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【発明の名称】 田植機の苗植付装置昇降操作構造
【発明者】 【氏名】安田 真

【要約】 【課題】折り畳み格納可能な苗植付装置を油圧シリンダによって昇降操作するように走行機体に連結してある田植機において、格納状態の苗植付装置を操作簡単に落下防止できるようにする。

【解決手段】苗植付装置昇降用のリフトシリンダ5と制御弁34とを接続する操作油路35に落下防止弁36を備えてある。落下防止弁36は、リフトシリンダ5の排油を阻止するようにチェック弁を作用させる落下防止状態36aと、制御弁34によるリフトシリンダ5の操作を可能にする操作用状態36bとに切り換え可能で、作業時には操作用状態36bに、格納時には落下防止状態36aにそれぞれ操作レバー33で切り換えるように構成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗植付装置を油圧シリンダによって昇降操作自在なリンク機構を介して走行機体に連結し、前記苗植付装置は、左右一対の分割苗植付装置部分に分割自在に構成されるとともに、両分割苗植付装置部分が走行機体横方向に沿う横向き姿勢でリンク機構に連結される作業状態と、走行機体前後方向に沿う前後向き姿勢でリンク機構に連結される折り畳み格納状態とに切り換え自在に構成されている田植機の苗植付装置昇降操作構造であって、前記油圧シリンダが苗植付装置重量によって排油することを阻止するようにチェック弁が作用する落下防止状態と、チェック弁が作用解除する操作用状態とに切り換え自在な落下防止弁を、前記油圧シリンダに接続してある田植機の苗植付装置昇降操作構造。
【請求項2】 前記苗植付装置による作業を可能にするための連結状態と、前記苗植付装置の折り畳み格納を可能にするための分離状態とに切り換え操作自在な装置が連結状態に切り換え操作されると、前記落下防止弁が前記操作用状態に切り換わり、前記装置が分離状態に切り換え操作されると、前記落下防止弁が前記落下防止状態に切り換わるように、前記装置と前記落下防止弁とを連係させてある請求項1記載の田植機の苗植付装置昇降操作構造。
【請求項3】 前記装置が、前記左右一対の分割苗植付装置部分それぞれの入力部材を動力取出し部に分離自在に連結するクラッチ装置である請求項2記載の田植機の苗植付装置昇降操作構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗植付装置を油圧シリンダによって昇降操作自在なリンク機構を介して走行機体に連結し、前記苗植付装置は、左右一対の分割苗植付装置部分に分割自在に構成されるとともに、両分割苗植付装置部分が走行機体横方向に沿う横向き姿勢でリンク機構に連結される作業状態と、走行機体前後方向に沿う前後向き姿勢でリンク機構に連結される折り畳み格納状態とに切り換え自在に構成されている田植機の苗植付装置昇降操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】上記田植機において、格納状態に切り換えた苗植付装置が走行機体に極力近づいて連結するように構成する方が、田植機を移動走行させたり、運搬車に積み込んだりする際、機体全長が短くて運転しやすいとか荷台からはみ出しにくいとか有利である。ところが、この場合、苗植付装置などの重量が油圧シリンダに掛かって油圧シリンダの制御弁で油漏れが発生すると、苗植付装置が格納高さから下降してその端部が走行機体の車輪に当たるなどのトラブルが発生することがある。このため、従来、たとえば特開平9−74837号公報に示されるように、苗植付装置を格納状態にした際、油圧シリンダのピストンロッドに連結しているバネ受けと、シリンダチューブとの間に下降防止部材を挟み込んで油圧シリンダに短縮防止のストッパーを掛けることにより、苗植付装置が格納レベルから落下することを防止するようになったものがあった。