| 【発明の名称】 |
苗の移植装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 日出男
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| 【要約】 |
【課題】小型化するとともに、方向転換作業を行いやすくする。
【解決手段】走行機体100と植付機体200とを、連結軸Cで回動自在に連結する。走行機体100は、走行用フレーム110と、エンジン120と、駆動輪と130とを有し、図の左方に走行する。植付機体200は、植付用フレーム210と、苗供給機構300と、土面Gに植付用溝を開く開溝機構400と、鎮圧輪510とを有する。苗供給機構300は、互いに所定間隔をあけて対向させた状態で鉛直平面に沿って配置された一対の挟持板310と、苗搬送手段320とを有する。シート150に着座した作業者は、苗搬送手段320に1本ずつ苗を載置する。搬送された苗は一対の挟持板310に挟まれて回転し、直立状態になると土面に掘られた植付用溝へと落下する。電動リフトシリンダー160を駆動すると、植付機体200を持ち上げることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行路に沿って苗を連続的に植え付ける作業を行う苗の移植装置であって、走行用フレームと、この走行用フレームに搭載された走行用動力源と、この走行用動力源の動力によって駆動される駆動輪と、を有し、前記駆動輪の駆動によって所定の走行路に沿った走行が可能な走行機体と、植付用フレームと、この植付用フレームに搭載された苗供給機構と、前記走行路に沿って土面に植付用溝を開く開溝機構と、を有し、前記走行路に沿って苗を植え付ける作業を行う植付機体と、を備え、前記植付機体は、前記走行機体に対して、水平方向を向いた連結軸によって回動自在に取り付けられており、前記走行機体もしくは前記植付機体には、前記植付機体を前記連結軸について回動させる回動機構が設けられ、前記苗供給機構は、互いに所定間隔をあけて対向させた状態で、鉛直平面に沿って配置された一対の挟持板と、水平方向を向いた回転軸に関して回転自在となるように、前記一対の挟持板を前記植付用フレームに取り付ける挟持板支持手段と、前記一対の挟持板を前記回転軸に関して回転駆動する回転駆動手段と、前記挟持板上方の投入位置まで苗を搬送し、搬送した苗を前記投入位置において前記一対の挟持板の内側へと投入する苗搬送手段と、投入された苗が植え付けに適した落下位置に到達するまで、前記一対の挟持板を外側から内側へと押圧して苗を保持する押圧手段と、前記回転駆動手段および前記苗搬送手段を駆動するための植付用動力源と、を有し、前記一対の挟持板の内側へ投入された苗が前記落下位置において前記一対の挟持板から前記植付用溝内へと落下するように構成し、前記挟持板支持手段は、前記一対の挟持板の内側空間内に物理的な枢軸要素が存在しないように、前記一対の挟持板の外側を支持する構造をなすことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項2】 請求項1に記載の苗の移植装置において、苗の植え付けに必要な溝に応じた幅を有する開溝部本体と、この開溝部本体に連なり、走行方向に向かって幅が徐々に狭くなる突起部と、前記突起部の前方位置に設けられた切溝刃と、によって開溝機構を構成したことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項3】 請求項2に記載の苗の移植装置において、一対の切溝刃を互いに所定間隔をあけて並列に設けたことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項4】 請求項1に記載の苗の移植装置において、一対の挟持板を可撓性をもった材料から構成し、苗の投入位置に、この一対の挟持板の間隔を広げる手段を設けたことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項5】 請求項1に記載の苗の移植装置において、走行用動力源の動力によって駆動される主動輪と、この主動輪の前方側に隣接配置された従動輪と、前記主動輪および前記従動輪の周囲に巻装されたキャタピラと、によって駆動輪を構成したことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項6】 