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【発明の名称】 乗用型田植機のフェンダ構造
【発明者】 【氏名】吉田 和正

【氏名】中村 正一

【要約】 【課題】後輪用フェンダの形状工夫により、後方への踏み外しを防止するためのフェンダ足置き部の後端位置の目視確認を不要としながらも、極力足置き部の後端付近に足を位置させることができるようにする。

【解決手段】苗植付装置を昇降可能に田植機体後部に連結し、後輪用フェンダBを運転席の左右両脇に備える。フェンダBの後部に足載せ用の載置面47を形成し、その載置面47後端には上方に突出した凸部56を形成する。フェンダBの後部横外側に補助ステップ60を配備し、補助ステップ60を支持する左右に長い支持パイプ61にフェンダBの後部をボルト止めする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗植付装置を昇降可能に機体後部に連結し、後輪用フェンダを運転席の左右両脇に備えてある乗用型田植機のフェンダ構造であって、前記フェンダの後部に足載せ用の載置面を形成するとともに、その載置面後端に、上方に突出した凸部を形成してある乗用型田植機のフェンダ構造。
【請求項2】 前記フェンダの後部横外側に補助ステップを配備するとともに、この補助ステップを支持する支持部材に前記フェンダを取付けてある請求項1に記載の乗用型田植機のフェンダ構造。
【請求項3】 前記補助ステップを前記フェンダの左右夫々に設け、これら補助ステップ支持用の左右の支持部材を、機体フレームに支持された左右に長い単一材で構成してある請求項2に記載の乗用型田植機のフェンダ構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗用型田植機のフェンダ構造に係り、詳しくは、フェンダ後部での足場工夫により、苗載台への苗補給作業を行い易くする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】田植機の後輪用フェンダは、実開平4‐55214号公報に示されたもののように、運転席の横側方に位置するフェンダ後部の上面を平らに形成してあり、単なる泥除け機能だけではなく、苗載台への苗補給時における作業者の足場として利用できる機能も備えてあるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】その苗補給作業時には、予備苗を持った状態では極力苗載台に近づいて補給作業するのが姿勢及び労力の点から楽であるため、フェンダ後部上面の足置き部における最後端付近に足を置くことが多い。しかしながら、前記公報に示されたように、足をあまり後に置くと、後方に踏み外してしまうおそれがあるため、実際にはフェンダ後端位置を確認してから足を置くことになるが、圃場での迅速な作業が望ましい苗補給時にいちいち足場を確認するのが煩わしいものであった。
【0004】本発明の目的は、後輪用フェンダの形状工夫により、後方への踏み外しを防止するためのフェンダ足置き部の後端位置の目視確認を不要としながらも、極力足置き部の後端付近に足を位置させることができるようにする点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕第1発明は、苗植付装置を昇降可能に機体後部に連結し、後輪用フェンダを運転席の左右両脇に備えてある乗用型田植機のフェンダ構造において、フェンダの後部に足載せ用の載置面を形成するとともに、その載置面後端に、上方に突出した凸部を形成してあることを特徴とする。
【0006】第2発明は、第1発明において、フェンダの後部横外側に補助ステップを配備するとともに、この補助ステップを支持する支持部材にフェンダを取付けてあることを特徴とする。
【0007】第3発明は、第2発明において、補助ステップをフェンダの左右夫々に設け、これら補助ステップ支持用の左右の支持部材を、機体フレームに支持された左右に長い単一材で構成してあることを特徴とする。
【0008】〔作用〕請求項1の構成によれば、フェンダの後部の足載せ用載置面の後端に、上方に突出した凸部を形成してあるから、凸部を踏んだときの感覚によって載置面の後端であることが認識できることになり、いちいち後端を目視確認する必要が無くなるとともに、その凸部によって足の滑り止め機能も生じるようになる。
【0009】つまり、その凸部を跨ぐように足を置くことで、後方への踏み外しを規制しながら、フェンダの最後端に足を置けるようになる。加えて、凸部形成によるリブ出し作用によって載置面の機械的強度が増し、載置面を安定して踏めるとか、板厚を減少させて軽量化することが可能になる。
