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【発明の名称】 移植機の植付装置
【発明者】 【氏名】浜田 昭夫

【氏名】金井 芳秀

【要約】 【課題】内スクレーパーが、植付筒のオープナから下方に抜け出るときに、植付筒のオープナが全閉鎖動作して大きな騒音が生じないようにする。

【解決手段】植付筒35の上昇過程で、一対のオープナ58を閉鎖すると共に、内スクレーパー69をオープナ58内に進入させ、植付筒35の上昇に伴って内スクレーパー69をオープナ58内を下方に移動させてその下端から抜け出させ、オープナ58の内面に付着した付着土を下方へ掻き落とすようにした移植機の植付装置において、前記内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出た後に、植付筒35のオープナ58が全閉鎖するように、オープナ58の閉塞時期が設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開閉可能な一対のオープナ(58)を下部に有する植付筒(35)が昇降自在に設けられ、植付筒(35)の上昇時に植付筒(35)内に苗(28)を落とし込み、植付筒(35)の下降時に植付筒(35)の一対のオープナ(58)を開いて苗(28)を植え付け、植付筒(35)の上昇過程で、一対のオープナ(58)を閉鎖すると共に、内スクレーパー(69)をオープナ(58)内に進入させ、植付筒(35)の上昇に伴って内スクレーパー(69)をオープナ(58)内を下方に移動させてその下端から抜け出させ、オープナ(58)の内面に付着した付着土を下方へ掻き落とすようにした移植機の植付装置において、前記内スクレーパー(69)が植付筒(35)のオープナ(58)から下方に抜け出た後に、植付筒(35)のオープナ(58)が全閉鎖するように、オープナ(58)の閉塞時期が設定されていることを特徴とする移植機の植付装置。
【請求項2】 下部に開閉自在なオープナ(58)を備えた植付筒(35)と、該植付筒(35)を昇降自在に支持する装置フレーム(38)とを備え、オープナ(58)を閉じるように付勢するバネ(62)が設けられ、装置フレーム(38)と植付筒(35)との間に、植付筒(35)の昇降に連動して前記バネ(62)に抗してオープナ(58)を引っ張って開閉動作させる連動具(61)が設けられ、植付筒(35)の上昇過程で、オープナ(58)内を下方に移動してその下端から抜け出る内スクレーパー(69)が設けられた移植機の植付装置において、前記内スクレーパー(69)が植付筒(35)のオープナ(58)から下方に抜け出た後に、植付筒(35)のオープナ(58)が全閉鎖するように、前記連動具(61)が構成されていることを特徴とする移植機の植付装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜の苗を畑地の畝等に植え付ける移植機の植付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の移植機には、植付筒のオープナを閉じるように付勢するバネを設けると共に、植付筒の昇降に連動して前記バネに抗してオープナを引っ張って開閉動作させる連動具を設け、植付筒を昇降動作させ、植付筒の上昇時に該植付筒内に苗を落とし込み、植付筒の下降時に植付筒のオープナを開放して苗を植え付け、植付筒の上昇過程で内スクレーパーをオープナ内に進入させ、植付筒の上昇に伴って内スクレーパーをオープナ内を下方に移動させてその下端から突出させ、オープナの内面に付着した付着土を下方へ掻き落とすようにしたものがあるが、従来の場合、植付筒のオープナの開閉動作は、前記内スクレーパーの位置との関係が考慮されておらず、内スクレーパーが、植付筒のオープナから下方に抜け出る前に、植付筒のオープナが全閉鎖するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように内スクレーパーが、植付筒のオープナから下方に抜け出る前に、植付筒のオープナが全閉鎖するようになっていたため、内スクレーパーが、植付筒のオープナから下方に抜け出るときに、植付筒のオープナが勢いよく閉鎖動作し、このとき大きな騒音を生じるという問題があった。