また、たとえば特開平8−331949号公報に示されるように、油圧シリンダを伸長駆動させて苗植付装置が格納レベルに持ち上がると、油圧シリンダのピストンロッドに固定のバネカバーによって揺動自在に支持されるストッパーの遊端側がシリンダチューブの上端面に係止し、油圧シリンダに短縮防止のストッパーが掛かって苗植付装置が格納レベルから落下することを防止できるようになったものがあった。そして、このものにあっては、ストッパーとバネカバーとにわたって連結する電磁ソレノイドにより、ストッパーを遊端側がシリンダチューブから外れるように揺動操作して解除させるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の落下防止技術のうちの前者の場合、苗植付装置を格納したり、使用したりする際、落下防止部材を装着したり、取り外したりする煩わしい手間が掛かっていた。後者の場合、ストッパーを電磁ソレノドによって作用姿勢と解除姿勢とに切り換え可能に備えることから、構造面などで不利になっていた。本発明の目的は、苗植付装置を落下防止しながら格納できるものを操作面でも構造面でも有利に得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0005】〔構成〕苗植付装置を油圧シリンダによって昇降操作自在なリンク機構を介して走行機体に連結し、前記苗植付装置は、左右一対の分割苗植付装置部分に分割自在に構成されるとともに、両分割苗植付装置部分が走行機体横方向に沿う横向き姿勢でリンク機構に連結される作業状態と、走行機体前後方向に沿う前後向き姿勢でリンク機構に連結される折り畳み格納状態とに切り換え自在に構成されている田植機の苗植付装置昇降操作構造において、前記油圧シリンダが苗植付装置重量によって排油することを阻止するようにチェック弁が作用する落下防止状態と、チェック弁が作用解除する操作用状態とに切り換え自在な落下防止弁を、前記油圧シリンダに接続してある。
【0006】〔作用〕落下防止弁をこれ専用の操作によって切り換え操作するように構成する場合も、苗植付装置のクラッチ装置などの他の装置の切り換え操作によって一挙に切り換え操作されるように構成する場合も、苗植付装置を格納状態にした際には、落下防止状態に切り換える。すると、油圧シリンダに苗植付装置などの重量が掛かっても、制御弁から油漏れする場合の如く油圧シリンダから油が抜け出ることがチェック弁によって阻止され、苗植付装置が格納レベルから落下しなくなる。作業を行う際には、落下防止弁を操作用状態に切り換える。すると、チェック弁が作用解除し、制御弁による油圧シリンダの操作が可能になる。
【0007】〔効果〕苗植付装置を走行機体に極力近づけて格納するように構成する場合でも、落下して車輪に当たるなどのトラブルが発生しない状態を落下防止弁によって確保しながら格納できる。しかも、格納時の落下防止も、作業時の昇降操作可能状態も落下防止弁を切り換えるだけで操作簡単に得られて楽に操作できる。油圧シリンダの油圧回路に落下防止弁を介装するだけの比較的簡単な構造で済んで比較的安価に得られる。
【0008】請求項2による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0009】〔構成〕請求項1による発明の構成において、前記苗植付装置による作業を可能にするための連結状態と、前記苗植付装置の折り畳み格納を可能にするための分離状態とに切り換え操作自在な装置が連結状態に切り換え操作されると、前記落下防止弁が前記操作用状態に切り換わり、前記装置が分離状態に切り換え操作されると、前記落下防止弁が前記落下防止状態に切り換わるように、前記装置と前記落下防止弁とを連係させてある。
【0010】〔作用〕苗植付装置による作業を行うべく前記装置を連結状態に切り換え操作すると、この切り換え操作によって落下防止弁が操作用状態に切り換わり、 苗植付装置を格納するべく前記装置を分離状態に切り換え操作すると、この切り換え操作によって落下防止弁が落下防止状態に切り換わる。
【0011】〔効果〕前記装置と落下防止弁とを所定の状態に一挙に切り換え操作して苗植付装置を落下防止しながら格納する状態も、苗植付装置の作業及び昇降操作が可能な状態も操作簡単に得られるようにより一層楽に操作できるものになる。
