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【発明の名称】 移植機の動力伝動装置
【発明者】 【氏名】浜田 昭夫

【要約】 【課題】電磁クラッチを切断して、植付体を一時停止させる場合に、植付体の慣性によって停止位置にばらつきが生じるのを防止するようにした移植機において、植付体駆動軸を円滑に回転させ、植付精度を安定させる。

【解決手段】駆動軸71と連動して同行回転する運動体の正回転方向からの通過は許容し、逆回転方向からの通過を不可とする逆転防止部を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動軸(71)の回転により昇降動作すると共に上昇側で苗を受取り、下降側で圃場に苗を植付ける植付体(61)を備え、植付体(61)が苗受取位置にきたときに、駆動軸(71)と駆動源(17)との間の動力伝達を一時的に切断するクラッチ(38)を設け、前記駆動軸(71)と連動して同行回転する運動体(99)と、前記苗受取位置で、植付体(61)の昇降動作を制動するように運動体(99)が接触する制動体(96)とを設け、植付体(61)の苗受取状態における運動体(99)回転方向後側に、運動体(99)の回転軌跡の外周端軌跡(B)から径内方向に突出して運動体(99)と係合することにより、その運動体(99)の逆転を防止する逆転防止部(106)を備え、この逆転防止部(106)は、運動体(99)が正回転するときには、制動体(96)に対して運動体(99)回転軌跡径外方向に移動して運動体(99)との係合が解除されて運動体(99)の通過を許容し、運動体(99)が逆転防止部(106)を通過すると、運動体(99)回転軌跡径内方向に復帰して運動体(99)と係合し、逆転を防止するように設けられていることを特徴とする移植機の伝動装置。
【請求項2】 前記逆転防止部(106)を、弾性体(104)によって運動体(99)の回転軌跡の外周端軌跡(B)から径内方向に突出するように付勢して設けると共に、正回転する運動体(99)の力は、前記弾性体(104)の付勢力に抗して、逆転防止部(106)を運動体(99)の回転軌跡径外方向に移動させる方向に作用し、逆回転しようとする運動体(99)の力は、逆転防止部(106)を運動体(99)の回転軌跡径外方向に移動させる方向に作用しないように設けたことを特徴とする請求項1記載の動力伝動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移植機の動力伝動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】移植機には、植付手段を揺動リンク機構等を介してエンジンに連動連結させると共に、該エンジンの回転動力によって植付手段を昇降動作させ、植付手段が上死点のとき苗を供給し、下死点で畝に突刺って苗を移植するようにしたものがある。この種の移植機の動力伝動装置では、エンジンと植付手段との連動を断接する電磁クラッチを設け、植付手段が苗受取位置(上死点)にきたとき電磁クラッチを一時的に切断して(オンからオフに切換えて)、植付手段を停止させ、ここで苗を受け取ると共に、植付手段の昇降停止時間の調節により植付け間隔である所定の株間を得るようにしたものがある。
【0003】従来、植付手段を正確に停止さるために、植付手段の慣性の大小にかかわらず植付手段を苗受取位置で制動停止させる制動装置が設けられたものがある(特開平9−28号公報参照)。この制動装置は、図10に示すように、植付手段の駆動軸71の回転に連動して回転するブレーキローラ99(運動体)と、電磁クラッチによる動力切断時に、ブレーキローラ99に接触して、植付手段を直ちに停止させるブレーキアーム96(制動体)とから構成されている。
