| 【発明の名称】 |
水田作業機 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮西 吉秀
|
| 【要約】 |
【課題】圃場面の泥硬さに対応した適正な高さに苗植付装置を維持して昇降制御を行い得る田植機を構成する。
【解決手段】苗植付装置の整地フロート15の前部位置の上下作動を計測するフロートセンサ42を備え、このセンサ42の計測結果に基づいて苗植付装置を昇降制御する制御装置を備えると共に、この整地フロート15を前後方向に変位自在に支持し、かつ、復元バネ48で前方に向けて付勢し、この整地フロート15が後方へ変位した際には、この変位と連動してフロートセンサ42の本体を操作して整地フロート15の目標姿勢を前下がり側に補正する操作ワイヤ49を備えた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に対して昇降自在に作業装置を連結し、この作業装置を昇降作動させるアクチュエータと、この作業装置に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持した接地フロートの揺動姿勢を計測する感知センサと、接地フロートの前部を下方に向けて付勢する感知バネとを備え、接地フロートの前部が基準姿勢から上方へ変位したことを前記感知センサで計測すると作業装置を上昇させ、又、接地フロートの前部が基準姿勢から下方へ変位したことを前記感知センサで計測すると作業装置を下降させるようアクチュエータを駆動する制御装置を備えた水田作業機であって、作業装置本体に対して接地体を支持し、この接地体に対する後方への移動力に対応して作業装置を上昇させる側への制御を行わせる補正手段を備えている水田作業機。 【請求項2】 前記接地体として前記接地フロートが兼用されると共に、この接地フロートを作業装置本体に対して前後方向に変位自在に支持し、かつ、この接地フロートを前方に向けて付勢する付勢手段を備え、前記補正手段が、この接地フロートの後方への変位量を前記感知センサに対して接地フロートの前部が上方に変位した際と同じ方向への操作力として伝える操作杆で構成されている請求項1記載の水田作業機。 【請求項3】 前記接地体として前記接地フロートが兼用されると共に、この接地フロートを作業装置本体に対して前後方向に変位自在に支持し、かつ、この接地フロートを前方に向けて付勢する付勢手段を備え、前記感知センサが、センサ本体と、このセンサ本体に対して回動操作自在に備えられた操作軸とで回動操作型に構成され、前記補正手段が、前記接地フロートの後方への変位と連動して接地フロートの目標姿勢を前下がり側に変位させるよう前記センサ本体の姿勢を変更する操作部材を備えて構成されている請求項1記載の水田作業機。 【請求項4】 前記接地体を作業装置本体に対して前後方向に変位自在に支持し、かつ、この接地体を前方に向けて付勢する付勢手段を備えると共に、この接地体の前後方向への変位量を計測する変位センサを備え、前記補正手段が変位センサで計測される接地体の後方への変位量が大きいほど前記接地フロートの目標姿勢を前下がり側に変位させる制御プログラムで構成されている請求項1記載の水田作業機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に対して昇降自在に作業装置を連結し、この作業装置を昇降作動させるアクチュエータと、この作業装置に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持した接地フロートの揺動姿勢を計測する感知センサと、接地フロートの前部を下方に向けて付勢する感知バネとを備え、接地フロートの前部が基準姿勢から上方へ変位したことを前記感知センサで計測すると作業装置を上昇させ、又、接地フロートの前部が基準姿勢から下方へ変位したことを前記感知センサで計測すると作業装置を下降させるようアクチュエータを駆動する制御装置を備えた水田作業機に関し、詳しくは、圃場面の状態に対応して昇降制御の形態を変更する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】上記のように構成された水田作業機として特開平7‐87813号公報に示されるものが存在