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【発明の名称】 ロータリケースの回転操作治具
【発明者】 【氏名】宮西 吉秀

【氏名】奥山 幹夫

【氏名】中川 善清

【氏名】三本 松夫

【要約】 【課題】苗植付装置のロータリケースを人力で容易に回転操作するための治具を構成する。

【解決手段】治具をロータリケース3の外面に係合する一対の係止部K1,K2とレバー状の回転力作用部Lとを備えて構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸芯周りで駆動回動自在に構成されたロータリケース、あるいは、このロータリケースの側面に備えられた複数の植付アーム夫々を有した回転系に係止する係止部と、この係止部を介して該回転系に人為回転力を作用させる回転力作用部とを備えているロータリケースの回転操作治具。
【請求項2】 前記係止部が前記ロータリケースの外面に係合する複数の係止部材で構成され、前記回転力作用部が人為操作型のレバーで構成されている請求項1記載のロータリケースの回転操作治具。
【請求項3】 前記係止部が、複数の植付アームの反ロータリケース側において該植付アーム同士を連係し、かつ、前記軸芯と交わる位置に配置された連係部材に対して係合する係止片で構成され、前記回転作用部が前記回転軸芯上に配置されたスパナ装着用の突出部材で構成されている請求項1記載のロータリケースの回転操作治具。
【請求項4】 前記係止部が、複数の植付アームの反ロータリケース側において該植付アーム同士を連係し、かつ、前記軸芯と交わる位置に配置された連係部材に対して係合する係止片と、この連係部材に形成された孔部に係入する係入ピンとで構成され、前記回転作用部が前記回転軸芯上に配置されたスパナ装着用の突出部材で構成されている請求項1記載のロータリケースの回転操作治具。
【請求項5】 操作されることで該回転系ヘの駆動力の伝動を阻止して回転作動を阻止するスイッチが該回転系に備えられると共に、該回転系に対する前記係止部の装着時にスイッチを操作するよう構成してある請求項1記載のロータリケースの回転操作治具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリケースの回転操作治具に関し、詳しくは、田植機の苗植付装置において複数の植付アームを備えたロータリケースの人力での回転操作を補助するための治具に関する。
【0002】
【従来の技術】現在市販されている田植機を考えるに、苗植付装置のロータリケースはチェーンケースの後端部位に対して横向き姿勢の軸芯周りで備えられると共に、最大長さが25センチメートル程度の大きさで、両端部夫々の位置に対して植付アームを備えたものとなっており、例えば、苗植付装置の点検や修理を行う目的でこのロータリケースを人力で回転操作する場合にはロータリケースに連繋する伝動系の株間変速装置をニュートラル状態に設定する等の操作の後に、作業者がロータリケースの一つを手で回転操作するものとなっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】作業者が人力でロータリケースを回転操作する状況を考えるに、前述のように株間変速装置をニュートラルに設定して操作を行う場合にはロータリケースを回転させる力が株間変速装置よりロータリケース側の伝動系全てに伝えられるため、この力によって苗植付装置の複数のロータリケースを回転させる状況となるばかりでなく、苗載せ台を横方向に作動させるために伝えられることから操作抵抗が大きく比較的強い力を必要とするものであった。特に、ロータリケースは前述のように25センチメートル程度と比較的小型で、両端部に植付爪を有した植付ケースを備えているので作業者が手を掛け難く、しかも、上方位置に大型の苗載せ台が配置されているので作業も行い難い面から改善の余地がある。
