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【発明の名称】 側条施肥機の施肥部駆動機構
【発明者】 【氏名】竹田 裕一

【要約】 【課題】肥料を貯溜するホッパと、ホッパ中の肥料を計量して繰出す計量部と、同計量部を駆動する施肥部駆動機構とを具備する側条施肥機において、施肥量の無段階調節を、簡単・安価な構造で実現する。

【解決手段】上記施肥部駆動機構の一部に、変速用移動支点を具備したリンク機構と、ワンウエイクラッチとを設けて、同施肥部駆動機構の出力回転数を変速可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 肥料を貯溜するホッパ(39)と、同ホッパ(39)中の肥料を計量して繰出す計量部(38)と、同計量部(38)を駆動する施肥部駆動機構(F) とを具備する側条施肥機Eにおいて、上記施肥部駆動機構(F) の一部に、変速用移動支点(49)を具備したリンク機構(L) と、ワンウエイクラッチ(45)とを設けて、同施肥部駆動機構(F) の出力回転数を変速可能としたことを特徴とする側条施肥機の施肥部駆動機構。
【請求項2】 上記リンク機構(L) の変速用移動支点(49)の移動を、電動のモータ(M) により行うことを特徴とする請求項1記載の側条施肥機の施肥部駆動機構。
【請求項3】 上記モータ(M) の作動を、圃場への施肥量に影響を及ぼす要因と関係づけて制御することを特徴とする請求項1又は2記載の側条施肥機の施肥部駆動機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、側条施肥機の施肥部駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ホッパ中に貯溜した肥料を計量部で計量しながら繰出し、圃場中を走行しながら植付けた苗等の側方に施肥するようにした側条施肥機があり、側条施肥機を駆動する駆動軸の回転数を調節して、施肥量を調節するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記駆動軸の回転数を調節するのに無段変速機等の変速手段を要し、構造が複雑になって価格的に不利になるという問題があり、また、側条施肥機は一般に走行車体の後部に搭載されており、そのため、上記変速手段を手動操作するのが困難であるという問題があり、更に、走行速度等の施肥量に影響を及ぼす要因の変化に即応することができず、施肥密度にムラが生ずるという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、肥料を貯溜するホッパと、同ホッパ中の肥料を計量して繰出す計量部と、同計量部を駆動する施肥部駆動機構とを具備する側条施肥機において、上記施肥部駆動機構の一部に、変速用移動支点を具備したリンク機構と、ワンウエイクラッチとを設けて、同施肥部駆動機構の出力回転数を変速可能としたことを特徴とする側条施肥機の施肥部駆動機構を提供せんとするものである。
【0005】また、次のような特徴を併せ有するものである。
【0006】上記リンク機構の変速用移動支点の移動を、電動のモータにより行うこと。
【0007】上記モータの作動を、圃場への施肥量に影響を及ぼす要因と関係づけて制御すること。
【0008】
【発明の実施の形態】本実施例では、ホッパの下方に計量部を配置し、同計量部を施肥部駆動機構の駆動軸に連動連結し、同駆動軸と走行車体のPTO軸とを、リンク機構とワンウエイクラッチとを介して連動連結し、上記リンク機構の変速用移動支点の1個を螺杆を介して電動モータに連動連結し、同モータの出力により変速用移動支点の位置を移動させてリンク機構の出力ストロークを変更し、同ストロークの変更により駆動軸の回転数を変更するようにしている。
【0009】また、上記モータを制御部を介し走行速度センサに接続して、走行速度に略比例させて施肥量を増減させるようにしている。
【0010】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0011】図1は、本発明に係る側条施肥機の施肥部駆動機構Fを具備する乗用田植機Aを示しており、同乗用田植機Aは、自走可能の走行車体Bの後方に、三点リンク機構Cを介し昇降及び左右傾動自在に植付装置Dを連結して乗用田植機Aを構成し、側条施肥機Eは、上記走行車体Bの後部上方に施肥部本体30を載設し、植付装置Dの各フロートの側面に作溝器41を取付けて、施肥部本体30で計量した肥料を作溝器41を空気搬送して、作溝器41が形成した施肥溝中に投入するようにしている。