請求項1に記載の苗の移植装置において、第1の環状ベルトと第2の環状ベルトとを用意し、第1の環状ベルトの一部分とこれに対向する第2の環状ベルトの一部分とによって搬送路が形成されるように、各環状ベルトの位置決めを行う回転ローラを配置し、各環状ベルトの外面によって苗を支持しながら前記搬送路に沿って苗を搬送する構造によって、苗搬送手段を構成したことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項7】 請求項6に記載の苗の移植装置において、第1の環状ベルトおよび第2の環状ベルトの前記搬送路に沿った内側部分に、それぞれ調節板を挿入し、この調節板の位置を変化させることにより、前記搬送路の幅を調節できるようにしたことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項8】 請求項7に記載の苗の移植装置において、調節板の位置変動に応じた距離だけ、回転ローラの位置を調節する機構を設け、調節板の位置にかかわらず、各環状ベルトが常に回転ローラ間に正しく巻装された状態を維持できるようにしたことを特徴とする苗の移植装置。 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の苗の移植装置において、苗が落下した植付用溝の周囲の土を踏みならす機能を有する鎮圧輪を更に設けるようにしたことを特徴とする苗の移植装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は苗の移植装置に関し、特に、長ねぎなどの苗を植付用溝に連続的に植え付ける作業を行う苗の移植装置に関する。 【0002】 【従来の技術】長ねぎを生産する場合、ある程度まで成長した苗を、畑の植付用溝に沿って直立状に植え付ける移植作業を行う必要がある。この移植作業は、人手で行うと、長時間にわたって腰を曲げた姿勢での重労働が必要になる。このような移植作業の作業負担を軽減させるために、苗の移植装置が開発されており、実用化に至っている。 【0003】たとえば、特公平3−62367号公報には、一対の円盤の間に苗を支持しながら、この円盤を回転させてゆき、直立状の姿勢になった時点で苗を植付用溝内へと落下させる機構をもった苗の移植装置が開示されている。この苗の移植装置は、エンジンによる自走機能を有しており、作業者はこの装置に搭乗したまま苗を一対の円盤へと供給する作業を行うだけで自動的な苗の植え付けを行うことができる。また、実公平4−24250号公報には、この苗の移植装置に用いるのに適した開溝器が開示されている。この開溝器は、ブーツ状の立体形状をなし、苗の移植装置の本体部下方に取り付けられる。移植装置が畑内を走行すると、このブーツ状の開溝器によって土中に植付用溝が掘られ、この植付用溝内に苗が落下し、植え付けが行われることになる。更に、実公平8−1608号公報には、この苗の移植装置の前進方向を制御するための制御装置が開示されている。この制御装置を利用すれば、崩れやすい土壌であっても、装置全体を安定した状態で前進させることができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の苗の移植装置には、装置全体が大きく、重量もかなり重くなるという問題がある。装置本体には、自走用のエンジンとともに、苗を直立姿勢にもってゆくための円盤を含む植付機構一式を搭載する必要がある。このため、長ねぎなどの苗の長さに合わせて装置を設計すると、装置の全長はかなり長くならざるを得ない。このように全長の長い装置を畑で使用する場合、単に、一方向にのみ走行させている間は大きな支障は生じないが、方向転換を行う必要が生じると、作業者にかなり重労働を強いることになる。 【0005】通常、作業者は、装置の一端側に取り付けられた操作ハンドルを保持しながら、装置の他端側を持ち上げるようにして、装置全体の向きを変える作業を行うことになるが、装置の全長が長ければ長いほど、「テコの原理」により他端側を持ち上げるために大きな力が必要になる。一般に、長ねぎなどの畑では、苗を列状に植え付けることになるので、1つの列についての植付作業は、移植装置を一方向に走行させるだけで完了するが、隣の列への植付作業に移る際には、移植装置を方向転換させながら、隣の列へ移動させる作業が必要になる。