【0012】請求項3による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0013】〔構成〕請求項2による発明の構成において、前記装置が、前記左右一対の分割苗植付装置部分それぞれの入力部材を動力取出し部に分離自在に連結するクラッチ装置である。
【0014】〔作用〕苗植付装置の駆動を可能にするべくクラッチ装置を連結状態に切り換え操作すると、この切り換え操作によって落下防止弁が操作用状態に切り換わり、苗植付装置を格納するべくクラッチ装置を分離状態に切り換え操作すると、この切り換え操作によって落下防止弁が落下防止状態に切り換わる。
【0015】〔効果〕クラッチ装置と落下防止弁とを所定の状態に一挙に切り換え操作して苗植付装置を落下防止しながら格納する状態も、苗植付装置の作業及び昇降操作が可能な状態も操作簡単に得られるようにより一層楽に操作できるものになる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に示すように、左右一対の駆動および操向自在な前車輪1,1と、左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走し、エンジンボンネットの両横側に位置する予備苗載せ台3、機体後部に位置する運転座席4などを備える走行機体の後部に、油圧式リフトシリンダ5によって上下に揺動操作するリンク機構6を介して昇降操作するように苗植付装置10を連結するとともに、走行機体から回転軸7によって苗植付装置10に動力伝達するように構成して、乗用型田植機を構成してある。
【0017】苗植付装置10は、図1及び図2に示す如く構成してある。すなわち、前記リンク機構6の遊端側に位置する植付装置連結部材6aの走行機体左側の端部に一端側が連結している連結リンク11、この連結リンク11の他端側にブラケット部12aが連結しているメインフレーム12、前記ブラケット部12aに連結することによってメインフレーム12と共に連結リンク11に連結している入力ケース13、メインフレーム12の長手方向に並んでメインフレーム12の後側面に前端側が連結している複数個の植付け駆動ケース14、前記入力ケース13から前記複数個の植付け駆動ケース14,14に動力伝達する伝動ケース15のそれぞれによって苗植付装置10の左側機体部分を構成し、前記植付装置連結部材6aの走行機体右側の端部に一端側が連結している連結リンク11、この連結リンク11の他端側にブラケット部12aが連結しているメインフレーム12、前記ブラケット部12aに連結することによってメインフレーム12と共に連結リンク11に連結している入力ケース13、メインフレーム12の長手方向に並んでメインフレーム12の後側面に前端側が連結している複数個の植付け駆動ケース14、入力ケース13から前記複数個の植付け駆動ケース14,14に動力伝達する伝動ケース15のそれぞれによって苗植付装置10の右側機体部分を構成し、この右側機体部分と、前記左側機体部分とによって苗植付装置全体の植付け機体を構成してある。
【0018】前記複数個の植付け駆動ケース14,14のうちの一部の植付け駆動ケース14,14の後端部の両横側と、残りの植付け駆動ケース14の後端部の一方の横側とに苗植付機構16を駆動自在に取り付け、全ての植付け駆動ケース14にわたって支持される苗載せ台ガイドレール17と、左右側両機体部分の前記ブラケット部12aに立設する苗載せ台支柱(図示せず)とにわたって苗載せ台12を摺動自在に支持させ、前記左側機体部分及び右側機体部分それぞれの下側に機体横方向に並ぶ複数個の整地フロート19を支持させてある。
【0019】各苗植付機構16は、植付け駆動ケース14が回動自在に支持する回転ケース16aと、この回転ケース16aの両端側が回転自在に支持する植付けアーム116bとで成り、回転ケース16aが駆動されるに伴い、一対の植付けアーム16b,16bが植付け駆動ケース14に対して回転ケース16aの回転軸芯まわりで公転回動するとともに、回転ケース16aに内装してある植付けアーム駆動機構(図示せず)の作用によって回転ケース16aに対して自転回動し、一方の植付けアーム16bが備えている苗植付け爪と、他方の植付けアーム16bが備えている苗植付け爪とが交互に前記苗載せ台ガイドレール17の切欠きでなる苗取出し口を通って上下に回動する苗植え運動を行い、苗載せ台18に載置されているマット状苗から一株分のブロック苗を切断するとともに圃場の泥土部に持ち込んで植え付けるように構成してある。