【0004】前記ブレーキアーム96の上面側の前後方向中途部には、上方から凹設されていてブレーキローラ99が上方側から係合する係合凹部110が形成され、この凹部110の底部は、ブレーキローラ99の回転軌跡の外周端軌跡Bと一致しており、凹部110の、ブレーキローラ99回転方向A前後は前記ブレーキローラ99の外周端軌跡Bより径内側に突出状とされ、凹部110のブレーキローラ99回転方向A前側が、電磁クラッチ38を切ったときの駆動71の回転停止を確実に行うための回転規制部110aとされ、凹部110のブレーキローラ99回転方向A後側が、電磁クラッチ38を切ったときのブレーキローラ99の逆転を防止する逆転防止部110bとされている。
【0005】前記ブレーキローラ99は駆動軸71とA方向に同行回転し、苗を植付けた後、植付手段が上昇して停止位置の手前にきたときに、ブレーキローラ99はブレーキアーム96の逆転防止部110b手前に位置する。そして電磁クラッチにより動力が切断されると、植付手段等の慣性によりブレーキローラ99が逆転防止部110bを乗り越えて、ブレーキローラが係合凹部110に嵌合した状態で、植付手段の運動が停止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来のものにあっては、逆転防止部110bがブレーキアーム96と一体に設けられており、ブレーキローラ99が逆転防止部110bを乗り越えるには、通常の回転より大きな力が必要となるので、ブレーキローラ99の円滑な回転が妨げられる。また、ブレーキローラ99が逆転防止部110bの頂点から係合凹部110に進入する際には、ブレーキローラ99が逆転防止部110bを乗り越えたエネルギーが、ブレーキローラ99の回転エネルギーとして与えられるため、回転規制部110a等によるブレーキ作用を損なう場合があり、植付精度を低下させる要因となっていた。
【0007】また、ブレーキローラ99は苗を植付ける度に逆転防止部110bを通過するため、逆転防止部110bはブレーキローラ99又は泥・ゴミ等によって磨耗する。ところが、逆転防止部110bの突出量は、ブレーキローラ99が乗り越え可能な程度に低く抑える必要があり、あまり大きくできない。したがって、磨耗による突出量の減少は、逆転防止に対して大きな影響を与え、逆転防止を長期に亘って確保できない。
【0008】本発明は、前記問題点に鑑み、逆転防止部による上記不具合を解消することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成すべく以下の技術的手段を講じた。すなわち、本発明の特徴は、駆動軸の回転により昇降動作すると共に上昇側で苗を受取り、下降側で圃場に苗を植付ける植付体を備え、植付体が苗受取位置にきたときに、駆動軸と駆動源との間の動力伝達を一時的に切断するクラッチを設け、前記駆動軸と連動して同行回転する運動体と、前記苗受取位置で、植付体の昇降動作を制動するように運動体が接触する制動体とを設け、植付体の苗受取状態における運動体の回転方向後側に、運動体の回転軌跡の外周端軌跡から径内方向に突出して運動体の逆転を防止する逆転防止部を備え、この逆転防止部は、運動体が正回転するときには、制動体に対して運動体回転軌跡径外方向に移動して運動体との係合が解除されて運動体の通過を許容し、運動体が逆転防止部を通過すると、運動体回転軌跡径内方向に復帰して運動体と係合し、逆転を防止するように設けられている点にある。
【0010】上記構成によれば、運動体が正回転で逆転防止部を通過するときには、逆転防止部が、制動体に対して運動体回転軌跡径外方向に移動するので、逆転防止部は運動体の通過を妨げない。そして、運動体が逆転防止部を通過すると、逆転防止部は、運動体の回転軌跡の外周端軌跡から径内方向に突出した状態に復帰し、運動体と係合する。したがって、運動体は、逆転することができない。
【0011】また、前記逆転防止部を、弾性体により運動体の回転軌跡の外周端軌跡から径内方向に突出するように付勢して設けると共に、正回転する運動体の力は、前記弾性体の付勢力に抗して、逆転防止部を運動体の回転軌跡径外方向に移動させる方向に作用し、逆回転しようとする運動体の力は、逆転防止部を運動体の回転軌跡径外方向に移動させる方向に作用しないように設けることが好ましい。この場合、運動体が正回転方向から逆転防止部を通過しようとする際、その運動体が弾性体の弾性力に抗して、逆転防止部を運動体の回転軌跡径外方向に移動させ、逆転防止部を円滑に通過することができる。また、運動体が逆回転しようとする場合に、その力は、逆転防止部を移動させるように作用しないので、確実に移動が防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図7において、野菜移植機11は、走行車両12の後部に操縦ハンドル13を有する歩行型であって、畝14を跨いでその長手方向に走行しつつ、ソイルブロック苗をマルチフィルムM(図4参照)で覆われた畝14に所定間隔をおいて植付けるものである。
