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【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】塩谷 和久

【氏名】土井 邦夫

【要約】 【課題】走行部の後方に植付部を連結し、同植付部には、走行部の前後方向の仮想中心線上に配置したセンタフロートと、同センタフロートの左右側方に配置した左右一対の内側フロートと、両内側フロートの外側方にそれぞれ配置した左右一対の外側フロートとを設けた乗用田植機において、各フロート回りの水流や波による苗の植付姿勢の乱れを防止する。

【解決手段】内外側フロートは、走行部の後車輪の直後方位置に配置し、かつ、センタフロートよりも前後幅を短幅に形成し、外側フロートは、前端を内側フロートの前端よりも前方に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行部(B) の後方に植付部(D) を連結し、同植付部(D) には、走行部(B) の前後方向の仮想中心線(37)上に配置したセンタフロート(34)と、同センタフロート(34)の左右側方に配置した左右一対の内側フロート(35)(35)と、両内側フロート(35)(35)の外側方にそれぞれ配置した左右一対の外側フロート(36)(36)とを設けた乗用田植機(A) において、左右内側フロート(35)(35)は、走行部(B) の左右後車輪(4)(4)の直後方位置に配置し、かつ、センタフロート(34)よりも前後幅(35c) を短幅に形成し、左右外側フロート(36)(36)は、前端を左右内側フロート(35)(35)の前端よりも前方に配置したことを特徴とする乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、乗用田植機の一形態として、走行部の後方に植付部を連結し、同植付部には、走行部の前後方向の仮想中心線上に配置したセンタフロートと、同センタフロートの左右側方でかつ走行部の後車輪の直後方位置に配置した左右一対の内側フロートと、両内側フロートの外側方にそれぞれ配置した左右一対の外側フロートとを設けたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる乗用田植機での植付作業は、1行程の植付作業が完了して圃場端に達するとUターンし、既に植付けた最外側の植付条に近接して走行しながら、次行程の植付作業を行うのであるが、上記した乗用田植機では、内側及び外側フロートは、走行部の後車輪との干渉を回避するために、センタフロートよりも後方へ位置ずれさせて配置しており、そのため、後車輪で生起する波や水流が、前回の植付け行程で既に植付けた苗の植付姿勢を乱すという不具合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、走行部の後方に植付部を連結し、同植付部には、走行部の前後方向の仮想中心線上に配置したセンタフロートと、同センタフロートの左右側方に配置した左右一対の内側フロートと、両内側フロートの外側方にそれぞれ配置した左右一対の外側フロートとを設けた乗用田植機において、左右内側フロートは、走行部の後車輪の直後方位置に配置し、かつ、センタフロートよりも前後幅を短幅に形成し、左右外側フロートは、前端を左右内側フロートの前端よりも前方に配置したことを特徴とする乗用田植機を提供せんとするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本実施例では、走行部の後方に、同走行部の前後方向の仮想中心線上にセンタフロートを配置し、同センタフロートの左右側方で、走行部の後車輪の直後方位置に左右一対の内側フロートを配置し、各内側フロートの外側方に左右一対の外側フロートを配置して植付部を所定の高さに支持するようにしており、特に、上記内側及び外側フロートの前後幅をセンタフロートの前後幅よりも短幅に形成し、外側フロートの前端を内側フロートの前端よりも前方に配置して、圃場面の張水の深浅にかかわらず、後車輪で生起する波や水流が、左右外側フロートの外側方に波及しないようにしている。
【0006】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0007】図1は、本発明に係る乗用田植機Aを示しており、同乗用田植機Aは、自走可能の走行部Bの後方に、3点リンク機構Cを介して植付部Dを昇降自在に連結し、走行部Bで植付部Dを牽引走行しながら、圃場の田面に苗を植え付けるようにしている。
【0008】走行部Bは、メインフレーム1の前後部下面に、それぞれ、左右両端に左右前車輪2を取付けた前車軸ケース3と、左右両端に左右後車輪4を取付けた後車軸ケース5とを配設し、メインフレーム1の前部上面にエンジン6を内蔵したボンネット7を配置し、同ボンネット7の左右両側に予備苗台8を配設し、ボンネット7の後面に沿ってステアリングコラム9を立設し、同ステアリングコラム9の上端にステアリングホイル10を取付け、ボンネット7の後方に所定間隔を保持して座席11を設け、同座席11の後方に側条施肥機12を配置している。
【0009】そして、前記エンジン6からの動力を、メインフレーム1の下面に配設したミッションケース13に伝達して変速し、中継ギヤボックス14と後車軸ケース5とを介して左右後車輪4に伝達すると共に、中継ギヤボックス14から前駆動軸15と前車軸ケース3とを介して左右前車輪2に動力を伝達するようにしている。
【0010】3点リンク機構Cは、走行部Bの後面と、植付部Dのフレームを兼ねる植付駆動ケース20の前端部に連設したリンク取付部16との間に左右のロアリンク17と、トップリンク18とを架設し、走行部Bの後部に配設した昇降用油圧シリンダC1を上記ロアリンク17に連動連結して、植付部Dを略平行移動させながら昇降作動させるようにしており、トップリンク18の中途部に伸縮機構19を設けて、植付部Dの前後傾斜角度を調整できるようにしている。
