| 【発明の名称】 |
水田作業車 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 富穂
【氏名】藤井 健二
【氏名】向井 猛
【氏名】北井 浩昭
【氏名】古市 正和
【氏名】安田 真
【氏名】西川 幸一
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| 【要約】 |
【課題】旋回時に旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるように構成された水田作業車において、できるだけ田面を荒らさないようにして旋回が行えるように構成する。
【解決手段】前輪が直進位置A側から設定角度A1を超えて右又は左に操向操作されると、旋回中心側のサイドブレーキ24が制動側に操作されるように構成し、前輪が設定角度A1を超えて右又は左に操向操作された位置から、直進位置A側に操向操作された際、前輪が設定角度A1に達する前に、旋回中心側のサイドブレーキ24を自動的に制動解除側に操作する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 右及び左の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキを備えて、前輪の直進位置から右及び左に設定角度を設定し、前輪が直進位置側から前記設定角度を超えて右又は左に操向操作されると、旋回中心側の前記サイドブレーキを制動側に操作する制動操作手段と、前輪が前記設定角度を超えて右又は左に操向操作された位置から、前記直進位置側に操向操作された際、前輪が前記設定角度に達する前に、旋回中心側の前記サイドブレーキを制動解除側に操作する制動解除手段とを備えてある水田作業車。 【請求項2】 前輪と後輪とが略同じ速度で駆動される第1状態、及び前輪が後輪よりも高速で駆動されるように前輪及び後輪に速度差を与える第2状態に切換操作自在な速度差変速装置と、前輪が右又は左に操向操作されると、前記速度差変速装置を第1状態から第2状態に切換操作する切換手段とを備えると共に、右及び左の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキを備えて、前輪の直進位置から右及び左に設定角度を設定し、前輪が直進位置側から前記設定角度を超えて右又は左に操向操作されると、旋回中心側の前記サイドブレーキを制動側に操作する制動操作手段と、前輪が前記設定角度を超えて右又は左に操向操作された位置から、前記直進位置側に操向操作された際、前輪が前記設定角度に達する前に、旋回中心側の前記サイドブレーキを制動解除側に操作する制動解除手段とを備えてある水田作業車。 【請求項3】 制動解除手段により旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作されてから、前輪が前記直進位置から離れる側に操向操作されると、すぐに旋回中心側の前記サイドブレーキを制動側に操作する補助制動操作手段を備えてある請求項1又は2記載の水田作業車。 【請求項4】 制動解除手段により旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作されてから、前輪が直進位置側から前記設定角度を超えて右又は左に操向操作されても、制動操作手段の作動を牽制阻止する牽制手段を備えてある請求項1又は2記載の水田作業車。 【請求項5】 速度差変速装置と直列に配置された走行用の変速装置が、低速の作業走行位置に変速操作され、且つ、機体に備えられた作業装置が田面から上昇操作されている状態において、制動操作手段の作動を許す許容手段を備えてある請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の水田作業車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の水田作業車における走行系の構成に関する。 【0002】 【従来の技術】水田作業車の一例である乗用型田植機においては、右及び左の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキを備えたものがある。この場合、前輪の直進位置から右及び左に設定角度を設定して、前輪が直進位置側から設定角度を越えて右又は左に操向操作されると、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるように構成することが提案されている。これにより、一回の植付行程が終了して機体が畦際に達した際、次の植付行程に入る為に畦際で旋回を開始すると(前輪を操向操作すると)、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されて、旋回中心側の後輪への制動作用により、畦際で小回り旋回が行える。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】水田作業車において、前述のように旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作して旋回を行うと、小回り旋回が行えるのに対して、逆に田面を荒らしてしまうことがある。このように畦際の田面を荒らしてしまうと、例えば乗用型田植機において畦際での苗の植付走行を行う際に、畦際を事前に充分に整地しておかないと、苗の植付走行が困難になることがある。本発明は、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるように構成された水田作業車において、できるだけ田面を荒らさないようにして旋回が行えるように構成することを目的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】[I]水田作業車において、前輪及び後輪のうち旋回中心側の後輪が機体の旋回中心に最も近いものであり、旋回中心側の後輪の旋回半径が最も小さなものとなっているので、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作しての旋回時に、旋回中心側の後輪が移動せずにその場で横に向きを変えると言うような状態となって、旋回中心側の後輪が田面を最も荒らす可能性が高い。 