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【発明の名称】 苗植機
【発明者】 【氏名】村並 昌実

【氏名】水津 清明

【氏名】勝野 志郎

【要約】 【課題】鎮圧ローラで押し固めた土に苗を移植するが、その土の乾燥がはげしいと、土の押し固めが不足したり、押し固めた土が崩れたりして、移植した苗の姿勢が不安定でその深さも均一にならない。

【解決手段】機体の前進中に転動して地表を鎮圧する鎮圧輪40が苗を移植する苗植具32の前方に設けられ、その鎮圧輪40の前に地表に水を散布するノズル45が配置されている苗植機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の前進中に転動して地表を鎮圧する鎮圧輪40が苗を移植する苗植具32の前方に設けられ、その鎮圧輪40の前に地表に水を散布するノズル45が配置されている苗植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、畑作用の苗植機に用いるものである。
【0002】
【従来の技術】植込具の前に鎮圧輪を配置し、鎮圧輪が表層を鎮圧した土地(圃場)に植込具が苗を移植することが試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】地表(平地の上面や畝の上面など)が過度に乾燥していると、鎮圧輪で押した土が苗の移植前に戻って固まらず、鎮圧効果が充分に発揮できないことがあって、苗の植付姿勢や深さが不安定になるおそれがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この発明は、機体の前進中に転動して地表を鎮圧する鎮圧輪40が苗を移植する苗植具32の前方に設けられ、その鎮圧輪40の前に地表に水を散布するノズル45が配置されている苗植機とした。
【0005】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を説明する。フレーム1が主歯車箱2から前に突出してその上にエンジン3が取付けられている。植込フレーム4と支持フレーム5が主歯車箱2の左右から斜後上に伸び、それぞれからハンドル支持板6が固方向に伸びてその後端にハンドル7が固定されている。対向した一対の昇降支持板8がそれぞれのハンドル支持板6に固定され、これらが機体となっている(図1,図2)。
【0006】揺動枠9がエンジン3の前でフレーム1にセンターピボット10で揺動自在に取付けられている。横杆11が揺動枠9に回動自在に取付けられ、一対の支脚12L,12Rがその両端から斜後下に伸び、それぞれの後端に前輪13L,13Rが取付けられている。前輪昇降シリンダ14が揺動枠9に取付けられ、そのピストンロッド14aの出没で横杆11が回動し、前輪13L,13Rが昇降するようにできている。
【0007】一対のチェンケース15L,15Rの前部が主歯車箱2の両横に、横軸回りに回動するように取付けられ、それぞれの後部に後輪16L,16Rが取付けられている。後輪16L,16Rは、それぞれの前輪13L,13Rの後に配置されて畝Aを又いでいる。エンジン3の動力がベルト17で主歯車箱2内に導入されたのち、その中の変速機で回転数と方向が調整され、左右に分かれてチェンケース15L,15R中を通って後輪16L,16Rに達し、それぞれの回転で機体が進行するようにできている。
【0008】後輪昇降シリンダ18の上部が一対の昇降支持板8の間に回動自在に取付けられている。横軸19が一対の昇降支持板8で回動自在に支えられ、これから後に伸びたアーム19aと後軸昇降シリンダ18から下に突出したピストンロッド18aが接続し、ピストンロッド18aの出没で横軸19が回動するようになっている。昇降アーム20L,20Rが横軸19の両端に下向きに固定されている。
【0009】チェンケース15L,15Rからそれぞれのアーム21L,21Rが上向に突出している。ロッド22Lでアーム21Lと昇降アーム20Lが連続されている。回動シリンダ23が昇降アーム20Rの下端に回動自在に取付けられ、これから前に突出したピストンロッド23aとアーム21Rがロッド22Rで連結されている。そして、横軸19が時計方向に回ると、チェンケース15L,15Rが同方向に回って後輪16L,16Rが上昇(機体の後部が下降)し、横軸19が反時計方向に回ると、後輪16L,16Rが下降(機体の後部が上昇)するようになっている。
