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【発明の名称】 施肥装置
【発明者】 【氏名】横山 芳樹

【要約】 【課題】外側のメインタンク内に内タンクを収納した二重構造とし、メインタンク単体でも使用できるようにすると共に、内タンク底部の傾斜面の傾斜角を大きくして高粘度肥料にも対応可能とする。

【解決手段】施肥装置9は、走行機体4にメインタンク20を搭載していて、メインタンク20内に、底部に吐出口26aを有する内タンク26が着脱自在に装着されている。この内タンク26は、底部に水平面に対して上方に傾斜した傾斜面28a〜28cを有し、この傾斜面28a〜28cはメインタンク20の底部の傾斜面30よりも急な傾斜角に形成されている。そして、高粘度のペースト肥料を用いるときは、メインタンク20の内側に傾斜角の大きい傾斜面28a〜28cを有する内タンク26を装着することで、高粘度のペースト肥料は該内タンク26の急な傾斜面28a〜28cに沿って流下する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 肥料を貯蔵する肥料タンクを走行機体に搭載し、該肥料タンク内の肥料を底部の吐出口から圃場に施肥するようにした施肥装置において、前記肥料タンク内に、底部に吐出口を有する内タンクを着脱自在に装着し、該内タンクに、肥料を収納した肥料袋を切断するカッタ刃を設けた、ことを特徴とする施肥装置。
【請求項2】 前記カッタ刃を、前記内タンクの底部側でかつ内タンクの背面側に配置した、ことを特徴とする請求項1記載の施肥装置。
【請求項3】 前記カッタ刃を、前記内タンクの底部側でかつ内タンクの背面側に配置し、前記肥料袋の端部の一部を残して切断するようにした、ことを特徴とする請求項1記載の施肥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、田植機などの移動農機に装着された施肥装置に係り、詳しくは二重構造の肥料タンクを備えた施肥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の田植機は、例えば走行機体の後方にリンク機構を介して植付け部を昇降自在に連結したもので、該リンク機構を油圧シリンダ装置によって作動させることにより植付け部の昇降を制御するようにしているが、このような田植機には、苗の成育に不可欠な肥料の散布を行う施肥装置が装着されたものがある。
【0003】この施肥装置は、走行機体のバランスを考慮して前側にタンクを配置し、走行機体の運転席の下側に液状の肥料を送るポンプを配置し、このポンプから走行機体の後部に連設される肥料管の先端ノズルを植付け部のフロートに延設した構成となっている。
【0004】図6(a)(b)は、従来の肥料タンクの外観を示す図であり、該肥料タンクとしてのメインタンク20は、その底部になだらかな傾斜面30を有すると共に、吐出口20aを有し、上部開口端には蓋32が設けられている。また、前記吐出口20aの下方にはポンプ11が設けられていて、該ポンプ11により吐出口20aから肥料が吐出される。
【0005】ところで、近時肥料には、速効性と遅効性を備えた2段肥料により長期間に亙って持続性を有するものが用いられる傾向にあり、そのため用いられるペースト肥料は、肥料の粘度が高く流動性が低くなる傾向がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高粘度のペースト肥料では、メインタンク20内での肥料の流れを良くするために、該メインタンク20の底部の傾斜面30の水平面に対する傾斜角が、例えば30度以上は必要とされているため、前記傾斜面30の傾斜角を大きくすると、タンク容量が小さくなると共に、全体として外観上のデザインが悪くなる。
【0007】また、ペースト肥料を用いる場合、肥料袋をタンク内にセットし、底部を切断してペースト肥料を吐出させる必要があり、そのためのカッタ刃が必要となるが、その際、肥料袋をセットする前に肥料袋を切断したのでは、作業者の手が汚れる。更に、肥料の種類によっては、カッタ刃が必要な場合と不必要な場合との使い分けを行う必要もある。