【0020】左側機体部分の入力ケース13に苗載せ台横送り軸20を駆動回動自在に支持させるとともに、この苗載せ台横送り軸20の螺旋溝に一端側が係合していてこの横送り軸20によって往復移送される苗載せ台横送り杆21の他端側を苗載せ台18の横一端側に連結してある。これにより、苗載せ台18が各苗植付機構16の苗植え運動に連動して苗載せ台ガイドレール17に沿って往復移送され、各苗植付機構16の一対の苗植付け爪がマット状苗の下端部の横一端側から他端側に順次に苗切断していくことを可能する。
【0021】図2及び図3に示すように、苗載せ台18及び苗載せ台ガイドレール17を分割線Yで二つの分割苗載せ台部分18a,18b及び分割苗載せ台ガイドレール部分17a,17bに分割できるように構成するとともに、前記左側機体部分及び右側機体部分それぞれの前記連結リンク11を、前記ブラケット部12aに対しては機体上下向きの軸芯X1まわりで、植付装置連結部材6aに対しては機体上下向きの軸芯X2まわりでそれぞれ回動するように構成し、苗植付装置10を左側の分割苗植付装置部分10aと右側の分割苗植付装置部分10bとの二つの分割苗植付装置部分10a,10bに分割できるように、かつ、図1及び図2に示す作業状態と、図3及び図4に示す折り畳み格納状態とに切り換えできるようにしてある。
【0022】すなわち、前記左側機体部分、この左側機体部分が支持する複数個の苗植付機構16と整地フロート19、この左側機体部分が支持する一方の分割苗載せ台ガイドレール部分17aと一方の分割苗載せ台部分18aのそれぞれによって左側の分割苗植付装置部分10aを構成し、前記右側機体部分、この右側機体部分が支持する複数個の苗植付機構16と整地フロート19、この右側機体部分が支持する一方の分割苗載せ台ガイドレール部分17bと一方の分割苗載せ台部分18bのそれぞれによって右側の分割苗植付装置部分10aを構成してある。
【0023】図2に示すように、左右いずれもの連結リンク11を植付装置連結部材6aから走行機体の横向きに延出する連結姿勢にするとともに、左右いずれものメインフレーム12を連結リンク11の後側に連結リンク11と平行に並ぶ連結姿勢する。すると、両分割苗植付装置部分10a,10bは苗植付機構16及び整地フロート19の並列する方向と、分割苗載せ台部分18a,18bの横幅方向とが走行機体の横方向に沿い、整地フロート19の前後方向が走行機体の前後方向に沿うところの横向き姿勢でリンク機構6に連結し、苗植付装置10が前記作業状態になる。このとき、両分割苗植付装置部分10a,10bの植付け駆動ケース14の後端側どうしを連結杆22によって連結し、両分割苗植付装置部分10a,10bを作業用の連結姿勢に固定する。そして、両分割苗載せ台部分10a,10bを寄せ合わせて一体移動するように連結手段(図示せず)によって連結するとともに、両分割苗植付装置部分10a,10bの入力ケース13から延出する入力部材としての入力軸23を、前記回転軸7の回動力が入力するように構成して前記植付装置連結部材6aの下側に取り付けた伝動ケースで成る動力取出し部24に連結すると、走行機体からの回動力を両分割苗植付装置部分10a,10bに伝達できて苗植付装置10による苗植え付け作業が可能になる。
