| 【発明の名称】 |
水田作業機の制動制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】越智 竜児
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| 【要約】 |
【課題】圃場条件等が異なっても、旋回内側後輪を制動して小回りさせる特徴を活かして、より枕地での旋回性能が向上した水田作業機を提供する。
【解決手段】後輪用のサイドブレーキ38と、左右のサイドブレーキ38,38の夫々を独立に人力操作する左右一対のブレーキペダル37L,37R、及び一対の油圧シリンダ41L,41Rと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサ46とを備え、ブレーキペダル37L(又は37R)の人為操作でサイドブレーキ38を制動ロック作動させる人為制動状態と、前輪が設定角度以上に操舵されるに伴って、人為制動状態に優先して、旋回内側の後輪用のサイドブレーキ38を半ブレーキ作動させる自動制動状態との各状態を現出可能である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右の後輪夫々に対して備えられたサイドブレーキと、これら左右のサイドブレーキの夫々を独立に人力操作可能な左右一対のブレーキ操作具と、前記左右のサイドブレーキの夫々を独立に操作可能な一対のアクチュエータと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサとを備え、前記ブレーキ操作具の人為操作によって前記サイドブレーキを制動ロック作動させる人為制動状態と、前記前輪が設定角度以上に操舵されるに伴って旋回内側の後輪に対するサイドブレーキを半ブレーキ作動するように、前記切れ角センサと前記アクチュエータとを連係する自動制動状態との各状態を現出可能に構成してある水田作業機の制動制御装置。 【請求項2】 前記自動制動状態における前記前輪の操舵角が前記設定角度を越えた場合において、その設定角度からの操舵角が小さいときには前記旋回内側の後輪に作用する制動力が小さく、該操舵角が大きいときには前記旋回内側の後輪に作用する制動力が大きくなるように、前記切れ角センサと前記アクチュエータとを連係させてある請求項1に記載の水田作業機の制動制御装置。 【請求項3】 前記前輪の操舵角が前記設定角度を越えた場合には、前記人為制動状態に優先して前記自動制動状態を現出させる優先作動手段を設けてある請求項1又は2に記載の水田作業機の制動制御装置。 【請求項4】 左右の後輪夫々に対して備えられたサイドブレーキと、これら左右のサイドブレーキの夫々を独立に操作可能な一対のアクチュエータと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサとを備え、前記前輪の操舵角が第1設定角度以上であり、かつ、この第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度未満であるときには、旋回内側の後輪に対する前記サイドブレーキを制動ロック作動させ、かつ、前記前輪の操舵角が前記第2設定角度以上であるときには、旋回内側の後輪に対する前記サイドブレーキを半ブレーキ作動させるように、前記切れ角センサと前記アクチュエータとを連係させてある水田作業機の制動制御装置。 【請求項5】 左右の後輪夫々に対して備えられたサイドブレーキと、これら左右のサイドブレーキの夫々を独立に操作可能な一対のアクチュエータと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサとを備え、前記前輪が設定角度以上に操舵されるに伴って、旋回内側の後輪に対するサイドブレーキを所定時間に亘って制動ロック作動状態に維持してから半ブレーキ作動状態に制御するように、前記切れ角センサと前記アクチュエータとを連係させてある水田作業機の制動制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、左右の後輪夫々に対してサイドブレーキを備えた田植機等の水田作業機に係り、詳しくは、旋回時に旋回内側の後輪のブレーキを併用することにより、より小回りできたり泥押しが軽減するとか、或いは安定して回れるといった具合に、枕地での旋回状態を改善させる技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、水田作業機は泥土中を走るものであることから前後輪共に駆動する四輪駆動型に構成されており、湿田でも良好に走行できるようになっている。