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【発明の名称】 移植機の動力伝動装置
【発明者】 【氏名】浜田 昭夫

【氏名】柳川 信英

【要約】 【課題】傾斜地での移植でも所定の株間が得られるようにする。

【解決手段】駆動装置5と植付カップ33との連動を断接する電磁クラッチ72が設けられ、前記電磁クラッチ72の切断時間を増減設定する株間設定手段104が設けられ、駆動装置5によって植付カップ33に昇降動作をさせ、植付カップ33が所定の停止位置にきたとき株間設定手段104の操作量に応じた切断時間で電磁クラッチ72を一時的に切断して所定の株間を得るようにした移植機の動力装置において、車体の前後方向の傾斜を検出する傾斜センサが設けられ、車体の前後方向の傾斜に拘わらず所定の株間が得られるように、傾斜センサで感知した傾斜角度に応じて、上り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を長くすると共に下り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を短くする制御手段111が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行装置(14)と昇降動作する植付カップ(33)とが設けられ、走行装置(14)と植付カップ(33)とが駆動装置(5)に連動連結され、駆動装置(5)と植付カップ(33)との連動を断接する電磁クラッチ(72)が設けられ、前記電磁クラッチ(72)の切断時間を増減設定する株間設定手段(104)が設けられ、駆動装置(5)によって植付カップ(33)に昇降動作をさせ、植付カップ(33)が所定の停止位置にきたとき株間設定手段(104)の操作量に応じた切断時間で電磁クラッチ(72)を一時的に切断して所定の株間を得るようにした移植機の動力装置において、車体前後方向における上下の傾斜角度を検出する傾斜センサ(107)が設けられ、車体の傾斜に拘わらず所定の株間が得られるように、傾斜センサ(107)で感知した傾斜角度に応じて、上り傾斜では電磁ラッチ(72)の切断時間を長くすると共に下り傾斜では電磁ラッチ(72)の切断時間を短くする制御手段(111)が設けられていることを特徴とする移植機の動力伝動装置。
【請求項2】 前記制御手段(111)が、株間が大に設定されているとき株間設定手段(104)の操作量に対する前記電磁クラッチ(72)の切断時間を長く設定すると共に、株間が小に設定されているとき株間設定手段(104)の操作量に対する前記電磁クラッチ(72)の切断時間を短く設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移植機の動力伝動装置。
【請求項3】 前記植付カップ(33)が複数段の昇降速度で昇降動作できるように、駆動装置(5)と植付カップ(33)との間に株間変速機構(81)が設けられ、前記制御手段(111)が、株間変速機構(81)が高速側に変速操作されたとき株間設定手段(104)の操作量に対する前記電磁クラッチ(72)の切断時間を短く設定すると共に、株間変速機構(81)が低速側に変速操作されたとき株間設定手段(104)の操作量に対する前記電磁クラッチ(72)の切断時間を長く設定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機の動力伝動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移植機の動力伝動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】移植機には、走行装置をエンジン等の駆動装置に連動連結すると共に、植付カップを揺動リンク機構等を介してエンジン等の駆動装置に連動連結して、走行装置によって走行させながら、駆動装置によって植付カップに昇降動作を繰り返させ、植付カップを下死点で畝に突刺してポット苗を移植するようにしたものがあるが、従来のこの種の移植機の動力伝動装置では、駆動装置を植付け手段との連動を断接する電磁クラッチを設け、前記電磁クラッチの切断時間を増減調整する株間設定手段を設け、植付カップが所定の停止位置にきたとき株間設定手段の操作量に応じた切断時間で電磁クラッチを一時的に切断して、植付カップを停止させ、ここでポット苗を受け取ると共に、植付カップの昇降停止により植え付け間隔である所定の株間を得るようにしていた(例えば特願平4−270519)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、傾斜地で移植する場合、登りではスリップ率が高くなるため株間が短くなり、下りでは逆に車体が前方に引っ張られるため、株間が長くなり、設定した所定の株間が得られなくなるという問題があった。