| 【発明の名称】 |
苗の移植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】南部 哲男
【氏名】寺沢 秀和
【氏名】川本 靖信
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| 【要約】 |
【課題】集合鉢内で育苗した苗を、個別鉢体苗または土付き苗の状態で任意にかつ簡単に株間ピッチを変えて移植できるようにする。
【解決手段】機体10上に薄膜剥離装置15と移植コンベア16とを配設し、機体10上に載置した連続集合鉢1から一対の案内板32を経て連続鉢7を引出し、その二枚の薄膜3A,3Bを薄膜剥離装置15により剥離して、鉢体6から土付き苗8を取出し、この土付き苗8を、移植コンベア16によりその葉部8aを挟持して機体後部側へ搬送し、その搬送速度を機体10の移動速度とほぼ同速に設定して、畑面に対する土付き苗8の位置を浮動とし、移植コンベア16から機体10下のオープナーによって形成された植付溝内に土付き苗8を繰出す。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉢体を集合させた集合鉢内で育苗した苗を、鉢体に納めた個別鉢体苗の状態、または鉢体から取出した土付き苗の状態で畑面に連続的に植付ける移植機であって、畑面上を移動可能な機体に、前記苗の葉部を挟持して機体の進行方向後側へ搬送する移植コンベアを設け、前記移植コンベアによる苗の搬送速度を機体の移動速度とほぼ同速に設定して、該移植コンベアから直接畑面上に個別鉢体苗または土付き苗を放出させるようにしたことを特徴とする苗の移植機。 【請求項2】 機体に、該機体の移動に応じて畑面上を転動する転動輪を設け、該転動輪を移植コンベアの動力源として用いたことを特徴とする請求項1に記載の苗の移植機。 【請求項3】 移植コンベアが、一対のベルトコンベアからなることを特徴とする請求項1または2に記載の苗の移植機。 【請求項4】 移植コンベアが、機体の進行方向後側へ向けて下方傾斜していることを特徴とする請求項1、2または3に記載の苗の移植機。 【請求項5】 機体が、進行方向の後部側に植付溝を形成するオープナーを設けており、移植コンベアから放出された苗が、前記植付溝内に落下することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の苗の移植機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、鉢体を集合させた集合鉢内で育苗した苗を、鉢体に納めた個別鉢体苗の状態、または鉢体から取出した土付き苗の状態で畑面に連続的に植付けるための移植機に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の集合鉢としては、例えば、特公昭54−283275号公報、特公昭58−11817号公報等に記載された連続集合鉢がある。このものは、紙または紙のような薄膜を展開することにより形成される四角または六角筒状の鉢体を連結片にて連結して連続鉢となし、この連続鉢を水溶性接着剤を介して重ね合せることにより前記鉢体を集合させたもので、不使用時に圧篇状態として使用時に展開することでハニカム状に多数の鉢体が出現し、この展開状態を維持して育苗箱内に納めて土詰め播種することにより、多数の苗を集中的に育苗できるようになる。 【0003】ところで、上記連続集合鉢による育苗によれば、鉢体内で独立に生育するため苗間で根がらみが発生しないことに加え、育苗時の灌水で水溶性接着剤が退化するので、所定日数育苗した後、連続鉢の一端を引くと、重ね合せた連続鉢が容易に分離して一列に引出し可能となる。そこで、従来一般には、この連続鉢を一列に引出してその連続状態を維持したまま鉢体ごと苗を移植するようにしており、例えば、特開平5−308822号公報、特開平8−89028号公報等には、そのための専用の移植機が記載されている。このものは、進行方向後部側に植付溝を形成するオープナーを設けた機体上に、育苗を終えた連続集合鉢を載置し、この連続集合鉢から一列に引出した連続鉢(苗)を、機体の移動に応じてオープナーにより形成された植付溝に連続に繰出すようにしたもので、簡易型移植機として多方面で利用されている。 