【0010】ピストンロッド18aの出没は、図示していない高さセンサからの信号で自動的に行われ(この場合は、前輪13L,13Rも自動的に同方向に昇降する)、機体と畝Aの上面の間隔が一定の範囲内に保たれて、後記の苗の植付深さが均一化するとともに、昇降レバー24の操作で行われ、枕地で前輪13L,13Rまたは後輪16L,16Rを地面から大きく浮かせて旋回を容易に行うようになっている。
【0011】また、ピストンロッド23aが回動シリンダ23から突出すると、チェンケース15Rが時計方向に回って後輪16Rが上昇するとともに、揺動枠9がセンターピボット10の回りに回って前輪13R,13Lが昇降して機体が右下りに傾き、これとは逆に、ピストンロッド23aが回動シリンダ23に引き戻されると、機体が左下りに傾くようになっている。ピストンロッド23aの上記の出没は、後記の傾斜センサ25からの信号で自動的に行われ、後輪16L,16Rが通る地面が横に傾いていても、機体の傾きが水平に復元するようになっている。
【0012】作孔具26が機体の下腹部に設けられ、エンジン3の動力で昇降し、下降すると畝Aの上面に突入し、機体の前進に基づいて一定の間隔で移植孔を作るようになっている。横長の苗受板27の両端が植込フレーム4と支持フレーム5に固定されている。支持具28がエンジン3の上部に設けられ、苗載台29の前後がこれと苗受板27の前部で左右に摺動自在に支えられ、エンジン3の動力で往復駆動されている。モータ30で駆動されるベルトコンベア31が苗載台29の底面に設けられている。そして、ベルトコンベア31上に載った集団苗B(図3)は、後端が苗受板27の苗取口27a上に突出して苗載台29で左右に移動される。その移動で左又は右にきて集団苗Bの横端が後記の植込杆32で欠ぎ取られると、図示していないスイッチがONしてモータ30が起動し、集団苗Bが後に送られる。
【0013】回転ローラ(エンコーダ)33が苗載台29の側壁に設けられ、集団苗Bの側面に接触し、集団苗Bがベルトコンベア31で後に送られると回転するようになっている。そして、モータ30が起動した後、その回転が一定の数値に達すると、モータ30の回転が停止するようにできている。従来は、ベルトコンベア31の駆動軸31aにラチェットを介してレバーを設け、そのレバーをカムで揺動させてベルトコンベア31を駆動し、上記のレバーの1回の揺動で集団苗Bの1ピッチの繰出しを行っていた。すなわち、ベルトコンベア31の旋回量で集団苗Bの送り量を定めていた。そのため、苗の水分、床土の粘性、苗量の多少などによってベルトコンベア31と集団苗Bの下面との摩擦力が異なり、一度に繰り出される苗の量に変動が生じ、苗の欠ぎ取りが円滑に行われなかった。これに比較して、上記の構成によると、実質的に繰り出された苗の量に基づいてベルトコンベア31の作動を止めるので、苗の繰出量が安定した。
【0014】また、モータ30が起動したのち、所定時間内に回転ローラ33が回転しなかったり、その回転が停止したときは、警報を発するように構成することができる。この警報により、オペレータは苗詰り又は苗切れなどの不具合を知り、ただちに集団苗Bの修正や補充を行うことができる。第1回転ケース34が植込フレーム4の後部の右側に配置され、エンジン3の動力で、前部の軸(図2)の回りに、左から見て、時計方向に回るようになっている。第2回転ケース35がその右側に配置され、内部の歯車によって上記の回転にともなって後部の軸(図2)の回りに、左から見て、反時計方向に回るようになっている。植込ケース36がその前部(図2)の右側に配置され、その回転中に同じ姿勢を保つようになっている。一対の板で構成された植込杆(苗植具)32が植込ケース36から下に突出している。そして、第1回転ケース34が回転中に前後に向くときに第2回転ケース35が折り畳まれるように前後を向き、前者が上下に向くときは後者が伸び出すように同じ方向を向き、植込杆32の先端が軌道Dを通るようになっている。植込杆32の先端は、下降に途中で苗取口27aを通り、下端で移植孔に達するようになっている。また、苗取口27aの上にくると、植込ケース36内のカムで左右の板が閉じてその上にきている集団苗Bの一株分をつかみ、苗取口27aを通ることによってそれを欠ぎ取り、移植孔内において開いてその苗を置く。
【0015】左右一対の埋戻しローラ37がその後に配置され、機体の前進にともなって左右の土を掻き寄せて移植孔を埋め戻し、上記の苗を移植する。一対の支軸38がチェンケース15L,15Rの回動中心から外に伸び、それぞれに支持杆39の上端が回動自在に取付けられている。鎮圧ローラ40の軸41の両端がそれぞれの支持杆39の下端で支持されている。鎮圧ローラ40は、作孔具26の前方に位置し、機体の前進で畝Aの上面で転動し、その重量でこれを押し固めるようにできている。なお、一方の支軸38を伝動軸で構成し、その側の支持杆39をチェンケースとし、後輪15L又は15Rに伝わる動力の一部で鎮圧ローラ40を強制駆動する構成を採用することができる。