【0024】図5及び図6に示す如く左側の分割苗載せ台部分18aを苗載せ台ガイドレール17の左端側に寄せ移動させた後に右側の分割苗載せ台部分18bを左側の分割苗載せ台部分18aから分離させて苗載せ台ガイドレール17の右端側に寄せ移動させることによって両分割苗載せ台部分18a,18bの間に隙間を形成し、さらに、両分割苗植付装置部分10a,10bの前記入力軸23を動力取出し部24から分離させて、苗植付装置10の折り畳み格納を可能にする。図7に示す如くこの状態で両分割苗植付装置部分10a,10bの連結リンク11を植付装置連結部材6a及びメインフレーム12に対して回動操作し、図3に示す如く左右の連結リンク11を植付装置連結部材6aから走行機体後方向きに延出する連結姿勢にするとともに、左右のメインフレーム12を連結リンク11の横外側に連結リンク11と平行に並ぶ連結姿勢にする。すると、両分割苗植付装置部分10a,10bは苗植付機構16及び整地フロート19の並列する方向と、分割苗載せ台部分18a,18bの横幅方向とが走行機体の前後方向に沿い、整地フロート19の前後方向が走行機体の横方向に沿うところの前後向き姿勢でリンク機構6に連結し、苗植付装置10が前記折り畳み格納状態になる。
【0025】両分割苗植付装置10a,10bの前記入力軸23は、図9に示すクラッチ装置25によって前記動力取出し部24に連結したり、動力取出し部24から分離させてたりするように構成してある。すなわち、両分割苗植付装置10a,10bの入力軸23の端部に入力側クラッチ体26を一体回転自在に備えさせ、この入力側クラッチ体26に一端側が係脱する出力側クラッチ体27を、動力取出し部24が有する一対の出力軸24a,24aそれぞれにスプライン係合によって一体回転及び摺動可能に取り付けるとともに入り付勢バネ28によって出力軸24aから突出する側に摺動付勢するように構成して、前記クラッチ装置25を構成してある。動力取出し部24を形成する伝動ケースが支持する取付け杆29の両端部に揺動自在に支持される操作リンク30で出力側クラッチ体27を摺動操作するように構成するとともに、各操作リンク30の一端側の長孔に連結ピン31aが摺動自在に入り込んでいる連結具31と、操作ケーブル32とによって両操作リンク30,30に連結するクラッチレバー33を前記植付装置連結部材6aに揺動自在に支持させ、このクラッチレバー33の揺動操作によってクラッチ装置25を切り換え操作し、このクラッチ装置25の切り換え操作によって前記入力軸23を動力取出し部24に連結したり、この連結を解除したりするように構成してある。
【0026】つまり、図9(イ)に示すように、クラッチレバー33を入り側に揺動操作して操作ケーブル32を緩め操作する。すると、各操作リンク30はクラッチ入り付勢バネ28の付勢力のために連結具31の連結している方の遊端側が下降する方向に揺動し、出力側クラッチ体27をクラッチ付勢バネ28によって出力軸24aの先端側に摺動させて入力側クラッチ体26に一体回転可能に係合させる。これにより、クラッチ装置25が入りになり、両分割苗植付装置10a,10bの入力軸23を動力取出し部24の出力軸24aに一体回転するように連結する。これに対し、図9(ロ)に示すように、クレッチレバー33を切り側に揺動操作して操作ケーブル32を引っ張り操作する。すると、各操作リンク30は操作ケーブル32による操作力のために連結具31の連結している方の遊端側が上昇する方向に揺動し、出力側クラッチ体27をクラッチ付勢バネ28に抗して出力軸24aの基端側に摺動させて入力側クラッチ体26から分離させる。これにより、クラッチ装置25が切りになり、両分割苗植付装置10a,10bの入力軸23を動力取出し部24の出力軸24aから分離させる。
【0027】図10に示すように、前記リフトシリンダ5とこのシリンダの制御弁34とを接続するシリンダ操作油路35に落下防止弁36を備えてある。
【0028】図11及び図12に示すように、リフトシリンダ5の給排ポート5aに接続するシリンダポート37a、前記シリンダ操作油路35に接続するバルブポート37b、両ポート37a,37bを接続する油路37cを備えるように形成してリフトシリダ5のシリンダチューブ5bに連結してあるバルブケース37と、このバルブケース37に内装されるチェック弁38とにより、前記落下防止弁36を構成してある。前記チェック弁38の一端側に球体39を介して押圧作用するカム軸40をバルブケース37に回転自在に備えさせ、カム軸40のバルブケース37から突出する軸端部に一体回転自在に連結する切換えレバー41の揺動操作によってカム軸40を回転操作するように構成するとともに、切換えレバー41を開き位置OPに切り換え操作すると、図11(イ)に示す如くカム軸40の周面部分40aが球体39に当接する。