【0004】そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、内スクレーパーが、植付筒のオープナから下方に抜け出るときに、植付筒のオープナが全閉鎖動作して大きな騒音が生じないようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明が上記問題点を解決するための第1の技術的手段は、開閉可能な一対のオープナ58を下部に有する植付筒35が昇降自在に設けられ、植付筒35の上昇時に植付筒35内に苗28を落とし込み、植付筒35の下降時に植付筒35の一対のオープナ58を開いて苗28を植え付け、植付筒35の上昇過程で、一対のオープナ58を閉鎖すると共に、内スクレーパー69をオープナ58内に進入させ、植付筒35の上昇に伴って内スクレーパー69をオープナ58内を下方に移動させてその下端から抜け出させ、オープナ58の内面に付着した付着土を下方へ掻き落とすようにした移植機の植付装置において、前記内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出た後に、植付筒35のオープナ58が全閉鎖するように、オープナ58の閉塞時期が設定されている点にある。
【0006】第2の技術的手段は、下部に開閉自在なオープナ58を備えた植付筒35と、該植付筒35を昇降自在に支持する装置フレーム38とを備え、オープナ58を閉じるように付勢するバネ62が設けられ、装置フレーム38と植付筒35との間に、植付筒35の昇降に連動して前記バネ62に抗してオープナ58を引っ張って開閉動作させる連動具61が設けられ、植付筒35の上昇過程で、オープナ58内を下方に移動してその下端から抜け出る内スクレーパー69が設けられた移植機の植付装置において、前記内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出た後に、植付筒35のオープナ58が全閉鎖するように、前記連動具61が構成されている点にある。
【0007】従って、植付筒35が更に上昇するとき、内スクレーパー69がオープナ58内に進入し、植付筒35が上昇するのと相対して、内スクレーパー69は下方に移動し、オープナ58の内面に付着した付着土を下方へ掻き落とす。そして、内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出るとき、植付筒35のオープナ58が完全には閉鎖せずに、内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出た後に、オープナ58が全閉鎖する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図2に示すように、野菜移植機11は、走行車両12の後部に操縦ハンドル13を有する歩行型であって、畝14を跨いでその長手方向に走行しつつ、図4に示す土付苗28をマルチフィルムMで覆われた畝14に所定間隔で植え付けるものである。
【0009】走行車両12は、前部に架台16を有し、該架台16上にはエンジン17が搭載され、このエンジン17はボンネット18で覆われており、架台16の後部にはミッションケース19が固定され、該ミッションケース19の後部に角パイプ等で形成された主フレーム15の前部が固定され、該主フレーム15の後部は上向きに曲がっていて操縦ハンドル13の取付部とされている。なお、ミッションケース19にエンジン17の動力が巻掛伝動体等にて伝動されている。
【0010】ミッションケース19内からの動力は、左右側方に突出する車輪伝動軸20と、この車輪伝動軸20よりも後方に設けられて左右側方に突出する第1PTO軸21と、後上方に突出する第2PTO軸22の3系統で取り出すようになっている。車輪伝動軸20の左右端には軸心回りに上下揺動する伝動ケース23を介して左右の駆動輪24(後輪)を支持して、伝動ケース23内の巻掛伝動体25により駆動輪24を駆動可能にしている。この駆動輪24は畝14間の溝内を転動する。また、走行車両12の前部には、左右一対の前輪26、畝高さ検出ローラ27が備えられている。
【0011】走行車両12の後部には、移植作業部29が設けられている。この移植作業部29は、苗供給装置30と、該苗供給装置30から供給される土付苗28を植付筒35によって畝14に植え付ける植付装置31と、苗28が植付けられる位置に予めマルチフィルムMに移植孔を穿けるマルチフィルム穿孔装置32等を有している。苗供給装置30は第2PTO軸22の回転動力により駆動され、植付装置31及びマルチ穿孔装置32は第1PTO軸21の回転動力により駆動される。
【0012】苗供給装置30は、主フレーム15上に装着されており、土付苗28が育苗されたポット部33aが縦横に多数配設された苗トレイ33を横方向及び縦方向に移送しつつ、この苗トレイ33から、植付装置31に対して所定の苗取出位置にて苗取出爪34により土付苗28を一つずつ取り出して、該土付苗28を植付装置31上方まで移送した後に植付筒35内に落とし込んで装入するようになされている。なお、苗トレイ33は樹脂製で可撓性を有し、縦横に多数配列したポット部33aが背面に突出して備えられており、各ポット部33aに土付苗28が育苗されている。
【0013】この苗供給装置30の動力受入軸36には、第2PTO軸22に連結された伝動軸がユニバーサルジョイントを介して連結されて、該伝動軸からの動力により上記した動作が繰り返される。前記植付装置31及びマルチフィルム穿孔装置32は、図3にも示すように、ミッションケース19の第1PTO軸21に上下揺動自在に支持された装置フレーム38上に備えられている。
