| 【発明の名称】 |
法面緑化工法に用いる種子及びその工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉田 寛
【氏名】秋田 賢人
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| 【要約】 |
【課題】種子及び生育基盤材を含む植生基材の吹付けによる法面緑化工法において吹付けによりリバウンドした種子の落下を防止し、種子を捕捉する。
【解決手段】表面上に線状物を付着させた形態の種子とし、当該種子を用いて吹付けによる法面緑化工法を実施する。種子表面から延び出ている線状物と法面との摩擦抵抗によりリバウンドした種子の落下速度が低下させられるため、種子を容易に捕捉することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 種子及び生育基盤材を含む植生基材の吹付けによる法面緑化工法に用いられる種子であって、吹付けによりリバウンドした前記種子の落下を防止するべく前記種子の表面上に線状物を付着させたことを特徴とする法面緑化工法に用いる種子。 【請求項2】 種子及び生育基盤材を含む植生基材を法面に対して吹き付ける法面緑化工法において、吹付けによりリバウンドした前記種子の落下を防止するべく前記種子の表面上に線状物を付着させたものを用いることを特徴とする法面緑化工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、法面及び斜面における緑化工に使用する種子に関し、特に、大粒種子の損失を防止し有効利用を図るための処置及びその処置を施された種子を用いた法面緑化工法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、法面(斜面含む)緑化工法として、厚層基材吹付工法が広く利用されている。これは、圧縮空気を利用する吹付機械により、種子、生育基盤材、肥料等の必要な成分を撹拌混合した植生基材を法面や斜面等に吹き付ける工法である。特に、勾配が45度以上の急勾配法面や岩盤、無土壌地、硬質地等の施工面に対しては、強力な吐出エネルギーによって植生基材を強制的に叩きつけることで基材を施工面に定着させることができる。 【0003】一方、昨今の法面緑化工法においては、本来の日本の森林や自然な景観の造成及び再生等、より自然性の高い多様性に富む緑化が主流となりつつあり、そのために必要な木本種子の利用度が大きくなっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記のような法面緑化工法に用いられる木本種子としては、ブナ科、バラ科、及びツバキ科等が一般的である。しかしながら、これらの木本種子は、保管や貯蔵はもちろんのこと取扱いが難しいものが多く、また、その多くが山採り種子であるため採取される量が限定される。従って、このような木本種子は希少価値が高く、よって他の種子に比べて種子のコストが割高となる。このことは、そのまま単位面積当たりの施工単価の上昇につながる。 【0005】加えて、これらの木本種子の多くは、通常、粒径1〜3cmと大粒であるという特徴がある。このため、小粒種子と比較して吹付施工時のリバウンドが極めて大きいという問題点があった。リバウンドとは、植生基材を施工面に吹き付けた際の衝撃により植生基材中に混合された種子が跳ね返り、植生基材から飛び出してしまう現象である。このようにして一旦飛び出した大粒種子は、球体あるいは楕円体でありかつ重いため、急勾配の施工面を転がり落ちてそのまま失われてしまうものが多い。 【0006】よって、このリバウンド現象による大粒種子の損失を想定し、予め生育基盤材に混合する種子の播種量をかなり増量しておかなければ、木本植物の所定の成立本数が確保できなくなる。こうして、益々大粒の木本種子を使用するコストが高くなるため、木本種子の使用が敬遠され、結果的に、自然樹林緑化の普及が立ち後れる原因ともなっている。 【0007】種子のリバウンド量は、施工時の吹付け角度、法面の勾配、吹付け圧力等に依存するが、大粒種子の場合は、通常の機械吹付による法面緑化工での測定結果によると、45度以上の急勾配法面では30%以上の種子がリバウンドするとされている。リバウンドした種子の多くは吹付け地点の周辺1m内外に飛散して法面を転がりながら落下する。比較的法面勾配が緩い場合、熟練した吹付け作業者であれば、飛散し落下しようとする種子に対して吹付け基材を適宜吹き付けて種子の落下をくい止める等の高度な技巧により対処することもあるが、実際にこのような熟練作業者は稀少であり、このような方法で損失を免れる種子の量も僅かである。また、実際に施工する法面は45度以上の急勾配が多く、上記の技巧的方法ではほとんど対処できず、リバウンド種子は落下するに任せているのが現状である。 【0008】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、吹付けによる法面緑化工において植生基材からリバウンドした種子の損失を防止することである。さらに具体的には、リバウンドした種子が容易に転がらないようにすることにより、法面上での種子の落下速度を緩慢とし、リバウンド種子を捕捉し易くすることである【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべく本発明による法面緑化工法に用いる種子は、植生基材の吹付けによりリバウンドした際にその落下を防止若しくは抑制するべく種子の表面上に線状物を付着させる。また、表面上に線状物を付着した種子を用いて、当該種子及び生育基盤材を含む植生基材を法面に対して吹き付ける法面緑化工法を行う。 【0010】 【作用】種子表面に一端を付着された線状物は、その種子の表面から長く延び出している。