【0004】しかし、上記した連続集合鉢は、連続鉢を重ね合せて鉢体を密に集合させる都合上、鉢体の相互間を連結する連結片の長さを鉢体の1つの側面の幅と等しくしなければならず、このため、上記公報類に記載された簡易型移植機を用いて連続に移植しようとすると、その株間ピッチは連結片によって制約を受け、植付作物の種類によっては、株間ピッチが所望の値から大きくずれ、その利用を断念せざるを得ない場合もあった。 【0005】この問題を解決するには、一列に引出した連続鉢をその引出し途中で連結片内で分断して、分離された鉢体(個別鉢体苗)を独立に移植するようにすれば良いわけであり、このような移植機としては、例えば、特公昭55−30805号公報あるいは特公昭63−61886号公報に記載されたものがある。このうち、前者の移植機は、接地輪(転動輪)有する機体上に、連続鉢の引出方向に沿って鉢体を挟持して送り出す2つの送り手段を配置し、前記引出方向の後側の送り手段に対して前側の送り手段の送り速度を増速させて連結片に張力をかけ、連結片を分断して、個別鉢体苗を落下シュートから畑面に放出して植付けるようにしたもの、後者の移植機は、列状とした連続鉢の、先行する鉢体苗を回転する移植杆にて挟持して引出すと同時に、後続の鉢体をストッパで停止させて連結片を分断し、分離した先行の個別鉢体苗を移植杆の動きにより畑面に植付けるようにしたもので、何れの移植機においても、連結片を分断する速度を変えることで、株間ピッチを任意に変更することができるようになる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特公昭55−30805号公報に記載の移植機によれば、落下シュートを通じて落下する個別鉢体苗には、機体移動の慣性力が作用しているため、畑面に着地すると同時に該個別鉢体苗に横方向の力がかかり、その起立姿勢を維持することが困難であるという問題があった。また、上記特公昭63−61886号公報に記載の移植機によれば、移植機自体が複雑かつ大がかりとなり、簡易的に使用することは困難であるという問題があった。 【0007】なお、集合鉢としては、多数の鉢体(ポット)を一体成形してなる紙またはプラスチック製の育苗トレーが古くから存在し、この育苗トレーを使用して育苗した苗は、当然のこととして各ポットから取出して土付き苗の状態で移植することとなり、したがって上記した株間ピッチの問題は生じない。しかし、その移植機としては、育苗トレーから取出した苗を挟持して畑面まで移送して植付ける、複雑な運動をする移植杆が必要で(例えば、実開平5−23816号公報、特開平9−154331号公報等参照)、上記特公昭63−61886号公報に記載の移植機と同様、移植機自体が複雑かつ大がかりとなり、簡易的に使用することは困難である。 【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、集合鉢内で育苗した苗を、個別鉢体苗または土付き苗の状態で畑面に任意の株間ピッチで、しかも安定して植付けることができる、簡易型の移植機を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、畑面上を移動可能な機体に、苗の葉部を挟持して機体の進行方向後側へ搬送する移植コンベアを設け、前記移植コンベアによる苗の搬送速度を機体の移動速度とほぼ同速に設定して、該移植コンベアから直接畑面上に個別鉢体苗または土付き苗を放出させるようにしたことを特徴とする。 【0010】このように構成した移植機においては、移植コンベアから直接畑面上に個別鉢体苗または土付き苗を放出するので、移植コンベアに対する鉢体苗または土付き苗の供給速度を調整することで、株間ピッチを任意に変更することができる。また、移植コンベアによる搬送速度を機体の進行速度とほぼ同速に設定しているので、畑面に対して苗がほぼ静止している状態となり、移植コンベアから放出された個別鉢体苗または土付き苗は、横方向からの力を受けることなく畑面上に安定して着地する。