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【発明の名称】 植付装置の潤滑装置
【発明者】 【氏名】山下 真

【氏名】松木 直樹

【氏名】小森 浩美

【氏名】牧原 邦充

【要約】 【課題】潤滑対象摺動面のみに的確に潤滑油を注油できるとともに、潤滑油の垂れ落ちを防止できるようにする。

【解決手段】植付フレーム5に苗のせ台6を左右方向に往復移動自在に支持させ、潤滑油を含浸可能で潤滑対象摺動面に摺接して含浸した潤滑油をその潤滑対象摺動面に塗布する塗布面14aを有する塗布具14を設け、その塗布具14に潤滑油を供給する潤滑油供給手段15を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付フレームに苗のせ台を左右方向に往復移動自在に支持させてある植付装置において、潤滑油を含浸可能で潤滑対象摺動面に摺接して含浸した潤滑油をその潤滑対象摺動面に塗布する塗布面を有する塗布具を設け、その塗布具に潤滑油を供給する潤滑油供給手段を設けてある植付装置の潤滑装置。
【請求項2】 前記潤滑対象摺動面が、前記苗のせ台の上下中間部に左右向き姿勢で固着されていて前記植付フレームに装着のシューにより左右方向に摺動自在に支持されるガイドレールのシュー摺動面であり、前記シューには、前記塗布面がシュー摺動面に摺接する状態で前記塗布具を嵌合保持する凹部と、潤滑油供給手段から供給されてくる潤滑油を凹部に供給する潤滑油受入れ口とを形成してある請求項1記載の植付装置の潤滑装置。
【請求項3】 前記潤滑対象摺動面が、前記植付フレームに左右向き姿勢で固着されていて前記苗のせ台の下端部に装着の受け具を左右方向に摺動自在に支持する摺動レールの受け具摺動面であり、前記受け具には、前記塗布面が受け具摺動面に摺接する状態で前記塗布具を嵌合保持する凹部と、潤滑油供給手段から供給されてくる潤滑油を凹部に供給する潤滑油受入れ口とを形成してある請求項1又は2記載の植付装置の潤滑装置。
【請求項4】 前記潤滑油供給手段を苗のせ台に装備させてある請求項3記載の植付装置の潤滑装置。
【請求項5】 前記塗布具を、圃場面を滑走して植付予定箇所を整地する接地フロートの上方に配置してある請求項1〜4のいずれか1項に記載の植付装置の潤滑装置。
【請求項6】 前記植付フレームが自走機体にローリング自在に装着されるものであり、前記潤滑油供給手段が、植付フレームを自走機体に対してローリングさせるネジ機構に潤滑油を注油する注油ノズルに潤滑油を分岐供給するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の植付装置の潤滑装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植付フレームに苗のせ台を左右方向に往復移動自在に支持させてある植付装置のうち、前記苗のせ台の上下中間部に左右向き姿勢で固着されていて前記植付フレームに装着のシューにより左右方向に摺動自在に支持されるガイドレールのシュー摺動面、或いは、前記植付フレームに左右向き姿勢で固着されていて前記苗のせ台の下端部に装着の受け具を左右方向に摺動自在に支持する摺動レールの受け具摺動面などで代表される潤滑対象摺動面に潤滑油を注油する潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガイドレールのシュー摺動面や摺動レールの受け具摺動面などの潤滑対象摺動面に潤滑油を注油するに、従来では、油差しを用いて、所定の箇所に潤滑油を注油するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技術によるときは、油差しからの潤滑油の滴下により潤滑対象摺動面に潤滑油を注油するから、潤滑対象摺動面の全面に万遍なく潤滑油を注油することが難しいことはもちろん、潤滑対象摺動面上に潤滑油が落ちずに他の装置部分に落ちてそれを汚損し、しかも、特に、潤滑性を上げるために多量に潤滑油を供給した場合、潤滑油が潤滑対象摺動面から垂れ落ちて、他の装置部分を汚損したり、圃場においては圃場を潤滑油で汚損していた。