【0008】本発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、外側の肥料タンク内に内タンクを収納した二重構造とし、該内タンクにカッタ刃を設けることで作業者が手を汚すことなく肥料袋の切断を行えるようにすると共に、カッタ刃が必要な場合と不必要な場合との使い分けを容易に行えるようにした施肥装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、上記目的を達成するために、本発明は、肥料を貯蔵する肥料タンク(20)を走行機体(4)に搭載し、該肥料タンク(20)内の肥料を底部の吐出口(20a)から圃場に施肥するようにした施肥装置(9)において、前記肥料タンク(20)内に、底部に吐出口(26a)を有する内タンク(26)を着脱自在に装着し、該内タンク(26)に、肥料を収納した肥料袋(50)を切断するカッタ刃(42)を設けた、ことを特徴とする。
【0010】また、本発明は、前記カッタ刃(42)を、前記内タンク(26)の底部(38)側でかつ内タンク(26)の背面側に配置した、ことを特徴とする。
【0011】更に、本発明は、前記カッタ刃(42)を、前記内タンク(26)の底部(38)側でかつ内タンク(26)の背面側に配置し、前記肥料袋(50)の端部の一部を残して切断するようにした、ことを特徴とする。
【0012】[作用]以上の発明特定事項において、施肥装置(9)は、走行機体(4)に肥料タンク(20)を搭載していて、この肥料タンク(20)内の肥料を底部の吐出口(20a)から圃場に施肥するものであるが、前記肥料タンク(20)内に、底部に吐出口(26a)を有する内タンク(26)が着脱自在に装着されている。
【0013】そして、この内タンク(26)の底部(38)に、肥料を収納した肥料袋(50)を切断するためのカッタ刃(42)が設けられていて、このカッタ刃(42)により、肥料袋(50)を内タンク(26)にセットした後に該肥料袋(50)を切断することが可能となり、作業者は手を汚すことなく簡単に肥料を吐出することができる。
【0014】なお、上述の括弧内の符号は、図面を参照するためのものであって、この発明の発明特定事項を何ら限定するものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお、前述した従来例と同一又は相当する部材には同一の符号を付している。
【0016】図1は、本発明に係る施肥装置が装着された乗用田植機を示す側面図、図2は、同上の平面図であり、同図1及び図2において、移動農機としての乗用田植機1は、前輪2及び後輪3により支持された走行機体4、及びこの走行機体4の後方部分にリンク機構5を介して植付け部6を備えたもので、走行機体4の前方部分にボンネット7に覆われてエンジン(図示せず)が配設されると共に、走行機体4の中間部分に運転席8が配設され、更に走行機体4の両側で運転席8の前方には、肥料を圃場に施肥するための施肥装置9が装着されている。
【0017】前記植付け部6は、折畳・展開可能の苗載せ台14と、この苗載せ台14から供給される苗を植え付けるプランタ15と、フロート13とを備えている。なお、ここでは施肥装置9として、半流動性のペースト肥料を用いた場合について説明する。
【0018】前記施肥装置9は、運転席8の前側に設けられ、図3に示すように、ペースト肥料を貯蔵する肥料タンクとしてのメインタンク20と、底部の吐出口20aに直接連設され、内部のペースト肥料を圧送するためのポンプ11と、このポンプ11によってペースト肥料を先端ノズル(図示せず)に送出する肥料管12とを備え、このノズルは、植付け部6を支えるフロート13の近傍に配設されている。
【0019】前記メインタンク20は、ボンネット7の左右側に夫々設けられてペースト肥料を貯蔵すると共に、これらのメインタンク20,20を連絡する細長状の連絡通路22を有し、底部の吐出口20aにバルブ開放具(図示せず)を有している。
【0020】前記連絡通路22の機体中央部付近には、肥料注入口24が設けられていて、この肥料注入口24から注入されたペースト肥料等は、連絡通路22を通って左右のメインタンク20に供給される。これにより、連絡通路22内にも肥料を貯蔵することができ、全体としてタンク容量の増加が図られている。
