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【発明の名称】 水田作業車の操向操作構造
【発明者】 【氏名】田中 政一

【氏名】山下 眞

【氏名】松木 直樹

【氏名】児島 祥之

【要約】 【課題】枕地旋回走行を好適に行うことのできる水田作業車の操向操作構造を提供する。

【解決手段】水田作業車の操向操作構造において、旋回走行時に、旋回内側の後輪6を強制的に減速駆動することにより左右の後輪6を差動させる減速差動装置Bを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 旋回走行時に、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動することにより左右の後輪を差動させる減速差動装置を備えてある水田作業車の操向操作構造。
【請求項2】 前記減速差動装置が、ステアリング機構の旋回方向への所定量以上の作動に連動して、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動するように、前記減速差動装置と前記ステアリング機構とを連動差動操作機構で連動連結してある請求項1記載の水田作業車の操向操作構造。
【請求項3】 前記連動差動操作機構に、前記ステアリング機構の旋回方向への作動量に対する前記減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を変更調節する減速量調節手段を装備してある請求項2記載の水田作業車の操向操作構造。
【請求項4】 前記連動差動操作機構に、前記減速差動装置と前記ステアリング機構とを連動させる状態と連動させない状態とに切り換える連動状態切換手段を装備してある請求項2又は3記載の水田作業車の操向操作構造。
【請求項5】 前記減速差動装置を、左右の各後輪伝動系に装備された摩擦式のクラッチとブレーキとからなり、かつ、対応する左右の操作ペダルに連係された左右のクラッチ・ブレーキ機構で構成し、旋回走行時に旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構の半クラッチ状態を現出するようにしてある請求項1〜4のいずれか一つに記載の水田作業車の操向操作構造。
【請求項6】 前記連動差動操作機構に、前記ステアリング機構の旋回方向への作動で弾性変形されるバネを装備してある請求項5記載の水田作業車の操向操作構造。
【請求項7】 枕地旋回走行への移行を検出する枕地旋回検出手段と、該枕地旋回検出手段からの検出に基づいて、前記操作ペダルの操作による前記クラッチ・ブレーキ機構の制動状態の現出を阻止する制動阻止機構とを装備してある請求項5又は6記載の水田作業車の操向操作構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水田で作業を行う田植機や直播機などの水田作業車の操向操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような水田作業車の操向操作構造においては、左右の各後輪伝動系に、対応する左右の操作ペダルに連係されたクラッチ・ブレーキ機構を装備して、水田での往復作業走行時には、枕地への到達に伴ってステアリングホイールの旋回方向への回動操作とともに旋回内側の操作ペダルの踏み込み操作を行うことにより、旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構のクラッチ切り状態と制動状態とを現出して、旋回内側の後輪を駆動停止させることによって、次の植え付け走行列の始端位置への移動が容易な小さい旋回半径での枕地旋回走行を行えるように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術のように枕地旋回走行時に旋回内側の後輪を駆動停止させると、旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生するようになることから、圃場を傷めるとともに往復作業走行後の枕地作業走行に悪影響を及ぼす、あるいは、泥の深いあるいは硬い水田においては円滑な枕地旋回走行が行い難くなる、といった不都合を招くようになっていた。
【0004】本発明の目的は、枕地旋回走行を好適に行うことのできる水田作業車の操向操作構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、水田作業車の操向操作構造において、旋回走行時に、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動することにより左右の後輪を差動させる減速差動装置を備えてある水田作業車の操向操作構造。
【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、旋回走行時には、減速差動装置が、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動させて、左右の後輪を、旋回内側の後輪が旋回外側の後輪よりも低い駆動速度で駆動される状態で差動させるようになることから、小さい旋回半径での旋回走行を行えるようになり、これによって、水田での往復作業走行時には、次の植え付け走行列の始端位置への移動を容易に行えるようになる。又、この旋回走行時においては、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動することによって、旋回内側の後輪が少しずつ移動するようになることから、枕地旋回走行時に旋回内側の後輪を駆動停止させる場合に発生する、旋回内側の後輪による泥の掻き取り、を防止することができ、これによって、枕地旋回走行の際に圃場を傷める、あるいは、それによって往復作業走行後の枕地作業走行に悪影響を及ぼす、といった不都合の発生を回避できるとともに、泥の深いあるいは硬い水田においても円滑な枕地旋回走行を行えるようになる。
