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【発明の名称】 植物種子の播種装置
【発明者】 【氏名】渡辺 正支

【氏名】伊東 孜達

【要約】 【課題】播種ボックスを支持部材に支持したまま播種作業を行うことができる植物種子の播種装置を提供すること。

【解決手段】吸引機6を作動して植物種子を収容凹部2f内へ投入する。蝶ナット2kを回転して開閉弁を開け、吸引力を最大にする。一対の支持アーム3は互いに独立して揺動できるので、播種ボックス2を支持アーム3に支持したまま各方向へ傾けて、植物種子を吸着板2eの全域に行き渡らせることができる。吸引機6により吸着板2eの収容凹部2f側から閉鎖空間側へ空気が吸い込まれているので、植物種子は吸着板2eの各小孔2dに吸着される。吸着後、播種ボックス2を反転し、台座4に載置される播種用トレー5に重ね合わせ、蝶ナット2kを回転して吸引力を弱めると、各小孔2dから植物種子が播種用トレー5へ落下し、植物種子が播種される。このように播種ボックス2を支持アーム3に支持したまま播種作業を行うことができ、作業性を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の植物種子を育成するための播種用トレーが載置される台座部と、多数の植物種子を収容する播種ボックスと、その播種ボックスに収容される植物種子の一部を前記台座部に載置された播種用トレーへ一度に播種するために前記播種ボックスを回転可能かつ上下動可能に支持する支持部材とを備えた植物種子の播種装置において、前記支持部材は、回転可能に支持された前記播種ボックスの回転軸を更に傾斜可能に形成されていることを特徴とする植物種子の播種装置。
【請求項2】 前記支持部材は、前記播種ボックスの両側をそれぞれ支持する一対の支持アームを備えており、その一対の支持アームは独立して上下動できるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の植物種子の播種装置。
【請求項3】 前記播種ボックスは、立設された側壁と開放された上面とを有して凹状に形成された多数の植物種子を収容する収容凹部と、その収容凹部の底面を形成するとともに前記播種用トレーへ播種される複数の植物種子が吸着される複数の小孔が形成された吸着板と、その吸着板の裏面側であって前記収容凹部の反対面側の空間を閉鎖する閉鎖部材と、その閉鎖部材に形成され、その閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気を吸引するための吸引装置が接続される吸引口とを備えるとともに、前記収容凹部の一側壁には、その一側壁の全体にわたって前記吸着板と間隔を隔てて突設されるとともに、先端が前記吸着板側へ向けて垂設される植物種子の受け部材が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の植物種子の播種装置。
【請求項4】 前記播種ボックスは、植物種子を収容する収容凹部と、その収容凹部の底面を形成するとともに前記播種用トレーへ播種される複数の植物種子が吸着される複数の小孔が形成された吸着板と、その吸着板の裏面側であって前記収容凹部の反対面側の空間を閉鎖する閉鎖部材と、その閉鎖部材に形成され、その閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気を吸引するための吸引装置が接続される吸引口とを備えるとともに、前記吸引口には、その吸引口の開口量を調節するための調節部材が取着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の植物種子の播種装置。
【請求項5】 前記播種ボックスは、植物種子を収容する収容凹部と、その収容凹部の底面を形成するとともに前記播種用トレーへ播種される複数の植物種子が吸着される複数の小孔が形成された吸着板と、その吸着板の裏面側であって前記収容凹部の反対面側の空間を閉鎖する閉鎖部材と、その閉鎖部材に形成され、その閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気を吸引するための吸引装置が接続される吸引口とを備えるとともに、前記播種ボックスには前記吸着板を挿入するための挿入溝が形成されており、前記吸着板はその挿入溝を介して前記播種ボックスに着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の植物種子の播種装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、植物を育成するための播種用トレーへ複数の植物種子を一度に播種することができる植物種子の播種装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来、植物の種子を簡易に播種するための装置として、植物種子の播種装置が使用されている。