【0013】走行車両12は、主フレーム15と、この主フレーム15の前端部に設けられた架台16等とを備えている。主フレーム15は角パイプ等で形成され、その前部が下向きに曲がっていて架台16の側部に固定されており、後部が上向きに曲がっていて操縦ハンドル13の取付部とされている。架台16上にはエンジン17が搭載され、このエンジン17はボンネット18で覆われており、架台16の後部にはミッションケース19が固定され、このミッションケース19内の動力伝達機構にエンジン17の動力が伝動される。
【0014】ミッションケース19内に入力された動力は、左右側方に突出する車輪伝動軸20に伝達されると共に、この車輪伝動軸20よりも後方に設けられて左右側方に突出する第1PTO軸21と、後上方に突出する第2PTO軸22とから取り出せるようになっている。車輪伝動軸20の左右端にはその軸心回りに上下揺動自在な伝動ケース23を介して左右の駆動輪24(後輪)が支持され、この駆動輪24は畝14間の溝内を転動する。また、走行車両12の前部には、左右一対の前輪26、畝高さ検出ローラ27が備えられている。
【0015】図8は走行系及びPTO系の動力伝達系統を示しており、エンジン17の動力は巻掛伝動手段28により入力軸29に伝達される。ミッションケース19には入力軸29と平行に、回転軸30、中間軸31、バック軸32、車輪伝動軸20及び第1PTO軸21がそれぞれ回転自在に支持され、前後方向の第2PTO軸22が後方突出状に設けられている。
【0016】入力軸29上のギヤ29aは回転軸30上の遊転ギヤ33と噛合しており、この遊転ギヤ33にクラッチギヤ34を摺動させてその咬合部を咬合させることにより、入力軸29から回転軸30へ動力伝達可能になる。前記クラッチギヤ34は遊転ギヤ33と咬合する方向に弾圧されており、爪式の主クラッチを構成している。
【0017】前記回転軸30と中間軸31との間には、1速(F1 )、2速(F2 )、3速(F3 )、ニュートラル(N)、後進(R)に切換操作可能な変速装置35が設けられている。また、中間軸31上には伝動ギヤ36及び図示省略の駐車ブレーキが設けられており、伝動ギヤ36は車輪伝動軸20に固設された大ギヤ37と噛合している。そして、車輪伝動軸20から伝動ケース23内の巻掛伝動体25を介して駆動輪24に動力が伝達され、該駆動輪24を駆動可能としている。
【0018】前記回転軸30は一端がミッションケース19から突出していて、その外端に電磁クラッチ38が固定されており、また、回転軸30の外端部を包囲するように筒軸状のカップリング軸39がミッションケース19に回転自在に支持されており、電磁クラッチ38の作動で回転軸30とカップリング軸39とが一体回転し、PTO系動力を分岐取り出しできるようになっている。
【0019】このカップリング軸39にはギヤ40が固定されており、このギヤ40は中間軸31に遊嵌したアイドラギヤ41と噛合しており、アイドラギヤ41は更に第1PTO軸21上のギヤ42と噛合し、PTO系動力を伝達可能にしている。第1PTO軸21にはベベルピニオン43が固定され、第2PTO軸22上のベベルギヤ44と噛合しており、PTO系動力を2系統に分岐して、第1PTO軸21と第2PTO軸22とから取出し可能となっており、電磁クラッチ38を消磁することで車輪伝動軸20の回転動力を止めることなく第1、第2PTO軸21,22の回転動力を停止可能となっている。
