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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】岡田 悟

【氏名】小山 実

【氏名】山田 隆史

【要約】 【課題】自走可能の走行機体の後方に植付装置を連結した田植機において、植付装置の各部に配設した多数のセンサと、運転部に設けた表示盤との間の信号線を1本にする。

【解決手段】植付装置の各部に配設した多数のセンサを通信ユニットに接続し、同通信ユニットを信号処理回路を介して表示盤に接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自走可能の走行機体(B) の後方に植付装置(D) を連結した田植機(A) において、植付装置(D) の各部に配設した多数のセンサを通信ユニット(52)に接続し、同通信ユニット(52)を信号処理回路(53)を介して表示盤(8) に接続したことを特徴とする田植機。
【請求項2】 上記通信ユニット(52)を植付装置(D) に設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項3】 上記通信ユニット(52)を走行機体(B) に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の田植機。
【請求項4】 上記表示盤(8) の表示に関し、苗載台への苗の補給に関係するセンサからの出力に基づく表示を優先することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、田植機での植付作業中に、植付装置の苗載台上の苗が不足すると、同苗載台に苗を補給して作業を続行することが行われているが、苗載台がオペレータの背後にあって、苗の残量を視認しにくいため苗載台に苗切れセンサを各植付条ごとに設け、同苗切れセンサを運転部の表示盤に接続して、苗が不足したことを報知するようにしている。
【0003】また、多条植の田植機では、一部の植付機構を休止して植付作業を行うために、各植付機構への動力伝達系にそれぞれユニットクラッチを設けており、この場合も、植付機構の状態を視認しにくいため、複数のユニットクラッチごとにユニットクラッチセンサを設け、同ユニットクラッチセンサを表示盤に接続して、同クラッチの断接状態を表示するようにしている。
【0004】また、走行機体に側条施肥機を設けた田植機があり、同施肥機の肥料の不足や詰まりを検出するために、施肥機に配設した複数のホッパに、それぞれ肥料切れセンサを設け、同肥料切れセンサを表示盤に接続して肥料の不足を報知し、複数の施肥ホースに、それぞれ肥料詰まりセンサを設け、同肥料詰まりセンサを表示盤に接続して肥料の詰まりを報知するようにしており、例えば、10条植の田植機では30個のセンサが表示盤に直接接続されていることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、全てのセンサが表示盤に直接接続されているため、センサと表示盤との間の信号線が非常に多くなり、配線構造が複雑化し、混信やノイズの影響を受けやすく信頼性が低下するという問題がある。
【0006】また、表示盤に、さして重要ではない不具合が先に表示されていると、後から入力された重大な不具合が表示されず、そのため、植付作業に支障を来すことがあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、自走可能の走行機体の後方に植付装置を連結した田植機において、植付装置の各部に配設した多数のセンサを通信ユニットに接続し、同通信ユニットを信号処理回路を介して表示盤に接続したことを特徴とする田植機を提供せんとするものである。
【0008】また、次のような特徴を併せ有するものである。
【0009】上記通信ユニットを植付装置に設けたこと。
【0010】上記通信ユニットを走行機体に設けたこと。
【0011】上記表示盤の表示に関し、苗載台への苗の補給に関係するセンサからの出力に基づく表示を優先すること。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施例は、自走可能の走行機体の後部に側条施肥機を搭載し、後方に植付装置を連結した田植機において、植付装置の各部に動力を伝達するユニットクラッチにユニットクラッチセンサを各部ごとに配設し、苗載台に苗マットの不足を検出する苗切れセンサを各植付条ごとに配設すると共に、側条施肥機の各ホッパに肥料切れセンサを配設し、各施肥ホースの近傍に肥料詰まりセンサを配設して、各センサからの信号線を通信ユニットに接続し、同通信ユニットを信号処理回路を介して運転部に配置した表示盤に接続して、各センサからの信号を通信ユニットで処理して信号処理回路に送り、信号処理回路で表示盤の当該箇所を駆動して不具合が発生した部分を報知すべく構成して、通信ユニットと信号処理回路間の信号線が1本で済み、しかも、信号伝達の信頼性を高めるようにしている。
【0013】また、植付作業上の重要度に応じて表示の優先順位を設定し、重大な不具合に対して早急な処置ができるようにしている。