したがって、作業者には、1つの列についての植付作業を完了するごとに、装置の方向転換という重労働が課されることになる。 【0006】そこで本発明は、より小型で方向転換作業の行いやすい苗の移植装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 (1) 本発明の第1の態様は、走行路に沿って苗を連続的に植え付ける作業を行う苗の移植装置において、走行用フレームと、この走行用フレームに搭載された走行用動力源と、この走行用動力源の動力によって駆動される駆動輪と、を有し、この駆動輪の駆動によって所定の走行路に沿った走行が可能な走行機体と、植付用フレームと、この植付用フレームに搭載された苗供給機構と、走行路に沿って土面に植付用溝を開く開溝機構と、を有し、走行路に沿って苗を植え付ける作業を行う植付機体と、を設け、植付機体は、走行機体に対して、水平方向を向いた連結軸によって回動自在に取り付けられており、走行機体もしくは植付機体には、植付機体を連結軸について回動させる回動機構を設けるようにし、苗供給機構は、互いに所定間隔をあけて対向させた状態で、鉛直平面に沿って配置された一対の挟持板と、水平方向を向いた回転軸に関して回転自在となるように、挟持板を植付用フレームに取り付ける挟持板支持手段と、挟持板を回転軸に関して回転駆動する回転駆動手段と、挟持板上方の投入位置まで苗を搬送し、搬送した苗を投入位置において一対の挟持板の内側へと投入する苗搬送手段と、投入された苗が植え付けに適した落下位置に到達するまで、一対の挟持板を外側から内側へと押圧して苗を保持する押圧手段と、回転駆動手段および苗搬送手段を駆動するための植付用動力源と、を有し、一対の挟持板の内側へ投入された苗が落下位置において一対の挟持板から植付用溝内へと落下するように構成され、挟持板支持手段は、一対の挟持板の内側空間内に物理的な枢軸要素が存在しないように、一対の挟持板の外側を支持する構造をなすようにしたものである。 【0008】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る苗の移植装置において、苗の植え付けに必要な溝に応じた幅を有する開溝部本体と、この開溝部本体に連なり、走行方向に向かって幅が徐々に狭くなる突起部と、この突起部の前方位置に設けられた切溝刃と、によって開溝機構を構成したものである。 【0009】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る苗の移植装置において、一対の切溝刃を互いに所定間隔をあけて並列に設けるようにしたものである。 【0010】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1の態様に係る苗の移植装置において、一対の挟持板を可撓性をもった材料から構成し、苗の投入位置に、この一対の挟持板の間隔を広げる手段を設けるようにしたものである。 【0011】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1の態様に係る苗の移植装置において、走行用動力源の動力によって駆動される主動輪と、この主動輪の前方側に隣接配置された従動輪と、主動輪および従動輪の周囲に巻装されたキャタピラと、によって駆動輪を構成するようにしたものである。 【0012】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1の態様に係る苗の移植装置において、第1の環状ベルトと第2の環状ベルトとを用意し、第1の環状ベルトの一部分とこれに対向する第2の環状ベルトの一部分とによって搬送路が形成されるように、各環状ベルトの位置決めを行う回転ローラを配置し、各環状ベルトの外面によって苗を支持しながら搬送路に沿って苗を搬送する構造によって、苗搬送手段を構成するようにしたものである。 【0013】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る苗の移植装置において、第1の環状ベルトおよび第2の環状ベルトの搬送路に沿った内側部分に、それぞれ調節板を挿入し、この調節板の位置を変化させることにより、搬送路の幅を調節できるようにしたものである。 【0014】(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係る苗の移植装置において、調節板の位置変動に応じた距離だけ、回転ローラの位置を調節する機構を設け、調節板の位置にかかわらず、各環状ベルトが常に回転ローラ間に正しく巻装された状態を維持できるようにしたものである。 