【0005】請求項1及び2の特徴によれば、前輪が直進位置側から設定角度を超えて右又は左に操向操作されると、旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されて、旋回中心側の後輪への制動作用により小回り旋回が開始される。次に小回り旋回がある程度終了して、設定角度を超えて右又は左に操向操作された位置から、前輪が直進位置側に操向操作されると(前輪が直進位置側に戻し操作されると)、前輪が設定角度に達する前に、制動側に操作されていた旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作される。 【0006】これにより、小回り旋回の開始から完全な終了までの間と言うように、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作している時間が長い構成に比べて、請求項1及び2の特徴では、小回り旋回の前半だけ旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作し、小回り旋回の後半は早めに旋回中心側のサイドブレーキを制動解除側に操作しており、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作している時間が短いものとなっている。従って、請求項1及び2の特徴によると、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作している時間が短い分だけ、旋回中心側の後輪が田面を荒らす状態を少なくしている。 【0007】[II]請求項2の特徴によると、前項[I]に記載の「作用」に加えて以下のような「作用」を備えている。四輪駆動型の水田作業車においては、前輪と後輪とが略同じ速度で駆動される第1状態、及び前輪が後輪よりも高速で駆動されるように前輪及び後輪に速度差を与える第2状態に切換操作自在な速度差変速装置を備えて、前輪が右又は左に操向操作されると、速度差変速装置を第1状態から第2状態に切換操作するように構成することが提案されている。 【0008】これにより、請求項2の特徴によると、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作しての小回り旋回において、速度差変速装置の第2状態により前輪及び後輪に積極的に速度差(前輪が高速で後輪が低速)が与えられ、内外輪差による前輪及び後輪の速度差が吸収されて、円滑に小回り旋回が行われる。 【0009】[III]請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。例えば4条植えの乗用型田植機等のように、比較的横幅の狭い作業装置を機体の後部に備えた水田作業車においては、例えば図5(イ)に示すように一回の植付行程が終了して機体が畦際に達した際、前輪を操向操作して畦際での小回り旋回を開始すると、前輪を所定の操向角度に略保持して略円弧状の軌跡D1を描きながら小回り旋回を行うのであり、このような小回り旋回を行うと、前回の植付行程に隣接する位置に達する(図5(イ)の二点鎖線の状態参照)。しかしながら実際には水田の状態等により、正確に円弧状の軌跡D1を描きながら前回の植付行程に隣接する位置に達することはできないことが多いので、小回り旋回の後半に入ると、前輪を少し左右に操向操作しながら機体の向きを修正して、できるだけ精度良く前回の植付行程に隣接する位置に達するような操作が行われている。 【0010】請求項3の特徴によると、前輪が直進位置側から設定角度を超えて右又は左に操向操作されて、旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作され、前輪が直進位置側に操向操作されて、旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作された状態において、機体の向きを修正する為に再び前輪が直進位置から離れる側に操向操作されると、すぐに旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されて、機体の向きが修正される。前述のような機体の向きの修正は小回り旋回の後半に行われることが多く、小回り旋回が終了するまでの短い時間の間に、機体の向きの修正を素早く行う必要がある。これにより、請求項3の特徴のように前輪が直進位置から離れる側に操向操作されると、すぐに旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されるように構成すれば、小回り旋回の終了するまでに遅れることなく、機体の向きの修正が素早く行われる。 【0011】[IV]請求項4の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。例えば8条植えの乗用型田植機等のように、比較的横幅の広い作業装置を機体の後部に備えた水田作業車においては、例えば図5(ロ)の軌跡D2に示すように一回の植付行程が終了して機体が畦際に達すると、前輪を操向操作して小回り旋回を行い、機体が畦と略平行になると、前輪を直進位置付近にまで操向操作して畦と略平行に直進し、再び前輪を操向操作し旋回を行って、前回の植付行程に隣接する位置に達する(図5(ロ)の二点鎖線の状態参照)。 