すると、球体39がチェック弁38をカム軸40から離れる側に押し操作することにより、チェック弁38の傾斜頭部38aで成る弁本体が弁座部材42から離れて油路37を開き状態に操作し、チェック弁38は制御弁34がリフトシリンダ5に圧油を供給したり、リフトシリンダ5が制御弁34に圧油を排出したりすることを可能にする。これに対し、切換えレバー41を閉じ位置CLに切り換え操作すると、図11(ロ)に示す如くカム軸40の凹入部40bが球体39に符号し、球体39が凹入部40bに入り込んでチェック弁38に対する押圧作用を解除することにより、チェック弁38の弁本体38aがリフトシリダ5から作用する圧油や閉じ付勢ばねSPのために弁座部材42に当接して油路37を閉じ操作するとともに、リフトシリンダ5からの圧油による押圧力が増大するほど弁本体38が弁座部材42に強く当接し、チェック弁38はリフトシリンダ5の排油を不能にする。
【0029】図11に示す位置決め球体43は、切換えレバー41が開き位置OPや閉じ位置CLに操作されると、その操作位置に対応するカム軸40の位置決め凹入部に入り込んでカム軸40や操作レバー41を各操作位置に位置決めするものである。バルブケース37の一端側に装着するように構成した連結ねじ44と、バルブケース37の他端側と、リフトシリンダ5のシリンダチューブ5bが備える支持体45とわたって装着するように構成した連結ねじ46とによって落下防止弁36をシリンダチューブ5bに取り付けてある。前記連結ねじ44は、リフトシリンダ5の給排ポート5aと前記油路37cとを連通させる状態で給排ポート5aに螺合するように構成し、前記シリンダポート37aを形成する部材に兼用してある。
【0030】これにより、落下防止弁36は制御弁34によるリフトシリンダ5の給排油操作を可能にするようにリフトシリンダ5に接続しているとともに切換えレバー34を閉じ位置CLに操作することによって図10に示す落下防止状態36aに切り換え操作でき、切換えレバー34を開き位置OPに操作することによって図10に示す操作用状態36bに切り換え操作できる。そして、落下防止状態36aに切り換えた場合には、リフトシリンダ5が苗植付装置10の重量などの外力によって制御弁34に排油することを阻止するようにチェック弁38を作用させ、苗植付装置10がこれやリンク機構6などの重力によって油漏れを発生させて落下することを防止する。これに対し、操作用状態36bに切り換えた場合には、リフトシリンダ5が苗植付装置10の重量などの外力によって制御弁34に排油することを可能にするようにチェク弁38の作用を解除し、制御弁34の切り換え操作によってリフトシリンダ5を操作できるようにする。
【0031】図10及び図11に示すように、前記切換えレバー41を押し引き操作可能な操作ケーブル47によって前記クラッチレバー33に連結するとともに、クラッチレバー33を入り側に操作してクラッチ装置25が入りに切り換え操作されると、その操作力によって切り換えレバー41が前記開き位置OPに切り換わり、クラッチレバー33を切り側に操作してクラッチ装置25が切り側に切り換え操作されると、その操作力によって切換えレバー41が前記閉じ位置CLに切り換わるように構成してある。すなわち、苗植付装置10による作業を可能にするべくクラッチ装置25を連結状態としての入りに切り換え操作されると、落下防止弁36が前記操作用状態36bに切り換わるように、かつ、苗植付装置10の折り畳み格納を可能にするべくクラッチ装置25を分離状態としての切りに切り換え操作されると、落下防止弁36が前記落下防止状態36aに切り換わるように、クラッチ装置25と落下防止弁36とを連係させてある。
