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【発明の名称】 部分耕起播種装置
【発明者】 【氏名】高城 清

【氏名】永谷 宏俊

【要約】 【課題】耕耘爪の回転によって引き込まれた草や藁が、保護カバーの下端部に引っ掛からないようにして動力損失を防止する。

【解決手段】部分耕起播種装置10は、耕耘爪38により幅狭の耕起溝56を形成するロータリ装置14と、該ロータリ装置14の後方で溝切り刃26により前記耕起溝56の溝幅内に播種溝60を形成し、この播種溝60に播種する播種装置16とを備えている。前記耕耘爪38は、左右両側面及び天面を保護カバー44により覆われていて、この保護カバー44の圃場面側に開口する開口側の下端部に丸棒部材52が形成され、この丸棒部材52により、耕耘爪38の回転に伴い該耕耘爪38に引き込まれた草や藁が、耕耘爪38と保護カバー44との間に詰まることがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体後部に装着され、回転する耕耘爪により幅狭の耕起溝を形成するロータリ装置と、該ロータリ装置の後方に装着され、溝切り刃により前記耕起溝の溝幅内に播種溝を形成して該播種溝に播種する播種装置と、を備えた部分耕起播種装置において、前記耕耘爪は左右両側面及び天面を保護カバーにより覆われ、該保護カバーの圃場面側に開口する開口側の下端部に曲面部を形成した、ことを特徴とする部分耕起播種装置。
【請求項2】 前記曲面部は、前記保護カバーの圃場面側に開口する開口側の下端部に形成したカール部である、ことを特徴とする請求項1記載の部分耕起播種装置。
【請求項3】 前記曲面部は、前記保護カバーの圃場面側に開口する開口側の下端部に一体的に固着した丸棒部材である、ことを特徴とする請求項1記載の部分耕起播種装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は部分耕起播種装置に係り、詳しくは圃場面に必要な幅だけ播種溝を形成し、その播種溝に播種する部分耕起播種装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば水稲の植付けにおいては、先ず圃場を全面耕耘し、田面一面に水を張って湛水状態とした後、別途苗代で育成した苗を列状に移植する田植作業を行うのが一般的であるが、近来、低コスト農業の一環として、ロータリ耕耘装置と播種装置とを備えた部分耕起播種装置をトラクタ後部に装着し、前記ロータリ耕耘装置により圃場を必要な幅だけ耕耘して耕起溝を形成し、同時に該耕起溝の底部に施肥を行い、その直後に前記播種装置により耕起溝内に播種溝を形成し、この播種溝に直接種籾を落下させて播種し、更に覆土を行ない、後日田面一面に水を張って水田とする不耕起直播作業が普及しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ロータリ耕耘装置の耕耘爪は、牽引車であるトラクタの回転方向と逆方向に回転するようになっており、前記耕耘爪の左右両側面及び天面を覆う保護カバーは、その圃場面側が開口していてかつ下端部が角部で切り立っているため、作業中に耕耘爪に引き込まれた草や藁が前記角部に引っ掛かり、この草や藁が保護カバーの前方及び保護カバーの下端部と地面との間に溜り、動力損失を生じたり耕耘深さが設定値よりも浅くなる等の不具合があった。
【0004】本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、耕耘爪の回転に伴い該耕耘爪に引き込まれた草や藁が保護カバーの下端部に引っ掛からないようにして、動力損失を防止しつつ耕深の安定化を図り得る部分耕起播種装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、機体後部に装着され、回転する耕耘爪(38)により幅狭の耕起溝(56)を形成するロータリ装置(14)と、該ロータリ装置(14)の後方に装着され、溝切り刃(26)により前記耕起溝(56)の溝幅内に播種溝(60)を形成して該播種溝(60)に播種する播種装置(16)と、を備えた部分耕起播種装置(10)において、前記耕耘爪(38)は左右両側面及び天面を保護カバー(44)により覆われ、該保護カバー(44)の圃場面側に開口する開口側の下端部に曲面部(50)を形成した、ことを特徴とする。