そして、その四輪駆動構造を活かして、スイッチバックせず1回の回行操作で枕地での小回りが行えるように、旋回内側の後輪にブレーキを掛けながら旋回することも試されている(例えば、先に出願した特願平9−256667号において提案している)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】旋回内側の後輪を制動しながら旋回すると、その旋回内側後輪の接地点を中心にしたピボットターンのように、非常に小さな旋回半径でターンできるのであるが、圃場条件によってはその利点が得られないことがある。つまり、比較的硬い圃場においては上記利点が得られ易いが、湿田等の柔らかい圃場では、制動によって旋回内側後輪が容易に制動ロックされて引きずりながらターンする状態になり、所期した小回りができないばかりでなく、旋回内側後輪による泥押しが顕著になって枕地を荒らしてしまう不都合が生じていたのである。 【0004】従って、枕地で小回りするには、設定角度以上に前輪が操舵されると単純に旋回内側後輪にブレーキを掛ければ良いというだけでは、圃場条件によっては満足できないので、さらなる改善の余地があった。本発明は、圃場条件等が異なっても、旋回内側後輪を制動して小回りさせる特徴を活かせるようにして、より枕地での旋回性能が向上した水田作業機を提供する点にある。 【0005】 【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、左右の後輪夫々に対して備えられたサイドブレーキと、これら左右のサイドブレーキの夫々を独立に人力操作可能な左右一対のブレーキ操作具と、左右のサイドブレーキの夫々を独立に操作可能な一対のアクチュエータと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサとを備え、ブレーキ操作具の人為操作によってサイドブレーキを制動ロック作動させる人為制動状態と、前輪が設定角度以上に操舵されるに伴って旋回内側の後輪に対するサイドブレーキを半ブレーキ作動するように、切れ角センサと各アクチュエータとを連係する自動制動状態との各状態を現出可能に構成してあることを特徴とする。 【0006】第2発明は、第1発明において、自動制動状態における前輪の操舵角が設定角度を越えた場合において、その設定角度からの操舵角が小さいときには旋回内側の後輪に作用する制動力が小さく、操舵角が大きいときには旋回内側の後輪に作用する制動力が大きくなるように、切れ角センサと各アクチュエータとを連係させてあることを特徴とする。 【0007】第3発明は、第1又は第2発明において、前輪の操舵角が設定角度を越えた場合には、人為制動状態に優先して自動制動状態を現出させる優先作動手段を設けてあることを特徴とする。 【0008】第4発明は、左右の後輪夫々に対して備えられたサイドブレーキと、これら左右のサイドブレーキの夫々を独立に操作可能な一対のアクチュエータと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサとを備え、前輪の操舵角が第1設定角度以上であり、かつ、この第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度未満であるときには、旋回内側の後輪に対するサイドブレーキを制動ロック作動させ、かつ、前輪の操舵角が第2設定角度以上であるときには、旋回内側の後輪に対するサイドブレーキを半ブレーキ作動させるように、切れ角センサと各アクチュエータとを連係させてあることを特徴とする。 【0009】第5発明は、左右の後輪夫々に対して備えられたサイドブレーキと、これら左右のサイドブレーキの夫々を独立に操作可能な一対のアクチュエータと、前輪の操舵角を検出可能な切れ角センサとを備え、前輪が設定角度以上に操舵されるに伴って、旋回内側の後輪に対するサイドブレーキを所定時間に亘って制動ロック作動状態に維持してから半ブレーキ作動状態に制御するように、切れ角センサと各アクチュエータとを連係させてあることを特徴とする。 