しかも、個別鉢体苗または土付き苗は、その葉部が搬送コンベアに挟持されているので、搬送中、その葉部より下側部分が自重で鉛直状に垂れ下がり、畑面に鉛直状態を維持して落下することとなって、その倒れがより確実に防止される。また、複雑な運動をする移植杆が不要となるので、構造が複雑大掛かりとなることもない。 【0011】本発明は、上記機体に、該機体の移動に応じて畑面上を転動する転動輪を設け、該転動輪を移植コンベアの動力源として用いる構成とすることができる。このように転動輪を動力源として用いた場合は、モータなどの特別の動力源が不要になるばかりか、機体の移動速度と搬送コンベアの搬送速度とを簡単に一致させることができる。 【0012】本発明において、上記移植コンベアは、一対のベルトコンベアから構成するのが望ましく、これにより、搬送機構はより簡単となる。また、この移植コンベアは、機体の進行方向後側へ向けて下方傾斜している構成とするのが望ましく、この場合は、畑面に近い位置で苗を放出することができ、個別鉢体苗および土付き苗の倒れがより確実に防止される。 【0013】本発明において、上記機体は、進行方向の後部側に植付溝を形成するオープナーを設けており、移植コンベアから放出された苗が、前記植付溝内に落下する構成とすることができる。このように機体を構成することで、従来の簡易型移植機と同様に簡易に移植作業を行うことができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 【0015】図1乃至図4は、本発明の第1の実施の形態としての移植機の全体的構造を示したものである。本移植機は、連続集合鉢1を用いて育苗した苗2を連続的に移植しようとするもので、進行方向Fの後側に接地滑走体11とオープナー12とを設けた機体10を備えており、この機体10上には、その進行方向Fの前側位置に、前記連続集合鉢1を載置する鉢苗載置部13が設けられている。 【0016】連続集合鉢1は、図5に示すように、二枚の帯状薄膜3A,3Bを所定のピッチで耐水性接着剤4にて接合し、その接合部分(連結片)5の相互間を鉢体6とした連続鉢7を水溶性接着剤を介して重ね合せてなるものであるが、その詳細については、例えば、前出特公昭58−11817号公報、特公平4−79612号公報等に記載されているので、ここでは、これ以上の説明を省略する。この連続集合鉢1は、圧篇状態として保管され、この状態から展開するとハニカム状に多数の鉢体6が出現し、育苗に際してはその展開状態を維持して育苗箱(図示略)に納められる。そして、育苗箱に納められた連続集合鉢1には、専用の土詰め播種機により自動的に土詰め播種が施され、例えば温室内で集中的に育苗管理が行われる。各苗2は、前記したように鉢体6内で独立に生育するため相互に根がらみが発生せず、しかも、育苗時の灌水で前記水溶性接着剤が退化している。したがって、育苗後、この連続集合鉢1を上記機体10の鉢苗載置部13に載置し、その連続鉢7の一端を引くと、重ね合せた連続鉢7が容易に分離し、図1に示すように一列に引出し可能となる。なお、連続集合鉢1は、育苗箱から鉢苗載置部13に移し替えても、前記育苗箱ごと鉢苗載置部13に載置しても良いもので、育苗箱ごと載置する場合は、育苗箱の内外を連接する連接板(図示略)を育苗箱の縁に被せて、連続鉢7の移動を容易にする。 【0017】元に戻って移植機の構造をさらに説明すると、上記機体10上には、その進行方向Fの前側(以下、この進行方向Fの前側を機体前部側、これと逆方向の側を機体後部側という)から順に、上記鉢苗載置部13から引出した連続鉢7を一列に整列して案内する鉢苗案内部14と、鉢苗案内部14から引出した連続鉢7の二枚の薄膜3A,3Bを左右に引剥して鉢体6内の苗2を土付きのまま露出させる薄膜剥離装置15と、薄膜剥離装置15から繰出された土付き苗8を起立姿勢のまま機体後部側へ挟持搬送する移植コンベア16とが設けられている。 【0018】機体10は、ここでは前記接地滑走体11に共通の軸20(図4)を用いて一端部が固定され、他端部が機体前部側へ延ばされた左右一対の第1の支持フレーム21および第2の支持フレーム22と、第1の支持フレーム21に軸23(図4)を用いて一端部が結合されると共に、第2の支持フレーム22に軸24(図3)を用いて中間部が結合されたコ字形の把手フレーム25と、第2の支持フレーム22の上面に固定された支持板26とから成っている。