【0007】ちなみに、旋回走行時に、例えば、旋回内側の後輪を非駆動・非制動状態にすることにより追従移動させることも考えられるが、この場合、泥の深い水田などにおいては、旋回内側の後輪が泥の抵抗により簡単に推進力を失って移動しなくなることから、旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生するようになる。これに対し、上記請求項1記載の発明においては、旋回走行時に旋回内側の後輪を強制的に減速駆動するようにしていることから、泥の深い水田などにおいても旋回内側の後輪を移動させることができ、もって、圃場を傷めることない円滑な枕地旋回走行を行えるようになる。
【0008】〔効果〕従って、旋回内側の後輪による泥の掻き取りが防止された好適な枕地旋回走行を行うことのできる水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0009】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記減速差動装置が、ステアリング機構の旋回方向への所定量以上の作動に連動して、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動するように、前記減速差動装置と前記ステアリング機構とを連動差動操作機構で連動連結した。
【0010】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、ステアリング機構の旋回方向への所定量以上の作動に連動して、減速差動装置が、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動させて、左右の後輪を、旋回内側の後輪が旋回外側の後輪よりも低い駆動速度で駆動される状態で差動させるようになることから、枕地旋回走行のように旋回方向への所定量以上のステアリング操作を行う旋回走行時には、ステアリング操作とともにその操作とは別の減速差動装置を作動させるための専用の操作を行わなくても、自動的に減速差動装置を作動させることができて、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動させた減速差動状態を現出することができるようになる。
【0011】〔効果〕従って、枕地旋回走行などの小旋回走行において、減速差動装置の作動により旋回内側の後輪を強制的に減速駆動させた減速差動状態を現出する際の操作性に優れた水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0012】本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の発明において、前記連動差動操作機構に、前記ステアリング機構の旋回方向への作動量に対する前記減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を変更調節する減速量調節手段を装備した。
【0013】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、走行路面の状態などに応じて旋回走行時における旋回内側の後輪の駆動トルクを変更できるようになることから、走行路面の状態などを考慮した適切な小旋回走行を行えるようになる。例えば、水田走行時に比較して走行抵抗が小さくなる路上走行時においては、ステアリング機構の旋回方向への作動量に対する減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を少なくすると、旋回内側の後輪と旋回外側の後輪との駆動差が小さくなって小旋回走行が行い難くなることから、ステアリング機構の旋回方向への作動量に対する減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を大きくして旋回内側の後輪と旋回外側の後輪との駆動差を大きくすることによって、路上走行時に良好な小旋回走行を行えるようになる。逆に、路上走行時に比較して走行抵抗が大きくなる水田走行時においては、路上走行時と同様にステアリング機構の旋回方向への作動量に対する減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を大きくすると、旋回内側の後輪の駆動トルクが小さくなり過ぎて駆動停止に近い状態となり、枕地旋回の際に旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生することを良好に防止することができなくなる虞があることから、ステアリング機構の旋回方向への作動量に対する減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を小さくして旋回内側の後輪の駆動トルクを大きくすることによって、水田走行時に旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生しない良好な小旋回走行つまり枕地旋回走行を行えるようになる。しかも、泥の深い水田などのように走行抵抗が更に大きくなる場合には、ステアリング機構の旋回方向への作動量に対する減速差動装置による旋回内側の後輪の減速量を更に小さくして旋回内側の後輪の駆動トルクを更に大きくするようにすれば、泥の深い水田においても旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生しない良好な枕地旋回走行を行えるようになる。