【0004】本発明の目的は、ロータリケースを人力で容易に操作し得る治具を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は、軸芯周りで駆動回動自在に構成されたロータリケース、あるいは、このロータリケースの側面に備えられた複数の植付アーム夫々を有した回転系に係止する係止部と、この係止部を介して該回転系に人為回転力を作用させる回転力作用部とを備えている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記係止部が前記ロータリケースの外面に係合する複数の係止部材で構成され、前記回転力作用部が人為操作型のレバーで構成されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0007】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項1において、前記係止部が、複数の植付アームの反ロータリケース側において該植付アーム同士を連係し、かつ、前記軸芯と交わる位置に配置された連係部材に対して係合する係止片で構成され、前記回転作用部が前記回転軸芯上に配置されたスパナ装着用の突出部材で構成されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】本発明の第4の特徴(請求項4)は請求項1において、前記係止部が、複数の植付アームの反ロータリケース側において該植付アーム同士を連係し、かつ、前記軸芯と交わる位置に配置された連係部材に対して係合する係止片と、この連係部材に形成された孔部に係入する係入ピンとで構成され、前記回転作用部が前記回転軸芯上に配置されたスパナ装着用の突出部材で構成されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0009】本発明の第5の特徴(請求項5)は請求項1において、操作されることで該回転系ヘの駆動力の伝動を阻止して回転作動を阻止するスイッチが該回転系に備えられると共に、該回転系に対する前記係止部の装着時にスイッチを操作するよう構成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0010】〔作用〕上記第1の特徴によると、ロータリケースあるいは植付アーム等の回転系に対して係止部を係止させた状態で、回転力作用部に対して人為回転力を作用させることによって、ロータリケースから離間した位置から該ロータリケースを回転させ得るものとなる。つまり、係止部を形成することによって作業者がロータリケースに手を掛けずに済み、回転力作用部を形成するこによって苗載せ台等に妨げられずにロータリケースから離間した位置から回転操作を行えるものとなる。
【0011】上記第2の特徴によると、ロータリケースを回転操作する際には係止部をロータリケースの外面に係止した状態で、作業者がレバーを握って操作することで済み、例えば、レバーを長く形成する程度の構造で軽い力でロータリケースを回転できるものとなる。
【0012】上記第3の特徴によると、連係部材に対して係止片を係合し、突出部材に対してスパナを装着し、スパナを操作することによってロータリケースを回転操作できるものとなる。
【0013】上記第4の特徴によると、連係部材に対して係止片を係合し、この連係部材の孔部に対してピンを係入し、突出部材に対してスパナを装着し、スパナを操作することによってロータリケースを回転操作できるものとなる。
【0014】上記第5の特徴によると、回転系に対して係止部材を係止装着した場合にはスイッチが操作されることから、回転系への駆動力の伝動が阻止されるものとなる。つまり、作業者がエンジンを停止する、特別に伝動系の変速系をニュートラルに操作する、あるい、伝動系のクラッチ等を切り操作する等の手間を省き得るものとなる。
【0015】〔発明の効果〕従って、ロータリケースを人力で容易に操作し得る治具が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、作業者が楽な姿勢のまま回転系を軽く回転操作できるものとなり(請求項2)、植付アームの外面側からの係止操作が容易でアーム等の長い寸法の部材を備えないので小型となり(請求項3,4)、回転系に装着するだけで伝動系に対する伝動が遮断され作業者の手間が省けるものとなった(請求項5)。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1には走行機体の後端に対して昇降自在に備えられる苗植付装置Aを示しており、この苗植付装置Aは、走行機体からの動力が伝えられる伝動ケース1と、この伝動ケース1から動力が伝えられる複数のチェーンケース2と、このチェーンケース2の後端位置に対して横向き姿勢の軸芯Y周りで駆動回転するロータリケース3と、このロータリケース3に備えた一対の植付アーム4と、マット状苗を載置する苗載せ台5とを備えると共に、下部に複数の整地フロート6を備え、又、後部位置に施肥装置Bを備えて構成されている。