【0020】前記回転軸30の電磁クラッチ38より外端には回転パルスセンサ45が取り付けられている。この回転パルスセンサ45は例えば回転軸30に外嵌固着したスプロケットの凹凸を近接センサでカウントする構造のものが使用できる。走行車両12の後部には、移植作業部50が設けられている。この移植作業部50は、苗供給装置51と、該苗供給装置51から供給されるソイルブロック苗を植付筒(植付手段)61によって畝14に植付ける植付装置60と、苗が植付けられる位置に予めマルチフィルムMに移植用の孔を穿けるマルチフィルム穿孔装置81等を有している。苗供給装置51は第2PTO軸22の回転動力により駆動され、植付装置60及びマルチ穿孔装置81は第1PTO軸21の回転動力により駆動される。
【0021】苗供給装置51は、主フレーム15上に装着されており、ソイルブロック苗が育苗されたポット部46aが縦横に多数配設された苗トレイ46を横方向及び縦方向に移送しつつ、この苗トレイ46から、植付装置60に対して所定の苗取出位置にて苗取出爪52によりソイルブロック苗を一つずつ取り出して、該ソイルブロック苗を植付装置60上方まで移送した後に植付筒61内に落とし込むようになされている。なお、苗トレイ46は樹脂製で可撓性を有し、縦横に多数配列したポット部46aが背面に突出して備えられており、各ポット部46aにソイルブロック苗が育苗されている。
【0022】この苗供給装置51の動力受入軸53には、第2PTO軸22に連結された伝動軸54がユニバーサルジョイントを介して連結されて、該伝動軸54からの動力により前記した動作が繰り返される。前記植付装置60及びマルチフィルム穿孔装置81は、図5及び図6にも示すように、ミッションケース19の第1PTO軸21に上下揺動自在に支持された装置フレーム62上に備えられている。この装置フレーム62は、角パイプ状の左右フレーム62L,62Rと、これら左右フレーム62L,62Rを連結する連結フレーム62Aとから主構成されている。右フレーム62Rの前端部にはボルト63等の固定具によってブラケット64が着脱自在に取付けられ、このブラケット64の前端部と左フレーム62Lの前端部とに設けられたベアリング65に第1PTO軸21が挿通支持されており、ブラケット64を取り外すことにより装置フレーム62を走行車両12から取り外すことで、植付装置60及びマルチ穿孔装置81を一体的に走行車両12から取り外すことができる。
【0023】また、装置フレーム62の後端部は主フレーム15に上下方向位置調整可能に吊持されており、装置フレーム62の後部には覆土・鎮圧ローラ66が設けられている。前記植付装置60は、苗供給装置51から供給されるソイルブロック苗を畝14に所定間隔で植付けるべく畝14に対して突き刺し運動される植付筒61と、この植付筒61を上下揺動自在に支持する揺動リンク機構67とから主構成されている。揺動リンク機構67は、下端側が前後揺動自在となるように上端部が装置フレーム62に軸支された第1平行リンク68を備え、この第1平行リンク68の下端部に揺動プレート69を枢結し、この揺動プレート69に第2平行リンク70の前端部を枢結し、この第2平行リンク70の後端部に植付筒61を枢結している。
【0024】また、図2にも示すように、第2平行リンク70の上側リンク70aには、軸受72が固定され、装置フレーム62の左右フレーム62L,62R間には左右のベアリング73を介して回転自在に支持されたクランク軸(駆動軸)71が設けられ、このクランク軸71のクランクアーム71a間のクランクピン71bが前記軸受72に挿通されている。
【0025】クランク軸72の左端部にはスプロケット74が設けられ、このスプロケット74と、第1PTO軸21の左端部に設けたスプロケット75とには伝動チェン76が巻回されて、エンジン17からの回転動力がクランク軸71に伝動されるようになっている。これらスプロケット74,75及び伝動チェン76はチェンケース77で覆われており、このチェンケース77にはチェン76の張り具合を調節するためのテンションローラ78が設けられている。
【0026】したがって、第1PTO軸21からの動力により、クランク軸71が図1矢示Aで示す方向に回転することで、第1、第2平行リンク68,70により植付筒61が上下に揺動しながら前後にも揺動するようになっており、走行しながら植付筒61を畝14に突き刺す際において、植付筒61が圃場に対して略前方移動のないようになっている。