本発明は上記問題点に鑑み、傾斜地での移植でも所定の株間が得られるようにしたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この技術的課題を解決するための本発明の第1の技術的手段は、走行装置14と昇降動作する植付カップ33とが設けられ、走行装置14と植付カップ33とが駆動装置5に連動連結され、駆動装置5と植付カップ33との連動を断接する電磁クラッチ72が設けられ、前記電磁クラッチ72の切断時間を増減設定する株間設定手段104が設けられ、駆動装置5によって植付カップ33に昇降動作をさせ、植付カップ33が所定の停止位置にきたとき株間設定手段104の操作量に応じた切断時間で電磁クラッチ72を一時的に切断して所定の株間を得るようにした移植機の動力装置において、車体前後方向における上下の傾斜角度を検出する傾斜センサ107が設けられ、車体の傾斜に拘わらず所定の株間が得られるように、傾斜センサ107で感知した傾斜角度に応じて、上り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を長くすると共に下り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を短くする制御手段111が設けられている点にある。
【0005】本発明の第2の技術的手段は、前記制御手段111が、株間が大に設定されているとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間を長く設定すると共に、株間が小に設定されているとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間を短く設定するように構成されている点にある。
【0006】本発明の第3の技術的手段は、前記植付カップ33が複数段の昇降速度で昇降動作できるように、駆動装置5と植付カップ33との間に株間変速機構81が設けられ、前記制御手段111が、株間変速機構81が高速側に変速操作されたとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間を短く設定すると共に、株間変速機構81が低速側に変速操作されたとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間を長く設定するように構成されている点にある。
【0007】従って、登り傾斜の場合、スリップ率が高くなるため株間が短くなる傾向があるにも拘わらず、電磁ラッチ72の切断時間を長くして、所定の株間を得る。下り傾斜の場合、車体が前方に引っ張られるため株間が長くなる傾向があるにも拘わらず、切断時間を短くして所定の株間を得る。また、株間が大に設定されているとき、株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間が長くなる。株間が小に設定されているとき、株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間が短くなる。このため、株間が短い場合、株間を精度良く調整することができると共に、株間が長い場合、必要な株間調整を簡単になし得る。
【0008】また、株間変速機構81が高速側に変速操作されたとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間が短く設定される。株間変速機構81が低速側に変速操作されたとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間が長く設定される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図3は移植機のミッションケース内の動力伝達系の詳細を示している。この移植機は走行車体に座席を有する乗用型であって、マルチフィルムで被覆された畝を跨いでその長手方向に走行し、畝に植え付け孔を形成しながら土付き苗を植え付けて行く。
【0010】図3において、走行車体はその前部にエンジン(駆動装置)5が搭載され、ミッションケースの入力部とエンジン5の出力部とは巻掛伝動手段9で連動されている。巻掛伝動手段9でミッションケース内に入った動力は、走行系と移植系に分岐され、走行系動力は車輪伝動軸10から取り出され、移植系動力はPTO横軸11及びPTO前後軸12から取り出される。
