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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】金井 芳秀

【氏名】浜田 昭夫

【要約】 【課題】従来の移植機では、植付装置をその上方位置において確実に停止させるために、ブレーキ装置が植付装置自体に設けられていたので、振動が大きい等の問題があった。

【解決手段】走行装置1と、該走行装置1に設けられた上下動自在な植付装置14と、該植付装置14の上方位置で苗を受け取り下方位置で苗を圃場に植え付けるよう駆動源7からの動力を該植付装置14に伝達する伝動装置10とを有し、前記伝動装置10には、植付株間を設定するためのクラッチ26を有する移植機において、前記クラッチ26の出力軸35に制動を与えるブレーキ27を、該クラッチ26と並設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行装置と、該走行装置に設けられた上下動自在な植付装置と、該植付装置の上方位置で苗を受け取り下方位置で苗を圃場に植え付けるよう駆動源からの動力を該植付装置に伝達する伝動装置とを有し、前記伝動装置には、植付株間を設定するためのクラッチを有する移植機において、前記クラッチの出力軸に制動を与えるブレーキを、該クラッチと並設したことを特徴とする移植機。
【請求項2】 前記ブレーキの固定部材は、ダンパーを介して移植機機体側に結合されていることを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】 前記クラッチとブレーキの作動タイミングを任意に調整可能とした制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項4】 前記クラッチとブレーキは、一体的に構成されていることを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項5】 前記駆動源からの回転数に基づき、ブレーキ作動開始のタイミングを設定する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項6】 前記植付装置の位置を検出するセンサを設け、該センサの検出結果に基づき、前記クラッチとブレーキの作動タイミングを制御する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜等の苗を圃場に移植するための移植機に関し、より詳しくは、移植機の植付装置を間欠的に駆動する伝動装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】この種の移植機の伝動装置として、例えば、特開平6−113625号公報、特開平8−214638号公報、特開平9−28号公報に記載されたものが公知である。これら従来のものは、走行装置と、該走行装置に設けられた上下動自在な植付装置と、前記走行装置と植付装置とを連動連結すると共に、該植付装置の上方位置で苗を受け取り下方位置で苗を圃場に植え付けるよう駆動源からの動力を該植付装置に伝達する伝動装置とを有していた。
【0003】そして、前記伝動装置には、植付装置の上方位置を検出した時に、植付装置への動力を切断する電磁クラッチが設けられていた。また、植付株間の距離を調整をするため、前記電磁クラッチの接続開始時期を制御する制御装置が設けられていた。更に、安定した苗の受け渡しを行うため、前記植付装置の上方停止位置での移動を防止するブレーキ装置が、該植付装置に設けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のものでは、植付装置をその上方位置において確実に停止させるために、ブレーキ装置が植付装置自体に設けられていた。従って、ブレーキ装置によって植付装置が振動し易く、騒音が発生するという問題があった。また、急激な植付装置の停止のため、該装置の各部に無理な力が掛かると言う問題があった。更に、ブレーキ力が一定のため、高速回転の時は停止し難く、低速回転時には所定の停止位置の手前で停止してしまい、停止位置が一定しないという問題があった。また、従来のブレーキ装置は、植付装置を一定位置に停止させることができても、その停止位置の調整をすることが出来ないものであったので、苗の大きさ等により、植付装置の停止位置を調整したい場合でも、調整することができなかった。
【0005】そこで、本発明は、前記各種の問題点を解決することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。即ち、本発明の特徴とするところは、走行装置と、該走行装置に設けられた上下動自在な植付装置と、該植付装置の上方位置で苗を受け取り下方位置で苗を圃場に植え付けるよう駆動源からの動力を該植付装置に伝達する伝動装置とを有し、前記伝動装置には、植付株間を設定するためのクラッチを有する移植機において、前記クラッチの出力軸に制動を与えるブレーキを、該クラッチと並設した点にある。
