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【発明の名称】 直播機
【発明者】 【氏名】福光 康治

【要約】 【課題】従来の田植機から湛水直播に移行するには、湛水直播装置を新たに購入する必要があった。

【解決手段】田植機の苗載台12上にゲル被覆種子Sまたは播種ゲル培地を苗取口12aに案内するガイド体20を設け、前記苗取口12aにゲル被覆種子Sまたは播種ゲル培地を挟持する挟持体21を設け、ゲル被覆種子または播種ゲル培地を植付爪14で播種するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 田植機の苗載台上にゲル被覆種子または播種ゲル培地を苗取口に案内するガイド体を設け、前記苗取口にゲル被覆種子または播種ゲル培地を挟持する挟持体を設け、ゲル被覆種子または播種ゲル培地を植付爪で播種することを特徴とする直播機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は従来の田植機を利用して、ゲル被覆種子またはゲル培地を湛水に直播する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から種子にカルパー剤等をコートして、このコーティング種子を湛水直播機のホッパーに収納して、繰出装置によって一定量ずつ繰り出し、ホースを介してフロートに設けた作溝器に導き、水田に一定深さで一定間隔に播種する湛水直播機の技術は公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の湛水直播機は田植機の走行機体と作業機装着装置はそのまま利用して、植付部を外して作業機装着装置に直播装置を装着していた。該直播装置は繰出装置上にホッパーを配置してコーティング種子を充填し、前記繰出装置下方にホースを介してフロートを配置していた。一方、田植機の植付部は植付ミッションケースより植付ケースを後方へ突出して、その後端に植付爪を配置し、その上方に苗載台を配置し、下方にフロートを配置していた。このように、植付部と直播装置は全く異なる機構となっているために、湛水直播は作業に対する労力が軽減されることは判っているが、従来から使用している植付装置を外して、新たに湛水直播装置を購入して付け替えてまでして、湛水直播に転換するこは殆ど行われなかったのである。また、湛水直播機の場合、フロート下面に作溝器を設けて、この作溝器で成形した溝内に種子を落下させ、覆土板で泥を被せる構成であったために、泥の硬度が一定でないために、泥部分を一定深さの溝に成形することが難しく、種子を一定深さとすることが難しく、播種深さにバラツキがあったのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、田植機の苗載台上にゲル被覆種子または播種ゲル培地を苗取口に案内するガイド体を設け、前記苗取口にゲル被覆種子または播種ゲル培地を挟持する挟持体を設け、ゲル被覆種子または播種ゲル培地を植付爪で播種するように構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に本発明を水稲の種子を湛水直播する場合の実施の形態を説明する。図1は本発明の湛水直播用アタッチメントを装着した田植機の側面図、図2は本発明の湛水直播用アタッチメントを示す植付部の側面図一部断面図、図3は同じく平面図、図4は植付爪とゲル被覆種子の平面図、図5はマット状ゲル培地で播種する植付部の斜視図である。
【0006】図1において、本発明のゲル被覆種子による湛水直播用アタッチメントを装着した田植機の構成について説明する。田植機の走行機体Aは機体フレーム1の前部に前輪2を支承し、後部に後輪3を支承し、機体フレーム1の前部上にエンジンEを載置してボンネット4にて覆っている。該ボンネット4後部に操作コラム5を立設して該操作コラム5よりハンドル6を上方に突出している。
