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【発明の名称】 乗用型苗植機
【発明者】 【氏名】玉井 利男

【要約】 【課題】乗用型田植機で操作レバーから2本の操作ワイヤを介して各々植付装置のうちの一部を停止する植付畦クラッチ及び苗載台の苗送り装置を停止操作するものがあるが、構成が複雑であると共に、2か所の部材を操作するものであるから、操作性が非常に悪いものであった。

【解決手段】操縦席21を装備した走行車体2に昇降リンク装置3を介して植付部4を装着し、苗送り装置51…を有する苗載部を複数設けた苗載台44と各苗載部に載置された苗から各々一株分の苗を取り出して圃場に植付ける複数の植付装置45…を植付部4に装備してなる乗用型苗植機において、操縦席付近に複数の植付装置45のうちの一部を停止する植付畦クラッチ及び停止する植付装置45が苗を取り出す苗載部の苗送り装置51を停止する送り停止手段を作動させるアクチュエーターを操作する畦クラッチ操作装置111a・111b・111cを設けると共に、アクチュエーターを植付畦クラッチ近くの植付部フレームBに固定して設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操縦席21を装備した走行車体2に昇降リンク装置3を介して植付部4を装着し、苗送り装置51…を有する苗載部44a…を複数設けた苗載台44と各苗載部44a…に載置された苗から各々一株分の苗を取り出して圃場に植付ける複数の植付装置45…を植付部4に装備してなる乗用型苗植機において、操縦席21付近に複数の植付装置45のうちの一部を停止する植付畦クラッチ207及び停止する植付装置45が苗を取り出す苗載部44aの苗送り装置51を停止する送り停止手段Aを作動させるアクチュエーター113を操作する畦クラッチ操作装置111a・111b・111cを設けると共に、該アクチュエーター113を植付畦クラッチ207近くの植付部フレームBに固定して設けたことを特徴とする乗用型苗植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、乗用型田植機や乗用型野菜苗移植機等の乗用型苗植機に関するものである。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】この種の従来例としては、乗用型田植機で操作レバーから2本の操作ワイヤを介して各々植付装置のうちの一部を停止する植付畦クラッチ及び苗載台の苗送り装置を停止操作するものがあるが、操縦者近くの操作部から2本の操作ワイヤを引き回さなけらばならず構成が複雑であると共に、2か所の部材を操作するものであるから、操作荷重が重くて操作性が非常に悪いものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記の従来技術のもつ課題を解決すべく、操縦席21を装備した走行車体2に昇降リンク装置3を介して植付部4を装着し、苗送り装置51…を有する苗載部44a…を複数設けた苗載台44と各苗載部44a…に載置された苗から各々一株分の苗を取り出して圃場に植付ける複数の植付装置45…を植付部4に装備してなる乗用型苗植機において、操縦席21付近に複数の植付装置45のうちの一部を停止する植付畦クラッチ207及び停止する植付装置45が苗を取り出す苗載部44aの苗送り装置51を停止する送り停止手段Aを作動させるアクチュエーター113を操作する畦クラッチ操作装置111a・111b・111cを設けると共に、該アクチュエーター113を植付畦クラッチ207近くの植付部フレームBに固定して設けた乗用型苗植機としたものである。
【0004】
【発明の作用効果】この発明は、操縦席21付近に複数の植付装置45のうちの一部を停止する植付畦クラッチ207及び停止する植付装置45が苗を取り出す苗載部44aの苗送り装置51を停止する送り停止手段Aを作動させるアクチュエーター113を操作する畦クラッチ操作装置111a・111b・111cを設けたので、操縦者は近くにある畦クラッチ操作装置111a・111b・111cを操作するとアクチュエーター113にて所定の植付装置45及び苗送り装置51が停止されるので、構成が簡単であると共に非常に操作性が良くて、従来例の課題を良好に解消することができる。