【0014】〔効果〕従って、走行路面の状態などを考慮した適切な小旋回走行を行える水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0015】本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項2又は3記載の発明において、前記連動差動操作機構に、前記減速差動装置と前記ステアリング機構とを連動させる状態と連動させない状態とに切り換える連動状態切換手段を装備した。
【0016】〔作用〕上記請求項4記載の発明によると、例えば、路上走行時での左折や右折などのように小旋回走行を現出したくない状況においては、連動状態切換手段により減速差動装置とステアリング機構とを連動させない状態に切り換えておくことによって、ステアリング機構の旋回方向への所定量以上の作動に連動して、旋回内側の後輪を強制的に減速駆動する小旋回走行状態が不必要に現出されることを防止できるようになる。
【0017】〔効果〕従って、走行状況に応じてステアリング操作に連動して小旋回走行を現出する状態としない状態とに切り換えることのできる操向操作性に優れた水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0018】本発明のうちの請求項5記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記減速差動装置を、左右の各後輪伝動系に装備された摩擦式のクラッチとブレーキとからなり、かつ、対応する左右の操作ペダルに連係された左右のクラッチ・ブレーキ機構で構成し、旋回走行時に旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構の半クラッチ状態を現出するようにした。
【0019】〔作用〕上記請求項5記載の発明によると、減速差動装置を、本来より田植機などの水田作業車における左右の各後輪伝動系に装備されているクラッチとブレーキとから構成し、かつ、そのクラッチに摩擦式のものを採用することによって、左右の各後輪伝動系に左右の後輪を独立的に減速駆動させるための変速装置(例えば、ギヤ式変速装置、静油圧式無段変速装置、あるいはベルト式無段変速装置など)を新たに設けなくても、旋回走行時に旋回内側のクラッチの半クラッチ状態を現出することによって旋回内側の後輪を減速駆動させることができ、もって、水田においても旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生しない良好な小旋回走行を行えるようになる。
【0020】〔効果〕従って、構成の簡素化並びに製造コストの低減化を図りながらも、水田での旋回時における旋回内側の後輪による泥の掻き取りを防止できる好適な小旋回走行を行える水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0021】本発明のうちの請求項6記載の発明では、上記請求項5記載の発明において、前記連動差動操作機構に、前記ステアリング機構の旋回方向への作動で弾性変形されるバネを装備した。
【0022】〔作用〕上記請求項6記載の発明によると、クラッチ・ブレーキ機構はクラッチが入り側にブレーキが非制動側に復帰付勢されていることから、連動差動操作機構に装備するバネとして、クラッチ・ブレーキ機構の非伝動・非制動状態を現出した際のクラッチ・ブレーキ機構におけるクラッチ入り側への復帰付勢力よりも小さい値で弾性変形するもの採用するようにすれば、ステアリング機構の旋回方向への作動でクラッチ・ブレーキ機構が非伝動・非制動状態及び制動状態に切り換わることを防止できるようになる。つまり、ステアリング機構の旋回方向への所定量以上の作動に連動して旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構が半クラッチ状態を現出するように連動差動操作機構によりステアリング機構とクラッチ・ブレーキ機構とを連動連結する際の連動差動操作機構による連動設定を容易にすることができるようになる。
【0023】又、連動差動操作機構に装備するバネとして、クラッチ・ブレーキ機構の制動状態を現出した際のクラッチ・ブレーキ機構におけるブレーキ非制動側への復帰付勢力よりも小さい値で弾性変形するもの採用するようにすれば、ステアリング機構の旋回方向への作動によってクラッチ・ブレーキ機構が非伝動・非制動状態に切り換わることを許容する一方で、クラッチ・ブレーキ機構が制動状態に切り換わることを防止できるようになる。更に、連動差動操作機構に装備するバネとして、クラッチ・ブレーキ機構におけるブレーキ非制動側への復帰付勢力よりも小さい値で弾性変形を開始し、かつ、その弾性変形途中において前記復帰付勢力よりも大きい値で弾性変形するようになる特性を有するもの採用するようにすれば、ステアリング機構の旋回方向への作動途中まではクラッチ・ブレーキ機構が制動状態に切り換わることを防止し、かつ、ステアリング機構の旋回方向への作動途中からはクラッチ・ブレーキ機構が制動状態に切り換わるように連動差動操作機構を設定することもできるようになる。
【0024】〔効果〕従って、連動差動操作機構によるステアリング機構とクラッチ・ブレーキ機構との連動設定が容易で、かつ、汎用性の向上を図ることのできる水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0025】本発明のうちの請求項7記載の発明では、上記請求項5又は6記載の発明において、枕地旋回走行への移行を検出する枕地旋回検出手段と、該枕地旋回検出手段からの検出に基づいて、前記操作ペダルの操作による前記クラッチ・ブレーキ機構の制動状態の現出を阻止する制動阻止機構とを装備した。