【0014】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】図1は、本発明に係る田植機Aを示しており、同田植機Aは、自走可能の走行機体Bの後方に、3点リンク機構Cを介して10条植の植付装置Dを昇降自在に連結し、走行機体Bで植付装置Dを牽引走行しながら、圃場の田面に苗を植え付けるようにしている。
【0016】走行機体Bは、メインフレーム1の前後部下面に、それぞれ、左右両端に左右前車輪2を取付けた前車軸ケース3と、左右両端に左右後車輪4を取付けた後車軸ケース5とを配設し、メインフレーム1の前部上面に原動機部6を配置し、同原動機部6の後方に、ステアリングホイル7、表示盤8及び座席9等を具備した運転部10を設けている。
【0017】そして、前記原動機部6からの動力を、メインフレーム1の下面に配設したミッションケース11に伝達して変速し、同ミッションケース11からの動力を後車軸ケース5を介して左右後車輪4に伝達すると共に、ミッションケース11から前駆動軸12と前車軸ケース3とを介して左右前車輪2に動力を伝達するようにしている。
【0018】3点リンク機構Cは、走行機体Bの後部に立設したリンク取付基台15と、植付装置Dのフレームを兼ねる植付駆動ケース20の前端部に連設したリンク取付枠16との間に左右一対のロアリンク17と、トップリンク18とを架設し、走行機体Bの後部に配設した昇降機構19を上記ロアリンク17に連動連結して、植付装置Dを略平行移動させながら昇降作動させるようにしている。
【0019】植付装置Dは、10条植え可能に構成されており、植付駆動ケース20の上方に、10条分の苗マットを左右方向に並列して積載可能に形成した苗載台21を左右往復移動自在に配設し、上記植付駆動ケース20の後端部に左右方向に伸延した駆動軸ケース22を連設し、同駆動軸ケース22の後面に、5個の植付ケース23を所定間隔を保持して後方向に連設し、同植付ケース23の後端部左右側面にそれぞれローロータリケース24を軸着し、同ロータリケース24に植付爪25を装着して、計10個のロータリケース24の植付爪25で、苗載台21の上面に載置した苗マットから所定量の苗を採取して田面に植付けるようにしており、苗載台21に5個のユニットクラッチ26を配設して、各ユニットクラッチ26により2条分の縦送り機構とロータリケース24への動力伝達を断接させるようにしている。図中、13は予備苗台、27はセンタフロート、28はサイドフロート、29は左右一対のサイドマーカである。
【0020】また、前記座席9後方の走行機体B上面に、側条施肥機30を搭載しており、同側条施肥機30は、5個のホッパ31中に粉粒状の肥料を収納し、各ホッパ31の下方に繰出し装置32を連設し、各繰出し装置32に2本の施肥ホース33の基端を連通連結し、各施肥ホース33の先端に前記各フロート27,28 の側部に取付けた作溝ノズル34を連通連結すると共に、各繰出し装置32にブロワ35を連通連結して、繰出し装置32でホッパ31中の肥料を計量し、計量された肥料をブロワ35からの送風により、施肥ホース33と作溝ノズル34とを介し、計10条の植付苗の側方に施肥するようにしている。
【0021】特に、本実施例では、前記苗載台21に10個の苗切れセンサS1を配設して、苗載台21上の苗マットの残量を各条ごとに監視し、上記残量が予め設定した値よりも少なくなると、当該苗切れセンサS1からこの旨の信号を発するようにしている。
【0022】また、前記各ユニットクラッチ26に、それぞれユニットクラッチセンサS2を配設して、当該ユニットクラッチ26の断接状態を検出して信号を発するようにしている。
【0023】更に、前記側条施肥機30の5個のホッパ31にそれぞれ肥料切れセンサS3を配設して、各ホッパ31中の肥料の残量が予め設定した値よりも少なくなると、当該肥料切れセンサS3からこの旨の信号を発するようにすると共に、10本の施肥ホース33の近傍にそれぞれ肥料詰まりセンサS4を配設して、肥料の詰まりを検出すると、当該肥料詰まりセンサS4がこの旨の信号を発するようにしている。
【0024】図2は、表示盤8を示しており、同表示盤8正面の左側端部に、チャージ、予熱、水温、油圧、燃料の各状態を表示し、右側端部に走行速度を表示し、中央上部に方向指示及びサイドマーカの出入れ、速度感応型植深さ自動調節機構、ブレーキ連結の各状態を表示し、中央下部に積算稼働時間を表示するようにしている。
【0025】特に、表示盤8の中心部には、苗の植付けに関係する各状態を表示するようにしており、中心部左側は、上から植付け、ユニットクラッチ、肥料警報、肥料詰まり、エラーの各状態を表示するようにしており、特に、ユニットクラッチ、肥料警報、肥料詰まり、エラーの各表示域の左方にLED40を配置し、不具合が発生した部分に該当するLED40を点滅させてオペレータの注意を喚起するようにしている。表示盤8の中心上部は、苗継ぎ状態を表示し、中心下部右より液晶の7セグメントディスプレイ41を設けて、異常が発生している条番号を表示するようにしている。
【0026】図3は、前記各センサS1〜S4と表示盤8との間の信号伝達経路50の構成を示しており、上述した計30個のセンサS1〜S4からの信号線51を、全て通信ユニット52の入力側に接続し、同通信ユニット52の出力側を前記表示盤8を駆動する信号処理回路53に接続し、同信号処理回路53の出力側を表示盤8に接続している。