【0005】また、アクチュエーター113を植付畦クラッチ207近くの植付部フレームBに固定して設けたので、アクチュエーター113から植付畦クラッチ207への連繋及び苗送り装置51を停止する送り停止手段Aへの連繋構成が簡潔となり、故障等の少ない乗用型苗植機を得ることができる。
【0006】
【実施例】図面に基づいて、この発明の一実施例である乗用施肥田植機を説明する。この乗用施肥田植機1は、走行車体2の後部に設けた昇降リンク装置3に6条植の植付部4が装着されているとともに、これとは別に施肥装置5が設けられている。
【0007】走行車体2は、前後に長い平面視方形の車体フレーム6を備え、該フレームの中間部後方よりの位置にエンジン8が、その前方に低速の植付作業速と高速の路上走行速とに主変速レーバー180にて変速される変速伝動部を有するミッションケース9がそれぞれ配設されている。ミッションケース9の側方に前輪支持ケース14・14がステアリングハンドル171にて変向可能に設けられ、その下端部に前輪15・15が軸止されている。また、フレーム6の後端部に回転自在に支承したローリング軸16にローリング杆17が支持され、その左右両端部に一体に取り付けた後輪支持ケース18・18に後輪19・19が軸止されている。これらの上に操縦用のフロアステップ20が取り付けられ、エンジン8の上方部に操縦席21が設置されている。機体の前部左右両側部には、補給用の苗を載置する予備苗載台22・22が設けられている。
【0008】エンジン8の回転動力は、ベルト23にてHST(油圧式無段変速装置)7に伝動され、更に、ベルト24を介してミッションケース9に伝えられる。ミッションケース9に入力された動力は、ケース内の変速装置で適宜変速され前輪駆動出力、後輪駆動出力および施肥植付駆動出力に分離して取り出される。施肥植付駆動出力は施肥植付伝動軸26で機体の後端部に設けたクラッチケース27に伝えられる。クラッチケース27には、植付駆動軸28と施肥駆動軸29が設けられている。
【0009】ここで、HST7の作動構成を説明すると、副変速レバー170の操作量を検出する第1ポテンショメータP1と、HST7のトラニオン軸7aを操作する電動シリンダ13と、フィードバック用の直線式の第2ポテンショメータP2とを制御装置10に接続し、副変速レバー170の操作に応じて電動シリンダ13にてトラニオン軸7aが操作されて変速操作できるように変速手段にて制御される。即ち、副変速レバー170をN位置にするとHST7は中立となり機体は停止する。そして、N位置からF位置まで操作するにつれて前進速度が早くなり、N位置からR位置まで操作するにつれて後進速度が早くなる。
【0010】図9は横軸に時間(秒)縦軸に車速(m/秒)をとったもので、例えば細線に示すように副変速レバー170をN位置からF位置まで0.2秒で操作しても、実際の車速は太い実線にて示すように3秒後に最高速度となるような順次増速(最初一定時間ゆっくりと加速し、その後直線的に加速する)されるように電動シリンダ13でHST7のトラニオン軸7aを変速操作する制御になっている。即ち、副変速レバー170を何のように早く操作しても機体の前進速度は太い実線にて示すような速度となり、急発進による作業の弊害や事故を防止している。尚、副変速レバー170を鎖線に示すように太い実線よりも遅い速度で操作すると、車速は副変速レバー170の鎖線に示す操作に合致して増速する。一方、副変速レバー170をN位置からR位置に操作した場合も、上記前進と同様に増速されるように制御される。