【0026】〔作用〕上記請求項7記載の発明によると、枕地旋回時には、枕地旋回検出手段からの検出に基づく制動阻止機構の作動によって、操作ペダルの操作によりクラッチ・ブレーキ機構の制動状態が現出されることを阻止できるので、ステアリング機構とクラッチ・ブレーキ機構とを連動差動操作機構によって連動連結していない場合においても、クラッチ・ブレーキ機構の半クラッチ状態を操作ペダルの簡単な操作で現出し易くなる。又逆に、ステアリング機構とクラッチ・ブレーキ機構とを連動差動操作機構により連動連結している場合においては、枕地旋回の際に操縦者が誤って操作ペダルを踏み込み操作しても、クラッチ・ブレーキ機構の制動状態が現出されることを阻止できるようになる。つまり、制動阻止機構の作動によって、枕地旋回時には、操作ペダルの操作によってクラッチ・ブレーキ機構の制動状態が現出されることを容易かつ確実に阻止することができ、もって、旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生しない良好な枕地旋回走行を行えるようになる。
【0027】〔効果〕従って、ステアリング機構とクラッチ・ブレーキ機構の連動・非連動にかかわらず、旋回内側の後輪による泥の掻き取りが発生しない良好な枕地旋回走行を容易かつ確実に行える水田作業車の操向操作構造を提供し得るに至った。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】図1には、水田作業車の一例である乗用型田植機が示されており、この田植機は、走行機体1の後部に苗植付装置2をリンク機構3及び油圧シリンダ4を介して昇降操作自在に連結するとともに、走行機体1の後部に施肥装置14を搭載することによってミッド施肥型に構成されている。
【0030】前記走行機体1は、左右一対の操舵用で駆動式の前輪5と左右一対の駆動式の後輪6とを備えた機体フレーム7の前部に、エンジン8と、エンジン8からの動力がベルト式の無段変速装置9を介して伝達される走行・植付用のミッションケース10とを搭載するとともに、機体フレーム7の前後中間部に、乗用運転部1Aを構成する前輪5に対する操縦ハンドル11と運転座席12とを取り付けることによって乗用型に構成されている。
【0031】苗植付装置2は、ミッションケース10を経由した変速後の動力が伝達されるフィードケース2A、フィードケース2Aからの動力が植付伝動ケース2Bを介して伝達される植付機構2C、植付機構2Cに対して所定ピッチで横往復スライド移動する苗載台2D、及び植付機構2Cによる植え付け箇所に対して前もって整地作用を施す整地フロート2E、などによって構成されている。
【0032】施肥装置14は、肥料を貯留するホッパー14A、ミッションケース10を経由した変速後の動力で駆動されることによりホッパー14Aから肥料を所定量ずつ繰り出す繰出機構14B、整地フロート2Eに装備された作溝器14C、繰出機構14Bから作溝器14Cに亘って肥料を案内する案内ホース14D、及び繰出機構14Bにより繰り出された肥料を作溝器14Cに向けて圧送する電動式のブロワ14E、などによって苗植付装置2の植え付け動作に同期連動して施肥を施すように構成されている。
【0033】図1〜5に示すように、後輪6は、後車軸ケース22を介して機体フレーム7に取り付けられている。後車軸ケース22は、ミッションケース10の後輪駆動用の動力取出軸10aに伝動軸23を介して伝動連結される入力軸24を備えた左右向き姿勢の筒状伝動ケース部25と、その両端に連結された左右のギヤケース部26L,26Rとからなり、左ギヤケース部26Lの下端部には左側の後輪6に対する左車軸27Lが、又、右ギヤケース部26Rの下端部には右側の後輪6に対する右車軸27Rがそれぞれ支承されている。そして、入力軸24から左車軸27Lに亘る左側の後輪伝動系と、入力軸24から右車軸27Rに亘る右側の後輪伝動系のそれぞれには、摩擦式のクラッチ29とブレーキ30とからなり、かつ、対応する左右の操作ペダル28L,28Rに連係された左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rが装備されている。左右の操作ペダル28L,28Rは、乗用運転部1Aにおける右側の足元に配備されるとともに、左側の操作ペダル28Lに係合揺動可能に装備された係合アーム28aを、右側の操作ペダル28Rに装備したフック28bに係合させることによって、一体操作可能に連結できるようになっている。
【0034】左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rのクラッチ29は、入力軸24にベベルギヤ機構31を介して伝動連結された横向き伝動軸32と、左車軸27L及び右車軸27Rのそれぞれに伝動連結された左右の横向き受動軸33との間に、横向き伝動軸32から横向き受動軸33へ伝動する伝動状態と伝動しない非伝動状態とが現出可能となるように介装された多板式のものである。その構成について詳述すると、図4及び図5に示すように、横向き伝動軸32には、それに対して軸芯方向に相対摺動自在な状態で一体回転する摺動伝動体34が装着されている。横向き受動軸33には、それに対して軸芯方向に相対摺動不能な状態で一体回転するクラッチハウジング35が装着されている。摺動伝動体34には、それに対して軸芯方向に相対摺動自在な状態で一体回転する複数枚の伝動用クラッチディスク36が装着されている。