【0021】ところで、肥料として粘度の高いペースト肥料を用いる場合は、その流動性が低く、前記肥料注入口24から注入されたペースト肥料は、平坦な連絡通路22を経由してメインタンク20に供給されないおそれがある。
【0022】そこで、本実施の形態では、前記肥料タンク20内に、底部に吐出口を有する内タンクを着脱自在に装着している。
【0023】すなわち、図3及び図4に示すように、前記メインタンク20内には、底部に吐出口26aを有する内タンク26を着脱自在に装着されていて、この内タンク26の底部には、水平面に対して上方に傾斜した傾斜面28a〜28cが形成されている。そして、これら傾斜面28a〜28cの水平面に対する傾斜角θは、前記メインタンク20の底部の傾斜面30の水平面に対する傾斜角よりも大きく形成されている。これにより、高粘度のペースト肥料は、この傾斜の大きい傾斜面28a〜28cに沿って流下し、吐出口26a及び吐出口20aを通って下方に移動することになる。
【0024】また、前記内タンク26には、その上部開口側を開閉する蓋32が設けられている。すなわち、前記肥料注入口24から高粘度のペースト肥料を注入したとしても、該ペースト肥料の粘度が高く連絡通路22を通ってメインタンク20までは届かないため、この蓋32を開いて内タンク26に高粘度のペースト肥料を注入する。
【0025】なお、前記連絡通路22と対峙する側の内タンク26には、該連絡通路22を遮断するように遮蔽板27が形成されている。これは、例えば高粘度と低粘度のペースト肥料を使い分けて使用する場合には、高粘度のペースト肥料を用いるときは、前記連絡通路22を仕切り板等により仕切って低粘度のペースト肥料が内タンク26側へ侵入するのを防止する必要がある。しかし、その都度、仕切り板等にて仕切るのでは作業が煩雑となる。そこで、内タンク26を装着すると自動的に連絡通路22を遮断するようにして、使い分け作業を簡単化している。
【0026】また、本実施の形態において、前記内タンク26に、肥料を収納した肥料袋を切断するカッタ刃を設けている。
【0027】前記内タンク26は、その内壁から対向側に突設されたセパレータ34により、平面視において3個の肥料室36に区画されていて、これら各肥料室36にペースト肥料袋50が挿入セットされる。前記セパレータ34は、このペースト肥料袋50を一定の姿勢で保持することにより、後述するカッタ刃42により肥料袋50を切断し易くしている。
【0028】また、前記肥料室36の底部には、タンク内壁と一体の底壁38が形成されている。この底壁38は傾斜面をなし、その略々中央には小円形の開口部38aが形成されている。そして、この開口部38aと、前記内タンク26の吐出口26aとの間には、所定の空間40が形成されていて、この空間40を介して複数の開口部38aの夫々が互いに連通されると共に、これら開口部38aと前記内タンク26の吐出口26aとが連通される。
【0029】図5に示すように、前記肥料室36の底壁38の背面側には、平面視鎌形のカッタ刃42が配置されていて、このカッタ刃42は、上下方向に屈曲して延びる棒状のカッタ支持部材44と、該カッタ支持部材44と一体となって略々水平方向に延びるシャフト47により支持されている。
【0030】一方、前記内タンク26には、前記セパレータ34の側面近傍に該セパレータ34と一体的にシャフトガイド46が突設されていて、このシャフトガイド46には前記シャフト47が水平方向に摺動自在に挿通され、更にこのシャフト47には内タンク26の内壁との間に戻しスプリング48が装着されている。
【0031】また、前記底壁38の中腹には、切欠き溝39が形成されていて、この切欠き溝39に前記カッタ支持部材44が挿通され、前記カッタ刃42は前記底壁38の背面側に配置されている。更に、前記切欠き溝39の下方部には、円弧状の刃侵入溝41が形成されていて、カッタ刃42は、前記シャフト47への強制的な付勢力付与に基づく水平方向移動に伴い、この刃侵入溝41から開口部38aに向けて進出し、前記ペースト肥料袋50を切断する。また、前記付勢力を除くと、カッタ刃42はスプリング48の弾発力により自動的に元の位置に戻る。
