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【発明の名称】 田植機の植付装置
【発明者】 【氏名】笠原 敏章

【氏名】西 陽一朗

【氏名】松岡 秀樹

【氏名】塩谷 和久

【要約】 【課題】植付ケースの左右両端の複数条分を分割して折畳み、植付ケース毎に駆動力の伝達を断接可能とした田植機において、ユニットクラッチとレバーを連結するワイヤーは植付部の折り畳み時においても連結されていたので、折り畳みや広げる操作の時に、ワイヤーが他の部品に引っ掛かったり、絡まったりした。

【解決手段】伝動機構40の分割位置の左右両側に、それぞれ伝動機構と略平行に摺動部材96・97を摺動自在に設けて、端面同士を当接して配置し、伝動機構の駆動側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤー93・100を介してユニットクラッチ操作レバーと連結し、従動側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介して分割側植付ケースに設け、前記従動側のリンク機構の操作量を駆動側のリンク機構の操作量より大きくし、また、前記リンク機構におけるアーム94・98に複数の連結孔を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付爪を駆動する植付ケースの左右外側の複数条分を分割して折畳み、植付ケース毎に駆動力の伝達を断接可能とした田植機の植付装置において、伝動機構の分割位置の左右両側に、それぞれ伝動機構と略平行に摺動部材を摺動自在に設けて、端面同士を当接して配置し、伝動機構の駆動側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介してユニットクラッチ操作レバーと連結し、従動側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介して分割側植付ケースに設けたユニットクラッチと連結したことを特徴とする田植機の植付装置。
【請求項2】 前記従動側のリンク機構の操作量を駆動側のリンク機構の操作量より大きくしたことを特徴とする請求項1記載の田植機の植付装置。
【請求項3】 前記リンク機構におけるアームに複数の連結孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機の植付装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば苗載台及び植付爪を備えて連続的に植付作業を行う田植機にあって、苗載台など植付部の左右全幅を縮小させるように植付部の両側を折り畳み可能とした田植機の植付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば8条など多条用田植機にあって、苗載台とともに植付ケース及びフロートなど植付部の左右外側の複数条分をその内側の苗載台の上方に重ねるようにした技術が本出願人より提案済みである。例えば、特願平8−282580号である。そして、植付部においては植付ケース毎に駆動力の伝達を断接可能とするように、ユニットクラッチ(条止めクラッチ)が設けられており、このユニットクラッチを断接するために、ユニットクラッチと植付部の任意位置または運転席のユニットクラッチレバーとの間がワイヤーを介して連結されていた。
【0003】
【発明か解決しようとする課題】しかし、前記ユニットクラッチとレバーを連結するワイヤーは植付部の折り畳み操作時においても連結された状態であったので、折り畳み操作時や広げる操作の時に、ワイヤーが他の部品に引っ掛かったり、絡まったりして、スムーズに折り畳むことができないことが生じ、また、ワイヤーが伸びたり、その他の部品に引っ掛かって損傷を与えることもあったのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】したがって課題を解決するために本発明は、植付爪を駆動する植付ケースの左右外側の複数条分を分割して折畳み、植付ケース毎に駆動力の伝達を断接可能とした田植機の植付装置において、伝動機構の分割位置の左右両側に、それぞれ伝動機構と略平行に摺動部材を摺動自在に設けて、端面同士を当接して配置し、伝動機構の駆動側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介してユニットクラッチ操作レバーと連結し、従動側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介して分割側植付ケースに設け、前記従動側のリンク機構の操作量を駆動側のリンク機構の操作量より大きくし、また、前記リンク機構におけるアームに複数の連結孔を設けたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同じく平面図、図3は植付部の片側を折り畳んだ状態の平面展開図、図4は同じく側面図、図5は伝動機構のロック装置の正面図、図6は同じく平面図、図7同じく側面図、図8は伝動機構の分割部におけるユニットクラッチの伝動部の正面図、図9は伝動機構を分割した状態のユニットクラッチの伝動部の正面図である。