【0007】前記機体フレーム1の後部上には座席7を配置し、該機体フレーム1後部には作業機装着装置Bが昇降回動自在に配設されて、該作業機装着装置Bは油圧シリンダー10を伸縮させることによって昇降される。該作業機装着装置Bの後端に植付部Cが装着され、該植付部Cは植付ミッションケース11上に苗載台12を左右往復摺動可能に載置し、該植付ミッションケースケース11より後方に植付チェーンケース13を突出し、該植付ミッションケース13後部に回動ケースを設けて、該回動ケースの両側に植付爪14・14を配置している。そして、植付ミッションケース11下方にフロート15を吊設している。
【0008】このように構成した田植機によって、本発明はゲル被覆種子またはゲル培地を植え付けられるようにしている。即ち、ゲル被覆種子Sは水稲の種子を水性ゲルで包んで球状とした後に、(2価又は3価の)金属塩水溶液を用いて水不溶化処理を施したり、低温とすることにより球状に硬化するものであり、水性ゲルは水性ゲル化剤を純水に対し2〜10重量%の濃度になるように混合し、1〜2時間放置して十分に吸水膨潤させてから攪拌して強い粘性を有する均一な流体とする。ここに使用する水性ゲル化剤としては、このような性質を有する物質であれば特に限定されることなく、天然ゲル、合成有機質ゲル、無機質ゲル等の中から広範囲に選択使用できる。例えばアルギン酸のアルカリ塩、カルボキシメチルセルロースのアルカリ塩、ポリアクリル酸のアルカリ塩、カラギーナン、ゼラチン、カンテン等の植物体のみならず人体に対しても影響がなく安全に使用できるゲルが好ましい。そして、ゲル被覆種子Sは湛水に播種するので、浮き上がらないように、水よりも比重が大きくなるように調合した沈下性ゲルを使用する。
【0009】このようにして得られた水性ゲルに硝酸カリ、リン酸水素アンモニウム等の植物生育に必要な栄養物質(肥料)のほか、必要に応じ周知の殺菌剤、殺虫剤、動物忌避剤等を必要量添加し、次工程の処理に適当な粘度に調節する。そして、周知のゲル被覆装置に水性ゲルを投入して数粒の種子をゲルによって被覆する。このゲル被覆種子は田植機の苗載台の苗取口より一つずつ取り出すために、その苗取口の大きさに合わせた大きさ、例えば、直径が5〜25mmとしており、種子は1〜5粒ずつゲルによって被覆する構成としている。また、水性ゲルを円柱状または四角柱状に成形してゲル培地とし、このゲル培地内に種子を挿入して、この播種ゲル培地を前記同様に苗取口の大きさに合わせた大きさとしてもよい。但し、前記種子は催芽させた種子、または、被覆後に催芽させたゲル被覆種子であってもよい。
【0010】このゲル被覆種子Sを従来から使用している田植機の植付爪14の回動で播種するために、苗載台12に播種用のアタッチメントを装着する。このアタッチメントは図2、図3に示すように、ゲル被覆種子Sを苗載台12の苗取口12aに案内するガイド体20と、苗取口12aに装着する挟持体21から構成されている。
【0011】前記ガイド体20は各条それぞれにベルト22とガイドローラー24・24・・・とガイド板25と取付体26等を設けて、ゲル被覆種子Sを苗取口12aに一つずつ案内するものであり、該ベルト22はゲル被覆種子Sの直径よりも若干幅広く構成し、該ベルト22の両端は苗載台12の各条の側部に立設したリブ23に固定し、該ベルト22の中途部はガイドローラー24・24・・・に巻回されている。このガイドローラー24・24・・・は苗台レール27側に取付体26に支持され、ベルト22が平面視で略台形状に案内されるようにしている。そして、中央側のガイドローラー24・24は苗載台12の載面よりも上方に浮き上がらせて、ゲル被覆種子Sが苗取口12aへ入り込めるようにしている。また、ガイド板25は苗載台12上面を覆って、ゲル被覆種子Sがこぼれ落ちることを防止している。
【0012】このように構成することによって、苗載台12が左右に往復摺動しても、ベルト22は苗取口12aに位置するガイドローラー24・24・・・にガイドされて、逆三角形状に維持して、下頂部は常に苗取口12aに位置して、ゲル被覆種子Sは苗取口12aに転げ落ちる。そして、ベルト22の下部が左右に移動するので、ゲル被覆種子Sはその移動と共に揺らされてブリッジを構成することがなく、詰まることもないのである。
