トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 田植機の植付部昇降制御装置
【発明者】 【氏名】長井 博

【氏名】石田 伊佐男

【氏名】玉井 利男

【氏名】塩崎 孝秀

【氏名】大内 建之

【氏名】神谷 寿

【氏名】鈴木 隆

【氏名】岡田 卓也

【氏名】和泉 満孝

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体に対して植付部4が昇降可能に支持された田植機の植付部昇降制御装置において、植付部4の上下高さを適当な位置に上下調節する操作と植付部4への伝動を入り切りする操作とを行う第一操作具60を設けるとともに、該第一操作具60をその操作範囲内の設定位置に位置させたときに植付部4を作業位置と非作業位置とに上下する操作と植付部4への伝動を入り切りする操作とが行える第二操作具61とを設けたことを特徴とする田植機の植付部昇降制御装置。
【請求項2】 第二操作具61をハンドル33の近傍に設けた請求項1記載の田植機の植付部昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機体に対して植付部が昇降可能に支持された田植機の植付部昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、従来の乗用田植機は、植付部を昇降作動させるレバーの操作位置が、植付部を表土面から一定高さに維持する「植付位置」、植付部を上昇させる「上げ位置」、植付部を下降させる「下げ位置」、植付部を一定位置に固定する「固定位置」の4位置からなっていた。よって、非作業時に植付部を任意位置に昇降させようとする場合、レバーを「上げ位置」もしくは「下げ位置」に操作して植付部を昇降作動させ、タイミングを見計らってレバーを「固定位置」に操作して植付部の昇降作動を停止させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】圃場内での植付作業時は、レバーを「植付位置」にしての表土追従制御状態となる。しかしながら、圃場端部で機体を旋回させる際には、植付部を作業位置から非作業位置へ上昇、並びに非作業位置から作業位置へ下降させる動作を伴う。植付部の上げの場合はレバーを「植付位置」から「上げ位置」まで操作し、植付部の下げの場合はレバーを「上げ位置」から「植付位置」まで操作しなければならないので、レバー操作量が大きくて操作性が悪く、しかもそのレバー操作中はハンドル操作を片手で行わねばならないので操縦性が悪くなるという問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するために、まず、請求項1に記載したように、機体に対して植付部4が昇降可能に支持された田植機の植付部昇降制御装置において、植付部4の上下高さを適当な位置に上下調節する操作と植付部4への伝動を入り切りする操作とを行う第一操作具60を設けるとともに、該第一操作具60をその操作範囲内の設定位置に位置させたときに植付部4を作業位置と非作業位置とに上下する操作と植付部4への伝動を入り切りする操作とが行える第二操作具61とを設けたことを特徴とする田植機の植付部昇降制御装置とし、また、請求項2に記載したように、第二操作具61をハンドル33の近傍に設けたものとした請求項1記載の田植機の植付部昇降制御装置としたものである。
【0005】
【発明の作用及び効果】本発明にかかる田植機の植付部昇降制御装置は、水田外で移動するときには、第一操作具60を操作して、植付部4の上下高さを適当な位置に上下調節でき、水田内で作業するときは、第一操作具60をその操作範囲内の設定位置に位置させれば、その後は、第二操作具61で、機体旋回時等における植付部4の作業位置と非作業位置との上げ下げと植付部4への伝動の入り切りとが、容易に操作できて、操作性の高いものとなった。また、第二操作具61をハンドル33の近傍に設けることで、更に操作性の高いものとなった。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例として、乗用田植機の植付部昇降制御装置について説明する。この乗用田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植付部4を昇降可能に装着した構成となっている。また、走行車体2の後部で植付部4の前側に各植付条の近傍に施肥する施肥装置5の肥料タンク5a及び肥料繰出部5b…等が配設されている。