この播種装置は、主に、台座部と、その台座部に揺動可能に取着された一対の支持アームと、その支持アームによって回転可能かつ上下動可能に支持される播種ボックスとを備えている。この播種ボックスには多数の植物種子が収容される一方、台座部には植物種子が播種される播種用トレーが載置される。播種用トレーは、格子状に区画された複数の凹部を有している。その播種用トレーの各凹部へ播種ボックスに収容された植物種子を1粒ずつ一度に播種するために、上記の播種装置が使用されるのである。
【0003】即ち、播種用トレーへ植物種子を播種する場合には、まず播種ボックス内へ複数の植物種子を投入し、播種ボックスをいろいろな方向へ傾けて、その投入された植物種子を播種ボックスの底面全域に行き渡らせる。播種ボックスの底面には、播種用トレーの複数の凹部に対応して複数の小孔が形成されており、この底面の裏面側には閉鎖空間が形成され、その閉鎖空間内の空気は播種ボックスに連結された吸引装置によって吸引されている。よって、播種ボックスを傾けて、多数の植物種子を播種ボックスの底面全域に行き渡らせることにより、植物種子が各小孔へ1粒ずつ吸着されるのである。
【0004】各小孔へ植物種子を吸着させた後、吸着されずに余った植物種子を回収する。その後、播種ボックスを一対の支持アームに載せて支持し、この支持アーム上で播種ボックスを反転させ各小孔に吸着された植物種子を下方に向けて配置する。この状態から一対の支持アームを揺動させて、播種ボックスを下方へ移動し、播種用トレーの上面へ重ね合わせる。その後、吸引装置による吸引を停止すると、各小孔へ吸着されていた植物種子が一斉に落下して、播種用トレーの各凹部へ植物種子が1粒ずつ一度に播種されるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、この播種装置の一対の支持アームは、互いに連結されており連動して揺動する。よって、支持アームに支持された播種ボックスを回転し又は上下動することはできるものの、その播種ボックスの回転軸を傾斜させるように傾けることはできない。このため播種ボックスを支持アームに支持した状態では、播種ボックス内へ投入された植物種子をその全域に行き渡らせることは困難である。植物種子を播種ボックスの全域に行き渡らせるためには、わざわざ播種ボックスを支持アームから取り外して傾斜させなければならないので、播種毎に、播種ボックスを支持アームから取り外したり、逆に、支持アームへ取り付けたりしなければならず、播種作業が煩雑になってしまうという問題点があった。
【0006】本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、多数の植物種子を収容する播種ボックスを支持部材に支持したまま、播種作業を繰り返し行うことができる植物種子の播種装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために請求項1記載の植物種子の播種装置は、複数の植物種子を育成するための播種用トレーが載置される台座部と、多数の植物種子を収容する播種ボックスと、その播種ボックスに収容される植物種子の一部を前記台座部に載置された播種用トレーへ一度に播種するために前記播種ボックスを回転可能かつ上下動可能に支持する支持部材とを備えており、前記支持部材は回転可能に支持された前記播種ボックスの回転軸を更に傾斜可能に形成されている。
【0008】この請求項1記載の植物種子の播種装置によれば、台座部に播種用トレーを載置する一方、播種ボックスを支持部材により支持し、その播種ボックス内へ多数の植物種子を投入する。播種ボックスは、支持部材により回転可能かつ上下動可能、更にその回転軸を傾斜可能に形成されているので、播種ボックスを支持部材に支持したままの状態で回転方向以外の方向へも傾けることができる。よって、播種ボックスをかように傾けることにより、植物種子が播種ボックスの全域に行き渡る。播種ボックスの全域に植物種子を行き渡らせた後に、その播種ボックスを反転し、これを台座部に載置された播種用トレーへ重ね合わせ、その播種用トレーへ複数の植物種子を一度に播種する。その後、播種用トレーを交換して前記の操作を繰り返すことにより、播種ボックスを支持部材に支持したまま、播種作業を繰り返すことができる。