【0011】前記車輪伝動軸10の左右端には軸心廻りに上下揺動する伝動ケース13が枢支され、この伝動ケース13を介して左右の走行駆動輪(走行装置)14が支持され、伝動ケース13内の巻掛伝動手段13aにより走行駆動輪14が駆動可能になっている。左右走行駆動輪14は畝間の溝を転動する。左右の伝動ケース13は車輪伝動軸10の軸心廻りに上下揺動することにより、走行駆動輪14と走行車体との相対上下位置を調整可能である。
【0012】なお、走行車体の移植作業部は、苗供給装置、植付装置21、マルチ穿孔装置等を有し、植付装置21等への動力伝達のための巻掛伝動手段29が支持されている。植付装置21は、平行リンクの先端にくちばし筒形の開閉自在の植付カップ33が備えられ、巻掛伝動手段29に連動するクランク軸34によるクランク運動で上下動自在とされている。この植付カップ33がクランク軸34の回動によって上昇すると、上限検出スイッチ28で検出される。上限検出スイッチ28は、植付カップ33が上死点にあることを検出する。
【0013】また、図示していないが、植付カップ33には開閉手段が設けられており、下降して畝Bに突き刺さったときにくちばしを開放するようになっていて、このくちばしの突き刺しと開放で、畝に孔を開けて土付き苗を植え付ける。なお、植付カップ33の前方にマルチ穿孔装置が備えられ、植付カップ33の昇降に先行して、畝に被せられたマルチフィルムを畝長手方向等間隔にガスバーナで焼却して孔を形成する。
【0014】前記移植作業部における苗供給装置は、土付き苗を植付カップ33に落下供給する。エンジン5の動力は巻掛伝動手段9から入力軸51に伝達される。ミッションケースには入力軸51と平行に、回転軸52、中間軸53、中間軸54、バック軸57、車輪伝動軸10及びPTO横軸11がそれぞれ回転自在に支持され、前後方向のPTO前後軸12が後方突出状に設けられている。
【0015】入力軸51上のギヤ51aは回転軸52上の遊転ギヤ55と噛合しており、この遊転ギヤ55にクラッチギヤ56を摺動させてその咬合部を咬合させることにより、入力軸51から回転軸52へ動力伝達可能になる。前記クラッチギヤ56は遊転ギヤ55と咬合する方向に弾圧されており、爪式の主クラッチ58を構成している。
【0016】前記回転軸52には、クラッチギヤ56の他に、ギヤ60、61が一体回動可能に支持されており、中間軸53には変速ギヤ体62が摺動及び一体回動自在に支持され、この変速ギヤ体62には前記ギヤ56、60と択一的に噛合可能なギヤ部62A、62Cが形成されている。バック軸57にはギヤ63、64が設けられており、ギヤ63は前記ギヤ61と噛合しており、ギヤ64には変速ギヤ体62のギヤ部62Cが噛合可能になっている。したがって、変速ギヤ体62の摺動により前進2段、後進1段の変速が可能になっている。即ち、変速ギヤ体62、ギヤ60、ギヤ56により走行変速機構65が構成され、ギヤ部62Cをギヤ60に噛合させたとき前進の第1速F1 (植付け)になり、ギヤ部62Aをギヤ56に噛合させたとき前進の第2速F2 (移動)になる。また、ギヤ部62Cをバック軸57側に連結させたとき後進Rになる。
【0017】前記中間軸53上には伝動ギヤ66及び図示省略の駐車ブレーキが設けられており、伝動ギヤ66は車輪伝動軸10に固設された大ギヤ68と噛合している。前記回転軸52は一端がミッションケースから突出していて、その外端に電磁クラッチ72が固定されており、また、回転軸52の外端部を包囲するように筒軸状のカップリング軸73がミッションケースに回転自在に支持されており、電磁クラッチ72の作動で回転軸52とカップリング軸73とが一体回転し、移植系動力を分岐取り出しできるようになっている。
【0018】このカップリング軸73にはギヤ74及びギヤ79が固定されており、このギヤ74は中間軸54に遊嵌したアイドラギヤ75と噛合可能であり、ギヤ79は中間軸54に固設したギヤ80と噛合可能であり、アイドラギヤ75は更にPTO横軸11上のギヤ76と噛合し、移植系動力を伝達可能にしている。したがって、アイドラギヤ75とギヤ80との摺動により株間を2段に変速できるようになっており、ギヤ74、アイドラギヤ75、ギヤ79、ギヤ80により、植付カップ33を2段の昇降速度で昇降動作できるように、株間変速機構81が構成されている。即ち、駆動装置5と植付カップ33の間に株間変速機構81が設けられ、ギヤ74とアイドラギヤ75とを噛合したとき、株間変速機構81が高速の株間変速1となり、ギヤ79とギヤ80とを噛合したとき、株間変速機構81が低速の株間変速2となる。