【0015】(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る苗の移植装置において、苗が落下した植付用溝の周囲の土を踏みならす機能を有する鎮圧輪を更に設けるようにしたものである。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る苗(この例の場合、長ねぎの苗)の移植装置の側面図である。この装置は、走行路に沿って苗を連続的に植え付ける作業に利用でき、大きく別けて、2つの機体から構成されている。すなわち、図の左側半分に示された走行機体100と、図の右側半分に示された植付機体200とであり、両者は、図のほぼ中央に示されている連結軸Cによって連結されている。走行機体100は、この装置全体を図の左方向に走行させる機能を有し、植付機体200は、走行機体100に引かれて走行し、この走行中に土面G(一点鎖線で示す)に植付用溝を掘り、苗を植付ける機能を有する。 【0017】この走行機体100には、車体として機能する走行用フレーム110と、この走行用フレーム110に搭載された走行用動力源120と、この走行用動力源120の動力によって駆動される駆動輪130と、が設けられている。走行用フレーム110には、操作ハンドル115が取り付けられており、作業者は、この操作ハンドル115を保持しながら、装置全体の向きを変える操作を行うことができる。この実施形態では、走行用動力源120として、一般の農機具用エンジンを用いている。このエンジンの動力は、動力伝達機構125を介して、駆動輪130へと伝達され、駆動輪130の駆動によって図の左方に向かった走行路に沿って、装置全体が走行することになる。このように、植付作業時には、この移植装置は図の左方向に向かって走行することになるので、以下、図の左方を前方、右方を後方と呼ぶことにする。 【0018】この実施形態では、駆動輪130は、走行用動力源120の動力によって直接的に駆動される主動輪131と、この主動輪131の前方側に隣接配置された従動輪132と、主動輪131および従動輪132の周囲に巻装されたキャタピラ133と、によって構成されている。駆動輪130をこのような構成にすることは、装置全体の小型化を図る上で貢献する。すなわち、主動輪131をできるだけ後方(植付機体200側)へ配置することにより、操作ハンドル115を保持しながら植付機体200を持ち上げる作業を行う際の支点位置をできるだけ植付機体200側にもってゆくことができ、重量負担を軽減させることができる。また、従動輪132を主動輪131の前方にのみ設けることにより、植付機体200の各構成要素を主動輪131に接近して配置することが可能になり、装置の全長をできるだけ短くする設計が可能になる。 【0019】なお、走行機体100の前方には、方向制御輪140が設けられており、この方向制御輪140の働きにより、所定の走行路に沿った安定した走行が可能になる。また、走行機体100の上部には、シート150が設けられており、走行機体100に搭乗した作業者は、このシート150に後ろ向き(図の右を向いて)に着座し、後述するように、植付機体200に苗を供給する作業を行うことになる。 【0020】上述したように、植付機体200は、この走行機体100に対して、連結軸Cによって連結されている。連結軸Cは、水平方向(図の紙面に垂直方向)を向いた回動軸であり、この連結軸Cを用いた連結により、植付機体200は走行機体100に対して、図1に示す状態から、紙面上で反時計回りの方向に回動することが可能である。走行機体100側に設けられた回動機構160は、この植付機体200の回動操作を行う機能を有している。この実施形態では、電動リフトシリンダーを回動機構160として用いており、このシリンダーを動作させることにより、植付機体200を連結軸Cについて回動させ、植付機体200全体を土面Gから持ち上げた状態にすることができる。図2は、回動機構160を用いて、実際に植付機体200全体を持ち上げた状態を示す側面図である。このような状態では、作業者は、操作ハンドル115を操作して容易に装置全体の向きを変えることができる。もちろん、シリンダーを逆に動作させれば、図1に示すもとの状態に戻すことができる。