【0010】〔作用〕請求項1の構成によれば、人為ブレーキ操作によって旋回内側後輪を制動ロックさせる人為制動状態と、設定以上の前輪操舵に伴って旋回内側後輪を自動的に半ブレーキ操作する自動制動状態とを現出可能である。故に、硬い圃場では人為制動状態として、旋回操作に伴って旋回内側後輪のサイドブレーキ用のブレーキペダルを踏むといった制動操作を行い、ピボットターンによる小回りが行えるとともに、柔らかい圃場では自動制動状態として、設定以上の前輪操舵に伴って旋回内側後輪を半ブレーキ操作し、泥押しを抑えながら制動しない状態よりも小回りが行えるようになる。 【0011】又、変形した圃場ではその変形した形状に沿って走行するので、植付作業走行中でも枕地旋回のような急ハンドル操作を行うことがある。このような場合には、人為制動状態にしておけば操縦者が判断してハンドル操作だけ行えるので、自動制動状態のようにブレーキ旋回によって植付面が荒れる不都合を防止することが可能である。つまり、人為制動状態と自動制動状態と適宜に使い分けることにより、圃場条件が種々に異なっても、従来より小回りできるとか、泥押し少なく小回りできるとか、植付作業中における不測のブレーキ旋回が防止できるといった具合に、その圃場条件に適合させながら小回りできるようになる。 【0012】請求項2の構成によれば、設定角度以上に前輪が操舵されたときには、操舵角が大きい程制動力も強くなるから、より小回りするべくハンドルの操作量を多くした場合にはより強く旋回内側後輪にブレーキが掛かり、操向操作量に見合った小回りが現出され易い状態が得られるようになる。 【0013】すなわち、一般的な四輪駆動構造では、前輪と後輪とが等速駆動されるので、前輪の走行軌跡の旋回半径が後輪のそれよりも大きくなる旋回時には前後輪のいずれかにスリップが生じることになるとともに、旋回半径が小さければ小さい程スリップは著しくなる。故に、前輪操舵角が大きいときには制動力を強くして、旋回内側後輪の駆動速度の減速率を大きくすることで大なるスリップを相殺できるようになり、車輪スリップの横滑りによって旋回半径が大きくなってしまうことが抑制され、小回りできるようになるのである。 【0014】請求項3の構成によれば、人為制動状態を設定して人為ブレーキ操作しながら旋回しているときでも、前輪操舵角が設定以上になると自動的に自動制動状態に切換わり、人為的に制動ロック操作していても旋回内側後輪が半ブレーキ状態になるのである。水田作業機では、殆どの場合、湿田等の泥の中を作業走行するものであるから、人為制動状態のままで枕地旋回すると、前述したように旋回内側後輪を引きずって圃場を荒らし、かつ、小回りし難い状態となってしまう。故に、自動制動状態に自動的に切換わるようにしておけば、この自動制動状態に切換えるのを忘れても、小回りに適合する状態が現出されて好都合である。 【0015】請求項4の構成によれば、第1設定角以上で第2設定角未満に前輪が操舵されてやや急な旋回操作がされると旋回内側後輪が制動ロックされ、第2設定角以上の急旋回操作がされると旋回内側後輪を半ブレーキ操作にするもの、すなわち、旋回半径をより小さくさせるための操作を行うと、却って制動力を弱めるのである。この理由は次のようである。 【0016】すなわち、湿田等で小回りするべく大きくステアリング操作を行ったにも拘わらずに、所期する小回り状態が得られないことがあると、一般に、操縦者はさらにステアリングを切り操作する傾向にあるが、泥押しが顕著になるだけで一向に小回りできないことが多い。この場合、ステアリング操作量が大きくなるとそれまでロックさせていた旋回内側後輪の制動力を緩めることにより、小回り状態が得られという操作を行うのは高度な操縦技術であり、熟練が必要である。 【0017】故に、第2設定角以上の大きな前輪操舵を行うに伴って、旋回内側後輪が自動的に半ブレーキ状態になれば、操縦の熟練、未熟を問わずに湿田での小回りが行えるようになる。つまり、単に前輪切れ角を大きくする通常の簡単な操向操作を行うだけで、従来よりも小回りできるようになる。 