【0012】走行車体Bは、車体フレーム1の前部左右側に、それぞれ左右前車輪2を操向回動自在に装着し、同車体フレーム1の後部左右側に、それぞれ左右後車輪3を装着し、車体フレーム1の上面には、前方から、原動機部4、運転部5、座席6、昇降機構7、植付装置Dを連結するための車体側ヒッチ8を上記の順で配設し、原動機部4からの動力を、無段変速機9、ミッションケース10及び前後デフケース11,12 を介し左右前後車輪2,3 に伝達し、運転部5に立設したステアリングホイル13の回動操作によって左右前車輪2を操舵するようにしている。
【0013】三点リンク機構Cは、トップリンク14と左右ロアリンク15とで構成されており、トップリンク14と左右ロアリンク15の前端を前記車体側ヒッチ8の後面に回動自在に枢着し、同後端を植付側ヒッチ16に回動自在に枢着して平行リンク機構を構成しており、車体側ヒッチ8に配置した昇降機構(図示せず)により、植付装置Dを昇降させるようにしている。図中、19は予備苗台である。
【0014】植付装置Dは、前記植付側ヒッチ16に、前後方向に伸延した枢軸21を介し、植付部フレームを兼ねる伝動ケース22を左右傾動自在に枢着し、同伝動ケース22の上方に前高後低に傾斜した苗載台23を配置し、同苗載台23の下端縁近傍に伝動ケース22で駆動される植付爪24を配設して、同植付爪24の回動により、苗載台23に載置した苗を田面に植付けるように構成している。
【0015】また、本実施例では、8条分の植付装置の側方に2条分の植付装置を折畳み可能に付設して10条の植付装置Dを構成しており、2条分の植付装置を側方に張出し状に拡開し10条の植付作業を可能とし、2条分の植付装置を折畳み収納して移動時の便をはかっている。
【0016】また、上記植付側ヒッチ16の上面から上方に延出したステー25と苗載台23との間に左右傾斜シリンダ26を介設して、同左右傾斜シリンダ26の伸縮作動により、走行車体Bに対して植付装置Dを左右傾斜させるようにしている。図中、27はセンタフロート、28はサイドフロートである。
【0017】側条施肥機Eは、10条の側条施肥を可能に構成されており、図1及び図2で示すように、前記車体側ヒッチ8の上面に左右方向に伸延した8個の施肥部本体30を搭載した主フレーム31を載設し、同主フレーム31の右側端部前側縁に、左右方向に伸延した長孔33を形成し、同長孔33に上下方向に伸延した枢軸34を挿通し、同枢軸34に、2個の施肥部本体30を搭載した副フレーム32の左側端部前端縁を回動自在に枢着し、同副フレーム32を前方向に回動しながら内側方向に摺動して、前方向に折畳み可能としており、同副フレーム32を側方に拡開して10条分の側条施肥を可能とし、同副フレーム32を前方内側に収納して移動及び格納を容易にしている。
【0018】また、主フレーム31の外側端に、上下方向に伸延した回動軸35を介してブロワ36を前方向に回動自在に取付けると共に、副フレーム32の外側端にブロワ36を固着して、各ブロワ36,36 を、ゴムや軟質プラスチック等の伸縮及び屈折可能の柔軟素材にて形成した送風パイプ37を介し、各施肥部本体30の計量部38の下部に連通している。
【0019】各施肥部本体30は、図3で示すように、略漏斗状のホッパ39の下端に計量部38を連設し、同計量部38の下端に施肥ホース40の上端を連設し、同施肥ホース40の下端に作溝器41を接続し、上記計量部38にブロワ36に連通した送風パイプ37を接続すると共に、走行車体BのPTO軸に施肥部駆動機構Fを介し、上記計量部38を駆動する駆動軸44を連動連結し、計量部38で、ホッパ39中に貯溜した肥料を、駆動軸44の回転数に略比例した量だけ計量して繰出し、繰出された肥料を、送風パイプ37を介して送給されるブロワ36からの搬送風に乗せて、施肥ホース40を介して作溝器41に送給するようにしている。
【0020】上記施肥部駆動機構Fは、走行車体BのPTO軸に連動連結したリンク機構Lと、同リンク機構Lと駆動軸44との間に介在するワンウエイクラッチ45とで構成されている。