【0027】また、植付筒61は、下部に開閉自在なオープナを備えており、オープナは植付筒71の軌跡の下端側にて畝14に突入したときに連動具79によって前後に開き、畝14に移植孔を形成すると共に、該移植孔にソイルブロック苗を植付け得るようになっている。また、植付筒61の後方側にはスクレーパ80が設けられており、植付筒61が畝14に突入された後に揺動リンク機構67によって上昇移動される際に、植付筒61の外側壁及び内側壁に付着した土をかき落とすようになっている。
【0028】前記マルチフィルム穿孔装置81は、図3〜図6に示すように、ガスバーナーで構成された穿孔手段82を備え、この穿孔手段82は平行リンク83を介して上下動自在に装置フレーム62に連結されている。平行リンク83の上側リンク83aにはカムローラ84(カム係合部)が枢着されている。このカムローラ84は、前記クランク軸71に設けられた円板状のカム85の外周を転動するようになっており、植付装置60とマルチ穿孔装置81とを同一のクランク軸71で駆動することで、装置の簡素化、コスト低減を図っている。また、穿孔手段82の自重によって、カムローラ84をカム85の外周に押し付ける方向に付勢されている。
【0029】カム85の周方向一部には凹陥部86が形成されており、この凹陥部86にカムローラ84が落ち込むことで、図2に示すように自重により穿孔手段82が下動して、穿孔手段82の下端部に設けた加熱体87をマルチフィルムMに押し当てることで、マルチフィルムMに移植孔を穿孔するようになっている。また、カム85は、マルチフィルムMを穿孔した後即座に穿孔手段82を上昇させるように形成されているとともに、凹陥部86を除く他の部分は、穿孔手段82を上昇限の待機位置で保持するべく駆動軸71軸心からの距離が略一定の外周形状に形成されている。
【0030】本実施例のカム85は、穿孔手段82を待機位置(図3参照)で保持する第1カム88と、穿孔手段82により圃場のマルチフィルムを穿孔するべく穿孔手段82を待機位置から下降させて再度待機位置まで上昇させる第2カム89とからなる。即ち、第2カム89に凹陥部86が形成され、第1カム88のカム部分が略一定の外周形状とされ、これら第1カム88の外周カム部と第2カム89の外周カム部との組合せによって、前記カム85を構成してある。
【0031】なお、第1カム88の板厚よりも、第2カム89の板厚の方が大きくなされており、凹陥部86を有する第2カム89の磨耗を低減しつつも、第2カム89ほどには部材強度が要求されない第1カム88を薄板として、装置の軽量化、部材コスト低減を図っている。第1カム88はクランク軸71に固定されており、この第1カム88に第2カム89がクランク軸71軸心回りに相対角度調節自在に連結されている。かかる構成として種々のものが採用できるが、本実施例では、第1カム88にボルト孔(図示せず)を周方向2ヵ所に設け、該ボルト孔に連通する円弧状の長孔90を第2カム89に設け、これらボルト孔及び長孔90にボルト91を挿通してナット(図示せず)を締結することで、第1カム88と第2カム89とを締結固定し得るようになっており、ボルト91を若干緩めると長孔90の範囲内で第1カム88と第2カム89との相対角度調節ができるようになっている。
【0032】また、第2カム89の側面の駆動軸71近傍にはナット92が設けられ、該ナット92には角度調節ボルト93が螺合されている。また、ナット92とボルト93のボルト頭との間には緩み止め用コイルスプリング94が介装されている。第1カム88の側面には、ボルト93の先端部が当接する係合部95が設けられており、第1カム88と第2カム89との締結力を若干緩めてボルト93を係合部95に向かって螺進させることで、第1カム88と第2カム89との相対角度の微調整を容易に行うことができる。