【0007】走行車体1は四輪駆動車両であり、駆動輪である左右一対の前輪6,6及び後輪7,7を備えている。機体の前部に配したミッションケース8の左右側面部に前輪アクスルケース9,9が固着して設けられ、さらに該前輪アクスルケースの外端部に前輪ファイナルケース10,10が固着して設けられ、その前輪ファイナルケースの下部から外向きに突出する前輪車軸6a,6aに前輪6,6が取り付けている。ミッションケース8内の動力が前輪アクスルケース9,9と前輪ファイナルケース10,10内の伝動機構により伝達されて、前輪6,6が駆動回転するようになっている。
【0008】また、ミッションケース8の背面部には左右一対のメインフレーム11,11の前端部が固着され、さらにメインフレーム11,11の後端部には横フレーム12が固着されている。そして、横フレーム12の左右中央部に軸心が前後水平に向いた後輪ローリング軸13aが固定状態で嵌合させてあり、該後輪ローリング軸の突出部に後輪フレーム13がローリング自在に支持されている。この後輪フレーム13の左右端部に後輪ギヤケース14,14が一体に設けられ、その後輪ギヤケースの外側部から外向きに突出する後輪車軸7a,7aに後輪7,7が取り付けられている。ミッションケース8内の動力が後輪伝動軸14a,14aによって左右の後輪ギヤケース14,14へ伝動され、後輪7,7が駆動回転するようになっている。
【0009】エンジン20はメインフレーム11,11の上に搭載されている。エンジン20の回転動力は、エンジン出力軸20aから油圧式前後進無段変速装置(HST)21の入力軸21aへ第一ベルト伝動装置22で伝動され、さらに、前後進無段変速装置21によって変速後の回転動力が、HST第一出力軸21bからミッション入力軸8aへ第二ベルト伝動装置23で伝動されるとともに、HST第二出力軸21cから油圧ポンプ24,24′の駆動軸24aへ第三ベルト伝動装置25で伝動される。また、エンジン20の回転動力は、第四ベルト伝動装置26によりオルタネータ27へも伝動される。
【0010】ミッションケース8に入力された回転動力は、主変速装置によって変速した後、走行系動力と植付部駆動系動力とに分けられ、走行系動力により前輪車軸6a,6a及び後輪車軸7a,7aを駆動するとともに、植付部駆動系動力により植付部4及び施肥装置5を駆動する。植付部駆動系には、植付部への伝動を入り切りする植付クラッチ29が設けられている。
【0011】操縦座席30はエンジン20の上側を覆うエンジンカバー31の上に設置されている。そして、操縦座席30の前方のフロントカバー32の上方に操縦ハンドル33が設けられている。また、フロントカバー32及び操縦座席30の周辺部に、操作パネル、各種操作レバー、各種操作ペダル等が設けられている。エンジンカバー31及びフロントカバー32の下部の周りは水平状のフロアステップ37となり、その上を操縦者が歩行等をすることができるようになっている。さらに、機体の側部には、フロアステップ37に昇降するための昇降ステップ38,38が設けられている。
【0012】昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40及び左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム11,11の後端部に立設したリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。縦リンク43には植付部4をローリング自在に連結するためのローリング軸43aが設けられている。メインフレーム11,11に固着した支持部材(図示せず)と上リンク40に一体形成したスイングアーム44の先端部との間に昇降作動用油圧シリンダ45が介装されており、該シリンダを油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、縦リンク43に装着した植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。なお、油圧シリンダ45は後記電磁制御弁57によって制御される。
