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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】山下 眞

【氏名】松木 直樹

【要約】 【課題】操作ワイヤが他の装置に引っ掛かかる率を少なくするとともに、組み付け性やメンテナンス性を向上させる。

【解決手段】複数条の植付け機構のうち一部の条の植付け機構を停止させる少数条植え用クラッチ17と、一部の条に対応した条の縦送り機構を停止させる縦送りクラッチ18とを設けるとともに、両クラッチ17,18を操作ワイヤ46を介して一体に入り切り操作するクラッチ操作レバー31を設け、操作ワイヤ46を、1本の操作ワイヤ部分48と、この1本の操作ワイヤ部分48の一端部から分岐した2本の操作ワイヤ部分49とから成る二股状に形成して、1本の操作ワイヤ部分48の他端部をクラッチ操作レバー31に連結するとともに、2本の操作ワイヤ部分49の分岐部50とは反対側の端部を、少数条植え用クラッチ17と縦送りクラッチ18とに各別に連結してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数条の植付け機構のうち一部の条の植付け機構を停止させる少数条植え用クラッチと、苗のせ台上の苗を前記苗のせ台の下端側に送る複数条の縦送り機構のうち前記一部の条に対応した条の縦送り機構を停止させる縦送りクラッチとを設けるとともに、前記少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとを操作ワイヤを介して一体に入り切り操作するクラッチ操作レバーを設けてある田植機であって、前記操作ワイヤを、1本の操作ワイヤ部分と、この1本の操作ワイヤ部分の一端部から分岐した2本の操作ワイヤ部分とから成る二股状に形成して、前記1本の操作ワイヤ部分の他端部を前記クラッチ操作レバーに連結するとともに、前記2本の操作ワイヤ部分の分岐部とは反対側の端部を、前記少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとに各別に連結してある田植機。
【請求項2】 前記2本の操作ワイヤ部分のそれぞれの操作荷重が互いにほぼ同一になるよう構成してある請求項1記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数条の植付け機構のうち一部の条の植付け機構を停止させる少数条植え用クラッチと、苗のせ台上の苗を前記苗のせ台の下端側に送る複数条の縦送り機構のうち前記一部の条に対応した条の縦送り機構を停止させる縦送りクラッチとを設けるとともに、前記少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとを操作ワイヤを介して一体に入り切り操作するクラッチ操作レバーを設けてある田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】田植機を用いての植付け作業においては、畦際に沿った最後の植付け行程を全条で行うために、その一行程前の植付けを全条より少ない条数で行うことがある。例えば、6条植えの田植機で植付していて畦際まであと10条分の植付を行う必要がある場合、最後の畦際の植付け行程を全条(6条)で行うために、その前の植付け行程を4条で行う必要がある。そこで、前述の少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとクラッチ操作レバーとを設けて、上記のような場合には、少数条植え用クラッチを介して一部の条(この例の場合は2条)の植付け機構を停止させるとともに、苗のせ台上の苗が苗のせ台の下端側に送られて来ないように、縦送りクラッチを介して前記一部の条に対応する条の縦送り機構も停止させているのである。
【0003】なお、前記少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとを一部の条の植付け機構ごとに(例えば6条植えの田植機の場合、2条の植付け機構ごとに)全条の植付け機構に対して設けて、左側あるいは右側のいずれの一部の条の植付け機構もその一部の条ごとに停止させることができるようになっている。
【0004】従来、上記の田植機では、少数条植え用クラッチとクラッチ操作レバーとを1本の操作ワイヤで連係し、縦送りクラッチと前記クラッチ操作レバーとを別の1本の操作ワイヤで連係していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術によれば、前記一部の条ごとに両クラッチとクラッチ操作レバーとの間に操作ワイヤが2本づつ存在することになり、操作ワイヤの総数が増えて構造が複雑化し、他の装置に引っ掛かかる操作ワイヤが出てきたり、組み付けやメンテナンスに手間がかかったりする不具合があった。
【0006】本発明の目的は、操作ワイヤが他の装置に引っ掛かかる率を少なくするとともに、組み付け性やメンテナンス性を向上させる点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1による発明の構成・作用・効果は次の通りである。