なお、この実施形態では、回動機構160を走行機体100側に設けているが、回動機構160を植付機体200側に設けるようにしてもかまわない。 【0021】続いて、図1を参照しながら、植付機体200の構成を説明する。植付機体200の車体として機能する植付用フレーム210は、連結軸Cによって、走行機体100側の走行用フレーム110に連結されており、上述したように、植付機体200全体を走行機体100に対して回動させることが可能である。 【0022】この植付用フレーム210には、苗供給機構300と、開溝機構400と、鎮圧輪510,520(図には手前側の510のみが示されている)と、が取り付けられている。苗供給機構300は、この苗の移植装置の中枢をなす構成部分であり、その構成については後に詳述する。 【0023】図1には、この苗供給機構300の構成要素のうち、苗回転機構310、苗搬送手段320、植付用動力源330が示されている。苗回転機構310は、投入された苗を両側から挟持しながら、回転軸Rを中心軸として回転させ、植え付けに適した直立状態の向きになった時点で、これを落下させ、土面G上に掘られた植付用溝内に苗を植え付ける機能を果たす。図1に破線で示された苗回転機構310の上半分が歪な形状をしているのは、後述するように、一対の挟持板の上部が広げられているためである。また、苗搬送手段320(図1には、3本のべルトの位置が破線で示されている)は、作業者が載置した苗を順次搬送しながら、苗回転機構310へ投入する機能を果たす。植付用動力源330は、苗回転機構310および苗搬送手段320を駆動するための動力源であり、この実施形態では、電動モータが用いられている。 【0024】また、開溝機構400は、走行路に沿って土面Gに植付用溝を開く機能を果たす。図1には、この開溝機構400の構成要素のうち、側板410、切溝刃420、突起部431が示されている。これらの各構成要素の下部は、図示のとおり、土面G(一点鎖線で示す)より下方にまで伸びており、この移植装置全体が図の左方向へと走行するに従って、土面G上の走行路に植付用溝が掘られてゆくことになる。苗回転機構310から放たれた苗は、この植付用溝の底部に落下することになる。 【0025】鎮圧輪510および520(図1には示されていない)は、こうして苗が落下した植付用溝の周囲の土を踏みならす機能を有する車輪である。これらの鎮圧輪510,520は、円形をした車輪であるが、後述するように、車軸が斜めになっているため、図1の側面図では楕円状の車輪として示されている。植付作業中、この移植装置全体は図の左方向に走行するので、苗回転機構310から苗が落下すると、その直後に、苗の落下位置近傍を鎮圧輪510,520が通過することになり、苗の根元部分の土が両側から踏み固められることになる。 【0026】続いて、苗供給機構300の詳細な構成および動作を、図3の分解斜視図を参照しながら説明する。図示のとおり、苗供給機構300の主たる構成要素は、苗回転機構310と苗搬送手段320とである。苗回転機構310は、一対の挟持板311,312と、この一対の挟持板311,312を植付用フレーム210に取り付ける挟持板支持手段313(挟持板312の裏側にも、図示されていない同様の挟持板支持手段が存在する)と、この一対の挟持板311,312を、回転軸Rに関して回転駆動する回転駆動手段314(挟持板312の裏側にも、図示されていない同様の挟持板駆動手段が存在する)と、によって構成されている。 【0027】挟持板311,312は、いずれも円盤状の薄板からなり、互いに所定間隔をあけて対向させた状態で、鉛直平面に沿って配置されている。両挟持板の間隔は、苗を保持するには若干広い程度になっており、両挟持板の内側へ上方から苗を投入すると、苗はそのまま挟持板の間を通り抜けて下方へと落下する。一方、挟持板支持手段313は、挟持板311を、水平方向を向いた回転軸Rに関して回転自在となるように、植付用フレーム210に取り付ける機能を有しており、この挟持板支持手段313によって、挟持板311は植付用フレーム210に回転自在に固定されることになる。同様に、図示されていない挟持板支持手段によって、挟持板312も植付用フレーム210に回転自在に固定される。また、回転駆動手段314は、植付用動力源330としての電動モータの回転を、挟持板311に伝達する機能を有し(電動モータから回転駆動手段314までの伝達機構は図示されていない)、挟持板311は図の矢印の方向に回転駆動されることになる。