【0006】図1、図2において、1は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン2を車体フレーム3前部上方に搭載させ、ミッションケース4前方にフロントアクスルケース5を介して走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4の後部にリヤアクスルケース7を連設し、前記リヤアクスルケース7に走行用後輪8を支持させる。そして、前記エンジン2等を覆うボンネット9両側に予備苗載台10を取付けると共に、ステップ11を介して作業者が搭乗する車体カバー12によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー12上部に運転席13を取付け、その運転席13の前方で前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を設ける。
【0007】また、図中15は10条植え用の苗載台16並びに複数の植付爪17などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して植付ケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース21を前記植付ケース20に支持させ、該ロータリケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、その爪ケース22・22先端に植付爪17・17を取付ける。また、前記植付ケース20の前側にローリング支点軸を介して支持フレーム24を設け、トップリンク25及びロワーリンク26を含むリンク機構27を介して走行車1後側に支持フレーム24を連結させ、前記リンク機構27を介して植付部15を昇降させる昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結させ、前記前後輪6・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0008】また、図中29は走行変速レバー、30は植付昇降兼作業走行変速用副変速レバー、31は植付け感度調節レバー、32は主クラッチペダル、33・33は左右ブレーキペダル、34は均平用センターフロート、35は均平用サイドフロート、36は10条用の側条施肥部である。
【0009】前記苗載台16及び植付ケース20など植付部15の左右外側の2条分を機体内側に折畳み自在に設けるもので、前記苗載台16は左右最外側の2条分の苗載台16を分割して折畳み自在な分割苗載台16bに形成し、機体中央の6条用苗載台本体16aに並行折畳み機構37を介して分割苗載台16bを連結させて、苗載台本体16aの作用面上方に略平行で、且つ、2段に分割苗載台16bを折畳みするように設けて、折畳み時苗載台16の左右全幅を略6条分巾と等しくするように構成している。
【0010】また、前記植付ケース20の左右最外側の2条分の爪ケース22、フロート35、植付探さ調節軸38、苗取出板39など関連部品と一体に折畳み自在に設けている。つまり、図3、図4に示すように、植付ケース20・20間を連結する伝動機構40と、前記調節軸38及び苗取出板39において、左右最外側の植付ケース20とこの内側の植付ケース20との略中央より若干外側でこれら伝動機構40、調節軸38、苗取出板39などを分割すると共に、固定側の中央6条分3つの植付ケース20aの後端問を各ブラケット41aを介し支点フレーム42で連結させ、分割側の左右外側各2条分1つの植付ケース20b後端にブラケット41bを介し固設する回動フレーム43と、前記支点フレーム42とを回動支点軸44を介し連結させ、固定側の中央6条分3つの植付ケース20aに対し左右の各2条分1つの植付ケース20b・20bを回動支点軸44を介し略180度内側に回動させて、中央固定側の植付ケース20aの後方で折畳みされた分割苗載台16bより後方位置に分割側の植付ケース20bを折畳みするように構成している。