【0019】PTO横軸11にはベベルピニオン77が固定され、PTO前後軸12上のベベルギヤ78と噛合しており、移植系動力を2系統に分岐して、PTO横軸11で動力伝達手段29を介して植付装置21及びマルチ穿孔装置を、PTO前後軸12で苗供給装置をそれぞれ駆動する。前記回転軸52の電磁クラッチ72より外端に回転パルスセンサ85が取り付けられている。この回転パルスセンサ85は例えば回転軸52に外嵌固着したスプロケットの凹凸を近接センサでカウントする構造のものが使用でき、回転パルスセンサ85は回転軸52の回転を検出して回転軸52の1回転毎に数十パルス発生するように構成されている。
【0020】従って、植付カップ33の上昇状態(上限検出スイッチ28が検出状態)からクランク軸34が1回転する毎に、図4に示すように植付カップ33の上昇状態から下降した後再び上昇位置に戻る。植付カップ33が上昇位置に戻ったとき、電磁クラッチ72を消磁して移植系動力を切ると、図4に示すように植付カップ33が上昇状態で停止し、クランク軸34の1回転に対応する基準最小株間(120mm又は240mm)以上の株間が得られる。すなわち、後述する制御手段111で株間を設定しておくと、上限検出スイッチ28が植付カップ33の上昇を検出したとき、電磁クラッチ72を消磁して移植系動力を切り、設定株間に対応して前記電磁クラッチ72が消磁中のパルスをカウントし、その後電磁クラッチ72を作動して移植系動力を伝達し、上昇していた植付カップ33を降下して植え付けをする。前記電磁クラッチ72が消磁中のパルスのカウント数を変更することにより、株間を調整する。
【0021】そして、例えば、回転軸52の1回転毎に、回転パスルセンサ85がパルス信号を24パルス発生するようになっており、株間変速機構81を株間変速1にセットしておくと、クランク軸34が1回転する間に、移植機が12cm走行し、回転軸52が3回転し、回転パルスセンサ85がパルス信号を72パルス発生する。このとき、移植機が1cm走行する間(株間1cm当たり)に回転パルスセンサ85がパルス信号を6パルスを発生する。
【0022】また、株間変速機構81を株間変速2にセットしておくと、例えば、クランク軸34が1回転する間に、移植機が24cm走行し、回転軸52が6回転し、回転パルスセンサ85がパルス信号を144パルス発生する。このとき、移植機が1cm走行する間(株間1cm当たり)に回転パルスセンサ85がパルス信号を6パルスを発生する。
【0023】図1は制御系のブロック図を示す。図1において、100はバッテリー、101はメインスイッチ、102は主クラッチスイッチで、前記主クラッチ58を接続可能にするためのスイッチである。103はリミットスイッチにより構成した株間変速スイッチで、例えば前記株間変速機構81を変速操作するための株間変速レバー87に対応して設けられており、前記株間変速機構81を株間変速2にセットしたときこれを検出してオンするように構成されている。104は株間を設定するための株間設定手段(株間調節ダイヤル)で、株間設定スイッチ105と株間設定可変抵抗106とを備え、株間設定スイッチ105はオンオフの2段(A,B)に切り換えることができ、株間設定可変抵抗106は7段(1,2,3,4,5,6,7)に切り換えでき、従って、株間設定手段104は、全体で図6及び図7に示す如く14段階(A−1,A−2,A−3,A−4,A−5,A−6,A−7,B−1,B−2,B−3,B−4,B−5,B−6,B−7)に切り換え設定できるようになっている。
【0024】107は傾斜センサで、移植機の車体前後方向における上下の傾斜角度αを検出する。108は植付けカップリレーで、これが励磁されたとき前記電磁クラッチ72のソレノイド72aに電流が流れ、植付けカップリレー108を介して電磁クラッチ72を断続するようになっている。
【0025】111は制御手段で、回転パルスセンサ85からのパルスをカウントする機能の他、その他の演算処理機能を持ったマイコン等により構成され、上限検出スイッチ28、主クラッチスイッチ102、株間変速スイッチ103、株間設定手段104の株間設定スイッチ105及び株間設定可変抵抗106からの信号を入力し、所定の設定された制御順序に従って電磁クラッチ72を制御するようになっており、制御手段111は、植付けカップリレー108を介して電磁クラッチ72の切断を制御するための切断制御手段112と、電磁クラッチ72の接続を制御する接続制御手段113と、電磁クラッチ72の切断期間を設定する切断期間設定手段114と、前記傾斜センサ107で検出した傾斜角度αに応じて前記切断期間設定手段114によって設定した切断期間を補正する切断期間補正手段115とを有する。