【0011】植付部Dは、植付駆動ケース20の上方に、前高後低に傾斜した苗載台21を左右移動自在に配設しており、同苗載台21には8条分の苗マットを載置することができるまた、植付駆動ケース20の後面中央部に、後端部左右側面に植付爪23を回動自在に装着した植付ケース22を3個後方向に延設し、これらの植付ケース22の外側の植付駆動ケース20の後面に外側面にのみ植付爪23を装着した植付ケース22を連接して、各植付爪23の回動により8条分の植付を可能としている。
【0012】かかる植付部Dの下部に、図1及び図2で示すように、左右方向に伸延したフロート取付軸30を回動自在に横架し、同フロート取付軸30の後面にフロート取付杆31の基端部を固着すると共に、後述する各フロート34,35,35,36,36の上面後部にそれぞれ枢支部32を突設し、同枢支部32に上記フロート取付杆31の後端部を回動自在に枢着して、フロート取付軸30の回動により各フロート34,35,35,36,36の植付部Dに対する上下位置を変更可能にして、植付部Dの田面からの高さを調節可能にしている。
【0013】また、各フロート34,35,35,36,36の前端部上面に、それぞれセンサロッド33の下端部を回動自在に枢着し、同センサロッド33の上端の作動を検出して昇降機構等を作動させて、植付部Dの田面からの高さや、前後及び左右方向の傾斜を一定に保持するようにしている。
【0014】上記各フロート34,35,35,36,36のうち、センタフロート34は、走行部Bの前後方向の仮想中心線37上に配置されており、同センタフロート34の左右側に、それぞれ所定間隔を保持して左右内側フロート35,35 を配置し、同左右内側フロート35,35 の外側に所定間隔を保持して左右外側フロート36,36 を配置している。
【0015】上述したセンタフロート34は、図2で示すように、平面形において、前部34aに丸みを持たせ、後部左右側面にそれぞれ凹部34b,34b を形成している。
【0016】また、左右内側フロート35,35 は、平面形において、前後幅35c をセンタフロート34の前後幅34c よりも短幅に形成し、前部35a の左右隅角部に丸みを形成し、後部左右側面にそれぞれ凹部35b,35b を形成している。
【0017】また、左右外側フロート36,36 は、平面形において、前部36a にセンタフロート34よりも小径の丸みを持たせ、前後幅36c をセンタフロート34の前後幅34c よりも短いが、内側フロート35の前後幅35c よりも長く形成されており、外側面後部にだけ凹部36b を形成している。
【0018】そして、センタフロート34を乗用田植機Aの前後方向の仮想中心線37上に配置し、左右内側フロート35,35 を、それぞれ走行部Bの左右後車輪4,4 の直後方に配置し、左右外側フロート36,36 の前端を、左右内側フロート35,35 の前端よりも前進量45だけ前方に配置している。
【0019】このように、走行部Bの左右後車輪4,4 の直後方に配置したことで、左右後車輪4,4 の車輪跡を均平化することができ、更に、左右外側フロート36,36 の前端を、左右内側フロート35,35 の前端よりも前進量45だけ前方に配置したことで、張水の深浅にかかわらず、左右後車輪4,4 で生起した波や水流が左右内側フロート35,35 で遮られて外側方に波及せず、前回の植付行程で植付けられた隣接条の苗の植付姿勢を乱すのを防止することができる。
【0020】また、左右外側フロート36,36 の横幅36d を、左右内側フロート35,35 の横幅35d の約1/2 に縮幅すると共に、センタフロート34と左右内側フロート35,35 との間隔42を、左右内側フロート35,35 と左右外側フロート36,36 との間隔43よりも広くして、上述した水流や波による苗の植付姿勢に対する悪影響防止効果を補強している。
【0021】更に、上記各フロート34,35,35,36,36の後端を、左右方向に伸延した仮想一直線44上に揃えて、乗用田植機Aの前後長が長くならないようにすると共に、左右外側フロート36,36 の外側面後部にだけ凹部36b を形成し、同左右外側フロート36,36 の支持部分を内側に配置して、乗用田植機Aの横幅が広くならないようにしている。
【0022】図3及び図4は、エンジン6を被包したボンネット7を支持するために、メインフレーム1の前端部上面に立設したボンネット支持枠50の前部内面から、略短冊形状のステー51を後方向に突設し、同ステー51の前後2か所にそれぞれ長孔52,52 を穿設し、各長孔52,52 を挿通したバンデージ53,53 によって、エンジン6の前部側面に付設したスターティングモータ54と、ボンネット支持枠50に固設したヒューズボックス55との間のワイヤハーネス56を、上記ステー51の側面に同ステー51と平行状態に固定するようにしている。
【0023】従って、メインフレーム1に突設した架台57に弾性支持されたエンジン6と共にスターティングモータ54が振動しても、ワイヤハーネス56の振れ回りによる疲労や、エンジン6や他の部材等との接触や摩擦が防止され、同接触や摩擦が原因の損傷や不具合を防止することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、走行部の後方に植付部を連結し、同植付部には、走行部の前後方向の仮想中心線上に配置したセンタフロートと、同センタフロートの左右側方に配置した左右一対の内側フロートと、両内側フロートの外側方にそれぞれ配置した左右一対の外側フロートとを設けた乗用田植機において、内外側フロートは、走行部の後車輪の直後方位置に配置し、かつ、センタフロートよりも前後幅を短幅に形成し、外側フロートは、前端を内側フロートの前端よりも前方に配置したことによって、田面の張水の深浅にかかわらず、左右後車輪で生起した波や水流が左右内側フロートで遮られて外側方に波及せず、前回の植付行程で植付けられた隣接条の苗の植付姿勢を乱すのを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開平11−75444
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−248797