し、この従来例では接地フロートの通過跡に接地する接地体と、接地フロートが通過しない圃場面に接地する接地体との2つの接地体を備え、夫々の接地体で計測される接地フロートの通過跡の溝跡の深さに基づいて圃場面の泥硬さを判別し、この判別結果に基づいて苗植付装置(作業装置)の昇降制御の感度を自動的に設定するものとなっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前述のように圃場面の泥硬さに基づいて苗植付装置の昇降制御の感度を自動的に設定するものでは、人為的に昇降制御の感度を設定するものと比較して作業者に煩わしさを感じさせずに適正な感度での昇降を行い得るものの、2つの接地体のレベル差に基づいて圃場面の泥硬さを計測するので、少なくとも2つの接地体を必要とするものとなり部品点数が多くなるという不都合がある。 【0004】又、従来例のように圃場面の泥硬さに基づいて苗植付装置の昇降制御の感度を自動的に設定するものでは、自動的に設定された昇降制御の感度が適正であるかどうかの判断を行えないものであり、例えば、昇降制御の感度が適正な値より低く設定された場合には接地フロートで泥土の押し流しを発生して既植苗の姿勢を乱す、あるいは、苗の植付深さが深くなり過ぎる不都合に繋がることもあり改善の余地がある。 【0005】本発明の目的は、圃場面の泥硬さに対応して適正な高さに作業装置を設定して昇降制御を行い得る水田作業装置を合理的に構成する点にある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は冒頭に記したように、走行機体に対して昇降自在に作業装置を連結し、この作業装置を昇降作動させるアクチュエータと、この作業装置に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持した接地フロートの揺動姿勢を計測する感知センサと、接地フロートの前部を下方に向けて付勢する感知バネとを備え、接地フロートの前部が基準姿勢から上方へ変位したことを前記感知センサで計測すると作業装置を上昇させ、又、接地フロートの前部が基準姿勢から下方へ変位したことを前記感知センサで計測すると作業装置を下降させるようアクチュエータを駆動する制御装置を備えた水田作業機において、作業装置本体に対して接地体を支持し、この接地体に対する後方への移動力に対応して作業装置を上昇させる側への制御を行わせる補正手段を備えている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0007】本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、点にあり、前記接地体として前記接地フロートが兼用されると共に、この接地フロートを作業装置本体に対して前後方向に変位自在に支持し、かつ、この接地フロートを前方に向けて付勢する付勢手段を備え、前記補正手段が、この接地フロートの後方への変位量を前記感知センサに対して接地フロートの前部が上方に変位した際と同じ方向への操作力として伝える操作杆で構成されているその作用、及び、効果は次の通りである。 【0008】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1において、前記接地体として前記接地フロートが兼用されると共に、この接地フロートを作業装置本体に対して前後方向に変位自在に支持し、かつ、この接地フロートを前方に向けて付勢する付勢手段を備え、前記感知センサが、センサ本体と、このセンサ本体に対して回動操作自在に備えられた操作軸とで回動操作型に構成され、前記補正手段が、前記接地フロートの後方への変位と連動して接地フロートの目標姿勢を前下がり側に変位させるよう前記センサ本体の姿勢を変更する操作部材を備えて構成されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0009】本発明の第4の特徴(請求項4)は請求項1において、前記接地体を作業装置本体に対して前後方向に変位自在に支持し、かつ、この接地体を前方に向けて付勢する付勢手段を備えると共に、この接地体の前後方向への変位量を計測する変位センサを備え、前記補正手段が変位センサで計測される接地体の後方への変位量が大きいほど前記接地フロートの目標姿勢を前下がり側に変位させる制御プログラムで構成されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 【0010】〔作用〕上記第1の特徴によると、機体の走行時には接地体に対する後方への移動力に対応して補正手段が作業装置を上昇させるものとなり、この移動力は泥の硬さと、接地体を圃場面に押し付ける力とに正比例するものとなる。