【0009】請求項2記載の植物種子の播種装置は、請求項1記載の播種装置において、前記支持部材は、前記播種ボックスの両側をそれぞれ支持する一対の支持アームを備えており、その一対の支持アームは独立して上下動できるように形成されている。この請求項2記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1記載の播種装置と同様に作用する上、播種ボックスの両側を支持する一対の支持アームは独立して上下動できるように形成されているので、一方の支持アームを他方の支持アームより上方又は下方へ移動することにより、播種ボックスの回転軸が傾けられ、播種ボックスが回転方向以外の方向へ傾けられる。
【0010】請求項3記載の植物種子の播種装置は、請求項1又は2に記載の播種装置において、前記播種ボックスは、立設された側壁と開放された上面とを有して凹状に形成された多数の植物種子を収容する収容凹部と、その収容凹部の底面を形成するとともに前記播種用トレーへ播種される複数の植物種子が吸着される複数の小孔が形成された吸着板と、その吸着板の裏面側であって前記収容凹部の反対面側の空間を閉鎖する閉鎖部材と、その閉鎖部材に形成され、その閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気を吸引するための吸引装置が接続される吸引口とを備えるとともに、前記収容凹部の一側壁には、その一側壁の全体にわたって前記吸着板と間隔を隔てて突設されるとともに、先端が前記吸着板側へ向けて垂設される植物種子の受け部材が形成されている。
【0011】この請求項3記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1又は2に記載の播種装置と同様に作用する上、閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気は、吸引口に接続された吸引装置によって吸引されており、収容凹部の底面を形成する吸着板の小孔から空気が吸引された状態となっている。この状態で支持部材により支持された播種ボックスを傾けると、その播種ボックスの収容凹部に収容されている植物種子は吸着板上の全域を移動して、その吸着板に形成された各小孔へ吸着される。
【0012】その後、収容凹部の一側壁に形成された受け部材が下側に位置するように播種ボックスを支持部材上で反転させ、収容凹部の開放された上面を下方へ向ける。吸引装置による吸引は続けられているので、吸着板の各小孔へ吸着された植物種子は、落下することなく保持される。一方、吸着板の各小孔へ吸着されずに残った植物種子は、収容凹部の一側壁に形成された受け部材内に退避され、これも落下することがない。
【0013】この状態で播種ボックスを下方へ移動し、収容凹部の開放された上面を台座部に載置された播種用トレーの上面へ重ね合わせ、吸引装置の作動を停止あるいは各小孔への吸引力を弱める。すると、吸着板の各小孔へ吸着されていた複数の植物種子が播種用トレーへ落下して、一度に複数の植物種子が播種される。
【0014】播種後、播種ボックスを上方へ移動し反転させて、収容凹部の開放された上面を上方へ向けると、受け部材内に退避されていた植物種子が、再度、収容凹部の吸着板上に戻される。播種用トレーを交換し、更に吸引装置を作動あるいは弱められた吸引力を回復して、上記操作を繰り返すことにより、播種ボックスを支持部材に支持したまま、播種作業が繰り返される。
【0015】請求項4記載の植物種子の播種装置は、請求項1から3のいずれかに記載の播種装置において、前記播種ボックスは、植物種子を収容する収容凹部と、その収容凹部の底面を形成するとともに前記播種用トレーへ播種される複数の植物種子が吸着される複数の小孔が形成された吸着板と、その吸着板の裏面側であって前記収容凹部の反対面側の空間を閉鎖する閉鎖部材と、その閉鎖部材に形成され、その閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気を吸引するための吸引装置が接続される吸引口とを備えるとともに、前記吸引口には、その吸引口の開口量を調節するための調節部材が取着されている。