【0013】植付部4は6条植えの構成となっていて、フレームを兼ねる伝動ケース50に、6条分の苗を載せておく苗載台51と、該苗載台上の苗を圃場面に植え付ける6組の植付装置52,…等が組み付けられている。植付部4の下部には、左右中央にセンターフロート54が、その左右両側に一対のサイドフロート55,55がそれぞれ前端部側が上下動可能な状態で設けられている。各フロートが泥面に接地した状態では、機体重量の一部がこの接地部で受けられる。各フロートを接地させた状態で機体を進行させると、フロートが泥面を整地しつつ滑走する。
【0014】施肥装置5は、肥料を入れておく肥料タンク5aと該肥料タンク内の肥料を一定量づつ順次下方に繰り出す肥料繰出部5b…とを走行車体1の後部に設け、該肥料繰出部から繰り出される肥料を、フレキシブルな施肥ホース5c,…を介して、フロート54,55,55に取り付けた施肥体5d…に導くようになっている。施肥体5d…の前側には、植付条の側部近傍に施肥用の溝を形成する作溝具5e…が設けられている。
【0015】この田植機の油圧回路は図4のように構成されている。すなわち、2つの油圧ポンプ24,24′が設けられていて、一方の油圧ポンプ24から送り出される圧油は植付部昇降用の電磁制御弁57に供給され、他方の油圧ポンプ24′から送り出される圧油はパワステ用トルクジェネレータ58に供給されるとともに、油圧式前後進無段変速装置21に供給される。
【0016】水田内での作業時には、各フロート54,55,55が接地する位置まで植付部4を下げ、植付クラッチ29を「入り」にする。また、路上走行時や水田内で機体を旋回させる時には、植付部4を適当高さまで上げ、植付クラッチ29を「切り」にする。これらの植付部4の上げ下げ操作及び植付クラッチ29の入り切りは、第一操作具であるモード切替レバー60と第二操作具である植付部上下・植付クラッチ切替レバー61を併用して操作する。
【0017】モード切替レバー60は、操縦座席30の右側部に設けられていて、図8に示すレバーガイド62に沿って操作するようになっている。「ポジションモード」は非作業時に植付部を昇降させるためのモードで、この操作範囲内ではモード切替レバー60の操作位置に応じて植付部4の位置が決まるポジション制御になるとともに、植付クラッチが「切り」になる。「作業時操作モード」は水田内での植付作業時のモードで、植付部を表土面に対して一定高さに維持する表土追従制御になるとともに、植付クラッチが「入り」になる。また、「作業時操作モード」では、植付部上下・植付クラッチ切替レバー61のレバー操作で、植付部の上げ下げ及び植付クラッチの入り切りを切り替えることができる。「異常時操作モード」は植付クラッチ切替用の電装関係に異常が生じた時のモードで、植付部の昇降に関しては「作業時操作モード」と同じで、植付クラッチはメカ的に「入り」になる。
【0018】レバーガイド62の「作業時操作モード」位置には凹部62aが形成され、該位置に操作されたモード切替レバー60はスプリングに付勢されてその凹部62aに係合する。よって、「作業時操作モード」位置でモード切替レバー60が安定するようになっている。また、レバーガイド62を図9に示すようにクランク状にしてもよい。スプリングによってモード切替レバー60を「異常時操作モード」操作部側に付勢し、「作業時操作モード」位置と「異常時操作モード」位置の間にモード切替レバー60の移動に抵抗を与える障害物62bを設けてあり、モード切替レバー60を「作業時操作モード」位置に正確かつ安定状態で操作することができるとともに、異常時以外にほとんど操作することのない「異常時操作モード」位置にモード切替レバー60を誤操作することを防止している。
【0019】植付部上下・植付クラッチ切替レバー61は、図10、図11に示すようにハンドル33の近傍に設けられていて、指操作により中立位置Nから上下に回動させられ、指を離すと中立位置Nに自動復帰するようになっている。上側の植付部上下切替位置Aに操作すると、植付部上下切替スイッチSW−UDが切り替わり、植付部が上げ状態の場合は植付部が下降し、植付部が下げ状態の場合は植付部が上昇する。また、下側の植付クラッチ切替位置Bに操作すると、植付クラッチ切替スイッチSW−PCが切り替わり、植付クラッチが「切り」状態の場合は植付クラッチが「入り」になり、植付クラッチが「入り」状態の場合は植付クラッチが「切り」になる。