【0004】本発明の目的は、潤滑対象摺動面のみに的確に潤滑油を注油できるとともに、潤滑油の垂れ落ちを防止できるようにする点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本第1発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0006】〔特徴〕植付フレームに苗のせ台を左右方向に往復移動自在に支持させてある植付装置において、潤滑油を含浸可能で、潤滑対象摺動面に摺接して含浸した潤滑油をその潤滑対象摺動面に塗布する塗布面を有する塗布具を設け、その塗布具に潤滑油を供給する潤滑油供給手段を設けてある点にある。
【0007】〔作用〕本第1発明によるときは、潤滑油供給手段により供給した潤滑油を塗布具に含浸させ、その潤滑油を含浸した塗布具の塗布面を潤滑対象摺動面に摺接させることにより、含浸した潤滑油を潤滑対象摺動面に塗布するようにしてあるから、塗布具を摺動に伴って潤滑対象摺動面の全面の摺接するように設置しておくことにより、塗布具の含浸作用で十分な潤滑油を垂れ落ちなく保持して、潤滑対象摺動面の全面に潤滑油をほぼ均一に塗布することができる。
【0008】〔効果〕従って、本第1発明によれば、他の装置部分や圃場を潤滑油で汚損することなく、潤滑対象摺動面を適切に潤滑することができるようになった。
【0009】請求項2に係る本第2発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0010】〔特徴〕上記本第1発明の特徴において、前記潤滑対象摺動面が、前記苗のせ台の上下中間部に左右向き姿勢で固着されていて前記植付フレームに装着のシューにより左右方向に摺動自在に支持されるガイドレールのシュー摺動面であり、前記シューには、前記塗布面がシュー摺動面に摺接する状態で前記塗布具を嵌合保持する凹部と、潤滑油供給手段から供給されてくる潤滑油を凹部に供給する潤滑油受入れ口とを形成してある点にある。
【0011】〔作用〕本第2発明によるときは、シューがガイドレールのシュー摺動面を摺動することに着目して、シューに形成の凹部に嵌合保持されるとともに潤滑油受入れ口から潤滑油供給手段により供給されてくる潤滑油を含浸する塗布具の塗布面を潤滑対象摺動面であるところのガイドレールのシュー摺動面に摺接させることにより、シュー摺動面に潤滑油を塗布するようにしてあるから、シュー摺動面を良好に潤滑することができる。
【0012】しかも、塗布具をシューに形成の凹部に嵌合保持させて、シュー自体を塗布具の保持具に兼用させてあるから、塗布具を保持するための保持具及びそれを植付装置に取り付けるための構造が不要である。
【0013】〔効果〕従って、本第2発明によれば、シュー摺動面を確実良好に潤滑できながらも、構造簡単に実施できるようになった。
【0014】請求項3に係る本第3発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0015】〔特徴〕上記本第1発明や本第2発明の特徴において、前記潤滑対象摺動面が、前記植付フレームに左右向き姿勢で固着されていて前記苗のせ台の下端部に装着の受け具を左右方向に摺動自在に支持する摺動レールの受け具摺動面であり、前記受け具には、前記塗布面が受け具摺動面に摺接する状態で前記塗布具を嵌合保持する凹部と、潤滑油供給手段から供給されてくる潤滑油を凹部に供給する潤滑油受入れ口とを形成してある点にある。
【0016】〔作用〕本第3発明によるときは、受け具が摺動レールの受け具摺動面に摺動することに着目して、受け具に形成の凹部に嵌合保持されるとともに潤滑油受入れ口から潤滑油供給手段により供給されてくる潤滑油を含浸する塗布具の塗布面を潤滑対象摺動面であるところの摺動レールの受け具摺動面に摺接させることにより、受け具摺動面に潤滑油を塗布するようにしてあるから、受け具摺動面を良好に潤滑することができる。
【0017】しかも、塗布具を受け具に形成の凹部に嵌合保持させて、受け具自体を塗布具の保持具に兼用させてあるから、塗布具を保持するための保持具及びそれを植付装置に取り付けるための構造が不要である。
【0018】〔効果〕従って、本第3発明によれば、受け具摺動面を確実良好に潤滑できながらも、構造簡単に実施できるようになった。