【0021】上記リンク機構Lは、入力リンク片46と出力リンク片47と遊動リンク片48とで構成されており、入力リンク片46の一端を後述する変速用移動支点49に回動自在に枢着し、他端に遊動リンク片48の下端を回動自在に枢着し、同遊動リンク片48の上端を出力リンク片47の後端に回動自在に枢着し、同出力リンク片47の前端を施肥部フレーム50に軸支した連動軸51の一端に固着し、同連動軸51の他端に連動レバー52を固着し、同連動レバー52の先端を連動杆53を介して前記ワンウエイクラッチ45のケーシングに突設した連動アーム54に連動連結している。
【0022】そして、上記入力リンク片46の中途に連結杆55の上端を回動自在に枢着し、同連結杆55の下端を前記PTO軸に連動連結したクランク56に回動自在に枢着して、クランク56から伝達される往復運動をリンク機構Lで往復揺動運動に変換して連動レバー52から出力させ、この往復揺動運動をワンウエイクラッチ45で一方向間欠回転運動に変換して駆動軸44に伝達するようにし、しかも、リンク機構Lの変速用移動支点49の位置を移動させて、出力リンク片47の出力ストロークを変化させることにより、駆動軸44の回転数を無段階に変更するようにしている。
【0023】上記変速用移動支点49は、略く字形状に屈折した支点支持アーム57の先端に設けられており、同支点支持アーム57の中途部に形成したボス部58を施肥部フレーム50に突設した枢軸59に回動自在に嵌着し、同支点支持アーム57の基端をクレビスピン60に回動自在に枢着し、同クレビスピン60を螺杆61に螺動自在に螺着し、同螺杆61を電動のモータMに連結している。図中、62は上記螺杆61を傾動自在に支持する支持部材、63はモータMの支持部材を兼ねる目盛板、64は指針である。
【0024】図4中、65は制御部を示しており、制御部65の入力側に走行速度を検出する速度センサ66を接続し、出力側にパワリレー67を介してモータMを接続している。図中、68は手動制御スイッチ、69は手動・自動切換スイッチ、70は電源、71はグランドである。
【0025】かかる構成によって、モータMが回動すると、クレビスピン60が略前後方向に移動し、変速用移動支点49が枢軸59を中心とした円弧上を略上下方向に移動し、主として連結杆55と入力リンク片46間の運動伝達の関係が変化し、出力リンク片47の出力ストロークが変化するので、クランク56の1回転に対する駆動軸44の回動角度が変化して、施肥部駆動機構Fに無段階変速を行わせることができる。
【0026】このように、駆動軸44を無段階に変速できるので、施肥量を無段階に調節して、最適量の側条施肥を行うことができる。
【0027】また、上記施肥量の調節が手動制御スイッチ68のON・OFFにより、電動のモータMを介して行われるので、施肥量調節操作が容易になる。
【0028】更に、速度センサ66の検出値を制御部65で処理してモータMの作動を制御することにより、圃場への施肥量に影響を及ぼす要因の一つである走行速度の増減に略比例して駆動軸44の回転数を増減させて、走行速度が変化しても、自動的に一定の施肥密度を保持することができる。
【0029】更には、圃場への施肥量に影響を及ぼす他の要因、例えば、前記施肥ホース40に通過する肥料の重量を検出するセンサや、駆動軸44の回転数を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力に基づきモータMの作動を制御して、自動的に施肥量を最適に保持することもできる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果を得ることができる。
【0031】請求項1記載の発明では、肥料を貯溜するホッパと、同ホッパ中の肥料を計量して繰出す計量部と、同計量部を駆動する施肥部駆動機構とを具備する側条施肥機において、上記施肥部駆動機構の一部に、変速用移動支点を具備したリンク機構と、ワンウエイクラッチとを設けて、同施肥部駆動機構の出力回転数を変速可能としたことによって、簡単な構造でありながら,施肥量を無段階に調節することができる。
【0032】請求項2記載の発明では、上記リンク機構の変速用移動支点の移動を、電動のモータにより行うことによって、施肥量調節操作を容易にすることができる。
【0033】請求項3記載の発明では、上記モータの作動を、圃場への施肥量に影響を及ぼす要因と関係づけて制御することによって、一定の施肥密度を自動的に保持することができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開平11−4612
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−161656