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【発明の名称】 農用作業装置用昇降装置
【発明者】 【氏名】安田 真

【要約】 【課題】昇降シリンダの短縮作動によって四連リンク機構を解して苗植付装置を上昇させる昇降構造をもつものにおいて、横荷重を受けた場合にも横揺れを生じにくい四連リンク機構を構成する点にある。

【解決手段】昇降シリンダ12の短縮作動によって四連リンク機構11を介して苗植付装置2を上昇させるとともに、四連リンク機構11の左右一対の上リンク13,13の取付支点を、走行機体1の後端に立設した左右のブラケット33,33に対して、それら上リンク13,13を夫々左右ブラケット33の横外側方に位置させた状態で揺動自在に連結固定してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に四連リンク機構を介して取り付けた作業装置を昇降駆動する昇降シリンダを、収縮作動によって作業装置を上昇作動させるように走行機体と四連リンク機構とに亘って取り付けるとともに、走行機体の後部に対向する左右一対のブラケットを配置し、昇降シリンダの取付支点を左右ブラケット間に位置させ、四連リンク機構の一対の上リンクの取付支点を左右ブラケットの横外側に夫々位置させて、両支点を左右のブラケットに取付連結している農用作業装置用昇降装置。
【請求項2】 走行機体に四連リンク機構を介して取り付けた作業装置を昇降駆動する昇降シリンダを、収縮作動によって作業装置を上昇作動させるように、かつ、伸長作動によって作業装置を下降作動させるように、走行機体と四連リンク機構とに亘って取り付けるとともに、収縮作動した昇降シリンダのシリンダボデイとピストンロッドに亘って係合して昇降シリンダの伸長作動を規制する作動規制具を設けてある農用作業装置用昇降装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、乗用型田植機等の作業装置としての苗植付装置を自走機体に対して昇降させるための四連リンク機構を、昇降シリンダの収縮作動によって上昇作動させるべく構成してある農用作業装置用昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の作業装置の昇降に利用されている装置としては、従来、走行機体の後部に立設した左右一対のブラケットに対して、昇降シリンダの取付支点と四連リンク機構の一対の上リンクの取付支点を左右ブラケットの間に位置させて、連結していた(例えば、特開平9‐233906号公報)。
【0003】上記した昇降シリンダの収縮作動によって作業装置を上昇作動させる構成のものでは、昇降シリンダ及びその昇降リンク機構に対して主として軸荷重のみが作用するところから、昇降リンク機構を構成するリンクの部材を軽量小型化できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、上リンクとしてもあまり大きな部材を使用しなくて済むのであるが、一対の上リンクの取付支点を左右のブラケットの間に位置させて連結しているので、一対の上リンクの取付支点同士の間隔として大きくは採れず、昇降リンク機構を横方向に揺動させようとする横荷重に対する対抗力が十分でない面も見られた。
【0005】一方、上記のように、昇降シリンダを収縮させて昇降リンク機構を上昇させ、昇降シリンダを伸長させて昇降リンク機構を下降させる構成を採っているので、例えば、トラックなどに載せて田植機を運搬する際に、苗植付装置のフロートが荷台に当たって損傷することがないようにする必要がある。そこで、従来では、油圧シリンダの操作バルブを伸縮固定位置に操作して、フロートの底部などが荷台から浮いた状態に維持することで、フロートの底部などが荷台に当たらないようにしていた。
【0006】しかし、上記従来の技術によるときは、操作バルブを伸縮固定位置に操作することで苗植付装置の下降を阻止していたので、圧油の漏れに起因した苗植付装置重量による油圧シリンダの伸長が起こりやすく、その結果、知らないうちにフロートの底部などが荷台に当たっているという事態が発生し易いものであった。