【0011】前記回動支点軸44は、前高後低状に略45度に傾斜させて、前記支点フレーム42左右両端の苗載台16の6条巾位置左右外側の各2つの植付ケース20a20b問の略中央に配置させるもので、支点フレーム42左右両端に固設する筒軸45と、左右回動フレーム43の内端に固設する筒軸46とを下及び上位置に重接嵌合させて回動支点軸44で枢支し蝶番47に形成している。
【0012】そして、分割側の植付ケース20bを折畳み姿勢でロックできるように、前記支点フレーム42両側上の植付ケース20a・20aの間にワンタッチ式係合部材90・90が配置され、左右回動フレーム43の外側位置に前記回動支点軸44からワンタッチ式係合部材90までの距離と同等なる位置にフック91・91が設けられ、分割側の植付ケース20bの折畳み時においては、支点フレーム42と回動フレーム43を折り畳んで平行位置として、ワンタッチ式係合部材90・90の係合部をフック91・91に係止してロックし、植付ケース20bが垂直姿勢で収納保持されるように構成している。
【0013】そして、植付伝動軸62を収納する植付駆動伝動機構40の分割部に結合ロック機構57が配置されている。該結合ロック機構57の構成は図5乃至図7に示す如く、各植付ケース20a・20b間を連結する伝動機構40の分割位置における伝動機構40の端面に、伝動機構40のパイプ径より大きな長円形のフランジ58・59を設け、分割側フランジ59の長径部の180度対向位置に先端先細りの突起であるピン体60を固設すると共に、固定側フランジ58に前記ピン体60の係合する係合孔61を開口している。但し、本実施例ではピン体60を図7では2箇所設けて位置決めしているが、図4のようにフランジ58・59を三角形状にして3箇所或いはそれ以上設けて位置決めの精度を向上することもできる。これらピン体60と係合孔61との結合によるフランジ58・59の接合時に、伝動機構40a・40b内の植付伝動軸62のクラッチ63を接続状態とするように構成している。
【0014】また、結合ロック機構57は固定側伝動機構40aの外周面に固設するブラケット64に枢軸65を介し基端を門形部66aとするハンドル66を回動自在に取付けると共に、該ハンドル66の門形部66aのグリップ側には、棒状体を平面視「く」字状に曲げて形成した係合杆67の一端が枢軸68によって枢支されている。該係合杆67の他端は雄ネジを形成して、その端部上に係合ピン69を係合杆67と直角方向に摺動自在に貫通して外嵌し、更に、バネ70を外嵌してナット71・71で螺装固定して、締付調節機構89を構成している。該ナット71・17の位置を調整することで、バネ70で係合ピン69を押す付勢力が変更される。
【0015】一方前記フランジ58・59側部の前記係合杆67が位置する部分にはそれぞれ溝部58a・59aを設けて係合杆67を挿入できるようにし、更に、分割側の伝動機構40のフランジ59は、溝部59aの位置する端部を外方向(ブラケット64と反対方向)に曲げられて、側面視「へ」字状とした湾曲部59bが形成されている。この湾曲部59bに前記係合ピン69が係止され、外れ難く構成している。
【0016】このようにして、係合ピン69を湾曲部59bに係合して、枢軸65を中心としてハンドル66を伝動機構40a側に下動操作すると、係合杆67は溝部58a・59aに入り込み、湾曲部59bを引っ張り締め付けながらフランジ59をフランジ58側へ圧着してロックが行われる。このとき、枢軸68は枢軸65の死点を越えるのでハンドル66をロック位置に維持できるのである。また、ロックのための圧着力が弱い場合にはナット71・71をスパナ等で締め付け、強い場合には弛めればよいのである。逆に、ハンドル66を起立側へ回動操作すると、係合ピン69は湾曲部59bから離れ、係合杆67を枢軸68を中心に伝動機構40bから離れる方向へ回動することでロック解除を行うことができ、最外側の植付ケース20bを折り畳み方向へ回動することができるのである。
【0017】そして、本発明のユニットクラッチの伝動部も前記伝動機構40の分割部の側面に配設されている。つまり、図7、図8、図9に示すように、固定側伝動機構40aの側面にはステー92が突設され、該ステー92の先端に苗載台16の上部裏側または運転席近傍に設けたユニットクラッチ操作レバーと連結されたワイヤー93のアウタハーネスが支持され、該ワイヤー93の先端はリンク機構を構成するアーム94の一端に連結されている。該アーム94は中途部が固定側伝動機構40aより突設した枢軸95に枢支され、該アーム94の一端にはワイヤー93を連結するための孔を複数開口している。本実施例では連結孔94a・94bを2箇所開口して、操作量を変更可能としている。