【0017】前記植付アーム4は、苗載せ台5に載置された苗を切出す植付爪7と、植付爪7で切り出された苗を圃場面下に押し出す苗押出し具8とを備えて成り、夫々の植付アーム4,4の基端部には苗押し出し具8の作動タイミングを決める連係部材9をロータリケース3の反対側に備えている。又、図3(ロ)に示すように、この連係部材9は、一対の植付アーム4,4夫々をロータリケース3に支承する支軸10,10と同軸芯上に配置されたカム軸11,11に連結固定されるものであり、ロータリケース3の回転作動時にはカム軸11,11夫々に形成されたカム部材(図示せず)と接当する部材の変位力で苗押し出し具8を作動させて植付アーム4の植付爪7が圃場面に苗を移植するタイミングで苗押出し具8を支持する軸部材8Aを押し出し方向に作動させるために機能する。
【0018】図1に示すように、前記施肥装置Bは粒状の肥料を貯留するホッパー13と、ホッパー13の肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し機構14と、繰出し機構14からの肥料を下方に案内するホース15と、ホース15からの肥料を圃場面下に送り込む作溝器16とを備えて構成さている。
【0019】前記繰出し機構14は内蔵された繰出しロール(図示せず)の回動軸17を所定の方向に回転させることで繰出しロールの外周面に形成された凹部を介して設定量の肥料を繰り出すよう構成されると共に、この回動軸17の外端に第1ギヤ18を備え、この第1ギヤ18に咬合する第2ギヤ19を繰出し機構14のケース外に備え、この第2ギヤ19の軸芯上に該第2ギヤ19を所定方向に回転作動させる一方向クラッチ(図示せず)を配置し、この一方向クラッチの操作アーム20と、前記連係部材9との間に押引きロッド21を介装することで苗植付装置Aの苗植付作動と同期した施肥を可能にするよう構成されている。
【0020】図2に示すように、走行機体に備えたエンジン23からの動力を、ベルト伝動機構24、ミッションケース25、伝動軸26夫々を介して前記伝動ケース1に伝えるよう苗植付装置Aに対する伝動系が形成されると共に、この伝動ケース1からの動力を横向き姿勢の中間軸27を介して前記チェーンケース2夫々の前端位置の各条クラッチ28に伝える伝動系と、この各条クラッチ28からチェーンケース2内のチェーン伝動機構29を介してロータリケース3に伝えるよう伝動系とが形成されている。又、ミッションケース25は走行系に伝える動力と同期した動力を苗植付装置Aに伝えるようギヤ式の伝動系を内装すると共に、この走行系に伝える動力との駆動比を変更することで走行方向での苗植付間隔を調節するギヤ式の株間変速装置31と、この株間変速装置31からの動力が伝えられる系に介装された植付クラッチ機構32とを内装している。
【0021】又、前記各条クラッチ28は、入り状態に設定されることでミッションケース25からの動力でロータリケース2を回転駆動し、切り状態に設定されることで植付アーム4の植付爪7が圃場面から離間した回転位置にロータリケース3の回転姿勢を維持して伝動を断つよう構成されたものであり、前記植付クラッチ32も同様に、入り状態に設定されることで動力を伝え、切り状態に設定されることで植付アーム4の植付爪7が圃場面から離間した回転位置にロータリケース3の回転姿勢を維持して伝動を断つように構成されている。
【0022】又、前記エンジン23の点火プラグ33に電力を供給する系にキースイッチ34と、常閉型の牽制スイッチ35と、イグニッションコイル36とが直列に介装されている。この牽制スイッチ35は、図3(ロ)に示すように、押圧されることで切り操作(OFF)されるようロータリケース3の外面に備えられ、後述するようにロータリケース3を人力で回動操作する場合に、エンジン23が稼働状態にあるとエンジン23を強制的に停止させるようになっている。尚、ロータリケース3のロータリ軸30と同軸芯上に牽制スイッチ35と導通するロータリジョイント型の伝導系を形成してロータリケース3の回転位相に拘わらず牽制スイッチ35が操作されたことを電気的に検出できるものとなっている。