ここで、接地体が圃場面に対して想定された値より強く押し付けられている場合を考えるに、接地体が圃場面に沈み込んで圃場面から強い抵抗を受けて想定された値以上の移動力が作用するものとなり、その結果、補正手段が作業装置を上昇させる制御を行わせるので、接地体あるいは接地フロートで泥土の押し流しを発生させる不都合を発生させることがない。 【0011】上記第2の特徴によると、特別に接地体を備えずとも接地フロートを兼用できるので部品点数が少なくて済み、接地フロートの後方への変位時には昇降制御用の感知センサを補正手段としての操作杆が操作して作業装置を上昇させる制御を行うので、特別に制御系を備えずに済むものとなる。 【0012】上記第3の特徴によると、特別に接地体を備えずとも接地フロートを兼用できるので部品点数が少なくて済み、接地フロートの後方への変位時には昇降制御用の感知センサを補正手段としての操作部材が感知センサの本体の姿勢を変更して接地フロートの目標姿勢を前下がり側に変位させることで、作業装置は上昇作動するものとなり、特別の制御系を備えずに済むばかりでなく、このように目標姿勢が前下がり側に変位した場合には感知バネから接地フロートに作用する荷重が軽減されるので、接地フロートを圃場面に押し付ける現象を回避できるものとなる。 【0013】上記第4の特徴によると、接地体が後方に変位した場合には変位センサが変位量を計測して、変位量が大きいほど補正手段が接地フロートの目標姿勢を前下がり側に変位させるので、感知バネから接地フロートに作用する荷重が軽減され、接地フロートを圃場面に押し付ける現象を回避できるものとなる。 【0014】〔発明の効果〕従って、昇降制御の感度が低く設定されていても、圃場面の泥硬さが想定された値より軟質であっても、圃場面の泥硬さに対応して適正な対圃場面高さに作業装置を設定して接地体あるいは接地フロートで泥押しを発生させることのない昇降制御を行う水田作業装置が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、部品点数を増大させることなく単純な構造であり乍ら作業装置を昇降作動させる系を利用して作業装置を適正な対地高さに維持できるものとなり(請求項2)、部品点数を増大させることなく単純な構造であり乍ら作業装置を昇降作動させる系を利用して自動的に昇降制御感度を設定して作業装置を適正な対地高さに維持できるものとなり(請求項3)、専用のセンサを利用することで接地体の後方への変位量を精度高く計測して精密な昇降制御を可能にするものとなった(請求項4)。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の前部にエンジン4からの動力がベルト式の無段変速装置Vを介して伝えられるミッションケース5夫々を配置し、又、走行機体3の中央部にステアリングハンドル6と運転座席7とを配置し、走行機体3の後端部に対しアクチュエータとしてのリフトシリンダ8で駆動昇降操作される平行4連型のリンク機構9を介し作業装置としての苗植付装置Aを連結して水田作業機としての田植機を構成する。 【0016】苗植付装置Aは、走行機体3からの動力が伝えられる伝動ケース10と、この伝動ケース10からの動力が伝えられる複数のチェーンケース11と、夫々のチェーンケース11の後部に備えられたロータリケース12と、ロータリケース12夫々に一対ずつ備えられた植付アーム13とを備えると共に、マット状苗Wを載置する苗載せ台14と、接地フロートとしての複数の整地フロート15を備えて構成され、植付作動時には苗載せ台14に載置したマット状苗Wの下端から植付アーム13に備えた植付爪が苗を1株ずつ切り出して圃場面Sに植え付ける作動を行うよう構成されている。 