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【発明の名称】 ローリング補正弾性体の取付構造
【発明者】 【氏名】松岡 秀樹

【氏名】西 陽一朗

【氏名】塩谷 和久

【氏名】笠原 敏章

【要約】 【課題】苗載台の取り外し等の際に、安全かつ効率よく植付部の着脱を行えるようにする。

【解決手段】機体後部に植付部15をローリング可能に支持し、該植付部と機体側との間に傾斜駆動を行うローリングシリンダ88とローリングを緩衝するローリング補正バネ87を設けた田植機において、ローリング補正バネの植付部側連結位置を、ローリング補正バネの機体側連結位置よりも後方に配設し、前記ローリング補正バネの機体側連結位置をバネステー106に連結し、該バネステーの他端を、機体側ヒッチ24上に設けた取付台107に、把手付締結部材119で結合した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体後部に植付部をローリング可能に支持し、該植付部と機体側との間にローリング駆動機構とローリングを緩衝するローリング補正弾性体を設けた田植機において、ローリング補正弾性体の植付部側連結位置を、ローリング補正弾性体の機体側連結位置よりも後方に配設したことを特徴とするローリング補正弾性体の取付構造。
【請求項2】 前記ローリング補正弾性体の機体側連結位置を弾性体ステーに連結し、該弾性体ステーの他端を、機体側ヒッチ上に設けた取付台に、把手付締結部材で結合したことを特徴とする請求項1に記載のローリング補正弾性体の取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は苗載台及び植付爪を備えて連続的に苗植え作業を行う田植機の苗載台のローリング支点部分の取付構成に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、植付部のローリング動作を傾斜センサーによって検出し、ローリング部材を自動制御して植付部の左右傾斜を修正するためには、ローリングシリンダのピストンの動作によって植付部を左右傾動させている。更には、微小な左右揺動に対する補正と、過大な左右揺動時のローリング駆動機構への過負荷を緩和するために、ローリング駆動機構側と植付部間にローリング補正弾性体を張設している。しかしながら、ローリング補正弾性体の張力はその機能上非常に大きく、苗載台を外す時などは、たとえ工具類を使用しても植付部後面との掛止部からローリング補正弾性体端を着脱するのに時間がかかると共に、弾性体収縮時の張力のため着脱作業自体の危険も大きかった。そこで、ローリング補正弾性体端を弾性体ステーに固定し、この弾性体ステーをローリング駆動装置側の取り付け台にボルト止めで締結することによって、必要時はこのボルトを緩めて弾性体ステーとローリング補正弾性体を一体として取付台から外し、緩んだローリング補正弾性体端を植付部後面の掛止部から外せるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来技術では、ボルトを緩めて弾性体ステーとローリング補正弾性体を一体として取付台から外す際にも急激な弾性体収縮が発生し、作業者方向への跳ね返りの危険は依然として解消されておらず、しかも、ボルト止めであるために工具類の使用が避けられないために、着脱やメンテナンスのときには作業性が悪く手間がかかっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。即ち、機体後部に植付部をローリング可能に支持し、該植付部と機体側との間にローリング駆動機構とローリングを緩衝するローリング補正弾性体を設けた田植機において、ローリング補正弾性体の植付部側連結位置を、ローリング補正弾性体の機体側連結位置よりも後方に配設し、前記ローリング補正弾性体の機体側連結位置を弾性体ステーに連結し、該弾性体ステーの他端を、機体側ヒッチ上に設けた取付台に、把手付締結部材で結合したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。図1は乗用田植機の全体側面図、図2は同じく平面図、図3はリンク機構後部の側面図、図4は同じく部分正面図、図5はローリング駆動機構の側面図、図6はローリング補正バネの取付部を示す側面図である。なお、本発明におけるローリング補正用の弾性体としては、バネ、ゴムなどがあるが、以下の実施例ではバネを適用している。
【0006】まず、乗用田植機の全体構成について、図1、図2により説明する。図中1は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン2を車体フレーム3前部上方に搭載させ、ミッションケース4前方にフロントアクスルケース5を介して走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4の後部にリヤアクスルケース7を連設し、前記リヤアクスルケース7に走行用後輪8を支持させる。そして、前記エンジン2等を覆うボンネット9両側に予備苗載台10を取付けると共に、ステップ11を介して作業者が搭乗する車体カバー12によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー12上部に運転席13を取付け、その運転席13の前方で前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を設ける。