【0026】切断期間設定手段114は、株間変速スイッチ103がオフ(株間変速1)のとき、株間設定手段104によって設定した条件から図6に示す株間変速1のテーブルによって電磁クラッチ72の切断期間A(電磁クラッチ72を切断するための回転パルスセンサ85のパルス数)を設定すると共に、株間変速スイッチ103がオン(株間変速2)のとき、株間設定手段104によって設定した条件から図7に示す株間変速2のテーブルによって電磁クラッチ72の切断期間A(電磁クラッチ72を切断するための回転パルスセンサ85のパルス数)を設定する。
【0027】即ち、株間変速スイッチ103がオフ(株間変速1)のとき、図6に示す如く株間設定手段104によって設定した段数が1段増加する毎に、電磁クラッチ72の切断期間Aが、回転パルスセンサ85が6パルスを発生する期間(株間1cm)だけ増加するように設定し、株間を19cm〜32cmまで1cm間隔で微調整できるようになっている。
【0028】例えば株間設定手段104によって設定した段数がA−1のとき電磁クラッチ72の切断期間Aを42パルスに設定して、株間を19cmにし、段数がA−6のとき電磁クラッチ72の切断期間Aを72パルスに設定して、株間を24cmにする。また、株間変速スイッチ103がオン(株間変速2)のとき、図7に示す如く株間28cm〜44cmでは、株間設定手段104によって設定した段数が1段増加する毎に、電磁クラッチ72の切断期間Aが、回転パルスセンサ85が12パルスを発生する期間だけ増加するように設定し、株間を28cm〜44cmまで2cm間隔で微調整できるようになっている。株間44cm〜58cmでは、株間設定手段104によって設定した段数が1段増加する毎に、電磁クラッチ72の切断期間Aが、回転パルスセンサ85が18パルスを発生する期間だけ増加するように設定し、株間を44cm〜58cmまで3cm間隔で微調整できるようになっている。
【0029】例えば株間設定手段104によって設定した段数がA−1のとき電磁クラッチ72の切断期間Aを24パルスに設定して、株間を28cmにし、株間設定手段104によって設定した段数がA−6のとき電磁クラッチ72の切断期間を84パルスに設定して、株間を38cmにし、株間設定手段104によって設定した段数がB−6のとき電磁クラッチ72の切断期間Aを186パルスに設定して、株間を55cmにする。
【0030】切断期間補正手段115は、傾斜センサ107で検出した傾斜角度をα(度)とすると、切断期間設定手段114によって設定した切断期間A(パルス)から、A×(1+αβ)の式によって、補正した切断期間B(パルス)を得る。ここで、傾斜角度αは、登り傾斜の場合「正(+)」の値とされ、下り傾斜の場合「負(−)」の値とされる。βは補正係数で、実験データによって定められ、固定値又は傾斜角度αに応じた変数値で与えられ、前記A×(1+αβ)の式によって得られた補正した切断期間B(パルス)によって、図6及び図7に示す株間設定手段104によって設定した所定の株間(cm)が得られるように補正係数βが定められている。つまり、A×(1+αβ)の式によって、補正した切断期間B(パルス)を得ることにより、車体前後方向における上下の傾斜に拘わらず所定の株間が得られるように、傾斜センサ107で感知した傾斜角度αに応じて、上り傾斜では電磁クラッチ72の切断時間を長くすると共に下り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を短くするようになっている。
【0031】切断制御手段112は、上限検出スイッチ28がオンのときに電磁クラッチ72を切断すると共に、電磁クラッチ72の切断状態が前記切断期間補正手段115によって補正した電磁クラッチ72の切断期間Bに達していないとき、即ち、補正した電磁クラッチ72の切断期間Bのパルス数から電磁クラッチ72の切断状態になって入力したパルス数を順次引き算した値が0よりも大であると判別したとき、電磁クラッチ72を切断する。
【0032】接続制御手段113は、上限検出スイッチ28がオフのときに電磁クラッチ72を接続すると共に、電磁クラッチ72の切断状態が切断期間補正手段115によって補正した電磁クラッチ72の切断期間Bに達したとき、即ち、補正した電磁クラッチ72の切断期間Bのパルス数から電磁クラッチ72の切断状態になって入力したパルス数を順次引き算した値が0になったと判別したとき、電磁クラッチ72を接続する。