【0018】請求項5の構成によれば、次のような作用がある。例えば10条植え田植機を枕地で旋回させる場合、植付け幅が広いので、単なる旋回を行うと予定植付け条が既植え条に重複するので、先ず90度旋回してから畦に沿う等して少し横に走り、それから90度旋回するという具合に、2回に分けて旋回操作することになる。この場合、1回目の旋回では、急なステアリング操作を行って旋回内側後輪を制動させて小回りした後に、直進走行させるべく一旦ステアリングを戻す操作を行うことになる。 【0019】直進状態にステアリングを戻し操作するときには、殆ど旋回が終了している状態であるから、その戻し操作時にも旋回内側後輪が制動ロックされていると、所期する1回目の旋回角度(90度等)以上に回り過ぎ易いので、旋回終了付近では寧ろ小回り状態でない方が操向操作がし易いことが判ってきた。従って、制動ロック状態にある旋回内側後輪を所定時間後には自動的に半ブレーキ状態にすることにより、前述したステアリング戻し時には少し旋回半径が大きくなり、シビアなステアリング操作が不要になる分、横走り状態に移行し易いのである。 【0020】〔効果〕請求項1〜3のいずれに記載された水田作業機でも、硬い圃場では急激な小回りが、そして、柔らかい圃場では泥押し少なく小回りできるといった具合に、圃場形状や泥の軟硬、或いは泥深さ等の圃場条件に応じて小回りに適した操縦形態が現出できる制動制御装置を提供することができた。 【0021】請求項2に記載の制動制御装置では、前輪操舵角に応じた旋回内側後輪の制動力が現出され、より円滑で良好な小回り旋回が行えるようになった。 【0022】請求項3に記載の制動制御装置では、設定以上の前輪操舵角では自動制動状態を人為制動状態に優先させることにより、自動制動状態への切換えを忘れるとか、その切換えを行うための圃場条件判断が難しい等、適切な状態設定が行えなくても、自動的に自動制動状態に切換わって小回り状態が得られる利点がある。 【0023】請求項4に記載の制動制御装置では、人間工学的な見地に基づいて、ステアリング操作が増大すると制動ロックから半ブレーキに制動力を弱める制御により、単に前輪切れ角を大きくする通常の簡単な操向操作を行うだけで、操縦の熟練、未熟を問わずに湿田での小回りが行えるようになった。 【0024】請求項5に記載の制動制御装置では、8条や10条等の多条植用水田作業機における枕地旋回挙動に適した制動旋回操作が自動的に現出され、旋回操作が簡単化されながら従来よりも小回りできるようになった。 【0025】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に四輪駆動型の4条植え田植機が示され、1は機体、2は昇降リンク機構、3は植付部、27はエンジン、5はベルト伝動機構、6は前部ミッション、7は前輪、8は後輪、9は植付機構、10はフィードケース、33は運転部である。伝動系としては、エンジン動力が入力される前部ミッション6から前輪7を駆動するとともに、そこから後方に延びる伝動軸11で後部ミッション12を駆動して後輪8を駆動する。又、前部ミッション6から後方に延出されたPTO伝動軸13により、連動軸14を介してフィードケース10に入力して植付機構9を駆動する。 【0026】次に、後部ミッション12、及びそれを囲繞する後車軸ケースAについて説明する。図1〜図3に示すように、後部ミッション12は、走行用の伝動軸11に連動連結された機体前方に向く中央入力軸4、左右の後車軸15,15、入力軸4の回転を減速して後車軸15に伝達するギヤ減速機構16、左右のサイドクラッチ・ブレーキB,B等から構成され、これらを覆う後車軸ケースAは、ギヤ減速機構16が後輪8に近い位置に配置されることから、正面視で略下向きコ字状に形成されている。 【0027】入力軸4はベベルギヤ機構17を介してカウンタ軸18に連動されており、このカウンタ軸18と、左右の減速機構16の減速入力軸19とに亘って左右のサイドクラッチ・ブレーキB,Bが構成されている。すなわち、カウンタ軸18にスプライン外嵌されるインナクラッチボディー20、カウンタ軸18に遊転外嵌される操作フランジ24、及びスリーブ23、減速入力軸19にスプライン外嵌されるアウタクラッチボディー22、スリーブ23とインナクラッチボディー20との間に介装される複数の皿バネ25等からサイドクラッチ・ブレーキBを構成する。 