【0033】なお、第1カム88の係合部95は、ボルト93を螺進させることで第1カム88に対するボルト93先端部の位置が若干ずれても係合部95との係合が外れないように、ボルト93の軸心と直交する方向に長尺状に形成されている。また、装置フレーム62には、移植筒61がその軌跡の上死点にあることを検出する上限検出近接スイッチ101が設けられている。該スイッチ101は、クランク軸71を支持する左側のベアリング73上に取付けられて、クランクアーム71aが上限位置にきたときにスイッチ101がオンとなり、電磁クラッチ38をオン(接続)からオフ(切断)に切り換え、走行車両12の走行を止めることなく移植作業部50の駆動を一時的に停止させることで、ソイルブロック苗の植付間隔を制御している。そして、回転パルスセンサ45が予め設定されたパルス数を検出すると、電磁クラッチ38をオフからオンに切換え、移植作業部50の作動を再開するようになっている。
【0034】前記装置フレーム62には、電磁クラッチ38が消磁してクランク軸71による駆動が停止したとき、植付筒61等の慣性の大小にかかわらず植付筒61を軌跡中途部の一定位置で制動停止すべく制動装置102が設けられている。この制動装置102は、図1〜図4に示すように、ブレーキアーム(制動体)96とブレーキローラ(運動体)99とから主構成されている。
【0035】ブレーキアーム96は、縦向き配置された前後に長い板材から形成され、前端側にボス部96aが設けられ、このボス部96aが装置フレーム62の右側フレーム62Rに固定の支軸103に取付けられ、これによりブレーキアーム96の前部が左右方向の軸心廻りに回動自在に支持されている。ブレーキアーム96の後部上方側には、コ字形のブラケット104が配置されると共に装置フレーム62の右側フレーム62Rに固定されており、このブラケット104の上部壁104aには、該上部壁104aを貫通する掛合ボルト105が、上部壁104aの上下に配置されて掛合ボルト105に螺合されたロックナット106によって取付固定されている。また、ブラケット104の下部壁104bの下面には弾性体等からなる緩衝部材98が取付固定されている。
【0036】前記掛合ボルト105とブレーキアーム96後端側との間には引張りコイルスプリング97が介装されており、このコイルスプリング97の付勢力によってブレーキアーム96が支軸103の軸心廻りに上方に回動するように付勢されていると共に、ブレーキアーム96が緩衝部材98に接当することによって前記回動が規制されるようになっている。
【0037】なお、前記ロックナット106を緩めて掛合ボルト105の上下位置を調節することによってコイルスプリング97による付勢力を調節することができるようになっている。ブレーキローラ99はゴム等から形成され、ブレーキアーム96の上方側に位置されて第1カム88に枢軸107を介して左右軸廻りに回動自在に取付支持されていて、クランク軸71とA方向に同行回転するように構成されている。
【0038】前記ブレーキアーム96の上面側の前後方向中途部は、上方突出状に形成され、電磁クラッチ38を切ったときのクランク軸71の回転停止を確実に行なうための回転規制部100とされている。また、前記ブレーキアーム96には、右側フレーム62Rに固定の支軸103を回動軸心として側面視略L字状の逆転防止板101が回動自在に支持されている。この逆転防止板101は、回動軸心から後方に伸びる逆転防止部106を備えており、逆転防止板101の回動軸心から下方に伸びる下端部101aとブレーキアーム96下側との間に介装された引張りコイルスプリング(弾性体)104の付勢力によって、逆転防止部106が支軸103の軸心廻りに上方に回動するように付勢されている。また、逆転防止板101の回動は、ブレーキアーム96下側に設けられたストッパ96bによって規制されている。
【0039】なお、このストッパは、装置フレーム62の右側フレーム62R等、他の位置に設けても良いし、逆転防止板101を逆方向に付勢する他のスプリング等を設けて、そのスプリングとのバランスによって、逆転防止板101の回動を規制してもよい。図1に示すように、ストッパ96bによって回動が規制された状態において、逆転防止部106の上端部106aは、ブレーキアーム96の上端よりも上方に位置しており、ブレーキアーム96に対して上方突出状とされている。