【0017】運転座席7の右側部には苗植付装置Aの昇降と前記ミッションケース5に内蔵した植付クラッチ(図示せず)の入り切り操作とを行う昇降レバー16を備え、運転座席7の前部位置のメータパネルの左側方に主変速レバー17を備え、このメータパネルの右側部位置に図2に示す如く、エンジン4の回転速度を設定するアクセルレバー18と副変速レバー19とを配置してある。又、主変速レバー17はミッションケース5のギヤ式の変速装置を操作することで前後進の切換と、前進速度の高低2段の切換とを機械的に行うよう構成され、副変速レバー19は前記無段変速装置Vを変速操作するよう構成されている。 【0018】図3に示すように前記無段変速装置Vは、エンジン4の出力軸4Aに備えたベルト巻回径変更自在な出力プーリ21と、ミッションケース5の入力軸5Aに備えたベルト巻回径変更自在な入力プーリ22と、夫々に巻回する無端ベルト23と、両プーリ21,22のベルト巻回半径を同時に調節する操作機構24と、この操作機構24をロッド25を介して操作する電動シリンダ26とを備えて構成され、変速系の中間位置にポテンショメータ型の変速センサ27が介装されている。 【0019】前記複数の整地フロート15のうち左右方向で中央位置のものを苗植付装置Aの圃場面Sに対する相対高さを計測する接地フロートとして構成してある(接地体にも兼用されている)。つまり、図4〜図6に示すように植付深さ調節軸29と一体揺動するアーム30の揺動端位置に横向き姿勢の支軸31を備え、この支軸31を整地フロート15の後部位置の支持部材32の前後方向に長手方向が沿う長孔32Aに貫通配置し、又、この整地フロート15の前部位置のブラケット33と苗植付装置Aのフレーム34との間に屈折自在に構成されたリンク部材35を介装することで、整地フロート15が支軸31の軸芯P周りでの揺動と、長孔32Aに沿う方向への変位とを許す状態で支持されている。 【0020】前記植付深さ調節軸29を回動操作する植付深さ調節レバー36が備えられ、この植付深さ調節レバー36に備えた係止片36Aとの係合によって該レバー36の操作位置を保持するレバーガイド37が中間プレート38を介して苗植付装置Aのフレーム34に支持されている。又、中間プレート38の前面位置に平行四連型のリンク機構39を介して上下移動自在に支持プレート40が備えられ、植付深さ調節レバー36の基端部に備えたピン41とリンク機構39とを連係することで植付深さ調節レバー36の操作と連動する整地フロート15の上昇と連動して支持プレート40を上昇させ、逆に、整地フロート15の下降と連動して支持プレート40を下降させるよう連係関係が設定されている。又、支持プレート40に対してセンサ本体42Aと操作軸42Bとを備えて成るポテンショメータ型のフロートセンサ42(感知センサの一例)を備え、センサ本体42Aは支持プレート40と中間部材43とに挟み込まれる状態で操作軸42Bの軸芯Qと同軸芯周りで回動自在に支持されている。又、フロートセンサ42の操作軸42Bに連結する操作アーム44と前記ブラケット33との間に整地フロート15の上下作動を伝える操作杆45を上端ほど後方に位置する傾斜姿勢で介装し、この操作アーム44と支持プレート40の上端位置との間に該操作アーム44を下方に付勢する圧縮バネ型の感知バネ46を備えている。 【0021】又、支持部材32の後方位置の整地フロート15に一体形成した係止部材47と支軸31との間に付勢手段としての引っ張りコイル型の復元バネ48を備えることで支軸31を長孔32Aの後端側に引き付勢してあり、又、支軸31にアウタワイヤ49Aの端部を支持し、係止部材47にインナワイヤ49Bの端部を支持した操作部材としての操作ワイヤ49のインナワイヤ49Bの他方の端部をセンサ本体42Aに形成したアーム42Cに連結し、この側のアウタワイヤ49Aの端部を支持プレート40に支持することで、整地フロート15が後方に変位した際にセンサ本体42Aを軸芯Q周りで回動操作して操作アーム44の揺動端が下方に向かう姿勢に切換るよう(整地フロート15の目標姿勢が前下がり側に変化する姿勢となるよう)連係関係が設定されている。尚、この整地フロート15が後方へ変位した場合には操作ワイヤ49からの操作力で前述のようにセンサ本体42Aが回動操作されると同時に、操作杆45がフロートセンサ42の操作アーム44を上昇制御側に操作するので反応の良い制御を可能にするものとなっている。