【0012】この場合、請求項4の特徴によると、前輪が直進位置側から設定角度を超えて右又は左に操向操作されて、旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作され、前輪が直進位置側に操向操作されて、旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作された状態において、次に前輪が操向操作されても旋回中心側のサイドブレーキは制動側に操作されない。 【0013】例えば図5(ロ)の軌跡D2に示すように畦際での小回り旋回を行う場合、畦と略平行に走行している間に、何時のタイミングで前輪を操向操作すれば、前回の植付行程に隣接する位置に達することができるのかと言うことを、ある程度把握することができるので、畦と略平行に走行してから前輪の操向操作を行った際に、旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されなくても、精度良く前回の植付行程に隣接する位置に達することができる。従って、請求項4の特徴のように旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作された状態において、次に前輪が操向操作されても旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されないように構成すれば、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作することにより、旋回中心側の後輪により田面を不必要に荒らしてしまう状態を避けることができる。 【0014】[V]請求項5の特徴によると、請求項1〜4のうちのいずれか一つの場合と同様に前項[I]〜[IV]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。乗用型田植機等のように作業装置を昇降操作自在に支持した水田作業車では、走行用の変速装置が低速の作業走行位置に変速操作された状態において、作業装置が田面から上昇操作された場合に、畦際での小回り旋回が行われる。これにより請求項5の特徴によると、このような畦際での小回り旋回の場合にしか、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されると言うことがないので、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作することにより、旋回中心側の後輪により田面を不必要に荒らしてしまう状態を避けることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】図1に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2で支持された機体の後部に、苗植付装置3がリンク機構4及び油圧シリンダ5により昇降操作自在に連結されて、四輪駆動型の水田作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。 【0016】次に、乗用型田植機の走行伝動系について説明する。図2に示すように、機体の前部に配置されたエンジン6の動力が、主クラッチ7及び伝動軸8を介して、機体の後部のミッションケース9に伝達されている。ミッションケース9に伝達された動力は、前進側及び後進側に無段階に変速操作自在な静油圧式無段変速装置10、副変速装置11及び後輪デフ装置12を介して右及び左の後輪2に伝達されている。後輪デフ装置12の直前から分岐した動力が、油圧操作型式の前輪変速装置13、伝動軸14及び前輪デフ装置15を介して右及び左の前輪1に伝達されている。副変速装置11は高速位置である路上走行位置、及び低速位置である植付走行位置の高低2段に変速操作自在に構成されている。 【0017】次に、前輪変速装置13について説明する。図2に示すように、伝動軸14に接続される支持軸16に標準ギヤ17及び増速ギヤ18が相対回転自在に外嵌されており、後輪デフ装置12の直前から分岐した動力が伝動軸21を介して、標準ギヤ17及び増速ギヤ18に伝達されている。支持軸16と標準ギヤ17との間に摩擦多板型式で油圧操作型式の第1クラッチ19が設けられ、支持軸16と増速ギヤ18との間に摩擦多板型式で油圧操作型式の第2クラッチ20が設けられている。これにより、第1クラッチ19を伝動側に操作すると、前輪1と後輪2とが略同じ速度で駆動される第1状態で、前輪デフ装置15に動力が伝達されるのであり、第2クラッチ20を伝動側に操作すると、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される第2状態で、前輪デフ装置15に動力が伝達される。 【0018】図3に示すように、作動油が電磁切換弁27を介して前輪変速装置13に供給されるように構成されている。電磁切換弁27において、第1クラッチ19に作動油を供給して第1クラッチ19を伝動側に操作する第1位置27A、及び第2クラッチ20に作動油を供給して第2クラッチ20を伝動側に操作する第2位置27Bが備えられており、バネによって電磁切換弁27が第1位置27Aに付勢されている。 【0019】図2及び図3に示すように、右及び左の後輪2を各々独立に制動可能な左右一対のサイドブレーキ24、及びサイドブレーキ24を各々独立に制動側に操作自在な左右一対のサイドブレーキペダル25が備えられている。右及び左のサイドブレーキ24を制動側及び制動解除側に操作自在な電動シリンダ26が備えられている。 【0020】次に、畦際での旋回の状態について、図3及び図4に基づいて説明する(図5(イ)の状態に対応)。図1及び図3に示すように、機体に対するリンク機構4の上下角度を検出する角度センサー28、及び図2に示す副変速装置11の変速位置を検出する変速位置センサー29が備えられており、角度センサー29及び変速位置センサー29の検出値が制御装置31に入力されている。前輪1を操向操作するピットマンアーム22が備えられ、直進位置Aからのピットマンアーム22の右及び左の操向角度を検出するポテンショメータ23が備えられており、ポテンショメータ23の検出値が制御装置31に入力されている。