【0016】この請求項4記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の播種装置と同様に作用する上、閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気は、吸引口に接続された吸引装置によって吸引されており、収容凹部の底面を形成する吸着板の小孔から空気が吸引された状態となっている。この状態で支持部材により支持された播種ボックスを傾けると、その播種ボックスの収容凹部に収容されている植物種子は吸着板上の全域を移動して、その吸着板に形成された各小孔へ吸着される。その後、播種ボックスを支持部材上で反転させ、収容凹部を下方へ向ける。吸引装置による吸引は続けられているので、収容凹部を下方へ向けても、吸着板の各小孔へ吸着された植物種子は、落下することなく維持される。
【0017】この状態で播種ボックスを下方へ移動し、収容凹部を台座部に載置された播種用トレーの上面へ重ね合わせる。調節部材により吸引口の開口量を調節して、各小孔への吸引力を弱めると、吸着板の各小孔へ吸着されていた複数の植物種子が播種用トレーへ落下して、一度に複数の植物種子が播種される。播種後、播種ボックスを上方へ移動し、反転させて収容凹部を上方へ向ける。調節部材により吸引口の開口量を元に戻して、各小孔への吸引力を強くする。播種用トレーを交換した後に、上記操作を繰り返すことにより、播種作業が繰り返される。
【0018】請求項5記載の植物種子の播種装置は、請求項1から4のいずれかに記載の播種装置において、前記播種ボックスは、植物種子を収容する収容凹部と、その収容凹部の底面を形成するとともに前記播種用トレーへ播種される複数の植物種子が吸着される複数の小孔が形成された吸着板と、その吸着板の裏面側であって前記収容凹部の反対面側の空間を閉鎖する閉鎖部材と、その閉鎖部材に形成され、その閉鎖部材により閉鎖された空間内の空気を吸引するための吸引装置が接続される吸引口とを備えるとともに、前記播種ボックスには前記吸着板を挿入するための挿入溝が形成されており、前記吸着板はその挿入溝を介して前記播種ボックスに着脱自在に装着されている。
【0019】この請求項5記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の播種装置と同様に作用する上、吸着板は挿入溝を介して播種ボックスに着脱自在に装着されており、装着中の吸着板を抜き取れば、別の吸着板を装着することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である植物種子の播種装置の各部材を分離して示した斜視図である。図1に示すように、植物種子の播種装置1は、主に、多数の植物種子10を収容可能な播種ボックス2と、その播種ボックス2を支持する一対の支持アーム3,3と、その支持アーム3,3が取り外し可能に取着される台座4とを備えている。
【0021】播種ボックス2は、上面視が矩形状に形成された枠体2aを備え、この枠体2aの両側に一対の軸2b,2cが突設されている。枠体2aの厚さ方向における中間部には、貫通した複数の小孔2dを備えた吸着板2eが固着されており、この吸着板2eを底面として枠体2aと共に、播種ボックス2の上部には、収容凹部2fが形成されている。なお、本実施例の播種装置1では、各小孔2dの内径は0.3mmに形成されているので、外径が略0.5mmの植物種子10を吸着板2e内へ貫通させることなく、吸着板2eの表面に吸着することができる。
【0022】収容凹部2fのうち一対の軸2b,2cと同方向の一側には、その一側の全体に渡って種子受け部2gが形成されている。この種子受け部2gは、播種ボックス2を反転して収容凹部2fを下方へ向けた場合に、吸着板2eの小孔2dに吸着されずに残った植物種子10を収容して、その植物種子10が収容凹部2f外へこぼれ出てしまうことを防止するためのものである。この種子受け部2gは、図3(a)及び(b)に示すように、枠体2aの上端面から枠体2aの内方へ向けて突設された上板2g1と、その上板2g1の先端から吸着板2eへ向けて垂設された側板2g2とを備えている。側板2g2の先端は吸着板2eと所定の間隔を隔てて形成されているので、図3(a)の状態から播種ボックス2を矢印A方向へ回転して、図3(b)に示すように反転した場合、吸着板2eの小孔2dに吸着されずに残った植物種子10を種子受け部2g内に退避することができるのである。