【0010】請求項2の構成によれば、フェンダの後部横外側に補助ステップを配備してあるから、両足共にフェンダ後端部に位置させた姿勢でより楽に補給作業できるとか、従来よりも横外側方に体をのり出すことができて、8条植え等の多条植え機種における左右端条の苗補給がし易くなる等、苗補給時の足場が増大して作業し易くなる。そして、補助ステップを支持する支持部材にフェンダを取付けてあるので、単一の支持部材でフェンダと補助ステップの2種の部材を支持でき、夫々に専用の支持部材を設ける場合に比べて、部品点数削減を図ることができる。
【0011】請求項3の構成によれば、機体の左右に備えた各補助ステップを、機体フレームに支持された左右に長い単一材で支持させてあるから、左右夫々の補助ステップ毎に支持部材を設ける場合に比べて部品点数を削減できるとともに、支持部材を両持ち支持状態に構成でき、片持ち支持する場合に比べて支持強度を高めながら軽量化することも可能になる。又、支持部材を左右に横臥配置することにより、機体フレームの補強を兼ねるようにもなる。
【0012】〔効果〕請求項1〜3のいずれに記載の乗用型田植機でも、(イ)載置面の機械的強度を改善し、かつ、後方への踏み外し防止作用を発揮しながら、目視確認を行うこと無く、極力フェンダ後端に寄せて足を置くことが可能となり、苗補給作業がより行い易くなるフェンダ構造を提供できた。
【0013】請求項2に記載のフェンダ構造では、(ロ)補助ステップの存在によって苗載台の左右端条への苗補給作業に有利になるとともに、その補助ステップを、部品点数削減によるコストダウンや軽量化を図りながら装着できる利点がある。
【0014】請求項3に記載のフェンダ構造では、左右一対の補助ステップを単一材で支持する構造によって、機体フレームの強度向上に寄与しながら上記効果(ロ)を強化できる利点がある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、左右一対の前輪1及び後輪2を備えた乗用型の走行機体の後方にリンク機構3を介して植付部である苗植付装置4が昇降自在に連結され、苗植付装置4の前方側であり、かつ、運転席67の直後となる位置に施肥装置Aを装備してミッド型施肥装置付き田植機を構成してある。尚、43は肥料ホッパー18への肥料補給の労力を軽減するための肥料載台ある。
【0016】この田植機は、走行機体のボンネット5内に搭載したエンジンEの動力が、前伝動ケース6を介して前輪1に伝達されるとともに、走行系伝動軸7及び後伝動ケース8を介して後輪2に伝達される四輪駆動型であり、搭乗運転部9の操縦ハンドル10の操作で左右前輪1を操舵するように構成してある。又、前伝動ケース6から植付系伝動軸であるPTO軸11を後方に向けて延設してあり、そのPTO軸11から苗植付装置4に動力を伝達することにより、圃場内を走行しながら苗植付け作業を行えるように構成してある。
【0017】苗植付装置4は、昇降用の油圧シリンダ12の伸縮操作に伴って、下端部が圃場面に接地する苗植付け用の作業位置と、大きく上方に移動する上昇位置とに亘って昇降操作自在である。そして、リンク機構3に連結支持される植付部フレーム13に対して車体横幅方向に沿って設定ピッチで往復横移動する苗のせ台14、苗のせ台14に載置された植付け対象苗の下端部から一株ずつ苗を取出して圃場に植付ける複数(6個)の植付機構15、圃場に接地しながら泥面を整地する接地フロート58等を備えた6条植え形式に構成してある。
【0018】苗載台14の苗載置部には、横移動ストロークエンドにおいて載置している苗を植付機構15に向けて設定量ずつ送り出す縦送り装置16が各植付条毎に設けられている。この縦送り装置16は、上下一対のプーリに亘って突起付きベルトが巻回され、下方側のプーリがストロークエンドにおいて接当作用により、所定量ずつ回動操作されるように構成されている。
【0019】又、この縦送り装置16には、構造は詳述しないが、2条毎に縦送り作動を行う状態と作動を停止する状態とに切り換え自在な縦送りクラッチ(図示せず)が設けられている。そして、接地フロート58には、各植付条における苗の植付け部位に隣接する夫々の箇所において、接地面よりも下方側に向けて泥土層に入り込み、泥面上に肥料を供給する為の溝を形成する作溝器17を設けてある。