【0019】請求項4に係る本第4発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0020】〔特徴〕上記本第3発明の特徴において、前記潤滑油供給手段を苗のせ台に装備させてある点にある。
【0021】〔作用〕本第4発明によるときは、受け具は苗のせ台とともに移動する点に着目して、潤滑油供給手段も苗のせ台に装備させて苗のせ台とともに移動する、つまり、受け具と一緒に移動するようにしてあるから、苗のせ台の移動にかかわらず、塗布具を嵌合保持したや受け具と潤滑油供給手段との位置関係を一定に維持でき、潤滑油供給手段に苗のせ台の移動を許容しながら潤滑油を塗布具に供給するための構成が不要である。つまり、例えば、潤滑油供給手段を植付フレームに装備させた場合には、苗のせ台の移動に伴い潤滑油供給手段と受け具とが相対移動して、潤滑油供給手段には、その相対移動を許容しながらも、潤滑油を受け具に装着の塗布具に供給させるための構造が必要である。
【0022】〔効果〕従って、本第4発明によれば、受け具に装着の塗布具への潤滑油の供給を構造簡単に行えるようになった。
【0023】請求項5に係る本第5発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0024】〔特徴〕上記本第1発明や本第2発明、本第3発明、本第4発明の特徴において、前記塗布具を、圃場面を滑走して植付予定箇所を整地する接地フロートの上方に配置してある点にある。
【0025】〔作用〕本第5発明によるときは、接地フロートの上方に塗布具を配置して、塗布具への思わぬ潤滑油の過剰供給や塗布具が潤滑対象摺動面で過剰に押されることなどで塗布具から潤滑油が万が一垂れ落ちても、その垂れ落ち潤滑油を接地フロートで受け止めるようにしてあるから、潤滑油を圃場に滴下させることがない。
【0026】〔効果〕従って、本第5発明によれば、塗布具から万が一潤滑油が垂れ落ちてもそれにより圃場を汚損することがない。
【0027】請求項6に係る本第6発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0028】〔特徴〕上記本第1発明や本第2発明、本第3発明、本第4発明、本第5発明の特徴において、前記植付フレームが自走機体にローリング自在に装着されるものであり、前記潤滑油供給手段が、植付フレームを自走機体に対してローリングさせるネジ機構に潤滑油を注油する注油ノズルに潤滑油を分岐供給するように構成されている点にある。
【0029】〔作用〕本第6発明によるときは、潤滑油供給手段によりネジ機構に対する注油ノズルに潤滑油を分岐供給することにより、ローリング用のネジ機構に対する注油装置と摺動面潤滑装置との間で潤滑油供給手段を共用するようにしてあるから、ネジ機構に対する注油構成にタンクやポンプなどの潤滑油供給のための構造が不要である。
【0030】〔効果〕従って、本第6発明によれば、ローリング用注油装置を構造簡単安価に構成できるようになった。
【0031】
【発明の実施の形態】乗用型田植機は、図1に示すように、乗用型の自走機体1の後部にリンク機構2及び油圧シリンダ3を介して植付装置4を昇降操作自在に連結して構成されている。
【0032】前記植付装置4は、図2,図3にも示すように、リンク機構2、つまり、自走機体1にローリング自在に装着されており、リンク機構2にローリング自在に装着された植付フレーム5と、この植付フレーム5に左右方向に設定ストロークで往復移動自在に支持させた前傾姿勢の苗のせ台6と、走行に伴い圃場面を滑走することにより植付予定圃場面部分を整地する左右複数の接地フロート7と、前記苗のせ台6の移動に連動して作動することにより苗のせ台6から植付単位量の苗を取り出して整地された植付予定圃場面部分に植え付ける回転式の植付機構8とを備えている。
【0033】前記苗のせ台6を植付フレーム5に移動自在に支持させる手段は、苗のせ台6の上下中間部に左右向き姿勢のガイドレール10を固着し、このガイドレール10の前後位置及び上下位置を規制する状態でガイドレール10を左右方向に摺動自在に支持する複数のシュー9を左右方向に適宜間隔を隔てて植付フレーム5に装着し、前記苗のせ台6の下端部に左右方向に適宜間隔を隔てて受け具11を装着し、これら受け具11の前後位置及び上下位置を規制する状態で受け具11を左右方向に摺動自在に支持する左右向き姿勢の摺動レール12を植付フレーム5に固着して構成されている。