【0023】枠体2aの最下面は、通孔等のない下壁2hにより閉鎖されている。このため吸着板2eの裏側面には、下壁2hと枠体2aと吸着板2eとにより閉鎖された閉鎖空間2iが形成されている。前記した一対の軸2b,2cは、中空の円筒状に形成されており、この閉鎖空間2iに対応する枠体2aの両側に内空間を連通して突設されている。図1に示すように、一方の軸2bの先端には蓋体2jが被せられて密封されており、図1及び図4に示すように、他方の軸2cには蝶ナット2k及び開閉弁2mが取着されている。開閉弁2mは蝶ナット2kの回転と同期して回転するように構成されている。よって、蝶ナット2kの回転角度を変更することにより、開閉弁2mの回転位置が変更され、軸2c内の開口量が調節されるのである。なお、図4の実線は、軸2cの開口量を最小にした状態、即ち、軸2cの開口が完全に閉鎖された状態を図示しており、2点差線は、軸2cの開口量を最大にした状態を図示している。
【0024】一対の支持アーム3,3は左右対称に形成されており、各支持アーム3,3の上部には、播種ボックス2の軸2b,2cをそれぞれ軸支する軸受け部3a、3aが形成されている。各軸受け部3a,3aの上端には切り欠け部3b,3bが形成されており、この切り欠け部3b,3bから播種ボックス2の一対の軸2b,2cが挿入される。なお、切り欠け3b,3b部は支持アーム3,3が揺動される範囲内において常に上方へ向かう位置に形成されている。また、軸受け部3a,3aの底部は円弧状に形成されており、軸受け部3a,3a内へ挿入された播種ボックス2が、その軸受け部3a,3a内でスムースに回転できるようにされている。
【0025】軸受け部3aの下方には、コ字状に形成されて剛性が大きくされたアーム部3cが連設されている。アーム部3cの下端は、保持プレート3dに固着され保持されており、保持プレート3dは、軸3eを介して、ベースプレート3fと揺動可能に連結されている。また、保持プレート3dとベースプレート3fとを連結する軸3eには、コイルバネ3gが巻着され、このコイルバネ3gによって軸3eを中心に、保持プレート3dとベースプレート3fとが互いに開脚する方向へ付勢されている。
【0026】台座4には、支持アーム3のベースプレート3fが嵌着される受け部4aが形成されており、この受け部4aへ支持アーム3のベースプレート3fを嵌着させることにより、支持アーム3が台座4へ取着される。前記したように、コイルバネ3gにより保持プレート3dはベースプレート3fに対して開脚する方向へ付勢されているので、ベースプレート3fを台座4へ取着することにより、保持プレート3dに固着されたアーム部3cが軸3eを中心に揺動可能となる。なお、一対の支持アーム3,3は、それぞれ独立して台座4に取着されているので、片方ずつ個別に揺動することができる。
【0027】台座4には、また、受け部4aの他に、播種用トレー5を載置するための載置部4bが形成されている。載置部4bは、支持アーム3が嵌着される受け部4aの位置と支持アーム3の長さとに合わせて配設されている。即ち、収容凹部2fが下方へ向けられた播種ボックス2を支持アーム3に支持した状態で下動した場合に、載置部4bに載置された播種用トレー5の上面と播種ボックス2の上面とが丁度重なる位置に、載置部4bが形成されている。この載置部4bの間隔は播種用トレー5が収容できる間隔とされており、更に、載置部4bの一側には播種用トレー5の横方向の位置を位置決めするための一対の凸部4c,4cが形成されている。
【0028】ここで、播種装置1の一部ではないものの、播種作業の際に使用される播種用トレー5について説明する。播種用トレー5は台座4の載置部4bに載置して使用されるものである。この播種用トレー5は、矩形状の外形を有し、その内部に格子状に区画された複数の容器体5aを備えている。各容器体5aは、例えば、12個×24個の合計288個形成されている。これら各容器体5aの数および位置は、播種ボックス2の吸着板2eに形成された小孔2dに合わせて形成されている。よって、播種ボックス2を播種用トレー5へ重ね合わせた状態で植物種子10を播種すると、植物種子10が全容器体5a内へ一度に播種されるのである。
【0029】次に、上記のように構成される播種装置1の動作を説明する。図2は、かかる播種装置1の各部材を組み合わせた状態の斜視図でる。図2に示すように、播種装置1は、台座4に嵌着された一対の支持アーム3,3に播種ボックス2を支持すると共に、その播種ボックス2の一方の軸2cに吸引機(例えば、掃除機)6を接続して組み立てられる。そして、各容器体5a内へ栽培用の土が入れられた播種用トレー5を台座4の載置部4bに載置すると、播種装置1の使用が可能となる。