【0013】そして、苗取口12aにゲル被覆種子Sが至ると、従来のままでは植付爪14の回動に関係なく落下してしてまうので、苗取口12aの内面には挟持体21が固定されており、該挟持体21は二枚の板体を後面視及び平面視で逆ハ字状に配置し、ゲル被覆種子Sが後方へも下方へも落下しないように受け止め、植付爪14が回動されると、図4に示すように、植付爪14は種子30を傷めないようにゲルの両側に突き刺し、受体31で受けて、その両側は植付爪14・14で突き刺し、圃場まで搬送して一定深さに播種する。この搬送時に挟持体21・21はそれ自身が有する弾性によって開き、ゲル被覆種子Sを通過させ、次のゲル被覆種子Sが挟持体21・21上に落下する。なお、ゲル被覆種子の代わりに円柱状に構成したゲル培地に種子を挿入して、苗載台12上に載置しても同様に苗取口12aに案内して播種することができる。また、植付爪14は針状に構成して突き刺す代わりに、板状の爪として、ゲル被覆種子Sを挟んで播種する構成としてもよい。
【0014】また、種子をマット状又は四角柱状に構成したゲル培地に挿入して、植付部Cによって播種することもできる。この場合には前記アタッチメントを装着する必要がなく、従来のままの田植機を利用できる。なお、マット状のゲル培地とする場合には、苗マットを作る作業に比べて、培土の整地、散水、覆土等は不要となり、型に水性ゲルを流しこみ種子を挿入後硬化させるだけなので、手間は大幅に省くことができて省力化が図れ、軽量化も図れ、更に、型への充填を連続的に行えば、ロングマットも容易に作成することができる。
【0015】この場合、図5に示すように、ロングマット型ゲル培地33はロール状に巻いて、苗載台12の側部には支持軸を横架する支持プレート32・32が固定され、支持軸にロングマット型ゲル培地33の芯部が支持される。そして、ロングマット型ゲル培地33の一端を引き出して苗載台12下端の苗取口12aに位置させて、左右往復動とともに苗送りベルトによって下方へ送られ、植付爪14によって一定量ずつ切り取られて、圃場に一定深さに播種される。なお、ロングマット型ゲル培地33を播種する場合の植付爪14は、一定幅に切り取るので、板状の植付爪を使用する。そして、このロングマットは苗が生育していないので、ゲル培地のみの厚さであるので薄く構成でき、長く巻くことができるので、播種作業時には苗継ぎの回数を大幅に減少でき、長時間播種作業が連続してでき、作業効率を向上できる。
【0016】
【発明の効果】本発明は、以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、苗載台上にゲル被覆種子または播種ゲル培地を苗取口に案内するガイド体を設け、前記苗取口にゲル被覆種子または播種ゲル培地を挟持する挟持体を設け、ゲル被覆種子または播種ゲル培地を植付爪で植え付ける構成としたので、簡単な構成のアタッチメントを装着するだけで、従来の田植機をそのまま利用してゲル被覆種子または播種ゲル培地を植え付けることが可能となり、湛水直播に容易に移行して、従来から苗マットで植え付ける農家に対して容易に導入することができて、省力化を図ることができる。そして、苗マットによる植付と湛水直播を安価で容易に短時間で切り換えることができて、選択の幅を広げることができる。
【0017】また、ゲル被覆種子または播種ゲル培地は苗マットに比べて軽量化が図れるので、苗マットを製作する手間が省けるだけでなく、苗載台や予備苗載台に大量のゲル被覆種子または播種ゲル培地を搭載することができて、苗継ぎ回数を減らせて、連続的に長時間作業ができて、作業効率を向上することができる。また、田植機の植付爪を利用して植え付けるので、播種深さが略一定となり、発芽も安定して生育効率も高くすることができる。
【出願人】 【識別番号】597041747
【氏名又は名称】アグリテクノ矢崎株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−18515
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−179934