図3に示すようにピットマンアーム22において、直進位置Aと右及び左の操向限度Bとの間に、右及び左の設定角度A1が設定されている。 【0021】副変速装置11を植付走行位置に変速操作し、苗植付装置3を田面にまで下降操作している植付行程中では(ステップS1,S2)、ピットマンアーム22(前輪1)が、直進位置Aを挟んで右及び左の設定角度A1の間に操向操作されており、前輪変速装置13が第1状態に切換操作され、左右のサイドブレーキ24(旋回中心側のサイドブレーキ24)が制動解除側に操作されている(ステップS10)。 【0022】これにより、一回の植付行程が終了して機体が畦際に達すると、運転者は苗植付装置3を大きく上昇操作して(ステップS2)、図1に示す操縦ハンドル30によりピットマンアーム22(前輪1)を操向操作する。この場合、ピットマンアーム22(前輪1)を、例えば図3に示すように直進位置Aから右に操向操作し始めて旋回を開始すると(図3の矢印C1参照)、ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えるまでは、前輪変速装置13はまだ第1状態であり、右及び左のサイドブレーキ24は制動側に操作されていない(ステップS3,S10)。ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えると(ステップS3)、この時点で制御装置31により電磁切換弁27が切換操作されて、前輪変速装置13が第2状態に切換操作され、制御装置31及び電動シリンダ26により、右(旋回中心側)のサイドブレーキ24が制動側に操作されて(ステップS4)、小回り旋回が開始される。 【0023】前述のように、ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えて操向操作された状態(図3の操向角度A2参照)において、ピットマンアーム22(前輪1)が直進位置A側に操向操作されると(図3の矢印C2参照)(ステップS5)、この時点で旋回中心側のサイドブレーキ24が制動解除側に操作され(ステップS6)、前輪変速装置13は第2状態に残される。この場合、ピットマンアーム22(前輪1)が操向角度A2から直進位置A側に操向操作された場合、ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えて、直進位置A側に操向操作されると、この時点で前輪変速装置13も第1状態に切換操作される(ステップS7,S10)。 【0024】前述のように、ピットマンアーム22(前輪1)が直進位置A側に操向操作された状態(図3の操向角度A3参照)において、ピットマンアーム22(前輪1)が再び右の操向限度B側に操向操作されると(図3の矢印C3参照)(ステップS8)、前輪変速装置13が第2状態に残された状態で旋回中心側のサイドブレーキ24が再び制動側に操作される(ステップS9)。 【0025】ステップS4,S9のようにピットマンアーム22(前輪1)の右及び左の設定角度A1を超えての操向操作により、前輪変速装置13が第2状態に切換操作される状態や、旋回中心側のサイドブレーキ24が制動側に操作される状態は、ステップS1,S2に示すように、副変速装置11が植付走行位置に変速操作され、且つ、苗植付装置3が田面から上昇操作されている状態である。従って、副変速装置11が路上走行位置に変速操作されていたり、苗植付装置3が田面から上昇操作されていない状態で、ピットマンアーム22(前輪1)が右及び左の設定角度A1を超えて操向操作されても、前輪変速装置13が第2状態に切換操作されたり、旋回中心側のサイドブレーキ24が制動側に操作されたりすることはない。 【0026】[発明の実施の別形態]図4に示す畦際での旋回の状態に代えて、図6に示すように旋回の状態を構成してもよい(図5(ロ)の状態に対応)。副変速装置11を植付走行位置に変速操作し、苗植付装置3を田面にまで下降操作している植付行程中では(ステップS21,S22)、ピットマンアーム22(前輪1)が、直進位置Aを挟んで右及び左の設定角度A1の間に操向操作されており、前輪変速装置13が第1状態に切換操作され、左右のサイドブレーキ24(旋回中心側のサイドブレーキ24)が制動解除側に操作されている(ステップS30)。 【0027】これにより、一回の植付行程が終了して機体が畦際に達すると、運転者は苗植付装置3を大きく上昇操作して(ステップS22)、図1に示す操縦ハンドル30によりピットマンアーム22(前輪1)を操向操作する。この場合、ピットマンアーム22(前輪1)を、例えば直進位置Aから右に操向操作し始めて旋回を開始すると、ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えるまでは、前輪変速装置13はまだ第1状態であり、右及び左のサイドブレーキ24は制動側に操作されていない(ステップS23,S30)。ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えると(ステップS23)、この時点で制御装置31により電磁切換弁27が切換操作されて、前輪変速装置13が第2状態に切換操作され、制御装置31及び電動シリンダ26により、右(旋回中心側)のサイドブレーキ24が制動側に操作されて(ステップS23,S24,S25)、小回り旋回が開始される。 【0028】前述のように、ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えて操向操作された状態において、ピットマンアーム22(前輪1)が直進位置A側に操向操作されると(ステップS26)、この時点で旋回中心側のサイドブレーキ24が制動解除側に操作され(ステップS27)、前輪変速装置13は第2状態に残される。