【0006】また、本発明は、前記曲面部(50)は、前記保護カバー(44)の圃場面側に開口する開口側の下端部に形成したカール部(62)である、ことを特徴とする。
【0007】更に、本発明は、前記曲面部(50)は、前記保護カバー(44)の圃場面側に開口する開口側の下端部に一体的に固着した丸棒部材(52)である、ことを特徴とする。
【0008】(作用)本発明は、前記発明特定事項により、回転する耕耘爪(38)により幅狭の耕起溝(56)が形成され、更にその後方では溝切り刃(26)により前記耕起溝(56)の溝幅内に播種溝(60)が形成されて、該播種溝(60)内に種子(58)が供給される。
【0009】前記耕耘爪(38)は、左右両側面及び天面を保護カバー(44)により覆われていて、この保護カバー(44)の圃場面側に開口する開口側の下端部に、曲面部(50)が形成され、この曲面部(50)により、耕耘爪(38)の回転に伴い該耕耘爪(38)に引き込まれた草や藁が、耕耘爪(38)と保護カバー(44)との間に詰まることなくスムーズに1回転して後方に排出される。
【0010】なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0012】図1及び図2は、本発明に係る部分耕起播種装置の全体側面図と平面図である。これらの図において、部分耕起播種装置10は、トラクタ(図示せず)の後部にヒッチ部12を介して昇降自在に装着されたロータリ装置14と、更にその後方にツールバー15を介して昇降自在に装着された播種装置16とを備えている。
【0013】前記ロータリ装置14は、上部に設置された左右2個の肥料タンク18と、該タンク18内の肥料を圃場面に供給する施肥パイプ20、及び耕深調節用の尾輪22を有している。また、前記播種装置16は、種子を収容する種子タンク24と、該タンク24内の種子を播種部に向けて供給する種子パイプ25と、播種溝形成用の溝切り刃26、更に播種溝に覆土する覆土板28、播種溝の上部を押圧する鎮圧ローラ30及び接地輪32を有している。
【0014】トラクタ本体からの動力は、チェンケース34内のチェンによって各列共通の爪軸36に伝達され、この爪軸36には同一の回転面内に複数本(図では6本)の耕耘爪38が略々等間隔で取り付けられている。
【0015】この耕耘爪38は、夫々の先端部が回転面に対し交互に左又は右側方に折曲された折曲部38a,38bを有し(図3(a)(b)参照)、この耕耘爪38の回転により幅狭の耕起溝56が形成される。前記爪軸36の後側には、耕耘爪38に近接して前記施肥パイプ20が配置され、該施肥パイプ20の排出口から耕起溝56の底部に肥料タンク18内の肥料が落下されて供給される。
【0016】ロータリ装置14の後方には、トラクタの前進によって該トラクタ車輪とは逆駆動される接地輪32が装備され、該接地輪32の前部には前記溝切り刃26が転動可能に設けられている。この溝切り刃26は、耕耘爪38によって形成された耕起溝56の溝幅内に播種溝60が形成されるように、進行方向と略々一致するように耕耘爪38の後方に取り付けられている。
【0017】また、前記種子タンク24の種子供給部42と接地輪32との間には、ベルト40が巻き掛けられていて、このベルト40を介して種子タンク24の種子供給部42を駆動して種子58の排出量を調整し、種子パイプ25を経由して、前記耕起溝56に予め溝切り刃26によって形成された播種溝60に種子58が落下されて供給される。
【0018】そして、溝切り刃26の後方に設けられた覆土板28によって、蒔かれた種子58の上に軽く土が被せられ、更に最後尾に設けられた鎮圧ローラ30によって、前記により被せた土を軽く転圧し、一連の施肥・播種作業を中心とする作業を終了する。なお、後日、田面に水を張って水田状態とする。