【0018】そして、前記アーム94の他端には摺動部材96の一端が枢支され、該摺動部材96は固定側伝動機構40aに固定されたガイド体101とフランジ58に開口したガイド孔58cに挿入されて、固定側伝動機構40aと平行に摺動できるようにガイドされている。そして、該摺動部材96の端面は非操作時でフランジ58の端面と一致させて、分離時に摺動部材96が突出して引っ掛からないようにしている。なお、ガイド体101の側面にはユニットクラッチ操作時のアーム94のストッパー101aが設けられている。
【0019】他方、分割側伝動機構40bにも前記と同様に摺動部材97、該摺動部材97を水平に摺動できるようにガイドするガイド体102、該摺動部材97に枢支されたアーム98、該アーム98の中央部を枢支する枢軸99、植付ケース20内のユニットクラッチと連結したワイヤー100のアウタハーネスを支持するステー103が配置され、該アーム98の他端には外側に位置する植付ケース20b内に配置されたユニットクラッチと連結したワイヤー100が連結されている。そして、前記摺動部材97端部はフランジ59の端面と一致させ、伝動機構40の連結ロック時には前記摺動部材96端面と当接させている。
【0020】また、前記アーム98も前記アーム94と同様に、ワイヤー100を連結するための孔を複数開口し、本実施例では連結孔98a・98bを2箇所開口して、操作量を変更可能としている。そして、この操作量は駆動側より従動側を大きく設定している。つまり、駆動側であるアーム94の枢軸95とワイヤー93の連結点の間の距離L1よりも、従動側であるアーム98の枢軸99とワイヤー100の連結点の間の距離L2を長くして(L2>L1)、確実にユニットクラッチを断とできるようにしている。なお、前記アーム94とアーム98は共用できるようにして、部品製作コストを低減している。また、フランジ58・59も摺動部材96・97を貫通するガイド孔58c・59cを対称位置に設けて、左右の同一位置において同一のフランジを使用できるようにして、部品管理が容易にできるようにしている。
【0021】このようにして、伝動機構40a・40bが結合ロック機構57によって連結ロックされている状態で、ユニットクラッチワイヤー93が引っ張られると、アーム94が回動されて摺動部材96を押して外側へ摺動し、該摺動部材96端に当接した摺動部材97が摺動され、アーム98を介してワイヤー100が引っ張られてユニットクラッチを断とすることができ、外側のロータリケース21に動力が伝えられないようにできる。また、ユニットクラッチを操作しない状態で、最外側の植付部を折り畳んだ場合には、図9に示すように、リンク機構やワイヤーは完全に離れて連結するものがなく、分離時にワイヤーが引っ掛かったり、ワイヤーを外すような操作も必要ないのである。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明は、植付爪を駆動する植付ケースの左右両端の複数条分を分割して折畳み、植付ケース毎に駆動力の伝達を断接可能とした田植機の植付装置において、伝動機構の分割位置の左右両側に、それぞれ伝動機構と平行に摺動部材を摺動自在に設けて、端面同士を当接して配置したので、分離時にはその当接面で分離できて、分離側の植付ケースのユニットクラッチとは完全に分離でき、ワイヤーの絡みや引っ掛かりを防止できたのである。また、一側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介してユニットクラッチ操作レバーと連結し、他側の摺動部材の他端をリンク機構及びワイヤーを介して分割側植付ケースに設けたユニットクラッチと連結したので、各ワイヤーは短くて済み、また、ワイヤーの固定が簡単に行えるようになったのである。そして、従来の植付ケースの分割構造を大幅に変更することなく、ユニットクラッチの断接機構を付加することができたのである。
【0023】また、従動側のリンク機構の操作量を駆動側のリンク機構の操作量より大きくしたので、リフト機構でのガタや摩耗等で操作量が減少したり、また、ワイヤーが伸びて操作量が減少しても、従動側の操作量の減少は殆どなく、確実にユニットクラッチを操作できるのである。
【0024】また、リンク機構におけるアームに複数の連結孔を設けたので、駆動側及び従動側のアームを共用することができ、部品の種類を増加することがなく、部品管理が容易となり、コスト削減に貢献できたのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−127637
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−295959