【0011】また、図7に示すように、副変速レバー170のレバーガイド172は、副変速レバー170をN位置から機体前方側のF位置まで押し操作する前進増速操作溝172aとN位置から機体後方側のR位置まで引き操作する後進増速操作溝172bと両溝を繋ぐN位置の横溝172cとからなるクランク状に形成されている。そして、N位置の横溝172cでは、副変速レバー170は矢印イ方向に付勢されており、N位置の横溝172cでR位置に操作するときには此の付勢力に抗して操作するので、操縦者が後進操作をすることが此の付勢力にて認識できるようになており、誤操作の防止に役立ち安全である。173は副変速レバー170のR位置への操作を検出するリミットスイッチであり、N位置の横溝172cの右外側部に配置され、そのスイッチ作動片173aがN位置の横溝172cの右側部から後進増速操作溝172bに沿って設けられており、副変速レバー170をN位置の横溝172cの右外側部に操作した時点から副変速レバー170のR位置への操作を検出することができるようになっている。
【0012】そして、副変速レバー170を上記のようにR位置に操作した時には、リミットスイッチ173がONになり、油圧バルブ75が油圧シリンダ37を伸ばす方向に切り替えられて植付部4が上昇する。即ち、副変速レバー170にて機体を後進させる操作をすると制御装置10の後進連動リフト手段にて自動的に植付部4が上昇する構成となっている。
【0013】昇降リンク装置3は、車体フレーム6の後端部に立設したリンクベース30に左右一対の上リンク31・31および下リンク32・32が回動自在に支持され、これら上下リンクの後端部に連結枠34が取り付けられている。連結枠34から後方に突設したローリング軸35に植付部4がローリング自在に装着される。昇降リンク装置3の駆動手段である油圧シリンダ37は、基部が車体フレーム6に枢着され、そのピストンロッドの先端部が上リンク31・31の基部から垂設したスイングアーム38の下端部に連結されている。該油圧シリンダ37を伸縮させると、連結枠34がほぼ一定姿勢に保持されたままで上下動させられ、これに装着した植付部4が昇降させられる。
【0014】植付部4は、前記植付駆動軸28からユニバーサルジョイントを介して伝動される中央ケース40と、該中央ケースの両側面部に突設した伝動フレームパイプ41・41と中央ケース40の中央部および伝動フレームパイプ41・41の先端部から後方に延設した計3個の分岐ケース42…とで植付部フレームBが構成され、該植付部フレームBの上方に前側が上位となるよう傾斜させて苗載台44が設けられているとともに、各分岐ケース42…の後部両側に1組づつ計6組の植付装置45…が設けられている。
【0015】ここで、植付部4の伝動構成を詳述しておくと、中央ケース40は上部ケース40a、下部ケース40bおよび連結部40cからなり、下部ケース40bの両端部に伝動パイプ71,71が接続されている。これら下部ケース40bと伝動フレームパイプ41,41内には、べベルギヤ200,201を介して植付駆動軸28から回転力が伝えられる1本の植付装置駆動軸202が挿通されている。一方、分岐ケース42…の後端部には植付装置取付軸203…が設けられており、これら両軸202と203…に取り付けたスプロケット204と205…にチェーン206…が掛けられている。スプロケット204…の取付け部には定位置で停止する植付畦クラッチ207…が設けられ、植付畦クラッチ207を切り操作したとき対応する2つの植付装置45・45が定位置で動作を停止するようになっている。
【0016】連結部40c内にはカウンタ軸208、上部ケース40a内には苗載台横送り軸209がそれぞれ支承されており、植付装置駆動軸202からカウンタ軸208へ一対の非等径な横送り速度調節ギヤ210,211を介して伝動され、さらにカウンタ軸208から苗載台横送り軸209へ4組の苗取数切替ギヤ212(ア〜エ),213(ア〜エ)のうちの何れか1組を介して伝動される。苗載台横送り軸209は外周部に螺旋状の溝214が形成された軸で、該溝に係合する爪215を有する係合メタル216がその周囲に摺動自在に嵌合している。係合メタル216には苗載台横送り軸209と平行な横移動棒217が一体に設けられ、該横移動棒の伝動ケース外に突出した両端部に苗載台44が連結されている。苗載台横送り軸209が回転すると、溝214に沿って係合メタル216が移動し、これによって苗載台44が左右に往復動させられ、最下段の苗が順次苗取出口52に供給されるのである。前記苗取数切替ギヤ212(ア〜エ),213(ア〜エ)の組合せを任意に選択して、苗載台横送り軸209の回転速度を適当に設定することにより、苗載台横送り1行程当りの苗取り数を4段階に切り替えることができる。