【0014】装置フレーム38には、駆動軸41を回転自在に支持している。駆動軸41からの動力が植付装置31とマルチ穿孔装置32とに伝達されるようになっている。なお、装置フレーム38の後部には鎮圧・覆土ローラ46が設けられており、装置フレーム38の後端部は主フレーム15に吊持されており、畝14の高さに追従して装置フレーム38が上下揺動可能となされている。
【0015】前記マルチフィルム穿孔装置32は、ガスバーナー式の穿孔手段47を備え、この穿孔手段47は平行リンク48を介して上下動自在に装置フレーム38に連結されている。平行リンク48の上側リンク48aにはカムローラ50が枢着されている。このカムローラ50は、駆動軸41に設けられた円板状の平面カム51の外周を転動するようになっており、また、穿孔手段47の自重、又は、引張バネ等の付勢手段によって、カムローラ50をカム51の外周に押し付ける方向に付勢している。
【0016】カム51の周方向一部には凹陥部が形成されており、この凹陥部にカムローラ50が落ち込むことで、穿孔手段47が下動して、穿孔手段47の下端部に設けた加熱体52をマルチフィルムMに押し当てることで、マルチフィルムMに移植孔を穿孔するようになっている。また、カム51は、マルチフィルムMを穿孔した後即座に穿孔手段47を上昇させるように形成されているとともに、凹陥部を除く他の部分は、穿孔手段47を上昇限の待機位置で保持するべく駆動軸41軸心からの距離が略一定の外周形状に形成されている。
【0017】前記植付装置31は、苗供給装置30から供給される土付苗28を畝14に所定間隔で植付けるべく畝14に対して突き刺し運動される植付筒35と、この植付筒35を上下昇降動かつ前後動させる揺動リンク機構53とから主構成されている。揺動リンク機構53は、下端側が前後揺動自在となるように上端部が装置フレーム38に軸支された第1平行リンク54を備え、この第1平行リンク54の下端部に揺動プレート55を枢結し、この揺動プレート55に第2平行リンク56の前端部を枢結し、この第2平行リンク56の後端部に植付筒35を枢結している。また、第2平行リンク56の上側リンク56aに、装置フレーム38に設けた左右方向の駆動軸41に設けたクランクアーム57の先端部を枢結している。
【0018】したがって、第1PTO軸21からの動力により駆動軸41を介してクランクアーム57が回転することで、第1、第2平行リンク54,56により植付筒35が上下に昇降しながら前後にも移動し、略楕円形の軌跡を描くようになっており、走行しながら植付筒35を畝14に突き刺す際において、植付筒35が圃場に対して略前方移動のないようになっている。
【0019】植付筒35は、図1、図4〜図7に示すように、その上部が平面視方形状の開口を有する筒体であり、下部には、取付ピン59aを支点に前後方向で開閉自在となる前後対のオープナ58を備えている。該オープナ58は、開閉リンク59の動作で屈折リンクピン60によって開閉可能としている。そして、オープナ58は植付筒35の軌跡の下死点にて畝14に突入したときに該畝14に植付穴を形成するとともに、オープナ58と装置フレーム38とに枢結された連動具61によって前後に開き、該植付穴に土付苗28を植付け得るようになっている。前後対のオープナ58は、連動具61が作用していない際には常に閉鎖するように引張バネ62によって付勢されている。また、オープナ58の開閉リンク59には、オープナ58の開度を制限するストッパボルト63を設けている。
【0020】前記開閉具61は、図1に示す如く複数の部材142,145の長手方向端部を回動自在に連結することにより屈曲自在に形成されたリンク構造を有しており、前端が装置フレーム38に左右方向の前支軸141まわりに回動自在に連結された第1リンク部材142と、前端が第1リンク部材142の後端に左右方向の連結軸143を介して回動自在に連結され後端が前側のオープナ58に左右方向の後支軸144回りに回動自在に連結された第2リンク部材145とを備える。
【0021】第1リンク部材142と第2リンク部材145とは、前記連結軸143を介して屈曲するようになっており、この屈曲を伸ばしたときに第2リンク部材145に当接して連結軸143廻りの回動を規制するストッパ146が第1リンク部材142の先端に設けられている。第2リンク部材145は、棒状の第1伸縮体147と、該第1伸縮体147が摺動自在に内嵌される筒状の第2伸縮体148とから構成され、両者を長手方向に摺動させることによって第2リンク部材(伸縮部材)145が伸縮可能とされている。