【0030】播種作業にあたっては、まず、多数の植物種子10を播種ボックス2の収容凹部2f内へ投入し、吸引機6を作動させる。開閉弁2mが図3(a)および図4の2点差線に示す位置になるように蝶ナット2kを回転して、吸引機6から閉鎖空間2iに加わる吸引力を最大にする。この状態で、支持アーム3,3に支持された播種ボックス2を各方向へ傾け、収容凹部2f内の植物種子10を吸着板2eの全域に行き渡らせる。前記したように、支持アーム3,3は互いに独立して揺動できるように形成さているので、播種ボックス2を支持アーム3,3に支持したまま、矢印A及び反矢印A方向のみならず(図3(a)参照)、軸2b,2cが傾くように傾斜させることができる。よって、播種ボックス2を支持アーム3,3に支持したまま、収容凹部2f内の植物種子10を吸着板2eの全域に行き渡らせることができるのである。
【0031】播種ボックス2の一方の軸2bの先端は蓋体2jにより閉鎖され、他方の軸2cの開口は開閉弁2mにより最大に開放されている。よって、他方の軸2cに接続された吸引機6が作動すると、播種ボックス2の閉鎖空間2i内の空気が吸引され、吸着板2eの収容凹部2f側から閉鎖空間2i側へ空気が吸い込まれる。この状態で、播種ボックス2を各方向へ傾け、植物種子10を吸着板2eの表面全域へ行き渡らせると、吸着板2eの各小孔2dに植物種子10が1粒ずつ吸着される。本実施例の播種装置1では、吸着板2eの小孔2dは内径が0.3mmであるのに対し、使用する植物種子10の外径は略0.5mmであるので、吸着された植物種子10は小孔2d内へ入り込むことなく、その小孔2dの表面に止まるのである。
【0032】全ての小孔2dに植物種子10を1粒ずつ吸着させた後、図3(a)の矢印A方向へ播種ボックス2を回転して、図3(b)に示すように、開放された収容凹部2fが下方へ向かうように播種ボックス2を反転させる。この播種ボックス2の反転の際、吸着板2eの各小孔2dに吸着されずに残った植物種子10は、種子受け部2g内に収容(退避)されるので、収容凹部2fを下方へ向けても、残った植物種子10が播種ボックス2外へこぼれ落ちてしまうことはない。
【0033】播種ボックス2を支持アーム3,3に支持したまま下方(図3(b)の矢印B方向)へ移動し、台座4に載置された播種用トレー5に重ね合わせる。開閉弁2mにより軸2cの開口が閉鎖されるように、即ち、開閉弁2mが図4の実線で示される位置になるように、蝶ナット2kを回転する。すると、閉鎖空間2i内の空気の吸引力がゼロ又は弱められるので、吸着板2eの各小孔2dに吸着されていた植物種子10が播種用トレー5の各容器体5a内へ一斉に落下し、複数の植物種子10が一度に播種される。
【0034】その後は、播種ボックス2を前記と反対の上方(反矢印B方向)へ移動した後、播種用トレー5を交換する。更に、播種ボックス2を図3(a)の反矢印A方向へ反転して収容凹部2fを上方へ向け、軸2cの開口が最大となるように蝶ナット2kを回転する。すると、種子受け部2gに退避され残されていた植物種子10が吸着板2e上へ戻されると共に、吸着板2eの収容凹部2f側から閉鎖空間2i側へ空気が吸い込まれる状態となる。以降は、前記と同様の操作を繰り返すことにより、播種作業を繰り返すことができる。
【0035】なお、吸引機6の吸引力が強すぎるために、開閉弁2mにより軸2cの開口を全開にすると、吸引された植物種子10が各小孔2dへ食い込んでしまい、その開口を開閉弁2mにより閉鎖して吸引力をゼロにしても、植物種子10が播種用トレー5へ落下しない場合には、蝶ナット2kを操作して、軸2cの開口が全開しないようにして植物種子10の吸引を行えばよい。
【0036】このように本実施例の播種装置1によれば、播種ボックス2を支持アーム3,3に支持したまま、播種作業を繰り返し行うことができるので、播種作業の作業性を向上することができる。しかも、播種ボックス2の収容凹部2f内へ、一度に多数の植物種子10を投入することができるので、植物種子10の投入回数を少なくすることができる。更に、植物種子10を吸引する吸引力の調節は、播種ボックス2の軸2cに設けられた蝶ナット2kの操作により行われる。よって、作業姿勢をわざわざ崩すことなく、手元の操作で吸引力の調節を行うことができるのである。
