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【発明の名称】 乗用型田植機
【発明者】 【氏名】佐伯 正文

【氏名】新山 裕之

【氏名】鈴木 隆

【氏名】金子 辰美

【氏名】石田 伊佐男

【要約】 【課題】この種従来技術としては、特開昭63−112911号に、走行車体のステップフロアを前後に2分割して、各ステップフロアを機体から取外す乗用型田植機が開示されている。ところが、上記のものには、苗載台に補給する為の予備苗を載せておく予備苗載せ台が開示されておらず、点検・修理と田植作業との両者を作業性良く行う技術思想が一切ないものであった。

【解決手段】走行車体1の後部にリンク装置24を介して苗載台26を有する苗植付作業機2を装着してなる乗用型田植機において、該走行車体1の前部に予備苗載せ台34を設け、走行車体1のステップフロアを前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとに分割構成すると共に、機体側面視で後部ステップフロア8bの前端を予備苗載せ台34の後端よりも前側になるように構成した乗用型田植機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体1の後部にリンク装置24を介して苗載台26を有する苗植付作業機2を装着してなる乗用型田植機において、該走行車体1の前部に予備苗載せ台34を設け、走行車体1のステップフロアを前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとに分割構成すると共に、機体側面視で後部ステップフロア8bの前端を予備苗載せ台34の後端よりも前側になるように構成したことを特徴とする乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、予備苗載せ台を有する乗用型田植機に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】この種従来技術としては、特開昭63−112911号に、走行車体のステップフロアを前後に2分割して、各ステップフロアを機体から取外す乗用型田植機が開示されている。ところが、上記のものには、苗載台に補給する為の予備苗を載せておく予備苗載せ台が開示されておらず、点検・修理と田植作業との両者を作業性良く行う技術思想が一切ないものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記従来の課題を解決するために、走行車体1の後部にリンク装置24を介して苗載台26を有する苗植付作業機2を装着してなる乗用型田植機において、該走行車体1の前部に予備苗載せ台34を設け、走行車体1のステップフロアを前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとに分割構成すると共に、機体側面視で後部ステップフロア8bの前端を予備苗載せ台34の後端よりも前側になるように構成したことを特徴とする乗用型田植機としたものである。
【0004】
【発明の作用効果】この発明は、走行車体1のステップフロアを前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとに分割構成したので、一体のステップフロアのものに比して、容易に前部ステップフロア8a若しくは後部ステップフロア8bを開けることができ、機体の点検修理が容易に行える。
【0005】また、機体側面視で後部ステップフロア8bの前端を予備苗載せ台34の後端よりも前側になるように構成したので、田植作業中に、作業者が予備苗載せ台34に載せられた予備苗を苗載台26に補給する際に、前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとの境界が予備苗載せ台34の後端よりも前側にあるから、作業者は該前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとの境界につまずくことなく、予備苗載せ台34から予備苗を取出して苗載台26に補給することができ、苗補給作業が安全に且つ効率良く行えて作業性が非常に良い。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。図中の符号1は乗用型走行車体で、後方にリンク装置22を介して苗植付作業機2を連結している。3はエンジンであって、前後方向で前輪4・4と後輪5・5の間で、ミッションケース6の後端から後方に向けて固着された1本のフレーム7a上に搭載されている。またエンジン3の上側は後部ステップフロア8bと一体成形されたエンジンカバー8b’で覆われ、そのカバー8b’上に座席9が配設されている。