同様に、図示されていない回転駆動手段によって、挟持板312も図の矢印の方向に回転駆動されることになる。挟持板311の回転と挟持板312の回転とは同期しており、両者間に挟まれた苗は、図の矢印方向に回転することになる。 【0028】ここで留意すべき点は、挟持板支持手段が、一対の挟持板311,312の内側空間内に物理的な枢軸要素が存在しないように、一対の挟持板311,312の外側を支持する構造をなしている点である。たとえば、手前側の挟持板311を支持する挟持板支持手段313は、挟持板311の手前側の面、すなわち、外側面に取り付けられている。同様に、挟持板312を支持する挟持板支持手段も、挟持板312の外側面(図の向こう側の面)に取り付けられている。このため、挟持板311と挟持板312との間には、何ら枢軸要素は存在しない。別言すれば、図示した回転軸Rは、仮想の回転軸を示すものであり、挟持板311と挟持板312との間には、何ら物理的な軸は設けられていない。このような構造を採ると、両挟持板間の内側には、障害物のない空間を確保することができる。したがって、苗の全長と各挟持板の直径とが、ほぼ同じ程度であったとしても、両挟持板による苗の保持操作が枢軸要素によって妨げられることはない。このような構造は、装置全体の小型化に貢献することができる。なぜなら、両挟持板間に物理的な枢軸要素が存在する構造を採る場合には、苗がこの枢軸要素によって妨げられることがないように、挟持板の直径を苗の全長の2倍程度に設定する必要があるのに対し、両挟持板間に物理的な枢軸要素が存在しない構造を採る場合には、挟持板の直径を苗の全長程度に設定すれば足りるからである。 【0029】一方、苗搬送手段320は、5本の環状ベルト321〜325と、6本の回転ローラS1〜S6(図1には、S1,S2のみが示されている。全回転ローラの位置関係は、図9の断面図参照)と、回転ローラS1,S2に、植付用動力源330としての電動モータの回転を伝達させる伝達機構(図示されていない)と、によって構成されている。その結果、回転ローラS1,S2は、図に矢印で示す方向に回転駆動されることになり、第1の環状ベルト321〜323は、回転ローラS1と同じ方向に回転し、第2の環状ベルト324,325は、回転ローラS2と同じ方向に回転することになる。図示されているとおり、第1の環状ベルト321〜323の一部分(垂直部分)と、これに対向する第2の環状ベルト324,325の一部分(向こう側の垂直部分)とによって、搬送路が形成されている。実際には、第1の環状ベルト321〜323と、第2の環状ベルト324,325とは、より近接して配置されており、この搬送路の幅は、苗を両側から支持するのに適した幅になっている。両回転ローラS1,S2の回転は同期しているので、苗は、各環状ベルトの外面によって支持された状態で、図の上から下へと搬送されることになる。 【0030】この苗搬送手段320は、図1に示されているように、シート150に着座した作業者の前方に配置されている。作業者は、脇に積載している苗を1本ずつ手で取り上げ、これを図3に示す苗P1の位置に、苗の根元部分が手前を向くように載置する。この苗P1は、環状ベルト321〜323の移動とともに図の手前側へと搬送され、やがて第1の環状ベルト321〜323と、これに対向する第2の環状ベルト324,325とで挟まれた搬送路へと侵入し、図の上から下へと搬送され、最後に、苗搬送手段320から離れて図の下方へと落下することになる。苗P2は、この落下中の苗の位置を示している。ところが、苗搬送手段320の下方には、苗回転機構310が配置されているため、落下した苗P2は、図の白抜きの矢印で示されているように、一対の挟持板311,312の内側へと投入されることになる。このように、苗搬送手段320は、挟持板上方の投入位置まで苗を搬送し、搬送した苗をこの投入位置において一対の挟持板311,312の内側へと投入する機能を果たすことになる。 【0031】ところで、一対の挟持板311,312の内側部分の間隔は、投入された苗P2を挟持するには、若干広めに設定してある。このため、図示の状態のままでは、投入された苗P2は一対の挟持板311,312の内側部分を素通りして下方へと落下してしまう。そこで、投入された苗P2が植え付けに適した落下位置に到達するまで、一対の挟持板311,312を外側から内側へと押圧して苗P2を保持する押圧手段が必要になる。