【0033】次に、図2のフローチャートを参照しながら動作を説明する。移植作業に際しては、メインスイッチ101、主クラッチスイッチ102をオンすれば、ステップ1で、電磁クラッチ72がオンし、移植作業が開始される。ステップ2で、上限検出スイッチ28がオンかオフかを判別し、上限検出スイッチ28がオフであれば、ステップ1に戻り、上限検出スイッチ28がオンであれば、ステップ3に進み、電磁クラッチ72をオフする。
【0034】従って、クランク軸34が1回転する間、電磁クラッチ72はオンを保持し、植付カップ33が上昇状態から下降して植え付けした後再び上昇位置に戻り、この時点で電磁クラッチ72はオフする。ステップ4で、株間変速スイッチ103がオンかオフかを判別し、株間変速スイッチ103がオフであれば、ステップ5で、株間設定手段104によって設定した条件から図6に示す株間変速1のテーブルによって電磁クラッチ72の切断期間(電磁クラッチ72を切断するための回転パルスセンサ85のパルス数)を設定し、ステップ6に進む。
【0035】ステップ4で株間変速スイッチ103がオンであると判断すれば、ステップ8に進み、ステップ8で、株間設定手段104によって設定した条件から図7に示す株間変速2のテーブルによって電磁クラッチ72の切断期間(電磁クラッチ72を切断するための回転パルスセンサ85のパルス数)を設定し、ステップ9に進む。
【0036】ステップ6では、切断期間設定手段114によって設定した図6に示す切断期間A(パルス)を、傾斜センサ107で検出した傾斜角度をα(度)に応じて、A×(1+αβ)の式によって補正し、補正した切断期間B(パルス)を得て、ステップ7に進む。ステップ7では、電磁クラッチ72の切断状態が、前記ステップ6で補正した電磁クラッチ72の切断期間Bに達したか否か、即ちステップ6で補正した電磁クラッチ72の切断期間Bのパルス数から電磁クラッチ72の切断状態になって入力したパルス数を順次引き算した値が0か否かを判断し、値が0でなければ、ステップ3に戻って電磁クラッチ72を切断し、値が0であれば、ステップ1に戻って電磁クラッチ72を接続する。
【0037】ステップ9では、切断期間設定手段114によって設定した図7に示す切断期間A(パルス)を、傾斜センサ107で検出した傾斜角度をα(度)に応じて、A×(1+αβ)の式によって補正し、補正した切断期間B(パルス)を得て、ステップ10に進む。ステップ10では、電磁クラッチ72の切断状態が、前記ステップ9で補正した電磁クラッチ72の切断期間Bに達したか否か、即ちステップ9で補正した電磁クラッチ72の切断期間Bのパルス数から電磁クラッチ72の切断状態になって入力したパルス数を順次引き算した値が0か否かを判断し、値が0でなければ、ステップ3に戻って電磁クラッチ72を切断し、値が0であれば、ステップ1に戻って電磁クラッチ72を切断する。
【0038】従って、株間変速機構82を株間変速1にセットしておくと、クランク軸34が1回転する間に移植機1は基準最小株間(120mm)だけ走行することとなって、クランク軸34が高速状態になるが、株間設定手段104によって設定した段数が1段増加する毎に、電磁クラッチ72の切断期間Aが、回転パルスセンサ85が6パルスを発生する期間だけ増加するように設定されるため、株間設定手段104によって設定した1段当たりの株間調整量が約10.0mmになる。
【0039】また、株間変速機構81を株間変速2にセットしておくと、クランク軸34が1回転する間に移植機1は基準最小株間(240mm)だけ走行するようになって、クランク軸34が低速状態になる。このとき株間変速スイッチ103がオフであれば、株間設定手段104によって設定した1段当たりの株間調整量が約10.0mmになるが、株間変速スイッチ103のオンによって株間設定手段104によって設定した段数が1段増加する毎に、電磁クラッチ72の切断期間Aが、回転パルスセンサ85が12パルス又は18パルスを発生する期間だけ増加するように設定されるので、株間設定手段104によって設定した1段当たりの株間調整量が約20.0mm又は30.0mmになる。