【0020】次いで、植付部昇降制御装置について具体的に説明する。図12はその構成を示す図である。なお、植付部昇降制御を司る制御装置(マイコン)MCは、該植付部昇降制御の他に、植付部のローリング制御も行い、図12には両制御系が一括して表示されている。モード切替レバー60の支軸64にはレバー位置決めカム65が取り付けられており、該カムのカム面65aにローラ支持アーム66に支持されたカムローラ67が接当している。モード切替レバー60が「ポジションモード」及び「作業時操作モード」にある時は、カムローラ67がカム面65aの円周状部分に接当するため、モード切替レバー60の操作が円滑に行われるが、モード切替レバー60が「異常時操作モード」にある時は、カムローラ67がカム面65aの凹部に嵌り込み、安定状態で位置決めされる。モード切替レバー60の操作位置は、ポテンショメータPM1で検出する。なお、図中の68はカムローラ67をレバー位置決めカム65側に押し付けるようローラ支持アーム66を付勢するスプリングである。
【0021】また、支軸64には植付クラッチカム70が取り付けられており、該カムのカム面70aにローラ支持アーム71に支持されたカムローラ72が接当するようになっている。モード切替レバー60を「ポジションモード」及び「作業時操作モード」に操作すると、ローラ支持アーム71がスプリング73に引かれて植付クラッチピン29aを押し込み、植付クラッチ「切り」になる。モード切替レバー60を「異常時操作モード」に操作すると、植付クラッチカム70がカムローラ72を押し下げることによりローラ支持アーム71が回動して植付クラッチピン29aを引き出し、植付クラッチ「入り」になる。
【0022】「作業時操作モード」における植付クラッチ入り切り操作は電動モータMPCで行う。電動モータMPCによってワイヤ74が引き伸ばしするようになっていて、ワイヤ74を引き作動させると、モード切替レバー60を「異常時操作モード」に操作した時と同様にローラ支持アーム71が回動し、植付クラッチ「入り」になる。植付クラッチ29の入り切り状態は、ローラ支持アーム71によりON/OFF切替される植付クラッチ入り切りスイッチSW−Cで検出する。
【0023】また、植付部昇降制御用の検出機器として、上リンク40の角度を検出するリンクセンサ75、表土面の凹凸を検出する接地体であるセンターフロート54の迎え角を検出する迎え角センサ76、植付部4が昇降可能範囲の上限にあるとONになる植付部上げ検出スイッチSW−Uが設けられている。植付部昇降制御は図13の手順で行う。すなわち、モード切替レバー60の操作位置をポテンショメータPM1で読み取り、「ポジションモード」である場合は、セフティ状態でない時に限りポジション制御を行い、「作業時操作モード」もしくは「異常時操作モード」である場合は、セフティ状態でなく、かつ植付部上下・植付クラッチ切替レバー61の植付部上下切替スイッチSW−UDがONでない時に限り表土追従制御を行う。「作業時操作モード」もしくは「異常時操作モード」で、植付部上下切替スイッチSW−UDがONである場合は、表土追従制御に優先して、植付部が上げ状態の場合は植付部が下降して表土追従制御状態となり、植付部が下げ状態の場合は植付部上げ検出スイッチSW−UがONになる最大リフト位置まで植付部が上昇する。
【0024】ここで、セフティ状態とは、キースイッチSW−KがOFFからONに切り替わった時は植付部の昇降を規制する状態を云う。このセフティ状態は、「ポジションモード」である場合はモード切替レバー60をポジションモード領域の最上位まで操作すると解除され、「作業時操作モード」もしくは「異常時操作モード」である場合は植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で植付部上下切替スイッチSW−UDをONにすると解除される。
【0025】ポジション制御については、モード切替レバー60のポテンショメータPM1の値(目標値)と、リンクセンサ75のポテンショメータPM2の値(実測値)の差分を算出し、その差分が不感帯内に収まるように電磁制御弁57に出力指令を出して植付部4を昇降させる。表土追従制御については、迎え角設定器(図示せず)で設定される迎え角の目標値と、迎え角センサ76のポテンショメータPM3の値(実測値)の差分を算出し、その差分が不感帯内に収まるように電磁制御弁57に出力指令を出して植付部4を昇降させる。