【0007】また、図中15は10条植え用の苗載台16並びに複数の植付爪17などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して植付ケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース21を前記植付ケース20に支持させ、該ケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、その爪ケース22・22先端に植付爪17・17を取付ける。
【0008】また、前記植付ケース20の前側にローリング支点軸23を介して支持フレーム24を設け、トップリンク25及びロワーリンク26を含むリンク機構27を介して走行車1後側に前記支持フレーム24を連結させ、前記リンク機構27を介して植付部15を昇降させる昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結させ、前記前後輪6・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0009】更に、前記支持フレーム24をローリング補正バネ87およびローリングシリンダ88を介して苗載台16に連結させ、植付部15のローリング動作を傾斜センサーによって検出してローリング補正するように構成している。
【0010】また、図中29は走行変速レバー、30は植付昇降兼作業走行変速用副変速レバー、31は植付け感度調節レバー、32は主クラッチペダル、33・33は左右ブレーキペダル、34は均平用センターフロート、35は均平用サイドフロート、36は10条用の側条施肥部である。前記苗載台16及び植付ケース20など植付部15の左右外側の2条分を機体内側に折畳み自在に設けるもので、前記苗載台16は左右最外側の2条分の苗載台16を分割して折畳み自在な分割苗載台16bに形成し、機体中央の6条用苗載台本体16aに並行折畳み機構37を介して分割苗載台16bを連結させて、苗載台本体16aの作用面上方に略平行で、且つ、2段に分割苗載台16bを折畳みするように設けて、折畳み時苗載台16の左右全幅を略6条分巾と等しくするように構成している。
【0011】次に、リンク機構後部のローリング制御部について、図3、図4、図5を用いて説明する。前記ロワーリンク26の後端二叉部間に支軸89を介して前記支持フレーム24下端部を連結させ、前記支持フレーム24の上下長さ中間に貫通させる支軸90の両端部に前記トップリンク25後端二叉部を連結させると共に、前記支持フレーム24下端部に受筒91を一体固定させ、前記ローリング支持軸23の前半部を前記受筒91に軸受けベアリングを介して回転自在に軸支させる一方、ヒッチ93の下端部に受筒94を一体固定させ、該受筒94にローリング支点軸23の後半部を貫挿固定させる。
【0012】また、前記支持フレーム24上端部に受枠95を介して前記ローリングシリンダ88を取り付け、前記ヒッチ93上端部で一側に突出させる受フレーム97に前記ローリングシリンダ88のピストンロッド98先端を連結させ、該ピストンロッド98の進退動作制御によってローリング支持軸23回りに前記ヒッチ93を左右に揺動させると共に、前記ヒッチ93下端部にクイックヒッチピン99を固定させ、前記ヒッチ93上端部に上向き凹形のクイックヒッチフック100を固定させるもので、前記植付部15の前記植付ケース20前面部にブラケット101を介してヒッチ台102下端部を固定させ、前向き凹形ノッチ103を有するノッチ板104を前記ヒッチ台102下端部前面に固定させている。
【0013】また、前記ヒッチ台102上端部にヒッチ軸105を横架させ、前記クイックヒッチピン99に前記ノッチ103を後方から嵌合させ、前記クイックヒッチフック100に前記ヒッチ軸105を上方から嵌合させ、前記ヒッチ93に前記ヒッチ台102を着脱自在に連結させ、前記ローリング支点軸23回りにローリング自在に前記植付部15を取り付け、前記ローリングシリンダ88制御により前記植付部15の左右傾斜調整を行うと共に、前記車体フレーム3後部と植付ケース20の間に植付PTO軸96を着脱自在に架設し、前記ミッションケース4の植付駆動力を植付ケース20に前記PTO軸96を介して伝えるように構成している。
