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【発明の名称】 施肥装置付き田植機
【発明者】 【氏名】中村 正一

【氏名】高尾 裕

【氏名】園田 義昭

【氏名】中川 善清

【氏名】松村 哲也

【氏名】坂野 倫祥

【要約】 【課題】肥料送り用の風が肥料の作溝器への供給が終了した後に既植苗に吹き付けるような不具合を与えないようにできる施肥装置付き田植機を提供する。

【解決手段】走行機体3後方の植付部5と運転座席6との前後間に肥料ホッパ14と肥料繰出機構15とから成る施肥装置7を配備し、前記肥料繰出機構15から出された肥料をブロワ17による補助的な送風で前記植付部5に備えられた作溝器13に導く流下経路を備え、肥料送り用の風を前記作溝器13の上部箇所から外方へ逃がすように構成してある施肥装置付き田植機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体後方の植付部と運転座席との前後間に肥料ホッパと肥料繰出機構とから成る施肥装置を配備し、前記肥料繰出機構から出された肥料をブロワによる補助的な送風で前記植付部に備えられた作溝器に導く流下経路を備え、肥料送り用の風を前記作溝器の上部箇所から外方へ逃がすように構成してある施肥装置付き田植機。
【請求項2】 前記作溝器の上部箇所から外方へ逃がす風量を調整自在に構成してある請求項1記載の施肥装置付き田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体後方の植付部と運転座席との前後間に肥料ホッパと肥料繰出機構とから成る施肥装置を配備し、前記肥料繰出機構から出された肥料をブロワによる補助的な送風で前記植付部に備えられた作溝器に導く流下経路を備えた施肥装置付き田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の施肥装置付き田植機においては、作溝器に送風と共に送られた肥料が、横断平面視が後方開放状態のコの字状を成す作溝器の側面壁に案内されて下方の泥面に形成された溝内に落下するものとなっており、作溝器まできた風は、その作溝器の後方開放箇所より後方に吹き抜けるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来においては、肥料送りの送風がなされた後の風は作溝器の後方開放箇所から比較的その風速が低下することなく後方に吹き抜けるので、既植苗に対してその風が当たってその苗を倒してしまう虞れがあった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、肥料送り用の風が肥料の作溝器への供給が終了した後に既植苗に吹き付けるような不具合を与えないようにできる施肥装置付き田植機の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(構成) 本発明の請求項1にかかる施肥装置付き田植機は、走行機体後方の植付部と運転座席との前後間に肥料ホッパと肥料繰出機構とから成る施肥装置を配備し、前記肥料繰出機構から出された肥料をブロワによる補助的な送風で前記植付部に備えられた作溝器に導く流下経路を備え、肥料送り用の風を前記作溝器の上部箇所から外方へ逃がすように構成してあることを特徴構成とする。
【0006】(作用) 本発明の請求項1にかかる構成によれば、作溝器へ向けての送風が流下経路を通してなされ、作溝器まで到達した状態の風は作溝器の上部箇所より外方へ逃がすようにしているから、その風が作溝器の下部における後方向きの開放箇所から後方へ吹き出すことが抑制され、既植苗に対して肥料送り用の風が強く送風されることが回避できるものとなっている。
【0007】(効果) 従って、本発明の請求項1にかかる構成によれば、肥料供給を終えた風は作溝器の上部箇所より外方に逃がされることで比較的圃場面より高い箇所を風が分散されていくことになるとともに、作溝器の下部から後方へ分散される風が弱められることから、作溝器の後方にある既植苗に対して風が当たる可能性を低くでき、よって、その風で苗が横倒しさせられる等の不具合の発生も抑制される。
【0008】(構成) 本発明の請求項2にかかる施肥装置付き田植機は、請求項1記載のものにおいて、前記作溝器の上部箇所から外方へ逃がす風量を調整自在に構成してあることを特徴構成とする。
【0009】(作用) 本発明の請求項2にかかる構成によれば、作溝器の上部箇所から外方へ逃がす風量の調整を行うことにより、作溝器内にまで到達した風の外方へ逃げる際の風速の調整もなされることになって、ひいては作溝器内へ送られる肥料の移動速度の調節も行えることになる。
【0010】(効果) 従って、本発明の請求項2にかかる構成によれば、肥料の移動速度が異常に高速に成ったりしないよう、肥料送り用の風量を調節することで、肥料を低速移動状態に設定することができ、例えば軟質の泥内に所望深さよりも深く肥料が埋没するような不具合が発生しないよう調整できる利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、乗用型田植機を示している。この乗用型田植機は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2を備えた走行機体3の後方にリンク機構4を介して植付部である苗植付装置5が昇降自在に連結され、苗植付装置5の前方側であり、かつ、運転座席6の直後となる位置に施肥装置7を装備して、構成している。