第2の支持フレーム22は第1の支持フレーム21の内側に、接地滑走体11から機体前部側へ向けて上方傾斜するように配置され、したがって、この第2の支持フレーム22上の支持板26は機体後部側へ向けて下方傾斜する状態となっている。 【0019】上記一対の第1の支持フレーム21間には、軸受27(図4)を用いて車軸28が橋架されており、第1の支持フレーム21の両側方へ抜けたこの車軸28の両端部には転動輪29が取付けられている。転動輪29は、接地滑走体11を畑面Gに全面的に接触させた際、わずか畑面Gに食込む大きさに形成されており、したがって、接地滑走体11を畑面Gに接地させて機体10を滑走させると、転動輪29が畑面G上を転動するようになる。 【0020】ここで、前記接地滑走体11は、図6に示されるように舟形をなしており、その先端側の傾斜壁11aが、機体前部側へ向けられている。この接地滑走体11の幅方向の中間部には、その後端から傾斜壁11a側へ所定深さ切込んで成るスリット30が設けられている。このスリット30は、前記移植コンベア16により搬送された土付き苗8を畑面Gに繰出す繰出口として用いられるもので、土付き苗8を無理なく通過させるに足る必要最小限の幅に形成されている。また、前記オープナー12は、先端を鋭角に閉じかつ後端を開放させた箱形をなし、その先端の先鋭部12aを機体前部側へ向けかつその内部空間を前記スリット30に整合させるように、接地滑走体11の下面に固定されている。したがって、前記スリット30を通過した土付き苗8は、そのままオープナー12内に入り込み、該オープナー12により形成された植付溝S(図2)の底に着地するようになる。なお、接地滑走体11には一対の土寄せ板31が取付けられており、この一対の土寄せ板31は、スリット30を挟む間隔で機体10の後方へ延ばされている。 【0021】上記鉢苗案内部14は、機体10の支持板26上に立設された左右一対の案内板32を備えている。この一対の案内板32は、機体前部側で十分大きな拡がりを有し、かつ機体後部側で狭い通過口33を形成するようにハの字形に配置されており、鉢苗載置部13から引出した連続鉢7は、この一対の案内板32の狭い通過口33を通して一列に引出されるようになる。 【0022】また、上記薄膜剥離装置15は、鉢苗案内部14の通過口33に対向して配置された一対のガイド部材34と、鉢苗案内部14の一対の案内板32の外側に配置された引出ローラ対35A,35Bと、各引出ローラ対35A,35Bより機体前部側に配置された二つの巻取リール36A,36Bとを備えている。引出ローラ対35A,35Bと巻取リール36A,36Bとは、後述の駆動機構40(図8)により同期して回転駆動されるようになっており、連続鉢7から左右に引剥された二枚の薄膜3A,3Bは、それぞれ各引出ローラ対35A,35Bの回転によりガイド部材34を迂回して機体前部側へ引出され、さらに対応する巻取リール36A,36Bに巻取られる。なお、各引出ローラ対35A,35Bを構成するローラは、薄膜3A,3Bとの摩擦抵抗を増すため、その表面にセレーションのような凹凸を設けるものとする。 【0023】各巻取リール36A,36Bは、回転数が一定であると薄膜3A,3Bの巻取数(巻取径)に応じて周速が変化し、その巻取速度と引出ローラ対35A,35Bによる薄膜3A,3Bの引出速度との間に差が生じ、そのまま無理に巻取リール36A,36Bを回転させると、薄膜剥離装置15による薄膜3A,3Bの剥離速度が計画より大きくなったり、薄膜3A,3Bが切断するなどの不具合が発生する。そこで、本第1の実施の形態では、図7に示すように、各巻取リール36A,36Bのリール本体37を回転軸38から独立させて両者の間をコイルスプリング39により連結するようにしている。このように巻取リール36A,36Bを構成することで、巻取径の増大に応じてコイルスプリング39が巻き方向へ変形してリール本体37が回転軸38に対して空回し、その巻取速度が引出ローラ対35A,35Bによる薄膜3A,3Bの引出速度と一致するように調整される。