【0034】かつ、乗用型田植機は、植付装置4の対水平姿勢が設定姿勢となるようにローリングさせるローリング手段と、潤滑装置と、注油装置とを有する。
【0035】ローリング手段は、図2,図3に示すように、植付フレーム5をリンク機構2に対してローリングさせるネジ機構13を設けて構成されており、ネジ機構13は、左右向き姿勢の送りネジ13Aを左右位置固定状態に設け、この送りネジ13Aに螺合していて送りネジ13Aの正逆回転により左右方向に移動するコマ部材13Bを設け、前記送りネジ13Aを正逆回転させる電動モータ13Cを設け、前記コマ部材13Bの右側への移動に伴い植付フレーム5の左側をローリング軸芯P周りに引き上げる左引き上げバネ13Lと、コマ部材13Bの左側への移動に伴い植付フレーム5の右側をローリング軸芯P周りに引き上げる右引き上げバネ13Rとを設け、植付フレーム5の対水平姿勢を検出するセンサ13Dを設け、このセンサ13Dの検出結果に基づいて植付フレーム5が設定対水平姿勢となるように前記電動モータ13Cを操作する制御装置13Eを設けて、植付フレーム5のローリング姿勢、つまり、植付装置4の姿勢が設定対水平姿勢となるように植付装置4をローリングするように構成されている。
【0036】前記潤滑装置は、前記ガイドレール10のシュー摺動面及び摺動レール12の受け具摺動面を潤滑対象摺動面とするものであって、潤滑油を含浸可能で、潤滑対象摺動面に摺接して含浸した潤滑油を潤滑対象摺動面に塗布する塗布面14aを有するスポンジ利用の塗布具14を設け、その塗布具14に潤滑油を供給する潤滑油供給手段15を設けて構成されている。
【0037】前記シュー摺動面に対する潤滑手段は、図4,図5に示すように、前記シュー9に、塗布面14aがシュー摺動面に摺接する状態で前記塗布具14を嵌合保持する凹部16を形成し、前記潤滑油供給手段15から供給されてくる潤滑油を凹部16に供給する潤滑油受入れ口17を形成して構成されている。
【0038】他方、受け具摺動面に対する潤滑手段は、図6,図7に示すように、前記受け具11に、塗布面14aが受け具摺動面に摺接する状態で前記塗布具14を嵌合保持する凹部18を形成し、前記潤滑油供給手段15から供給されてくる潤滑油を凹部18に供給する潤滑油受入れ口19を形成して構成されている。
【0039】かつ、前記各塗布具14は、図3に示すように、前記接地フロート7の上方に配置されている。
【0040】前記潤滑油供給手段15は、図2,図3に示すように、潤滑油を貯留するタンク15Aと潤滑油を圧送する手動操作式のポンプ15Bと、各潤滑油受入れ口17,19に接続して圧送される潤滑油を各潤滑油受入れ口17,19に導くホース15Cとからなり、苗のせ台6にこれと一体的に移動するように装備されている。
【0041】前記注油装置は、前記ネジ機構13の送りネジ13Aの表面に潤滑油を注油する装置であって、図2,図3に示すように、注油ノズル20を設け、このノズル20に前記潤滑油供給手段15からの潤滑油を分岐供給するホース21を設けて構成されている。つまり、この注油装置と潤滑装置との間では、潤滑油供給手段15が共用されている。
【0042】〔別実施形態〕上記実施の形態では、シュー摺動面及び受け具摺動面をともに潤滑対象摺動面としたが、シュー摺動面のみを潤滑対象摺動面として実施しても、また、受け具摺動面のみを潤滑対象摺動面として実施しても良い。
【0043】上記実施の形態では、潤滑油供給手段15を苗のせ台6に装備させて実施したが、潤滑油供給手段15を植付フレーム5に装備させて実施しても良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)9月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−75441
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−243766