【0007】前記構成によれば、従来のように植付装置自体を制動せず、その伝動装置の上流側においてクラッチの出力軸を制動するので、植付装置には、従来のような急激な制動力が作用しなくなるので、振動、騒音が低減される。特に前記ブレーキの固定部材を、ダンパーを介して移植機機体側に結合すれば、その制動はダンパーにより吸収されるので、より滑らかな制動が得られる。
【0008】前記クラッチとブレーキの作動タイミングを任意に調整可能とした制御装置を設けることにより、株間をより高精度に制御できる。前記クラッチとブレーキは、一体的に構成することにより装置をコンパクトにすることができる。前記駆動源からの回転数に基づき、ブレーキ作動開始のタイミングを設定する制御装置を設けることにより、回転数が変化しても、一定位置に停止させることができる。
【0009】前記植付装置の位置を検出するセンサを設け、該センサの検出結果に基づき、前記クラッチとブレーキの作動タイミングを制御する制御装置を設ければ、より高精度の株間制御ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1に示すものは、乗用型移植機であり、この移植機は、走行装置1と、該走行装置1に連結装置2を介して結合された移植装置3とからなる。前記走行装置1は、前輪4と後輪5とにより支持された車体6を有し、該車体6の前部にエンジン7を搭載すると共に操縦装置8を有し、その後方に運転席9が設けられている。前記エンジン7の動力は、伝動装置10を介して前記後輪5と移植装置3とに伝達される。
【0011】前記移植装置3は、前記車体6に連結装置2を介して着脱自在に結合された主フレーム11を有し、該主フレーム11に苗供給装置12、苗取出装置13、植付装置14及び覆土装置15が設けられている。そして、この移植機は二条植えであるので、前記苗供給装置12、苗取出装置13、植付装置14及び覆土装置15は、左右一対設けられている。
【0012】前記苗供給装置12は、多数の苗ポット部を縦横に有する苗トレイを縦方向と横方向とに間欠的に送る縦送装置及び横送装置を有する。前記苗取出装置13は、前記苗供給装置12の下端部に対面して設けられ、苗トレイから苗を一株づつ取り出すものである。前記植付装置14は、前記取出装置13の下方に配置され、該苗取出装置13により取り出された苗を受け取って、所定のピッチで圃場に植え付けるものである。
【0013】前記覆土装置15は、前記植付装置14の後方に配置された左右一対の覆土輪16を有する。図2に前記植付装置14の詳細が示されている。この植付装置14は、前記主フレーム11に前後方向揺動自在に設けられた揺動リンクを有し、該揺動リンクは、前後一対の平行リンクからなる第1リンク装置17と、該第1リンク装置17の先端に枢支されたブラケット18と、該ブラケット18に上下方向揺動自在に設けられた上下一対の平行リンクからなる第2リンク装置19とからなり、該第2リンク装置19の先端部に植付カップ20が設けられている。そして、前記第2リンク装置19にクランクアーム21の回動端部が枢結され、該クランクアーム21の回転中心であるクランク軸22が前記主フレーム11に設けられたギヤケース23に枢支されている。
【0014】前記クランクアーム21がクランク軸22回りに回転することにより、植付カップ20が上下方向に長い楕円に近い軌道を描いて上下方向に揺動する。そして、その上方位置(この実施の形態では上死点付近)において、苗取出装置13から植付カップ20に苗が受け渡される。そして、その下方位置において、植付カップ20は圃場に突き刺さり、苗を圃場に移植する。
【0015】前記植付カップ20の上死点を検出するためのセンサ24が、前記主フレーム11側に設けられている。この上限検出センサ24は、近接スイッチからなり、前記第2リンク19の上限位置を検出するよう設けられている。図3に、前記クランク軸22に前記エンジン7からの動力を伝達する伝動装置10が示されている。この伝動装置10は、エンジン7からの動力を前記走行装置1の後輪5に伝達すると共に、前記移植装置3に伝達するものである。
【0016】エンジン7からの動力は、伝動軸25、クラッチ26とブレーキ27、ベベルギヤ28等を介して移植装置3の主駆動軸29に伝達される。この主駆動軸29からチェーン等の伝動手段を介してクランク軸22、苗取出駆動軸、及び、苗供給駆動軸に動力が伝達される。前記クラッチ26よりも上流側の伝動系には、走行装置1の走行速度(後輪回転数)を計測するためのパルス発生器からなる回転数検出センサ30が設けられている。この検出センサ30は、株間を制御するための制御装置31に接続されている。この制御装置31には、前記上限検出センサ24も接続されている。そして、この制御装置31は、前記クラッチ26とブレーキ27に接続され、クラッチ26とブレーキ27の入り・切りを制御する。
【0017】即ち、前記上限検出センサ24の検出により、クラッチ26が切られブレーキ27が入り、そして、回転数検出センサ30からのパルス信号により、所定のパルス数に達すると、ブレーキ27が切られクラッチ26が入りになるよう制御される。このクラッチ26入りのためのパルス数設定(時間設定)は、苗植付株間の設定により自動的に設定されるように構成されている。