【0017】苗載台44は、各分岐ケース42…の上に固定して設けた苗載台支持枠47と中央ケース40の上部から前部上方に向けて設けた苗載台フレーム48の上端部に取り付けたレール49によって左右に滑動自在に支持されている。苗載台44の上面は植付条数分の苗載部44a…に仕切られており、各苗載部ごとに台上の苗を下方に送るベルト式の苗送り装置51…が設けられている。また、苗載台44の下端部に隣接して、植付装置45…に対応する苗取出口52…が形成された苗受枠53が苗載台支持枠47と一体に設けられている。
【0018】ここで、苗送り装置51の構成を詳述しておくと、一対のローラ218,218に無端の苗送りベルトを掛けたもので、駆動側の苗送りローラ218を所定方向に回転させ、苗送りベルトを移動させるようになっている。苗送りローラ軸219は同軸上に3本設けられており、それぞれが互いに独立に支承されているとともに、1本の苗送りローラ軸219に隣合う2条分の苗送りローラ218…が取り付けられている。
【0019】そして、これら苗送りローラ軸219…の駆動機構は、前記苗載台横送り軸209の延長軸220が中央ケース40の一方の側面部からケース外に突出し、該延長軸に苗載台横送り1ストローク分の間隔で一対の苗送りアーム221,221が取り付けられているとともに、この苗送りアーム221,221に対向する受動アーム222が、苗送りローラ軸219…と同軸心のラチェット軸223に回動自在に嵌合されている。ラチェット軸223には受動アーム222に取り付けた爪224が係合するラチェットホイール225と該ラチェットホイールと一体に成形された中間軸駆動ギヤ226が嵌着されており、受動アーム222が回動するとラチェットホイール225および中間軸駆動ギヤ226が一定方向に回転するように構成されている。このようにラチェットホイール225と中間軸駆動ギヤ226を一体に成形しておくと作動が確実である。また、ラチェットホイール225の方が中間駆動ギヤ226よりも径が大きいので、爪224が中間駆動ギヤ226に干渉することがない。更に、苗載台44側には苗送りローラ軸219…と平行に1本の中間軸227が支承されており、この中間軸227に前記中間駆動ギヤ226に噛合する中間軸従動ギヤ228と、各苗送りローラ軸219…の中央部に取り付けた苗送り従動ギヤ229…に噛合する苗送り駆動ギヤ230…が取り付けられている。各苗送り駆動ギヤ230…は中間軸227に対し摺動自在に取り付けられ、操縦席21の近傍位置に設けた畦クラッチ操作装置としての畦クラッチスイッチ111a・111b・111cでこれを各々操作することができるようになっている。従って、この苗送り駆動ギヤ230が中間軸227に対し摺動自在に操作されて従動ギヤ229に噛合又は外れることにより送り停止手段Aが構成されている。
【0020】苗載台44が左右行程の端部に到達すると、常時回転している一対の苗送りアーム221,221のいずれか一方が受動アーム222に係合し、当該受動アームを所定方向に所定角度だけ回動させる。これによってラチェットホイール225および中間軸駆動ギヤ226が一定方向に回転させられ、その回転がギヤ226、ギヤ228、中間軸227、ギヤ230…、ギヤ229…、苗送りローラ軸219…の順に伝えられる。ラチェット軸223から苗送りローラ軸219…に増速して伝動されるように前記2組の伝動ギヤ226,228及び230,229の歯数が設定されているので、苗送りベルト…の移動距離を充分に確保することができ、苗送り動作が確実なものとなっている。また、苗載台横送り軸の延長軸220から苗送りローラ軸219に直接伝動するのではなく、延長軸から中間軸227に一旦伝動したのち該中間軸から苗送りローラ軸219に伝動する構成とすることにより、苗送りローラ軸219を条ごとに独立に設けることが可能となっている。3本の苗送りローラ軸219…が設けられ1本の苗送りローラ軸219に2条分の苗送りベルトが取り付けられている。この場合、苗送り従動ギヤ230は駆動ローラ取付軸219の中央部に設けておくのがよい。各畦クラッチスイッチ111a・111b・111cを操作して各々の苗送り駆動ギヤ230と苗送り従動ギヤ229の噛合を解除することにより、隣接する2条分ごとに苗送りを停止させることができる。