【0037】次に、図5を参照して、第2実施例の播種装置11について説明する。第2実施例の播種装置11は、前記した第1実施例の播種装置1に対して、吸引力の調節手段を変更したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の番号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0038】図5(a)(b)に示すように、第2実施例の播種装置11では、第1実施例の蝶ナット2k及び開閉弁2mに代えて、閉鎖筒22及び3つの調節孔23を用いて軸21の開口量を調節して(吸引口の開口量を調節して)、吸引機6からの吸引力の調節を行っている。即ち、吸引機6が接続される播種ボックス20の軸21には、その軸21と同形状の閉鎖筒22が軸21の外周に周着されるとともに、3つの調節孔23が貫通形成されている。3つの調節孔23は軸21の長手方向に一列に配列されており、閉鎖筒22を図5(b)の矢印E及び反矢印E方向へスライドさせることにより、1つずつ閉鎖あるいは開放されるようにされている。この閉鎖筒22により閉鎖される調節孔23の数を多くすると吸引力が強められ、逆に、開放される調節孔23の数を多くすると吸引力が弱められるのである。
【0039】なお、調節孔23を2つ或いは4つ以上形成したり、軸21の長手方向における同位置に調節孔23を複数個形成するようにしても良い。また、調節孔23を1つの長穴状に形成し、閉鎖筒22により閉鎖される長穴の面積により吸引力を調節するようにしても良い。更に、閉鎖筒22に代えて、調節孔23を播種作業者の指により閉鎖するようにしても良い。
【0040】この第2実施例の播種装置11によっても、植物種子10の吸引力の調節を手元で行うことができるので、吸引機6を作動させたまま、植物種子10の吸引と播種作業とを繰り返し行うことができる。よって、播種作業の度に吸引機6をオンオフさせる必要がないので、作業姿勢を崩すことなく播種作業を繰り返すことができ、その作業性を向上することができるのである。また、第2実施例の播種装置11では、吸引力の調節は閉鎖筒22と調節孔23との単純な構成により行われるので、播種装置11の装置コストを低減することができるのである。
【0041】次に、図6を参照して、第3実施例の播種ボックスについて説明する。この播種ボックス30は、前記した第1及び第2実施例の播種装置1,11の播種ボックス2,20に対して、吸着板2eを取り外し可能に構成したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の番号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0042】図6(a)に示すように、第3実施例の播種ボックス30では、非吸引口である軸2bの突設された枠体2aの一面に、挿入口31が形成されている。この挿入口31は、枠体2aの上端と平行に、軸2bの上部側(収容凹部2f側)に穿設されており、吸着板2eより若干大きな細長矩形状とされている。また、図6(b)に示すように、枠体2aの内周には、挿入口31に沿って枠体2aの上端と平行に挿入溝32が形成されている。即ち、挿入口31が形成された面以外の枠体2aの3方の内周に、挿入溝32が形成されているのである。この挿入溝32の全内周には、挿入溝32内へ挿入された吸着板2eと枠体2a内周との隙間を埋めるために、ゴム等の密封部材33が周設されている。よって、吸着板2eを、挿入口31から挿入溝32に沿って、播種ボックス30内へ密封した状態で挿入することができるのである。
【0043】このように第3実施例の播種ボックス30では、吸着板2eを取り外し可能(着脱自在)に構成したので、小孔2dの内径が異なる吸着板2eを複数種類用意することにより、播種される植物種子10の種類(外径)に応じて、適した内径の小孔2dを有する吸着板2eを適宜使用することができる。即ち、外径の大きな植物種子10を播種する場合、吸着板2eの小孔2dの内径が小さいと、植物種子10を十分に吸着することができない。よって、かかる場合には、内径の比較的大きな小孔2dの吸着板2eを播種ボックス30に装着して播種作業を行うのである。一方、外径の小さな植物種子10を播種する場合、吸着板2eの小孔2dの内径が大きいと、植物種子10が小孔2d内へ入ってしまい、吸着板2eの表面に吸着することができない。よって、かかる場合には、内径の小さい小孔2dの吸着板2eを播種ボックス30に装着して播種作業を行うのである。従って、1の播種ボックス30を用いて、単に吸着板2eを交換するだけで、多種類の植物種子10の播種作業を行うことができるのである。
【0044】なお、吸着板2eの取り外しを容易にするために、吸着板2eが装着された状態においても、吸着板2eの一部が挿入口31から突出するように、吸着板2eを形成しても良い。この場合、かかる吸着板2eの突出部を引っ張ることにより、播種ボックス30から吸着板2eを容易に取り外すことができるのである。また、かかる吸着板2eの突出部に係合部を形成すれば、その係合部に他の部材を引っかけて、更に容易に吸着板2eを取り外すことができる。