この実施形態では、この押圧手段を、開溝機構400を利用して設けている。すなわち、図3の左下に示す開溝部本体430に、4本の押圧爪441〜444を設け、これら押圧爪441〜444の間に、一対の挟持板311,312を挿入するような構造をとっている。開溝部本体430は、苗の植え付けに必要な溝に応じた幅を有し、その前方部分には、走行方向に向かって幅が徐々に狭くなる突起部431が形成されている。開溝部本体430の上部には、開溝部取付体432,433が形成されており、この開溝部取付体432,433によって、開溝部本体430は植付用フレーム210に固定されることになる。また、開溝部本体430の両側面には、それぞれ側板410が取り付けられる。図1では、開溝部本体430は側板410によって隠れており、突起部431のみが見える状態になっている。 【0032】図4は、挟持板311(およびその向こう側に位置する挟持板312)と、両挟持板間に投入された苗P3と、押圧爪441,443(およびその向こう側に位置する押圧爪442,444)との位置関係を示す図である。一対の挟持板311,312の内側に形成された空間のうち、押圧爪441〜444によって押圧された部分の空間は、両挟持板間の幅が狭くなっており、ちょうど投入された苗P3の根元部分が両挟持板311,312によって挟持された状態になる。前述したように、挟持板311,312は、図に矢印で示したように回転しており、挟持された苗P3は、挟持板とともに矢印方向に回転して向きを変えることになる。そして、図5に示すように、苗P3がほぼ直立状態になった位置(落下位置)に到達すると、押圧爪441〜444による押圧力が作用しなくなり、苗P3は自重により、白抜き矢印で示す下方に自然落下する。このとき、落下位置の土面Gには、既に開溝機構400によって植付用溝が形成されているので、苗P3は、この植付用溝内へと直立状態を保ったまま落下することになる。 【0033】なお、この実施形態では、一対の挟持板311,312を可撓性をもった材料から構成し、苗の投入位置に、この一対の挟持板311,312の間隔を広げる手段を設けるようにし、苗搬送手段320から落下してきた苗P2が、確実に一対の挟持板311,312の内側へと投入されるようにしている。図6は、広げローラ315,316によって、一対の挟持板311,312の上方部分を広げるように構成した例を示す背面図である。広げローラ315,316は、それぞれ挟持板311,312と転がり摩擦を維持しながら接触するため、挟持板311,312に対して、上方部分において間隔を広げるような力を作用させるにもかかわらず、挟持板311,312の回転運動を阻害することはない。このように、上方部分を広げるようにするためには、挟持板311,312を可撓性材料によって構成する必要があり、この実施形態では、ゴムによって両挟持板を構成している。図1において、破線で示す苗回転機構310が正円で描かれていないのは、上部がこのように広げられている状態を示すためである。なお、このゴムからなる挟持板の内側には、必要に応じて、スポンジなどを貼り付けるようにしてもよい。 【0034】図6には、押圧爪441〜444の位置も示されている。両挟持板311,312の一部分は、この押圧爪441〜444によって外側から内側へと押圧され、苗P3が保持されることは既に述べたとおりである。図6に示す苗P3は、落下位置(図5に示す位置)に到達した苗を示している。この位置に到達した苗は、押圧爪441〜444による押圧力が解除されるため、土面Gに掘られた植付用溝内に自然落下する。一方、鎮圧輪510,520は、図示のように、車軸が斜めに傾斜するように取り付けられており、土面Gとの接触部分は、植付用溝の両脇部分になっている。このため、落下した苗P3の両脇を鎮圧輪510,520が通過し、土が踏み固められることになる。この鎮圧輪510,520による踏み固め処理を行うと、植え付けられた苗が倒れたり、傾斜したりすることを防ぐことができる。 【0035】本実施形態では、開溝機構400にも独特の工夫が施されている。図3の左下に示したように、開溝機構400の本体部分は、開溝部本体430およびその先端部分に形成された突起部431である。いわゆるブーツ型の形状をした突起部431により、土面Gの表層部分に植付用溝を掘ることができ、開溝部本体430の通過によって、この植付用溝を確実なものにすることができる。