【0014】前記受枠95は受枠プレート108・109からなり、該受枠プレート109は側面視コ字状に構成されて、下面が前記支持フレーム24上端に固設され、後面中央にボスからなる軸受部112が前後方向に貫通して固設されている。該受枠プレート109の上板及び下板の前部にはボルト孔が開口され、その下面にナットを固設している。また、前記受枠プレート108は側面視階段状に構成されて、上板部及び下板部にボルト孔を開口し、前記ボルト孔と一致するように開口されている。そして、縦板部分の中央にボスからなる軸受部112が前後方向に貫通して固設されている。そして、この上板部と縦板部分が交差する角部より前記取付台107が斜め前上方へ突設されている。
【0015】このように構成した受枠プレート108・109の間に形成される空間内にローリングシリンダ88が左右方向に収納され、該ローリングシリンダ88のシリンダーチューブの前後面にはシリンダ支軸111・111が前方及び後方に突設され、前記軸受部112・112に挿入して回転自在に支持されるようにしている。こうしてローリングシリンダ88を受枠プレート108・109の間に取り付けて、ボルト110・113で締結して組み立てられるのである。
【0016】従って、ローリングシリンダ88は前記受枠プレート108・109の軸受部112・112にシリンダ支軸111・111が回転自在に軸支され、該シリンダ支軸111・111を支点として前記ローリングシリンダ88は回動するようになり、ボルト110・113を外すだけで前記ローリングシリンダ88の分解ができ、組立も容易に行える。しかもシリンダ支軸が従来のようにネジ部材で固定する構成でないため長時間使用してもゆるみ等が生じることがなく耐久性も向上する。
【0017】上記から明らかなように、トップリンク25及びロワーリンク26を介して走行車1に植付部15を昇降自在に装設させ、前記各リンク25、26を連結させる支持フレーム24を設け、支持フレーム24にローリング支持軸23を介してヒッチ93を連結させると共に、ヒッチ93に着脱自在に連結させるヒッチ台102を植付部15に取り付け、更に、植付部15の左右傾斜を調節するローリングシリンダ88およびローリング補正バネ87などのローリング制御機構を走行車1側に支持フレーム24とヒッチ93を介して取り付けることで、走行車1側にローリング制御機構を残した状態で植付部15を取り外せるように構成している。なお、ローリング補正バネ87は弾性体より構成するものであれば、限定するものではない。
【0018】その際、ローリングシリンダ88を支持フレーム24上部に分解組立の可能な受枠95で軸支させると共に、受枠95の上部には取付台107を固設して、該取付台107にバネステー106の一端を把手付締結部材によって連結固定している。把手付締結部材として本実施例ではノブネジを用いているが、蝶ネジやハンドル付ボルト等作業者が把手を握って容易にネジ込んだり外したりできるものであれば限定するものではない。
【0019】即ち、前記受枠95上から前方に取付台107が傾斜して固設され、本発明では取付台107にノブネジ119を介してバネステー106が固定され、該バネステー106上端には前記ローリング補正バネ87・87の一端を係合させている。該ローリング補正バネ87・87の他端は、図6に示すように、前記植付部15の苗載台16の後面に設けたガイドレール19に固定したステーに係止されている。
【0020】そして、該ローリング補正バネ87とバネステー106との連結位置は、該ローリング補正バネ87とガイドレール19の連結位置よりも、L1前方に位置し、L2上方に位置させている。つまり、斜め前方に位置させているのである。このように配設することによって、植付部15を外すときやローリング制御部の点検等で、前記ノブネジ119を外したときに、バネステー106はローリング補正バネ87・87の張力によって引っ張られるが、その張力は斜め後方に向いているために、バネステー106は下後方に引っ張られるだけであって、作業者側へ弾かれる危険性がなく、しかも能率よく前記ローリング補正バネ87の着脱が行えるのである。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1に記載するように、機体後部に植付部をローリング可能に支持し、該植付部と機体側との間にローリング駆動機構とローリングを緩衝するローリング補正弾性体を設けた田植機において、ローリング補正弾性体の植付部側連結位置を、ローリング補正弾性体の機体側連結位置よりも後方に配設したので、ローリング補正弾性体の付勢方向は連結位置よりも後方となり、植付部を外したり、ローリング駆動部をメンテナンスしたりする場合等において、ローリング補正弾性体の張力によって外すと同時に後方へ退避して、作業者側に弾むことがなく、作業者側に弾性体等が当たることがない。
【0022】また、請求項2記載の如く、ローリング補正弾性体の機体側連結位置を弾性体ステーに連結し、該弾性体ステーの他端を、機体側ヒッチ上に設けた取付台に、把手付締結部材で結合したので、工具を必要とせず、簡単に把手を握って締めつけたり弛めたりでき、苗載台の収納などの作業性がアップされる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−127628
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−295958