なお回転軸38は、後述の薄膜剥離装置用ギヤボックス41に一対の軸受41aを介して支持されている。 【0024】薄膜剥離装置用ギヤボックス41は、図3に示すように機体10の第2の支持フレーム22に固定して設けられており、前記支持板26がこのギヤボックス41の上板として共用されている。ギヤボックス41の下面には小ギヤボックス42が設けられており、この小ギヤボックス42には、図4および図8に示すように、機体10の幅方向へ水平に延ばした水平軸43が回動可能に支持されている。水平軸43は、小ギヤボックス42の外へ突出させたその一端部にスプロケット44を備えており、このスプロケット44には、前記転動輪29用の車軸28に取付けられたスプロケット45に掛けたチェーン46が掛け回されている。一方、小ギヤボックス42内に導入された水平軸43の他端部にはベベルギヤ47が取付けられており、このベベルギヤ47には、一方の巻取リール36Bの回転軸38(図7)の下端部に取付けられたベベルギヤ48が噛み合わされている。すなわち、転動輪29の回転が両スプロケット45,44およびチェーン46を介して水平軸43に伝達され、さらに両ベベルギヤ47,48を介して回転軸38に伝達されるようになっている。 【0025】ギヤボックス41内には、図8に示すように、前記各巻取リール36A,36Bの回転軸38に取付けたスプロケット49、各引出ローラ対35A,35Bの回転軸50に取付けたスプロケット51やギヤ52、前記スプロケット49と51とを結ぶチェーン53等を含む動力伝達機構54が配設されている。この動力伝達機構54、前記水平軸43、チェーン46、転動輪29等は前記駆動機構40を構成し、その転動輪29が各引出ローラ対35A,35Bおよび各巻取リール36A,36Bの駆動源として用いられている。転動輪29は、前記したように接地滑走体11を畑面Gに接触させて、機体10を進行方向Fへ滑走させることにより畑面G上を転動し、したがって、機体10の滑走に応じて各引出ローラ対35A,35Bおよび各巻取リール36A,36Bが回転するようになる。なお、前記駆動機構40は、機体10の滑走速度に対して薄膜剥離装置15による二枚の薄膜3A,3Bの剥離速度が十分減速されるように、そのギヤ比またはプーリ比を設定している。 【0026】一方、移植コンベア16は、前記薄膜剥離装置15から繰出された土付き苗8の葉部8aを挟持できるように相互間隔が設定された一対のベルトコンベア60から成っている。一対のベルトコンベア60は、その始端が前記薄膜剥離装置15の一対のガイド部材34に接近するように位置決めされると共に、その終端が機体10の接地滑走体11の後端に付近に位置決めされている。しかして、この一対のベルトコンベア60は、前記接地滑走体11の上方に配置したコンベア用ギヤボックス61に設けた駆動機構62(図8)により回転駆動されるようになっている。 【0027】より詳しくは、コンベア用ギヤボックス61は、接地滑走体11および第2の支持フレーム22から上方へ延ばしたブラケット63,64(図3)の上端部に固定され、その全体が、該第2の支持フレーム22上の支持板26と同じく機体後部側へ向けて下方傾斜させられている。このギヤボックス61には、その前部側(機体前部側)に位置して一対の回転軸65が軸受(図示略)を介して回動可能に取付けられると共に、その後部側(機体後部側)に位置して一対の回転支軸66が固定的に取付けられている。これら回転軸65および回転支軸66は、ギヤボックス61の上下面に垂直な方向へ延ばされており、それぞれの下端部はギヤボックス61の下方へ突出させられている。各回転軸65の下端部には駆動プーリ67が回動不能に取付けられると共に、各回転支軸66の下端部には従動プーリ68が回動可能に取付けられており、これら駆動プーリ67と従動プーリ68との間には無端ベルト69が掛け回されている。無端ベルト69は、少なくともその表層部に柔軟性を有する材料、例えばプラスチックフォームを配した構造となっており、一対のベルトコンベア60は、この無端ベルト69の柔軟な表層部をわずか接触させるように相互間隔が設定されている。 