この後、ピットマンアーム22(前輪1)が右の設定角度A1を超えて、直進位置A側に操向操作されると、この時点で前輪変速装置13も第1状態に切換操作される(ステップS28,S29,S30)。次に、ピットマンアーム22(前輪1)が直進位置A側から右の設定角度A1を超えて操向操作されても(ステップS23)、ステップS24からステップS29,S30に移行して、前輪変速装置13が第2状態に切換操作されることはなく、旋回中心側のサイドブレーキ24も制動側に操作されない。 【0029】ステップS25のように、ピットマンアーム22(前輪1)の右及び左の設定角度A1を超えての操向操作により、前輪変速装置13が自動的に第2状態に切換操作される状態や、旋回中心側のサイドブレーキ24が自動的に制動側に操作される状態は、ステップS21,S22に示すように、副変速装置11が植付走行位置に変速操作され、且つ、苗植付装置3が田面から上昇操作されている状態である。従って、副変速装置11が路上走行位置に変速操作されていたり、苗植付装置3が田面から上昇操作されていない状態で、ピットマンアーム22(前輪1)が右及び左の設定角度A1を超えて操向操作されても、前輪変速装置13が自動的に第2状態に切換操作されたり、旋回中心側のサイドブレーキ24が自動的に制動側に操作されたりすることはない。 【0030】以上の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の別形態]において、前輪変速装置13に代えて、前輪1と後輪2とが略同じ速度で駆動される第1状態、及び後輪2が前輪1よりも低速で駆動される第2状態に切換操作自在な後輪変速装置(図示せず)を備えてもよい。[発明の実施の形態]における図4のステップS6,S9、及び[発明の実施の別形態]における図6のステップS27において、旋回中心側のサイドブレーキ24と同様に、前輪変速装置13も第1状態に切換操作(図4のステップS6及び図6のステップS29)され、第2状態に切換操作(図4のステップS9)されるように構成してもよい。[発明の実施の形態]における図4のステップS3,S4、及び[発明の実施の別形態]における図6のステップS23,S25において、旋回中心側のサイドブレーキ24が制動側に操作される設定角度A1とは、異なる設定角度(例えば設定角度A1よりも直進位置A側の設定角度)で、前輪変速装置13が第2状態に切換操作されるように構成してもよい。 【0031】 【発明の効果】請求項1及び2の特徴によると、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるように構成された水田作業車において、設定角度を超えて右又は左に操向操作された位置から前輪が直進位置側に操向操作されると、前輪が設定角度に達する前に、制動側に操作されていた旋回中心側のサイドブレーキが制動解除側に操作されるように構成することにより、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作している時間を短いものにすることができ、旋回中心側の後輪が田面を荒らす状態を少なくすることができるようになって、水田作業車の走行性能を向上させることができた。 【0032】請求項2の特徴によると、四輪駆動型の水田作業車において旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作しての小回り旋回に、速度差変速装置の第2状態により前輪及び後輪に積極的に速度差(前輪が高速で後輪が低速)を与えて、内外輪差による前輪及び後輪の速度差を吸収し、円滑な小回り旋回が行えるようになって、水田作業車の走行性能をさらに向上させることができた。 【0033】請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前述の請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項3の特徴によると、例えば4条植えの乗用型田植機等のように比較的横幅の狭い作業装置を機体の後部に備えた水田作業車の場合、小回り旋回の後半と言う短い時間の間に、機体の向きの修正が素早く行えるようになるので、水田作業車の旋回性能を向上させることができた。 【0034】請求項4の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前述の請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項4の特徴によると、例えば8条植えの乗用型田植機等のように比較的横幅の広い作業装置を機体の後部に備えた水田作業車の場合、畦際での小回り旋回の後半では、旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されないように構成することにより、旋回中心側の後輪により田面を不必要に荒らしてしまう状態を避けることができるようになって、水田作業車の走行性能をさらに向上させることができた。 【0035】請求項5の特徴によると、請求項1〜4のうちのいずれか一つの場合と同様に前述の請求項1〜4のうちのいずれか一つの「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項5の特徴によると、畦際での小回り旋回の場合にしか、旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されると言うことはないので、旋回中心側の後輪により田面を不必要に荒らしてしまう状態を避けることができて、水田作業車の走行性能をさらに向上させることができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−196631 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−6830 |
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