【0027】そして、各センサS1〜S4が発する信号を、予め設定した順序に従って、短い時間間隔で繰り返し通信ユニット52が読込み、読込んだ信号を予め設定したプロトコルに従いコード化して、発信元のセンサ識別記号を含むデジタル信号に変換し、このデジタル信号をシンプレックス通信で信号処理回路53に伝送し、信号処理回路53でデコードして、当該表示部のLED40を点滅させ、不具合が生じた条番号を7セグメントディスプレイ41に表示するようにしている。
【0028】また、上記表示盤8での表示の優先順位を、植付作業における重要度の順序に従って設定している。即ち、信号の発振元が異種のセンサの場合は、上位から下位に向かって、苗切れセンサS1、ユニットクラッチセンサS2、肥料切れセンサS3、肥料詰まりセンサS4の順で設定し、同種のセンサ間では条番号の小さい方を優先するように設定している。
【0029】上記のように、多数のセンサからの出力を通信ユニット52で受け、発信元のセンサ識別記号を含むデジタル信号に変換して、信号処理回路53に伝達するようにしているので、通信ユニット52と信号処理回路53との間の信号線が1本で済み、しかも、この1本の信号線だけを、ツイストペア線又は同軸ケーブルにするなどのノイズ対策を施せばよいので、配線構造を簡単にすることができる。
【0030】上記通信ユニット52は、植付装置D又は走行機体B後部のいずれにでも配設することができ、植付装置Dに配設した場合は、苗切れセンサS1とユニットクラッチセンサS2と通信ユニット52間の信号線を短くしてノイズを受けにくくでき、更に、走行機体Bと植付装置Dとの連結又は分離の際に、一本の信号線だけを接続又は分離すればよいので、この作業が簡易になる。
【0031】また、走行機体Bの後部に設けた場合は、前記苗切れセンサS1、ユニットクラッチセンサS2、肥料切れセンサS3及び肥料詰まりセンサS4のセンサ群と、通信ユニット52との間の信号線を、1本のワイヤハーネスに纏めて処理できる利点がある。
【0032】また、表示盤8の表示に優先順位を設定したことで、植付作業における重要度の大きい不具合が、他の部分の不具合に優先して表示されるので、重要部分の不具合を早期発見して処置することができ、植付作業を円滑に進めることができる。
【0033】図4は、他実施例の表示盤60を示しており、同表示盤60は、前述した表示盤8の下部を下方に拡張して、この拡張部分にメニュー画面を表示可能のタッチセンサパネル61を3個配設しており、目的のタッチセンサパネル61にタッチすると、上記メニュー画面に次の操作が指示され、この指示に従ってタッチセンサパネル61のいずれかにタッチすることで、目的の設定が行われるようにしている。
【0034】図5は、上記タッチセンサパネル61による設定操作の一例として、左右傾斜角度設定時のメニュー画面の変化を示しており、aは初期メニュー画面、bは左右傾斜を表示したタッチセンサパネル61にタッチした後のメニュー画面、cは自動を表示したタッチセンサパネル61にタッチした後のメニュー画面を示しており、右又は左下がりを表示したタッチセンサパネル61を一回タッチする度に、設定角度が1度づつ該方向に傾斜するようにしている。なお、メインメニューを表示したタッチセンサパネル61にタッチすると初期メニュー画面に戻るようにして、各部の設定操作を容易にしている。いる。
【0035】図6は、上記他実施例の表示盤60の拡張部分に、メニュー画面だけを設け、タッチセンサ部62を別途に設けたものを示しており、操作及び機能は上記他実施例の表示盤60と略同一である。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果を得ることができる。
【0037】請求項1記載の発明では、自走可能の走行機体の後方に植付装置を連結した田植機において、植付装置の各部に配設した多数のセンサを通信ユニットに接続し、同通信ユニットを信号処理回路を介して表示盤に接続したことによって、通信ユニットと信号処理回路との間の信号線が1本で済むので配線構造を簡単にでき、しかも、混信がなく、この1本の信号線だけにノイズ対策を施せばよいので、信頼性を高めることができる。
【0038】請求項2記載の発明では、上記通信ユニットを植付装置に設けたことにより、苗切れセンサ、ユニットクラッチセンサと、通信ユニットとの間の信号線を短くして、ノイズを受けにくくすることができ、更に、走行機体と植付装置との連結又は分離の際に、1本の信号線だけを接続又は分離すればよいので作業が簡単になる。
【0039】請求項3記載の発明では、上記通信ユニットを走行機体に設けたことによって、田植機の後部に側条施肥機を搭載した場合、前記植付装置の各センサと、側条施肥機に設けた肥料切れセンサ及び肥料詰まりセンサ等とを、1本のワイヤハーネスに纏めて通信ユニットに接続でき、配線を簡単にすることができる。
【0040】請求項4記載の発明では、上記表示盤の表示に関し、苗載台への苗の補給に関係するセンサからの出力に基づく表示を優先することによって、植付作業における重要度の大きい不具合が、他の部分の不具合に優先して表示されるので、重要部分の不具合を早期発見して処置することができ、植付作業を円滑に進めることができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開平11−168921
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−343352