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【発明の名称】 施肥同時播種マルチ装置
【発明者】 【氏名】前島 孝通

【要約】 【課題】圃場に散布した肥料と種子が接触することを防ぐことにより、種子が肥料やけ等の害を受ける不具合を解消すると共に、肥料の使用量を低減し、コスト削減を行う。

【解決手段】マルチフィルム13を敷設しながら播種を行うと同時に、肥料の散布を行うことができる施肥同時播種マルチ装置70であって、播種部及びマルチフィルム敷設部の前方に施肥部を設け、施肥部及び播種部の左右位置及び高さを変更可能として、施肥位置及び播種位置を調節可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マルチフィルムを敷設しながら播種を行うと同時に、肥料の散布を行う施肥同時播種マルチ装置であって、播種部及びマルチフィルム敷設部の前方に施肥部を設け、施肥部及び播種部の左右位置及び高さを調節可能としたことを特徴とする施肥同時播種マルチ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチフィルムを敷設しながら播種を行うと同時に、肥料の散布を行うことができる施肥同時播種マルチ装置において、播種された種子と散布された肥料が接触しないようにすると共に、肥料の使用量を低減するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ロータリ耕耘装置にて耕して畝立てまたは整地をした後、播種孔を有するマルチフィルムを敷設すると同時に、ホッパー内の種子を繰出装置を介して前記播種孔から播く播種マルチ装置において、ロータリ耕耘装置の前側に、圃場の深層へ肥料を散布する散布装置を設け、前記ロータリ耕耘装置の後側に、圃場の表層へ肥料を散布する散布装置を設けた施肥同時播種マルチ装置は公知となっている。例えば、特開平8−56427号公報記載の技術の如くである。
【0003】前記施肥同時播種マルチ装置においては、表層施肥用シュートと播種用シュートとは左右位置で前後方向に互いに一致する位置に配設されており、それより内側に深層施肥用シュートが配設されている。よって、前記深層施肥用シュートから落下した肥料はロータリ耕耘装置によって攪拌され、表層施肥用シュートから落下して施肥された肥料および播種用シュートから落下して播種された種子は左右方向で略同じ位置に落下される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のような施肥同時播種マルチ装置によって肥料を散布すると共に種子を播種する際、種子が圃場の表層に散布した肥料と接触し、深層施肥用シュートから落下した肥料の一部も接触してしまう。そのため種子が肥料やけをおこし、種子が正常に育たないことがあった。また、施肥した後にロータリ耕耘装置で攪拌するので、肥料は圃場の深層から表層にかけて散布されるようになり、表層部の肥料は流れて無駄となることがあり、肥料の使用量が多くなりコスト高となる。従って、肥料の使用量を低減し、コスト削減を行う必要があったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。即ち、マルチフィルムを敷設しながら播種を行うと同時に、肥料の散布を行う施肥同時播種マルチ装置であって、播種部及びマルチフィルム敷設部の前方に施肥部を設け、施肥部及び播種部の左右位置及び高さを変更可能として、施肥位置及び播種位置を調節可能とし、施肥用シュートから落下させた肥料の施肥位置を、播種口から落下させた種子の播種位置よりも深く、また、所定寸法分幅方向に離れるようにして、肥料と種子が接触することを防ぎ、種子が肥料やけ等の害を受けることを防ぐものである。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面に示した本発明の実施例を説明する。図1は本発明の施肥同時播種マルチ装置の側面図、図2は同じく平面図、図3は本発明の施肥用シュートと播種口の配設位置、及び施肥播種位置を示す畝の後面断面図である。
【0007】図1、図2において、本発明の施肥同時播種マルチ装置70の全体構成から説明する。前記施肥同時播種マルチ装置70は、トラクタの後部に三点リンク式の作業機装着装置を介して装着されて牽引されるタイプであり、他に管理機に装着して牽引する構成とすることもできる。また、トラクタの作業機装着装置に、ロータリ耕耘装置を昇降自在に装着し、該ロータリ耕耘装置の後部に本発明の施肥同時播種マルチ装置70を装着して、耕耘、整地と施肥、播種、マルチ敷設を同時に行うことも可能である。