植生基材の吹付けの際の衝撃により種子が跳ね返り飛散し、法面上を落下し始めると、種子は線状物を引きずりながら落下することとなる。その結果、線状物を法面との摩擦抵抗により種子の落下速度が抑制され若しくは種子の落下が停止させられ、吹付けによるリバウンド種子の捕捉を容易にする。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を例示しつつ説明する。図1は、本発明の最も基本的な実施の形態の一例を示す種子の斜視図である。本発明は、図示のようにリバウンドし易い大粒の種子10に対して細く長い線状物20を付着することを特徴とする。線状物20は、例えば、接着剤等により種子の表面に付着させる。接着剤については、種子の品質に影響を与えない成分及び接着強度等を配慮して選択する。また、線状物の付着方法は、接着剤に限らず他の方法を用いてもよい。例えば、線状物の末端を種子に結び付け又は巻き付けてもよい。あるいは、粘着テープで線状物の末端を種子に貼り付けてもよい。但し、吹付け時の衝撃によってはずれない程度の付着力は有するものとする。また、本発明において種子に付着する線状物は、十分に細くかつ柔軟であるので吹付機械の供給ホース内の円滑な移送を妨げない。 【0012】図1に示す例では、線状物は糸状で、種子の長さの約10〜100倍の範囲で設定することが好ましい。例えば、大粒木本種子は、通常1〜3cm程度であるが、線状物の長さは少なくとも10cm以上が望ましい。実用的な範囲としては長くとも1m未満であろう。好適には10〜50cmが扱いやすい長さである。 【0013】このように線状物を付着した種子がリバウンドし飛散しても、線状物と法面との摩擦により種子が法面を転がりにくくなるため、種子の法面上での落下速度が遅くなる。従って、吹付け作業者は前述のような方法で、植生基材から飛び出した種子に対して少量の植生基材を吹き付けることによりその種子の更なる落下を防止することができる。これにより、リバウンド種子の損失が大幅に低減される。 【0014】図2には別の形状の線状物の例を示す。図2の例は、幅を有する帯状の線状物を付着したものである。図3に示すように、線状物を種子の表面に複数付着してもよい。付着位置は、特に限定されず、様々な態様が考えられる。このように複数の線状物を付着することにより種子落下時の抵抗力がさらに増して効果的である。また、飛散した種子が、それ以上転がることなく法面上に留まる可能性も高くなり、そのまま失われることが少なくなる。 【0015】図4は、さらに別の線状物の形状の例を示す。この例では、線状物の法面に対する摩擦抵抗をさらに増すために、線状物の表面に無数の繊毛を設けている。この繊毛は、例えば、繊維質の線状物の表面を毛羽立たせることにより形成することができる。また、繊毛の代わりに短い突起を設けたり、線状物の中間部分から分岐する枝を設けてもよい。 【0016】図5は、さらに別の例を示す。この場合、太さ150±5デニール程度のポリエステル、有機質系繊維(椰子繊維)、又は生分解性プラスチック繊維を素材とする線状物を種子の表面に絡ませる。作製方法としては、予め種子の表皮に水溶性接着剤を塗布した後、数本程度の線状物を絡ませる。そして接着剤が硬化した後に、生育基盤材等と混合撹拌させ吹付けに供する。図5は、上からバラ科、ブナ科、ツバキ科のそれぞれ特徴的な形状をもつ種子に線状物を絡ませた状態を示す。 【0017】図3及び図5のように種子表面の複数箇所から線状物が延びている構成では、もちろん飛散した種子の落下速度を抑制する作用も大きいが、吹付けの衝撃により種子本体が跳ね返ったときに複数の線状物のいずれかの末端が生育基盤材に絡みついて、種子が遠方へ飛散することを留まらせる効果もある。 【0018】本発明における線状物は、種子の重量よりも軽量の素材が好ましい。種子の方が重量であると、リバウンドした種子が法面上を転がる場合に、種子が先に転がりその後方に線状物を引きずる形となる。このため線状物と法面との摩擦により落下速度が低減され、種子は徐々に滑り落ちることになる。 【0019】線状物の材質は、特に植物の生育に障害を及ぼすものでなければ任意でよい。一般的なポリエステル等の合成繊維でもよいが、生糸、椰子繊維等の天然繊維、生分解性樹脂繊維等、生育基盤中で比較的短期間で分解する素材が特に好ましい。これらの素材は土中に残存せず、その後の植物の生育に影響を与えないからである。 【0020】本発明を好適に適用できる大粒種子としては、ツバキ科のヤブツバキ、サザンカ等、ブナ科のアカガシ、アベマキ、アラカシ、イチイガシ、ウラジロガシ、カシワ、スダジイ、ツブラジイ、マテバシイ等があるが、これらに限定されるものではない。また、予めコーティングにより形状調整した種子などの加工された種子に適用することも可能である。 【0021】 【発明の効果】本発明は、吹付け緑化工において種子に線状物を付着することにより、リバウンドした種子が法面上を落下する速度を摩擦抵抗により低減し、また落下を防止することができる。その結果、特に、コストの高い稀少価値のある大粒木本種子の損失を大幅に減らすことができ、施工コストを低減できる。本発明は、木本種子の利用を促進させることにより、自然性の高い緑化工の普及に寄与するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】392012261 【氏名又は名称】東興建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小島 高城郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−4604 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−176554 |
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