【0026】植付部昇降制御装置は以上の構成で、実際の運転に際してはモード切替レバー60と植付部上下・植付クラッチ切替レバー61を以下の要領で操作する。主に、田植え作業をせずに水田外において移動する時は、モード切替レバー60を「ポジションモード」の領域に移動させて、植付部4の上下高さを適当な位置に上下調節する。モード切替レバー61の操作位置に対応して植付部4が上下に位置変更する。
【0027】通常の田植え作業を行う時は、モード切替レバー60で「作業時操作モード」に切り替え、表土追従制御による自動昇降制御を行う。旋回時には、植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で植付部4を最大リフト位置まで上昇させる(植付部上下切替スイッチSW−UDをON)とともに、植付クラッチ29を「切り」にする(植付クラッチ切替スイッチSW−PCをON)。そして、旋回終了後、植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で植付部4を作業位置まで下降させる(植付部上下切替スイッチSW−UDをON)とともに、植付クラッチ29を「入り」にする(植付クラッチ切替スイッチSW−PCをON)。よって、水田内に入ってから作業を終えて水田から出るまで、特別な場合を除いて「作業時操作モード」であり、モード切替レバー60を操作する必要がない。旋回時の植付部上げ下げは指操作式の植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で行うので、操作が極めて容易である。
【0028】水田内で「ポジションモード」にする特別な場合として、次のような場合がある。「ポジションモード」で植付部4を接地状態に調節し、その位置に植付部4を固定したまま走行させると、表土を均平しながら植付けを行うことができる。また、圃場の端まで植付けを行いながら水田から脱出する場合、「ポジションモード」で機体の前後傾斜に合わせて植付部4を徐々に走行車体2に対して上昇させればよい。
【0029】植付クラッチ入り切り操作用電動モータMPCの故障等で植付部上下・植付クラッチ切替レバー61による植付クラッチ29の入り切り作動が不能となった場合、モード切替レバー60を「異常時操作モード」にすると植付クラッチ29がメカ的に「入り」状態になり、「作業時操作モード」にすると植付クラッチ29が「切り」状態になる。水田内で使用する田植機は泥水等を被ることにより電装部品の故障が起こりやすい状況にあるが、「異常時操作モード」を設けておくことにより、そのような故障が起きても田植え作業を続行することができる。
【0030】田植機を始動する時、キースイッチSW−KをONにするとセフティ機能が働き、モード切替レバー60の操作位置と実際の植付部位置とが違っていても、植付部4が昇降作動せず安全である。モード切替レバー60をポジションモード領域の最上位まで操作するとセフティ機能が解除され、ポジション制御状態となる。
【0031】また、水田内に田植機を停車させて作業を中断した場合等は、「作業時操作モード」になっているので、キースイッチSW−KをONした後、植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で植付部上下切替スイッチSW−UDをONにするだけでセフティ機能が解除される。さらに、制御装置MCを介さず手動で電磁制御弁57を駆動する植付部上下手動スイッチSW−UDMも設けられている。このため、制御装置MCが何らかの原因で動作しなくなっても、手動操作により植付部4を昇降させることができる。
【0032】なお、本実施例では、植付部上下切替スイッチSW−UDと植付クラッチ切替スイッチSW−PCのON/OFFを共通の植付部上下・植付クラッチ切替レバー61で操作するようにしているが、両スイッチをそれぞれ別のレバーで操作するようにしてもよく、またレバーではなくボタンスイッチとしてもよい。次に、ローリング制御系について説明する。