【0040】従って、制御手段111によって、株間が大に設定されているとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間を長く設定されると共に、株間が小に設定されているとき株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間Aが短く設定される。また、株間変速機構81が株間変速1に変速操作されたとき、株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間Aが短く設定され、株間変速機構81が株間変速2に変速操作されたとき、株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間Aが長く設定される。
【0041】そして、このとき、傾斜センサ107で検出した傾斜角度αが0度の場合(上下の傾斜のない場合)、株間設定手段104により設定した切断期間Aを傾斜角度αに応じて補正した切断期間Bは、A×(1+αβ)=Aとなり、補正した切断期間Bは設定した切断期間Aと等しくなる。従って、傾斜のない場合、株間設定手段104で設定した図6及び図7に示す株間を得ることができる。
【0042】また、傾斜センサ107で検出した傾斜角度αが「正(+)」の値の場合(登り傾斜の場合)、株間設定手段104により設定した切断期間Aを傾斜角度αに応じて補正した切断期間Bは、A×(1+αβ)>Aとなり、補正した切断期間Bは設定した切断期間Aよりも大になる。従って、登り傾斜の場合、スリップ率が高くなるため株間が短くなる傾向があるにも拘わらず、株間設定手段104で設定した図6及び図7に示す所定の株間を得ることができる。
【0043】また、傾斜センサ107で検出した傾斜角度αが「負(−)」の値の場合(下り傾斜の場合)、株間設定手段104により設定した切断期間Aを傾斜角度αに応じて補正した切断期間Bは、A×(1+αβ)<Aとなり、補正した切断期間Bは設定した切断期間Aよりも小になる。従って、下り傾斜の場合、車体が前方に引っ張られるため株間が長くる傾向があるにも拘わらず、株間設定手段104で設定した図6及び図7に示す所定の株間を得ることができる。
【0044】なお、前記実施の形態では、駆動装置としてエンジン5を用いているが、これに代えモータその他を駆動装置としてもよい。また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、電磁クラッチ72を中間軸53に取り付けて、中間軸53とギヤ75との間で動力の断接をするようにしたりしてもよい。また、移植機1はマルチ畝用を例示したが、マルチフィルムを被覆していない畝用、すなわちマルチ穿孔装置22を装備しないものでよい。
【0045】また、前記実施の形態では、株間変速機構81が低速側の株間変速2に変速操作されたことを検出する株間変速スイッチ103が設けられ、株間変速スイッチ103が、株間変速機構81が低速側の株間変速2に変速操作されたことを検出したとき、株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間が長くなるように自動設定するようにしているが、これに代え、株間変速機構81が高速側の株間変速1に変速操作されたことを検出する株間変速スイッチ103を設け、株間変速スイッチ103が、株間変速機構81が高速側の株間変速1に変速操作されたことを検出したとき、株間設定手段104の操作量に対する前記電磁クラッチ72の切断時間が短くなるように自動設定するようにしてもよい。
【0046】また、前記実施の形態では、株間変速機構81を株間変速1と株間変速2とにセットできるようにしているが、植付けの株間変速段数は2段に限らず、植付けの株間変速段数を3段以上に変速できるようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、傾斜センサで感知した傾斜角度に応じて、制御手段111により、上り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を長くすると共に下り傾斜では電磁ラッチ72の切断時間を短くするので、登り傾斜の場合、スリップ率が高くなるため株間が短くなる傾向があるにも拘わらず、電磁ラッチ72の切断時間を長くして、所定の株間を得ることができ、また、下り傾斜の場合、車体が前方に引っ張られるため株間が長くる傾向があるにも拘わらず、切断時間を短くして所定の株間を得ることができる。従って、傾斜地での移植でも所定の株間を確実に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)8月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−56028
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−222770