そして、操作ワイヤ49を有する系で補正手段が構成されている。 【0022】この田植機では支軸31の軸芯P周りでの整地フロート15の揺動姿勢を目標姿勢に維持するよう苗植付装置Aの昇降を行うことで苗植付装置Aの対圃場面高さを維持する制御装置51を備えている。つまり、図8に示すように、制御装置51はマイクロプロセッサを備えて構成され、この制御装置51に対して前記昇降レバー16の操作位置を計測するレバーセンサ52、ダイヤル53で回動操作されるポテンショメータ型の感度設定器54、前記フロートセンサ42、前記変速センサ27、前記アクセルレバー18の設定位置を計測するポテンショメータ型のエンジン回転数センサ55夫々からの信号が入力する入力系が形成されると共に、前記リフトシリンダ8を制御する電磁操作型の制御弁56と、前記電動シリンダ26に対する電力を制御するリレースイッチ57とに信号を出力する出力系が形成されている。尚、制御弁56はソレノイドに対する電流値に対応した開度を得るよう構成され、制御装置51はデューティサイクルの変更でPWM式に制御弁56の電磁ソレノイドに対する電流値を制御し得るよう制御動作が設定されている。 【0023】そして、この制御装置51は予めセットされたプログラムに基づいて以下のように昇降制御が行われるものとなっている。つまり、図9のフローチャートに示すように、先ずエンジン回転数センサ55からの信号と変速センサ27からの信号とに基づいて機体3の実走行速度を求めて補正値を設定する(#101〜#103ステップ)。次に、感度設定器54からの信号を入力し、この入力信号と補正値とに基づいて制御目標を設定し、この制御目標を基準に形成される不感帯とフロートセンサ42からの信号値とを比較し、フロートセンサ42からの信号が不感帯の域内にある場合には昇降制御を行わず、不感帯の域外にある場合には制御弁56の開度をフロートセンサ42からの信号と制御目標との偏差にが大きいほど大きくなるよう設定して制御弁56の制御を行って苗植付装置Aの昇降を行うものとなっている(#104〜#108ステップ)。 【0024】図7(イ)に示すように、制御目標は支軸32の軸芯P周りでの整地フロート15の目標姿勢Eと対応するものであり(フロートセンサ42の操作アーム44の揺動姿勢eと対応する)、図7(ロ)に示す如く、整地フロート15の姿勢が目標姿勢Eから前上がり側に変位した場合には、この変位をフロートセンサ42が計測し、この姿勢が不感帯の域外に達している場合には苗植付装置Aを上昇させ、逆に、整地フロート15の姿勢が目標姿勢Eから前下がり側に変位した場合には、この変位をフロートセンサ42が計測し、この姿勢が不感帯の域外に達している場合には苗植付装置Aを下降させるよう制御方向が設定されている。又、目標姿勢Eは感度設定器54の設定値に基づいて設定されるものであり、ダイヤル53を「鈍」の側にセットした場合には整地フロート15の目標姿勢Eを前上がり側に変化させて感知バネ46から整地フロート15に作用する付勢力を高めて整地フロート15の揺動を抑制し、ダイヤル53を「敏」の側にセットした場合には整地フロート15の目標姿勢Eを前下がり側に変化させて感知バネ46から整地フロート15に作用する付勢力を低減して整地フロート15の揺動を生じやすくするものとなっている。このことから、圃場面Sの泥土が硬質の場合には感度設定器54のダイヤル53を「鈍」の側にセットすることで圃場面Sの小さな凹凸の影響を排除した昇降制御を可能にし、圃場面Sの泥土が軟質の場合には感度設定器54のダイヤル53を「敏」の側にセットすることで圃場面Sのレベル変化を感度良く捉えて昇降制御を行い得るものとなっている。 【0025】尚、機体3の実走行速度が高速である場合には圃場面Sの泥土からの押し上げ力で整地フロート15の前部を持ち上げる力が強く作用するものであるが、この持ち上げによる整地フロート15の姿勢変化を抑制するよう目標姿勢Eを整地フロート15の姿勢を前上がり側に補正することで感知バネ46から整地フロート15の前部に作用する付勢力を高めるよう前記フローチャートにおける補正値が設定されるものとなっている。 