【0007】エンジン3の回転動力は、伝動ベルト10を介してエンジン出力軸3aから油圧ポンプ駆動軸11aに伝動し、更に、油圧ポンプ駆動軸11aからベルト式の副変速装置12を介してミッションケース6の入力軸6a伝動する。ミッションケース6内に伝えられた動力は、走行、作業機系へと伝達される。前輪4・4は、ミッションケース6の左右両側に連結固着する前輪伝動ケース14a・14bの下側ケース14bに軸架されている。また、前輪4・4は、ミッションケース6から伝動されて駆動回転し、更に、ハンドル15の回動に対応して操向回動するようになっている。ハンドル15が回動すると、ステアリング軸15aを介してアーム16が連動して回動し、そのア−ム16がロッド17・17を介して上側の前輪伝動ケース14aに対して回動自在な下側ケース14b・14bと連結して、ハンドル15の回動操作が前輪4・4に伝動されるようになっている。
【0008】後輪5・5は、フレーム7aの後端の横フレーム7bの中央に後方へ向けて固着されたローリング軸18にローリング自在に取り付けられた後輪フレーム19の左右端部の後輪ギヤケース20・20に軸架されている。よって、後輪5・5はローリング軸18周りにローリング可能な構成になっている。後輪5・5への伝動は、ミッションケース6内の動力が、そのミッション内の後輪用の差動装置を介して、ミッションケース6の後端部左右2箇所から後方に突出させた後輪駆動軸21・21に伝動され、その駆動軸21・21と後輪ギヤケース20・20の入力軸20a・20aとを自在継手、伸縮継手を備えた後輪伝動軸22・22が連結して、後輪5・5へ動力が伝達されている。
【0009】尚、走行中、左右の凹凸により後輪5・5がロ−リング軸18回りにロ−リングした場合、それに伴う機体の揺れにより、ロ−リング可能に装着された植付作業機2が大きく揺れないようになっている。即ち、作業機側リンクベ−ス24dに固設の前後方向の支軸24eで支持されたスプリング支持プレ−ト24fと、左右に往復移動する苗載台26の裏側との間に、水平復帰スプリングSP・SPがかけられている。また、前記スプリング支持プレ−ト24fの左右には、ワイヤW・Wの一端側が連結し、そのワイヤの他端側は、左右を逆にして後輪フレ−ム19に連結している。これにより、ロ−リング軸18回りに後輪フレ−ム19がロ−リングして右下がり状態になると、ワイヤW・Wを介してスプリング支持プレ−ト24fが支軸24e回りに左側に傾き、右側の水平復帰スプリングSPが引っ張られ、植付作業機2が右下がりにロ−リングするのを抑える。反対に、後輪フレ−ム19がロ−リングして左下がり状態になると、ワイヤW・Wを介してスプリング支持プレ−ト24fが右側に傾き、左側の水平復帰スプリングSPが引っ張られ、植付作業機2が左下がりにロ−リングするのを抑える。
【0010】23は油圧シリンダで、シリンダの基部側はエンジン3の下側でフレーム7aに固着されたブラケットに軸支され、ピストンロッドの先端は走行車体1と作業機2を連結するリンク装置24のアッパーリンク24aに一体のアーム25に連結されている。油圧シリンダ23のシリンダ内へオイルが流入、流出することによって、ピストンロッドが突出、引退し、リンク装置24が走行車体1側を回動支点として上下し、作業機が昇降する。
【0011】リンク装置24は、アッパーリンク24aとロアーリンク24b・24bが、走行車体1側の横フレーム7bに固着された走行車体側リンクベース24cにリンク回動支点として連結され、植付作業機2側には植付伝動ケ−ス27に固着のロ−リング連結軸27aを左右ローリング自在に軸受している作業機側リンクベース24dが連結されている。
【0012】25は作業機伝動軸で、ミッションケース6の右側部から後方に向けて突出させたPTO軸の回転動力を、作業機2の駆動軸へ自在継手、伸縮継手を介して伝達する。26は苗載台で、前側が上位に後側が下位になるよう傾斜させて植付部伝動ケース27に固定されているレール上に左右スライド可能に取り付けられている。伝動ケース27内の左右往復機構により苗載せ台26は左右に往復移動して、植付装置28…にその植え付けサイクルに合わせて一株づつ苗を供給する。
【0013】植付装置28…は、植付部伝動ケース26の左右端側からそれぞれ後方に向かって延びる2本の植付伝動フレーム29・29の後側に、左右両側2条分づつ取り付けられ全体で4条植え分装着されている。各条の植え付け装置28…は植付伝動フレーム29・29内のチェーン伝動機構を介して伝動ケース26の動力が伝達されている。また、植付装置28は、回転ケース30とそれに装着された2基の植付具31・31から構成されている。この2基の植付具31・31のそれぞれに植付爪31a・31aが設けられ、その先端が回転ケース30の回転に伴うケース内のギヤ列の回転伝動によって楕円状の軌跡を描く運動を行い、苗載台26の苗供給に合わせて一株づつ苗を取って圃場に植え付けていく。
【0014】32a・32b・32cはそれぞれ左側、中央側、及び右側の整地フロートで、植付伝動フレーム29・29の下側にそれぞれ吊り下げられ、植え付け圃場の泥面を整地しながら滑走していく。33・33は、バランスウエイトで、34・34は予備苗載せ台で、それぞれ機体の左右に取り付けられている。