【0028】上記コンベア用ギヤボックス61の上面には、図3および図4に示すように小ギヤボックス70が設けられており、この小ギヤボックス70には、機体10の幅方向へ水平に延ばした水平軸71が回動可能に支持されている。水平軸71は、小ギヤボックス70の外へ突出させたその一端部にスプロケット72を備えており、このスプロケット72には、前記転動輪29用の車軸28に取付けられたスプロケット73に掛けたチェーン74が掛け回されている。一方、小ギヤボックス70内に導入された水平軸71の他端部には、図8に示すようにベベルギヤ75が取付けられており、このベベルギヤ75には、ギヤボックス61内から上方へ延ばした中間軸76の上端部に取付けられたベベルギヤ77が噛み合わされている。すなわち、転動輪29の回転が両スプロケット73,72およびチェーン74を介して水平軸71に伝達され、さらに両ベベルギヤ75,77を介して中間軸76に伝達されるようになっている。 【0029】一方、ギヤボックス61内には、図4および図8に良く示されるように、前記中間軸76に取付けた中間ギヤ78、前記駆動プーリ67用の回転軸65に取付けたギヤ対79等を含む動力伝達機構80が配設されている。この動力伝達機構80、中間軸76、水平軸71、チェーン74、転動輪29等は前記駆動機構62を構成し、その転動輪29が、前記薄膜剥離装置15と同様に移植コンベア16の駆動源として用いられている。なお、前記駆動機構80は、移植コンベア16が機体10の滑走速度と同速で土付き苗8を搬送するようにそのギヤ比またはプーリ比を設定している。 【0030】以下、上記のように構成した移植機による移植作業について説明する。移植に際しては、予め鉢苗載置部13上に載置した連続集合鉢1から連続鉢7を引出し、その端部側の二枚の薄膜3A,3Bを手作業にて適当長さに引剥し、各薄膜3A,3Bを薄膜剥離装置15のガイド部材34を迂回させて機体前部側へ引出し、引出ローラ対35A,35Bを通して対応する巻取リール36A,36Bのリール本体37(図7)にそれぞれの一端を止める。この時、連続鉢7は鉢苗案内部14の一対の案内板32の通過口33を通過させて機体後部側へ引出した状態とする。 【0031】上記準備完了後、機体10の把手フレーム25を把持し、接地滑走体11を畑面Gに全面的に接触させながら機体10を進行方向Fへ進行させる。すると、機体10に取付けた転動輪29が畑面G上を転動し、その回転が各駆動機構40、62(図8)を介して薄膜剥離装置15および移植コンベア16に同時に伝えられる。すなわち、薄膜剥離装置15の引出ローラ対35A,35Bが各薄膜3A,3Bを挟持してこれに引張力を加え、これにより連続鉢7に引剥方向の力が加わって、二枚の薄膜3A,3Bの接合部分5(図5)が左右に連続的に引剥される。この二枚の薄膜3A,3Bの引剥しにより、各鉢体6内の苗2が土付きのまま順次露出し、土付き苗8として移植コンベア16へ向けて一個ずつ繰出され、一方、引剥された各薄膜3A,3Bは対応する巻取リール36A,36Bに次第に巻取られる。この時、各巻取リール36A,36Bは、前記したように巻取径の増大に応じてリール本体37を回転軸38に対して空回させることにより、その周速を自動調整するので、薄膜3A,3Bの剥離速度は一定となる。 【0032】一方、駆動機構80により転動輪29の回転を伝えられた移植コンベア16は、その回転を回転軸65に受けて駆動プーリ67を回転させ、これにより一対のベルトコンベア60の無端ベルト69が回転する。上記薄膜剥離装置15から繰出された土付き苗8は、ベルトコンベア60の始端部がガイド部材34に近接して配置されていることや、剥離時の反動もあってそのまま一対のベルトコンベア60の無端ベルト72の間に進入し、移植コンベア16は、前記進入した土付き苗8の葉部8aを挟持して機体後部側へ搬送する。しかして、この移植コンベア16の搬送速度は、前記したように薄膜剥離装置15による二枚の薄膜3A,3Bの剥離速度より十分大きく設定されており、これにより、土付き苗8は、連続鉢7における鉢体6の相互間隔よりも大きな間隔(ピッチ)で搬送される。 