【0028】第1ケースAo及び第2ケースAuの下横長ケース部分29とアウタクラッチボディー22とに亘って多板ブレーキ部38が、かつ、インナ及びアウタクラッチボディー20,22に亘って多板クラッチ部39が夫々形成されている。通常は、皿バネ25の付勢力によって多板クラッチ部39が伝動接続状態に、かつ、操作フランジ24が中央入力軸4側に寄って多板ブレーキ38が非制動状態に夫々維持され、インナ及びアウタクラッチボディー20,22が一体回転してカウンタ軸18と入力軸19とが一体回転するクラッチ入り状態が現出されている。 【0029】そして、軸心X回りに切換レバー21を揺動操作して操作フランジ24を減速機構側に若干量スライドすると、皿バネ25に抗してインナクラッチボディー20を減速機構側に動かして多板クラッチ部39が伝動断絶状態に、かつ、多板ブレーキ38が非制動状態になり、後輪8が空回り可能なサイドクラッチ切り状態が現出される。さらに、操作フランジ24を減速機構側にスライドすると、操作フランジ24が多板ブレーキ部38を押圧してアウタクラッチボディー22にブレーキを掛ける制動状態に、かつ、多板クラッチ部39が伝動断絶状態になり、後輪8が制動されるサイドブレーキ状態が現出されるのである。尚、制動力は操作フランジ24を動かす切換レバー21への操作力の大小によって強弱変化するものである。 【0030】左右のギヤ減速機構16は、減速入力軸19と後車軸15と、これらの間の中間軸26とに亘る2段の平ギヤ機構で構成されている。後車軸ケースAは、ギヤ減速機構16を収容する左右の減速ケース部30,30と、これら左右の減速ケース部30,30に亘り、かつ、中央入力軸4を備えた横長ケース部29とを備えたコ字状を呈している。 【0031】図4、図5に示すように、切換レバー21の支持軸21aに取付けられた左右の操作アーム21L,21Rを、左右の油圧式操作シリンダ(アクチュエータの一例)41L,41Rで駆動操作可能とし、その電磁比例制御弁42L,42Rを制御装置43に接続するとともに、運転部33の右側に備えられた左右一対の操作ペダル(ブレーキ操作具の一例)37L,37Rの踏込み操作角度を検出する左右のペダルポテンショメータ44,44を制御装置43に接続してある。又、図4に示すように、ピットマンアーム45の左右への揺動角度を検出するポテンショメータ46を設けて、前輪7,7の操舵角を検出可能な切れ角センサとしてあり、この切れ角センサ46も制御装置43に接続する。 【0032】制御装置43には、操作ペダル37L,37Rの人為操作によって左右のサイドクラッチ・ブレーキBを制動ロック作動させる人為制動状態と、前輪7が設定角度以上に操舵されるに伴って旋回内側の後輪8に対するサイドブレーキ38を半ブレーキ作動するように、切れ角センサ46と各制御弁42L,42Rとを連係する自動制動状態との各状態を現出可能とする機能を有している。そして、制御装置43には、優先作動手段C、制動力漸変手段D、制動力変更手段E、制動力時限手段Fの各制御手段が備えてある。 【0033】優先作動手段Cは、前輪7の操舵角が予め制御装置43の記憶部に設定された設定角度を越えた場合には、人為制動状態に優先して自動制動状態を現出させるものである。すなわち、モード選択スイッチ47を第1モード位置に切換えると優先作動手段Cが作動する状態になり、前輪7の操舵角が設定角度に相当するピットマンアーム45の中央からの揺動角度がθ以上になると、そのときに操作ペダル37L(又は37R)の操作の有無を問わずに、旋回内側後輪8に対するサイドブレーキ38が半ブレーキ状態となるように、制御弁42L(又は42R)が自動的に操作される。 【0034】ここで、半ブレーキとは、後輪8が制動ロックされてしまう完全制動状態ではない制動状態のことであり、緩く制動し続けることや間欠的に制動する状態も含むものである。例えば、制動ロックするに必要な操作シリンダ41L(又は41R)のパワーを引出すときの制御弁42L(又は42R)の開き量の半分に設定することにより、半ブレーキ状態を現出させるという手段でも良い。 