【0016】クランク42が主歯車箱2の左側面に設けられ、エンジン3の動力で回転するようになっている(図1,図2)。シリンダ43aが主歯車箱2に揺動自在に取付けられ、これから前に突出したプランジャー43bがクランク42に連結されてポンプ43となっている。水タンク44が揺動枠9の前でフレーム1に取付けられ、ノズル45が鎮圧ローラ40前に配置されている。水タンク44が吸入管46でポンプ43に結ばれ、ポンプ43が吐出管47でノズル45に結ばれている。そして、ポンプ43が作動すると、水タンク44内の水が吸入管46でポンプ43に吸入されたのち、吐出管47で吐き出され、ノズル45から鎮圧ローラ40の前方で地面に散布されるようにできている。
【0017】傾斜センサ25を重錘で図5,図6のように構成することができる。すなわち、機体に固定された弁箱48aから弁棒48bが前に突出して切替弁48となっている。上から見てコ字状の受板49の上端が弁棒48bに固定され、その上下方向の中心線Yと機体(弁箱49a)の横方向の基準線Fが直行する位置で切替弁48が「中立」なるようにできている。
【0018】重錘25の上端が弁棒48bに回動自在に取り付けられ、その中心線Gが垂直に下っている。受板49の側面と機体にアウターワイヤ50aの両端が取付けられ、その中を通ったインナワイヤ50bの両端が重錘25と調節レバー51(図1,図2)の端に取付けられ、受板49と重錘25の間にばね52が配置されている。そして、調節レバー51を垂直(図2の0)にすると、中心線Yと中心線Gが重なった所で受板49に重錘25が止まる(図5)。これから調節レバー51を例えば図2「左6」又は「右6」に操作すると、インナワイヤ50bが引かれ又は緩んで、図7の実線又は一点鎖線のように、受板49が時計方向又は反時計方向に6度回った所でこれと重錘25が止まる(重錘25の中心線Gはその重量で常に垂直)。
【0019】つぎに、その使用方法を説明する。傾斜した圃場の等高線沿いに作った畝Aに苗を移植することがある。苗を垂直に移植するときは、基準線Fを水平にする。すなわち、調節レバー51を図2の0に位置させる。すると、中心線Yが中心線Gに重なってこれらに基準線Fが直交した位置で切替弁48が「中立」となる。従って、左側の車輪13L,16Lが低い所と通って機体の基準線Fが左下りに傾くようなとき、重錘25が垂直に垂れ下がって弁棒48bが回動し、回動シリンダ23の後室に油が供給されてピストンロッド23aが突出し、ロッド22Rがチェンケース15Rを押し回す。すると、後輪16Rが上昇して機体が水平になる。そして、基準線Fが水平になったところで切替弁48が「中立」になって機体の回動が止まり、苗が畝Aに垂直に移植される。作業の途中で傾斜が変動すると、上記のように自動的に水平に復元される。復路では自動的に上記の逆になる。
【0020】台形に作った畝Aの上面が圃場の傾き(例えば前進方向に見て左下り10度)と同じ方向に少し傾き(左下り6度)、その傾いた上面に直立するように苗を移植することがある。このようなときは、調節レバー51を図2の「左6」に位置させて用いる。すると図7のように、前から見て、受板49が時計回りに6度回り、基準線Fが前進方向に見て、「左下り6度の位置で切替弁48が「中立」になる。すなわち、基準線Fが「左下り6度」から離れていると、ピストンロッド23aが出没して後輪16Rが昇降し、機体の基準線Fが「左下り6度」の位置でその昇降が止まる。また、復路では、調節レバー51を「右6」に位置させて用いる。すると、機体の基準線Fが上記と同じようにして常に「右下り6度」になる。
【0021】以上のように、この構成によると、調節レバー51の簡単な操作で機体の基準線Fを、畝Aの上面の傾斜に自動的に沿わすなど、認意の角度に設定することができる。
【0022】
【効果】以上のように、この発明によると、鎮圧ローラ40が押し固める地面には、ノズル45から水が散布されているので、過乾燥の圃場であっても、土が効果的に固まって、移植された苗の姿勢が安定し、その深さも均一化する効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月20日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−113327
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−287294