【0008】〔構成〕冒頭に記載した田植機において、前記操作ワイヤを、1本の操作ワイヤ部分と、この1本の操作ワイヤ部分の一端部から分岐した2本の操作ワイヤ部分とから成る二股状に形成して、前記1本の操作ワイヤ部分の他端部を前記クラッチ操作レバーに連結するとともに、前記2本の操作ワイヤ部分の分岐部とは反対側の端部を、前記少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとに各別に連結してある。
【0009】〔作用〕操作ワイヤを上記のような二股状に形成して、1本の操作ワイヤ部分の前記他端部(分岐部とは反対側の端部)をクラッチ操作レバーに連結するとともに、1本の操作ワイヤ部分の一端部から分岐した2本の操作ワイヤ部分の分岐部とは反対側の端部を、少数条植え用クラッチと縦送りクラッチとに各別に連結してあるから、例えば図1,図5に示すような乗用型の6条植えの田植機では、近くにクラッチ操作レバー31が配置される運転席29と、下端側周りに両クラッチ(少数条植え用クラッチ17と縦送りクラッチ18)が配置される苗のせ台12との間の空間には、一部の条ごとに(この田植機の場合、図5に示すように2条ごとに)操作ワイヤ部分が1本づつ存在し、合計で3本の操作ワイヤ部分が存在することになる。つまり、従来の構造なら前記空間に存在する操作ワイヤが6本になるが、請求項1の構成では前記空間に存在する操作ワイヤ部分が半分の3本になる。
【0010】〔効果〕従って、請求項1の構成によれば、構造を簡素化でき、操作ワイヤが他の装置に引っ掛かかる率を少なくすることができ、組み付け性やメンテナンス性を向上させることができ、しかも、前記1本の操作ワイヤ部分と2本の操作ワイヤ部分とを合計した長さが、従来の2本の操作ワイヤを合計した長さよりも短くなって、操作ワイヤに要する費用(材料費)を低廉化できた。
【0011】請求項2による発明の構成・作用・効果は次の通りである。
【0012】〔構成〕前記2本の操作ワイヤ部分のそれぞれの操作荷重が互いにほぼ同一になるよう構成してある。
【0013】〔作用〕請求項1の構成による作用と同様の作用を奏することができるのに加え、次の作用を奏することができる。つまり、前記2本の操作ワイヤ部分のそれぞれの操作荷重が異なると分岐部にこじれが生じやすいが、請求項2の構成によれば、前記2本の操作ワイヤ部分のそれぞれの操作荷重が互いにほぼ同一になるよう構成してあるから分岐部のこじれが生じにくくなる。
【0014】〔効果〕従って、請求項1の構成による効果と同様の効果を奏することができるのに加え、分岐部のこじれに起因して操作ワイヤの操作力が重くなるのを回避できた。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に、本発明を適用した施肥装置付き乗用型田植機の側面図が示されている。この田植機は、機体前部にエンジン2を搭載した4輪駆動式の走行機体1の後方に、油圧シリンダ3によって駆動される昇降リンク機構4を介して6条植えの苗植付け装置Aを昇降自在に連結するとともに、走行機体1の後部に、粉粒状の肥料を各植付け条ごとに埋設してゆく施肥装置Bが搭載された構造となっており、エンジン動力がミッションケース5を介して前・後輪6,7に伝達されるとともに、ミッションケース5内で分岐された動力がPTO伝動軸8を介して前記苗植付け装置Aに軸伝達され、かつ、PTO伝動軸8からクランク機構9を介して取り出した動力で施肥装置Bが駆動されるようになっている。
【0016】前記苗植付け装置Aには、前記昇降リンク機構4の後端に連結される伝動ケース10、横長の角パイプ状に構成された横フレーム11、一定ストロークで往復横移動する苗のせ台12、横フレーム11から後方に向けて片持ち条に延出された3個の植付けケース13、苗のせ台12に載置した苗Fをその下端から切り出して植付ける6組の回転式の植付け機構14、載置した苗Fを苗のせ台13下端に向けて縦送りするベルト式の縦送り機構15、植付け田面を2条分づつ整地する3個の整地フロート16、等が備えられており、各植付けケース13の後部左右に前記植付け機構14が2組づつ装備されている。
【0017】図5に示すように、前記植付けケース13は、その基部において伝動ケース10から動力を受けて、各植付け機構14を駆動するよう構成されるとともに、各植付けケース13の基部入力部には、複数条の植付け機構14のうち一部の条の植付け機構14を停止させる少数条植え用クラッチ17が装備され、この少数条植え用クラッチ17を入り切りすることで、2条単位で植付け作動をオン・オフすることができるようになっている。図示しないが、各少数条植え用クラッチ17はクラッチ入り側にバネ付勢されている。
【0018】前記ベルト式縦送り機構15の下端駆動部には、2条単位でベルト駆動を停止する縦送りクラッチ18が備えられており、これもクラッチ入り側にバネ付勢されている。