【0021】ここで、畦クラッチスイッチ111a・111b・111cによる各植付畦クラッチ207…の操作と各苗送り駆動ギヤ230…の操作と各施肥畦クラッチ110…の操作に関して詳述する。先ず、各植付畦クラッチ207…は、各分岐ケース42…の各基端部側に固定されたアクチュエーターとしての各電動シリンダ113…にて作動するクラッチピン114にて入り切り操作される。即ち、3つの畦クラッチスイッチ111a・111b・111cの何れかを押してONにすると、制御装置10の畦クラッチ作動手段にてそれに対応する電動シリンダ113が作動してそのピストン113aが退入してクラッチピン114を引下げて植付畦クラッチ207を切る。また、各電動シリンダ113…のピストン113a…の各先端部は、各々操作ワイヤ112a…・連繋リンク機構115a…を介して各施肥畦クラッチ110…に連繋されていると共に、各々操作ワイヤ112b…・連繋リンク機構115b…を介して各苗送り駆動ギヤ230…に連繋されている。従って、畦クラッチスイッチ111a(111b・111c)を押して植付畦クラッチ207を切った植付装置45・45に対応する施肥畦クラッチ110及び苗送り駆動ギヤ230の駆動が切れるので、畦クラッチスイッチ111a(111b・111c)を押すことにより、植付畦クラッチ207にて所望の植付装置45・45を停止させると共に、停止させた植付装置45・45に対応する肥料の繰り出しと苗載台44の苗送り装置51による苗送りも停止させることができる。尚、畦クラッチスイッチ111a・111b・111cを押していないOFF状態では、電動シリンダ113のピストン113aは進出してクラッチピン114を引上げた状態になっており、植付畦クラッチ207は入りで、施肥畦クラッチ110も入りで、苗送り駆動ギヤ230は駆動状態になっている。
【0022】苗載台44の上端部には、苗補給補助台55が先端側が上下に回動自在に取り付けられている。常時は、図1において実線で示す如く、苗補給補助台55は苗載台44の延長方向に向いているが、苗載台上の苗の残量が所定量以下になったことを苗残量検出センサ56が検出すると、同図において鎖線で示す如く、電動シリンダ57が伸びて苗補給補助台55を上方に回動させる。この状態では、苗補給補助台55の延長方向が後記肥料ホッパ80よりも後方を通るようになり、フロアステップ20上のオペレータが予備苗載台22の苗を苗載台44に補給する作業が容易になる。
【0023】植付装置45は、所定方向に回転するロータリケース60に一対の植込杆61・61が取り付けけられ、該植込杆が所定の軌跡を描きながら上下動しつつ、前記苗取出口52に供給された苗を挟持してそれを圃場面に植え付けてゆくように構成されている。植付部4の下側には、中央にセンターフロート70とその左右両側に一対のサイドフロート71・71が設けられ、これらフロートの両側部の適所に苗移植用の溝を形成する作溝器72…が取り付けられている。各フロート70・71・71は、分岐ケース42…に取り付けたフロート支持杆73…の後端部に上下動自在に枢支されている。センターフロート70の前部には上下動検出用の検出ロッド74が取り付けられており、該検出ロッドの上下動に基づいて前記油圧シリンダ37を制御する油圧バルブ75が作動される。例えば、圃場面が高くなってセンターフロート70の前部が上昇すると、油圧シリンダ37が伸びる方向に油圧バルブ74が駆動され、その結果植付部4が上昇する。圃場面が低くなった場合は、上記と逆に動作する。