【0023】図3(イ)に示すように、この苗植付装置Aのロータリケース3を人力で回転させる回転操作治具が構成されている。つまり、この回転操作治具は金属製の棒状材37の先端を屈曲して形成した第1係止部K1と、この棒状材37の中間部に対して予め屈曲成形された棒状材を溶接固定して形成された第2係止部K2とを備えると共に、第1係止部K1、第2係止部K2夫々と反対側の棒状材の本体で成るレバー状の回転力作用部Lとを備えている。
【0024】そして、この回転操作治具を使用してロータリケース3を回転操作する場合には前記各条クラッチ28を入り状態に維持し、植付クラッチ32を入り状態に設定した状態で前記株間変速装置31をニュートラル状態に設定しておき、図3(ロ),(ハ)に示す如く、回転操作治具の第1、第2係止部K1,K2をロータリケース3に係止し、作業者が回転力作用部Lを握って図3(ハ)に矢印Fで示す方向に力を作用させることでロータリケース3を軽く回転操作できるものとなっている。又、このように回転操作治具でロータリケース3の回転操作を行う場合には第1係止部K1が前記牽制スイッチ35を押圧操作してエンジン23が稼働状態にあればエンジン23の稼働を停止させるものとなっている。
【0025】以下、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。この第2の実施の形態では田植機、苗植付装置Aの構造は第1の実施の形態と何ら変わるところが無く(前記第1の実施の形態と同じ機能を有するものには第1の実施の形態と共通の番号、符号を附している)、回転操作治具が異なる構成となっている。
【0026】図4(イ)に示すように、この苗植付装置Aのロータリケース3を人力で回転させる回転操作治具が構成されている。つまり、この回転操作治具は金属製の板材39を折り曲げて前記連係部材9の側面を抱き込む形態に係止部Kとしての係止片39A,39Aを形成すると共に、この板材39の外面に回転力作用部Lとして連係部材9に装着した状態でロータリケース3の軸芯Y上に位置を設定されたボルトの頭部状の突出部材40を形成して構成されている。そして、この回転操作治具を使用してロータリケース3を回転操作する場合には、前述と同様に、前記各条クラッチ28を入り状態に維持し、植付クラッチ32を入り状態に設定した状態で前記株間変速装置31をニュートラル状態に設定しておき、図4(ロ)に示す如く、回転操作治具の係止部Kを連係部材9に係止し、突出部材40に対して作業者がスパナ41を係合させ、このスパナ41の端部を握って同図に矢印Fで示す方向に力を作用させることでロータリケース3を軽く回転操作できるものとなっている。
【0027】以下、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。この第3の実施の形態では田植機、苗植付装置Aの構造は第1の実施の形態と何ら変わるところが無く(前記第1の実施の形態と同じ機能を有するものには第1の実施の形態と共通の番号、符号を附している)、回転操作治具が異なる構成となっている。
【0028】図5(イ)に示すように、この苗植付装置Aのロータリケース3を人力で回転させる回転操作治具が構成されている。つまり、この回転操作治具は金属製の板材43の一方の端部に前記連係部材9の側面を抱き込む形態の係止部Kとして一対の係止片44,44を溶接固定し、他方の端部に対して前記押引きロッド21の端部が前記連係部材9連結するための孔部9Aに挿通する係止部Kとして係入ピン45を溶接固定し、又、この板材43の外面に回転力作用部Lとして連係部材9に装着した状態でロータリケース3の軸芯Y上に位置を設定されたボルトの頭部状の突出部材46を形成して構成されている。そして、この回転操作治具を使用してロータリケース3を回転操作する場合には、前述と同様に、前記各条クラッチ28を入り状態に維持し、植付クラッチ32を入り状態に設定した状態で前記株間変速装置31をニュートラル状態に設定しておき、図5(ロ)に示す如く、回転操作治具の一対の係止片44,44で連係部材9の側面を抱き込むと共に、係入ピン45を貫通孔9Aに挿通し、この挿通の後、係入ピン45にベータピン47を係合させて抜止めを行った状態で、突出部材46に対して作業者がスパナ41を係合させ、このスパナ41の端部を握って同図に矢印Fで示す方向に力を作用させることでロータリケース3を軽く回転操作できるものとなっている。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−9040
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−171449