【0033】移植コンベア16により機体後部側へ搬送されている土付き苗8は、その葉部8aが挟持されているので、図2に示すように、その葉部8aより下側部分が自重で鉛直状に垂れ下がる。そして、移植コンベア16が機体後部側へ向けて下方傾斜していることもあって、土付き苗8の鉛直状に垂れ下がった部分は、その搬送途中から接地滑走体11のスリット30(図6)を通して、オープナー12により形成された植付溝S内に次第に入り込む。土付き苗8は、移植コンベア16の終端近くまで搬送された段階で前記植付溝Sの底に着地し、そのまま移植コンベア16から解放(放出)されて植付溝Sの底に起立する。その後、機体10の進行に応じてオープナー12からも解放され、土寄せ板31によって寄せられた土内にその根ブロック部8bが完全に埋め込まれる。土付き苗8は、前記したように連続鉢7における鉢体6の相互間隔よりも大きな間隔(ピッチ)で搬送されているので、畑面Gに植付けられた土付き苗8の株間ピッチは十分な大きさとなる。 【0034】しかして、機体10の滑走速度VA と移植コンベア16による土付き苗8の搬送速度VB とが同速(VA =VB )となっているので、図9に示すように、移植コンベア16で搬送中の土付き苗8は、畑面Gに対してある位置Lで静止状態となる。したがって、機体10がそのままの速度VA で滑走を続けると、土付き苗8は、同図に■から■に示すように、前記静止位置L上を降下して前記植付溝Sの底に鉛直状態を維持して着地し、そのまま移植コンベア16から解放される。すなわち、土付き苗8には、その着地に際して機体10または移植コンベア16から横方向の力が作用せず、これにより土付き苗8の倒れは防止される。また、オープナー12により形成された植付溝Sの周りの土は、同図に示すように、オープナー12の通過と共に崩落して、オープナー12の後端からわずか離間した点Pで合流するようになるが(■)、土付き苗8は、この合流点Pの直前に着地するので(■)、合流した土に乗りあげて倒れてしまうことはなく、この戻り土内に土付き苗8の根ブロック部8bが円滑に埋め込まれるようになる(■)。 【0035】図10および図11は、本発明の第2の実施の形態としての移植機の全体的構造を示したものである。本第2の実施の形態の特徴とするところは、上記した移植コンベア16と薄膜剥離装置15との間に、土付き苗8の根ブロック部8bを挟持搬送する搬送コンベア85を配設した点にある。この場合、搬送コンベア85は、その始端が薄膜剥離装置15のガイド部材34に接近するように位置決めされ、一方、移植コンベア16は、搬送コンベア85の終端部の上側にその始端部をラップさせるように配置されている。 【0036】本第2の実施の形態において、上記搬送コンベア85は、移植コンベア16と同様に一対のベルトコンベア86から成っており、一対のベルトコンベア86は、土付き苗8の根ブロック部8bを挟持できるように相互間隔が設定されている。この一対のベルトコンベア86は、ここでは前記コンベア用ギヤボックス61から延ばした一対の回転軸87(図11)の下端部に駆動プーリ88を、前記機体10の支持板26上に植立した支柱89(図11)に従動プーリ90をそれぞれ取付けて、両プーリ88と90との間に無端ベルト91を掛け回した構造となっており、その回転軸87に、前記駆動機構80(図8)の回転が伝えられるようになっている。なお、本第2の実施の形態は、搬送コンベア85を追加的に設けた以外は、前出第1の実施の形態と全体的構造は同じであるので、ここでは、前出図1および図2に示した部分と同一部分には同一符号を付している。 【0037】本第2の実施の形態によれば、薄膜剥離装置15から繰出された土付き苗8は、先ずその根ブロック部8bが搬送コンベア85の一対のベルトコンベア86により挟持されて機体後部側へ搬送され、次に、その葉部8aが移植コンベア16の一対のベルトコンベア60により挟持されて、さらに機体後部側へと搬送される。この時、搬送コンベア85の終端と移植コンベア16の始端とが相互にラップしているので、搬送コンベア85に土付き苗8の根ブロック部8bが挟持されている間に、移植コンベア16が土付き苗8の葉部8aを挟持し、したがって、土付き苗8は搬送コンベア85から移植コンベア16へ確実に受渡しされる。 