【0012】苗植付装置5は、昇降用の油圧シリンダ8の伸縮操作に伴って、下端部が圃場面に接地する苗植付用の作業位置と、大きく上方に移動する上昇位置とにわたって昇降操作自在である。そして、苗植付装置5は、リンク機構4に連結支持される植付部フレーム9に対して車体横幅方向に沿って所定ピッチで往復移動する苗載せ台10、苗載せ台10に載置されたマット苗の下端部から一株づつ苗を取り出して圃場に植え付ける複数(例えば6条分)の植付機構11、圃場に接地しながら泥面を整地する接地フロート12等を備えて構成している。
【0013】接地フロート12には、図1及び図5に示すように、各植付条における苗の植付部位に隣接するそれぞれの箇所において、接地面より下方側に向けて泥土層に入り込み、泥面上に肥料を供給するための溝を形成する作溝器13を設けている。
【0014】図1乃至図3に示すように、施肥装置7は、粉粒状の肥料を貯留する3条一体型の肥料ホッパ14と、そこからの肥料を所定量づつ繰り出す繰出機構15と、繰り出された肥料を苗植付装置5の作溝器13に向けて送る施肥ホース(流下経路の一例)16とを備えて構成している。繰出機構15は、肥料ホッパ14の各条用の漏斗部の下方に位置して、各植付条に対応して複数(6条分)設けている。各繰出機構15から繰り出された肥料を、ブロワ17の送風によって、施肥ホース16を通して各作溝器13に向けて各別に強制移送するように構成している。
【0015】図5及び図6に示すように、作溝器13は、平面視で後方側が開放されるコの字状に形成されているとともに、その前面部には溝切り板18を連設する状態で整地フロート12に固定している。さらに、その作溝器13の上部には、施肥ホース16を作溝器13に接続するための接続ケース19を相対上下動自在に嵌着している。この接続ケース19の前面部19Fには、蛇腹管20を連設してこの蛇腹管20に施肥ホース16の後端部を挿入させている。そして、接続ケース19の後面部19Rはその上下のほぼ全範囲が網体21で構成されているとともに、この網体21の開口面積を変更調節するためのシャッター板22を上下にスライド自在かつ適宜位置でセットボルト23により位置固定可能に構成している。
【0016】上記構成により、側条施肥を行いながらの苗植付作業をする際には、通常シャッター板22を開放状態にしておくのであり、施肥ホース16を通して送風により移送されてきた肥料は、作溝器13の上部に嵌め着けられた接続ケース19の後面部19Rの網体21に衝突した後下方に落下するか、もしくは衝突しないにしても下方及び後方が開放状態の作溝器13の内を送風の勢いがなくなることで下方に落下していく。そして、肥料を送るための風は、網体21を通して後方に分散していくので、風力は低下するとともに、その風は圃場面より少し高い所で吹き抜けることになるので、既植苗にその風が強く当たることが抑制されることになる。
【0017】次に、圃場に除草剤を散布する手段について簡単に説明する。図1及び図4に示すように、運転座席6の直後方で施肥装置14の背面側箇所に、除草剤タンク24と、滴下状態で除草剤タンク24から除草剤を繰り出すチューブポンプ25とからなる除草剤滴下装置26を配置しているとともに、チューブポンプ25で繰り出された除草剤は、ホースHで送られ、苗植付装置5の右からみての第2植付条箇所と第3植付条箇所との間で苗植付装置5の苗植付位置より後方箇所に配置されたノズル27より圃場面に滴下するようにしている。そして、チューブポンプ25は、施肥装置14の繰出機構15に連係したリンク機構(図示せず)を介して伝動されて、軟質チューブ(図示せず)をローラで絞り出しして除草剤を送り出す構成となっている。運転座席6の近傍に除草剤滴下装置26を配置しているから、除草剤タンク24への薬剤補給が運転部から行い易くなっており、その補給のため作業者が一々走行機体3に対して乗り降りしなくても良いとともに、苗補給のついでに除草剤の補給を行える。さらに、運転部にいる作業者が除草剤タンク24を目視することでその薬剤の残量を把握しやすいものとなっている。尚、除草剤滴下装置26は、運転座席6の横側箇所に設けても良いとともに、運転座席6と施肥装置14との間に設けても良い。
【0018】〔別の実施の形態〕
■ 上記実施の形態では施肥ホースからの後方向きの送風をその後方向きのまま作溝器の外方へ逃がすようにしたものを示したが、送風の逃がす方向を上方向き、或いは、上方後方向きにしても良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)8月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−56020
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−230663