【0035】制動力漸変手段Dは、自動制動状態における前輪7の操舵角が前記設定角度を越えた場合において、その設定角度からの操舵角が小さいときには旋回内側の後輪8に作用する制動力が小さく、操舵角が大きいときに旋回内側の後輪8に作用する制動力が大きくなるように、切れ角センサ46と各制御弁42L(又は42R)とを連係させるものである。この制動力漸変手段Dは、モード選択スイッチ47を第2モード位置に切換えることで実行可能な状態となる。 【0036】例えば、制動ロック状態のときの制御弁の開度を100%に、かつ、非制動状態のときの制御弁の開度を0%として、ピットマンアーム45の中央からの揺動角度が丁度θのときには制御弁42L(又は42R)の開度が25%に、かつ、限度角αまで操舵したときには制御弁42L(又は42R)の開度が75%になり、θとαとの間では25%〜75%間で線型又は非線型に変化するように設定するのである。 【0037】制動力変更手段Eは、前輪7の操舵角が第1設定角度以上であり、かつ、この第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度未満であるときには、旋回内側の後輪8に対するサイドブレーキ38を制動ロック作動させ、かつ、前輪7の操舵角が第2設定角度以上であるときには、旋回内側の後輪8に対するサイドブレーキ38を半ブレーキ作動させるように、切れ角センサ46と各アクチュエータ41L,41Rとを連係させるものである。この制動力変更手段Eは、モード選択スイッチ47を第3モード位置に切換えることで実行可能な状態となる。 【0038】つまり、ピットマンアーム45の揺動角度がθであるときが前輪7の操舵角が第2設定角に相当し、ピットマンアーム45の揺動角度がθよりも小さいβのときが前輪7の操舵角が第1設定角に相当しており、ピットマンアーム45の揺動角がβ以上でθ未満のときには、制御弁42L(又は42R)を全開としてサイドブレーキ38を制動ロックさせ、ピットマンアーム45の揺動角がθ以上であるときには、制御弁42L(又は42R)を半開としてサイドブレーキ38を前述した半ブレーキ状態に操作するのである。 【0039】制動力時限手段Fは、前輪7が設定角度以上に操舵されるに伴って、旋回内側の後輪8に対するサイドブレーキ38を所定時間に亘って制動ロック作動状態に維持してから半ブレーキ作動状態に制御するように、切れ角センサ46と各操作シリンダ41L,41Rとを連係させるものである。この制動力時限手段Fは、モード選択スイッチ47を第4モード位置に切換えることで実行可能な状態となる。 【0040】つまり、ピットマンアーム45の揺動角度がθ以上になると、旋回内側後輪8のサイドブレーキ38を、枕地で約45度(この角度は圃場に応じて適宜に設定する)旋回するに必要な時間に亘って制御弁42L(又は42R)を全開として制動ロックさせ、その後制御弁42L(又は42R)を半開としてサイドブレーキ38を半ブレーキ状態に移行させるのである。これは、主に8条や10条といった多条植え用の田植機における枕地での旋回のときに使用するモードである。 【0041】すなわち、図10に示すように、多条植え用田植機では、植付け幅が広く、枕地で単に180度旋回すると植付け条が左右に重複してしまうことを避けるために、先ず90度旋回して畦に沿った姿勢で少し横走りし、それから再び90度旋回して条合わせする、といった操向操作を行うことになる。この最初の90度旋回のときには、迅速に前輪7を最大切れ角又はその付近に操舵し、機体が90度回行する少し手前の時点で、一旦ステアリングを直進状態に戻して畦に沿わす操作を行う。 【0042】この畦への沿わし操作のときにも旋回内側後輪8が制動ロック状態であると、曲がり過ぎるとか後輪8を引きずって曲がり難い等、微妙な操向操作が行い難い傾向にあるので、そのときには半ブレーキ状態とした方が、旋回後半における走行方向の合わせ操作がし易いのであり、その状況に適した実際のブレーキング状態が自動的に現出できるように、制動力時限手段Fが機能するのである。 【0043】そして、モード切換えスイッチ47をマニュアル位置に切換えると、操作ペダル37L(又は37R)の踏力に応じた制動力が発生する人為操作状態となり、移動走行時等ではこのモードにしておく。