【0045】以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0046】例えば、上記各実施例では、植物種子10の吸引力を調節する調節部材2k,2m,22,23は、いずれも吸引機6が接続される軸2c,21側に設けられた。しかし、これらの調節部材2k,2m,22,23を他の軸2b側、あるいは、両方の軸2b,2c,21側に設けるようにしても良い。
【0047】
【発明の効果】 請求項1記載の植物種子の播種装置によれば、多数の植物種子を収容する播種ボックスは、支持部材により回転可能かつ上下動可能、更にその回転軸を傾斜可能に形成されている。よって、播種ボックスを支持部材に支持したままの状態で回転方向以外の方向へも傾けることができ、植物種子を播種ボックスの全域に行き渡らせることができる。従って、播種ボックスを支持部材に支持したまま播種作業を繰り返し行うことができるので、播種作業を簡略化して、その作業性を向上することができるという効果がある。
【0048】請求項2記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1記載の播種装置の奏する効果に加え、播種ボックスの両側を支持する一対の支持アームは独立して上下動できるように形成されている。よって、一方の支持アームを他方の支持アームより上方または下方へ移動することにより、播種ボックスを支持部材に支持したままの状態で、その播種ボックスの回転軸を傾けることができるという効果がある。
【0049】請求項3記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1又は2に記載の播種装置の奏する効果に加え、多数の植物種子を収容する播種ボックスの収容凹部の一側壁には植物種子の受け部材が形成されている。よって、吸着板に形成された各小孔へ吸着されずに残った植物種子は、播種ボックスを反転して収容凹部を下方へ向けても、落下することなく、受け部材内に退避される。一方、植物種子の播種後、播種ボックスを反転して収容凹部を上方へ向けると、受け部材内に退避されていた植物種子は収容凹部の吸着板上へ戻される。よって、多数の植物種子を播種ボックスの収容凹部に入れたまま、播種作業を繰り返し行うことができるという効果がある。
【0050】請求項4記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の播種装置の奏する効果に加え、播種ボックスの閉鎖部材に形成された吸引口には、その開口量を調節する調節部材が取着されている。よって、その調節部材を操作して吸引口の開口量を調節することにより、吸引装置の吸引力を一定にしたまま、吸着板の各小孔へ加わる吸引力を強弱することができる。しかも、その調節部材は播種ボックスに形成された吸引口に取着されているので、作業者の手元に配置される。従って、作業者は作業姿勢を崩すことなく調節部材を操作して吸引力を調節することができ、播種作業を一層効率化することができるという効果がある。
【0051】ところで、吸着板の小孔の内径は播種される植物種子の外径に応じて決定されるものであり、このため播種される植物種子の種類(外径)毎に適した内径の小孔を有する吸着板を用意しなければならない。吸着板が播種ボックスに固着されていると、播種される植物種子の種類(外径)に応じて、その播種ボックスを丸ごと交換しなければならない。
【0052】しかし、この請求項5記載の植物種子の播種装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の播種装置の奏する効果に加え、吸着板は挿入溝を介して播種ボックスに着脱自在に装着されているので、装着中の吸着板を抜き取れば、別の吸着板を装着することができる。よって、小孔の内径が異なる吸着板を複数枚用意して、これらを播種される植物種子の外径に応じて播種ボックスに装着することにより、1の播種ボックスを用いて複数種類の植物種子を播種することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】591025082
【氏名又は名称】日泉化学株式会社
【識別番号】592247791
【氏名又は名称】愛知工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】兼子 直久
【公開番号】 特開平11−155310
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−322795