【0024】施肥装置5は、肥料ホッパ80と該肥料ホッパ内の肥料を所定量づつ繰り出す繰出器81とからなる肥料繰出ユニット82を走行車体2の後端上部に設け、圃場面に臨む肥料吐出部83を作溝器72内に設け、これら肥料繰出ユニット82と肥料吐出部83を可撓性を有する肥料搬送管84で接続してなる。なお、肥料タンク80は隣接する2条ごとに共用されており、1個の肥料タンク80と2個の繰出器81で1組の肥料繰出ユニット82が構成されている。各肥料繰出ユニット82は、前記リンクベース30の上に横設した施肥フレーム85に取り付けられている。図に示すように、施肥フレーム85は中空状で、ブロワ86によってエンジンルーム87内の温風がこの施肥フレーム85内を通って繰出器81の下端部に供給されており、肥料搬送管84内の肥料の流通を円滑にするととも、肥料搬送管84内で肥料が固化するのを防止するようになっている。
【0025】繰出器81は、上下に開口するケーシング90内に、外周部に肥料Hを保持する凹部91…を有する繰出ロール92が設けられている。この繰出ロール92は、繰出ロール取付軸93に回転自在に嵌合する第1部材92aと、ケーシング90に形成した筒部95に軸方向に摺動自在に嵌合する第2部材92bとからなり、第2部材92bを第1部材92aに対してずらせることにより凹部91…の容積を変化させ、肥料の繰出量を調節するようになっている。ケーシング90の前面部には開閉自在なカバー96が取り付けられている。このカバー96は、開放したときに図4において鎖線で示すように側面視で上に凹となる皿状に形成されているため、肥料ホッパ80および繰出器81内の肥料を取り出す際の肥料受け皿として利用することができる。
【0026】繰出ロール92を駆動させる機構は次のようになっている。繰出器81…の背面側に中継軸100が横設されている。そして、この中継軸100に取り付けた受動アーム101と前記施肥駆動軸29に取り付けたクランク102とが連結ロッド103で連結されており、施肥駆動軸29の回転が中継軸100に反復回転運動として伝えられている。また、中継軸100に取り付けた肥料繰出ユニット数分の中継軸アーム105…と繰出ロール軸93…に取り付けた繰出ロールアーム106…とが繰出ロッド107…で連結されている。繰出ロールアーム106はワンウェイクラッチ108を介して繰出ロール軸93に取り付けられているため、中継軸100が正方向に回転するときは繰出ロール軸93も同方向に回転するが、中継軸100が逆方向に回転するときは繰出ロール軸93は回転しない。すなわち、繰出ロール92はA方向に間歇的に回転するのである。
【0027】中継軸100と各中継軸アーム105の取付部には、伝動を入切する施肥畦クラッチ110が各々設けられている。この各施肥畦クラッチ110…の操作は前記のとおり畦クラッチスイッチ111a・111b・111cで各々行われる。更に、繰出ロール取付軸93と繰出ロール92の第1部材92aとの間に単条クラッチ116が設けられており、各条単位で施肥を入切することもできる。
【0028】クラッチケース27の内部は図6に示す構造となっている。施肥植付伝動軸26に接続された入力軸120と前記植付駆動軸28および施肥駆動軸29が支承されており、入力軸120から植付駆動軸28へギヤ121・122で伝動するとともに、入力軸120から施肥駆動軸29へ定位置停止装置としての1回転クラッチ124を介して伝動する。1回転クラッチ124は、外周面に螺旋条の切欠面125が形成されたクラッチ体126が施肥駆動軸29に回転不能かつ摺動自在に嵌合しており、該クラッチ体とギヤ121の対向面に爪部126a・121aが形成されている。スプリング128によってクラッチ体126はギヤ121側に付勢されているので、常時は爪121a・126aが互いに咬み合い、入力軸120から施肥駆動軸29へ伝動されるが、クラッチピン129を押し込むと、該クラッチピンの先端部が切欠面125を押すことによりクラッチ体126がギヤ121と反対側に移動し、両爪121a・126aの咬み合いが外れ伝動が停止される。伝動が停止するときの施肥駆動軸29の角度は常に一定である。このとき、前記繰出ロールアーム106が揺動ストロークの上死点に位置するように設定されている。したがって、施肥作業を再開したときに、繰出ロールアーム106が下向きに回動し始める行程、換言すれば繰出ロール82が肥料を繰り出し始める行程から繰出ロールアームを揺動させる揺動手段が作動のサイクルを開始する。繰出器71から肥料がただちに繰り出されるので、無肥料区が少なくなる。