【0020】次に、施肥装置Aについて説明する。図2に示すように、施肥装置Aは、粉粒状の肥料を貯溜する3条一体型の肥料ホッパー18と、そこからの肥料を所定量ずつ繰り出す繰出し機構19と、繰り出された肥料を苗植付装置4の作溝器17に向けて送る施肥ホース(流下経路の一例)21とを備えて構成してある。繰出し機構19は、肥料ホッパー18の各条用の漏斗部18aの下方に位置して、各植付条に対応して複数(6個)設けてある。各繰出し機構19から繰り出された肥料を、ブロア20の送風によって、施肥ホース21を通して各作溝器17に向けて各別に強制移送するように構成してある。
【0021】図3に示すように、繰出し機構19は、ケーシング22の内部に、肥料ホッパー18の底部開口部分に臨む状態で、繰出し軸23に一体回動自在に外嵌されるとともに、外周部に所定ピッチをあけて複数の肥料入り込み用の凹部24が形成された繰出し回転体25が設けられ、繰出し回転体25の回転に伴って凹部24内に貯められた肥料が下方側の漏斗状の案内部26に流下案内されるように構成されている。尚、凹部24内に所定量ずつ貯めるように擦り切り用のブラシ27が設けられている。
【0022】ブラシ27は、繰出し回転体25の外周面に位置する作用位置と、繰出し回転体25から離間する肥料排出位置とに亘って横軸芯P周りで揺動自在で、且つ、ケーシング22の横側外方に設けられた切換操作具31の切り換え操作に伴って一体的に揺動して、各位置にて位置保持されるようにしてある。
【0023】複数の各繰出し機構19における各ケーシング22は、機体フレームFから固定立設された縦フレーム29によって支持され、車体横方向に延設された横フレーム30によって固定支持されている。繰出し軸23は、一対の繰出し機構19毎に夫々の繰出し回転体25が一体的に回動するように三本に分割されて設けられ、6個の繰出し機構19のうち2個の繰出し機構19毎に各別に駆動並びに停止できるように構成されている。
【0024】繰出し機構19の駆動構成について説明する。図2に示すように、繰出し機構19の後方側箇所に、車体横幅方向に沿って施肥装置Aのほぼ全幅に亘る長さで、且つ、両側端部にて回動自在に支持される状態で駆動軸32が配置され、この駆動軸32の横幅方向中間部にワンウェイクラッチ33を設けてある。ワンウェイクラッチ33の操作アーム34と、ベベルギア機構28を介してPTO軸11で回転駆動される横向き伝動軸35に取付られた回転アーム36とを連動ロッド37で枢支連結してあり、回転アーム36の回転に伴う操作アーム34の揺動移動を、ワンウェイクラッチ33によって駆動軸32を所定方向にのみ間欠的に回転するようにしてある。
【0025】そして、駆動軸32と三本の各繰出し軸23とは夫々に取付けられたギヤ39,40の咬合によって連動するように構成されるとともに、それら両軸32,23の間に、各別に動力を入切り自在な施肥クラッチ38を設けてある。
【0026】図2に示すように、ケーシング22の前方側に丸筒状の送風パイプ45を、その長手方向が車体横幅方向に沿う状態で配置し、かつ、両端側にて支持ブラケット46を介して横フレーム30に支持される状態で設けてあり、送風パイプ45の横一側端部に備えたブロア20の風が送風パイプ45内部に供給されるようになっている。
【0027】図3に示すように、漏斗状の案内部26の下端出口50に連通して機体後方に向けて開口する施肥供給部51を形成し、そこに施肥ホース21を差込み装着する。そして、施肥供給部51の前方側には、下端出口50と送風パイプ45の内部とを連通接続するエアー供給部52が形成されており、エアー供給部52と施肥供給部51とを、車体前後方向に沿って略一直線状に連なるように形成してある。又、下端出口50の下側には、それと排出パイプ48の内部とを連通接続する排出経路53を構成するための排出部54を形成してある。尚、送風パイプ45の他端を、開閉自在な蓋体45aで通常は閉塞してある。
【0028】繰出し機構19から繰り出された粉粒状の肥料を、施肥ホース21に案内する供給作用状態と、排出経路53に向けて案内する排出状態とに切り換え自在な経路切換板55を、繰出し機構19の夫々に対応して設けてある。経路切換板55は左右軸芯X周りで揺動自在に枢支されており、案内部26の外部に設けられた切換レバー(図示せず)の操作によって、供給位置と排出位置とに切換可能である。供給位置は、排出経路53を閉塞して下端出口50に対して、施肥供給部51、即ち、施肥ホース21及び送風パイプ45を連通する位置であり、排出位置は、施肥供給部51の内部通路を閉塞して下端出口50に対して、排出経路53及び送風パイプ45を連通する位置である。