【0032】つまり、植付け作業を行うに当たり、苗植付装置10を作業状態の連結姿勢にし、クラッチレバー33によってクラッチ装置25を入り側に切り換え操作して両分割苗植付装置部分10a,10bの入力軸23を動力取出し部24に連結することにより、苗植付装置10の駆動を可能にする。このとき、前記操作ケーブル47による連係のために落下防止弁36が操作用状態36bに切り換わり、制御弁34によるリフトシリンダ5の伸縮操作による苗植付装置10の昇降操作が可能になる。そして、リフトシリンダ5によるリンク機構6の下降操作によって整地フロート19が圃場の泥面に接触する作業レベルに下降させて走行機体を走行させると、苗植付装置10が各整地フロート19によって泥面を整地し、この整地箇所に苗植付機構16が苗植え付けを行っていき、複数条の苗植え付け作業を行える。そして、田植機を移動走行させるとか運搬車に載せて移動させるとかの際には、リフトシリンダ5によるリンク機構6の上昇操作によって苗植付装置10を格納レベルに持ち上げる。この後、クラッチレバー33によってクラッチ装置25を切り側に切り換え操作して両分割苗植付装置部分10a,10bの入力軸23を動力取出し部24から分離させてから苗植付装置10を格納状態に折り畳み操作する。すると、前記操作ケーブル47による連係のために落下防止弁36が落下防止状態36aに切り換わっていて制御弁34に油漏れが発生してリフトシリンダ5が短縮することを防止しながら苗植付装置10の横幅を作業時よりも狭くでき、苗植付装置10が格納レベルから落下して苗載せ台18や苗載せ台ガイドレール17の横側のガード部材48が後車輪2に当たるなどのトラブル発生を防止しながら、容易に運転して走行したり、運搬車荷台からはみ出しにくいように積み込んだりできる。
【0033】図13に示すように、前記リンク機構6のトップリンク6bに連結するシリン連結部材49をリフトシリンダ5のシリンダロッド5cの先端側小径部に相対摺動自在に外嵌させ、シリンダロッド5cの前記先端側小径部に摺動自在に外嵌する可動バネ受部材50と、前記シリンダ連結部材49との間にコイルバネ51を介在させ、シリンダロッド5cの基端側大径部の端面で成るバネ受け部と、前記可動バネ受部材50との間に前記コイルバネ51よりもバネ定数が大きい皿バネ52を介在させてある。コイルバネ51も皿バネ52も、走行機体と苗植付装置10との間で伝わる走行振動などの振動を緩和するサスペンションバネである。つまり、作業走行を行う際には、苗植付装置10が整地フロート19によって泥面に接地して支持されることと、苗植付装置10の昇降制御を行わせることから、主としてコイルバネ51がクッション作用して比較的小さいバネ定数で昇降制御に障害が出にくいように効果的に振動緩和させながら走行することを可能にし、路上など苗植付装置10を持ち上げて走行する際には、主として皿バネ52がクッション作用して比較的大きいバネ定数で振動緩和させながら走行することを可能にしてある。
【0034】〔別実施形態〕図14は、落下防止弁36を別の操作構造によって切り換え操作する実施形態を示し、落下防止弁36を前記落下防止状態36aと操作用状態36bとに電磁操作部36cによって切り換え操作される電磁操作弁に構成してある。そして、電磁操作部36cに連係する電気操作回路53と、この電気操作回路53が備える検出スイッチ54とによって落下防止弁36と前記クラッチ装置25とを連係させて、クラッチ装置25が入り側に切り換え操作されると、落下防止弁36が操作用状態36bに切り換わり、クラッチ装置25が切り側に切り換え操作されると、落下防止弁36が落下防止状態36aに切り換わるようにしてある。
【0035】すなわち、前記検出スイッチ54は、クラッチレバー33の操作位置を検出するように構成してある。電気操作回路53は、検出スイッチ54による検出結果に基づいて電磁操作部36cを入り切り操作することによって落下防止弁36を切り換え操作するように構成してある。つまり、クラッチレバー33の操作位置に基づいてクラッチ装置25が入りと切りのいずれに切り換え操作されたかを検出して落下防止弁36の切り換え操作を行うようにしてある。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)8月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−56042
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−216140