【0038】なお、上記第1の実施の形態のように搬送コンベア85を有しない場合は、例えば図12に示すように、連続集合鉢1から引出した連続鉢7の中で、苗2の葉部が相互に重なっていると、薄膜剥離装置15から繰出された土付き苗8の葉部8aを移植コンベア16が挟持する際、連続鉢7として残っている後続の鉢体6内の苗2の葉部も一緒に挟持して、その苗2の葉部を抜取ってしまう虞がある。また、上記第2の実施の形態のように搬送コンベア85を備えている場合は、例えば図13に示すように、その搬送コンベア85の終端と移植コンベア16の始端とが相互にラップしていないと、同図に示されるように搬送コンベア85で搬送される土付き苗8の葉部8aが機体前部側へ倒れているような場合に、受渡しのタイミングにずれが生じ、土付き苗8が移植コンベア16から落下する危険がある。 【0039】上記各実施の形態では、移植コンベア16または搬送コンベア85の前段に薄膜剥離装置15を設けて、この薄膜剥離装置15により連続鉢7の鉢体6から苗を取出し、土付き苗8の状態で移植するようにしたが、本発明は、苗2を鉢体6に納めた個別鉢体苗の状態で移植するようにしても良いものである。この場合は、機体10上に、前記薄膜剥離装置15に代えて、例えば、特公昭55−30805号公報に記載されるような分離装置を設けるようにする。この分離装置は、図14に示すように、連続集合鉢1(図1)から引出した連続鉢7の引出方向に沿って、二つの送り手段100 と101 とを配置し、引出方向の後側の送り手段100 に対して前側の送り手段101 の送り速度を増速させて連続鉢7の連結片(接合部分)5に張力をかけ、連結片5を切目に沿って分断する構成としたものである。この分離装置により、鉢体6に苗2を納めた個別鉢体苗9が前記移植コンベア16または搬送コンベア85へ連続的に供給され、移植コンベア16は、土付き苗8を対象とした上記実施の形態と同じ態様でこの個別鉢体苗9の葉部9aを挟持して搬送し、そのまま植付溝Sに放出して植付けを行うことができる。 【0040】ここで、上記送り手段100 は、二つのローラ102 ,103 に無端ベルト104 を掛け回したベルトコンベア105 の一対を、鉢体6を挟持できる間隔で配置した構造、上記送り手段101 は、一対のローラ106 を鉢体6を挟持できる間隔で配置した構造となっており、送り手段100 により後続の鉢体6に十分大きな制動力をかけて、連結片5を確実に分断できるようになる。 【0041】なお、上記各実施の形態では、連続集合鉢1内で育苗した苗を対象とした移植機について述べたが、本発明は、紙またはプラスチック製の育苗トレーで育苗した苗も対象とし得るものである。この場合は、予め育苗トレーから苗を取出して機体10上に載置し、適宜の押出手段を用いてその苗を一個ずつ移植コンベア16または搬送コンベア85へ供給するようにする。 【0042】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に係る苗の移植機によれば、畑面上を移動可能な機体に、前記苗の葉部を挟持して機体の進行方向後側へ搬送する移植コンベアを設け、前記移植コンベアによる苗の搬送速度を機体の移動速度とほぼ同速に設定して、該移植コンベアから直接畑面上に苗を放出させるようにしたので、個別鉢体苗または土付き苗の状態で任意の株間ピッチで、しかも安定して植付けることができる。また、複雑な運動をする移植杆が不要となるので、構造が複雑大掛かりとなることもない。また、進行方向の後部側に植付溝を形成するオープナーを設けた機体上に移植コンベアを設置した場合は、従来の簡易型移植機と同様に簡易に移植作業を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231981 【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−56023 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−244675 |
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