【0007】本発明の第1の目的は、横荷重に対しても従来構成より対抗力を大きくできる農用作業装置用昇降装置を提供する点にある。本発明の第2の目的は、乗用型田植機を荷台に載せての運搬時における苗植付装置の不当な下降を防止する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】〔特徴〕請求項1に係る本発明の特徴構成は、走行機体に四連リンク機構を介して取り付けた作業装置を昇降駆動する昇降シリンダを、収縮作動によって作業装置を上昇作動させるように走行機体と四連リンク機構とに亘って取り付けるとともに、走行機体の後部に対向する左右一対のブラケットを配置し、昇降シリンダの取付支点を左右ブラケット間に位置させ、四連リンク機構の一対の上リンクの取付支点を左右ブラケットの横外側に夫々位置させて、両支点を左右のブラケットに取付連結している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】〔作用〕つまり、一対の上リンクの取付支点を左右のブラケットの横外側に夫々位置させて取付けているので、左右のブラケット間隔を変更せずに上リンク間隔を大きく採ることができる。これによって、両リンク間の長いスパンで四連リンク機構にかかる横荷重に対抗でき、十分な対抗力を持たせることができる。
【0010】〔効果〕従って、田植機等が作業中の旋回時や路上走行中の高速走行時等であっても、作業装置の横揺れを従来に比べて抑えることができるのである。また、昇降シリンダの取付支点をブラケット間の間に設定してあるので、上リンクの取付支点をもブラケット間に位置させている従来構成の場合のように昇降シリンダの取付支点と上リンクの取付支点とを同一軸芯で連結しなければならない、という構成を採る必要はなく、軸芯を異なる状態で取り付けることができる。このことは、ブラケットに対する取付位置を上リンクと昇降シリンダとで必ずしも同じ位置にする必要はなく、夫々の機能を発揮する上で選定される位置に取付固定すればよいことになる。
【0011】〔特徴〕請求項2に係る本発明の特徴構成は、走行機体に四連リンク機構を介して取り付けた作業装置を昇降駆動する昇降シリンダを、収縮作動によって作業装置を上昇作動させるように、かつ、伸長作動によって作業装置を下降作動させるように、走行機体と四連リンク機構とに亘って取り付けるとともに、収縮作動した昇降シリンダのシリンダボデイとピストンロッドに亘って係合して昇降シリンダの伸長作動を規制する作動規制具を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】〔作用〕つまり、作動規制具をシリンダボデイとピストンロッドの所定位置に係合させることによって、昇降シリンダを収縮状態に維持して、作業装置の下降が制限されて、運搬の揺れ等が加わっても積載面と接触することを防止できる。
【0013】〔効果〕従って、乗用型田植機を荷台に載せた場合の下降規制を確実に行ってフロートなどの損傷を防止できながらも、作動規制具をシリンダボデイとピストンロッドとに係合させるだけでそのような規制を行うことができるようになった。
【0014】
【発明の実施の形態】作業機の一例である乗用型田植機は、図1に示すように、走行機体1の後部に苗植付装置2(作業装置の一例)を昇降装置を介して昇降操作自在に連結して構成されている。走行機体1は、左右一対の操向駆動前輪3、左右一対の駆動後輪4、原動部5、操縦ハンドル6、運転席7を備えた乗用型のものである。苗植付装置2は、昇降装置にローリング自在に取り付けられるフレーム8に苗のせ台9、回転式植付機構10を取り付けた周知構造のものである。昇降装置は、走行機体1の後部に苗植付装置2を昇降自在に連結する四連リンク機構11と、この四連リンク機構11を昇降するための油圧式昇降シリンダ12とを備えている。
【0015】四連リンク機構11は、平行四連リンク機構であって、図2〜図4に示すように、走行機体1の後部に立設された左右一対の板状ブラケット33,33に対して第1横軸芯P1周りに回動自在に左右一対の上リンク13,13を連結し、この上リンク13,13の後端を植付装置取付け用の縦リンク14に第2横軸芯P2周りに回動自在に連結し、走行機体1の後部に第3横軸芯P3周りに回動自在に連結した左右一対の下リンク15の後端を縦リンク14に第4左右向き軸芯P4周りに回動自在に連結して構成されている。
【0016】上リンク13の前端を走行機体1の後部に回動自在に連結する手段は、左右一対の板状ブラケット33,33の後部に箱状の取付部33A,33Aを形成し、この箱状の取付部33A,33Aに左右一対の上リンク取付け用ボス16,16を横向きに取り付け、これら上リンク取付け用ボス16,16に夫々第1左右向き軸芯P1を構成する上リンク取付け用前部支軸17,17を支持させ、この上リンク取付け用前部支軸17,17に上リンク13,13の前端に固着の上リンク前部ボス13a,13aを第1左右向き軸芯P1周りに回動自在に外嵌して取り付ける手段である。ここに、上リンク前部ボス13a,13aを板状ブラケット33に対する取付支点となる。