しかしながら、土壌が固い場合には、このブーツ型をした突起部431のみによっては、十分な開溝を行うことができないおそれがある。そこで、図1に示すように、この突起部431の前方位置に、別体の切溝刃420を設けるようにしている。特に、本実施形態では、切溝刃420として、いわゆる二枚刃を用いるようにしている。すなわち、一対の切溝刃を互いに所定間隔をあけて並列に設けてある。 【0036】図7(a) は、この切溝刃420の先端部分の構造を示す側面図であり、図7(b) は、その正面図である。図7(b) に示されているように、この切溝刃420は、第1の刃421と、第2の刃422と、両刃の間に介挿された中間体423と、これらを固定するビス424,425と、によって構成されている。第1の刃421と第2の刃422との間には空間が形成されている。このように、所定間隔をあけて並列に設けられた一対の刃によって切溝刃420を構成すると、非常に効率の良い開溝作業を行うことができる。すなわち、先頭を進む切溝刃420の通過によって、土がいわゆる羊羮状に切断され、この羊羮状の部分が、後続する突起部431によって破砕され、開溝部本体430によって植付用溝の壁が形成されることになる。 【0037】最後に、苗搬送手段320に関する有用な変形例を述べておく。前述したように、苗搬送手段320は、作業者が載置した苗を一対の挟持板への投入位置まで搬送する役目を果たすが、実際に植付対象となる苗は、種々の太さをもっている。ここで述べる変形例は、苗の太さに応じて、搬送路の幅を調節できるような機構を付加するものである。すなわち、図8に示すように、第1の環状ベルト321〜323および第2の環状ベルト324,325の搬送路に沿った内側部分に、それぞれ調節板326,327を挿入し、この調節板326,327の位置を調節させる機構(図示されていない)を設けるのである。このような機構を設けておけば、調節板326,327の位置を変えることにより、搬送路の幅を調節することができるようになり、利用する苗の太さに適した幅をもった搬送路を形成することができる。 【0038】たとえば、図9は、両調節板326,327の間隔を広げるように設定したことにより、比較的広い幅d1をもった搬送路を形成した状態を示す断面図である。これに対し、図10は、両調節板326,327の間隔を狭めるように設定したことにより、比較的狭い幅d2をもった搬送路を形成した状態を示す断面図である。このように、両調節板326,327の間隔を調節することにより、搬送路の幅を調節することができるので、太い苗にも細い苗にも対応できるようになる。 【0039】なお、図9に示す状態から図10に示す状態に変更する場合、調節板326,327を図の白抜き矢印の方向に移動させることになるが、これに応じて、たとえば、回転ローラS2,S5も白抜き矢印の方向に移動させるような調整が行えるようにしておくのが好ましい。このように、調節板の位置変動に応じた距離だけ、回転ローラの位置を調節する機構を設けておけば、調節板の位置にかかわらず、各環状ベルトが常に回転ローラ間に正しく巻装された状態を維持できるようになり、環状ベルトが緩んだり、環状ベルトに過度の張力がかかったりすることを防ぐことができる。 【0040】 【発明の効果】以上のとおり本発明に係る苗の移植装置によれば、より小型で方向転換作業の行いやすい苗の移植装置を提供することが可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593150704 【氏名又は名称】株式会社東ゴム工業
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月4日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】志村 浩
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| 【公開番号】 |
特開平11−75431 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月23日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−256108 |
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