【0019】図2に示すように前記施肥装置Bは、肥料を貯留する肥料ホッパー21、各条ごとにホッパー下部から設定量づつ肥料を繰り出す回転ロール式の繰り出し機構22、この繰り出し機構22によって繰り出された肥料を前記整地フロート16に備えた作溝器23にまでホース24を介してエアー搬送するブロワ25、これを駆動する電動モータ26、などを備えており、繰り出し機構22の駆動系には、ロール駆動を2条単位で断続して肥料繰り出しをオン・オフする施肥クラッチ27が備えられている。なお、この施肥クラッチ27もクラッチ入り側にバネ付勢されている。
【0020】図1,図3に示すように走行機体の後部には、後輪7に対するフェンダ28が設けられるとともに、フェンダ28の中間部が隆起されて、その上面に運転席29が配置されている。そして、フェンダ28の右側部には、苗植付け装置Aを昇降操作する昇降レバー30が配設されるとともに、フェンダ28の左側部には、前記少数条植え用クラッチ17、縦送りクラッチ18、および、施肥クラッチ27を入り切りする3本のクラッチ操作レバー31が配設されている。
【0021】図3,図4,図6に示すように、運転席29の左側部に配置した3本のクラッチ操作レバー31は、共通の支持部材45に支点X周りに上下揺動可能に連結支持されており、クラッチ入り方向に付勢された各少数条植え用クラッチ17、縦送りクラッチ18、および施肥クラッチ27のそれぞれに連係した操作ワイヤ46がデッドポイント越え用の湾曲リンク47を介して各クラッチ操作レバー31に連動連結されている。
【0022】このクラッチ操作レバー31は、後方に揺動操作して操作ワイヤ46を引くことで、そのクラッチレバー31に対応する少数条植え用クラッチ17、縦送りクラッチ18、および施肥クラッチ27を切り、クラッチレバー31を前方に揺動操作して操作ワイヤ46を弛めることで対応する少数条植え用クラッチ17、縦送りクラッチ18、および、施肥クラッチ27を入れるようになっている。両クラッチ入り・切りの両操作位置はデッドポイントの両側に位置しているのでクラッチ操作レバー31は各操作位置で保持される。
【0023】図6に示すように、前記操作ワイヤ46は、1本の第1操作ワイヤ部分48と、この1本の第1操作ワイヤ部分48の一端部から分岐した2本の第2操作ワイヤ部分49とから成る二股状に形成するとともに、前記第1操作ワイヤ部分48の他端側の部分から1本の第3操作ワイヤ部分51を分岐して構成してあり、第1操作ワイヤ部分48の他端部を湾曲リンク47に連結し、2本の第2操作ワイヤ部分49の第1分岐部50とは反対側の端部を、少数条植え用クラッチ17と縦送りクラッチ18とに各別に連結し、第3操作ワイヤ部分49の第2分岐部52とは反対側の端部を施肥クラッチ27に連結してある。
【0024】前記第1分岐部50について説明すると、図7,図8に示すように、第1操作ワイヤ部分48のインナーワイヤ32の端部を円柱ブロック状の樹脂製連結具33の段付中心孔34に貫通させるとともに、2本の第2操作ワイヤ部分49のそれぞれのインナーワイヤ35の端部を、前記段付中心孔34の両側の一対の段付孔36に各別に貫通させ、各インナーワイヤ32,35の突出端部を膨出させて膨出部37を前記段付中心孔34の大径孔に内嵌することで前記段付中心孔34と段付孔36からの抜けを規制し、第1操作ワイヤ部分48の端部側に設けた樹脂製の丸キャップ38を、第2操作ワイヤ部分49の端部側に設けた樹脂製の円筒状カバー39に分離自在に弾性嵌合してある。
【0025】そして、前記2本の第2操作ワイヤ部分49のそれぞれの操作荷重が互いにほぼ同一になるように、少数条植え用クラッチ17及び縦送りクラッチ18のクラッチ入り側のバネ付勢力を設定してある。
【0026】〔別実施形態〕図9に示すように、前記第1操作ワイヤ部分48の他端部を施肥クラッチ操作レバー53に連結し、2本の第2操作ワイヤ部分49の第1分岐部50とは反対側の端部を、少数条植え用クラッチ17と縦送りクラッチ18とに各別に連結してあってもよい。
【0027】図10,図11に示すように、前記植付け機構14の上方に施肥装置Bを設けた田植機においては、前記第1操作ワイヤ部分48の他端部を前記クラッチ操作レバー31に連結し、2本の第2操作ワイヤ部分49の第1分岐部50とは反対側の端部を、少数条植え用クラッチ17と縦送りクラッチ18とに各別に連結してもよい。なお、この種の田植機では各植付機構14からそれに対応する施肥装置B部分の駆動力を得ており、少数条植え用クラッチ17のクラッチを入切すると、それに対応する施肥装置B部分も施肥作用状態と非作用状態とに切換わるようになっているので、第1の実施形態のように、施肥クラッチ27をクラッチ操作レバー31で操作する手段を取らなくてもよい。。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)11月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−127630
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−301627