【0029】尚、図中、181は植付・昇降レバーであって、センターフロート70の前部の上下動にて油圧バルブ75が作動して自動的に植付部4を適正位置に昇降制御し且つ植付部4及び施肥装置5へ動力を伝動して植付け及び施肥を行う自動位置と、センターフロート70の前部の上下動にて油圧バルブ75が作動して自動的に植付部4を適正位置に昇降制御し且つ植付部4及び施肥装置5へ動力を伝動しない下げ位置と、油圧バルブ75を中立位置にして植付部4を適宜位置に固定し且つ植付部4及び施肥装置5へ動力を伝動しない固定位置と、油圧バルブ75を手動にて動かして植付部4を上昇させ且つ植付部4及び施肥装置5へ動力を伝動しない上昇位置とに操作できる構成となっている。また、植付・昇降レバー181を上昇位置に操作すると、制御装置10の連動減速手段にてHST7を操作して、圃場の畦際で機体を旋回するのに適した車速に自動的に遅くなる構成になっている。
【0030】次に、上記の乗用施肥田植機1にて田植作業を行う説明をする。先ず、施肥装置5の肥料タンクに粒状肥料を入れ、苗載台44に苗を載置し、各予備苗載台22・22に苗の入った育苗箱を載置する。そして、例えば、圃場(水田)で田植作業を行うには、エンジン8を始動させて、主変速レバー180を植付作業速に切り替え、副変速レバー170を操作して植付け開始位置まで機体を移動させた後に、植付・昇降レバー181を植付部4及び施肥装置5の駆動が入りで植付部4の自動昇降制御が行われる位置に操作して、機体を前進させて植付けを開始する。その後、副変速レバー170を前方に押して機体の前進速度を上げ植付けを行う。このとき、植付作業と同時に、施肥装置5により苗植付位置の側方の圃場中に粒状肥料が施肥される。
【0031】そして、畦際で端数条植えを行うとき、例えば、図2で右側4条分の植付けを停止して左側2条分のみの苗を植付ける場合には、畦クラッチスイッチ111aと111bとを押すと、右側4条分である2つの電動シリンダ113・113が作動して右側2つの植付畦クラッチ207・207が切られる。また、各2つの電動シリンダ113・113により、各々操作ワイヤ112a及び連繋リンク機構115aを介して停止される植付装置45…対応する施肥畦クラッチ110・110が切りとなると共に、各々操作ワイヤ112b・連繋リンク機構115bを介して停止される植付装置45…対応する苗送り駆動ギヤ230・230の駆動が切られるように操作される。即ち、畦クラッチスイッチ111a・111bを押すことにより、右側4条分の植付装置45…を停止させると共に、停止させた植付装置45…に対応する肥料の繰り出しと苗載台44の苗送り装置51による苗送りも停止させることができて、左側2条分のみの苗植付け作業と施肥作業が行える。
【0032】従って、簡潔な構成で作業性良く田植作業及び施肥作業が行える。また、電動シリンダ113…を植付畦クラッチ207近くの植付部フレームBに固定して設けたので、電動シリンダ113から植付畦クラッチ207への連繋は簡潔であり、然も、電動シリンダ113は左右横移動する苗載台44の苗送り装置51の比較的近い位置にあるので電動シリンダ113から苗送り装置51を停止する送り停止手段Aへの連繋構成も操作ワイヤ112bにて簡潔に行え、故障やトラブルの少ない乗用施肥田植機となり、良好な田植作業及び施肥作業が行える。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月17日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−4609
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−159643