【0029】各排出部54の夫々には、排出される肥料を機体前方下方に向けて案内排出する排出管路48を連通接続する状態で設け、各排出管路48は、図1,図2に示すように、左右両側の3本ずつのものが、夫々、肥料案内方向下手側部分において大径の1本の合流管路48aに合流して左右両側部に振り分けてあり、共通の肥料排出口49から肥料を排出するように構成してある。
【0030】苗植付作業時に施肥を行う場合には、経路切換板55を供給位置に切換えるとともに、ブロア20の送風作動を開始し、繰出し機構19から所定量ずつ繰り出された肥料を、風力によって下端出口50から施肥供給部51及び施肥ホース21を通過して作溝器17に向けて送り出して圃場に供給するのである。
【0031】植付作業終了後において、肥料ホッパー18内に残った肥料を回収する場合には、切換レバー56を排出位置に切り換えるとともに、繰出し機構19におけるブラシ27を繰出し回転体25から離間した肥料排出位置に切換えて肥料を排出させ、かつ、ブロア20による送風を実行して、排出された肥料を下端出口50から排出経路53及び排出パイプ48を通過させて、肥料排出口49から外部に排出するようになる。従って、肥料排出口49に対応して回収容器等を位置させれば肥料回収が可能である。
【0032】図2に示すように、各繰出し機構19毎の繰出し量調節機構(図示せず)を操作するギヤ状の回転調節具70夫々に対して係合及び離脱可能な6個のギヤ状の駆動回転体71を、回動自在な操作ロッド72に連結する。操作ロッド72の左方向へのスライド移動によって各駆動回転体71と各回転調節具70とが咬合する調節作用状態と、操作ロッド72の右方向へのスライド移動によって各駆動回転体71と各回転調節具70との係合が解除される非作用状態とを現出可能に構成してある。そして、操作ロッド72の右端には、回動操作用のハンドル75を装備してあるとともに、ハンドル75による全繰出し機構19の繰出し量調節時に駆動軸32に作用して繰出し軸23を固定するための切換レバー76を備えている。
【0033】次に、後輪用フェンダBの構造について説明する。図4〜図6に示すように、後輪用のフェンダBは、左右の後輪2,2の泥除け部41,41と、フロアステップ42の後部に相当するフロア後端部44を含んだ樹脂製の一体部材で構成されており、その後部中央に運転席67が配置されている。左右の泥除け部41,41の後部は、フロアステップ42面から上方に高く立ち上がった位置においてほぼ水平な足置き用の載置面47に形成されており、その載置面47の後端に、上方に突出した凸部56を形成してある。
【0034】つまり、フェンダBの成形時に、載置面47後端を盛り上げて凸部56を一体形成してあり、足を載置面47の後方に踏み外し難いように規制する作用と、載置面47の強度を改善する作用とを備えている。載置面47には、足が滑り難くなるように滑り止め材57を貼着してある。
【0035】又、図5,図7に示すように、フェンダBの載置面47の左右両横外側に補助ステップ60を配備し、機体フレームFに支持された左右に長い単一材である支持パイプ(支持部材の一例)61の両端部で左右の補助ステップ60,60を取付支持してあるとともに、その支持パイプ61にフェンダB後部を取付けてある。補助ステップ60は、板材で成る平面視で矩形の枠60a内に、前後向き帯鋼60bと複数の左右向き帯鋼60cを固着して成り、支持パイプ61に溶着固定されている。又、前伝動ケース6と後伝動ケース8とを連結して機体フレームFを補強する連結パイプ64と、補助ステップ60の左右向き帯鋼60cの一つに固定されたブラケット60Aとに亘って補強パイプ65を架設してあり、補助ステップ60の強度を改善してある。
【0036】支持パイプ61は、これに固着された左右一対の支持ステー61a,61aを介して機体フレームFの上部にボルト止めされている。そして、フェンダBの後端部に設けた取付け座62,62を、支持パイプ61のブラケット63,63に前後向きでボルト止めしてある。この田植機では、施肥装置Aを取り外した基準仕様での使用状態もあるので、その場合にはフェンダBと苗載台14との間の空間部が露呈されるので、前述した凸部56が足の滑り止めとして有効である。
【0037】尚、図4において、66は予備苗台、68は予備苗台66を支持する延長前ステップ、69は乗降ステップである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)7月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−18527
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−183334