【0032】前記カッタ刃42は、各肥料室36内に夫々収容されるペースト肥料袋50の先端口部を切断するためのもので、このカッタ刃42は、切断されたペースト肥料袋50の先端口部の切断片が肥料に混入しないように、開口部38aの中心に対し偏位して設けられている。このカッタ刃42により、肥料袋50の先端口部は、図4に示すように、底壁38の開口部38aの直径をbとすると、外周部から径方向に距離aだけ残して切断される。
【0033】このように構成された施肥装置9の作用について説明する。
【0034】圃場に苗を植え付けるには、乗用田植機1を走行させながら、苗載せ台14に載せられた苗を植付部6のプランタ15によって1束挾持し、このプランタ15のアームを旋回動作させ、圃場に所定間隔をもって苗を植付ける。
【0035】また、苗が植付けられた圃場にペースト肥料を施肥するには、低粘度のペースト肥料の場合は、肥料注入口24からメインタンク20に向けてペースト肥料を注入し、また、高粘度のペースト肥料の場合は、メインタンク20に内タンク26を装着し、蓋32を開放して内タンク26にペースト肥料を収納した肥料袋50を装着し、乗用田植機1を走行させながら、ポンプ11を動作させ、ペースト肥料を圃場に施肥する。
【0036】この高粘度のペースト肥料の装着方法は、内タンク26の各肥料室36に夫々ペースト肥料袋50をセットし、ペースト肥料袋50の下側端部をカッタ刃42によって切断して、内部のペースト肥料を各肥料室36の開口部38aから空間40を介して吐出口26a及び20aを経てポンプ11内に供給する。この場合、高粘度のペースト肥料は、内タンク26の急な傾斜面28a〜28cに沿って滞留することなく流下する。
【0037】その後、エンジンの回転に伴いポンプ11内のスクリュー軸(図示せず)を回転させ、ポンプ11内のペースト肥料がスクリュー軸等により肥料管12に圧送され、ノズル(図示せず)より圃場に施肥されることになる。こうして、走行機体4を走行させながら、植付部6によって苗を植付けた後の圃場に肥料管12を通してノズルに導かれるペースト肥料を施肥する。
【0038】ところで、前記内タンク26の底壁38の背面側にカッタ刃42が配置されているので、肥料袋50は該肥料袋50が内タンク26にセットされた後に切断されるため、作業者は手を汚すことがないと共に、作業者の手がカッタ刃に接触することもない。また、肥料袋50はその端部の一部を残して切断されるので、袋の切れ端が内タンク26内に残ることはない。
【0039】更に、前記内タンク26の各肥料室36の底壁38には、小円形の開口部38aが形成されているので、肥料室36にセットされたペースト肥料袋50は移動することなくそのまま位置保持され、セットした後の空袋又は肥料を使い切った後の空袋を容易に取り出すことができる。また、前記内タンク26は、メインタンク20に対して着脱自在であるため、施肥作業後に内タンク26のみを取り外して洗浄することもできる。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、外側の肥料タンク内に内タンクを収容した二重構造とすると共に、その内タンクに肥料袋切断用のカッタ刃を設けたので、肥料袋を内タンクにセットした後に該肥料袋が切断されるため、作業者は手を汚すことなく、しかも簡単に肥料袋の切断を行うことができる。
【0041】また、外タンクにはカッタ刃が設けられていないので、肥料タンク内に内タンクをセットするだけで、カッタ刃が必要な場合と不必要な場合との使い分けを容易に行うことができる。
【0042】請求項2記載の発明によれば、肥料袋切断用のカッタ刃を、内タンクの底部側でしかも内タンクの背面側に配置したことにより、内タンクに肥料袋をセットする際等に、作業者が不用意に内タンク内に手を入れたとしてもカッタ刃への接触を防止することができる。
【0043】請求項3記載の発明によれば、肥料袋切断用のカッタ刃を、内タンクの底部側でしかも内タンクの背面側に配置し、肥料袋の端部の一部を残して切断するようにしたので、袋の取り出しの際、該袋の一部を内タンク内に残さずに取り出すことができ、袋の切れ端による開口部の詰まりを防止することができると共に、肥料袋交換時の作業性の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開平11−155329
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−326649