クラッチハウジング35には、それに対して軸芯方向に相対摺動自在な状態で一体回転する複数枚の受動用クラッチディスク37が装着されている。伝動用クラッチディスク36と受動用クラッチディスク37は、クラッチハウジング35に付設された受け具40と摺動伝動体34に装備された押し具41との間において軸芯方向で交互に位置するように配設されている。横向き伝動軸32の軸端には、クラッチハウジング35を回転自在に支持する支持部材39がボルト38を介して取り付けられるとともに、この支持部材39と押し具41との間には、伝動用クラッチディスク36と受動用クラッチディスク37とを圧接する方向に摺動伝動体34を移動付勢する複数枚の皿バネ42が介装されている。横向き伝動軸32には、左右の操作ペダル28L,28Rの踏み込み操作により、筒状伝動ケース部25に左右揺動自在に支持されたシフトフォーク43を介して、横向き伝動軸32に対して軸芯方向における摺動伝動体側に移動操作されることによって、ベアリング45aを介して摺動伝動体34を皿バネ42による付勢力に抗して圧接解除方向に押圧移動させるレリーズ部材45が外嵌されている。尚、図5における符号43Aは、対応する左右の操作ペダル28L,28Rに、それらの踏み込み操作に伴ってシフトフォーク43を摺動伝動体側に作動させるように、ロッド44Aなどからなる左右の連係機構44を介して連動連結されたアームである。
【0035】以上の構成から、クラッチ29は、皿バネ42の付勢により摺動伝動体34が伝動用クラッチディスク36と受動用クラッチディスク37とを圧接する方向に移動することによって、横向き伝動軸32から横向き受動軸33へ伝動する伝動状態(後輪6を駆動する駆動状態)を現出し、又、左右の操作ペダル28L,28Rの踏み込み操作により、摺動伝動体34を、皿バネ42の付勢に抗して、伝動用クラッチディスク36と受動用クラッチディスク37との圧接を解除する方向にレリーズ部材45を介して移動させることによって、横向き伝動軸32から横向き受動軸33へ伝動しない非伝動状態(後輪6を駆動しない非駆動状態)を現出できるようになっている。
【0036】図4に示すように、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rのブレーキ30は、クラッチハウジング35に作用して横向き受動軸33に制動力を付与するものである。その構成について詳述すると、筒状伝動ケース部25には、それに対して軸芯方向に相対摺動自在で回転不能に複数枚の固定ブレーキディスク46が取り付けられている。クラッチハウジング35には、それに対して軸芯方向に相対摺動自在な状態で一体回転する複数枚の回転ブレーキディスク47が取り付けられている。固定ブレーキディスク46と回転ブレーキディスク47は、筒状伝動ケース部25の端部に内嵌するとともに左右の各ギヤケース部26L,26Rへの接当により抜け止めされて固定ブレーキディスク46と回転ブレーキディスク47のギヤケース部側への移動を規制するリング状の規制具48と、レリーズ部材45におけるギヤケース部側の端部に形成されたブレーキ操作部49との間において軸芯方向で交互に位置するように配設されている。つまり、ブレーキ30は、クラッチ29の外側に同芯状に配置形成されている。
【0037】以上の構成から、ブレーキ30は、摺動伝動体34を介した皿バネ42の付勢により、レリーズ部材45が筒状伝動ケース部側(反摺動伝動体側)に移動して規制具48との間での固定ブレーキディスク46と回転ブレーキディスク47との押圧挟持を解除することによって、固定ブレーキディスク46と回転ブレーキディスク47とを圧接させない非制動状態を現出し、又、左右の操作ペダル28L,28Rの踏み込み操作により、皿バネ42の付勢に抗してクラッチ29の非伝動状態を現出した後、更に左右の操作ペダル28L,28Rを踏み込み操作して皿バネ42の付勢に抗してレリーズ部材45をギヤケース部側(摺動伝動体側)に移動させ、規制具48との間で固定ブレーキディスク46と回転ブレーキディスク47とを押圧挟持することによって、固定ブレーキディスク46と回転ブレーキディスク47とを圧接させた制動状態を現出できるようになっている。
【0038】つまり、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rは、左右の操作ペダル28L,28Rの踏み込み操作によりレリーズ部材45を摺動伝動体側に移動させると、クラッチ29の非伝動状態が現出された後にブレーキ30が制動作動するように設定されており、この設定によって、左旋回走行を行う際には、操縦ハンドル11を左旋回方向にステアリング操作することによって行われる通常の左旋回走行に加えて、操縦ハンドル11を左旋回方向にステアリング操作すると同時に左側の操作ペダル28Lを踏み込み操作することによって、右側の後輪6が所定速度で駆動されるのに対して左側の後輪6への伝動を断つとともに左側の後輪6を制動停止させた左小旋回走行を行うことができ、又、右旋回走行を行う際には、操縦ハンドル11を右旋回方向にステアリング操作することによって行われる通常の右旋回走行に加えて、操縦ハンドル11を右旋回方向にステアリング操作すると同時に右側の操作ペダル28Lを踏み込み操作することによって、左側の後輪6が所定速度で駆動されるのに対して右側の後輪6への伝動を断つとともに右側の後輪6を制動停止させた右小旋回走行を行うことができ、更に、左右の操作ペダル28L,28Rの双方をともに踏み込み操作することによって、左右の後輪6への伝動を断つとともに左右の後輪6を制動停止させた走行停止を行えるようになっている。