【0033】植付部4はローリング軸43a回りにローリング自在に支持され、左右中心に設けたローリングアーム80と苗載台フレーム51a,51aをスプリング81,81で結び、植付部4が弾力的に左右中立位置に保持している。ローリングアーム80にはギヤ80aが形成されており、そのギヤにローリングモータMR で回転させるピニオン82が噛合している。よって、ローリングモータMR でピニオン82を回転させると、ローリングアーム80が回動し、植付部4の左右傾斜が調節される。ローリングアーム80の角度はポテンショメータPM4で検出し、植付部4の左右傾斜は水平センサ83で検出する(図14)。
【0034】一方、操作パネルには、植付部の目標左右傾斜を設定する傾き調整ダイヤル85と、植付部の左右傾斜調節を手動操作で行う手動スイッチ86が設けられている(図15)。常時は、傾き調整ダイヤル85で設定される左右傾斜(通常は水平)となるようローリング自動制御する。その制御方法は、水平センサ83と傾き調整ダイヤル85からの入力信号に基づき、ローリングモータMR に出力する。
【0035】畦際等で植付部4を走行車体2に対して左右に傾斜させた状態で植付けを行う場合は、手動スイッチ86を操作して植付部4を任意の左右傾斜にする。手動スイッチ操作した場合は、前記ローリング自動制御が切れ、その任意の左右傾斜で固定される。その後、植付部上下・植付クラッチ切替レバー61を植付部上げ操作もしくはモード切替レバー60をポジションモード領域の最上部まで操作して植付部4が最大リフト状態となると、ローリング自動制御が復帰する。
【0036】また、ローリング制御用センサ(水平センサ83)に断線等の異常が発生した時は手動操作状態を保持するようになっているので、上記センサ異常によりローリング自動制御が不能になっても、手動によるローリング調整によって作業を続行することができる。なお、植付部の左右傾斜の検出機構としては、図16に示すように、左右のサイドフロート55,55の上下動をポテンショメータPM5−L,PM5−Rによって検出し、両者の検出結果を比較することにより植付部の左右傾斜を算出する構成としてもよい。
【0037】次に、HST制御系について説明する。前後進無段変速装置(HST)21はフロントカバー32の右側部に設けた走行レバー90で操作する。図18に示すようにレバーガイド91はクランク状で、中立位置Nを挟んで前側が前進操作域F、後側が後進操作域Bとなっている。走行レバー90の操作位置とHSTの斜板角度がポテンショメータPM6,PM7でそれぞれ検出され、その検出結果に応じて電動シリンダ92でHSTの斜板角度を変えるようになっている。
【0038】ところで、レバーガイド91の〓幅はレバー径よりも若干の余裕が持たせてあるので、走行レバー90を前進操作域Fから中立位置Nに操作した時と後進操作域Bから中立位置Nに操作した時とでは、走行レバー90の操作位置にずれdが生じる。したがって、その操作位置に対して忠実に電動シリンダ92に出力すると、前進操作域Fから中立位置Nに操作した場合は微速ではあるが後進になり、また後進操作域Bから中立位置Nに操作した場合は微速ではあるが前進になる。そこで、これを防止するために、出荷段階で中立位置Nを不揮発性メモリE2 PROMに記憶させ、前記ずれの範囲内では出力しないように制御している。
【0039】また、前後進無段変速装置21を手動で前進及び後進に操作できるHST手動操作スイッチ93が設けられているので、制御装置MCが何らかの原因で動作しなくなっても、手動操作により機体の走行が可能である。このような電子制御の田植機には制御装置MCと通信可能なマイコンチェッカ95が設けられており、このマイコンチェッカ95を用いて制御装置MCから正常な出力信号が出力されているか否かをチェックする。HST制御系をチェックする場合、田植機のチェックスイッチ96がONである時のみ出力チェックが可能であるとともに、出力チェック終了時に走行レバー90がどの位置にあっても走行レバー90を強制的に中立位置Nに戻すように制御されている(図20)。これにより、停止時に走行レバー90が前進操作域F或は後進操作域Bに操作されていて、エンジン始動と同時に機体が発進することを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成7年(1995)2月17日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−113330
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平10−240342