【0019】ここで、本実施の形態においては、前記耕耘爪38は左右両側面及び天面を保護カバーにより覆われ、該保護カバーの圃場面側に開口する開口側の下端部に曲面部を形成したものである。
【0020】図3(a)(b)に示すように、爪軸36に取り付けられた耕耘爪38は、その外周部を保護カバー44によって覆われている。この保護カバー44は、耕耘爪38の左右両側面を覆う側面板46と、天面を覆う円弧状の天面板48とを有し、圃場面側は開口されている。
【0021】そして、その開口側の下端部に曲面部50が形成されていて、この曲面部50として、保護カバー44の開口側の下端部に丸棒部材52が一体的に溶接固定されている。すなわち、この丸棒部材52は、保護カバー44の開口側の下端部の後方側を除く周囲に沿って配設されていて、該後方側は端部が上方に向けて折曲されている。
【0022】このため、耕耘爪38の回転に伴い該耕耘爪38に引き込まれた草や藁は、耕耘爪38と保護カバー44との間に詰まらずに、耕耘爪38と共にスムーズに1回転して後方に排出される。
【0023】なお、耕耘爪38は、一般のロータリ装置と異なり常に逆転方向(時計回り)に回転し、前記側面板46と天面板48とは前記耕耘爪38に近接して配置されていて、圃場の土を下方から上方に向かって跳ね上げるように耕耘する。また、耕耘爪38により跳ね上げられて砕土された土は、側面板46と天面板48の内面に案内されて、底部に施肥された肥料54の上に落下して耕起溝56が形成され、この耕起溝56は天面板48の後端のレベラ48aで均らされる。
【0024】図4(a)〜(c)は、前記曲面部50の他の実施の形態を示すもので、図4(a)は、保護カバー44の開口側の下端部を外側にカール部62を形成したものであり、図4(b)は、保護カバー44の開口側の下端部に、曲面部分を有する金具64を取り付けたものであり、図4(c)は、保護カバー44の開口側の耕耘爪38下端部に、パイプ部材66を一体的に溶接固定したものである。
【0025】そして、保護カバー44の側面板46には、耕耘爪38の回転半径の内側付近に孔46aが形成されていて、この孔46aに前記施肥パイプ20が貫通保持されている。こうして、上部の肥料タンク18内の肥料54を、施肥パイプ20により耕起溝56の底部に供給できるようになっている。このため、耕耘爪38が回転中であっても、該耕耘爪38の左右への折曲部38a,38bに干渉することなく、しかも、施肥パイプ20を耕起溝56の直上まで臨ませることができ、肥料54が耕起溝56の外へ散逸することなく、効率のよい施肥作業が可能となる。
【0026】次に本実施の形態の作用について説明する。
【0027】爪軸36に取り付けられた複数本の耕耘爪38が回転して、幅狭の耕起溝56が形成され、同時にこの耕起溝56の底部に肥料54が供給される。この耕耘爪38の回転により、圃場面の草や藁が保護カバー44の内側に引き込まれるが、該保護カバー44の圃場面側に開口する開口側の下端部に、丸棒部材52を一体的に固定したことにより、前記草や藁が保護カバー44の下端部に引っ掛かることがなくスムーズに流れ、耕耘爪38と共に1回転して後方に排出される。なお、この排出された草や藁は土中に埋められ、腐敗して肥料となる。
【0028】また、前記耕耘爪38の後方では溝切り刃26が転動することで、耕起溝56の溝幅内に播種溝60が形成され、この播種溝60内に種子パイプ25によって種子58が落下されて供給される。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、保護カバーの圃場面側に開口する開口側の下端部に曲面部を形成したことにより、耕耘爪の回転に伴い該耕耘爪に引き込まれた草や藁が、耕耘爪と保護カバーとの間に詰まらずに、スムーズに1回転して後方に排出される。このため、耕耘爪と保護カバーとの間に詰まった草や藁により、動力損失を生じたり、耕深が浅くなること等の弊害を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開平11−103616
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−274785