【0008】前記施肥同時播種マルチ装置70は、施肥部と、フィルム保持部材21よりマルチフィルム13を引出して鎮圧ローラー32やフィルム押えローラー34や覆土ディスク35等にて該フィルムを畝に敷設するマルチフィルム敷設部と、種子繰出装置16より種子を繰り出して播種溝内に播種する播種部より構成されている。
【0009】次に、トラクタ等の牽引車への装着する構成について説明する。本実施例では、トラクタの後部のトップリンク4とロアリンク5・5の後部に、ヒッチ7を介して施肥同時播種マルチ装置70の前ツールバー6aを装着している。前記前ツールバー6aは、施肥部支持バー6bと後ツールバー6cと共に取付プレート10・10によって左右を固定されており、該施肥部支持バー6bには、施肥部を脱着自在でかつ左右位置調整可能に支持している。
【0010】図1、図2においては、施肥部支持バー6bに2条の施肥部を装着し、左右に位置調整可能としている。そして、該2条の施肥部を駆動するモーター14も施肥部支持バー6bに脱着自在で左右に位置調整自在に装着している。また、前記施肥部支持バー6bの左右両端には支持杆24・24を垂設し、該支持杆24・24の下端に溝成形ディスク9・9を支持する構成としている。さらに、後ツールバー6cの左右両端にも嵌合体20を介して支持杆25・25を左右位置調整可能に垂設し、該支持杆25・25の下端に補助輪27・27を支持して構成としている。
【0011】また、前記後ツールバー6cの左右両端より支持アーム43・43が、斜上後方へ突設され、該支持アーム43・43の後端より後方へ、L字状に構成した中フレーム44・44が後方へ昇降回動可能に突出されている。そして、前記中フレーム44・44の後端には、後フレーム33・33が固定されており、該後フレーム33・33にはそれぞれにフィルム押えローラー34・34と覆土ディスク35・35が配設されている。
【0012】また、前記後ツールバー6cの左右中央部より平行リンク45・46を介して取付プレート30・30が連結されており、該取付プレート30・30の後部には、上部支持バー41と下部支持バー42が装着され、該上部支持バー41には後述する播種部が装着され、下部支持バー42にはマルチフィルム敷設部が装着されている。
【0013】次に、施肥同時播種マルチ装置70の各部の構成について説明する。まず、施肥部について説明する。前記施肥部支持バー6bには肥料繰出装置40を左右位置調整可能に装着し、該肥料繰出装置40の上部には肥料タンク37を配置し、該肥料繰出装置40は繰出ロール39を収納して、該繰出ロール39は左右方向に延出した繰出駆動軸40aを軸支し、前記モーター14の回転によって繰出駆動軸40aが回転駆動されて、肥料を繰り出す構成としている。
【0014】また、前記肥料繰出装置40の下部より、平行リンク11・12を介して施肥用シュート38と施肥作溝ディスク28を支持し、該平行リンク11・12の対角線上には付勢バネ15を配置して、施肥作溝ディスク28の重量とバランスさせている。該構成により施肥作溝ディスク28・28と施肥用シュート38・38が平行リンク11・12により平行に上下動して、地表面の凹凸に追随できるようにしている。
【0015】前記施肥作溝ディスク28は、左右のディスク板を平面視にてV字状に配置したものであり、畝上に施肥溝を形成するよう構成されており、左右のディスク板の間に施肥用シュート38の先端を挿入している。よって、前記繰出ロール39の回転により肥料タンク37内の肥料を繰り出して、施肥用シュート38より、左右の施肥作溝ディスク板の間に落下させるのである。
【0016】次に、マルチフィルム敷設部について説明する。前記下部支持バー42の左右両端から前方にフィルム保持部材21・21を突設しており、該フィルム保持部材21・21の先端部より、芯支持部21a・21aを左右方向内側へ向けて突設していて、マルチフィルム13のロールの芯部の両側より前記芯支持部21a・21aを挿入してマルチフィルムロールを回転可能に保持している。
【0017】前記マルチフィルム13は長手方向に一定間隔ごとに数条播種孔が開口されており、該マルチフィルム13の端部が後方に引き出され、フィルム張設ローラー22にて皺寄りをなくして張設され、接地板26上面を通過させて畝上に敷設される。該接地板26の後方には、上部支持バー41より垂設したローラー保持部材31・31の下端部にて鎮圧ローラー32が軸支され、該鎮圧ローラー32によってマルチフィルム13の上から播種後の畝表面を鎮圧し、後フレーム33・33にて支持されるフィルム押えローラー34・34が畝側面にマルチフィルム13の裾部(側部)を押さえつけ、覆土ディスク35・35で該畝側面に押さえたマルチフィルム13の上に土を被せて、マルチフィルム13が剥がれないようにしているのである。