この人為操作状態において、操作ペダル37L(又は37R)を力強く目一杯踏み込み操作すれば、後輪8を制動ロックできるのであり、これは前述した人為制動状態のことである。 【0044】次に、制御装置43に備えたコントロール部48によって生み出される種々の半ブレーキ状態の例を説明する。 【0045】−半ブレーキ形態その1−旋回内側後輪8を間欠的に制動するものであり、制御弁41L(又は41R)へ、ピットマンアーム45の揺動角がθ以上になると、図6に示すようなパルス電流を供給し、断続的にサイドブレーキ38をON/OFFさせるものである。このときの電流のピーク値は、制動ロックさせるに必要な電流値でも良く、ロックしない強い制動力が生じるための電流値でも良い。この手段では、後輪8による泥の持ち上げを抑制できるとか、ワイヤー操作によって人為的な半ブレーキ操作が難しいときに有効である。 【0046】−半ブレーキ形態その2−前述した間欠制動手段における、1周期の間における通電時間割合を、θを越えたピットマンアーム45の揺動角度が大きい程多くするように制御するものでも良い。つまり、図7の実線に示すように、1パルスに要する1周期時間Tにおける通電時間t1(t2は消電時間)を、1周期時間Tは一定にしながら前輪7切れ角の増大に伴って増大させ、制動力を強くするのである。この手段は、制動力漸変手段Dの別手段として有効である。尚、1パルス中の通電時間割合t1/Tを図7の仮想線で示すように設定すれば、制動力変更手段Eによる制御が行えるものとなり、第2設定角度よりも大なる角度範囲では、切れ角増大に連れて制動力が増加するものでも、制動力が一定でもどちらでも良い。 【0047】−半ブレーキ形態その3−図8に示すように、サイドブレーキ38を操作する操作アーム21L(又は21R)を、電動モータ49で回転するカム50で駆動揺動操作することにより、後輪8に生じる制動力を、図9に示すような曲線で繰り返し増減する手段でも良い。 【0048】以上述べた半ブレーキ作動は、片側の操作ペダル37L(又は37R)を操作したときに得られるものであり、移動走行時等において、両操作ペダル37L,37Rを同時操作した場合には、モード切換えスイッチ47の切換え位置如何に拘わらずに、踏み操作されているときには制動力が発生し続ける連続制動状態が現出されるように、制御装置43が機能するのである。 【0049】〔別実施形態〕図11、図12に示すように、切換レバー21の支持軸21aに取付けられた左右の操作アーム21L,21Rと、運転部33の右側に備えられた左右一対の操作ペダル(ブレーキ操作具の一例)37L,37Rとをロッド40L,40Rで連動連結してあり、左右のサイドクラッチ・ブレーキB,Bを独立操作自在に構成してある。そして、各操作ペダル37L,37Rに形成されたアーム部37a,37aに後方から接当することで、左右の操作ペダル37L,37Rを各別に駆動操作可能な油圧式の操作シリンダ41L,41Rを備えてある。 【0050】図12に示すように、各操作シリンダ41L,41R用の制御弁42L,42Rと、制御スイッチ51とを制御装置52に接続してあり、制御スイッチ51をOFF操作すると、操作シリンダ41L,41Rが作動せず、人力で制動操作する人為制動状態となる。制御スイッチ51をON操作すると、前輪7が設定角度以上に操舵されるに伴って旋回内側の後輪8に対するサイドブレーキ38を半ブレーキ作動するように、切れ角センサ46と各制御弁42L,42Rとを連係する自動制動状態になる。 【0051】尚、この自動制動状態の場合では、その作動中に操作ペダル37L,37Rの人為踏み込み操作が可能であり、又、前述した制動力漸変手段D、制動力変更手段E、制動力時限手段Fを制御装置52に備えることも可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−187721 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月13日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−359351 |
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