【0039】図2に示すように、操縦ハンドル11は、そのハンドル軸11Aに操縦ハンドル11の回動方向と同方向に左右揺動するように連動連結されたピットマンアーム50と、左右の各前輪5に一体操向揺動可能に連結されたナックルアーム51とが、左右のタイロッド52により連動連結されることによってステアリング機構Aを構成している。ステアリング機構Aは、その旋回方向への所定量以上の作動に連動して旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態を現出するように、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rに連動連結されている。つまり、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rは、ステアリング機構Aの旋回方向への所定量以上の作動に連動して旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態が現出されることにより、旋回内側の後輪6を強制的に減速駆動して左右の後輪6を作動させる減速作動装置Bとして機能するように、ステアリング機構Aに連係されている。
【0040】その連係構造について詳述すると、図2、図6及び図7に示すように、左右の連係機構44における各ロッド44Aのクラッチ・ブレーキ機構側から、左右のタイロッド52におけるピットマンアーム50の近傍箇所に亘って、左右のレリーズワイヤ53におけるインナーワイヤ53Aが、ロッド44Aとの間にステアリング機構Aの旋回方向への作動で弾性変形するバネ54を介装する状態で掛け渡されている。左右のレリーズワイヤ53におけるアウターワイヤ53Bは、その一端が、ピットマンアーム50の揺動支点から左右に延設された補助アーム50Aの各延出端に装備された受止部材55に、又、その他端が、機体フレーム7の右側において操作ペダル28L,28Rと右側のクラッチ・ブレーキ機構15Rとの間に位置するように配設された支持アーム56の両端に装備された受止部材55に受け止められるようになっている。左右のバネ54には、クラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの非伝動・非制動状態を現出した際に発生する皿バネ42による伝動状態現出側への付勢力よりも小さい値で弾性変形するものが採用されており、これによって、ステアリング機構Aの旋回方向への作動でクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rが非伝動・非制動状態及び制動状態に切り換わることを防止できるようになっている。
【0041】つまり、左右のレリーズワイヤ53、バネ54、ピットマンアーム50の補助アーム50A、支持アーム56、及び受止部材55によって、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15R(減速作動装置B)とステアリング機構Aとを連動連結する連動差動操作機構Cが構成されており、このように連動差動操作機構Cを構成することによって、ステアリング操作によるステアリング機構Aの旋回方向への所定量以上の作動に連動して、旋回内側のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態(減速伝動状態)を確実に現出することができて旋回内側の後輪6を強制的に減速駆動させることができるようになっている。尚、左右の連係機構44における各ロッド44Aは、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rのステアリング機構Aとの連動が可能となるように、左右の操作ペダル28L,28Rに対する前方側への移動が許容されている。
【0042】要するに、以上の構成から、旋回走行時には、操縦ハンドル11の旋回方向への所定量以上のステアリング操作に連動して、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15R(減速差動装置B)が、旋回内側の後輪6を強制的に減速駆動させて、左右の後輪6を、旋回内側の後輪6が旋回外側の後輪よりも低い駆動速度で駆動される状態で差動させるようになることから、小さい旋回半径での旋回走行を行えるようになり、これによって、水田での往復作業走行時には、次の植え付け走行列の始端位置への移動を容易に行えるようになっている。又、この旋回走行時においては、旋回内側の後輪6を強制的に減速駆動することによって、旋回内側の後輪6が少しずつ移動するようになることから、枕地旋回走行時に旋回内側の後輪6を駆動停止させる場合に発生する、旋回内側の後輪6による泥の掻き取り、を防止することができ、これによって、枕地旋回走行の際に圃場を傷める、あるいは、それによって往復作業走行後の枕地作業走行に悪影響を及ぼす、といった不都合の発生を回避できるとともに、泥の深いあるいは硬い水田においても円滑な枕地旋回走行を行えるようになっている。しかも、旋回走行時に、操縦ハンドル11の旋回方向への操作とともに、後輪6を作動させるための旋回内側の操作ペダル28L,28Rの踏み込み操作を行う必要がないので、操作性の面でも有利になっている。