【0040】なお、逆転防止部後端106bと前記回転規制部100との間で構成される凹部105が、ブレーキローラ99の停止位置であり、この凹部105の底部は、ブレーキローラ99の回転軌跡の外周端軌跡Bと一致している。したがって、逆転防止部106の上部は、ブレーキローラ99の回転軌跡の外周端軌跡(B)の径内に位置する。
【0041】前記構成において、ブレーキローラ99はクランク軸71とA方向に同行回転しており、苗を植付けた後、植付筒61が上昇して停止位置の手前にきたときに、ブレーキローラ99は、逆転防止部上端部106a上に位置する。そして、植付筒61が停止位置にきて、電磁クラッチ38が消磁して移植作業部50への動力が切断されると、移植作業部50の各動作部の慣性によりカム85が若干回転する。この回転力は、逆転防止部106を押し下げる方向に作用し、スプリング104の付勢力に抗して逆転防止部106が回動してブレーキアーム96に対して下方、すなわちブレーキローラ99の回転軌跡径外方向に押し下げられ、ブレーキローラ99は、逆転防止部106との係合が解除された状態で、逆転防止部106を通過することができる。
【0042】ここで、前記スプリング104のスプリング力は、逆転防止板101を上方に付勢させる程度の軽いもので良いため、逆転防止部106を押し下げて通過するブレーキローラ99への抵抗は小さい。これにより、ブレーキローラ99の回転が円滑になり、回転音も低くなる。ブレーキローラ99は、逆転防止部106を完全に通過すると、回転規制部100によって凹部105内に位置し、移植筒61の運動が停止する。このとき、逆転防止部106は、スプリング101の付勢力によって上方に復帰する。逆回転しようとするブレーキローラ99は、逆転防止部106の後端106bに接触するが、逆転防止部後端106bはブレーキローラ99の逆回転方向に対してほぼ直角であり、また逆回転方向しようとするブレーキローラ99の力はほぼ逆転防止部回転軸心に向かってに作用するものであるから、その力は、逆転防止部106を押し下げる方向には作用しない。したがって、ブレーキローラ99は逆転防止部106と係合した状態にあり、逆転防止部106を乗り越えることができず、逆転が防止される。また、ブレーキローラ99は、掛合ボルト105とブレーキアーム96の間に介装されたスプリング97の付勢力に抗して回転規制部100及び逆転防止部106を乗り越える程の力もないので、A方向への回転及び逆転が防止される。これにより、常に軌跡の中途部の一定位置で移植筒61を停止させることができ、動作の安定性が向上する。
【0043】また、逆転防止部106は移動自在であるから、その突出量は正回転により通過するブレーキローラの抵抗にはさほど影響せず、逆転防止部の突出量を大きくできるので、確実な逆転防止を図ることができる。さらに、逆転防止部106を正回転で通過するブレーキローラ99への抵抗が低いので、エンジンの回転が低い場合であっても、クランク軸71が安定して回転し、植付精度が安定する。
【0044】図10は、本発明の他の実施の形態を示しており、逆転防止部106を、運動体99の回転軌跡径内外方向に直線的に移動自在となるようにブレーキアーム96内部に設けたものであり、逆転防止部106の下端に設けられたスプリング108によって、運動体99回転軌跡径内方向に付勢されている。なお、その他の構成は、前記実施の形態と同様である。
【0045】なお、前記実施の形態では、本発明を歩行型移植機に適用したが、乗用移植機に適用することもできる。また、多条植えの移植機に適用することもできる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、正回転する運動体は円滑に逆転防止部を通過できるので、回転が安定し、植付精度が安定する。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)7月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−32523
【公開日】 平成11年(1999)2月9日
【出願番号】 特願平9−192886