【0017】上リンク13,13の後端を縦リンク14に回動自在に連結する手段は、第2左右向き軸芯P2を構成する上リンク取付け用後部支軸18を両端が左右外方に突出する状態で縦リンク14に支持させ、上リンク13の後端に固着の上リンク後部ボス13bを上リンク取付け用後部支軸18の左右の突出軸部の対応するものに第2左右向き軸芯P2周りに回動自在に取り付ける手段である。
【0018】下リンク15の前端を走行機体1の後部に回動自在に連結する手段は、板状ブラケット33,33の箱状の取付部33A,33Aに前記第3左右向き軸芯P3を構成する左右一対の下リンク取付け用支軸19を固着し、下リンク15の前端に固着した下リンク前部ボス15aを対応する下リンク取付け用支軸19に第3左右向き軸芯P3周りに回動自在に取り付ける手段である。
【0019】下リンク15の後端を縦リンク14に回動自在に連結する手段は、縦リンク14に長尺ボス20を固着し、この長尺ボス20に第4左右向き軸芯P4を構成する支軸21を挿通支持させ、下リンク15の後端に溶接で固着したリンクボス15bを前記支軸21のうち対応する突出端部に第4左右向き軸芯P4周りに回動自在に取り付ける手段である。
【0020】昇降シリンダ12は、長尺ボス20とリンクボス15bとの間に位置する状態で支軸21に枢支連結する左右一対のボス24Cを備えた二股状の引き上げ部材24を介して四連リンク機構11に作用するものである。昇降シリンダ12の前面には左右一対の取付ラグ12C,12Cが設けてあり、走行機体1の後部に立設された板状ブラケット33,33の取付部33A,33Aより内向きに突設されたボス33a,33aに亘って支軸36を架け渡し、昇降シリンダ12の取付ラグ12C,12Cに支軸36を挿通して、昇降シリンダ12を支軸36軸芯回りで揺動可能に支持してある。板状ブラケット33,33の間に位置させた取付ラグ12C,12Cを取付支点と称する。
【0021】ここで引き上げ部材24の取付構造について詳述すると、図2乃至図7に示すように、シリンダボデイ12Aの長手方向中間位置に左右一対の板状ブラケット12a,12aを左右に張り出す状態で立設するとともに、シリンダボデイ12Aにおける板状ブラケット12a,12aより90°離れた位置に一対の係止ピン12b,12bを立設してある。一方、引き上げ部材24においては、前面板24Aの中央に前後向き姿勢のボス24Bを固着するとともに、その左右に抜き孔24a,24aを形成する。引き上げ部材24の二股状部材先端に横向きボス24C,24Cを固着し、この横向きボス24C,24Cを下リンク15,15の後端に取り付けた横向きボス15b,15bの内側に位置させて、単一の支軸21を両ボス24C,24C,15b,15bに貫通させて、同一軸芯で引き上げ部材24の下端支点と下リンク15の下端支点とを連結するように構成する。
【0022】図3,図5乃至図7に示すように、昇降シリンダ12のピストンロッド12Bの先端に横向きのチャンネル型受け具25を螺子止め固定するとともに、この受け具25の左右位置に貫通孔を設け、この貫通孔には長さ調節用連結ロッド26,26を貫通させて、チャンネル型受け具25を引き上げ部材24に取り付けることができる。長さ調節用連結ロッド26,26には、一端に板状の連結部26Aが固着してあり、この連結部26Aには連結固定用の孔26aを形成してあり、他端にはネジ部が設けてありナット26Bを螺着してある。
【0023】以上のような構成によって、引き上げ部材24の二股状脚部の間にチャンネル型受け具25を入れ込んだ状態において、引き上げ部材24の前面板24Aに形成した抜き孔24a,24aを通して長さ調節用連結ロッド26,26をチャンネル型受け具25の対応する貫通孔よりネジ部を臨かせて、その臨いたネジ部にナット26B,26Bを螺着して締め付け固定できるようにしてある。引き上げ部材24の前面板24Aのボス部24Bを通して挿入したピストンロッド12Bの先端をチャンネル型受け具25の左右中心位置でその受け具25に螺子止め固定される。