【0015】さて、操縦者の足場となるステップは、ハンドル15の下方周辺の前部ステップフロア8aと、座席9の下方周辺の後部ステップフロア8bと、座席9の後側で苗載台26の上位前側部の下方に配設されたリヤステップ8c・8cからなり、それぞれ別体で構成されている。尚、前部ステップフロア8aの後端部と後部ステップフロア8bの前端部は段差がないよう略々面一に取り付けられている。また、リヤステップ8c・8cは、後上がりとなっている後部ステップフロア8bの後端部の高さと略々同じ高さになるように取り付けられている。各ステップの取付構成は、以下のようになっている(図3参照)。
【0016】前部ステップフロア8aは、ステアリング軸15aの基部の周囲に設けられ、ミッションケース12の前側左右に固設されたバランスウエイト33・33で支持されている。また、このフロア8aは、底部に固設した係止受け具41a・41aにミッションケ−ス6に固着の前部フロア係止具41b・41bが係止して固定される。この係止を外してフロア8aを前方に引き出し取り外せば、バッテリー42の着脱や、副変速装置12の操作系統のメンテナンスなどが容易に行える。
【0017】後部ステップフロア8bは、エンジンカバー8b’と一体に樹脂成形されていて、フロアステー43に支持されている。そのフロアステー43は、前輪伝動ケース14a・14aの上側に固設のステー支持具43a・43aと、フレーム7aに固着のステー支持棒43b・43bと走行車体側リンクベース24cとで支持されている。また、このフロア8bは、そのフロア底部の4隅に固着した係止受け具44a・44a・45a・45aに、ステー43側に固着した後部フロア係止具44b・44b・45b・45bが係止して固定される。フロア8bは、この係止を外して上方に引き上げれば簡単に取り外せる。また、係止受け具44a・44a・45a・45aには半円状の切りかき部材K1・K1・K2・K2を一体に設けてあり、一方、係止具44b・44b・45b・45bには丸棒状部材J1・J1・J2・J2が一体に設けてあって、その丸棒状部材に前記切りかき部材が係合している。これにより、前記の係止具44b・44b・45b・45bを外し、前後一方の切りかき部K1・K1或はK2・K2をそれに対応する棒状部材J1・J1或はJ2・J2を回動軸として摺動回動させて、フロア8bを前側或は後側から開閉することができるようになっている。これは、水田での作業中のメンテナンスなどで、フロア8bを取り外して置く適当な場所がない場合に便利である。例えば、図4のように、後側を支点に前側を上げてステップフロア8bを開いて、フロア開閉補助具46にてフロア8bの中央部前側に開けた孔8dとハンドル15とに引っ掛けておけば、フロア8bを別の場所に取り外して移動することなしにエンジン3や動力伝達ベルトや副変速装置12などのメンテナンスが容易に行える。
【0018】また、機体側面視で後部ステップフロア8bの前端を予備苗載せ台34の後端よりも前側になるように構成したので、田植作業中に、作業者が予備苗載せ台34に載せられた予備苗を苗載台26に補給する際に、前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとの境界が予備苗載せ台34の後端よりも前側にあるから、作業者は該前部ステップフロア8aと後部ステップフロア8bとの境界につまずくことなく、予備苗載せ台34から予備苗を取出して苗載台26に補給することができ、苗補給作業が安全に且つ効率良く行えて作業性が非常に良い。
【0019】一方、リヤステップ8c・8cは、左右に分割した構成で、それぞれ左右の走行車体側リンクベース24c・24cに固着のリヤステップ支持プレ−ト47・47にリヤステップ8c・8cが固定されて支持されている。また、このリヤステップ8c・8cは、苗植付作業機2の苗載台26の上位前側部の下方に入り込むように位置させて取り付けられている。これにより、苗植付作業機2を上昇させたとき、リヤステップ8c・8cに足を載せて、楽に、苗載台26の上に体を乗り出すことができ、苗載台26に載せた苗がめくれ上がったり、逆に滑り落ちなかったり等の苗載置不良状態を起こしたときに、安定した姿勢で、苗載台の下位部に向かって手を延ばして不良状態となった苗を直接手で修正することができる。尚、左右のリヤステップ8c・8cの間は所定の間隔があけられていて、その間を、リンク装置24が油圧シリンダ23により昇降作動する。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成3年(1991)6月19日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−9029
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平10−139376