【0026】更に、感度設定器54で昇降制御の感度を設定する際に、例えば、感度設定器54のダイヤル53を圃場面Sの泥土の硬さを越えて「鈍」の側に設定した場合のように整地フロート15が圃場面Sに沈み込む状況では、図7(ハ)に示す如く、機体3の走行に伴って圃場面Sから整地フロート15に作用する抵抗で整地フロート15が後方に変位するものとなり、この結果、操作ワイヤ49からの操作力でセンサ本体42Aが整地フロート15の目標姿勢Eを前下がり側に変更する側に回動操作されて制御感度が「敏」の側に変更された状態での制御形態となると同時に、整地フロート15が後方に変位することに起因して操作杆45がフロートセンサ42の操作アーム44を苗植付装置上昇側に操作するので、苗植付装置Aを上昇させる制御が高い感度で行われるものとなっている。 【0027】このように、本構成の田植機では制御感度が適切に設定されず誤って「鈍」側に設定された場合、あるいは、圃場面Sの泥土が局部的に軟質である場合ように接地フロート15が泥面に沈み込む状況を発生した際には、圃場面Sから整地フロート15に作用する抵抗によって整地フロート15が後方に変位し、この変位力がセンサ本体42Aを整地フロート15の目標姿勢Eを前下がり側に変更する方向、即ち、制御感度を敏感にする方向に操作することで苗植付装置Aの上昇を行わせると同時に、整地フロート15の後方への変位に連動してフロートセンサ42の操作アーム44を上昇制御側に操作する操作によって一層敏感な制御状態で苗植付装置Aの上昇を行わせて整地フロート15の圃場面Sに対する沈み込みを解消して適正な対圃場面高さに整地フロート15を維持し、かつ、適正な制御感度での苗植付装置Aの昇降制御を可能にすると共に、整地フロート15の泥押しによる泥の流れで既植苗の姿勢を乱す等の不都合の発生を抑制し得るものとなっている。 【0028】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態以外に、例えば、図10,図11に示すように構成することも可能である。つまり、前記実施の形態のように操作ワイヤ49を備えずに接地フロート15の後方への変位量を計測するポテンショメータ型の変位センサ60を備え(具体構造は詳述せず)、この変位センサ60からの計測結果に基づいた電気的な処理で整地フロート15の目標姿勢を前下がり側に変更するよう実施することも可能である(前記実施の形態と同じ機能を有するものには実施の形態と共通する番号・符号を附している)。 【0029】又、その制御動作は図11のフローチャートに示すように、先ずエンジン回転数センサ55からの信号と変速センサ27からの信号とに基づいて機体3の実走行速度を求めて第1補正値を設定し、変位センサ60からの信号を入力して第2補正値を設定する(#201〜#205ステップ)。この第1補正値は機体3の走行速度が高速であるほど整地フロート15の姿勢を制御目標から前上がり側に補正する値がセットされ、第2補正値は整地フロート15の後方への変位が大きいほど整地フロート15の姿勢を制御目標から前上がり側に補正する値がセットされるものとなっている。次に、感度設定器54からの信号を入力し、この入力信号と第1補正値と第2補正値に基づいて制御目標を設定し、この制御目標を基準に形成される不感帯とフロートセンサ42からの信号値とを比較し、フロートセンサ42からの信号が不感帯の域内にある場合には昇降制御を行わず、不感帯の域外にある場合には制御弁56の開度をフロートセンサ42からの信号と制御目標との偏差にが大きいほど大きくなるよう設定して制御弁56の制御を行って苗植付装置Aの昇降を行うものとなっている(#206〜#210ステップ)。 【0030】又、本発明は、整地フロートに代えて圃場面に接触する専用の接地部材を前後方向に移動自在に備えて構成することも可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月6日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
|
| 【公開番号】 |
特開平11−137018 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月25日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−303831 |
|