【0022】第1、第2伸縮体147,148には引張りコイルバネ150が取付けられており、この引張りコイルバネ150によって第2リンク部材145が縮む方向へ付勢されている。また、前後対のオープナ58の後部側の上部には、後述するスクレーパー装置65の内スクレーパー69がオープナ58の外部より内部へと進入可能とする切欠状の開口部64を形成している。この開口部64は、その下縁部分が上縁部分よりもやや後方に張り出し状に形成され、下縁より下方部分がオープナ58内部に向けて山状に弯曲形成されている。
【0023】植付筒35の後方側にはスクレーパー装置65が設けられており、植付筒35が畝14に突入されて苗28を植え付けたのち揺動リンク機構53によって上昇移動される際に、オープナー58の外側壁面及び内側壁面に付着した土をかき落とすようになっている。スクレーパー装置65は、装置フレーム34の後部に上方へ突出した支持部材66にピン67を介して前後揺動自在に上部が枢支される作動アーム68と、該作動アーム68の下部から左右方向内方側へ張り出され、前記植付筒35の後方に配置される内、外スクレーパー69、70と、この内,外スクレーパー69,70をスクレープ動作するための案内手段71とで構成されており、該案内手段71は、作動アーム68に設けた被案内部72と、前記植付筒35上部の筒体に固定した案内部73とからなっている。
【0024】そして、前記連結軸143の位置及び第2リンク部材145の長さを適当に設定することにより、図1に示すように、前記内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出るとき、植付筒35のオープナ58は完全には閉じないでやや開いた状態になり、内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出た後に、オープナ58が全閉鎖するようになっている。
【0025】上記構成において、図1、図4〜7を参照してスクレープ動作を説明する。なお、矢符Aは移植機11の進行方向(移植方向)を示しており、図面の左側が移植機11の後部側を示している。苗供給装置30の苗トレイ33より苗取出爪34によって取り出された土付苗28が、揺動リンク機構53により上死点近傍に移動した植付筒35に上方より落とし込まれたのち、植付筒35は、揺動リンク機構53により下方に下降し、下死点において畝14に突き刺さって植付穴を形成する(図4参照)。そして、連動具61の作用によりオープナ58が開放し、植付穴に苗28が植え付けられる。
【0026】苗28を植え付けたのち、植付筒35は揺動リンク機構53によりやや後方へ向けて上昇し、植付筒35に設けたスクレーパー装置65の案内部73が、作動アーム68に設けた被案内部72に係合する(図5参照)。そして、植付筒35が更に上昇すると、案内部73上を被案内部72が転動、又は摺動して作動アーム68が引張バネ76に抗して前方へと揺動して引き寄せられ、内スクレーパー69がオープナ58の開口部64より進入し、内スクレーパー69と外スクレーパー70とでオープナ58の内外面を挟み込むようになる(図6参照)。
【0027】この状態より植付筒35が上昇するのと相対して、内、外スクレーパー69、70は下方に移動し、オープナ58の内外面に付着した付着土を下方へ掻き落とすようにしている。したがって、苗28を1つ植え付ける度にスクレーパー装置65により付着土を落とすことができ、常に土付苗28が植付筒35内で転倒することなく直立姿勢で保持できるようにしている。
【0028】そして、図1に示すように、前記内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出るとき、植付筒35のオープナ58は完全には閉じないでやや開いた状態になり、内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出た後に、オープナ58が全閉鎖する。従って、内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出るときには、前後のオープナ58同士が接触しなくなって、内スクレーパー69がオープナ58から抜け出るときに前後のオープナ58が引張バネ62の付勢によって勢いよく閉鎖動作をしなくなり、このときに大きな騒音を生じるようなことがなくなる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、内スクレーパー69が植付筒35のオープナ58から下方に抜け出るとき、前後のオープナ58が勢いよく閉鎖動作をして大きな騒音を生じるようなことがなくなる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)6月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−10
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−156794