【0018】図4〜6に前記クラッチ26とブレーキ27の詳細が示されている。クラッチ26とブレーキ27は一体構造とされており、共に電磁クラッチと電磁ブレーキで構成されている。クラッチ入力軸32の先端部に自在継手33を介して伝動軸25が結合され、該伝動軸25にエンジン7の動力が伝達される。クラッチ入力軸32は、軸受けブラケット34を介して主フレーム11に回転自在に支持されている。クラッチ入力軸32の後部に出力軸35の先端部がベアリングを介して相対回転自在に同心状に支持されている。出力軸35の後端部は、ベベルギヤケース36に回転自在に支持されていると共に、この出力軸35の後端に、ベベルギヤ28が設けられている。前記ベベルギヤケース36は主フレーム11に設けられている。そして、このベベルギヤケース36に主駆動軸29が軸支され、該主駆動軸29と前記出力軸35とがベベルギヤ28を介して結合されている。
【0019】前記出力軸35の中途部の入力側に、キー結合されたクラッチ板37が設けられ、また、ベベルギヤ側に、キー結合したブレーキ板38が設けられている。そして、クラッチ板37とブレーキ板38との間に固定板39が設けられ、該固定板39の入力側に電磁クラッチ要素(コイル)40が設けられ、同出力側に電磁ブレーキ要素(コイル)41が設けられている。
【0020】前記固定板39の一側部は径外方に突出し、その突出端にピン42が固定され、該ピン42を囲繞するようにダンパー43が設けられ、該ダンパー43がブラケット44を介して主フレーム11に設けられている。このダンパー43は、防振ゴムで構成されている。前記クラッチ要素40に通電することにより、クラッチ板37と入力軸32とが結合され、エンジン7の動力は入力軸32から出力軸35に伝達される。クラッチ側の励磁を切り、ブレーキ要素41に通電すると、出力軸35は、入力軸32から切り離されると共に、ブレーキ板38と固定板39とが結合され、出力軸35にブレーキがかかる。
【0021】前記構成の本発明の実施の形態によれば、植付装置14の植付カップ20が上死点になった時、上限検出センサ24がその位置を検出して制御装置31を介してクラッチ26を切断すると同時に、ブレーキ27に通電して植付カップ20を所定の位置で確実に停止させる。そして、株間設定に基づく所定数のパルスをカウントした後、ブレーキ27への通電を止め、同時にクラッチ26に通電し、クラッチ26を接続させて再び、植付カップ20を作動させる。植付カップ20が下降移動し、該カップ20内の苗が圃場に移植され、その後、上昇移動してその上死点になると、該上死点の位置で停止し、以後、前記サイクルを繰り返す。
【0022】前記構成の実施の形態によれば、電磁ブレーキ27による停止が、従来のブレーキ機構に比較して、緩やかなため、植付装置14の各部に衝撃的な力がかからず、耐久性が増す。また、植付装置14に機械的なブレーキ機構が不要になるため、全体の部品構成が簡単になる。さらに、ダンパー43によって植付カップ20のしゃくり現象がなくなる。
【0023】ところで、前記ブレーキ27のブレーキ力は一定であるため、植付部の回転数が上がると、植付カップ20の停止位置が徐々に一定位置から後方にずれる。回転数を下げると、逆に、前方に止まることになる。そこで、本発明では、その制御装置31において、回転数に応じて電磁クラッチ26の通電を切るときと、電磁ブレーキ27に通電する時間をずらせることにより、一定位置で止めるようにしている。
【0024】即ち、そのずらす時間の設定は、回転センサ30で検出した信号を、マイコンに取り込み、予め設定した時間を選ぶことで行っている。即ち、図7に示すように、電磁クラッチ26が切りになってから、電磁ブレーキ27が入りになるまでの時間(t)と、エンジン回転数(n)との関係を予め実験で調べ、その関係を制御装置31のマイコンに記憶させておき、センサ30で検知した回転数(n)に応じた時間(t)を出力するのである。尚、図7において、t<0のときは、電磁クラッチ26が切りになる前に電磁ブレーキ27を入りにする。
【0025】また、前記制御装置31は、回転数に関係なく、任意にクラッチ26とブレーキ27の入り切りのタイミングを設定できるように構成されている。即ち、マルチカットヒータ装着の機構では、植付カップ20の停止位置を早すると、カット穴に植付カップ20が正確に入りやすくなる。そこで、このような場合は、通常のときよりも、停止位置を変更できるよう、任意にクラッチ26とブレーキ27の入り切りのタイミングを設定できるように構成されている。
【0026】即ち、上限検出センサ24で検出してから電磁クラッチ26を切りにする時間と、電磁ブレーキ27を入りにする時間とを任意に制御することにより、植付カップ20の停止位置を任意に変更できる。尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、歩行型の移植機であってもよく、移植機の形式は問われない。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、植付装置の停止位置を最適に制御することができるものである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)8月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−56030
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−217858