【0018】次に、播種部について説明する。前記上部支持バー41には、種子繰出装置16・16を装着し、該種子繰出装置16・16に繰出駆動軸17を回転可能に軸支している。前記種子繰出装置16は、上部に種子ホッパー16aを、下部に繰出用目皿及びロート16cを具備しており、前記繰出駆動軸17は前記鎮圧ローラー32の回転がチェーン等を介して伝達されて回転され、更に、ベベルギア等を介して繰出用目皿が回転される。該繰出用目皿の回転により種子ホッパー16a内の種子が繰り出されてロート16c、ガイドパイプ19を介して、播種口18に種子を落下させるのである。
【0019】なお、播種口18にはシャッター47が配設されており、更にその下方には、感知杆48が配設されていて、マルチフィルム13上に感知杆48を当接させて、該感知杆48下端部がマルチフィルムに穿設した播種孔内に入り込むと下方に回動し、これに連動してシャッター47が開口して、播種口18に溜められた種子が播種孔内に落下し、畝上の播種溝内に播種される構成としている。前記播種溝は接地板26の下面に配設された作溝器23によって、畝に所定深さに形成されるものであり、接地板26後部に設けた培土板によって、播種した後に土を寄せて覆土するようにしている。
【0020】本発明の施肥同時播種マルチ装置70においては、図2、図3に示すように、施肥用シュート38・38は、播種口18・18より左右位置で内側に配設されており、前記施肥用シュート38・38から落下した肥料Ha・Haの施肥位置は、播種口18・18から落下して播種される種子T・Tの播種位置よりも設定深さ(本実施例では深さ10〜20mm)深く、また、所定寸法(本実施例では50mm)内側に位置するようにしているのである。なお、その左右、上下位置は設定変更可能に構成されている。但し、播種口18はフィルム張設ローラー22の前方に配置して、播種後に播種孔を有しないマルチフィルムで覆う構成とすることもできる。
【0021】このような構成において、肥料の施肥位置は施肥部支持バー6bに対して肥料繰出装置40と施肥作溝ディスク28の取付部を左右に移動することで調整できる。そして、平行リンク11・12に配置した付勢バネ15のバネ力を調節することで施肥作溝ディスク28の下方への付勢力、即ち、作溝溝の深さを調節することができる。具体的には付勢バネ15の一端の係止位置を変更してバネ力を調整している。また、施肥作溝ディスク28の播種フレームに対する高さを変更することによっても変更できる。また、播種深さは接地板26の下面に設けた作溝器23の高さを調節することで調節でき、左右位置は下部支持バー42への取付位置を変更することで調節できる。このようにして、播種位置と肥料の施肥位置を調節して、肥料と種子が接触することを防ぐことができ、種子が肥料やけ等の害を受けることがなくなるのである。
【0022】そして、前述のような肥料と種子の距離は、種子に対する肥料の効果がもっとも表れる距離とすることができ、従来のように肥料を表層に散布することはなく、肥料の使用量を低減でき、施肥効率を高めることができ、また、コスト削減を行うことができるのである。なお、本実施例における施肥同時播種マルチ装置70は、施肥、播種の条数が二条となる構成ではあるが、特に限定するものではなく、三条、四条、六条等定数は限定するものではない。
【0023】
【発明の効果】以上のような構成により本発明は次のような効果が得られるのである。即ち、マルチフィルムを敷設しながら播種を行うと同時に、肥料の散布を行う施肥同時播種マルチ装置であって、播種部及びマルチフィルム敷設部の前方に施肥部を設け、施肥部及び播種部の左右位置及び高さを変更可能として、施肥位置及び播種位置を調節可能としたことによって、施肥用シュートから落下させた肥料の施肥位置を、播種口から落下させた種子の播種位置よりも深く、そして所定寸法分幅方向に離れるようにすることができ、肥料と種子が接触することを防ぎ、種子が肥料やけ等の害を受けることはなくなるのである。
【0024】また、肥料の使用量を少量とすることができ、少量の肥料を種子に対して効果的な位置に施肥することができ、コスト削減を行うことができるのである。
【出願人】 【識別番号】597041747
【氏名又は名称】アグリテクノ矢崎株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−196618
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−2704