【0043】図7〜9に示すように、連動差動操作機構Cにおいて、支持アーム56は、機体フレーム7に前後方向に天秤揺動自在に支持されるとともに、その左端には、下方向きに折り曲げられた側面視下向き台形状の非係合部56Aが装備されている。機体フレーム7には、支持アーム56の非係合部56Aに対して下方から係合する凹部57Aが形成された係合部材57が前後軸芯周りに上下揺動自在に装備されている。係合部材57は、機体フレーム7から係合部材57に亘って掛け渡されたバネ58によって下降揺動付勢されるとともに、乗用運転部1Aに装備された切換レバー59の操作によってバネ58の付勢に抗して上昇揺動するようにレリーズワイヤ60を介して切換レバー59に連係されており、切換レバー59の操作によって、凹部57Aが、支持アーム56の非係合部56Aに係合しない状態と、非係合部56Aの下端部に係合する状態と、非係合部56Aの上端部に係合する状態とに姿勢変更されるようになっている。凹部57Aは、支持アーム56の非係合部56Aにおける上端部に係合することによって支持アーム56の前後方向への天秤揺動を阻止し、かつ、非係合部56Aの下端部に係合することによって支持アーム56の前後方向への天秤揺動を所定範囲において許容する大きさに設定されている。
【0044】以上の構成から、係合部材57の凹部57Aを、支持アーム56の非係合部56Aにおける上端部に係合させて支持アーム56の天秤揺動を阻止するようにすると、連動差動操作機構Cが、操縦ハンドル11の旋回方向への所定量以上のステアリング操作に連動して、敏感に左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態を現出するようになることから、旋回外側の後輪6に対する旋回内側の後輪6の減速率を大きくすることができ、逆に、係合部材57の凹部57Aを、支持アーム56の非係合部56Aにおける下端部に係合させて支持アーム56の天秤揺動を所定範囲において許容するようにすると、連動差動操作機構Cが、操縦ハンドル11の旋回方向への所定量以上のステアリング操作に連動して、先ず、支持アーム56が許容された所定範囲内での天秤揺動を行い、その後、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態を現出するようになることから、旋回外側の後輪6に対する旋回内側の後輪6の減速率を小さくすることができ、更に、係合部材57の凹部57Aを、支持アーム56の非係合部56Aに係合させないようにすると、連動差動操作機構Cが、操縦ハンドル11の旋回方向への所定量以上のステアリング操作に連動して、支持アーム56を天秤揺動させるだけとなって左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態を現出しない連動解除状態になることから、旋回外側の後輪6に対する旋回内側の後輪6の減速率を零にすることができるようになっている。つまり、連動差動操作機構Cの支持アーム56、係合部材57、バネ58、切換レバー59、及びレリーズワイヤ60、によって、ステアリング機構Aの旋回方向への作動量に対する左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rによる旋回内側の後輪6の減速量を変更調節する減速量調節手段D、並びに、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rとステアリング機構Aとを連動させる状態と連動させない状態とに切り換える連動状態切換手段Eが構成されており、これによって、走行路面の状態や旋回形態などに応じて旋回走行時における旋回内側の後輪6の駆動トルクを上記の三状態に変更できるようになり、もって、走行路面の状態などを考慮した適切な小旋回走行の現出と通常の旋回走行の現出とを行えるようになっている。
【0045】例えば、水田走行時に比較して走行抵抗が小さくなる路上走行時においては、ステアリング機構Aの旋回方向への作動量に対する左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rによる旋回内側の後輪6の減速量を少なくすると、旋回内側の後輪6と旋回外側の後輪6との駆動差が小さくなって小旋回走行が行い難くなることから、ステアリング機構Aの旋回方向への作動量に対する左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rによる旋回内側の後輪6の減速量を大きくして旋回内側の後輪6と旋回外側の後輪6との駆動差を大きくすることによって、路上走行時に良好な小旋回走行を行えるようになる。逆に、路上走行時に比較して走行抵抗が大きくなる水田走行時においては、路上走行時と同様にステアリング機構Aの旋回方向への作動量に対する左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rによる旋回内側の後輪6の減速量を大きくすると、旋回内側の後輪6の駆動トルクが小さくなり過ぎて駆動停止に近い状態となり、枕地旋回の際に旋回内側の後輪6による泥の掻き取りが発生することを良好に防止することができなくなる虞があることから、ステアリング機構Aの旋回方向への作動量に対する左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rによる旋回内側の後輪6の減速量を小さくして旋回内側の後輪6の駆動トルクを大きくすることによって、水田走行時に旋回内側の後輪6による泥の掻き取りが発生しない良好な小旋回走行つまり枕地旋回走行を行えるようになる。殊に、旋回内側の後輪6の駆動トルクを大きくしていることによって、走行抵抗がかなり大きくなる泥の深い水田などにおいても、旋回内側の後輪6による泥の掻き取りが発生しない良好な枕地旋回走行を行えるようになる。又、路上走行時での左折や右折などのように小旋回走行を現出したくない状況においては、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rとステアリング機構Aとを連動させない状態に切り換えておくことによって、ステアリング機構Aの旋回方向への所定量以上の作動に連動して、旋回内側の後輪6を強制的に減速駆動する小旋回走行状態が不必要に現出されることを防止できるようになっている。