【0024】そして、ピストンロッド12Bにおける引き上げ部材24の前面板24Aのボス部24Bとチャンネル型受け具25との間に位置する部分に板バネ27を複数個外嵌させて、この板バネ27によって引き上げ部材24の前面板24Aとチャンネル型受け具25とを離間させる方向に付勢力を作用させるようにしている。後記するように、長さ調節用連結ロッド26,26の板状の連結部26A,26Aを固定した状態で、連結ロッド26,26の他端に螺着したナット26B,26Bの締め込み調節によって、引き上げ部材24の前面板24Aとチャンネル型受け具25との間隔、つまり、板バネ27の付勢力を調節できるように構成してある。
【0025】次に、昇降シリンダ12のピストンロッド12Bが収縮状態より伸長作動しないように規制する作動規制具28について説明する。図5乃至図7に示すように、作動規制具28は、板部材をチャンネル状に折り曲げ形成しその先端よりフランジ部28a,28aを延出した本体フレーム28Aに、さらにフランジ部28b,28bを平行に延出して二重のフランジ部を設け、この左右夫々二つのフランジ部28a,28bを貫通する状態で係合ピン28Bを合計4本取付固定している。チャンネル状部の中高部外面に持ち上げ用把手28Cを取り付けてあり、同じく中高部外面にシリンダボデイ12Aに取付固定してある位置決め用の係止ピン12b,12bが係合する係合孔28c,28cが設けてある。
【0026】以上のような構成になる作動規制具28における4本の係合ピン28Bを、つまり、長手方向の一方側に位置する左右一対の係合ピン28B,28Bを、シリンダボデイ12Aに設けた板状ブラケット12a,12aの係合孔に差し込み係合させ、長手方向の他方側に位置する左右一対の係合ピン28B,28Bを、長さ調節用連結ロッド26,26の先端に固着した板状の連結部26A,26Aの係合孔26a,26aに差し込み抜け止めピン22で係合固定し、ピストンロッド12Bの伸長作動を規制し、調節用連結ロッド26,26の長さ内に昇降シリンダ12を収縮させて、作動を規制する状態にできる。ここに、上記した作動規制具28を、収縮作動した昇降シリンダ12のシリンダボデイ12Aとピストンロッド12Bに亘って係合して昇降シリンダ12の伸長作動を規制するものと称する。
【0027】次に、苗載せ台9の分割構造について説明する。図8及び図9に示すように、苗載せ台9としては8条用又は10条用等の多条用のものが使用でき、それらを分割するには、4条分づつ又は5条分づつに分けることになる。左右に分割される分割苗載せ台部分9A,9Bは、四連リンク機構11の後端に取り付けたフレーム29に対して左右端に揺動中心X,Xを設定した揺動アーム30,30を設ける。この揺動アーム30,30の先端に各分割苗載せ台部分9A,9Bを取り付けてある。尚、植付機構10についても左右に分割されることになり、各分割された植付機構部への動力供給構造等については省略してある。
【0028】各分割苗載せ台部分9A,9Bは揺動中心X,Xを中心として揺動するが、その駆動動力は、作業者が一方の分割苗載せ台部分9A,9Bを揺動駆動する人為的なものであってもよく、また、電動モータ等のアクチュエータを利用して非人為的に行ってもよい。そして、分割苗載せ台部分9A,9Bを分割させた場合には、各分割苗載せ台部分9A,9Bはその長手方向に沿った部分を機体の前後方向に沿った姿勢で苗載せ台9A,9Bが背中合わせになる。これが路上走行時等に利用される非作業姿勢の状態であるが、この非作業姿勢においては、図10に示すように、苗載せ台9の両端において張り出す摺動板保護フレーム31,31が後車輪4のラグ4Aに近接するので、これらが接触するのを回避する構成を採る必要がある。35は摺動板である。そこで、ここでは後車輪4用のフェンダー32を一体に延出して、この延出フェンダー部32Aを摺動板保護フレーム31と後輪4との間に位置させるように構成する。図8乃至10における34は、接地フロートである。
【0029】〔別実施形態〕上記実施の形態以外に、次のように変更して実施することができる。
■ 作業装置としては苗植付装置以外に、藺草等の米以外の他の作物の移植機に搭載される作業装置であってもよい。
■ 昇降シリンダ12としては、油圧式だけでなく電動式のものであってもよい。
■ 上記実施の形態では、四連リンク機構11として平行四連リンク機構を示したが、四連リンク機構11は平行四連リンク機構でなくても良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)12月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−168918
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−336825