る溝より畝を隔てた右外側溝に立ってカップ19内へ2人で苗を投入でき、高速作業をすることができる。
【0021】路上走行時には、カップ式苗供給装置が右方向側へ大きくはみ出て車体幅が広がり操縦が難しくて該カップ式苗供給装置が異物に衝突して破損するおそれがあるから支持軸14を中心に前側一直線状に回動設定する。また、格納時にも同じく前側に回動設定しておけばよい。更に、操縦者が独り作業する場合には、カップ式苗供給装置を左側にはみ出すよう回動設定すればよい。尚、当然のことであるが、格納時や路上走行時には予備苗載置台67も車体幅内に収まるよう回動設定しておく。
【0022】本件発明とは特に関係のない従来の真円形のテ−ブル軌跡でカップ19が回転して苗供給を行なう第7図、第8図及び第9図につき、その車体高さ制御を司る畝高さ検出器としての畝均橇62aを調節する手段について説明する。尚、この畝均橇62aは、本件発明の畝均橇62aとその構成、取付け構造は同じである。車体フレ−ム5にブラケット70を介して固着された軸71に回動自在に筒軸72をお嵌合し、この筒軸72にア−ム73a,73bを前側へ突出するよう固着し、この左右のア−ム73の前側部分を横方向の軸74で連結し、この軸74に前記畝均橇62aの前側上部を回動自在に枢着構成している。そして、この畝均橇62aの後方底面側が下方へ弾圧付勢されるよう前記筒軸72と軸74との間にスプリング75を介在している。尚、前記畝均橇62aとア−ム73との間にスプリングを介在させて橇62aの後部を下方へ弾圧付勢してもよい。そして、この橇62aの上端側と前記油圧切換弁59とをロッド76、リンク77を介して連動している。このロッド76の途中に圧縮スプリング78を介在した融通機構79を介装して油圧切換弁59の切換が間断なく行なわれるのを防止している。この橇62aの高さ調節は、移植深さ調節レバ−80で行なわれ、該調節レバ−80の基部側は前記筒軸72に取り付けて先端側を上方に延ばし、機体側に取り付けた係止ガイド溝(ロ)を形成した調節ガイド81の該ガイド溝(ロ)にレバ−80のノッチ80aが係止できて設定されるよう構成している。そして、この調節レバ−80は苗供給装置のカップ19が回動する右前部分に位置ならしめ、畝Uの左右溝に立つ操縦者または補助作業者が容易に調節操作できるよう構成している。
【0023】尚、82は走行速度を切り換えるチェンジレバ−を示す。このチェンジレバ−82は前記調節レバ−80の近傍位置に配置して両調節が容易に、また一挙にできるよう配置されている。83は予備苗載置台であって、走行車体1の前側でエンジン2の上側に位置し、左右中央部で幅広く構成されている。
【0024】
【発明の作用効果】この発明によれば、カップ式苗供給装置が走行車体の左右一側側へ大きく喰み出た状態で該カップが巡回回転して車体の左右中央位置側で苗を苗移植装置に受渡すことができるから、走行車体の右側と左側とでカップに苗を投入できて楽な苗供給ができ、高速で苗移植しても十分苗補給がまにあい移植作業の能率をあげることができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−215903
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−19235