【0046】図10に示すように、走行機体1には、運転座席12の右側方に配備された植付クラッチレバー61(図1参照)の操作位置を検出する第一レバーセンサS1からの情報に基づいて、油圧シリンダ4に対する作動油の流動状態を切り換える電磁制御弁62、及び、苗植付装置2に対する伝動状態を切り換える植付クラッチ63を切り換え操作するクラッチモータ64の作動を制御する制御装置65が搭載されている。この制御装置65は、植付クラッチレバー61が「自動」位置に操作されている状態においては、操縦ハンドル11の右下に配備された操作レバー66(図1参照)の操作位置を検出する第二レバーセンサS2からの情報に基づいて、電磁制御弁62及びクラッチモータ64の作動を制御するように構成されている。又、制御装置65は、第一レバーセンサS1により植付クラッチレバー61の「自動」位置への操作が検出されている状態で、第二レバーセンサS2により操作レバー66による苗植付装置2の上昇指令操作が検出された場合には、枕地旋回走行が行われると判断するとともに、後車軸ケース22における筒状伝動ケース部25の左右両端上部にそれぞれ配備された電磁シリンダ67を、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rを操作するシフトフォーク43のアーム43Aに接当するように突出作動させることによって、左右の操作ペダル28L,28Rの操作により左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの制動状態が現出されることを防止するようになっている。
【0047】つまり、第一レバーセンサS1と第二レバーセンサS2によって、枕地旋回走行への移行を検出する枕地旋回検出手段Fが、又、制御装置65と左右の電磁シリンダ67によって、枕地旋回検出手段Fからの検出に基づいて、左右の操作ペダル28L,28Rの操作による左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの制動状態の現出を阻止する制動阻止機構Gがそれぞれ構成されており、この構成によって、枕地旋回時には、ステアリング機構Aと左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rとを連動差動操作機構Eによって連動連結していない場合においても、左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの半クラッチ状態を左右の操作ペダル28L,28Rの簡単な操作で現出し易くなるとともに、ステアリング機構Aと左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rとを連動差動操作機構Eにより連動連結している場合においては、枕地旋回の際に操縦者が誤って左右の操作ペダル28L,28Rを踏み込み操作しても、旋回内側の後輪6による泥の掻き取りが発生することを防止できるようになっている。
【0048】尚、図示は省略するが、左右の前輪5は、旋回走行時には、ディファレンシャルギヤ機構の作動により旋回外側の前輪5が増速されることによって差動するようになっている。
【0049】〔別実施形態〕
■ 水田作業車としては田植機以外の直播機などであってもよい。
■ 左右の後輪伝動系に、例えば、ギヤ式変速機構、ベルト式無段変速機構、あるいは静油圧式無段変速機構、などを装備して、減速差動装置Bを構成するようにしてもよい。
■ 連動差動操作機構Cとしては、減速量調節機構Dを装備しない構成(減速差動装置Bとステアリング機構Aとを連動させる状態と連動させない状態との切り換えのみが可能となる構成)、又は、連動状態切換機構Eを装備しない構成(ステアリング機構Aの旋回方向への作動量に対する減速差動装置Bによる旋回内側の後輪6の減速量の変更調節のみが可能となる構成)、あるいは、減速量調節機構Dと連動状態切換機構Eの双方を装備しない構成(単に減速差動装置Bとステアリング機構Aとを連動させた構成)のものであってもよい。又、連動差動操作機構Cとしては、左右のレリーズワイヤ53とロッド44Aとの間にバネ54を介装しない構成のものであってもよい。
■ 減速差動装置Bとステアリング機構Aとを連動差動操作機構Cで連動連結せずに、左右の操作ペダル28L,28Rの踏み込み操作あるいは他の操作によって、減速差動装置Bによる旋回内側の後輪6の減速駆動状態を現出するように構成してもよい。
■ 減速量調節機構D及び連動状態切換機構Eの構成としては種々の変更が可能なものである。例えば、減速量調節機構Dとしては、係合部材57の凹部57Aを、支持アーム56の非係合部56Aに対して、非係合部56Aの上端部から下端部に亘る範囲での任意の位置に係合できるように構成してもよい。
■ 枕地旋回検出手段Fとしては、枕地旋回走行への移行を検出するものであれば種々の変更が可能なものである。
■ 枕地旋回検出手段Fからの検出に基づいて、制動阻止機構Gが、左右の操作ペダル28L,28Rの操作による左右のクラッチ・ブレーキ機構15L,15Rの制動状態の現出を阻止するのに加えて、非伝動・非制動状態の現出をも阻止するように構成してもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)12月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−187720
【公開日】 平成11年(1999)7月13日
【出願番号】 特願平9−359350